勇 美 記 念 財 団 2012 年 度 被 災 地 における 在 宅 医 療 の 研 究 的 実 践 完 了 報 告 書 褥 瘡 が 悪 化 傾 向 をたどっている 利 用 者 様 の 治 らない 原 因 を 追 求 することで 治 癒 に 導 くこ とができる 研 究 研 究 者 石 田 美 由 紀 佐 藤 朋 子 田 崎 幸 代 所 属 医 療 法 人 社 団 健 育 会 矢 本 ひまわり 訪 問 看 護 ステーション 宮 城 県 東 松 島 市 大 曲 字 堰 の 内 南 145-2 平 成 25 年 8 月 30 日 提 出
1 研 究 の 背 景 と 目 的 背 景 毎 日 訪 問 し 処 置 をしているにも 関 わらず 褥 瘡 が 悪 化 傾 向 をたどっている 利 用 者 様 がいる 何 故 褥 瘡 が 治 らないのかその 原 因 を 追 究 する 事 で 治 癒 方 向 に 向 かう 事 が 出 来 るのでは ないかと 思 い 研 究 しようと 思 いました 目 的 褥 瘡 の 治 癒 を 妨 げる 原 因 を 知 る 事 で 創 改 善 につなげる 事 を 目 的 とする 2 研 究 の 方 法 研 究 期 間 : 平 成 24 年 6 月 18 日 ~ 平 成 25 年 7 月 9 日 対 象 : 当 ステーションの 利 用 者 様 R О 様 計 画 : R О 様 の 情 報 収 集 既 往 歴 の 確 認 ( 胃 潰 瘍 慢 性 関 節 リウマチ 糖 尿 病 高 血 圧 ) H22 年 11 月 に 入 退 院 を 繰 り 返 し 下 肢 筋 力 低 下 により 歩 行 困 難 となる 自 宅 では 長 男 と 二 人 暮 らし ヘルパーさん 介 入 (1 日 2 回 朝 晩 )で 自 宅 療 養 している 長 男 は 27 年 前 に 母 親 から 腎 移 植 を 受 けており 視 力 聴 力 弱 く 体 調 を 度 々 崩 している 状 況 H24 年 3 月 に 左 臀 部 に 褥 瘡 ができ アルキサ ゲンタシンの 2 種 混 合 で 処 置 していたが 悪 化 し 真 皮 に 及 ぶ 傷 となった 糖 尿 病 があるので 血 糖 コントロールできているか 確 認 栄 養 状 態 (アルブミン タンパク 等 ) 食 事 内 容 の 把 握 易 感 染 状 態 ( 体 温 局 所 の 炎 症 の 有 無 創 部 の 培 養 細 菌 検 査 )の 把 握 H24 年 6 月 に 創 部 の 培 養 検 査 実 施 清 潔 入 浴 の 頻 度 清 潔 やオムツ 交 換 の 頻 度 の 確 認
内 服 薬 と 副 作 用 の 有 無 の 確 認 内 服 中 の 薬 ボグリボースОD 錠 0,3mg 分 3(1 日 分 3 錠 ) 毎 食 直 前 服 用 糖 尿 薬 アマリール 錠 1mg 分 1(1 日 分 1 錠 ) 朝 食 後 服 用 糖 尿 薬 ラシックス 錠 40mg 分 1(1 日 分 0,5 錠 ) 朝 食 後 服 用 利 尿 剤 プレドニン 錠 5mg 分 1(1 日 分 1,5 錠 ) 副 腎 皮 質 ホルモン 剤 セレコックス 錠 200mg 分 1(1 日 分 1 錠 ) 消 炎 鎮 痛 剤 エリスパン 錠 0,25mg 分 2(1 日 分 2 錠 ) 抗 不 安 薬 サイトテック 錠 200 200ug 分 2(1 日 分 2 錠 ) 消 化 性 潰 瘍 薬 オメプラール 錠 10 10 mg 分 2(1 日 分 2 錠 ) 消 化 潰 瘍 薬 エクア 錠 50 mg 分 2(1 日 分 2 錠 ) 糖 尿 薬 H24 7 13~ 開 始 リマチル 錠 100 mg 分 3(1 日 3 錠 ) 抗 リウマチ 薬 メチコバール 錠 2,5mg 分 3(1 日 3 錠 ) 末 梢 神 経 障 害 改 善 薬 クレストール 錠 分 1(1 日 1 錠 ) 高 脂 血 症 薬 アローゼン 錠 分 1(1 日 分 0,5g) 下 剤 酸 化 マグネシウム 分 1(1 日 分 1g) ルフレン 配 合 顆 粒 分 3(1 日 分 1,5g) * 糖 尿 病 があり ステロイド 薬 内 服 をしているため 易 感 染 性 創 治 癒 困 難 といった 状 態 にある 1 日 の 体 位 体 勢 移 動 の 確 認 エアマットレス クッションの 内 容 の 確 認 処 置 方 法 の 確 認 毎 月 1 回 主 治 医 往 診 (ショートスティ 中 も 施 設 へ 往 診 ) 具 体 的 内 容 R О 様 と 息 子 さんにインタビューし 1 日 の 生 活 状 況 を 確 認 する ADL 食 事 :セッティングで 自 力 摂 取 可 能 起 居 : 全 介 助 排 泄 : 日 中 ポータブルトイレ 使 用 夜 間 オムツ 対 応 H24 年 8 月 から 尿 留 置 カテーテル 使 用 カマやアローゼン 内 服 で 便 コントロールしている ヘモあり 出 血 時 にはポステ リザン 軟 膏 挿 肛 清 潔 :デイサービスで 入 浴 ( 週 1 回 )
着 脱 : 全 介 助 意 思 疎 通 : 可 能 自 宅 での 生 活 スタイル( 尿 カテーテル 挿 入 後 ) 8:30 ヘルパーさん 介 助 で 起 床 更 衣 ポータブルトイレ 移 乗 し 排 便 ベッドから 車 椅 子 移 乗 し 居 間 の 座 椅 子 に 移 乗 その 後 夕 方 まで 座 位 保 持 尿 破 棄 (1 日 2000ml 前 後 ) 創 部 のパッド 交 換 9:30~10:00 朝 食 ( 息 子 さんが 準 備 ) 11:00 訪 問 看 護 による 創 処 置 12:00 昼 食 (お 弁 当 あるいは 息 子 さんが 準 備 ) 16:00 夕 食 ( 息 子 さんが 準 備 ) 17:30 ヘルパーさん 介 入 し 排 便 あればポータブルトイレ 移 乗 更 衣 ベッドに 移 乗 し ベッドへ 入 眠 の 準 備 * 日 中 はずっと 座 椅 子 で 座 位 保 持 し テレビを 鑑 賞 し 眠 られたりしている 様 子 ショートスティ 中 の 生 活 スタイル 6:30 起 床 更 衣 起 床 後 車 椅 子 にて 座 位 保 持 7:00 朝 食 食 後 口 腔 ケア 8:30 デイサービス 参 加 10:30 入 浴 入 浴 後 創 処 置 水 分 補 給 12:00 昼 食 12:40~14:00 午 睡 15:00 レクリエーション 参 加 16:30 トイレ 介 助 18:00 夕 食 19:30 ベッドに 臥 床 * 創 処 置 内 容 と 2 回 / 日 処 置 を 実 施 していただくよう ひまわりの 看 護 師 からショート 先 の 看 護 師 に 申 し 送 りしました ( 息 子 さんが 体 調 を 崩 し 入 院 した 時 ショートスティを 利 用 している)
