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調 員 からの 北 海 道 のコントラクターに 望 まれる 草 地 の 植 生 管 理 と 高 品 質 な 粗 飼 料 生 産 畜 産 飼 料 調 所 御 影 庵 主 宰 阿 部 亮 帯 広 畜 産 大 学 地 域 連 携 推 進 センター 籐 倉 雄 司 要 約 北 海 道 における 牧 草 収 穫 調 製 に 関 わるコントラクター 数 は 酪 農 家 の 飼 養 規 模 拡 大 を 背 景 として 経 年 的 に 増 加 の 傾 向 にある 輸 入 飼 料 の 価 格 高 騰 にともない 北 海 道 では 牧 草 サイレージとコーンサイレージの 単 位 面 積 当 たりの 収 量 を 増 加 させながら 栄 養 価 の 高 いサイレージを 調 製 し その 多 給 によって 飼 料 費 を 軽 減 してゆかねばならないが 道 内 の 草 地 の 植 生 は 雑 草 や 裸 地 の 割 合 が 高 く 牧 草 サイレージの 収 量 や 品 質 に 良 と 評 価 されるトレンドにはない このような 中 でコントラクターの 果 たすべき 役 割 は 重 要 である 草 地 の 管 理 そして 良 質 な 牧 草 サイレージ 調 製 のためには 一 定 の 目 標 値 とそれ を 達 成 するためのプロトコルを 設 定 し 行 政 や 農 業 団 体 と 連 携 して 持 つべき 果 たすべ き 機 能 を 拡 充 強 化 しながら 業 務 を 遂 行 することが 望 まれる 調 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 49

1. 北 海 道 における 牧 草 サイレージ 調 製 技 術 の 変 遷 と 現 在 のコントラクターの 地 位 調 1 サイレージシステムの 変 遷 北 海 道 における 牧 草 飼 料 作 物 の 栽 培 面 積 は 昭 和 55 年 以 降 約 60 万 ヘクタールと 大 きな 変 化 はなく ほぼ 一 定 である しかし 栽 培 作 物 は 牧 草 ととうもろこしの 比 率 が また 牧 草 の 中 にあっては 草 種 が そして 調 製 手 法 ( 貯 蔵 法 )も 時 代 によって 変 化 して きた 貯 蔵 施 設 としては 小 型 の 建 造 型 サイロ FRPサイロ トレンチサイロ スタックサ イロ 大 型 のタワーサイロ バンカーサイロと 種 々の 形 のものが 用 いられてきた 昭 和 50 年 代 中 盤 以 降 中 規 模 酪 農 家 が 共 同 して 牧 草 飼 料 作 物 を 収 穫 調 製 するため の 組 織 として 各 地 に 飼 料 機 械 組 合 が 設 立 され 国 庫 補 助 がこの 組 織 に 与 えられ モアー コンデショナーやハーベスターが 導 入 され 地 域 内 での 共 同 的 な 飼 料 生 産 が 振 興 されて きた しかし 平 成 に 入 ってロールベールサイレージ ラップサイレージの 技 術 と 機 械 が 次 第 に 普 及 してくると 世 代 交 代 での 経 営 感 覚 の 変 化 もあり 個 人 で 機 械 を 購 入 して 個 人 で 作 業 を 完 結 する 酪 農 家 が 地 域 内 で 発 生 し 機 械 組 合 が 解 散 するという 地 域 も 各 地 に あったようである そのような 中 細 断 型 の 牧 草 サイレージを 求 める 人 達 が 共 同 作 業 を 一 段 格 上 げして 外 注 (アウトソーシング)でサイレージを 調 製 するというシステムとしての コントラ クター 勢 力 を 築 き 上 げてきた サイレージ 調 製 外 注 化 の 背 景 としては 酪 農 家 の 規 模 の 拡 大 と 乳 牛 の 個 体 乳 量 の 増 加 もある 家 畜 管 理 作 業 の 量 と 質 が 次 第 に 大 きく そして 高 度 化 してきたからである 北 海 道 における 酪 農 家 一 戸 当 たりの 乳 牛 飼 養 頭 数 は 昭 和 56 年 が 36.3 