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Transcription:

高 速 道 路 の 債 務 返 済 に 関 する 一 考 察 国 土 交 通 委 員 会 調 査 室 山 越 伸 浩 1.はじめに 旧 道 路 関 係 四 公 団 1 ( 以 下 旧 四 公 団 )が 平 成 17 年 10 月 に 民 営 化 されて から4 年 半 以 上 が 経 過 した 旧 四 公 団 の 民 営 化 は 高 速 道 路 2 の 経 営 が 非 効 率 的 であるとの 観 点 から その 建 設 により 負 ってきた 債 務 ( 旧 四 公 団 民 営 化 時 に 総 額 約 42.6 兆 円 (うち 有 利 子 借 入 金 37.4 兆 円 ))について 新 規 の 高 速 道 路 建 設 による 追 加 債 務 とそれら 債 務 の 利 払 いや 高 速 道 路 に 係 る 管 理 費 も 含 め 通 行 料 金 や 租 税 による 国 民 負 担 を 最 小 限 に 抑 制 しつつ 確 実 に 返 済 するという 目 的 の 下 に 行 われた その 結 果 旧 四 公 団 の 機 能 のうち 高 速 道 路 の 資 産 保 有 と 債 務 返 済 を 行 う 機 能 は 独 立 行 政 法 人 日 本 高 速 道 路 保 有 債 務 返 済 機 構 ( 以 下 機 構 )に 高 速 道 路 の 建 設 や 管 理 を 行 う 機 能 は 高 速 道 路 会 社 に 分 割 して 民 営 化 された(こう した 民 営 化 は 上 下 分 離 方 式 と 呼 ばれている) 高 速 道 路 会 社 については 旧 日 本 道 路 公 団 の3 分 割 により 東 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 中 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 西 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 が 設 立 され また 旧 首 都 高 速 道 路 公 団 ( 以 下 旧 首 都 高 公 団 )は 首 都 高 速 道 路 株 式 会 社 に 旧 阪 神 高 速 道 路 公 団 ( 以 下 旧 阪 高 公 団 )は 阪 神 高 速 道 路 株 式 会 社 に 旧 本 州 四 国 連 絡 橋 公 団 ( 以 下 旧 本 四 公 団 )は 本 州 四 国 連 絡 高 速 道 路 株 式 会 社 にそ のまま 移 行 する 形 でそれぞれ 設 立 されている 機 構 は これら6つの 高 速 道 路 会 社 と 45 年 以 内 に 債 務 返 済 が 可 能 となるよう 協 定 をそれぞれ 締 結 し 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 収 入 からその 管 理 費 等 を 差 し 引 いたものを 道 路 資 産 の 貸 付 料 として 徴 収 し 債 務 の 返 済 を 行 っている そのた め 高 速 道 路 の 通 行 料 金 と 債 務 の 返 済 とは 密 接 な 関 係 にある ところで 高 速 道 路 の 通 行 料 金 をめぐっては 原 則 無 料 化 を 目 指 す 民 主 党 と 1 旧 道 路 関 係 四 公 団 とは 旧 日 本 道 路 公 団 旧 首 都 高 速 道 路 公 団 旧 阪 神 高 速 道 路 公 団 旧 本 州 四 国 連 絡 橋 公 団 のことをいう 2 本 稿 において 高 速 道 路 とは 全 国 ネットワークで 結 ばれている 高 速 自 動 車 国 道 をはじめ 東 京 湾 アクアラインや 八 王 子 バイパスなど 路 線 ごとに 有 料 道 路 として 整 備 された 一 般 有 料 道 路 や 本 州 四 国 連 絡 高 速 道 路 ( 以 下 本 四 連 絡 道 )などの 国 道 首 都 高 速 道 路 ( 以 下 首 都 高 ) や 阪 神 高 速 道 路 ( 以 下 阪 高 )といった 都 市 高 速 道 路 と 呼 ばれる 地 方 道 も 含 む 自 動 車 専 用 道 路 全 般 を 指 すこととする これは 高 速 道 路 株 式 会 社 法 における 高 速 道 路 の 定 義 に 準 じて いる 11

受 益 者 負 担 の 観 点 から 無 料 化 はせず 民 営 化 等 により 引 き 下 げてきた 通 行 料 金 の 更 なる 引 下 げを 目 指 す 自 民 党 公 明 党 等 との 間 で 政 策 上 の 相 違 が 存 在 する 特 に 通 行 料 金 の 引 下 げについては 平 成 21(2009) 年 に ETC 搭 載 の 普 通 乗 用 車 等 を 対 象 としたETC 休 日 特 別 割 引 (いわゆる 高 速 道 路 1,000 円 乗 り 放 題 )などが 実 施 され 現 在 に 至 っている 一 方 鳩 山 内 閣 では 高 速 道 路 無 料 化 の 社 会 実 験 ( 平 成 22(2010) 年 6 月 実 施 )とともに 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 上 限 制 を 中 心 とする 新 しい 通 行 料 金 割 引 が 国 土 交 通 省 から 提 案 されたが 今 後 これらについて 国 会 でどのような 議 論 がなされるかに 注 目 が 集 まっている 本 稿 においては こうした 動 向 を 踏 まえつつ これまでの 債 務 返 済 の 状 況 と 高 速 道 路 の 通 行 料 金 政 策 を 概 観 するとともに 今 後 の 債 務 返 済 の 方 向 性 等 につ いて 考 えていきたい 2. 高 速 道 路 建 設 と 借 入 金 の 関 係 道 路 は 国 民 一 般 の 生 活 と 密 接 に 関 連 し その 基 本 的 要 件 となっており ま た 近 代 国 家 では 経 済 活 動 を 支 える 不 可 欠 な 施 設 とされることから 国 や 地 方 公 共 団 体 の 財 政 支 出 によって 整 備 される 社 会 資 本 であり 公 共 財 として 無 料 で 提 供 されるものとされている しかし 一 方 で 橋 トンネル 等 より 多 くの 資 金 を 必 要 とする 道 路 について 財 政 的 な 制 約 により 早 期 の 事 業 化 を 図 れない 場 合 であってもできるだけ 早 期 に 道 路 整 備 を 進 めるために 導 入 されたのが 有 料 道 路 制 度 3 である この 制 度 は 借 入 金 によって 建 設 費 を 賄 って 道 路 を 整 備 し その 完 成 後 に 一 定 の 料 金 徴 収 期 間 を 設 け この 期 間 内 に 利 用 者 から 徴 収 した 通 行 料 金 で 借 入 金 を 返 済 する 仕 組 みとなっている 借 入 金 の 償 還 は 一 定 の 料 金 徴 収 期 間 ( 償 還 期 間 とも 言 う ) 内 に 債 務 を 完 済 することを 前 提 として 計 画 され その 期 間 の 経 過 後 当 該 道 路 は 無 料 公 開 されることとなっている 有 料 道 路 の 料 金 水 準 については 通 行 者 の 受 ける 費 用 等 に 係 る 便 益 に 配 慮 するとともに 建 設 の ための 借 入 金 を 期 間 内 に 返 済 するという 便 益 主 義 と 償 還 主 義 の 原 則 に 基 づき 設 定 されている 3 有 料 道 路 とは 当 該 道 路 の 建 設 債 務 返 済 のために 通 行 料 金 を 課 金 する 道 路 全 般 のことを 指 し 自 動 車 専 用 道 路 としての 高 速 道 路 だけに 限 らない また すべての 高 速 道 路 が 有 料 を 前 提 とし ているのではなく 国 と 地 方 の 財 政 支 出 のみで 建 設 される 新 直 轄 方 式 による 高 速 自 動 車 国 道 の ように 当 初 から 無 料 公 開 を 前 提 としているものもある 12