ショートスティ 利 用 日 H24 6 月 5 日 ~16 日 9 月 25~27 日 10 月 5 日 ~12 日 10 月 29 日 ~ 11 月 6 日 11 月 12 日 ~22 日 H24 11 月 26 日 ~12 月 18 日 まで 編 頭 痛 精 密 検 査 の 為 入 院 検 査 結 果 異 常 なし H25 5 月 22 日 ~7 月 10 日 ( 今 回 は 長 期 によるショートスティ 利 用 中 です) 定 期 的 に 採 血 データを 確 認 する H24 年 7 月 2 回 11 月 H25 年 2 月 5 月 6 月 に 採 血 実 施 定 期 的 に 褥 瘡 部 の 写 真 撮 影 と 創 部 の 計 測 をする( 別 紙 参 照 ) 血 糖 のコントロールできているか 血 糖 測 定 し 確 認 する(HbA1c 測 定 ) できていなければ 食 事 の 内 容 の 指 導 あるいは 服 薬 の 変 更 を 主 治 医 に 相 談 し 検 討 してい ただく 処 置 方 法 について 定 期 的 に 主 治 医 に 相 談 しながら 処 置 内 容 の 検 討 をしていく
考 察 今 回 難 治 性 疾 患 の 複 数 ある 利 用 者 様 の 創 改 善 治 癒 にむけて 在 宅 看 護 で 研 究 を 行 って きた 創 の 尿 汚 染 から 創 感 染 のリスクを 考 え 尿 留 置 カテーテルを 入 れることを 医 師 と 相 談 して 勧 め 最 初 は 嫌 がっていたが 納 得 していただき 創 処 置 の 回 数 と 処 置 方 法 について は 私 達 に 一 任 していただいた 在 宅 で 生 活 するR O 様 の 生 活 パターンを 考 えると 長 時 間 の 仙 骨 部 付 近 の 創 の 圧 迫 が 原 因 の 一 つであった 圧 迫 除 去 の 為 臥 位 を 勧 めてみたが 寝 たきりになるのでは?という 不 安 から 日 中 ( 朝 から 寝 る 時 間 まで) 座 位 の 姿 勢 を 取 り 続 けた それに 伴 い 処 置 方 法 を 検 討 し 処 置 回 数 を 増 やし 研 究 当 初 の 平 成 24 年 7 月 9 日 の 創 部 計 測 時 点 で 直 径 4cm 2,2cm 深 さ1cm でしたが 平 成 25 年 6 月 29 日 の 計 測 の 時 は 直 径 2cm 1,7cm 深 さ 0,7cm に 縮 小 しましたが 治 癒 までにはいたらなかった また 創 の 痛 みが 創 改 善 とともに 軽 減 したことで R O 様 の 褥 瘡 に 対 する 関 心 が 低 くな ったことからも 圧 迫 除 去 に 対 する 協 力 が 得 られなかった 要 因 と 思 われる また 糖 尿 病 であるため 易 感 染 で 褥 瘡 が 治 りにくい 状 態 である 糖 尿 病 は 基 本 的 にイン スリンが 足 りなくなる 病 態 で ブドウ 糖 を 細 胞 の 中 に 取 り 込 まれるためにはインスリンが 必 要 である インスリン 不 足 状 態 下 では 蛋 白 質 を 分 解 され 蛋 白 質 合 成 よりも 分 解 が 促 進 される 創 治 癒 には 創 傷 内 で 蛋 白 質 合 成 が 進 む 必 要 があり この 合 成 が 障 害 されることに より 創 治 癒 が 遅 延 するといった 仕 組 みになっている 採 血 データより 血 糖 が 148~272mg /dl Hba1c(NGSP)6,6~7,3 ( JDS)6,2~6,9 アルブミン 3,6~3,9 も 低 いため 食 生 活 改 善 が 必 要 と 考 え 高 タンパク 亜 鉛 を 含 む 補 助 食 品 サンプルを 取 り 寄 せR O 様 に 説 明 後 摂 取 して 頂 く 様 に 促 したが 新 しい 物 に 対 する 抵 抗 感 と 飲 まなければいけないと いう 精 神 的 な 苦 痛 を 伴 う 状 態 に 陥 り 栄 養 面 からの 改 善 にも 取 り 組 むことが 困 難 であった R O 様 は 二 人 暮 らしで 唯 一 の 介 護 者 である 息 子 さんは 病 弱 で 肺 炎 に 度 々 罹 り 入 退 