頭 平 成 年 が 56.5 頭 平 成 13 年 が 88.6 頭 そして 平 成 19 年 には 100 頭 を 越 えている 経 産 牛 1 頭 当 たりの 平 均 乳 量 は 平 成 年 には 8,045kg であり 10,000kg 前 後 の 乳 牛 も 珍 しい 存 在 ではなくなった これからも 酪 農 家 の 乳 牛 飼 養 頭 数 は 増 加 すると 考 えた 場 合 酪 農 経 営 は 外 注 あるい は 雇 用 労 働 力 への 依 存 度 を 一 層 高 めてゆくことが 考 えられる 北 海 道 の 牧 草 飼 料 作 物 の 栽 培 面 積 約 60 万 ヘクタールから 良 質 なサイレージを 作 り かつ 単 位 面 積 当 たりの 生 産 量 を 高 めるための 支 援 組 織 としてのコントラクターのパワー と 技 術 力 が 今 後 益 々 期 待 されるであろう 北 海 道 のコントラクターの 形 態 としては サイレージ 調 製 を 酪 農 家 に 依 頼 されて 行 う というものと サイレージ 調 製 を TMR センターに 委 嘱 されて 行 う もの また コントラクターが TMR センターに 付 設 され ている 形 のものもある 今 回 筆 者 は ヶ 所 のコントラクター 事 業 所 と 5 ヶ 所 の TMR センターの 調 を 行 ったが TMR センターでもコントラクターの 内 容 を 聴 取 しており 本 稿 の 中 にはその 部 分 も 含 まれる 50 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書

コントラクターの 趨 勢 コントラクターの 事 業 所 数 は 経 年 的 に 増 加 しており 平 成 1 年 に 全 国 で 180 あった 組 織 数 が 平 成 年 には 564 と 10 年 間 で 3.1 倍 になっている 北 海 道 でも 同 じ 傾 向 で 平 成 1 年 の 組 織 数 77 が 平 成 0 年 には 176 となっている 今 回 聞 き 取 り 調 を 行 った 3 地 域 におけるコントラクターによる 飼 料 調 製 の 直 近 の 実 績 を 見 ると 十 勝 の 1 番 牧 草 とコーンサイレージの 全 作 付 面 積 に 対 する 比 率 は それ ぞれ 1%と 45%であり 根 室 では 1 番 牧 草 の 全 牧 草 地 面 積 の 占 める 比 率 は % そし て 宗 谷 では J A 東 宗 谷 管 内 5TMR センターの 中 でのコントラクター 利 用 の 戸 数 割 合 では 50% 乳 量 比 率 では 60% ということであった それでは コントラクターの 作 業 内 容 はどのようなものであろうか 一 つの 調 事 業 所 の 内 容 を 紹 介 する 1 5 月 コーンの 蒔 き 付 けが 始 まる 同 時 に 堆 肥 散 布 更 新 作 業 3 6 月 中 旬 から 1 番 牧 草 の 収 獲 がスタート 7 月 10 日 くらいまで 作 業 が 続 く 4その 後 草 地 の 更 新 作 業 に 入 る 5それが 終 わると 番 牧 草 の 収 穫 作 業 に 入 る サイレージ 調 製 だけではなく 乾 草 のラップ 作 業 もある 6コーンの 収 穫 は 9 月 下 旬 7 10 月 に 入 ると 殆 どの 草 地 で 堆 肥 の 表 面 散 布 11 月 中 旬 までこの 作 業 が 続 く 調 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 51

牧草飼料作物の量の確保のための要件とコントラクターの役割 1 優良農家に見られる牧草ととうもろこしの収量 第 14 回全国草地畜産コンクール表彰式にみられる 北海道洞爺湖町のレークヒル牧場 の牧草ととうもろこしの収量は下表の通りである 表 1 日本草地畜産種子協会 平成 年 6 月 表 1 レークヒル牧場の牧草ととうもろこしの収量 調 牧草 とうもろこし 経営全体単収 生草 kg/10a 3,74 6,800 乾物 kg/10a 561,040 近隣平均単収 生草 kg/10a 3,11 5,614 乾物 kg/10a 48 1,684 乾物量は牧草が乾物率 15 とうもろこしが乾物率 30 として計算 ② この農場における飼料作物の栽培に関する特徴は以下の通りである 1 毎年 土壌 分析を行い施肥管理を実施している 圃場ごとの状態に合わせた施肥管理で 高栄養の 粗飼料を確保している 舎飼い期にタンパク質を充足させるために アルファルファ を栽培している また エネルギー源となるサイレージ用とうもろこしを通年給与でき る量作付している 飼料作物の栽培は 基本技術を厳守している 3 ふん尿は 一部 を地区内で麦桿と交換する以外は すべて飼料畑 草地 サイレージ用とうもろこし に還元している 北海道の草地の状況 牧草の収量を高めるためには 雑草や裸地の少ない そして草地の牧草密度が高い草 地に維持されていなければならず とうもろこしの場合にも基本的な栽培管理の遵守が 必要である 北海道の状況を象徴するような事例をいくつか紹介する ① 根釧地域の牧草地の植生悪化 日本農業新聞は平成 4 年 5 月 3 日に 道総研根釧農試の採草地の調結果を紹介し ている その概要は以下の通りである 管内の約 50 筆の植生調では 地下茎型イネ科雑草の植生割合は 更新 1 年目が 14 だったものが 10 年目には 63 と高いことを確認し これに連動する形で チモシー の割合は経過年数が多いほど 低い傾向にあった 前回の調 1979 年 では 更新 年目が 4 10 年目も 14 と 極端な差はなかった これは雑草の種類の変化による ためで 今回の調では 草丈が高くなりやすいシバムギやリードカナリーグラスが目 立っており チモシーの成長を抑圧している と根釧農試では推測している また 今 回の調では 更新時の雑草対策は効果が高いことも確認した 5 北海道におけるコントラクターおよび TMRセンターに関する共同調書

② 十勝の牧草地の状況 十勝農協連では 飼料アップとかち プロジェクトの一貫として 平成 1 3 年に かけて 10 市町村,769 の圃場で植生調を実施している その結果を下表 表 に 示す 畜産の情 01 年 月号 農畜産業振興機構 調 表 十勝における草地植生の実態 イネ科牧草 冠部被度 マメ科牧草 38 圃場の牧草割合 比率 7 雑草 裸地 43 1 70 以上 50 70 30 50 30 未満 3 19 7 雑草の占有面積が多く 圃場の牧草割合が低いことが 根釧農試の調と同様に十勝 ② でも確認される それでは 草地の牧草割合の多少は 草地の乾物収量や TDN 収量に どのような影響を及ぼすのか 同じく十勝農協連の調結果を表 3 に示す 出典は表 と同じ 表 3 草地の牧草割合と牧草収量との関係 牧草割合 50 未満 50 以上 31 35 イネ科草草丈 cm 83.1 9.8 乾物収量 kg/10a 40 480 TDN 収量 kg/10a 6 303 圃場の数 牧草割合の多少は 乾物収量と TDN 収量に大きな影響を及ぼすことが分かる TDN 1kg は乳脂率 3.5 の牛乳を 3.kg 生産する力を持つことをベースに考えると 10 アー ル当たりでは両者の差は 131kg の乳量となる この差は乳価を 8.5 円 /kg とすると 約 11,000 円 /10a の得失と計算される ③ 十勝におけるとうもろこし栽培の状況 とうもろこしの栽培実態はどうであろうか 十勝農協連では上記の 飼料アップとか ち プロジェクトの中で 平成 3 年にかけて 10 市町村 314 圃場でとうもろこ しの調を実施している その結果 播種本数 欠株率 肥培管理 土壌の条 件 排水 が圃場それぞれに異なることが見い出され それが収量等に強く影響する ことを考察している 出典は表,3 と同じ 北海道におけるコントラクターおよび TMRセンターに関する共同調書 53

