1 / 13 回 路 用 接 続 部 材 事 件 平 成 21 年 1 月 28 日 判 決 言 渡 平 成 20 年 ( 行 ケ) 第 10096 号 審 決 取 消 請 求 事 件 原 告 : 日 立 化 成 工 業 株 式 会 社 被 告 : 特 許 庁 長 官 2009 年 11 月 吉 日 椿 特 許 事 務 所 弁 理 士 石 川 竜 郎 1. 本 願 発 明 の 内 容 ( 特 開 平 7-117033 号 公 報 特 許 第 4339414 号 公 報 より) [ 補 正 後 の 特 許 請 求 の 範 囲 ] 請 求 項 数 :7 項 独 立 請 求 項 : 請 求 項 1 請 求 項 1 下 記 (1)~(3)の 成 分 を 必 須 とする 接 着 剤 組 成 物 と 含 有 量 が 接 着 剤 組 成 物 100 体 積 に 対 して 0.1~10 体 積 %である 導 電 性 粒 子 よりなる 形 状 がフィルム 状 である 回 路 用 接 続 部 材 (1)ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 (2)ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 (3) 潜 在 性 硬 化 剤 [ 本 願 明 細 書 の 内 容 ] 0002 従 来 の 技 術 2つの 回 路 基 板 同 士 を 接 着 すると 共 に これらの 電 極 間 に 電 気 的 導 通 を 得 る 接 着 剤 につ いては スチレン 系 やポリエステル 系 等 の 熱 可 塑 性 物 質 や エポキシ 系 やシリコーン 系 等 の 熱 硬 化 性 物 質 が 知 られている この 場 合 接 着 剤 中 に 導 電 性 粒 子 を 配 合 し 加 圧 により 接 着 剤 の 厚 み 方 向 に 電 気 的 接 続 を 得 るもの( 例 えば 特 開 昭 55-104007 号 公 報 )と 導 電 性 粒 子 を 用 いずに 接 続 時 の 加 圧 により 電 極 面 の 微 細 凹 凸 の 接 触 により 電 気 的 接 続 を 得 るものの( 例 えば 特 開 昭 6 0-262430 号 公 報 )とがある ところで これらの 接 着 剤 による 接 続 において 電 気 的 接 続 不 良 であったり 接 続 後 に 電 子 部 品 や 回 路 が 不 良 なるとし 回 路 間 を 剥 がす 等 した 後 で 接 着 剤 を 溶 剤 等 で 除 去 した 後 に 再 度 良 品 を 接 着 剤 により 接 続 することが 行 われている 0003 発 明 が 解 決 しようとする 課 題 従 来 用 いていた 熱 硬 化 性 の 接 着 剤 では 溶 剤 として 例 えば 塩 化 メチレンと 酸 等 によ りなるいわゆるエポキシ 剥 離 剤 を 用 いて 補 修 していたが 基 板 回 路 等 への 悪 影 響 があった 本 発 明 は 接 続 部 の 信 頼 性 が 高 く かつ 汎 用 溶 剤 により 短 時 間 で 容 易 に 補 修 可 能 な 回 路
2 / 13 用 接 続 部 材 を 提 供 するものである 0005 本 発 明 に 用 いるビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 について 説 明 する ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 は 高 速 液 体 クロマトグラフィー(HPLC)から 求 めた 平 均 分 子 量 が10000 以 上 の 高 分 子 量 エポキシ 樹 脂 に 相 当 し エポキシ 樹 脂 と 構 造 が 似 ていることから 相 溶 性 が 良 く また 接 着 性 も 良 好 な 特 徴 を 有 する 分 子 量 の 大 きい ほどフィルム 形 成 性 が 容 易 に 得 られ また 接 続 時 の 流 動 性 に 影 響 する 溶 融 粘 度 を 広 範 囲 に 設 定 できる 平 均 分 子 量 としては10000~150000のものがあり 10000~ 80000 程 度 のものが 好 ましい その 理 由 としては 分 子 量 が10000 以 下 ではフィ ルム 状 にしにくく また 80000 以 上 だと 他 の 樹 脂 等 との 相 溶 性 が 悪 くなるためであ る これらの 樹 脂 は 水 酸 基 やカルボキシル 基 等 の 極 性 基 を 含 有 すると エポキシ 樹 脂 と の 相 溶 性 が 向 上 し 均 一 な 外 観 や 特 性 を 有 するフィルムが 得 られることや 硬 化 時 の 反 応 促 進 による 短 時 間 硬 化 を 得 る 点 からも 好 ましい 配 合 量 としては フィルム 形 成 性 や 硬 化 反 応 の 促 進 の 点 から 樹 脂 成 分 全 体 に 対 して20~80 重 量 %が 好 ましい また 溶 融 粘 度 の 調 整 等 のために ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 を 適 宜 混 合 して 用 いてもよい 