3. 旧 四 公 団 の 債 務 返 済 の 問 題 点 昭 和 27 年 に 有 料 道 路 事 業 制 度 が 創 設 された 時 は 特 定 道 路 整 備 事 業 特 別 会 計 が 設 けられ 国 自 らによって 経 営 されていたが その 後 昭 和 31 年 に 同 特 会 が 廃 止 されるとともに 旧 日 本 道 路 公 団 が 創 設 され 有 料 道 路 事 業 が 引 き 継 がれ た 国 からの 引 継 ぎ 路 線 も 含 め 当 初 旧 日 本 道 路 公 団 が 建 設 管 理 する 有 料 道 路 は 全 国 的 なネットワークを 有 するものではなく 橋 やトンネルなど 一 地 域 の 交 通 利 便 性 を 高 めることのみを 目 的 とするような 路 線 で 路 線 ごとに 償 還 計 画 が 作 成 される 一 般 有 料 道 路 であった しかし 昭 和 38(1963) 年 に 全 国 ネット ワークを 目 指 す 初 の 高 速 自 動 車 国 道 4 である 名 神 高 速 道 路 の 一 部 開 通 後 東 名 高 速 道 路 中 央 自 動 車 道 などの 高 速 自 動 車 国 道 が 次 々と 開 通 していった そうし た 中 で 経 済 成 長 による 地 価 人 件 費 資 材 などの 価 格 の 上 昇 により 同 一 の ネットワークであるにもかかわらず 後 発 路 線 ほど 建 設 コストが 高 くなり そ れに 伴 い 通 行 料 金 も 高 く 設 定 され 個 別 に 償 還 計 画 を 設 定 したままでは 無 料 公 開 の 時 期 が 路 線 ごとに 異 なるなど 均 質 な 全 国 ネットワークの 理 念 が 崩 れてく るおそれが 出 てきた 3-1. 全 国 プール 制 の 導 入 そこで 昭 和 47(1972) 年 に 全 国 の 高 速 自 動 車 国 道 の 償 還 計 画 を 一 本 化 し ど の 高 速 自 動 車 国 道 も 同 一 の 課 金 システムで 走 行 できるという 画 一 料 率 制 を 採 用 する 全 国 プール 制 が 導 入 された 5 この 画 一 料 率 制 と 償 還 計 画 期 間 終 了 後 の 全 国 路 線 の 同 日 無 料 公 開 という 理 想 を 掲 げた 全 国 プール 制 は 路 線 ごとに 異 なる 償 還 計 画 を 一 本 化 したことから 採 算 路 線 の 収 入 で 不 採 算 路 線 を 建 設 していく 内 部 補 助 が 問 題 として 指 摘 される ようになった 特 に 昭 和 60(1980) 年 4 月 の 道 路 審 議 会 の 中 間 答 申 において この 問 題 に 対 する 解 決 策 が 示 され 先 発 路 線 から 後 発 路 線 に 対 して 行 われる 内 部 補 助 の 限 度 を2 分 の1とし それ 以 外 を 国 費 で 賄 うこととされた 小 泉 内 閣 の 道 路 関 係 4 公 団 の 民 営 化 の 際 に 旧 日 本 道 路 公 団 に 対 して 年 間 3,000 億 円 もの 国 費 が 投 入 され 不 採 算 路 線 が 建 設 されることが 問 題 視 されたが それは こ 4 高 速 自 動 車 国 道 は 高 速 自 動 車 国 道 法 に 基 づき 11,520km の 予 定 路 線 を 有 している 5 画 一 料 率 制 とは プールされた 路 線 の 料 金 を 一 定 の 料 金 に 統 一 することである 現 在 の 料 金 体 系 は 普 通 車 の 場 合 高 速 道 路 の 施 設 利 用 費 といわれるターミナルチャージ 料 150 円 に 加 え て1キロ 当 たり 24.6 円 の 対 距 離 料 金 がかかっており 各 種 割 引 についても 統 一 的 に 運 用 されて いる なお 道 路 の 混 雑 が 予 想 される 大 都 市 近 郊 区 間 や 管 理 コストが 通 常 の 路 線 よりも 高 い 恵 那 山 トンネルや 関 越 トンネルなどは 別 途 特 別 料 金 が 設 定 されている 13

の 全 国 プール 制 による 内 部 補 助 の 問 題 が 発 端 であった 3-2. 全 国 プール 制 における 償 還 計 画 の 換 算 起 算 日 の 問 題 全 国 プール 制 には 償 還 計 画 のスタート 時 点 を 指 す 換 算 起 算 日 にも 問 題 があ った 図 1は 昭 和 47(1972) 年 から 平 成 11(1999) 年 までに 認 可 された 償 還 計 画 における 未 償 還 額 をグラフ 化 して 並 べたものである 左 下 が 一 番 古 い 72 年 認 可 のもので 右 上 が 最 も 新 しい 99 年 認 可 のものである これを 見 ると 償 還 計 画 自 体 が 先 送 りされていく 様 子 が 分 かる これは 償 還 計 画 に 新 しい 道 路 建 設 費 ( 未 償 還 額 )が 追 加 されると 換 算 起 算 日 が 後 ろにずれていく 仕 組 みになっているからである 償 還 期 間 は 換 算 起 算 日 から 数 えて 一 定 の 年 限 が 設 定 されているため 路 線 数 が 増 え 事 業 費 が 増 え るごとに 換 算 起 算 日 と 無 料 公 開 日 が 後 ろにずれていった その 上 全 国 プール 制 の 償 還 期 間 自 体 の 延 長 が 行 われた 昭 和 47(1972) 年 の プール 制 開 始 時 点 の 償 還 期 間 は 30 年 であったが 平 成 6(1994) 年 の 償 還 計 画 改 定 認 可 時 に 40 年 平 成 11(1999) 年 の 同 認 可 時 に 45 年 とそれぞれ 延 長 されたた め 無 料 公 開 日 はそれだけ 延 期 されることとなった 図 1 全 国 プール 制 の 各 償 還 計 画 における 未 償 還 額 の 比 較 ( 出 所 ) 旧 日 本 道 路 公 団 の 各 償 還 計 画 表 より 作 成 14

3-3. 高 速 自 動 車 国 道 以 外 の 有 料 道 路 におけるプール 制 導 入 の 問 題 旧 日 本 道 路 公 団 が 経 営 していた 有 料 道 路 については このような 高 速 自 動 車 国 道 のほか 全 国 プール 制 に 組 み 込 まれていない 一 般 有 料 道 路 についても 同 様 にプール 制 を 導 入 することによって 内 部 補 てんを 図 りつつ 無 料 公 開 日 を 先 延 ばしする 事 例 も 見 られるようになった 事 業 費 1 兆 2,323 億 円 を 投 じて 建 設 された 東 京 湾 アクアラインは 平 成 9 (1997) 年 度 に 開 業 したが 開 業 した 年 度 こそは 若 干 の 黒 字 となったものの 当 初 の 推 定 交 通 量 を 大 幅 に 下 回 る 交 通 量 しか 確 保 できず 6 10(1998) 年 度 11(1999) 年 度 は 赤 字 となり 11 年 度 末 の 未 償 還 残 高 は 1 兆 4,437 億 円 となっ た そこで 12(2000) 年 7 月 に 東 京 湾 アクアライン 東 京 湾 アクアライン 連 絡 道 路 京 葉 道 路 千 葉 東 金 道 路 のそれぞれの 償 還 計 画 を 一 体 化 した 千 葉 プー ル が 採 用 された 償 還 期 間 も 東 京 湾 アクアライン 及 び 東 京 湾 アクアライン 連 絡 道 路 が 40 年 から 50 年 へと 延 長 され 京 葉 道 路 千 葉 東 金 道 路 も 30 年 から 50 年 へと 延 長 された このとき 償 還 起 算 日 を 東 京 湾 アクアラインが 開 業 した 9(1997) 年 に 設 定 したため 償 還 期 間 が 59(2047) 年 までとなったが これによ り 27(2015) 年 に 無 料 公 開 予 定 であった 京 葉 道 路 及 び 千 葉 東 金 道 路 の 料 金 徴 収 期 間 は 32 年 間 延 長 された 特 に 昭 和 35(1960) 年 に 開 通 した 京 葉 道 路 の 料 金 徴 収 期 間 は 86 年 に 及 ぶこととなった 旧 本 四 公 団 も 当 初 昭 和 45(1970) 年 を 償 還 期 間 換 算 日 とし 償 還 期 間 を 33 年 間 としていたが 神 戸 鳴 門 ルート 児 島 坂 出 ルート 尾 道 今 治 ルート の3ルートの 長 大 橋 が 次 々と 完 成 していく 中 で 実 績 交 通 量 が 推 定 交 通 量 を 大 幅 に 下 回 り 収 入 では 管 理 費 と 利 払 いを 賄 えないほどの 慢 性 的 赤 字 に 陥 り 平 成 13(2001) 年 には その 年 を 償 還 起 算 日 として 償 還 期 間 を 70 年 間 ( 有 利 子 負 債 分 は50 年 )とする 償 還 計 画 へと 改 定 した その 後 15(2003) 年 度 から 18(2006) 年 度 までの4 年 間 で 3.5 兆 円 と 言 われた 有 利 子 債 務 の 一 部 ( 約 1.46 兆 円 )を 国 費 で 処 理 した また 旧 首 都 高 公 団 や 旧 阪 高 公 団 も 経 営 する 都 市 高 速 道 路 をひとまとめに し プール 制 に 基 づく 償 還 計 画 を 頻 繁 に 改 正 し 償 還 起 算 日 をずらしつつ 当 初 30 年 だった 償 還 計 画 を 50 年 に 延 長 するなどしている 6 東 京 湾 アクアラインの 推 定 交 通 量 は 平 成 9(1997) 年 度 で 25,468 台 / 日 10(1998) 年 度 で 28,702 台 / 日 11(1999) 年 度 で 31,581 台 / 日 であったが 実 績 交 通 量 ( 括 弧 内 は 推 定 交 通 量 に 対 する 割 合 )はそれぞれ 11,876 台 / 日 (44.6%) 9,996 台 / 日 (34.8%) 9,647 台 / 日 (30.5%) であった 15

4. 機 構 の 債 務 返 済 状 況 4-1. 民 営 化 から 45 年 以 内 の 償 還 ルール このように 旧 四 公 団 においてプール 制 が 採 用 されたことで 採 算 路 線 からの 内 部 補 助 による 不 採 算 路 線 の 建 設 拡 大 と 有 料 道 路 の 無 料 公 開 が 先 延 ばされ 旧 四 公 団 が 非 効 率 な 経 営 を 行 うことを 結 果 的 に 容 認 することとなってしまっ た そこで その 反 省 に 立 って 民 営 化 時 の 議 論 においても 債 務 の 返 済 方 法 が 一 つの 課 題 とされ 最 終 的 に 平 成 15(2003) 年 12 月 22 日 の 政 府 与 党 申 合 せ 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 の 基 本 的 枠 組 みについて の 中 で 債 務 返 済 の 考 え 方 として 具 体 化 されることとなった その 内 容 は 機 構 は 民 営 化 から 45 年 後 には 債 務 を 確 実 に 完 済 し その 時 点 で 高 速 道 路 等 を 道 路 管 理 者 に 移 管 し 無 料 開 放 する というものであり 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 関 係 四 法 7 の 中 に 反 映 されている 4-2. 民 営 化 後 の 償 還 の 状 況 平 成 17(2005) 年 10 月 1 日 より 民 営 化 が 行 われたが 旧 四 公 団 から 具 体 的 に どの 路 線 を 承 継 するかを 国 と 機 構 と 各 高 速 道 路 会 社 で 協 議 する 約 半 年 の 暫 定 期 間 を 経 て 18(2006) 年 3 月 31 日 に 道 路 資 産 の 貸 付 けを 62(2050) 年 8 月 15 日 ま でとする 協 定 が 機 構 と 高 速 道 路 会 社 との 間 に 結 ばれた ここでは 機 構 の 債 務 返 済 の 現 状 について 見 ていきたい 平 成 17(2005) 年 10 月 1 日 時 点 で 旧 四 公 団 から 機 構 に 承 継 された 未 償 還 残 高 は 有 利 子 借 入 金 37.4 兆 円 社 会 資 本 借 入 金 8 0.5 兆 円 無 利 子 借 入 金 0.3 兆 円 出 資 金 9 4.4 兆 円 で 合 計 42.6 兆 円 であった なお 機 構 の 決 算 において 未 償 還 残 高 は 出 資 金 が 含 まれたものを 指 し 債 務 残 高 は 出 資 金 を 含 まず 有 利 子 借 入 金 社 会 資 本 借 入 金 無 利 子 借 入 金 の 合 計 額 7 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 関 係 四 法 は 旧 四 公 団 民 営 化 のために 制 定 された4つの 法 律 ( 高 速 道 路 株 式 会 社 法 独 立 行 政 法 人 日 本 高 速 道 路 保 有 債 務 返 済 機 構 法 日 本 道 路 公 団 等 の 民 営 化 に 伴 う 道 路 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 する 法 律 日 本 道 路 公 団 等 民 営 化 関 係 法 施 行 法 )のことをいう 8 社 会 資 本 借 入 金 とは 日 本 電 信 電 話 株 式 会 社 の 株 式 の 売 却 収 入 の 活 用 による 社 会 資 本 の 整 備 の 促 進 に 関 する 特 別 措 置 法 に 基 づいて 政 府 から 借 り 入 れた 無 利 子 の 資 金 である 有 料 道 路 事 業 は 当 該 事 業 から 収 益 が 生 ずる 公 共 事 業 とされ これに 対 してNTT-Aタイプという 資 金 が 貸 し 出 されることになっている 9 出 資 金 とは 旧 日 本 道 路 公 団 はもっぱら 国 から その 他 3 公 団 は 国 及 び 地 方 から 各 公 団 法 に 基 づきいわゆる 資 本 金 として 出 資 され 公 団 解 散 時 に 国 又 は 地 方 に 返 還 するよう 定 められ た 資 金 である ただし 資 本 金 として 保 全 される 性 質 のものではなく 実 際 はそれで 道 路 建 設 等 が 行 われており 事 実 上 の 無 期 限 の 無 利 子 貸 付 けのような 性 質 の 資 金 である 無 利 子 で ある 分 道 路 建 設 のコスト 引 下 げに 貢 献 したとされている 16

を 指 している ちなみに 出 資 金 については 全 国 路 線 網 10 と 一 の 路 線 11 にはこ れ 以 上 の 出 資 がなされる 計 画 はないが 首 都 高 で 平 成 26(2014) 年 度 まで 阪 高 で 32(2020) 年 度 まで 本 四 連 絡 道 で 34(2022) 年 度 まで 国 と 関 係 地 方 公 共 団 体 に よる 共 同 出 資 が 予 定 されている 表 1は 平 成 18(2006) 年 度 期 首 から 21(2009) 年 度 期 首 までの 債 務 返 済 状 況 で あるが いずれの 年 も 債 務 残 高 は 計 画 値 より 実 績 値 が 常 に 下 回 っており 全 体 的 には 順 調 に 行 われている 機 構 の 債 務 の 変 動 要 因 としては 主 なものとして 1 各 高 速 道 路 会 社 が 建 設 している 路 線 の 完 成 による 債 務 引 受 け 2 道 路 資 産 貸 付 料 の 増 減 3 計 画 値 と 実 績 における 利 払 いの 変 動 が 挙 げられている このうち 3の 利 払 い 費 の 低 減 については 計 画 値 において 機 構 の 調 達 金 利 は 平 成 18(2006) 年 度 2.34% 19(2007) 年 度 3.0% 20(2008) 年 度 3.5% 21(2009) 年 度 以 降 4.0%となっている 一 方 実 際 の 調 達 金 利 は 18 年 度 1.97% 19 年 度 1.82% 20 年 度 1.62%と 計 画 とは 反 対 に 低 下 傾 向 にある これによって 平 成 18(2006) 年 度 に 調 達 された 各 債 券 については 調 達 期 間 ( 政 府 調 達 債 は7~30 年 財 投 機 関 債 は 10~40 年 )の 累 計 で 約 2,072 億 円 同 様 に 19(2007) 年 度 は 5,088 億 円 20(2008) 年 度 は 6,402 億 円 の 金 利 払 いが 低 減 されるとのことであり 現 在 の 低 金 利 傾 向 が 今 後 とも 続 けば 長 期 的 には 相 当 大 きく 影 響 してくると 思 われる しかし 首 都 高 と 阪 高 については むしろ 債 務 残 高 が 増 大 するなど 個 別 に 表 1 機 構 の 決 算 における 債 務 残 高 の 計 画 値 と 実 績 値 の 差 の 推 移 年 度 ( 期 首 ) 計 画 値 (A) 実 績 値 (B) (B)-(A) 平 成 18(2006) 年 度 37 兆 1,672 億 円 37 兆 1,338 億 円 335 億 円 平 成 19(2007) 年 度 36 兆 1,683 億 円 35 兆 9,137 億 円 2,547 億 円 平 成 20(2008) 年 度 35 兆 2,658 億 円 35 兆 737 億 円 1,921 億 円 平 成 21(2009) 年 度 31 兆 7,563 億 円 31 兆 3,248 億 円 4,315 億 円 ( 出 所 ) 平 成 18(2006)~20(2008) 年 度 の 機 構 の 決 算 関 係 資 料 より 作 成 10 全 国 路 線 網 とは 高 速 自 動 車 国 道 及 びそれと 一 体 的 に 機 能 する 一 般 有 料 道 路 の 総 称 であり 機 構 と 東 日 本 中 日 本 西 日 本 の 高 速 道 路 会 社 3 社 との 間 で 一 体 的 に 協 定 が 締 結 されている 路 線 の 総 称 である 11 一 の 路 線 とは 全 国 路 線 網 に 組 み 込 まれず 路 線 ごとに 協 定 が 締 結 されている 一 般 有 料 道 路 のことを 指 す 17