調 4 草 地 の 適 正 な 維 持 管 理 のための 対 策 それでは 草 地 の 植 生 を 適 正 に 維 持 管 理 するためには どのようなことが 実 施 されね ばならないのか それをプロトコル( 手 順 )の 項 目 として 整 理 してみよう この 中 には 先 の 優 良 事 例 の 農 場 に 見 られた 草 地 の 管 理 手 法 も 含 まれるが このようなプロトコルが コントラクターの 機 能 の 中 に 組 み 込 まれることが 望 ましい 1 植 生 の 調 ( 牧 草 草 種 雑 草 草 種 裸 地 の 割 合 の 把 握 ) 土 壌 調 ( 土 壌 の 硬 さ ph 養 分 としてのミネラル 含 量 ) 3 更 新 の 是 非 の 判 断 4 更 新 の 手 法 の 選 択 と 更 新 更 新 後 の 雑 草 対 策 の 実 施 5 適 切 な 肥 培 管 理 ( 化 学 肥 料 と 堆 肥 の 使 い 分 け) 6 収 量 調 7 サイレージの 品 質 調 ( 粗 飼 料 分 析 ) 8 乳 牛 の 飼 養 管 理 成 績 の 把 握 9 更 なる 改 良 のための 検 討 翌 年 の 実 施 5 酪 農 家 の 草 地 への 関 心 度 上 記 のような 草 地 の 状 況 を 改 善 してゆくためには 酪 農 家 が 草 地 管 理 を 適 切 に 行 うこ とがまず 必 要 と 考 えられるが 酪 農 家 の 草 地 に 関 する 関 心 はどのようであろうか 今 回 の 調 で コントラクターあるいは TMR センターで 聴 取 した 話 を 以 下 に 紹 介 する 1 我 々コントラクターが 草 地 に 入 っているために 酪 農 家 は 自 分 の 草 地 の 収 量 が 落 ちたとか 裸 地 が 増 えたということには 鈍 い 草 の 状 態 を 的 確 には 把 握 してい ない 更 新 なども 私 たちが 話 をさせてもらっている コントラクターだけの 酪 農 家 は 草 地 を 見 ていない 草 地 に 入 ってすらいないかも しれない しかし TMR センターの 草 地 管 理 はそうではない センターが 草 地 ( 草 )を 買 い 上 げていることから そこでの 草 の 良 し 悪 しは 直 接 TMR の 質 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす したがって 草 地 は 個 人 のものではなく 皆 のものという 感 覚 になる 3 農 家 は 草 地 を 見 てはいない 草 地 はセンターが 管 理 してくれるので 草 の 勉 強 を しなくとも 沢 山 採 れてしまう これは 別 の 意 味 でメリットです 特 に 新 規 就 農 者 のですね コントラクターや TMR センターが 担 い 手 の 受 け 皿 となっている 草 を 知 らなくとも TMR センターを 使 うと 乳 量 が 出 る 収 獲 機 械 の 新 規 購 入 費 用 も 要 らない 草 を 知 らなくともいいや というトータルでのアウトソーシン グのメリットがある 54 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書

4 酪 農 家 は 畑 の 中 を 知 らない 追 肥 には 行 くのだが 自 分 の 足 で 畑 の 中 を 歩 いていな い 草 地 植 生 の 結 果 を 持 って 組 合 員 のところを 回 ると ビックリする 人 もいる 組 合 員 の 中 には バンカーサイロに 入 るトラックの 台 数 でおおよその 草 地 の 具 合 を 把 握 している 人 もいるが そういう 人 は 少 ない 6 コントラクター TMR センターの 草 地 管 理 の 状 況 前 項 は 今 回 の 調 における 聴 取 の 内 容 であるが 近 年 他 所 での 聞 き 取 りにおいて も 酪 農 家 は 草 地 をあまり 見 ていない という 話 をよく 聞 く それでは 草 地 管 理 を 任 されたような 状 況 にあるコントラクターや TMR センターの 草 地 管 理 の 様 子 はどの ようであろうか 今 回 の 調 の 中 からその 内 容 を 以 下 に 紹 介 する 調 1 圃 場 の 確 認 をさせてもらって 堆 肥 を 入 れて 草 地 更 新 をしてタネを 播 く とい うところまでをやっている 農 家 によっては 順 番 を 決 めてやっているところ もあれば 収 量 が 落 ちた 所 を 先 に という 所 もある けれども 面 積 の 比 率 か ら 言 うと 草 地 更 新 の 頻 度 は 低 い 酪 農 家 は 一 般 的 に 堆 肥 散 布 がイコール 草 地 更 新 という 感 覚 になっている TMR センターによっては 草 地 部 会 があり そこを 中 心 として 普 及 センターに 調 を 依 頼 したりして 草 の 量 と 品 質 を 草 地 管 理 の 面 から 見 ている 3 草 地 は 裸 地 もあり ほとんどの 酪 農 家 は 生 の 堆 肥 を 入 れて 更 新 するので ギシギ シ 等 の 雑 草 が 多 くなる 畑 作 農 家 が 少 ないために 生 の 堆 肥 を 入 れることが 多 く なる 草 地 更 新 をして 次 の 年 1 番 草 を 刈 った 後 番 草 の 前 に ハーモニー 等 で 駆 除 することが 必 要 になる 4 草 地 の 更 新 は 堆 肥 があり 毎 年 30 ~ 40 ヘクタールの 更 新 をやっているので 990 ヘクタールの TMR センター 傘 下 の 草 地 の 更 新 となると 30 年 はかかるであ ろう 土 壌 診 断 はこまめにやっており 施 肥 設 計 もそれに 基 づいて 行 っている スラリーは 全 面 積 に 撒 く 量 があるので スラリーの 成 分 を 分 析 して どれだけ 入 れるべきかを 検 討 したり スラリーの 成 分 に 合 う 化 学 肥 料 を 入 れるようにし ている TMR センターをやって このように 役 員 をやることになって 以 前 に は 関 心 がなかった 草 地 の 管 理 に 責 任 が 発 生 し 良 い 草 を 採 り 収 量 も 上 げねば ならないとなってきている そのような 姿 勢 は 地 域 に 対 しても 刺 激 効 果 をも たらしたようだ TMR センター 参 加 者 以 外 の 酪 農 家 が センターの 草 地 を 見 て 草 の 管 理 をする 人 が 出 てきた 競 って 早 刈 りをしたりするようになってきた 5 草 地 更 新 は 地 域 毎 に 年 間 100 ヘクタールを 回 している TMR センター 傘 下 の 土 地 は 900 ヘクタールであるので 9 ~ 10 年 間 隔 の 更 新 となる 6 コントラクターと 良 く 連 携 している TMR センターでは バンカーサイロの 調 製 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 55

調 時 に どの 草 地 の 牧 草 を 詰 め 込 んでいるかを 細 かく 記 録 している さらにこの サイレージを TMR に 調 製 する 際 に その 品 質 についてチェックすることで 草 地 の 生 産 性 や 植 生 の 状 態 を 把 握 している 構 成 員 は 飼 料 を 共 有 することで 草 地 の 状 態 に 関 心 を 持 つことが 出 来 ている ここでは 草 地 の 劣 化 したところか ら 順 番 に 翌 年 はとうもろこしの 栽 培 を 行 い 続 いて 更 新 するという 流 れが 確 立 されている 更 新 経 費 は 事 業 体 で 負 担 している 7 草 地 ではとうもろこしを 組 み 込 みながら 順 調 に 更 新 をかけている とうもろこし を 作 ることで 更 新 ができる 1/3 でとうもろこしを 作 ることの 意 義 がある 8 コントラクターとしては 草 地 の 更 新 の 仕 事 は 行 ってはいない しかし 見 てい ると ここ 年 間 ほど 個 人 が 活 発 にやっている 事 業 でやっている 所 もあれ ば 自 力 更 新 をしている 所 もある そのきっかっけは 十 勝 農 協 連 と 共 同 で 行 っ た 植 生 調 と サイロへの 原 料 草 の 積 み 込 みの 圧 縮 係 数 の 調 にあるようだ 平 成 年 度 の 植 生 調 では 111 圃 場 の 調 を 実 施 したが 牧 草 割 合 は 40% 程 度 であった コントラクターのパンフレットには この 現 状 をどう 受 け 止 める べきか? 