院 を 繰 り 返 していた その 度 に R O 様 は 施 設 のショートスティを 利 用 していたが R O 様 は 在 宅 で 暮 らす 事 を 望 んでおり ヘルパーさんの 介 入 のもと 何 とか 二 人 暮 らしを 継 続 していた その 為 介 護 者 様 の 体 調 不 良 に 伴 い 食 生 活 が 乱 れ 日 中 の 介 護 力 も 低 下 し R O 様 体 調 不 良 にもつながり 食 生 活 の 乱 れと 体 調 不 良 風 邪 の 羅 患 は 一 気 に 褥 瘡 悪 化 につながったと 考 えられる 研 究 期 間 中 に 頭 痛 精 査 の 為 に 入 院 した 際 ベッド 上 での 生 活 となり 創 は 縮 小 し 改 善 し た 経 緯 がある このことから 糖 尿 病 に 羅 患 し 慢 性 関 節 リウマチのためステロイド 服 用 中 体 動 困 難 の 高 リスクにあるR O 様 の 褥 瘡 には 圧 迫 除 去 が 必 要 条 件 で 環 境 因 子 で 重 要 と 考 えられる 事 として 日 常 生 活 を 過 ごす 為 の 体 位 食 生 活 介 護 力 が 重 要 であるという ことを 改 めて 考 えさせられた 研 究 だった 治 療 の 場 が 在 宅 である 為 に R O 様 の 日 中 息 子 さんと 居 間 で 起 きて 過 ごしたい 息 子 さんと 一 緒 に 食 事 を 摂 りたい 等 本 人 の 生 きがいを 汲 みながら また R O 様 のこ だわりや 神 経 質 気 質 も 手 伝 って 生 活 スタイルを 変 えられなかったのも 治 癒 阻 害 要 因 の 一
つであると 考 えられる 結 論 このように 在 宅 で 生 活 の 場 に 入 り 治 療 を 展 開 するのには ご 本 人 とご 家 族 の 治 療 に 対 する 知 識 理 解 協 力 が 大 きく 影 響 してくる 複 数 の 難 治 性 疾 患 に 罹 っている 高 齢 者 の 体 調 管 理 をしながら 在 宅 で 生 活 し 治 療 して いくのは 難 しいことである また 支 える 家 族 の 介 護 力 は 体 調 管 理 に 大 きく 影 響 し 今 回 マンパワーの 重 要 性 を 再 確 認 させられた 今 後 私 たちはこのようなケースに 度 々 出 会 うことになると 思 われる 今 回 のケースで 学 んだことを 生 かし 本 人 と 家 族 の 協 力 を 求 めつつ 関 わるスタッフや 医 療 関 係 者 が 同 じ 方 向 性 で 治 療 ケアに 向 かって 行 きたいと 思 います 参 考 文 献 1) 内 藤 亜 由 美 安 部 正 敏 病 態 処 置 別 スキントラブルケアガイド 2) 古 田 勝 経 磯 貝 善 蔵 早 くきれいに 褥 瘡 を 治 す 外 用 薬 の 使 い 方 3) 田 中 まき 子 事 例 で 学 ぶ 褥 瘡 トータルアセスメント 4) 厚 生 省 老 人 保 健 福 祉 局 老 人 保 健 課 褥 瘡 の 予 防 治 療 ガイドライン この 研 究 は 2012 年 公 益 財 団 法 人 在 宅 医 療 助 成 勇 美 記 念 財 団 の 助 成 により 行 いました
研 修 報 告 書 部 長 所 長 管 理 者 作 成 者 H 年 月 日 研 修 名 称 講 師 < 研 修 の 概 要 > < 研 修 で 学 んだこと( 今 後 の 仕 事 で 活 かしたいこと)> 受 講 対 象 者 部 門 参 加 者 名 部 内 回 覧 / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /