OECD国際課税報告制度への体制構築とリスクマネジメントの実現



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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

第4回税制調査会 総4-1

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

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(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

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代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

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3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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基 準 地 価 格 3 年 に1 度 審 議 直 近 ではH23 年 12 月 に 審 議 土 地 評 価 替 えの 流 れと 固 定 資 産 評 価 審 議 会 基 準 地 とは 土 地 評 価 の 水 準 と 市 町 村 間 の 均 衡 を 確 保 するための 指 標 となるものであり 各 市

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情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

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3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

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第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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生協法見直し

平成22年度

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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1. 中 小 企 業 等 経 営 強 化 法 の 目 的 (1) 生 産 性 向 上 の 必 要 性 (3) 業 種 別 の 経 営 課 題 への 対 応 少 子 高 齢 化 人 手 不 足 等 の 状 況 において 効 果 的 に 付 加 価 値 を 生 み 出 せるよう 製 造 業 はもとより

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Transcription:

2015 年 10 月 OECD 国 際 課 税 報 告 制 度 への 体 制 構 築 とリスクマネジメントの 実 現 2015 年 2 月 6 日 OECDは 多 国 籍 企 業 による 税 源 侵 食 および 利 益 移 転 (Base Erosion and Profit Shifting:BEPS)に 関 するG20との 共 同 プロ ジェクトの 最 新 状 況 を 発 表 し そのなかでOECD G20 諸 国 による2016 年 の 国 別 報 告 書 (CbCレポート)の 実 施 パッケージおよび2017 年 に 開 始 する 関 連 政 府 間 情 報 交 換 の 枠 組 みに 対 する 合 意 が 公 表 された 同 合 意 の 下 での 多 国 籍 企 業 による 情 報 開 示 においては 企 業 側 の 事 務 負 担 が 増 すことに 加 え 詳 細 な 報 告 書 の 提 出 による 各 国 における 税 務 調 査 の 強 化 課 税 リスクの 増 加 も 懸 念 される 本 対 応 に 対 する 事 務 負 担 の 軽 減 および 課 税 リスクの 低 減 の 観 点 から 税 務 情 報 の 収 集 管 理 の 高 度 化 に 対 する 関 心 も 高 まっており 本 稿 では 新 制 度 を 念 頭 に 置 いた 国 際 税 務 のリスク 管 理 の 重 要 性 と 期 待 される 効 果 について 紹 介 する 1. BEPS 行 動 計 画 13で 求 められる 移 転 価 格 報 告 書 の 概 要 新 制 度 で 提 出 が 義 務 付 けられる 移 転 価 格 に 関 連 する 報 告 書 ( 以 下 報 告 書 )は マスターファ イル ローカルファイル 国 別 報 告 書 の3 種 類 となる このうちマスターファイルと 国 別 報 告 書 (CbCレポート)は 親 会 社 が 所 属 する 国 の ローカルファイルは 各 事 業 者 が 所 属 する 国 の 各 々の 税 務 当 局 への 年 次 報 告 が 求 められている

2 BEPS 行 動 計 画 13で 報 告 が 求 められる 記 載 事 項 ( 例 示 ) <マスターファイル> 1. 多 国 籍 企 業 ( 以 下 MNE)の 組 織 ストラクチャー( 構 造 ) 法 的 および 所 有 関 係 のストラクチャー( 構 造 )と 事 業 体 の 所 在 地 2. MNEの 事 業 説 明 MNEの 事 業 概 要 の 書 面 説 明 3. MNEの 無 形 資 産 包 括 的 戦 略 重 要 な 無 形 資 産 および 所 有 事 業 体 リスト 関 連 者 間 契 約 リスト 移 転 価 格 ポリシーの 説 明 譲 渡 の 説 明 4. MNEグループ 内 金 融 活 動 資 金 調 達 方 法 の 説 明 金 融 機 能 を 果 たす 企 業 の 特 定 金 融 取 極 めに 係 る 移 転 価 格 ポリシーの 説 明 5. MNEの 財 務 状 況 と 納 税 状 況 連 結 財 務 諸 表 APAおよびルーリングのリストおよび 説 明 相 互 協 議 のリスト および 説 明 <ローカルファイル> 1. 対 象 事 業 体 経 営 ストラクチャー( 体 制 ) 組 織 図 主 要 事 務 所 の 所 在 地 事 業 再 編 および 無 形 資 産 譲 渡 に 関 する 説 明 対 象 事 業 体 に 影 響 を 与 えた 取 引 の 説 明 2. 関 連 者 間 取 引 各 関 連 者 間 取 引 の 内 容 関 連 者 間 取 引 カテゴリーごとの 取 引 累 計 額 取 引 ご との 機 能 リスク 分 析 取 引 ごとに 選 定 した 移 転 価 格 算 定 方 法 の 選 定 根 拠 検 証 結 果 等 3. 財 務 情 報 対 象 事 業 体 の 財 務 諸 表 移 転 価 格 の 検 証 のために 使 用 された 財 務 情 報 と 切 出 工 程 表 1 比 較 対 象 取 引 の 関 連 財 務 データのサマリーとその 情 報 源 等 出 典 : 国 税 庁 OECD 移 転 価 格 ガイドライン 第 5 章 改 訂 案 ( 概 要 )を 基 に 筆 者 作 成 OECDが2015 年 2 月 6 日 に 公 表 した 移 転 価 格 文 書 と 国 別 報 告 書 の 実 施 ガイダンス( Action 13: Guidance on the Implementation of Transfer Pricing Documentation and Country by - Country Reporting) 2 によると CbCレポートの 提 出 が 要 請 される 多 国 籍 企 業 グループは 直 近 事 業 年 度 の 年 間 連 結 グループ 収 入 が7 億 5 千 万 ユーロ 以 上 の 多 国 籍 企 業 グループ (および 自 国 通 貨 でほぼ 同 等 の 金 額 以 上 の 多 国 籍 企 業 グループ)である また OECDが 2014 年 9 月 に 公 表 したOECDガイドラインの 改 訂 案 によると CbCレポート マスターファイル は 多 国 籍 企 業 グループの 究 極 の 親 会 社 が ローカルファイルについては 多 国 籍 企 業 グ ループ 内 の 各 構 成 事 業 体 が それぞれ 作 成 義 務 者 となっている 各 報 告 書 の 提 出 時 期 については 前 述 の 移 転 価 格 文 書 と 国 別 報 告 書 の 実 施 ガイダンス によれば マスターファイルおよびローカルファイルは 対 象 事 業 年 度 の 税 務 申 告 時 までの 作 成 が またCbCレポートは 親 会 社 の 事 業 年 度 終 了 時 から1 年 以 内 の 作 成 が それぞれベス トプラクティスとされており CbCレポートの 提 出 については2016 年 1 月 1 日 以 降 開 始 の 連 結 事 業 年 度 から 実 施 される さらに マスターファイルとローカルファイルについては 各 国 の 1 移 転 価 格 の 検 証 のために 使 用 した 財 務 情 報 の 作 成 手 順 を 表 した 資 料 2 http://www.oecd.org/tax/transfer-pricing/beps-action-13-guidance-implementation-tp-documentation-cbc-reporting.pdf