結 果 を 組 合 員 にフィードバックする 事 で 牧 草 の 大 事 さと 草 地 更 新 のきっかけになればよいのですが とある 調 の 結 果 とその 周 知 が 酪 農 家 の 草 地 管 理 への 関 心 度 を 高 めていると 考 えてよいであろう もう 一 つの 仕 事 は 圧 縮 係 数 の 測 定 である このコントラクター 組 織 では 以 前 から サイロに 収 納 する 原 料 草 運 搬 のダンプカーの 台 数 を 計 測 していた 圧 縮 係 数 というのは ダンプカーの 荷 台 の 容 積 サイロの 容 積 そしてダンプカー の 台 数 で 計 算 され 良 質 な 発 酵 品 質 を 維 持 するためには 1 番 草 では.0 以 上 番 草 では.3 以 上 が 必 要 であるとされている 圧 縮 係 数 の 測 定 の 結 果 からは 年 次 間 の 圃 場 からの 積 み 出 し 原 料 草 の 量 が 比 較 できる 先 の 植 生 調 の 結 果 と 相 まって この 調 事 業 も 酪 農 家 の 草 地 管 理 への 関 心 度 を 高 める 大 きな 刺 激 剤 となっている 8 草 地 管 理 プロトコルの 実 践 とコントラクターの 関 わりの 今 後 流 通 飼 料 の 価 格 動 向 生 乳 生 産 費 のことを 考 えるうえで 北 海 道 では 約 60 万 ヘクター ルの 草 地 から 良 質 なサイレージを 多 収 穫 することが これからはより 一 層 求 められよう しかし 上 述 のように 草 地 の 状 態 は 決 してよいとは 言 えず むしろ 危 惧 される 状 況 にある その 要 因 としては 酪 農 家 の 草 地 管 理 への 努 力 傾 注 の 希 薄 さもある 乳 牛 の 飼 養 頭 数 の 増 加 というトレンドを 今 後 も 辿 るとすれば 今 の 状 況 は 負 のスパイラルの 途 中 にあるとも 言 えよう それを 打 破 する 力 は コントラクターに 頼 らざるを 得 ないであ ろう 上 記 のように 現 在 コントラクターは 種 々の 役 割 を 草 地 の 上 で 実 践 し 努 力 し ているが 良 好 な 草 地 の 維 持 管 理 のプロトコルを 完 全 に 全 うしている 状 況 には 必 ず 56 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書

しも 至 ってはいない コントラクターのコンサルテング 機 能 の 充 実 が どうしても 必 要 となる そのために は 組 織 の 要 員 の 増 強 要 員 の 技 術 力 の 向 上 組 織 の 経 営 基 盤 の 増 強 が 国 や 自 治 体 や 農 協 組 織 との 連 携 の 下 で 行 われなければならないし プロトコルの 実 践 に 当 たっては 農 業 改 良 普 及 センターや 試 験 研 究 機 関 の 支 援 が 欠 かせない 調 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 57

3 牧草サイレージの質の確保とコントラクターの役割 前項では 良い牧草作り の両輪の一つである高収量について考えたが ここでは もう一つの輪である 質 について述べたい 1 良質のサイレージとは 調 良質サイレージの要件としては 採食性が高く 給与したサイレージに残食がない 主成分である繊維の消化性が高く その結果エネルギー含量 TDN 含量 が高い 粗 蛋白質含量が高い 発酵品質が良い 脂溶性ビタミン 特にβーカロテンとαート コフェロールの含量が高い ミネラルの含量とバランスが適切である 過剰のカリウ ムを含まない 等がある チモシーの刈り取り時期と化学組成の変化 下表 表 4 には 北海道のイネ科牧草の主体をなすチモシーの刈り取り時期と化学 ② 組成 TDN 含量の変化の様子を示す 表 4 チモシーの刈り取り時期と化学組成 栄養価 乾物中 粗蛋白質 糖類 高消化性繊維 