品目横断的経営安定対策下における集落営農の課題



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茨 城 県 作 物 研 究 会 講 演 要 旨 2007 年 3 月 13 日 品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 下 に おける 集 落 営 農 の 課 題 独 立 行 政 法 人 農 業 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 中 央 農 業 総 合 研 究 センター 農 業 経 営 研 究 チーム 高 橋 明 広

報 告 の 構 成 1. 問 題 意 識 2. 集 落 営 農 の 展 開 状 況 3. 品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 における 集 落 営 農 の 位 置 づけに 関 わる 評 価 と 問 題 点 4. 対 策 下 における 集 落 営 農 の 展 開 方 向 5.まとめ

1. 問 題 意 識 2006 年 6 月 農 業 の 担 い 手 に 対 する 経 営 安 定 のための 交 付 金 の 交 付 に 関 する 法 律 ( 担 い 手 経 営 安 定 新 法 ) が 成 立 集 落 営 農 組 織 ( 以 下 集 落 営 農 )は 一 定 規 模 以 上 を 条 件 に 特 定 農 業 団 体 又 は 特 定 農 業 団 体 と 同 様 の 要 件 を 満 たす 組 織 であれば 品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 ( 以 下 対 策 )の 助 成 対 象 に 位 置 づけられている 麦 大 豆 作 の 現 状 や 今 後 のWTO 農 業 交 渉 の 結 果 次 第 では 米 も 生 産 条 件 不 利 補 正 対 策 (ゲタ) の 対 象 となる 可 能 性 対 応 できない 場 合 に 集 落 営 農 が 被 る 影 響 は 極 めて 大 きい

集 落 営 農 とは 単 一 または 数 集 落 程 度 の 地 縁 的 な 範 囲 を 単 位 に 大 半 の 農 家 の 参 加 とそれら 農 家 からの 出 資 や 労 働 力 の 提 供 あるいは 農 地 の 利 用 調 整 等 への 合 意 に 基 づき 参 加 農 家 の 経 済 的 非 経 済 的 な 効 用 の 向 上 を 目 的 に 活 動 する 集 団 的 営 農 である こうした 活 動 を 行 う 組 織 が 集 落 営 農 組 織 近 年 は 単 に 営 農 と 組 織 を 併 せて 集 落 営 農 と 呼 ぶ 場 合 も 多 い

今 回 の 対 策 が 規 定 する 担 い 手 としての 集 落 営 農 は 必 ずしも 現 実 の 集 落 営 農 の 実 態 と 整 合 するのも のではない 対 策 における 助 成 対 象 要 件 は 土 地 利 用 型 農 業 を 担 う 主 体 としての 集 落 営 農 の 発 展 という 観 点 からみ て いくつかの 矛 盾 を 抱 えている 単 に 助 成 対 象 となることのみを 目 的 に 組 織 形 成 を 進 めたのでは 結 成 された 組 織 のその 後 の 維 持 発 展 という 点 からみて 様 々な 問 題 の 発 生 も 懸 念 される

重 要 な 点 対 策 が 提 示 している 主 たる 従 事 者 の 確 保 等 の 要 件 の 充 足 ( 助 成 金 の 獲 得 )のみを 重 視 ではなく 集 落 営 農 が 対 策 への 適 応 過 程 で 生 じる 矛 盾 や 問 題 点 を 解 決 し 組 織 の 維 持 発 展 を 実 現 地 域 農 業 の 担 い 手 になりうる 集 落 営 農 の 創 出 こうした 集 落 営 農 の 展 開 方 向 を 示 すことが 本 報 告 の 課 題 である

2. 集 落 営 農 の 展 開 状 況 ( 農 水 省 統 計 ) 2005 年 7 月 現 在 全 国 には10,063の 集 落 営 農 が 展 開 している その 状 況 を 農 業 地 域 別 にみると 集 落 営 農 は 全 国 一 律 に 展 開 しているわけではない 集 落 営 農 展 開 率 ( 集 落 営 農 数 / 農 業 集 落 数 ) 関 東 1.9%( 全 国 最 低 ) 北 陸 17. 9% 北 陸 近 畿 東 北 中 国 で 集 落 営 農 の 展 開 割 合 が 高 い 農 業 地 域 都 道 府 県 農 業 集 落 数 集 落 営 農 数 農 事 組 合 法 人 株 式 会 社 法 人 会 社 有 限 会 社 合 名 合 資 会 社 非 法 人 非 法 人 率 (%) 集 落 営 農 展 開 率 (%) 135,163 10,063 508 3 134-9,418 93.6 7.4 6,637 396 17-9 - 370 93.4 6.0 128,526 9,667 491 3 125-9,048 93.6 7.5 16,982 1,624 53 1 44-1,526 94.0 9.6 10,696 1,912 168 2 31-1,711 89.5 17.9 16,772 279 18-2 - 259 92.8 1.7 6,142 184 6-7 - 171 92.9 3.0 12,007 753 31-13 - 709 94.2 6.3 11,347 1,585 21-8 - 1,556 98.2 14.0 18,589 1,586 149-9 - 1,428 90.0 8.5 10,406 193 4-3 - 186 96.4 1.9 22,622 1,545 41-8 - 1,496 96.8 6.8 全 国 北 海 道 都 府 県 東 北 北 陸 関 東 東 山 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 注 ) 集 落 営 農 展 開 率 は 農 業 集 落 数 に 占 める 集 落 営 農 の 存 在 割 合 (シェア)として 集 落 営 農 数 / 農 業 集 落 数 で 計 算 した