3 法 令 または 行 政 手 続 を 通 じて 導 入 され 関 連 する 各 課 税 管 轄 地 の 税 務 当 局 の 要 請 に 従 い 直 接 当 該 税 務 当 局 に 提 出 されることが 推 奨 されている 一 方 CbCレポートについては 各 国 の 税 務 当 局 は 居 住 者 である 多 国 籍 企 業 グループの 究 極 の 親 会 社 に 対 して 適 時 に 提 出 を 要 求 し 提 出 を 受 けたCbCレポートは 多 国 籍 企 業 グループが 事 業 活 動 を 行 い 一 定 の 条 件 を 満 たす 課 税 管 轄 地 と 自 動 的 に 交 換 されなければならない 2. 新 移 転 価 格 文 書 化 ルールによる 税 務 リスクと 対 応 これまでは 各 国 内 の 法 令 等 に 基 づきローカルファイルのアプローチのみが 要 請 されていた が 今 後 はマスターファイルおよびCbCレポートの 提 出 が 新 たに 要 請 されることとなった これにより 多 国 籍 企 業 のグローバルな 活 動 の 全 体 像 および 定 量 的 情 報 が 他 国 の 情 報 を 含 め 各 国 当 局 に 対 して 明 らかになることから 今 後 より 一 層 移 転 価 格 課 税 リスクが 増 す ものと 思 われる 従 来 日 系 企 業 では 各 国 の 移 転 価 格 問 題 については 基 本 的 に 現 地 主 導 で 対 応 しており 必 ずしもグループ 内 での 整 合 性 が 保 たれていないことが 多 かった 各 国 当 局 が 自 国 の 情 報 のみに 依 存 している 限 りでは そうした 対 応 でもあまり 問 題 とならなかったが 今 後 はCbC レポート 並 びにマスターファイル 等 を 通 じてグローバルの 情 報 がガラス 張 りになることから グループ 内 で 整 合 性 の 取 れた 移 転 価 格 ポリシーに 従 って 取 引 を 実 行 することが 移 転 価 格 課 税 リスクを 回 避 するための 必 須 要 件 となる 移 転 価 格 ポリシーの 適 正 な 策 定 と 実 行 にお いては 親 会 社 主 導 による 管 理 体 制 の 確 立 ガバナンスの 強 化 がキーとなる 上 述 のとおり CbCレポートの 提 出 が2016 年 1 月 1 日 以 降 開 始 の 連 結 事 業 年 度 から 実 施 されることから 当 該 事 業 年 度 のリスクを 軽 減 するための 早 急 な 対 応 が 親 会 社 に 求 められる 状 況 にある 3. 新 移 転 価 格 文 書 化 ルールへの 対 応 におけるガバナンス 上 の 課 題 さらに 管 理 体 制 強 化 の 必 要 性 に 加 え 新 たに 税 務 当 局 への 定 期 的 な 報 告 が 必 要 とされる 情 報 量 と 関 係 者 の 多 さ 内 容 の 複 雑 性 から 対 応 にあたっては 下 記 のような 課 題 も 想 定 される < 想 定 される 課 題 例 > (1) 非 財 務 情 報 の 定 期 的 な 収 集 と 管 理 の 困 難 さ (2) 業 務 負 担 と 担 当 人 員 の 不 足 (3) 事 業 実 態 の 適 切 適 時 な 反 映 (1) 非 財 務 情 報 の 定 期 的 な 収 集 と 管 理 の 困 難 さ 2015 年 4 月 に 経 済 産 業 省 が 公 表 した 資 料 BEPSを 踏 まえた 移 転 価 格 文 書 化 対 応 及 び 海 外 子 会 社 管 理 の 在 り 方 について 3 では 回 答 の 得 られた 日 系 多 国 籍 企 業 41 社 のうち3 分 の2 以 上 で 納 税 情 報 や 第 三 国 間 取 引 情 報 の 本 社 への 報 告 体 制 が 整 備 されておらず 1 社 を 除 き 定 期 的 な 移 転 価 格 情 報 の 収 集 もされていないという 調 査 結 果 が 報 告 されている 今 後 多 くの 多 国 籍 企 業 において 文 書 化 対 応 のために 非 財 務 情 報 に 関 する 定 期 的 な 報 告 経 路 の 整 備 が 必 要 となる 可 能 性 が 高 い なお マスターファイルに 掲 載 される 情 報 は 生 産 拠 点 や 利 益 重 要 な 無 形 資 産 など 企 業 にとって 重 要 な 機 密 となり 得 る 情 報 が 多 く 複 数 部 門 の 関 与 を 求 める 場 合 はそれらの 厳 格 な 管 理 も 課 題 となる 3 http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/beps/pdf/2014report_summary.pdf