低消化性繊維 TDN 穂孕み前 18 1 8 9 7 出穂初期 10 11 44 65 出穂盛期 9 10 0 49 60 出穂後期 8 8 17 5 58 開花期 7 10 1 59 55 阿部ら 畜産試験場研究 1979 チモシーは 刈り取り時期が遅くなるにともなって粗蛋白質含量と繊維の消化性が低 下し その結果 TDN 含量も減少する 3 採食量 乳牛によるサイレージの採食量は 刈り取りの時期 水分水準 牧草の切断長によっ て影響を受ける 早い刈り取り時期のもの 水分含量の少ないもの 切断長が短いもの が乳牛の採食性を高める ① 牧草の刈り取り時期と乾乳牛によるサイレージの乾物摂取量 下表 表 5 には イタリアンライグラスサイレージの調製時期と乾乳牛による乾物 摂取量の違いを示す 甘利 阿部ら 日本草地学会誌 000 チモシーの刈り取り時 期と採食量についても これと同様の傾向を示すと考えてよい 58 北海道におけるコントラクターおよび TMRセンターに関する共同調書

表 5 イタリアンライグラスサイレージの刈り取り調製時期と乾乳牛による乾物摂取量との関係 出穂前 出穂期 開花期 結実期 9.4 8.5 7. 6.3 粗蛋白質 11. 6.6 4.9 4.5 高消化性繊維 14.4 9. 6.9 7.0 低消化性繊維 4. 49. 57.0 61.1 第一胃内滞留時間 19.0 4.4 30.0 30.0 下部消化管滞留時間 16.4 16. 19.1 3.9 乾物摂取量 kg/ 日 化学組成 乾物中 調 ② サイレージの水分水準と乳牛による乾物摂取量の関係 下表 表 6 には 根釧農業試験場のいくつかの試験成績を要約して示す 牧草サイレー ② ジの水分含量が 5 上昇するにしたがって 乾物摂取量は 00 600 ｇ減少する 表 6 サイレージの水分水準と乳牛による乾物摂取量の関係 試験 1 試験 試験 3 水分 % 乾物摂取量 kg 水分 % 乾物摂取量 kg 水分 % 乾物摂取量 kg 77.4 13.7 78. 14.6 79.4 9.8 68.8 13.9 57.9 16.1 66.4 1.7 58.9 1.8 4.4 16.1 47.0 13.7 相関係数 0.79 0.90 0.93 回帰係数 0.05 0.04 0.1 ③ 牧草の切断長と乳牛による乾物摂取量の関係 下表 表 7 には 牧草サイレージの切断長と乾物摂取量の関係を示す Ｃ a ｓｔｌｅら 1979 切断長は このように摂取量に影響を及ぼすばかりではなく バンカーサイロ への詰め込み密度 ひいてはサイレージの発酵品質にも影響を及ぼす 後者については コントラクターも気を遣っている コントラクターにおける牧草サイレージの切断長に ついては後述する 表 7 牧草サイレージの切断長と乳牛による乾物摂取量 切断長 mm 水分含量 % 乾物摂取量 kg 採食時間 分 /kg 反芻時間 分 /kg 70 78 6.97 5.8 64.6 17.4 78 8.34 47.4 58.0 9.4 78 9.4 35.6 55.4 北海道におけるコントラクターおよび TMRセンターに関する共同調書 59

④ サイレージの発酵品質 人間が食する漬け物と同じように 発酵の良し悪しが採食性や保存性に強く影響する サイレージの場合には 発酵品質は糖含量など材料である牧草の質ばかりではなく 高密度での詰め込み 空気との接触を遮断する嫌気度の維持が 調製の作業では必要と 調 なる そして その結果は VBN 揮発性塩基態窒素 ph 揮発性脂肪酸含量等によっ て評価され 一般的には V-Score として示され その値によってサイレージの発酵品質 が評価されている V-Score が 80 点以上が良 60 80 点が可 60 点以下は不良と格 付けされる ⑤ 北海道の牧草サイレージの品質の動向 雪印種苗 株 分析グループの篠田英史氏は ここ 10 年の北海道内粗飼料の動向 デーリイ ジャパン誌 01 年 7 月号 において 分析センターに蓄積された飼料分析 ② の数値から 以下のことを述べられている 粗蛋白質平均値は平成 18 年から下がり始め ここ数年の低蛋白質が続いていること が分かります