主 たる 従 事 者 のいる 割 合 と 集 落 内 の 農 家 の 参 加 率 が70% 以 上 の 割 合 主 た る 農 従 の 事 割 者 合 % の い る ( 集 落 営 ) 100 東 山 90 80 東 北 70 東 海 関 東 60 四 国 都 府 県 50 近 畿 九 州 40 中 国 30 北 陸 20 40 50 60 70 80 90 集 落 の 農 家 参 加 率 70% 以 上 の 集 落 営 農 割 合 (%) 中 国 近 畿 北 陸 九 州 は 主 たる 従 事 者 のいる 割 合 は 相 対 的 に 低 いが 集 落 内 の 農 家 の 参 加 率 は 高 い 東 北 四 国 は 上 記 とは 逆 に 主 たる 従 事 者 のいる 割 合 は 高 く 集 落 内 の 農 家 参 加 率 が 低 い 関 東 東 山 東 海 は 主 た る 従 事 者 のいる 割 合 及 び 集 落 内 の 農 家 の 参 加 率 が ともに 高 い

集 落 営 農 の 活 動 内 容 農 業 用 機 械 を 共 同 所 有 オペレー 参 加 する タ ー 農 家 で 共 組 織 が 利 同 利 用 用 集 落 内 の 営 農 を 一 括 管 理 運 営 認 定 農 業 者 農 業 生 産 法 人 等 に 農 地 の 集 積 を 進 め 集 落 単 位 で 土 地 利 用 営 農 を 実 施 農 家 の 出 役 によ り 共 同 で 農 作 業 ( 農 業 機 械 を 利 用 した 農 作 業 以 外 ) を 実 施 作 付 け 地 の 団 地 化 など 集 落 内 の 土 地 利 用 調 整 都 府 県 44.5 43.0 14.8 14.9 30.0 57.0 東 北 37.1 45.9 8.5 24.5 32.4 56.3 北 陸 55.1 36.1 24.1 15.8 43.6 64.4 関 東 40.5 25.8 10.4 10.0 25.8 84.2 東 山 58.7 31.0 20.7 14.1 26.1 41.3 東 海 15.0 49.5 23.4 23.4 29.5 77.2 近 畿 29.1 53.9 13.1 6.6 29.1 71.7 中 国 53.8 48.7 15.6 15.1 26.5 31.8 四 国 31.6 35.8 8.8 6.7 39.4 42.0 九 州 60.5 33.2 7.3 9.6 15.7 48.5

北 陸 中 国 近 畿 九 州 北 陸 中 国 九 州 : 機 械 の 共 同 利 用 が 多 い 北 陸 : 機 械 以 外 の 共 同 農 作 業 土 地 利 用 調 整 集 落 内 の 営 農 を 一 括 管 理 する 割 合 も 相 対 的 に 高 い 集 落 の 大 半 の 農 家 が 参 加 した 協 業 組 織 が 展 開 近 畿 : 機 械 を オペレータ 組 織 が 利 用 している 割 合 が 高 いが 特 定 の 担 い 手 に 対 して 農 地 集 積 が 進 んでいる 状 況 にはない 主 たる 従 事 者 以 外 の 兼 業 農 家 等 がオペレータとして 出 役 す る 集 落 ぐるみ 的 な 組 織 が 展 開 している 北 陸 中 国 九 州 近 畿 : 主 たる 従 事 者 が 確 保 できない 中 で 集 落 の 大 半 の 農 家 が 参 加 した 機 械 の 共 同 利 用 組 織 や 兼 業 農 家 等 が 機 械 のオペレータとなった 組 織 が 展 開

東 北 オペレータ 組 織 が 機 械 を 利 用 と 認 定 農 業 者 等 へ 農 地 集 積 する 割 合 が 相 対 的 に 高 い が 集 落 内 の 営 農 を 一 括 管 理 している 割 合 は 低 い 東 北 の 集 落 営 農 は 主 たる 従 事 者 が 集 落 営 農 のオペレータとなって 転 作 等 の 部 分 的 な 農 作 業 を 受 託 する 受 託 組 織 が 展 開

東 山 機 械 の 共 同 利 用 と 集 落 内 の 営 農 の 一 括 管 理 運 営 の 割 合 が 高 い 稲 55%( 都 府 県 62%)に 次 いで 果 樹 類 18%( 都 府 県 2%) 主 たる 従 者 が 全 ての 組 織 で 確 保 (100%)できている 稲 以 外 が 基 幹 の 専 業 農 家 の 補 完 的 な 共 同 作 業 組 織 が 多 い 果 樹 等 の 他 作 物 が 主 部 門 の 組 織 や 他 部 門 に 特 化 するため 稲 作 の 省 力 化 を 主 目 的 とした 組 織 のため 施 策 の 給 付 対 象 に ならない あるいは 施 策 の 対 象 となることを 必 要 としない 組 織 も 多 く 含 まれている

関 東 主 たる 従 事 者 のいる 割 合 は 相 対 的 に 高 く そ の 活 動 内 容 は 土 地 利 用 調 整 が 主 (84%) 取 り 組 み 作 物 は 麦 が46%( 稲 は36%)に 達 していることからみて 集 落 で 生 産 調 整 を 実 施 するための 調 整 組 織

集 落 営 農 展 開 地 域 の 特 徴 北 陸 近 畿 中 国, 九 州 : 主 たる 従 事 者 が 相 対 的 に 少 ない 中 で 集 落 ぐるみ 参 加 的 性 格 を 持 つ 組 織 が 展 開 東 北 : 主 たる 従 事 者 を 確 保 した 受 託 組 織 的 組 織 が 展 開 集 落 営 農 と 同 一 名 だが 組 織 の 性 格 は 大 きく 異 なる

関 東 地 域 の 集 落 営 農 組 織 (279) の 約 6 割 が 茨 城 県 に 集 中 31 11% 0% - 0% 31 11% 29 10% 26 9% 茨 城 県 162 59% 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川

茨 城 県 の 特 定 農 業 団 体 ( 後 述 ) の 特 徴 茨 城 県 の 特 定 農 業 団 体 数 (2006 年 12 月 ) 38 組 織 ( 関 東 59 組 織 の64%)を 占 める 38 組 織 の25 組 織 (66%)がA 市 に 集 積 全 て 平 成 18 年 以 降 に 結 成 品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 への 適 応 を 強 く 意 識 要 件 充 足 型 集 落 営 農 組 織