4 (2) 業 務 負 担 と 担 当 人 員 の 不 足 同 調 査 によれば 親 会 社 における 税 務 部 門 の 人 員 数 および 子 会 社 サポートに 携 わる 人 員 数 が10 名 以 下 である 企 業 が それぞれ 過 半 数 を 占 めている 国 際 税 務 に 精 通 した 人 材 補 強 の 難 しさを 考 えると 文 書 化 対 応 にあたってはなるべく 既 存 の 組 織 人 員 の 枠 組 みのなか で 税 務 部 門 や 子 会 社 管 理 担 当 に 負 荷 を 集 中 させず 確 実 に 報 告 連 絡 がされるような 仕 組 み 作 りが 重 要 となる (3) 事 業 実 態 の 適 時 適 切 な 反 映 これらの 提 出 資 料 をベースに 将 来 税 務 調 査 が 実 施 される 可 能 性 を 踏 まえると 企 業 は 文 書 化 の 過 程 で 把 握 した 課 題 を 整 理 し 事 前 に 必 要 な 対 応 を 終 わらせた 上 で 将 来 の 税 務 調 査 にも 耐 え 得 る 文 書 を 提 出 することが 望 ましい そのためには 契 約 ( 例 : 役 務 提 供 ロイ ヤルティ)や 移 転 価 格 に 関 連 する 各 種 ポリシー( 例 : 移 転 価 格 研 究 開 発 の 体 制 無 形 資 産 の 所 有 および 使 用 以 下 移 転 価 格 関 連 ポリシー )の 整 備 は 勿 論 各 報 告 書 間 の 正 確 性 整 合 性 の 確 保 報 告 書 と 事 業 実 態 との 整 合 性 の 確 保 なども 必 要 な 要 件 として 考 えられ る 特 に 事 業 構 造 の 変 化 により 関 連 者 間 取 引 や 各 社 の 役 割 に 大 きな 変 動 が 生 じた 場 合 や 臨 時 に 巨 額 の 取 引 が 実 行 された 場 合 などは 文 書 と 事 業 実 態 が 乖 離 した 状 況 となり 得 るた め 相 応 の 注 意 が 必 要 である なお 文 書 化 過 程 で 取 得 した 情 報 を 基 にしたリスク 評 価 や 報 告 対 象 となる 事 象 の 変 更 管 理 等 も 提 出 文 書 のリスク 低 減 を 実 現 するためには 不 可 欠 な 要 素 といえる 4. 効 果 的 な 文 書 化 を 実 現 するためのガバナンス 体 制 の 構 築 これらの 課 題 を 克 服 して 効 果 的 かつ 持 続 性 ある 文 書 化 を 実 現 するためには 事 業 部 門 の 協 力 と グループ 一 体 での 取 組 みが 要 求 される ここからは 体 制 面 /ガバナンス 面 に 注 目 し 効 果 的 な 文 書 化 の 実 現 のために 取 り 組 むべき 活 動 の 方 向 性 について 紹 介 したい 移 転 価 格 文 書 化 対 応 を 効 果 的 に 行 うための 重 要 なガバナンス 要 素 としては 例 えば 以 下 の 項 目 が 必 要 であると 考 えられる (1) 必 要 な 情 報 の 特 定 と 連 絡 体 制 の 整 備 報 告 内 容 報 告 者 および 報 告 ルートの 確 定 体 制 整 備 (2) グループ 全 体 への 意 識 の 浸 透 経 営 陣 からの 情 報 発 信 など グループとしての 重 要 性 の 訴 求 必 要 に 応 じたトレーニングや 周 知 活 動 による 現 場 への 浸 透 (3) 税 務 リスクの 評 価 提 出 文 書 を 利 用 した 税 務 調 査 を 念 頭 に 置 いた 税 務 リスクの 把 握 と 評 価 (4) リスク 低 減 のための 施 策 事 業 内 容 取 引 内 容 や 組 織 の 変 遷 に 対 する 変 更 管 理 グループ 全 体 を 俯 瞰 した 移 転 価 格 関 連 ポリシーの 確 立 と 整 合 性 の 確 保 (5)モニタリング 体 制 の 整 備 監 視 対 象 の 特 定 とモニタリングプロセスの 整 備