見 ると 順 調 とは 言 い 難 い 部 分 もある 12 5. 高 速 道 路 利 便 増 進 事 業 の 導 入 ところで 表 1の 平 成 20(2008) 年 度 の 期 首 の 債 務 残 高 と 21(2009) 年 度 の 期 首 の 債 務 残 高 を 見 ると3 兆 円 以 上 も 債 務 が 減 少 しているが これは 20(2008) 年 の 道 路 整 備 費 の 財 源 等 の 特 例 に 関 する 法 律 ( 以 下 道 路 財 特 法 )の 改 正 時 に 高 速 道 路 利 便 増 進 事 業 ( 以 下 利 便 増 進 事 業 )が 導 入 されたことによる ものである 利 便 増 進 事 業 とは 既 存 高 速 道 路 ネットワークの 有 効 活 用 機 能 強 化 のため 地 域 の 活 性 化 物 流 の 効 率 化 都 市 部 の 深 刻 な 渋 滞 の 解 消 地 球 温 暖 化 対 策 等 の 政 策 課 題 に 対 応 する 観 点 からの 高 速 道 路 料 金 の 引 下 げ 等 を 実 施 することを 目 的 とした 事 業 である その 仕 組 みは 機 構 の 債 務 を 国 が 承 継 する 一 方 で 高 速 道 路 会 社 が 機 構 に 対 し 支 払 っている 高 速 道 路 の 貸 付 料 をその 分 減 額 し 機 構 と 高 速 道 路 会 社 が 共 同 で 高 速 道 路 利 便 増 進 事 業 に 関 する 計 画 ( 以 下 利 便 増 進 計 画 )を 作 成 し それに 基 づき 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 引 下 げやスマートイ ンターチェンジ 13 等 の 整 備 を 行 う 事 業 である 特 に 高 速 道 路 の 料 金 の 引 下 げについては 経 済 対 策 的 な 側 面 が 強 く まず 第 一 弾 として 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 ( 平 成 20(2008) 年 8 月 29 日 福 田 内 閣 策 定 )による 割 引 14 のため 20(2008) 年 10 月 から 30(2018) 年 3 月 の 10 年 間 の 予 定 で 機 構 の 債 務 のうち 約 2.5 兆 円 が 国 に 承 継 されるとともに 第 15 2 弾 として 生 活 対 策 (20(2008) 年 10 月 30 日 麻 生 内 閣 策 定 )による 割 引 のため 21(2009) 年 度 から2 年 間 の 措 置 として 0.5 兆 円 が 同 様 に 国 に 継 承 され 合 計 約 3 兆 円 の 債 務 承 継 がなされている 12 機 構 の 平 成 20(2008) 年 度 決 算 によると 20 年 度 の 期 首 未 償 還 残 高 は 首 都 高 では 計 画 555 億 円 に 対 して 実 績 558 億 円 と3 億 円 阪 高 では 計 画 404 億 円 に 対 して 実 績 405 億 円 と1 億 円 そ れぞれ 上 回 っている また 21(2009) 年 度 期 首 の 未 償 還 残 高 は 首 都 高 では 計 画 429 億 円 に 対 して 実 績 430 億 円 と1 億 円 上 回 り 阪 高 では 計 画 314 億 円 に 対 して 実 績 314 億 円 と 変 わらない 13 スマートインターチェンジとは ETC 搭 載 車 のみ 通 行 可 能 なインターチェンジであり 料 金 所 とともに 建 設 される 通 常 のインターチェンジよりもコスト 性 に 優 れているとされる なお 平 成 19(2007) 年 5 月 31 日 に 開 催 された 社 会 資 本 整 備 審 議 会 道 路 分 科 会 第 5 回 有 料 道 路 部 会 の 資 料 によると 通 常 のインターチェンジの 建 設 費 が 30~60 億 円 管 理 費 が 1.2 億 円 と される 一 方 で スマートインターチェンジの 建 設 費 が3~8 億 円 管 理 費 が 0.5 億 円 とされて いる 14 ETC 搭 載 の 全 車 種 について 1 深 夜 (0~4 時 ) 割 引 の 拡 充 として5 割 引 の 実 施 23 割 引 となる 夜 間 割 引 時 間 帯 の 拡 大 (22 時 ~0 時 )などが 行 われている 15 1 平 日 の9 時 から 17 時 の 割 引 がなかった 時 間 帯 へのETC 搭 載 車 ( 全 車 種 )に 対 する3 割 引 の 導 入 2 観 光 振 興 や 地 域 の 生 活 経 済 支 援 のため 土 日 祝 日 のETC 搭 載 普 通 乗 用 車 の 通 行 料 金 を 上 限 1,000 円 とする 割 引 (ETC 休 日 特 別 割 引 ) 等 が 実 施 されている 18

ところで 債 務 を 公 費 で 処 理 したスキームとしては 前 述 したように 旧 本 四 公 団 の 有 利 子 債 務 の 圧 縮 があげられるが 利 便 増 進 事 業 とは 債 務 に 及 ぼす 影 響 が 根 本 的 に 異 なっている 旧 本 四 公 団 の 有 利 子 負 債 圧 縮 は まさに 債 務 そのも のの 縮 小 が 目 的 であったが この 利 便 増 進 事 業 は あくまでも 高 速 道 路 の 料 金 引 下 げと スマートインターチェンジの 整 備 などが 目 的 であるため それ 自 体 として 早 期 返 済 のために 行 っているものではない 図 2は 利 便 増 進 事 業 が 機 構 の 債 務 返 済 の 状 況 にどのように 影 響 を 及 ぼして いるのかを 見 るために 平 成 18(2006) 年 3 月 31 日 に 締 結 された 最 初 の 協 定 に よる 債 務 残 高 を 青 い 線 で 示 し 平 成 21 年 8 月 28 日 付 けの 協 定 の 一 部 変 更 を 反 映 した 有 利 子 債 務 残 高 を 赤 い 線 で 示 し 比 較 したものである これを 見 ると3 兆 円 の 利 便 増 進 事 業 が 債 務 の 返 済 計 画 に 影 響 を 及 ぼすのは 青 い 線 と 赤 い 線 の 差 ということになるが 利 便 増 進 事 業 の 期 間 とされる 平 成 20(2008)~29(2017) 年 の 10 年 間 以 外 は 一 致 しており 最 終 的 に 債 務 返 済 計 画 全 体 に 影 響 を 及 ぼすもの ではないことがわかる 図 2 機 構 の 有 利 子 負 債 残 高 の 推 移 の 比 較 (H18 年 3 月 及 びH21 年 8 月 ) ( 出 所 ) 機 構 の 未 償 還 残 高 の 推 移 ( 収 支 予 算 の 明 細 の 合 算 値 ) 2006.3.31 付 け 機 構 資 料 <http://www.jehdra.go.jp/pdf/061.pdf> 及 び 機 構 の 未 償 還 残 高 の 推 移 ( 収 支 予 算 の 明 細 の 合 算 値 ) 2009.8.28 付 け 機 構 資 料 <http://www.jehdra.go.jp/pdf/611.pdf>より 作 成 19

利 便 増 進 事 業 は 現 行 計 画 では 平 成 30(2018) 年 までとなっており 図 2によ れば その 後 の 有 利 子 債 務 残 高 は 従 来 の 協 定 と 変 わらずに 推 移 していくこと となっている また 33(2021) 年 度 までは 逆 に 債 務 残 高 が 増 加 するとされて いるが これは 債 務 残 高 がピークになる 同 年 度 までは 現 行 計 画 に 基 づき 高 速 道 路 の 建 設 が 行 われ 完 成 した 高 速 道 路 資 産 とその 債 務 が 機 構 に 引 き 受 けられ ることとなっているためである ところで 高 速 道 路 の 貸 付 料 については 完 成 路 線 が 加 わっていくほど 貸 付 料 が 高 くなっていくが これから 建 設 される 高 速 道 路 については 採 算 性 が 期 待 できない 路 線 が 多 いため 図 2のように 平 成 33(2021) 年 度 以 降 の 未 償 還 債 務 が 順 調 に 減 少 するよう 高 速 道 路 の 通 行 料 金 収 入 を 確 保 できるかどうかが 今 後 の 課 題 となろう 6. 衆 議 院 総 選 挙 による 政 権 交 代 後 の 高 速 道 路 政 策 6-1. 高 速 道 路 の 原 則 無 料 化 のスキーム 民 主 党 が 衆 議 院 総 選 挙 の 際 掲 げていた 政 権 公 約 ( 以 下 民 主 党 衆 院 選 マニフ ェスト )には 高 速 道 路 無 料 化 の 政 策 目 標 として 1 流 通 コストの 引 下 げを 通 じて 生 活 コストを 引 き 下 げる 2 産 地 から 消 費 地 へ 商 品 を 運 びやすいよう にして 地 域 経 済 を 活 性 化 する 3 高 速 道 路 の 出 入 り 口 を 増 設 し 今 ある 社 会 資 本 を 有 効 に 使 って 渋 滞 などの 経 済 的 損 失 を 軽 減 することの3 点 が 挙 げられ 具 体 策 として 割 引 率 の 順 次 拡 大 などの 社 会 実 験 を 実 施 し その 影 響 を 確 認 し ながら 高 速 道 路 を 無 料 化 していくとし その 所 要 額 を 1.3 兆 円 程 度 とした この 1.3 兆 円 は 平 成 21(2009) 年 3 月 の 民 主 党 高 速 道 路 政 策 大 綱 ( 以 下 政 策 大 綱 )を 反 映 したものである 政 策 大 綱 によると まず 無 料 化 のスキームとして 機 構 を 廃 止 し その 債 務 35 兆 円 を 無 料 化 開 始 時 点 で 国 が 承 継 し 国 債 償 還 の 一 般 ルールである 60 年 償 還 に 基 づき 償 還 するとしている そ して 毎 年 承 継 額 の 1.6%に 当 たる 0.56 兆 円 を 国 債 整 理 基 金 に 繰 り 入 れ 平 成 21(2009) 年 度 で 年 利 2%とし 利 払 い 費 を 0.7 兆 円 と 試 算 し これらを 合 計 し て 債 務 承 継 に 伴 う 国 の 財 政 負 担 を 年 間 1.26 兆 円 としている また 割 引 率 の 順 次 拡 大 など 様 々な 社 会 実 験 の 実 施 とその 影 響 の 確 認 を 行 い ながら 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 無 料 化 を 平 成 22(2010) 年 度 から3 年 をかけて 段 階 的 に 実 施 し 24(2012) 年 度 から 完 全 実 施 するとしていた そこで 21(2009) 年 10 月 の 22 年 度 概 算 要 求 において 首 都 高 阪 高 を 除 く 高 速 道 路 の 収 入 が 約 1.8 兆 円 であるとし まず 初 年 度 分 としてその3 分 の1に 当 たる 6,000 億 円 が 社 会 実 験 の 費 用 として 要 求 された 20