茨 城 県 の 特 定 農 業 団 体 の 特 徴 (2) 認 定 農 業 者 も 含 めた 全 戸 が 参 加 全 戸 にメリットを 提 供 することで 地 域 の 転 作 体 制 を 維 持 する 認 定 農 業 者 は 転 作 受 託 地 の 貸 しはがしを 懸 念 複 数 の 特 定 農 業 団 体 に 加 入 している 認 定 農 業 者 もいる 民 法 組 合 ( 後 述 )としての 組 織 運 営 を 実 施 各 経 営 とあわせた 会 計 処 理 が 複 雑 運 営 によっては 人 格 なき 社 団 に 該 当 する これら 組 織 運 営 を 認 定 農 業 者 が 担 当 する 事 例 も 認 定 農 業 者 にとっては 大 きな 負 担 農 用 地 利 用 改 善 団 体 を 持 つ 特 定 農 業 団 体 のメリットを 活 用 で きていないケースもある 組 織 ビジョンが 不 明 確 なものが 少 なくない

3. 品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 における 集 落 営 農 の 位 置 付 けに 関 する 評 価 と 問 題 点

品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 が 集 落 営 農 を 担 い 手 と 位 置 付 けるに 当 たって 課 している 要 件 を 検 討 集 落 営 農 の 本 来 的 あり 方 という 観 点 からみ た 問 題 点 や 課 題 を 整 理

1) 特 定 農 業 団 体 及 び 特 定 農 業 団 体 と 同 様 の 要 件 を 満 たす 組 織 に 関 する 問 題 点 第 1の 問 題 点 今 回 の 対 策 では 特 定 農 業 団 体 と 併 せて 特 定 農 業 団 体 と 同 等 の 要 件 を 満 たす 組 織 ( 以 下 同 様 組 織 ) が 助 成 対 象 となる しかし この 両 者 は 農 業 構 造 再 編 の 実 現 に 係 わる 性 格 が 大 きく 異 なっている

特 定 農 業 団 体 と 同 様 組 織 の 違 い 2003 年 の 改 正 農 業 経 営 基 盤 強 化 促 進 法 に 基 づく 農 用 地 利 用 改 善 団 体 から 地 域 農 業 の 担 い 手 と 明 確 に 位 置 づけられ 5 年 以 内 に 特 定 農 業 法 人 等 へ 移 行 し 農 場 制 農 業 の 実 現 を 通 じて 地 域 の 農 業 構 造 改 革 を 促 進 していくことが 期 待 されている 特 定 農 業 法 人 のような 農 地 の 引 き 受 け 義 務 はない 農 用 地 利 用 改 善 団 体 の 地 区 内 の 作 業 受 託 を 特 定 農 業 団 体 に 委 託 する 目 標 が 決 議 されることから 地 域 の 農 地 に 対 する 適 切 な 面 的 管 理 が 暗 黙 裏 のうちに 求 められる

特 定 農 業 団 体 は 農 用 地 利 用 改 善 団 体 に 明 確 に 位 置 づけられる 組 織 であり 設 立 に 一 定 のコストを 要 する が 地 域 農 業 再 編 に 果 たす 効 果 は 大 きい 同 様 組 織 は 農 用 地 利 用 改 善 団 体 の 設 立 は 必 須 の 要 件 ではないことから それら 組 織 設 立 に 関 わるコス トは 要 しないが 地 域 農 業 に 対 しては 特 定 農 業 団 体 と 同 等 の 効 果 は 期 待 できない 両 者 には 大 きな 違 いがある

こうした 違 いがあるにも 関 わらず 対 策 では 特 定 農 業 団 体 とそれを 持 たない 同 様 組 織 とを 同 一 の 給 付 対 象 として 並 列 的 に 扱 っている 我 が 国 の 水 田 農 業 においては 農 場 制 農 業 の 構 築 が 今 後 目 指 すべき 方 向 として 措 定 される べきだが その 実 現 に 必 須 となる 土 地 利 用 調 整 機 能 を 持 たない 組 織 化 には 問 題 がある

例 えば 地 域 の 土 地 利 用 調 整 なしに 集 落 営 農 が 設 立 されると その 面 積 要 件 確 保 等 の 必 要 から 既 に 地 域 で 展 開 し ている 大 規 模 経 営 との 間 で 農 地 の 確 保 ( 大 規 模 経 営 からの 農 地 の 貸 しはがし 等 )を 巡 る 対 立 関 係 の 発 生 あるいは 土 地 利 用 を 巡 る 競 合 関 係 が 発 生 ( 転 作 の 団 地 化 等 が 図 れず 作 業 効 率 や 生 産 性 が 低 下 する 等 )す る 懸 念 がある

これら 問 題 の 回 避 には 面 的 な 土 地 利 用 調 整 を 実 施 できる 組 織 の 設 立 は 欠 かせない 課 題 重 要 なのは 組 織 を 数 として 確 保 するのでは なく 地 域 の 農 業 構 造 再 編 を 可 能 にする 地 域 の 面 的 な 土 地 利 用 調 整 機 能 を 内 在 し 実 行 で きる 組 織 を 構 築 することである

1980 年 以 降 の 農 政 における 集 落 営 農 等 の 位 置 づけ 農 政 は 一 貫 して 借 地 経 営 等 の 個 別 経 営 を 重 視 し 集 落 営 農 等 の 地 域 農 業 組 織 は 個 別 経 営 の 確 保 育 成 に 向 けた 支 援 組 織 として 期 待 してきた 農 用 地 利 用 増 進 法 の 制 定 後 も 借 地 型 経 営 の 育 成 が 進 みに くい 状 況 を 背 景 に 集 落 営 農 に 対 して 農 政 が 大 きく 焦 点 を 当 てることになった 土 地 持 ち 労 働 者 と 呼 ばれる 兼 業 農 家 の 存 在 と 零 細 分 散 錯 圃 制 が 借 地 型 経 営 の 規 模 拡 大 を 阻 害 しているとの 認 識 から 集 落 機 能 を 活 かしつつ 兼 業 農 家 等 を 巻 き 込 み 地 域 の 農 業 に 関 わる 経 営 資 源 の 集 積 を 通 じて 借 地 型 経 営 の 育 成 を 図 ること が 意 図 された