0012 作 用 本 発 明 においては ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 混 合 した 接 着 剤 組 成 物 は 微 細 回 路 接 続 後 の 信 頼 性 が 高 く また 補 修 には 汎 用 溶 剤 の 使 用 が 可 能 であるという 特 徴 に 加 えて 補 修 に 要 する 時 間 が 短 いという 特 徴 も 兼 備 することになる その 結 果 として 回 路 の 接 続 作 業 の 効 率 が 上 昇 すると 推 定 される また ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 は 粘 着 性 接 着 性 反 応 性 等 を 任 意 に 調 節 するのに 有 効 である 本 発 明 における 回 路 用 接 続 部 材 は 用 いる 接 着 剤 がビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 及 び 潜 在 性 硬 化 剤 を 含 有 し 溶 剤 の 種 類 と 沸 点 を 特 定 し 潜 在 性 硬 化 剤 の 活 性 温 度 以 下 で 乾 燥 するため 硬 化 剤 の 劣 化 がなく 安 定 した 保 存 性 が 得 ら れる 0013 実 施 例 以 下 本 発 明 を 実 施 例 に 基 づいて 詳 細 に 説 明 する なお それぞれの 配 合 比 は 表 1にま とめてある 実 施 例 1 ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 ( 平 均 分 子 量 20000)50gを 一 般 的 方 法 により 作 製 し これを 重 量 比 でトルエン( 沸 点 110.6 SP 値 8.90)/ 酢 酸 エチル( 沸 点 77.1 SP 値 9.10)=5 0/50の 混 合 溶 剤 に 溶 解 して 固 形 分 40%の 溶 液 とした ビスフェノール 型 液 状 エポキシ 樹 脂 (ビスフェノールA 型 エポキシ 樹 脂 油 化 シェルエ
3 / 13 ポキシ 株 式 会 社 製 商 品 名 エピコート828 エポキシ 当 量 184)50gを 重 量 比 で トルエン/ 酢 酸 エチル=50/50の 混 合 溶 剤 に 溶 解 して 固 形 分 40%の 溶 液 とした 潜 在 性 硬 化 剤 は ノバキュア3941(イミダゾール 変 性 体 を 核 とし その 表 面 をポリ ウレタンで 被 覆 してなる 平 均 粒 径 5μmのマイクロカプセル 型 硬 化 剤 を 液 状 ビスフェノー ルF 型 エポキシ 樹 脂 中 に 分 散 してなるマスターバッチ 型 硬 化 剤 活 性 温 度 125 旭 化 成 工 業 株 式 会 社 製 商 品 名 )を 用 いた ポリスチレンを 核 とする 粒 子 の 表 面 に 厚 み0.2μmのニッケル 層 を 設 け このニッ ケル 層 の 外 側 に 厚 み0.02μmの 金 層 を 設 け 平 均 粒 径 10μm 比 重 2.0の 導 電 性 粒 子 を 作 製 した 固 形 重 量 比 で 樹 脂 成 分 100 潜 在 性 硬 化 剤 20となるように 配 合 し さらに 導 電 性 粒 子 を3 体 積 % 配 合 分 散 させ 厚 み80μmのフッ 素 樹 脂 フィルムに 塗 工 装 置 を 用 いて 塗 布 し 75 10 分 の 熱 風 乾 燥 により 接 着 剤 層 の 厚 みが25μmの 回 路 用 接 続 部 材 を 得 た 得 られたフィルム 状 接 着 剤 は 室 温 での 十 分 な 柔 軟 性 を 有 し また40 で240 時 間 放 置 してもフィルムの 性 質 には 変 化 がほとんどなく 良 好 な 保 存 性 を 示 した 0023 比 較 例 1 ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 に 代 えて ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 (P KHC)とした 他 は 実 施 例 1と 同 様 にして 回 路 用 接 続 部 材 を 得 た 0027 これらの 結 果 を 表 1に 示 す 実 施 例 1で 得 られた 接 着 剤 組 成 物 は 良 好 な 短 時 間 接 続 性 を 示 した また 初 期 の 接 続 抵 抗 も 低 く 高 温 高 湿 試 験 後 の 抵 抗 の 上 昇 もわずかであり 高 い 耐 久 性 を 示 した 実 施 例 2~4については ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 の 分 子 量 を 変 化 させても 接 続 性 耐 熱 耐 湿 性 にさほど 変 化 は 見 られず いずれも 良 好 であった また 実 施 例 5~8で 作 製 したフィルム 状 接 着 剤 は ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 /ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 の 配 合 量 によって 形 成 後 のフィルムのタック 性 に 差 が 認 められるものの 接 続 性 や 保 存 性 耐 久 性 自 体 は 良 好 であった また 硬 化 剤 をイミダゾ ール 変 性 体 のマイクロカプセルから 芳 香 族 スルホニウム 塩 に 代 えた 実 施 例 16の 場 合 良 好 な 接 続 性 保 存 性 等 に 加 えて これまでの 系 に 比 べて より 短 時 間 での 硬 化 が 可 能 とな っている これらに 対 して ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 からビスフェノールA 型 フェノキ シ 樹 脂 に 代 えた 比 較 例 1では 接 続 抵 抗 が 大 きくなり 上 昇 も 著 しかった これは 接 着 剤 成 分 が 十 分 に 流 動 する 前 に 硬 化 し 接 続 厚 みが 導 電 性 粒 子 の 粒 径 よりも 大 きくなったため である また 比 較 例 2は 導 電 性 粒 子 が 入 っていないため 初 期 の 抵 抗 が 高 く 上 昇 も 著 しい 0028
4 / 13 ( 接 続 後 の 回 路 の 補 修 性 ) 補 修 性 は 上 記 接 続 部 のFPCをITOガラスから 剥 離 し ITOガラス 上 に 残 存 する 一 定 面 積 (20 2mm)の 接 着 剤 を アセトンを 含 浸 した 綿 棒 で 拭 き 取 り 終 わるまで に 要 した 時 間 で 評 価 した その 結 果 を 表 1に 示 す 実 施 例 1~16では 実 施 例 9~11 を 除 き 28~41 秒 で 接 着 剤 の 除 去 が 完 了 している これはビスフェノールF 型 フェノ キシ 樹 脂 が 有 する 特 異 な 補 修 性 に 起 因 している 実 施 例 9~11では ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 が 混 合 しているため 補 修 性 にやや 劣 っている また ビスフェノール F 型 フェノキシ 樹 脂 の 含 まれていない 比 較 例 1の 場 合 補 修 時 間 は90 秒 と 最 も 長 かった 0031 発 明 の 効 果 以 上 詳 述 したように 本 発 明 によれば 接 続 信 頼 性 が 高 くかつ 汎 用 の 溶 剤 により 容 易 に しかも 非 常 に 短 時 間 で 補 修 することが 可 能 な 回 路 用 接 続 部 材 を 提 供 することが 可 能 となっ た 2. 参 考 : 引 用 例 ( 甲 4)の 内 容 ( 特 開 平 6-256746 号 公 報 より) [ 特 許 請 求 の 範 囲 ] 請 求 項 1 下 記 成 分 を 必 須 とする 接 着 剤 組 成 物 (1)カルボキシル 基 ヒドロキシル 基 及 びエポキシ 基 から 選 ばれる1 種 以 上 の 官 能 基 を 有 するアクリル 樹 脂 (2) 分 子 量 が10000 以 上 のフェノキシ 樹 脂 (3)エポキシ 樹 脂 (4) 潜 在 性 硬 化 剤 [ 引 用 例 明 細 書 の 内 容 ] 0002 従 来 の 技 術 2つの 回 路 基 板 同 士 を 接 着 すると 共 に これらの 電 極 間 に 電 気 的 導 通 を 得 る 接 着 剤 につ いては スチレン 系 やポリエステル 系 等 の 熱 可 塑 性 物 質 や エポキシ 系 やシリコーン 系 等 の 熱 硬 化 性 物 質 が 知 られている この 場 合 接 着 剤 中 に 導 電 性 粒 子 を 配 合 し 加 圧 により 接 着 剤 の 厚 み 方 向 に 電 気 的 接 続 を 得 るもの( 例 えば 特 開 昭 55-104007 号 公 報 )と 導 電 性 粒 子 を 用 いずに 接 続 時 の 加 圧 により 電 極 面 の 微 細 凹 凸 の 接 触 により 電 気 的 接 続 を 得 るもの( 例 えば 特 開 昭 60-262430 号 公 報 )とがある 0003
5 / 13 ところで これらの 接 着 剤 による 接 続 において 電 気 的 接 続 不 良 であったり 接 続 後 に 電 子 部 品 や 回 路 が 不 良 になると 回 路 間 を 剥 がす 等 した 後 接 着 剤 を 溶 剤 等 で 除 去 後 に 再 度 良 品 を 接 着 剤 により 接 続 部 することが 行 われている この 場 合 微 細 回 路 や 電 極 上 の 接 着 剤 を 汎 用 溶 剤 ( 例 えばアセトン メチルエチルケトン トルエン リグロイン テトラハ イドロフラン アルコール 等 )を 用 いて 周 辺 の 良 好 部 に 悪 影 響 を 与 えず 迅 速 かつ 容 易 に 除 去 できることが 重 要 である 接 着 剤 が 熱 硬 化 性 物 質 等 の 場 合 溶 剤 として 例 えば 塩 化 メチレンと 酸 等 よりなるいわゆるエポキシ 剥 離 剤 を 用 いる 場 合 が 多 い 0004 発 明 が 解 決 しようとする 課 題 回 路 接 続 部 の 信 頼 性 即 ち 耐 熱 性 耐 湿 性 等 を 考 慮 した 場 合 エポキシ 系 等 の 熱 硬 化 性 接 着 剤 が 有 効 である しかしながら この 場 合 の 補 修 方 法 は エポキシ 剥 離 剤 等 の 強 烈 な 溶 剤 を 用 いることが 一 般 的 である この 場 合 再 接 続 部 の 信 頼 性 が 低 下 する 一 方 熱 可 塑 性 接 着 剤 の 場 合 には 耐 熱 性 が 不 足 しやはり 接 続 部 の 信 頼 性 が 低 下 する 本 発 明 は 接 続 部 の 信 頼 性 が 高 くかつ 汎 用 溶 剤 により 容 易 に 補 修 可 能 な 接 着 剤 組 成 物 を 提 供 するもので ある 0007 フェノキシ 樹 脂 について 説 明 する フェノキシ 樹 脂 は 分 子 量 が10000 以 上 の 高 分 子 量 エポキシ 樹 脂 であり エポキシ 樹 脂 と 構 造 が 似 ていることから 相 溶 性 が 良 く また 接 着 性 も 良 好 な 特 徴 を 有 する 分 子 量 の 大 きいほどフィルム 形 成 性 が 容 易 に 得 られ また 接 続 時 の 流 動 性 に 影 響 する 溶 融 粘 度 を 広 範 囲 に 設 定 できる 分 子 量 15000 以 上 が 好 まし い これらの 樹 脂 はヒドロキシル 基 やカルボキシル 基 等 の 極 性 基 を 含 有 すると エポキシ 樹 脂 との 相 溶 性 が 向 上 し 均 一 な 外 観 や 特 性 を 有 するフィルムの 得 られることや 硬 化 時 の 反 応 促 進 による 短 時 間 硬 化 を 得 る 点 からも 好 ましい 0017 作 用 本 発 明 によれば アクリル 樹 脂 とフェノキシ 樹 脂 とエポキシ 樹 脂 及 び 潜 在 性 硬 化 剤 を 必 須 とする 接 着 剤 組 成 物 を 用 いることにより 接 続 部 の 信 頼 性 が 高 くかつ 汎 用 溶 剤 により 容 易 に 補 修 可 能 である この 理 由 は アクリル 樹 脂 とフェノキシ 樹 脂 とエポキシ 樹 脂 がいず れも 金 属 や 酸 化 金 属 で 構 成 される 回 路 類 と 接 着 性 が 良 好 なこと 硬 化 物 の 耐 熱 性 に 優 れる こと 等 により 接 続 部 の 信 頼 性 が 良 好 である 一 方 エポキシ 樹 脂 硬 化 物 を 海 としたとき 高 分 子 量 であり 架 橋 密 度 の 低 いアクリル 樹 脂 とフェノキシ 樹 脂 は 島 状 に 存 在 するか ある いはアクリル 樹 脂 とフェノキシ 樹 脂 のヒドロキシル 基 やカルボキシル 基 の 作 用 でこれらが 金 属 や 酸 化 金 属 で 構 成 される 回 路 類 表 面 に 吸 着 形 成 され 表 面 に 高 濃 度 に 傾 斜 的 に 存 在 する ものと 考 えられる そのため 硬 化 系 内 のアクリル 樹 脂 とフェノキシ 樹 脂 の 島 状 もしくは 傾 斜 部 等 の 高 濃 度 部 は 汎 用 溶 剤 により 容 易 に 膨 潤 又 は 溶 解 し 又 はこの 部 分 がきっかけと なり 硬 化 物 を 膨 潤 又 は 溶 解 し 補 修 可 能 となる また 海 島 状 の 場 合 にはフィルム 状 とした
6 / 13 時 やや 不 透 明 性 であり ガラス 回 路 上 の 透 明 電 極 の 認 識 が 容 易 である 特 徴 も 有 する こ の 厚 み 方 向 に 傾 斜 的 に 存 在 する 作 用 効 果 を 更 に 簡 単 に 得 る 方 法 がアクリル 樹 脂 を 含 む 層 とフェノキシ 樹 脂 を 含 む 層 とに 分 離 して 形 成 し 少 なくとも 前 記 層 のいずれかにエポキシ 樹 脂 および/または 潜 在 性 硬 化 剤 を 含 有 一 体 化 してなる 積 層 フィルムである この 場 合 汎 用 溶 剤 により 容 易 に 膨 潤 又 は 溶 解 する 層 が 回 路 表 面 に 高 濃 度 に 接 続 時 から 存 在 するので 補 修 が 更 に 容 易 となる この 時 アクリル 樹 脂 を 含 む 層 とフェノキシ 樹 脂 を 含 む 層 との2 層 の 場 合 溶 剤 の 種 類 を 回 路 表 面 ごとに 使 い 分 けることもできる 0018 本 発 明 においては 組 成 物 中 に 占 める 前 記 フェノキシ 樹 脂 とアクリル 樹 脂 及 び 必 要 に 応 じて 用 いる 粘 着 付 与 剤 よりなる 熱 可 塑 成 分 の 合 計 割 合 を 調 節 することにより 溶 剤 による 補 修 性 と 接 続 部 の 信 頼 性 との 両 立 が 可 能 である この 時 フェノキシ 樹 脂 とアクリル 樹 脂 は それぞれ 分 子 量 が1 万 以 上 及 び10 万 以 上 と 高 分 子 量 であり 必 要 に 応 じて 用 いる 粘 着 付 与 剤 の 量 は 少 量 なことから 接 続 部 の 信 頼 性 を 高 度 に 維 持 することが 可 能 である 0022 (2) 組 成 物 の 作 製 PKHA(フェノキシ 樹 脂 分 子 