5 (1) 必 要 な 情 報 の 特 定 と 連 絡 体 制 の 整 備 報 告 内 容 報 告 者 および 報 告 ルートの 確 定 体 制 整 備 まず 文 書 化 に 必 要 な 報 告 事 項 を 特 定 し 各 項 目 の 報 告 体 制 を 整 備 する 必 要 がある 各 報 告 書 に 指 定 された 事 項 に 加 えて 一 時 的 な 非 定 型 取 引 の 情 報 など 将 来 の 税 務 調 査 時 に 影 響 し 得 る 要 因 も 報 告 対 象 とすることで 対 策 の 立 案 実 行 など 先 回 りした 対 応 が 可 能 とな る 例 えば 災 害 対 応 での 代 替 商 流 の 使 用 や 大 口 受 注 への 対 応 による 在 庫 の 横 展 開 などの 影 響 額 を 把 握 することで 従 来 の 取 引 における 移 転 価 格 とイレギュラー 要 素 を 明 確 に 区 分 することが 可 能 となる 情 報 取 得 に 際 しては 各 項 目 の 報 告 主 体 と 連 絡 経 路 の 確 立 が 必 要 となるが その 際 に 法 務 開 発 営 業 など 報 告 の 担 い 手 となる 主 管 部 門 と 各 部 門 の 報 告 内 容 や 期 限 を 明 確 化 する ことが 重 要 である これにより 業 務 負 担 の 集 中 の 回 避 のみならず 各 部 門 に 税 務 リスクの 存 在 を 意 識 させる 効 果 も 期 待 できる また 既 存 インフラの 活 用 も 図 りながら 報 告 体 制 に 保 管 送 信 ルール 等 の 機 密 管 理 策 や 各 段 階 における 確 認 承 認 等 の 統 制 活 動 の 組 込 みを 検 討 することにより 効 率 的 かつ 正 確 な 情 報 収 集 が 可 能 になると 考 えられる (2)グループ 全 体 への 意 識 の 浸 透 経 営 陣 からの 情 報 発 信 など グループとしての 重 要 性 の 訴 求 各 事 業 部 門 をはじめ 組 織 全 体 の 協 力 を 得 るためには 経 営 者 のコミットメントと 全 社 の 取 組 みとしての 情 報 発 信 が 不 可 欠 である 例 えばCEOの 講 話 や 訓 示 における 税 務 リスクに 対 す る 姿 勢 の 発 信 や 税 務 部 門 からの 情 報 発 信 また 各 部 門 内 での 周 知 により 税 務 リスクの 事 業 に 与 える 影 響 の 大 きさや 法 制 度 上 の 必 要 性 に 対 する 各 部 門 の 意 識 を 高 め 協 力 を 得 ることが 可 能 となる 必 要 に 応 じたトレーニングや 周 知 活 動 による 現 場 への 浸 透 加 えて 移 転 価 格 関 連 ポリシーに 反 する 取 引 の 危 険 性 や 影 響 の 大 きさを トレーニングや 周 知 活 動 を 通 じて 各 取 引 の 現 場 に 浸 透 させることが 求 められる 特 に 値 建 てや 役 務 提 供 の 負 担 広 告 やマーケティングの 費 用 負 担 など 移 転 価 格 に 影 響 の 大 きい 領 域 での リスクの 高 い 取 引 にかかわる 現 場 の 認 識 を 確 実 に 向 上 させる 税 務 部 門 主 催 の 活 動 のみならず コ ンプライアンス 部 門 主 催 のコンプライアンス 教 育 や 開 発 営 業 購 買 など 取 引 の 主 体 とな る 部 門 主 催 の 教 育 にもこうしたテーマを 組 込 むべきである (3) 税 務 リスクの 評 価 提 出 文 書 を 利 用 した 税 務 調 査 を 念 頭 に 置 いた 税 務 リスクの 把 握 と 評 価 収 集 した 情 報 から 税 務 リスクを 把 握 評 価 して 各 報 告 書 の 提 出 すなわち 税 務 調 査 が 行 われる 前 に 必 要 な 行 動 を 開 始 する 例 えば 機 能 分 析 と 異 なるリスク 負 担 や 移 転 価 格 関 連 ポリシーに 反 する 役 務 提 供 の 存 在 新 製 品 の 影 響 による 利 益 率 の 急 変 など リスクの 高 い 取 引 や 事 象 を 把 握 評 価 することにより 文 書 提 出 前 に 効 率 的 に 是 正 することが 可 能 となる 評 価 に 際 しては 専 門 的 な 判 断 が 要 求 されるため 本 社 の 税 務 部 門 が 主 体 となり 外 部 の 税 務 専 門 家 を 活 用 することが 望 ましい また 各 拠 点 個 別 に 対 応 を 委 ねず 本 社 の 主 導 に よりグループ 全 体 のリスク 評 価 を 実 施 することが 不 可 欠 である