その 役 割 を 期 待 されたのが 集 落 営 農 等 の 地 域 農 業 組 織 水 田 農 業 における 担 い 手 育 成 に 関 して 農 政 は 集 落 営 農 を 前 提 としながらも 最 終 的 に は 借 地 型 経 営 等 の 個 別 農 業 経 営 の 育 成 展 開 を 重 視 しており この 流 れは その 後 の 農 政 に 一 貫 して 継 続 されている

雪 だるまパンフにおける 集 落 営 農 の 位 置 づけ 認 定 農 業 者 については 地 域 農 業 を 担 う 意 欲 と 能 力 のある 個 別 経 営 法 人 経 営 を 育 成 確 保 すること が 必 要 です 担 い 手 の 主 役 それが 認 定 農 業 者 です ( 下 線 部 引 用 者 ) 集 落 営 農 については 小 規 模 な 農 家 にも 兼 業 農 家 にも 高 齢 者 の 皆 様 にも 担 い 手 の 一 員 となって いただく 方 途 があります それが 集 落 営 農 組 織 です ( 下 線 部 引 用 者 ) 担 い 手 の 一 員 との 表 現 であり 集 落 営 農 の 位 置 づ けは 従 来 と 同 様 の 位 置 づけがなされているとみるこ とができる

集 落 営 農 は 品 目 横 断 対 策 の 対 象 とされたが 今 日 なお 認 定 農 業 者 の 補 完 的 位 置 づけ 政 府 は 集 落 営 農 は 経 営 体 としての 安 定 性 が 弱 く 過 渡 的 な 存 在 と 認 識 しているよう こうした 認 識 のため 担 い 手 と 見 なす 上 での 要 件 に 5 年 以 内 の 法 人 化 に 加 えて 組 織 内 の 経 営 管 理 や 農 作 業 労 働 の 中 核 となりうる 主 たる 従 事 者 の 確 保 を 求 めることを 通 じて 組 織 としての 安 定 性 の 担 保 を 得 ようとしている

2) 主 たる 従 事 者 の 確 保 に 関 わる 問 題 点 第 2の 問 題 点 は 集 落 営 農 の 中 に 特 定 の 主 たる 従 事 者 の 確 保 等 を 要 請 するなど 形 式 的 な 担 い 手 要 件 の 充 足 を 求 めていること 名 前 が 特 定 できなければ 人 数 でもよい

例 えば 集 落 の 全 戸 が 参 加 した 集 落 営 農 において 少 数 の 主 たる 従 事 者 に 農 地 を 集 積 することは 集 落 の 大 半 の 農 家 に 対 して 農 業 生 産 からの 実 質 的 な 退 出 を 求 めることとなる 集 落 内 の 農 家 に 容 易 に 受 け 入 れられないし 特 定 の 主 たる 従 事 者 を 設 けるという 目 標 自 体 が むらの 運 営 原 則 である 平 等 原 則 に 抵 触 する 場 合 が 少 なくない 加 えて 少 数 の 主 たる 従 事 者 だけで 畦 畔 管 理 等 の 地 域 資 源 管 理 を 単 独 で 行 うことは 容 易 ではない 地 域 の 農 家 ( 特 に 退 職 者 高 齢 者 等 )の 協 力 が 欠 かせない 場 合 もある

集 落 営 農 の 経 営 発 展 のためには これら 農 家 を 組 織 から 排 除 するのではなく 組 織 に 対 する 参 加 や 協 力 を 担 保 することが 可 能 な 仕 組 みが 別 途 に 求 められる 場 合 もある 対 策 で 示 されている 形 式 的 な 少 数 の 主 たる 従 事 者 を 確 保 しただけでは 集 落 営 農 の 維 持 発 展 を 期 待 する ことはできない 重 要 なのは 集 落 営 農 の 経 営 発 展 に 向 けた 組 織 のマ ネジメントが 可 能 な 人 材 ( 人 的 資 源 )の 確 保 である

3) 特 定 農 業 団 体 等 に 移 行 後 の 問 題 点 第 3の 問 題 は 組 織 の 維 持 発 展 に 向 けた 理 念 を 持 た ないまま 特 定 農 業 団 体 や 同 様 組 織 に 移 行 したのでは 様 々な 問 題 が 発 生 するという 点 政 府 は 多 数 を 占 める 任 意 組 織 の 集 落 営 農 に 対 して 短 期 的 に 法 人 化 を 求 めることは 事 実 上 難 しいため 特 定 農 業 団 体 又 は 同 様 組 織 の 要 件 を 提 示 し 5 年 間 の 猶 予 期 間 を 設 けて 法 人 へと 誘 導 しかし 特 定 農 業 団 体 は 人 格 なき 社 団 とみなされ みなし 法 人 課 税 や 消 費 税 の 納 税 問 題 が 発 生 する 可 能 性 も

特 定 農 業 団 体 及 び 同 様 組 織 等 は 任 意 組 織 任 意 組 織 : 二 つの 形 態 1 民 法 上 の 組 合 2 人 格 ( 権 利 能 力 )なき 社 団

1 民 法 上 の 組 合 各 当 事 者 が 出 資 を 行 って 共 同 の 事 業 を 営 むことを 約 する ものをいう 各 組 合 員 の 出 資 その 他 の 共 有 財 産 は 総 組 合 員 の 共 有 に 属 し 各 組 合 員 は 持 ち 分 の 処 分 が 出 来 ない 解 散 し 清 算 の 段 階 に 入 る 前 は 分 割 請 求 もできない 債 務 は 無 限 責 任 構 成 員 の 変 更 は 予 定 されていない