量 25000 ヒドロキシル 基 6% ユニオンカーバ イト 株 式 会 社 製 商 品 名 )と エピコートYL-983U(ビスフェノールF 型 高 純 度 液 状 エポキシ 樹 脂 加 水 分 解 性 塩 素 イオン110ppm 油 化 シェルエポキシ 株 式 会 社 製 商 品 名 983Uと 略 )とを 50g/50gで 秤 量 し トルエン/ 酢 酸 ブチル=50/50 ( 重 量 比 )の 混 合 溶 剤 に 溶 解 して 固 形 分 40%の 溶 液 とした この 溶 液 と 前 記 アクリル 樹 脂 溶 液 とを 表 2に 示 す 組 み 合 わせの 固 形 分 比 になるように 混 合 した また 潜 在 性 硬 化 剤 は ノバキュア3742(イミダゾール 変 性 体 を 核 としその 表 面 をポリウレタンで 被 覆 し てなる 平 均 粒 径 2μmのマイクロカプセル 型 硬 化 剤 活 性 温 度 124 旭 化 成 工 業 株 式 会 社 製 商 品 名 3742と 略 )を 固 形 分 比 で30%となるように 混 合 した 上 記 混 合 液 の 固 形 分 100 重 量 部 に 対 し 0.5 重 量 部 のエポキシ 系 シランカップリング 剤 と 2 体 積 部 の 導 電 粒 子 ( 平 均 粒 径 5μmのスチレン-ジビニルベンゼン 共 重 合 樹 脂 球 の 表 面 に 金 属 薄 層 を 有 する プラと 略 )を 添 加 撹 拌 し ポリテトラフルオロエチレンフィルム(セパ レータ) 上 にロールコータを 用 いて 塗 布 後 100 10 分 の 乾 燥 により 接 着 剤 層 の 厚 みが20μmのフィルム 状 を 得 た 0030 発 明 の 効 果 以 上 詳 述 したように 本 発 明 によれば 接 続 信 頼 性 が 高 くかつ 汎 用 の 溶 剤 により 容 易 に 補 修 可 能 な 接 着 剤 組 成 物 を 提 供 することが 可 能 になった
7 / 13 3. 参 考 :ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 の 違 い フェノキシ 樹 脂 :エポキシ 樹 脂 のうち エピクロルヒドリンとビスフェノールから 作 られる 典 型 的 な 樹 脂 ( 特 許 庁 HP http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan21/4/pdf/4-3-1.pdf より) エピクロロヒドリン: 分 子 式 C3H5ClO であらわされる 有 機 化 合 物 (wikipedia より) ビスフェノールF 型 : 以 下 の 構 造 式 の 通 り( 表 中 2 段 目 ) 品 名 及 び 構 造 式 一 般 性 状 包 装 用 途 備 考 ビスフェノール-A 外 観 : 白 色 結 晶 500kg フ エポキシ 樹 脂 4-123 Bisphenol A 性 粉 末 レコン カーボネート 樹 CAS 純 度 :99.0% 以 25kg 紙 脂 原 料 No.80-05-7 上 袋 融 点 : 152 ~ 153 ビスフェノール-F 外 観 : 微 赤 色 円 500kg フ エポキシ 樹 脂 4-90 Bisphenol F 柱 状 結 晶 レコン 原 料 CAS 沸 点 :360 ~ 20kg 紙 No.620-92-8 370 袋 蒸 気 圧 :0.4kPa (200 ) ( 三 菱 化 学 ファイン 株 式 会 社 HP http://www.mkf.co.jp/product/menu003/menu003_4.html より)
8 / 13 4. 判 決 文 の 趣 旨 [ 争 いのない 事 実 ] 本 件 補 正 発 明 請 求 項 1 下 記 (1)~(3)の 成 分 を 必 須 とする 接 着 剤 組 成 物 と, 含 有 量 が 接 着 剤 組 成 物 1 00 体 積 に 対 して,0.1~10 体 積 %である 導 電 性 粒 子 よりなる, 形 状 がフ ィルム 状 である 回 路 用 接 続 部 材 (1) ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 (2) ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 (3) 潜 在 性 硬 化 剤 引 用 例 ( 甲 4)の 発 明 下 記 (1)~(4)の 成 分 を 必 須 とする 接 着 剤 組 成 物 と, 含 有 量 が 接 着 剤 組 成 物 100 体 積 に 対 して,0~30 体 積 %である 導 電 粒 子 よりなる, 形 状 がフ ィルム 状 である 接 着 フィルム (1) アクリル 樹 脂 (2) フェノキシ 樹 脂 (3) ビスフェノール 型 エポキシ 樹 脂 (4) 潜 在 性 硬 化 剤 [ 裁 判 所 の 判 断 ] 特 許 法 29 条 2 項 が 定 める 要 件 の 充 足 性,すなわち, 当 業 者 が, 先 行 技 術 に 基 づいて 出 願 に 係 る 発 明 を 容 易 に 想 到 することができたか 否 かは, 先 行 技 術 から 