しかし 子 ども 手 当 や 高 校 無 償 化 など 他 の 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト に 基 づく 予 算 要 求 もあり 一 般 会 計 予 算 の 概 算 要 求 の 規 模 が 過 去 最 大 の 95 兆 円 に 膨 らむ 一 方 不 況 により 税 収 が 伸 び 悩 み 財 政 規 律 を 守 る 観 点 から 大 きな 調 整 が 必 要 となった そこで 平 成 21(2009) 年 12 月 に 民 主 党 から 平 成 22 年 度 予 算 重 要 要 点 ( 以 下 重 要 要 点 )が 政 府 に 提 出 され 予 算 編 成 を 行 うにあ たっての 留 意 点 が 示 された 6-2. 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト 政 策 集 と 重 要 要 点 との 比 較 重 要 要 点 で 示 された 構 想 と 政 策 大 綱 や 民 主 党 衆 院 選 マニフェス ト と 同 時 期 に 公 表 された 民 主 党 政 策 集 INDEX2009 ( 以 下 政 策 集 )で 構 想 されていたものを 比 べたものが 表 2である 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト 政 策 集 の3 点 と 重 要 要 点 では 特 に 高 速 道 路 の 整 備 において 違 いが 顕 著 となっている 高 速 道 路 の 建 設 については 平 成 21(2009) 年 3 月 の 政 策 大 綱 では 国 が 一 般 会 計 で 整 備 するとされていたものが 平 成 22(2010) 年 12 月 の 重 要 要 点 では 新 直 轄 方 式 を 廃 止 して 高 速 道 路 会 社 に 一 本 化 するとされている 債 務 処 理 の 在 り 方 については 政 策 大 綱 では 機 構 の 債 務 を 全 額 国 が 承 継 し それに 伴 い 機 構 を 解 散 することになっていたが 重 要 要 点 では 債 務 処 理 の 在 り 方 について 明 らかにされていない ただし 重 要 要 点 におい て 高 速 道 路 整 備 を 高 速 道 路 会 社 に 一 本 化 することとされているので 高 速 道 路 は 有 料 のまま 現 在 の 機 構 による 処 理 方 法 を 前 提 としているようにも 読 めないわ けでもない また 高 速 道 路 会 社 6 社 の 在 り 方 についても 政 策 大 綱 では 1 社 にま とめて 再 編 するとしていたが 重 要 要 点 では その 点 についても 特 に 触 れ られていない いずれにしても この 重 要 要 点 が 平 成 22(2010) 年 度 予 算 に 反 映 されると ともに 高 速 道 路 無 料 化 の 社 会 実 験 としての 6,000 億 円 の 概 算 要 求 は 1,000 億 円 へと 圧 縮 された なお 高 速 道 路 の 新 直 轄 方 式 ( 注 3 参 照 )については 継 続 されている また 平 成 22(2010) 年 7 月 の 参 議 院 通 常 選 挙 に 向 けて 作 成 された 民 主 党 のマ ニフェストでは 高 速 道 路 は 無 料 化 した 際 の 効 果 や 他 の 公 共 交 通 の 状 況 に 留 意 しつつ 段 階 的 に 原 則 無 料 とします とされており その 具 体 的 な 仕 組 み や 工 程 については 衆 議 院 総 選 挙 の 時 ほど 詳 細 ではない 21

表 2 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト 政 策 集 と 重 要 要 点 の 主 な 相 違 点 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェ スト 政 策 集 重 要 要 点 債 務 処 理 高 速 道 路 の 整 備 機 構 は 廃 止 機 構 の 債 務 は 国 が 承 継 一 般 会 計 で 処 理 国 の 一 般 財 源 により 行 う 国 として 整 備 すべき 高 速 道 路 の 選 定 国 土 開 発 幹 線 自 動 車 道 建 設 会 議 ( 国 幹 会 議 )の 廃 止 国 は 高 速 自 動 車 国 道 を 地 方 は 自 らが 必 要 とする 道 路 を 担 うこととし 直 轄 国 道 補 助 国 道 等 の 管 理 区 分 を 見 直 して 道 路 整 備 の 権 限 を 大 胆 に 地 方 に 移 すことを 基 本 とする 高 速 道 路 会 社 6 社 の 統 合 再 編 平 成 22 年 度 高 速 道 路 整 備 のために 利 便 増 進 事 業 の 抜 本 見 直 し 新 直 轄 方 式 の 取 りやめとこれに 見 合 う 額 の 高 速 道 路 会 社 への 支 援 平 成 23 年 度 以 降 高 速 道 路 建 設 促 進 の 枠 組 みとし て 全 国 統 一 の 料 金 設 定 国 の 高 速 道 路 建 設 の 高 速 道 路 会 社 への 一 本 化 地 方 自 らが 必 要 とする 高 速 道 路 建 設 を 行 うことができるよう にするための 国 の 支 援 策 の 検 討 高 速 道 路 の 料 金 割 引 率 の 順 次 拡 大 などの 社 会 実 験 を 実 施 し その 影 響 を 確 認 しながら 高 速 道 路 を 無 料 化 していく 首 都 高 速 阪 神 高 速 など 渋 滞 が 想 定 される 路 線 区 間 など については 交 通 需 要 管 理 (T DM)の 観 点 から 社 会 実 験 ( 5 割 引 7 割 引 等 )を 実 施 し て 影 響 を 確 認 しつつ 無 料 化 を 実 施 高 速 道 路 建 設 促 進 の 枠 組 みとし て 全 国 統 一 の 料 金 設 定 ( 再 掲 ) 高 速 道 路 の 無 料 化 については 割 引 率 の 順 次 拡 大 や 統 一 料 金 制 度 の 導 入 など 社 会 実 験 を 実 施 し その 影 響 を 確 認 しながら 段 階 的 に 進 める 軽 自 動 車 に 対 する 負 担 の 軽 減 を 図 る ( 出 所 ) 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト 政 策 集 重 要 要 点 より 作 成 6-3. 高 速 道 路 無 料 化 の 社 会 実 験 1,000 億 円 の 高 速 道 路 無 料 化 の 社 会 実 験 は 平 成 22(2010) 年 6 月 28 日 から 開 始 され 23(2011) 年 3 月 31 日 まで 実 施 されることになっている 具 体 的 な 路 線 については 同 年 2 月 2 日 に 公 表 された 37 路 線 48 区 間 約 1,626 キロに 同 年 6 月 15 日 に 新 たに 追 加 された 東 九 州 自 動 車 道 の2 区 間 約 26 キロを 加 え 37 路 22