2 人 格 なき 社 団 ( 権 利 能 力 なき 社 団 ) 社 団 としての 特 徴 を 持 っているが 法 律 上 の 権 利 や 義 務 の 主 体 とならない 団 体 社 団 法 人 でも 組 合 でもないが 判 例 上 でその 存 在 が 認 められて いるもの 判 例 上 の 人 格 なき 社 団 の 解 釈 は 下 記 の 点 共 通 の 目 的 のために 結 集 した 人 的 な 結 合 体 団 体 としての 組 織 を 備 えている 総 会 の 決 議 は 出 席 者 の 多 数 決 で 実 施 構 成 員 の 加 入 脱 退 を 予 定 構 成 員 が 変 わっても 団 体 は 存 続 代 表 の 方 法 総 会 の 運 営 財 産 の 管 理 その 他 団 体 としての 主 要 な 点 が 確 定 済 み

集 落 営 農 が 2の 人 格 なき 社 団 に 該 当 する と 税 務 当 局 から 指 摘 される 場 合 も 少 なくない 例 : 加 入 脱 退 が 可 能 利 益 の 積 み 立 て 総 会 は 多 数 決 で 決 定 等 々 税 務 署 から 人 格 なき 社 団 と 判 断 されれば 法 人 課 税 や 消 費 税 の 納 税 問 題 が 発 生

このような 税 務 処 理 に 関 して 品 目 横 断 的 対 策 が 提 示 された2005 年 10 月 以 降 に 政 府 が 具 体 的 に 言 及 した のは 年 が 明 けた2006 年 1 月 の 雪 だるまパンフver. 5 が 初 めて この 点 からみても 税 制 上 の 問 題 点 は 施 策 推 進 当 初 は 十 分 に 認 識 されていなかったと 推 察 される みなし 法 人 課 税 に 係 わる 問 題 点 は たとえ 特 定 農 業 団 体 となっても 5 年 よりも 早 期 に 法 人 化 の 対 応 に 迫 られる 場 合 もある

法 人 化 について 加 えて 対 策 では 集 落 営 農 に 対 して 法 人 へ の 移 行 を 強 く 求 めているが 単 に 法 人 への 移 行 のみを 主 目 的 とした 場 合 には 集 落 営 農 におい て 次 のような 問 題 の 発 生 が 想 定 される

法 人 化 に 関 わる 留 意 点 兼 業 従 事 者 に 関 する 留 意 点 1 特 定 農 業 団 体 に 加 入 し 中 核 的 な 役 割 を 果 たしてい た 兼 業 従 事 者 が 法 人 化 後 も 続 けて 役 員 になるには その 半 数 は 常 時 従 事 者 でなければならない 等 の 条 件 2 従 事 日 数 を 充 足 できても 法 人 の 役 員 となるには 勤 務 先 からの 理 解 が 必 要 3 兼 業 従 事 者 が 生 前 一 括 贈 与 等 を 実 施 し 贈 与 税 の 納 税 猶 予 に 関 する 特 例 措 置 を 受 けていれば 継 続 の ためには 法 人 に 常 時 従 事 するなどの 条 件 があり 実 質 的 には 法 人 に 参 加 が 困 難

法 人 化 すれば 簿 記 記 帳 や 税 務 対 策 に 関 わる 管 理 コストが 発 生 し そのため 管 理 者 の 確 保 やそれに 関 わる 諸 費 用 の 手 当 が 必 要 になる 法 人 化 すると 赤 字 でも 法 人 住 民 税 均 等 割 が 課 税 される 法 人 化 のメリットを 享 受 するには 収 益 の 確 保 向 上 が 欠 かせない

法 人 化 後 の 組 織 の 継 続 発 展 を 考 えれば 助 成 金 や 収 益 の 配 分 方 法 について 任 意 組 織 の 多 くで 実 施 されていた 農 地 ( 地 代 ) に 手 厚 い 配 分 から 組 織 の 再 生 産 ( 機 械 の 更 新 や 事 業 展 開 )や 組 織 の 経 営 管 理 及 び 労 働 へ の 貢 献 度 に 応 じた 収 益 配 分 方 式 への 変 更 が 必 要 になる そのためには 構 成 員 の 意 識 改 革 が 欠 かせな い

構 成 員 の 意 識 改 革 を 図 るには 法 人 が 目 指 す 方 向 やビジョンや 戦 略 を 明 確 にし 組 織 の 継 続 再 生 産 に 向 けた 収 益 配 分 が 必 要 という 認 識 の 共 有 が 不 可 欠 法 人 における 経 営 戦 略 やそれら 戦 略 の 実 現 に 向 けたビジョンが 重 要 となる こうした 点 を 考 慮 せずに 法 人 化 を 図 ったので は 組 織 の 維 持 発 展 は 期 待 できない

施 策 が 求 める 方 向 に 適 応 し 特 定 農 業 団 体 や 法 人 へ 移 行 していくことは 重 要 な 課 題 である 施 策 が 求 める 組 織 形 態 を 単 に 充 足 するのではなく 組 織 の 形 態 や 展 開 状 況 に 応 じた 経 営 戦 略 やその 実 現 に 向 けたビジョンを 明 確 にし 環 境 変 化 に 適 応 可 能 な 組 織 体 制 の 構 築 を 目 指 すことである 法 人 化 は 目 的 ではなく 組 織 のビジョンの 実 現 や 組 織 発 展 に 向 けた 手 段 と 捉 えることが 重 要

品 目 横 断 的 経 営 安 定 対 策 にお ける 集 落 営 農 の 発 展 に 向 けて 担 い 手 対 策 は 本 来 担 い 手 を 創 出 する 施 策 と 創 出 した 担 い 手 の 維 持 成 長 発 展 を 支 援 する 施 策 の 二 つの 側 面 が 必 要 である しかし 今 回 の 担 い 手 対 策 は 土 地 利 用 型 農 業 を 担 う 経 営 主 体 となりうる 集 落 営 農 の 成 長 発 展 を 支 援 するこ とよりも むしろ 形 式 的 な 要 件 を 提 示 し その 充 足 を 求 めることで 施 策 の 助 成 対 象 となりうる 組 織 数 の 確 保 に 当 面 の 主 眼 が 置 かれているようにも 思 われる