出 発 して, 出 願 に 係 る 発 明 の 先 行 技 術 に 対 する 特 徴 点 ( 先 行 技 術 と 相 違 する 構 成 )に 到 達 することが 容 易 で あったか 否 かを 基 準 として 判 断 される ところで, 出 願 に 係 る 発 明 の 特 徴 点 ( 先 行 技 術 と 相 違 する 構 成 )は, 当 該 発 明 が 目 的 とした 課 題 を 解 決 するためのものであるから, 容 易 想 到 性 の 有 無 を 客 観 的 に 判 断 するためには, 当 該 発 明 の 特 徴 点 を 的 確 に 把 握 すること,すな わち, 当 該 発 明 が 目 的 とする 課 題 を 的 確 に 把 握 することが 必 要 不 可 欠 である そして, 容 易 想 到 性 の 判 断 の 過 程 においては, 事 後 分 析 的 かつ 非 論 理 的 思 考 は 排 除 されなければなら ないが,そのためには, 当 該 発 明 が 目 的 とする 課 題 の 把 握 に 当 たって,その 中 に 無 意 識 的 に 解 決 手 段 ないし 解 決 結 果 の 要 素 が 入 り 込 むことがないよう 留 意 することが 必 要 となる さらに, 当 該 発 明 が 容 易 想 到 であると 判 断 するためには, 先 行 技 術 の 内 容 の 検 討 に 当 た っても, 当 該 発 明 の 特 徴 点 に 到 達 できる 試 みをしたであろうという 推 測 が 成 り 立 つのみで は 十 分 ではなく, 当 該 発 明 の 特 徴 点 に 到 達 するためにしたはずであるという 示 唆 等 が 存 在 することが 必 要 であるというべきであるのは 当 然 である 本 願 補 正 発 明 においてビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 必 須 成 分 として 用 いるとの
9 / 13 構 成 を 採 用 したのは,ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることに 比 べて,その 接 続 信 頼 性 ( 初 期 と500 時 間 後 のもの) 及 び 補 修 性 を 向 上 させる 課 題 を 解 決 するためのも のである 引 用 例 には, 格 別, 相 溶 性 や 接 着 性 に 問 題 があるとの 記 載 はない 上, 回 路 用 接 続 部 材 用 の 樹 脂 組 成 物 を 調 製 する 際 に 検 討 すべき 考 慮 要 素 としては 耐 熱 性, 絶 縁 性, 剛 性, 粘 度 等 々の 他 の 要 素 も 存 在 するのであるから, 相 溶 性 及 び 接 着 性 の 更 なる 向 上 のみに 着 目 してビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることの 示 唆 等 がされていると 認 めること はできない 一 般 的 に,ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 が 本 願 出 願 時 において 既 に 知 られた 樹 脂 であるとしても( 乙 2,3),それが 回 路 用 接 続 部 材 の 接 続 信 頼 性 や 補 修 性 を 向 上 させるこ とまで 知 られていたものと 認 めるに 足 りる 証 拠 もない さらに,ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 は,ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 に 比 べてその 耐 熱 性 が 低 いという 問 題 があること, 認 められる 上 記 のビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 の 性 質 に 照 らすと, 良 好 な 耐 熱 性 が 求 められる 回 路 用 接 続 部 材 に 用 いる フェノキシ 樹 脂 として, 格 別 の 問 題 点 が 指 摘 されていないビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 (PKHA) に 代 えて, 耐 熱 性 が 劣 るビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 い ることが, 当 業 者 には 容 易 であったとはいえない