6 (4)リスク 低 減 のための 施 策 事 業 内 容 取 引 内 容 や 組 織 の 変 遷 に 対 する 変 更 管 理 グローバル 化 の 進 展 から 国 境 を 越 えた 商 流 や 機 能 の 変 化 の 頻 度 も 高 まっており 制 定 した 移 転 価 格 関 連 ポリシーや 契 約 の 実 態 との 乖 離 既 存 ルールとの 不 整 合 移 転 価 格 ルール を 逸 脱 した 取 引 の 実 行 などのリスクが 想 定 される 例 えば 研 究 開 発 機 能 の 移 転 や 主 要 な 製 品 の 商 流 変 更 などは 移 転 価 格 に 大 きく 影 響 するが 現 場 部 門 の 判 断 で 移 転 価 格 関 連 ポリ シーに 逆 行 する 変 更 が 実 施 された 場 合 事 後 対 応 が 困 難 となる 恐 れもある このようなリス クを 回 避 するためにも 諸 取 引 諸 変 更 の 管 理 プロセスの 整 備 が 必 要 である 具 体 的 には 管 理 対 象 項 目 ( 移 転 価 格 関 連 ポリシー 契 約 取 引 種 類 や 組 織 再 編 など)と 各 項 目 の 主 管 部 門 決 裁 ルールを 制 定 し 社 内 決 裁 時 には 税 務 部 門 によるレビューとその 記 録 の 徹 底 な どがあげられる グループ 全 体 を 俯 瞰 した 移 転 価 格 関 連 ポリシーの 確 立 と 整 合 性 の 確 保 今 後 報 告 文 書 の 分 析 によって 移 転 価 格 関 連 ポリシー 間 や 契 約 間 の 整 合 性 の 確 認 も 容 易 となり これらの 相 違 が 思 わぬ 課 税 リスクをもたらす 危 険 性 も 想 定 される 一 方 で 企 業 が 必 要 性 に 追 われる 形 で 個 別 に 移 転 価 格 に 対 応 してきた 結 果 事 業 間 での 移 転 価 格 ポリシー の 不 整 合 や 無 形 資 産 ロイヤルティなどにおける 考 え 方 の 相 違 が 発 生 しているケースも 少 なくない これらの 相 違 による 課 税 リスクを 回 避 するためには 各 移 転 価 格 関 連 ポリシーに 対 して 全 社 ポリシーを 確 立 し 各 拠 点 の 活 動 および 情 報 の 整 合 性 を 図 るための 基 盤 の 整 備 が 必 要 である その 上 で 事 業 間 で 既 存 の 移 転 価 格 関 連 ポリシーが 異 なる 場 合 には その 変 更 による 各 事 業 業 績 への 影 響 と 潜 在 する 税 務 リスクを 見 極 めた 上 でグループ 経 営 者 の 判 断 を 仰 ぐことになる (5)モニタリング 体 制 の 整 備 監 視 対 象 の 特 定 とモニタリングプロセスの 整 備 定 期 的 なモニタリングを 実 施 することにより 報 告 書 の 作 成 時 までにリスクの 高 い 状 況 ( 移 転 価 格 関 連 ポリシーに 反 する 取 引 契 約 の 欠 如 未 認 識 の 組 織 変 更 や 商 流 変 更 移 転 価 格 ポリシーで 網 羅 されていない 臨 時 の 巨 額 取 引 など)を 的 確 に 把 握 し 必 要 な 対 応 を 実 施 することが 可 能 となる 効 率 的 なモニタリングを 実 現 することは 例 えば (1)にて 解 説 した 報 告 体 制 の 実 現 にも 繋 がるものである 5 まとめ BEPS 行 動 計 画 13で 提 唱 されている 各 報 告 書 への 対 応 を 通 じて グループ 会 社 に 対 する 統 制 や 情 報 の 把 握 各 移 転 価 格 関 連 ポリシーの 一 貫 性 の 確 保 など 税 務 に 限 らず 現 在 多 国 籍 企 業 が 抱 えているグループガバナンス 上 の 課 題 が 浮 彫 りになることが 想 定 される したがって 単 なる 制 度 対 応 のための 報 告 書 作 成 だけに 終 わらせず これをグループガバ ナンス 強 化 の 機 会 として 捉 え 活 動 を 進 めていくことが 今 後 の 海 外 事 業 を 支 える 重 要 な ステップとなるであろう KPMGコンサルティング 株 式 会 社 シニアコンサルタント 田 中 一 成 KPMG 税 理 士 法 人 マネジャー 田 村 全