また 施 策 の 対 象 でなければ 支 援 が 期 待 できないと いう 危 機 感 から 営 農 現 場 でも 施 策 の 対 象 となるた め 要 件 の 充 足 のみが 重 視 されつつある 茨 城 県 内 の 集 落 営 農 はこの 傾 向 が 強 い ( 要 件 充 足 型 集 落 営 農 ) しかし それでは 創 出 された 組 織 の 維 持 発 展 が 図 れなくなる 可 能 性 を 否 定 できない

こうした 問 題 を 回 避 するには 1 地 域 の 土 地 利 用 調 整 が 可 能 な 組 織 の 設 立 農 用 地 利 用 改 善 団 体 を 有 する 特 定 農 業 団 体 の 機 能 の 活 用 2 単 なる 主 たる 従 事 者 の 数 の 確 保 ではなく 組 織 の 的 確 なマ ネジメントが 可 能 な 人 材 の 確 保 3 法 人 化 に 備 えつつ 組 織 形 態 に 応 じた 経 営 戦 略 や 戦 略 実 現 に 向 けたビジョンの 明 確 化 これらの 実 現 が 可 能 な 仕 組 みを 集 落 営 農 の 内 部 に 構 築 してい く 必 要 がある

そこで 主 たる 従 事 者 が 存 在 しない 中 で 兼 業 農 家 等 が 中 核 となって 設 立 された 集 落 営 農 ではあ るが 組 織 としての 維 持 発 展 を 強 く 意 識 した 活 動 を 進 めている 滋 賀 県 A 営 農 組 合 を 紹 介 対 策 下 での 集 落 営 農 の 取 るべき 展 開 方 向 につ いて 示 唆 に 富 んだ 事 例

A 営 農 組 合 の 概 況 沿 革 1999 年 A 営 農 組 合 ( 任 意 組 織 ほぼ 全 戸 が2 兼 農 家 ) 2002 年 農 事 組 合 法 人 A 営 農 組 合 ( 法 人 化 ) 2003 年 特 定 農 業 法 人 へ 集 落 の 圃 場 52ha 56 戸 1A 営 農 組 合 の 経 営 39ha 2 入 り 作 ( 大 規 模 経 営 )10ha 3 営 農 組 合 に 所 有 地 を 全 て 任 せず 個 人 で 耕 作 3ha

個 別 営 農 ゾーン 集 落 営 農 ゾーン 大 規 模 農 家 ゾーン 転 作 は2 年 一 巡 入 り 作 者 も 協 力 2003 年 水 稲 18.5ha 小 麦 17.2ha 大 豆 16.5ha 露 地 野 菜 2.4ha ハウス16a 集 落 の 農 地 をブロック 分 けして 利 用 している

入 り 作 の 大 規 模 経 営 や 個 別 で 営 農 を 続 けたい 農 家 の 農 地 を 含 めて 農 用 地 利 用 改 善 団 体 が 土 地 利 用 調 整 を 実 施 大 規 模 経 営 に 対 して 集 落 の 中 でも 水 利 用 が 容 易 な 条 件 のよい 農 地 を 団 地 的 に 提 供 し そのか わりに 転 作 への 協 力 を 求 める 連 携 関 係 を 形 成 A 組 合 は まとまった39haの 農 地 で 集 落 一 農 場 的 な 営 農 活 動 実 施

大 規 模 経 営 との 連 携 による 新 しい 事 業 への 取 り 組 み 入 り 作 のある 大 規 模 経 営 と 稲 わら 生 産 供 給 組 合 を 結 成 し 畜 産 農 家 との 稲 わら 堆 肥 交 換 を 実 施 減 農 薬 減 化 学 肥 料 を 通 じた 資 源 循 環 型 農 業 への 取 り 組 み 将 来 のアグリネットワーク 形 成 への 足 がかりと 位 置 づける 機 械 貸 借 稲 わら 農 協 稲 わら 生 産 供 給 組 合 畜 産 機 械 械 管 理 規 定 大 規 模 水 田 作 経 営 (1 経 営 取 引 条 件 契 約 農 家 A営 農 組 合 賃 借 料 代 金 堆 肥

A 組 合 の 組 織 体 制 総 会 は 登 記 役 員 ( 理 事 会 ) 相 談 役 代 表 理 事 組 合 長 幹 事 登 記 役 員 として7 名 の 理 事 理 事 副 組 合 長 総 務 担 当 理 事 企 画 管 理 部 長 理 事 営 業 部 長 理 事 副 組 合 長 営 農 担 当 理 事 生 産 部 長 理 事 機 械 施 設 部 長 役 員 は 法 人 の 組 織 マネ ジメントを 専 門 に 担 当 総 務 担 当 副 部 長 経 理 担 当 副 部 長 穀 類 担 当 副 部 長 野 菜 担 当 副 部 長 労 務 担 当 副 部 長 栽 培 担 当 副 部 長 機 械 担 当 副 部 長 施 設 担 当 副 部 長

経 営 管 理 機 能 と 農 作 業 機 能 の 分 離 を 通 じたマネージャーの 確 保 登 記 役 員 として7 名 の 理 事 が 代 表 理 事 組 合 長 副 組 合 長 (2 名 )と4つの 部 長 ( 企 画 管 理 部 営 業 部 生 産 部 機 械 施 設 部 )として 法 人 の 経 営 管 理 機 能 を 担 っている 役 員 は 法 人 の 経 営 管 理 機 能 を 担 うが 農 作 業 を 特 定 の 役 員 が 従 事 するという 体 制 を 取 ってはいない 組 織 の 経 営 管 理 機 能 と 農 作 業 機 能 を 分 離 し 後 者 の 農 作 業 機 能 に 関 しては 下 記 に 述 べる 各 協 力 グループに 再 委 託 している