線 50 区 間 約 1,652 キロが 選 ばれている 実 験 区 間 の 採 用 基 準 としては 1,000 億 円 という 限 られた 予 算 の 中 で 1 首 都 高 と 阪 高 を 除 く 高 速 道 路 であること 2 休 日 上 限 1,000 円 による 渋 滞 発 生 頻 度 3 他 の 交 通 機 関 への 影 響 4 高 速 道 路 ネットワークの 状 況 ( 有 料 区 間 無 料 区 間 の 連 続 性 など)の4 点 を 総 合 的 に 勘 案 して 対 象 区 間 を 選 定 することとされ 三 大 都 市 圏 及 び 札 幌 仙 台 広 島 福 岡 の 各 都 市 圏 内 の 路 線 これを 相 互 に 連 結 する 路 線 これと 県 庁 所 在 地 を 結 ぶ 路 線 をすべて 除 く 高 速 道 路 が 選 ばれている この 社 会 実 験 の 予 算 1,000 億 円 は 利 便 増 進 事 業 とは 異 なり 機 構 の 債 務 処 理 ではなく 無 料 化 による 高 速 道 路 からの 収 入 減 少 分 を 補 てんするものとして 社 会 実 験 が 行 われる 各 高 速 道 路 会 社 に 対 し 支 出 されるものである なお 国 土 交 通 省 によると 実 験 開 始 後 1 週 間 のデータでは 実 験 区 間 の 交 通 量 は 平 日 は 平 均 で 約 1.8 倍 休 日 は 約 1.7 倍 に 増 加 し 同 時 に 実 験 区 間 に 並 行 する 主 要 な 一 般 国 道 の 交 通 量 は 平 日 休 日 ともに 約 2 割 減 少 しているとさ れているが 実 験 期 間 中 の 今 後 の 交 通 量 について 注 目 していく 必 要 があろう 6-4. 新 たな 料 金 割 引 の 試 行 と 利 便 増 進 事 業 の 見 直 し 案 政 策 大 綱 民 主 党 衆 院 選 マニフェスト 政 策 集 重 要 要 点 に 盛 り 込 まれた 様 々な 施 策 を 実 施 するために 平 成 22(2010) 年 3 月 第 174 回 国 会 に 高 速 自 動 車 国 道 法 及 び 道 路 整 備 事 業 に 係 る 国 の 財 政 上 の 特 別 措 置 に 関 する 法 律 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律 案 ( 以 下 高 速 道 路 法 改 正 案 )が 鳩 山 内 閣 から 提 出 された 法 案 の 内 容 の 第 一 点 は 高 速 自 動 車 国 道 の 建 設 決 定 手 続 の 変 更 である 国 土 開 発 幹 線 自 動 車 道 建 設 法 に 基 づき 国 会 議 員 や 有 識 者 らにより 構 成 される 国 土 開 発 幹 線 自 動 車 道 建 設 会 議 の 議 を 経 て 高 速 自 動 車 国 道 の 基 本 計 画 整 備 計 画 について 国 土 交 通 大 臣 が 定 めてきた 仕 組 みを 廃 止 し これまで 法 律 事 項 とさ れてきた 高 速 自 動 車 国 道 の 予 定 路 線 を 政 令 事 項 とし 国 土 交 通 大 臣 が 社 会 資 本 整 備 審 議 会 の 議 に 基 づき 整 備 計 画 を 定 めていくこととしている 第 二 点 としては 道 路 財 特 法 において 定 められている 利 便 増 進 事 業 の 改 正 で あり 重 要 要 点 に 基 づき この 事 業 に 高 速 道 路 の 車 線 の 増 設 既 存 の 高 速 道 路 の 連 結 のための 新 設 改 築 駐 車 場 スマートインターチェンジ 以 外 の 通 常 のインターチェンジ 等 の 整 備 が 加 えられる また 同 法 案 に 合 わせて 平 成 22(2010) 年 4 月 9 日 に 高 速 道 路 の 再 検 証 結 果 と 新 たな 料 金 割 引 ( 案 ) が 公 表 されている ここでは 上 記 の 利 便 増 進 事 業 の 法 改 正 に 合 わせ その 内 容 の 組 替 えと それに 基 づく 新 しい 料 金 体 系 と 高 速 23

図 3 新 たな 料 金 割 引 ( 案 )の 概 要 ( 平 成 22(2010) 年 度 試 行 ) ( 出 所 ) 高 速 道 路 の 再 検 証 結 果 と 新 たな 料 金 割 引 ( 概 要 ) 2010.4.9 付 け 国 土 交 通 省 報 道 資 料 <http://www.mlit.go.jp/common/000112016.pdf> 道 路 の 整 備 が 公 表 されている 新 たな 料 金 割 引 については 図 3のとおりであり 高 速 自 動 車 国 道 や 本 四 連 絡 道 については 車 種 区 分 に 応 じて 上 限 料 金 が 設 定 され 首 都 高 と 阪 高 におい ては 均 一 的 に 料 金 を 課 してきた 料 金 圏 を 廃 止 し 対 距 離 料 金 の 導 入 が 図 られ るとしている ただし この 割 引 によって 旧 四 公 団 の 民 営 化 時 に 導 入 された ETCの 割 引 制 度 ( 時 間 帯 割 引 大 口 多 頻 度 割 引 マイレージ 割 引 等 )は 廃 止 されるとしている なお 激 変 緩 和 措 置 として 平 成 22(2010) 年 度 については 時 間 帯 割 引 大 口 多 頻 度 割 引 は 暫 定 的 に 残 すとしている 利 便 増 進 事 業 については 図 4のとおりであり 約 3 兆 円 の 債 務 承 継 の 枠 組 みのうち 平 成 21(2009) 年 度 までに 0.5 兆 円 が 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 値 下 げなど で 使 われたとしており 残 りの 約 2.6 兆 円 分 の 使 途 の 組 替 えが 行 われている なお 組 替 えの 内 容 について これまでは 2.3 兆 円 が 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 引 下 げに 0.3 兆 円 がスマートインターチェンジの 整 備 に 配 分 されていたが 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 引 下 げは 1.2 兆 円 に 圧 縮 され 代 わりに 高 速 道 路 整 備 等 24

図 4 利 便 増 進 計 画 の 見 直 し( 案 )の 概 要 ( 出 所 ) 高 速 道 路 の 再 検 証 結 果 と 新 たな 料 金 割 引 ( 概 要 ) 2010.4.9 付 け 国 土 交 通 省 報 道 資 料 <http://www.mlit.go.jp/common/000112016.pdf> として 1.4 兆 円 が 配 分 されている 新 たな 料 金 割 引 である 上 限 料 金 については 国 土 交 通 省 の 資 料 によると 軽 自 動 車 で 約 40 キロ 普 通 車 で 約 70 キロ 中 型 車 で 約 170 キロ 大 型 車 で 約 120 キロ 特 大 車 で 約 150 キロを 走 らないと 適 用 にならないため これよりも 短 距 離 の 走 行 では 割 引 のない 通 常 料 金 の 利 用 となり 上 限 料 金 に 到 達 する 利 用 台 数 も 全 体 の2~3 割 程 度 とされているため 実 質 的 に 値 上 げとなるのではないか と 指 摘 する 声 が 出 てきている また 上 限 料 金 が 軽 自 動 車 と 普 通 車 でそれぞれ 高 速 自 動 車 国 道 等 より 1,000 円 高 くなる 本 四 連 絡 道 では これを 不 満 とする 意 見 もあり 10 の 出 資 地 方 公 共 団 体 16 は 出 資 金 の 支 払 を 拒 否 していると 報 じられたが 前 原 国 土 交 通 大 臣 も 料 金 引 下 げの 方 向 での 見 直 しについて 言 及 している 17 さらに 利 便 増 進 事 業 による 高 速 道 路 の 新 規 建 設 も 東 京 外 郭 環 状 道 路 や 名 古 屋 環 状 2 号 線 など 大 都 市 環 状 高 速 道 路 に 振 り 向 けられていることに 対 する 地 方 か 16 本 四 連 絡 道 の 出 資 地 方 公 共 団 体 は 大 阪 府 兵 庫 県 岡 山 県 広 島 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 大 阪 市 及 び 神 戸 市 である 17 前 原 大 臣 会 見 要 旨 ( 平 成 22 年 7 月 6 日 ) 25

らの 異 論 もある なお 平 成 22(2010) 年 4 月 21 日 の 政 府 民 主 党 首 脳 会 議 において 政 府 に 対 し 新 たな 料 金 割 引 の 再 考 を 求 める 要 望 があり これについて 今 後 国 会 の 審 議 を 踏 まえて 国 土 交 通 省 で 判 断 することとされたが 第 174 回 国 会 では 高 速 道 路 法 改 正 案 は 衆 議 院 において 審 議 を 継 続 することとされた しかし 仮 に 法 案 が 成 立 せずとも 利 便 増 進 事 業 を 財 源 とする 高 速 道 路 整 備 ができないだ けで 新 たな 料 金 割 引 自 体 は 可 能 であることから 今 秋 にも 実 施 される 可 能 性 について 報 じられており その 取 扱 いについては 今 後 の 課 題 とされている 7. 借 金 返 済 に 関 する 今 後 の 留 意 点 7-1. 永 久 有 料 という 考 え 方 ところで 高 速 道 路 無 料 化 の 社 会 実 験 を 始 めとして 新 料 金 割 引 や 利 便 増 進 事 業 の 組 替 えなどの 案 では それぞれの 新 たな 割 引 等 について 既 存 の 割 引 の 財 源 の 組 み 替 えにとどまっており( 図 5 参 照 ) かつて 政 策 大 綱 で 示 された 機 構 を 解 散 し 国 が 機 構 の 債 務 を 承 継 するというような 債 務 返 済 の 仕 組 みその ものを 見 直 すような 変 更 を 伴 うものとはなっていない 図 5 利 便 増 進 計 画 等 の 見 直 しの 概 要 ( 案 ) ( 出 所 ) 高 速 道 路 の 再 検 証 結 果 と 新 たな 料 金 割 引 ( 概 要 ) 2010.4.9 付 け 国 土 交 通 省 報 道 資 料 <http://www.mlit.go.jp/common/000112016.pdf> 26