10 / 13 5. 双 方 の 主 張 と 裁 判 所 の 判 断 のまとめ 争 点 本 願 発 明 が, 接 着 剤 組 成 物 の 必 須 の 成 分 として ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 含 むのに 対 し, 引 用 例 に 記 載 の 発 明 では, フェノキシ 樹 脂 (ビスフェノールA 型 フェ ノキシ 樹 脂 )を 含 むという 相 違 点 は 当 業 者 にとって 容 易 に 想 到 できるものか? 想 到 し 得 ないという( 出 願 人 側 )の 主 張 想 到 し 得 るという( 特 許 庁 側 )の 主 張 裁 判 所 の 判 断 引 用 例 では,より 好 ましい 態 様 として 記 載 引 用 例 に 記 載 された PKHA はフェノ PKHA ( 甲 4の 段 落 0022 )は, されている 実 施 例 において,ビスフェノール キシ 樹 脂 の 一 例 として 示 されているにすぎ 特 開 平 9-279121 号 公 報 において, P A 型 フェノキシ 樹 脂 である PKHA ( 甲 4 ず, 引 用 例 には,フェノキシ 樹 脂 として,ビ KHA(ビスフェノールAより 誘 導 されるフ の 段 落 0022 )が 挙 げられていることか スフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 の 選 択 を 排 ェノキシ 樹 脂 ユニオンカーバイト 株 式 会 らして, 引 用 例 の 記 載 が,ビスフェノールF 除 する 記 載 はされていない そして, 回 路 基 社 製 商 品 名 ) との 記 載 があり し 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることの 動 機 付 けと 板 等 で 使 用 される 各 種 の 接 着 剤 の 成 分 とし たがって, 審 決 が 引 用 する PKHA は, はならない て,ビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 が 用 ビスフェノール A 型 のフェノキシ 樹 脂 で いられる 系 で,ビスフェノールF 型 フェノキ あり,ビスフェノール F 型 のフェノキシ シ 樹 脂 も 用 いられることは, 従 来 周 知 である 樹 脂 ではないから, 引 用 例 の PKHA と の 記 載 は,ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることに 対 する 示 唆 にはなり 得 な い
樹 脂 における 相 溶 性 は, 耐 熱 性, 絶 縁 性, 剛 性, 粘 度 等 の 項 目 と 同 様, 回 路 用 接 続 部 材 用 の 樹 脂 組 成 物 を 調 製 する 際 に 検 討 される 多 くの 項 目 の 一 つにすぎない 引 用 例 に 記 載 さ れるとおり,フェノキシ 樹 脂 とエポキシ 樹 脂 とは, 基 本 骨 格 が 類 似 していることから, 既 に 一 定 以 上 の 相 溶 性 が 確 保 されており, 両 者 の 相 溶 性 に 問 題 があるとはされていない し たがって, 樹 脂 組 成 物 における 多 くの 検 討 項 目 のうちから, 格 別, 相 溶 性 に 着 目 して,, 格 別, 相 溶 性 に 着 目 して,A 型 同 士, 又 はF 型 同 士 を 混 合 して 用 いる 動 機 付 けはない 両 者 の 樹 脂 の 型 (A 型,F 型 等 )が 同 じであれば, さらに 相 溶 性 が 良 くなるであろうと 仮 定 した としても, 自 ずと, 補 修 性 も 良 くなるという ものでもない 11 / 13 引 用 例 には,ビスフェノールF 型 エポキシ 樹 脂 と 相 溶 性, 接 着 性 が 一 層 良 くなるよう に ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることの 動 機 付 けがある 引 用 例 には, フ ェノキシ 樹 脂 は, 分 子 量 が10000 以 上 の 高 分 子 量 エポキシ 樹 脂 であり,エポキシ 樹 脂 と 構 造 が 似 ていることから 相 溶 性 が 良 く,ま た 接 着 性 も 良 好 な 特 徴 を 有 する と 記 載 され ている( 甲 4の 段 落 0007 ) 上 エポキ シ 樹 脂 の 中 ではビスフェノールF 型 エポキシ 樹 脂 が 特 に 好 ましいことが 記 載 されている 引 用 例 には, フェノキシ 樹 脂 は エポ キシ 樹 脂 と 構 造 が 似 ていることから 相 溶 性 が 良 く,また 接 着 性 も 良 好 な 特 徴 を 有 する ( 甲 4の 段 落 0007 )と 記 載 されており, 格 別, 相 溶 性 や 接 着 性 に 問 題 があるとの 記 載 は ない 上, 回 路 用 接 続 部 材 用 の 樹 脂 組 成 物 を 調 製 する 際 に 検 討 すべき 考 慮 要 素 としては 耐 熱 性, 絶 縁 性, 剛 性, 粘 度 等 々の 他 の 要 素 も 存 在 するのであるから, 相 溶 性 及 び 接 着 性 の 更 なる 向 上 のみに 着 目 してビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることの 示 唆 等 がされ ていると 認 めることはできない また, 一 般 的 に,ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 が 本 願 出 願 時 において 既 に 知 られた 樹 脂 である としても( 乙 2,3),それが 回 路 用 接 続 部 材 の 接 続 信 頼 性 や 補 修 性 を 向 上 させることまで 知 られていたものと 認 めるに 足 りる 証 拠 もな い
ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 は,ビ スフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 に 比 べて 耐 熱 性 が 低 いことは 周 知 である したがって, 良 好 な 耐 熱 性 が 求 められる 回 路 用 接 続 部 材 に 用 いるフェノキシ 樹 脂 として,ビスフェノー ルA 型 フェノキシ 樹 脂 に 代 えて,あえて 耐 熱 性 の 低 いビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いる 動 機 付 けはないといえる 12 / 13 相 溶 性, 接 着 性 の 向 上 という 動 機 付 けがあ る 上, 回 路 用 接 続 部 材 の 接 着 剤 組 成 物 として, ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 が, 使 用 するに 十 分 な 耐 熱 性 を 有 することは, 当 業 者 にとって 従 来 周 知 の 技 術 的 事 項 である ビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 は,ビ スフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 に 比 べてそ の 耐 熱 性 が 低 いという 問 題 があるものと 認 め られる 上 記 のビスフェノールF 型 フェノキ シ 樹 脂 の 性 質 に 照 らすと, 良 好 な 耐 熱 性 が 求 められる 回 路 用 接 続 部 材 に 用 いるフェノキシ 樹 脂 として, 格 別 の 問 題 点 が 指 摘 されていな いビスフェノールA 型 フェノキシ 樹 脂 (PK HA)( 甲 4の 段 落 0022 )に 代 えて, 耐 熱 性 が 劣 るビスフェノールF 型 フェノキシ 樹 脂 を 用 いることが, 当 業 者 には 容 易 であっ たとはいえない
13 / 13 6. 感 想 本 願 発 明 も 引 用 例 も 同 一 出 願 人 によるものである さらに 本 願 明 細 書 中 ではビスフェノール F 型 フェノキシ 樹 脂 とビスフェノール A 型 フェノキシ 樹 脂 との 比 較 を 行 っている このことから 出 願 人 は 引 用 例 の 出 願 公 開 後 引 用 例 の 改 良 発 明 として 本 願 発 明 を 出 願 したものと 思 われる 今 回 の 事 件 では 本 願 明 細 書 実 施 例 中 で ビスフェノール F 型 フェノキシ 樹 脂 とビスフェノール A 型 フェノキシ 樹 脂 との 比 較 を 行 っていることが 原 告 側 の 主 張 を 強 力 なものにしたように 思 われる 回 路 用 接 続 部 材 用 の 樹 脂 組 成 物 に 求 められる 特 性 としては 耐 熱 性, 絶 縁 性, 剛 性, 粘 度 など 様 々な 要 素 があるため 普 遍 的 な 課 題 が 少 な いように 思 われる このため 相 溶 性, 接 着 性 のさらなる 向 上 という 被 告 ( 特 許 庁 ) 側 の 動 機 付 けを 肯 定 する 主 張 が 退 けられたものと 思 われる 仮 に 普 遍 的 に 存 在 する 課 題 が 動 機 付 けを 肯 定 する 主 張 に 用 いられた 場 合 物 質 の 性 質 の 劣 る 一 面 ( 今 回 の 事 件 では 耐 熱 性 )によって 動 機 付 けを 否 定 する 主 張 をしても そのような 主 張 は 認 められにくいのではないだろうか? 7. 本 裁 判 例 を 使 った 拒 絶 理 由 通 知 への 反 論 の 想 定 拒 絶 理 由 : 出 願 人 は 半 導 体 装 置 において 構 成 Aとして 物 質 a を 使 用 することによりXXXという 課 題 を 解 決 しうることを 主 張 しているが 半 導 体 装 置 においてYYYするために 構 成 Aとして 引 用 例 記 載 の 物 質 bの 代 わりに 物 質 aを 用 いることは 当 業 者 にとって 容 易 である 意 見 書 での 反 論 : YYYという 課 題 は ZZZ VVV UUUなどとともに 半 導 体 装 置 を 製 造 する 際 に 検 討 される 多 くの 課 題 の 一 つにす ぎない 加 えて bにはaに 比 べて 性 質 UUUが 劣 っている このため 引 用 例 において 物 質 bの 代 わりに 性 質 UUUの 劣 る 物 質 aを 用 いる ことは 当 業 者 にとって 容 易 ではない また 物 質 a がたとえ 公 知 であっても 物 質 a がXXXという 課 題 を 解 決 し 得 ることは 知 られていない これに 関 連 する 裁 判 例 として 平 成 20 年 ( 行 ケ) 第 10096 号 審 決 取 消 請 求 事 件 では と 述 べられている 以 上