集 落 の 皆 ができる 範 囲 で 協 力 する 体 制 づくり 1 オペレータグループ 組 合 の 主 旨 に 賛 同 し オペレータに 出 役 可 能 な 営 農 意 欲 のある20~ 55 歳 の 男 性 を 組 織 毎 年 4 月 に 募 集 する 米 麦 大 豆 作 業 の 実 施 2 なごやか 営 農 グループ 56 歳 ~65 歳 未 満 の 男 子 20 歳 以 上 65 歳 未 満 の 女 性 30 名 軟 弱 野 菜 (ホウレン 草 小 松 菜 等 )と 水 田 の 畦 畔 草 刈 り 水 管 理 等 の 肥 培 管 理 作 業 を 委 託

3 すこやか 営 農 グループ 65 歳 以 上 の 老 人 会 メンバー 50 名 露 地 野 菜 (ハクサイ ブロッコリ 等 )と 水 田 の 畦 畔 草 刈 り 水 管 理 等 の 肥 培 管 理 作 業 を 委 託 2 3 環 境 に 配 慮 生 ゴミ 堆 肥 を 利 用 組 合 で 稲 作 を 実 施 する 代 わりの 仕 事 を 提 供 する 4 安 らぎ 営 農 グループ おしゃべりと 雑 草 取 り 80 歳 以 上 のお 年 寄 り

組 織 の 経 営 管 理 (マネジメント)は 退 職 者 等 が 中 心 に 専 門 的 に 担 当 農 作 業 は 集 落 の 全 住 民 を 位 置 づけた 各 協 力 グループに 委 託 する 仕 組 みを 作 ることで 集 落 の 兼 業 農 家 高 齢 者 女 性 退 職 者 あ るいは 諸 事 情 から 法 人 に 加 入 できない 世 帯 まで 含 めた 全 員 が 能 力 や 体 力 に 応 じて 参 加 で きる 組 織 体 制 を 構 築 している

A 営 農 組 合 の 組 織 体 制 Sファーム 農 産 物 経 営 管 理 販 売 退 職 者 等 委 託 労 賃 オペレータ G なごやか G すこやか G 別 重 層 的 連 携 機 械 作 業 野 菜 栽 培 等 野 菜 栽 培 等 組 青 壮 年 男 子 若 年 女 性 高 齢 者 織 後 継 者 世 代 壮 年 男 性 集 落 の 全 ての 世 代 の 住 民 が 能 力 に 応 じて 提 供 出 来 る 範 囲 で 協 力 参 加 する 体 制 を 構 築 土 地 利 用 調 整 の 実 施 大 規 模 経 営 土 地 利 用 調 整 組 織 ( S集 落 を 基 礎 とする 農 用 地 利 用 改 善 団 体 ) 個 別 農 家

A 営 農 組 合 の 組 織 理 念 と 明 確 な 経 営 戦 略 の 策 定 理 念 1. 人 作 り 2. 組 織 作 り 3. 産 地 作 り 4. 地 域 作 り 基 本 方 針 1. 儲 かるから 儲 けるへ 2. 売 れるから 売 るへ 3.できるからつくるへ 4. 参 加 から 参 画 へ 5. 集 落 から 地 域 へ 構 成 員 に 対 して 法 人 として 何 を 目 指 すのかという 経 営 戦 略 やその 実 現 のための 方 向 性 (ビジョン)の 提 示 を 通 じて 構 成 員 の 意 識 改 革 を 図 っている 組 織 を 守 ることが 地 域 を 守 ること その 実 現 には 地 域 の 全 住 民 が 知 恵 を 出 して 儲 ける 農 業 を 実 践 し 利 益 を 上 げ 組 織 の 発 展 を 図 ることが 重 要 であることが 明 示 されている

基 本 方 針 の 実 現 にむけて 各 部 毎 に3カ 年 計 画 に 沿 っ た 重 点 方 針 と 事 業 計 画 策 定 営 農 部 企 画 開 発 部 重 点 方 針 重 点 方 針 1. 儲 ける 農 業 の 実 践 ( 営 業 力 = 生 産 力 ) 1. Sの 旬 ブランドの 策 定 2. 品 質 環 境 にこだわった 農 業 の 展 開 2. 販 路 確 保 と 販 売 力 強 化 3. 試 験 的 二 毛 作 の 導 入 3. 直 売 所 運 営 計 画 の 起 立 4.IT 活 用 によるユーザー 拡 大 4. 広 域 営 農 システムの 検 討 開 始 5. 農 産 物 加 工 事 業 への 挑 戦 事 業 計 画 事 業 計 画 1.ブランド 米 の 販 路 検 討 1. 特 産 品 の 検 討 と 新 しい 農 作 物 への 挑 戦 2. 環 境 こだわり 米 へのこだわり 花 き ハーブ ブルーベリー 3. 遅 植 水 稲 の 作 付 け 拡 大 2. 販 売 チャネルの 拡 大 と 販 売 力 の 強 化 4.ネット 販 売 システムの 実 践 ネット 販 売 こまめな 商 品 情 報 直 売 所 の 設 置 5. 米 粉 パン 工 房 の 立 ち 上 げ 検 討 組 合 員 や 集 落 の 人 縁 地 縁 の 活 用