もし 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 引 下 げや 無 料 化 について 機 構 と 各 高 速 道 路 会 社 の 協 定 を 前 提 としながら 実 施 していくのであれば 今 後 とも 無 料 化 や 値 下 げ 分 については 国 費 の 負 担 が 必 要 となるであろうし また 政 策 大 綱 のよう に 国 が 機 構 の 債 務 の 全 部 を 承 継 するとなると 約 883 兆 円 とされる 国 の 債 務 残 高 は 900 兆 円 の 大 台 を 突 破 する 可 能 性 がある 一 方 で 当 初 の 償 還 期 限 が 過 ぎた 採 算 性 の 高 い 高 速 道 路 については 通 行 料 金 の 値 下 げで 渋 滞 が 引 き 起 こされ 鉄 道 国 内 航 空 フェリーなど 他 の 公 共 交 通 機 関 に 影 響 を 及 ぼすため 無 料 公 開 自 体 が 難 しいという 問 題 もある そうし た 路 線 の 取 扱 いについては 現 行 スキームを 踏 まえて 検 討 していく 方 向 も 考 え られるが 例 えば 通 行 料 金 の 永 久 有 料 化 を 選 択 肢 に 含 めて 検 討 しても 良 いよう にも 思 われる これについて 高 速 道 路 の 通 行 料 金 の 永 久 有 料 化 を 提 唱 している 宮 川 公 男 一 橋 大 学 名 誉 教 授 は 現 在 の 通 行 料 金 の 在 り 方 をめぐる 議 論 については 高 速 道 路 料 金 をめぐる 諸 問 題 は 単 に 有 料 であることによるものではなく また 無 料 化 によって 解 決 できるものではない 問 題 は( 償 還 主 義 のままでは) 高 すぎ る 料 金 にあり 受 益 と 負 担 の 適 切 なバランスがとれていない 料 金 設 定 の 仕 方 に ある として 償 還 主 義 を 排 して 永 久 有 料 制 とし かつ 画 一 料 率 制 を 改 め るという 料 金 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しが 不 可 欠 である としている 18 そのためには 高 速 道 路 の 無 料 化 の 推 進 ではなく また 現 在 の 機 構 と 高 速 道 路 会 社 による 上 下 分 離 方 式 による 民 営 化 形 態 をとり 続 けるのでもなく 機 構 を 廃 止 して 高 速 道 路 資 産 そのものを 高 速 道 路 会 社 に 保 有 させ まともな 民 営 会 社 にするべきだ と 指 摘 している 7-2. 資 産 一 体 型 の 民 営 化 の 試 算 そこで 以 下 一 案 として 永 久 有 料 制 として 資 産 一 体 化 を 前 提 とする 民 営 化 を 行 った 場 合 に 収 益 の 状 況 がどのようになるかを 試 算 して その 留 意 点 につい て 若 干 の 考 察 をしてみたい なお 資 産 一 体 型 の 民 営 化 については 旧 四 公 団 の 民 営 化 後 の 組 織 の 在 り 方 を 検 討 するために 平 成 14(2002) 年 6 月 に 設 立 され た 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 推 進 委 員 会 ( 以 下 民 営 化 委 員 会 )でも 議 論 され 高 速 道 路 資 産 を 民 営 会 社 に 保 有 させることについて 公 共 財 としての 有 料 道 路 の 意 義 とともに 年 間 5,000 億 円 とも 言 われる 固 定 資 産 税 19 の 支 払 や 減 価 償 却 18 宮 川 公 男 高 速 無 料 化 は 愚 策 国 民 にツケ 回 すニセ 民 営 化 を 見 直 せ WEDGE ( 平 21.10) 19 平 成 14(2002) 年 8 月 6 7 日 に 開 催 された 第 10 回 11 回 民 営 化 委 員 会 第 1 回 集 中 審 議 にお いて 約 40 兆 円 の 旧 四 公 団 の 資 産 に 対 して 約 5,000 億 円 の 固 定 資 産 税 がかかると 猪 瀬 直 樹 委 員 27

費 なども 焦 点 となっている (1) 高 速 道 路 会 社 6 社 の 高 速 道 路 の 資 産 一 体 型 民 営 化 の 試 算 平 成 20(2008) 年 度 決 算 の 数 字 を 参 考 に 機 構 の 高 速 道 路 資 産 を 前 述 のように 高 速 道 路 会 社 に 一 体 化 させて 民 営 化 した 場 合 に 収 益 構 造 がどのようになるか を 試 算 する 資 産 一 体 型 の 民 営 化 に 当 たっては いったん 機 構 を 廃 止 して 国 に 機 構 の 道 路 資 産 と 債 務 をすべて 承 継 させ 国 から 高 速 道 路 会 社 に 道 路 資 産 を 引 き 渡 す 際 に その 価 値 分 の 株 式 を 発 行 させる 形 で 民 営 化 するものと 仮 定 する なお ここでの 試 算 については 道 路 の 収 益 性 にのみ 着 目 し 計 算 項 目 を 額 の 大 きな 主 要 なものだけに 限 り 高 速 道 路 会 社 6 社 の 本 業 であるサービスエリ アやパーキングエリアの 経 営 等 は 除 外 している その 上 で 平 成 20(2008) 年 度 決 算 をみると 高 速 道 路 会 社 6 社 の 管 理 する 高 速 道 路 全 体 の 収 入 は2 兆 3,241 億 円 である そこから 道 路 管 理 費 として 5,798 億 円 減 価 償 却 費 として 8,842 億 円 固 定 資 産 税 として 5,326 億 円 20 を 差 し 引 くと 3,275 億 円 が 経 常 利 益 的 なものとなろう また 法 人 税 等 を 41% 21 とし て 計 算 すると 税 引 き 後 の 純 利 益 的 なものとしては 1,932 億 円 と 想 定 される (2) 採 算 性 に 優 れた 16 路 線 のみの 資 産 一 体 型 民 営 化 の 試 算 次 に 採 算 性 に 優 れた 路 線 のみを 選 んで 民 営 化 した 場 合 も 試 算 してみたい 対 象 路 線 としては 表 3の 16 路 線 3,436 キロを 選 ぶこととする 22 これらの 路 線 の 収 入 は 1 兆 308 億 円 である そこから 管 理 費 として 2,240 23 億 円 減 価 償 却 費 として 2,329 億 円 固 定 資 産 税 として 1,363 億 円 を 差 し 引 くと 経 常 利 益 的 なものは 4,377 億 円 となり 上 記 と 同 様 に 法 人 税 等 を 41%と すると 税 引 き 後 の 純 利 益 的 なものは 2,582 億 円 と 想 定 される ( 当 時 )が 発 言 している 20 機 構 の 平 成 20(2008) 年 度 決 算 による 高 速 道 路 会 社 の 道 路 資 産 の 簿 価 38 兆 485 億 円 に 民 営 化 委 員 会 事 務 局 と 同 様 に 1.4%をかけて 試 算 した 値 である 21 平 成 14(2002) 年 8 月 6 7 日 に 開 催 された 第 10 回 11 回 民 営 化 委 員 会 第 1 回 集 中 審 議 にお いて 民 営 化 委 員 会 事 務 局 が 法 人 税 等 について 税 引 き 前 利 益 の 41%と 仮 定 して 計 算 しており それに 倣 ったものである 22 16 路 線 の 選 考 基 準 としては 民 営 化 時 に 償 還 準 備 金 が 黒 字 であった 路 線 すなわち 当 該 路 線 の 単 独 収 入 でその 管 理 費 と 債 務 の 利 払 いを 賄 えた 道 路 のみとしている なお 平 成 14 年 7 月 26 日 の 民 営 化 委 員 会 ( 第 8 回 )で 川 本 裕 子 委 員 が 提 出 した 資 料 によると 本 稿 で 取 りあげた 16 路 線 に 北 陸 自 動 車 道 と 中 央 自 動 車 道 長 野 線 を 加 えた 18 路 線 を 単 年 度 収 支 が 黒 字 と 分 析 してい る 23 機 構 の 平 成 20(2008) 年 度 決 算 による 対 象 16 路 線 の 道 路 資 産 の 簿 価 9 兆 7,374 億 円 に 民 営 化 委 員 会 事 務 局 と 同 様 に 1.4%をかけて 試 算 した 値 である 28