7 KPMGコンサルティング 株 式 会 社 東 京 本 社 100-0004 東 京 都 千 代 田 区 大 手 町 1 丁 目 9 番 5 号 大 手 町 フィナンシャルシティ ノースタワー TEL : 03-3548-5305 FAX : 03-3548-5306 大 阪 事 務 所 541-0048 大 阪 市 中 央 区 瓦 町 3 丁 目 6 番 5 号 銀 泉 備 後 町 ビル TEL : 06-7731-2200 名 古 屋 事 務 所 451-6031 名 古 屋 市 西 区 牛 島 町 6 番 1 号 名 古 屋 ルーセントタワー TEL : 052-571-5485 kpmg.com/jp/kc ここに 記 載 されている 情 報 はあくまで 一 般 的 なものであり 特 定 の 個 人 や 組 織 が 置 かれている 状 況 に 対 応 するものではありません 私 たちは 的 確 な 情 報 をタイムリーに 提 供 するよう 努 めておりますが 情 報 を 受 け 取 られた 時 点 及 びそれ 以 降 においての 正 確 さは 保 証 の 限 りではありません 何 らかの 行 動 を 取 られる 場 合 は ここにある 情 報 のみを 根 拠 とせず プロフェッショナルが 特 定 の 状 況 を 綿 密 に 調 査 し た 上 で 提 案 する 適 切 なアドバイスをもとにご 判 断 ください 2015 KPMG Consulting Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative ( KPMG International ), a Swiss entity. All rights reserved. The KPMG name, logo and cutting through complexity are registered trademarks or trademarks of KPMG International.