機 械 施 設 部 総 務 部 (2006 年 から 営 業 部 へ) 重 点 方 針 重 点 方 針 1. 直 売 所 加 工 所 の 設 置 1. 自 立 型 農 業 法 人 の 確 立 2. 周 辺 環 境 への 配 慮 2.さらなる 組 織 の 体 制 強 化 3.オペレータ 養 成 で 作 業 受 託 への 対 応 準 備 3. 財 務 の 健 全 化 = 原 価 意 識 の 徹 底 4. 新 しいアグリビジネスの 創 造 事 業 計 画 事 業 計 画 1. 売 る 拠 点 としての 直 売 所 づくりに 着 手 1.どこへどう 売 るかの 検 討 2. 乾 燥 施 設 の 防 塵 方 策 の 研 究 販 売 チャネルとプロモーション 3. 洗 機 場 の 設 置 2. 将 来 に 託 す 組 織 基 盤 4.オペレータのレベルアップ 将 来 ビジョン 策 定 提 言 できる 各 部 横 断 型 組 織 作 り 5. 乾 燥 調 整 技 能 の 習 熟 ( 歩 留 り 向 上 とブランド 化 ) 収 穫 販 売 作 業 進 捗 状 況 の 全 面 開 示 システムの 構 築 6. 機 械 施 設 の 整 備 能 力 の 向 上 全 員 参 加 から 全 員 参 画 意 識 への 改 革 機 械 に 強 い 人 材 育 成 構 成 員 による 経 営 提 言 と 制 度 作 り 7. 精 米 所 の 利 用 PRで 事 業 としての 底 固 め 3. 作 業 環 境 の 向 上 出 荷 状 況 と 市 況 情 報 のキャッチで 販 売 連 動 型 作 業 体 型 を 目 指 す 安 全 保 障 対 策 労 災 の 加 入 と 作 業 の 対 象 を 拡 大 4. 儲 ける 農 業 に 向 けて 原 価 (コスト) 意 識 の 徹 底 で 効 率 作 業 と 効 率 出 荷

構 成 員 の 意 識 改 革 に 向 けた 原 則 の 提 示 ノーワーク ノーペイ( 働 かざる 者 無 報 酬 ) の 原 則 集 落 の 全 員 が 組 織 に 参 加 することと 併 せて 単 に 農 地 を 持 っているだけで 高 い 収 入 が 得 られる 時 代 では ないこと 収 入 を 得 るには 組 織 に 貢 献 しなければな らないことへの 意 識 づくりが 図 られている 集 落 営 農 の 多 くで 実 施 されていた 地 代 配 当 を 重 視 する 旧 来 の 組 織 の 収 益 配 分 の 方 法 が 終 わったことを 構 成 農 家 に 宣 言 している

A 営 農 組 合 のまとめ 面 的 な 土 地 利 用 調 整 大 規 模 経 営 との 土 地 利 用 調 整 等 の 協 調 関 係 形 成 の 構 築 組 織 のマネジメントを 担 う 人 材 の 確 保 構 成 員 を 組 織 目 的 に 誘 導 するために 組 織 マネジメントを 担 う 人 材 を 確 保 し 経 営 戦 略 やその 実 現 に 向 けた 組 織 ビジョンを 明 確 に 提 示 様 々な 人 的 資 源 を 有 効 利 用 できる 組 織 体 制 を 構 築 組 織 としての 発 展 を 重 視 構 成 員 の 意 識 改 革 土 地 に 対 して 配 当 するのではなく 組 織 活 動 への 貢 献 に 対 して 配 当 し 組 織 の 継 続 発 展 を 重 視 した 投 資 を 実 施 している

5. 集 落 営 農 の 展 開 方 向 (まとめ) 集 落 営 農 が 品 目 横 断 対 策 の 助 成 対 象 となることは 農 業 を 取 り 巻 く 状 況 を 考 えると 重 要 である しかし 対 策 が 集 落 営 農 に 求 めている 要 件 を 詳 細 に 検 討 すると 要 件 充 足 型 集 落 営 農 では 様 々な 問 題 の 発 生 が 懸 念 される これら 対 策 への 対 応 に 伴 う 矛 盾 を 回 避 しつつ 組 織 の 発 展 を 図 っていくことが 求 められる 主 たる 従 事 者 がいなくても 組 織 の 維 持 発 展 を 実 現 で きている 滋 賀 県 の 農 事 組 合 法 人 A 営 農 組 合 を 事 例 に 分 析 を 行 った

A 営 農 組 合 では 集 落 を 単 位 にした 農 用 地 利 用 改 善 団 体 ( 土 地 利 用 調 整 組 織 ) 経 営 管 理 組 織 及 び 多 様 な 構 成 員 の 参 加 による 農 業 労 働 組 織 ( 協 力 グループ)が 多 様 な 連 携 関 係 を 形 成 こうした 組 織 体 制 により 集 落 の 全 構 成 員 の 組 織 参 加 を 確 保 し 多 様 な 人 的 資 源 を 最 大 限 に 活 用 できる 仕 組 みを 構 築 している

A 営 農 組 合 は 特 定 の 主 たる 従 事 者 の 確 保 は 念 頭 には 置 いて いないものの 組 織 を 維 持 発 展 するためには 儲 ける 農 業 の 実 践 が 重 要 と 認 識 退 職 者 等 によるマネージャー 組 織 が 中 心 となって 組 織 が 目 指 すべき 経 営 戦 略 やその 実 現 に 向 けた 組 織 のビジョンを 提 示 儲 ける 農 業 への 意 識 改 革 は 組 織 の 収 益 配 分 方 式 についても 組 織 の 維 持 再 生 産 や 組 織 の 貢 献 に 対 して 支 払 うことが 重 要 で あるとの 共 通 認 識 の 形 成 が 可 能 に

集 落 営 農 の 発 展 は 主 たる 従 事 者 の 確 保 や 法 人 化 を 形 式 的 に 実 施 すれば 可 能 になる(とりあ えず 施 策 の 要 件 を 満 たせば あとはなんとかな るだろう)ものではない 1 面 的 な 土 地 利 用 調 整 の 実 施 特 定 農 業 団 体 のもつ 役 割 を 活 かす

2 組 織 マネジメントを 担 える 人 的 資 源 ( 人 材 )の 確 保 とそ の 活 用 が 可 能 となる 組 織 体 制 づくり 3 組 織 の 発 展 に 向 けた 明 確 な 経 営 戦 略 と 組 織 マネジメ ントの 構 築 組 織 ビジョンの 構 築 ( 何 を 目 指 すのか) 構 成 員 の 意 識 改 革 ( 例 :もはや 土 地 に 厚 く 配 分 する 時 代 ではない) を 念 頭 において 組 織 化 を 図 る 必 要 がある

終 わり