(1)で 行 ったような 高 速 道 路 会 社 6 社 全 社 をまとめて 民 営 化 する 場 合 より も 経 営 面 的 にも 効 率 がよく このように 資 産 一 体 型 の 民 営 化 によっても 高 速 道 路 会 社 の 決 算 は 平 成 20(2008) 年 度 の 決 算 の 数 字 で 考 えると 黒 字 となり 一 見 すると 問 題 がないように 思 われる 表 3 民 営 化 時 に 償 還 準 備 金 が 黒 字 であった 路 線 ( 注 1) 開 通 延 長 の 単 位 はキロである ( 注 2) 収 入 管 理 費 当 期 償 却 費 の 単 位 は 億 円 である ( 出 所 ) 決 算 に 合 わせて 開 示 する 高 速 道 路 事 業 関 連 情 報 ( 平 成 20 年 度 ) ( 機 構 )より 作 成 7-3. 資 産 一 体 型 の 民 営 化 の 留 意 点 しかし 国 の 承 継 した 債 務 の 処 理 のためには 政 策 大 綱 で 試 算 されてい たように 仮 に 60 年 償 還 に 切 り 替 えられ かつ 金 利 負 担 を2%としても 毎 年 1.26 兆 円 の 負 担 が 残 る また 今 後 の 高 速 道 路 会 社 による 高 速 道 路 の 建 設 については 資 産 一 体 型 の 民 営 化 を 行 った 場 合 収 益 性 確 保 の 観 点 から 有 料 道 路 の 建 設 についてより 消 極 的 となることが 予 想 されるため 国 や 地 方 公 共 団 体 の 負 担 によって 整 備 する 新 直 轄 方 式 での 無 料 の 高 速 道 路 の 建 設 に 更 に 頼 るか 財 政 的 に 難 しい 場 合 は 国 が 掲 げる 高 速 道 路 の 整 備 目 標 について 完 成 時 期 を 先 送 りにするか 高 速 道 路 の 延 長 計 画 の 縮 小 が 必 要 かの 検 討 を 迫 られる 可 能 性 も 予 想 される したがって 国 がそれらの 負 担 についてどこまで 容 認 できるのか つまり 資 産 一 体 型 の 民 営 化 を 行 った 際 に 国 が 高 速 道 路 会 社 から 得 る 法 人 税 株 の 配 29

当 金 株 式 売 却 利 益 がどれだけの 金 額 となるのか これによって 国 の 債 務 圧 縮 がどこまで 可 能 となるのかが ポイントとなろう 正 確 な 比 較 は 難 しいが 配 当 金 総 額 のイメージなど 他 の 公 共 的 な 役 割 の 大 きい 民 間 企 業 との 状 況 を 示 したものが 表 4である 表 4の 各 企 業 の 配 当 金 総 額 では 債 務 処 理 に 十 分 な 金 額 を 得 られない 可 能 性 が 高 いため 株 式 の 売 却 利 益 に 大 き く 頼 る 可 能 性 が 高 くなるだろう 24 その 場 合 に いかに 株 を 高 く 売 るかという ことが 焦 点 になろうが 優 良 な 16 路 線 を 選 んだように 意 図 的 に 黒 字 会 社 となる ような 路 線 選 定 を 行 った 場 合 いわゆる 良 いところ 取 り で 上 場 を 目 指 すこ との 妥 当 性 をどこまで 認 めるのかについても 慎 重 な 判 断 が 求 められよう 高 速 道 路 の 料 金 についても 画 一 料 率 制 を 廃 止 して 高 速 道 路 会 社 が 独 自 の 判 断 として 料 金 設 定 を 行 っていく 場 合 その 料 金 設 定 の 在 り 方 について 利 用 者 に 過 度 な 料 金 負 担 がないようにすることをどのように 保 証 するのかについて も 留 意 が 求 められよう 表 4 資 産 一 体 型 の 高 速 道 路 の 民 営 化 ( 試 算 )と 他 の 民 間 企 業 との 比 較 ( 注 1) 株 価 は 平 成 22 年 7 月 20 日 の 終 値 である ( 注 2) 株 価 と1 株 当 たり 配 当 金 の 単 位 は 円 発 行 済 株 式 数 の 単 位 は 株 配 当 金 総 額 売 上 高 純 利 益 総 資 産 の 単 位 は 億 円 である ( 注 3) 発 行 済 株 式 数 については 自 己 株 式 を 含 まずにカウントしている ( 注 4) 高 速 道 路 6 社 及 び 対 象 16 路 線 については 先 述 の 試 算 結 果 を 反 映 したものである ( 注 5)NTTの 売 上 高 は 営 業 収 益 を 掲 載 している ( 出 所 ) 平 成 22 年 3 月 期 決 算 短 信 (NTT JR 東 日 本 JR 東 海 JR 西 日 本 東 京 電 力 東 京 ガス 各 社 ) 及 び 決 算 に 合 わせて 開 示 する 高 速 道 路 事 業 関 連 情 報 (( 平 成 20 年 度 )) ( 機 構 )より 作 成 24 平 成 13 年 8 月 の 民 営 化 推 進 委 員 会 に 提 出 された 熊 代 昭 彦 国 土 交 通 副 大 臣 ( 当 時 )の 提 出 資 料 によると 旧 四 公 団 の 資 産 一 体 型 の 民 営 化 で 株 式 時 価 総 額 54 兆 円 が 期 待 できるとしている また 資 産 一 体 型 でなく 現 行 の 上 下 分 離 を 想 定 していると 思 われるが みんなの 党 の 政 権 公 約 によると 高 速 道 路 会 社 の 株 式 売 却 で 0.5 兆 円 の 収 入 があるとされている 30

7-4. 交 通 基 本 法 等 との 関 係 高 速 道 路 の 料 金 徴 収 の 根 拠 については 建 設 債 務 の 返 済 だけでなく 受 益 者 ないしは 損 傷 者 負 担 の 観 点 から 混 雑 税 や 環 境 ロードプライシングのような 交 通 量 の 管 理 を 行 うことを 目 的 とした 課 金 や 関 門 トンネルのように 道 路 の 維 持 管 理 費 そのものを 賄 うことを 目 的 とした 通 行 料 金 を 徴 収 する 仕 組 み( 管 理 有 料 道 路 )も 考 えられる 平 成 22(2010) 年 6 月 22 日 に 公 表 された 交 通 基 本 法 の 制 定 と 関 連 施 策 の 充 実 に 向 けた 基 本 的 な 考 え 方 ( 案 ) においては 鉄 道 航 空 高 速 バスなど 地 域 を 結 ぶ 幹 線 交 通 網 と 新 しい 高 速 道 路 料 金 制 度 との 整 合 性 など 今 後 の 幹 線 交 通 体 系 に 関 する 総 合 的 な 視 点 の 必 要 性 に 言 及 している 高 速 道 路 の 無 料 化 に ついては 鉄 道 空 港 フェリー 高 速 バスなどの 各 業 界 団 体 や 企 業 から 収 益 の 減 少 や 混 雑 の 発 生 に 伴 う 運 行 の 支 障 など 否 定 的 な 意 見 が 表 明 されており 今 後 十 分 な 検 討 が 必 要 となろう * * * 高 速 道 路 の 債 務 の 返 済 の 問 題 については これまでの 建 設 で 累 積 した 31 兆 円 の 有 利 子 債 務 処 理 と 今 後 高 速 道 路 整 備 費 としてどの 程 度 新 たに 債 務 が 上 積 みされるのか そしてそれに 対 して 国 民 にどのような 形 で 負 担 を 求 めるのかと いうことについて 先 の 旧 四 公 団 の 民 営 化 では 十 分 な 結 論 が 出 された 訳 では ないように 思 われる 日 本 道 路 公 団 等 民 営 化 関 係 等 施 行 法 附 則 第 2 条 には 政 府 は この 法 律 の 施 行 後 10 年 以 内 に 日 本 道 路 公 団 等 民 営 化 関 係 法 の 施 行 の 状 況 について 検 討 を 加 え その 結 果 に 基 づいて 必 要 な 措 置 を 講 ずるものとする との 規 定 があ り また 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 関 係 四 法 に 対 する 衆 議 院 国 土 交 通 委 員 会 の 附 帯 決 議 においても 日 本 道 路 公 団 等 民 営 化 関 係 法 の 施 行 後 5 年 後 を 目 途 に 各 法 の 施 行 状 況 を 踏 まえ 必 要 な 措 置 について 検 討 すること とされている 新 しい 料 金 割 引 も 含 め 高 速 道 路 の 原 則 無 料 化 の 今 後 の 在 り 方 や 高 速 道 路 の 債 務 処 理 の 行 方 について その 具 体 像 が 早 期 に 明 らかになり 充 実 した 議 論 がなされることが 望 まれる ( 内 線 3097) 31