ここ数年の粗飼料は繊維の消化性も劣っているということです 低 消化性繊維含量 リグニンの増加傾向から 良質サイレージとされるｐＨ 4 未満 となる割合が平成 14 年度以降低下し 平成 17 年は約半数前後を占める割合で推 移しており 品質が低下の傾向にあります 発酵品質に関わる項目の推移を見てみると 不良発酵時に増加するＶＢＮ 揮発性塩基態窒素 の全窒素に占める割合が 上記期間 で高くなっているのが分かります 残念ながら北海道のサイレージの品質は低下の傾向にある 氏の論文の中から 一部 具体的なデータを下表 表 8 に示す 表 8 現在 平成 3 年度 と 10 年前の北海道内イネ科主体 細切サイレージ 1 番草粗飼料成分平均値 水分以外は乾物中 年度 水分 粗蛋白質 総繊維 NDF 低消化性繊維 Ｈ 3 75.0 11.6 69.0 59.8 Ｈ 14 73.3 1.7 63.8 56.0 ⑥ どのような品質の牧草サイレージの調製を目標とすべきか これからの北海道のサイレージ 牧草 として どのような品質のものを調製してゆ けばよいのか 個々の酪農家の個体乳量 乳質と飼料構造 飼料給与内容 とから 積 み上げ方式で 栄養価の目標値 を設定するという方法もあるが ここでは 現実に生 産されている牧草サイレージの品質を基礎として 努力目標値 を考えてみたい その素材として 平成 4 年 11 月 9 日に音更町で十勝農協連の主催で行われた 飼 60 北海道におけるコントラクターおよび TMRセンターに関する共同調書

料 アップとかち 展 示 会 01 のサイレージミーテングに 出 品 された 30 点 のサイレージ を 取 り 上 げてみた 下 表 ( 表 9)には 30 点 のサイレージの 成 分 含 量 phの 分 布 と 投 票 の 結 果 ベスト 5 に 選 ばれたサイレージの 分 析 値 を 示 す 表 9 サイレージミーテングに 出 品 された 牧 草 サイレージの 組 成 とベスト 5 に 選 ばれたサイレージの 組 成 ( 水 分 ph 以 外 は 乾 物 中 %) 水 分 TDN 粗 蛋 白 質 NDF 低 消 化 性 繊 維 ph 30 点 の 出 品 サイレージの 変 動 範 囲 61.5-83.7 51.-66.8 7.0-15.5 57.0-79. 47.-77. 3.5-5.3 ベスト 5 のサイレージ 1 位 73.4 63.6 1.3 58.5 47. 3.5 位 77.7 6.4 14.3 58.4 47.4 4.0 3 位 75. 63.7 11.1 61.9 5.1 3.8 調 4 位 74.4 6.4 10.5 65.7 56.5 3.8 5 位 73.9 64.7 13.4 6.6 51.1 4.0 ベスト 5 の 平 均 値 76 63 1 61 51 3.8 ベスト 5 に 選 ばれたサイレージの NDF 含 量 や 低 消 化 性 繊 維 含 量 は 表 8 の 平 成 3 年 度 の 値 よりも 低 く TDN 含 量 も 63%と 60%を 超 えており 価 値 の 高 いサイレージを 生 産 できる 力 量 が 道 内 には 備 わっていると 評 価 できる 現 実 的 には 当 面 この 値 を 目 標 とすべきであろうが 最 終 的 な 目 標 値 はさらに 高 い 水 準 を 設 定 することが 必 要 であると 考 える その 理 由 を 二 つの 側 面 から 述 べる 一 つは 繁 殖 成 績 の 向 上 の 面 からである 繁 殖 成 績 の 向 上 のための 一 つの 技 術 要 素 とし て 周 産 期 の 栄 養 管 理 の 充 実 がある 母 体 雌 牛 の 子 宮 容 積 の 拡 大 等 物 理 的 な 制 限 から この 時 期 分 娩 前 4 週 から 分 娩 発 来 までの 間 の 乾 物 摂 取 量 は 10kg 程 度 に 制 限 される そして この 10kg の 乾 物 の 中 では 牧 草 (サイレージ 乾 草 ) 乾 物 に 求 められる TDN 含 量 は 68% 前 後 になることが 日 本 国 内 の 乳 牛 の 協 定 研 究 成 績 あるいはアメリカ のNRC 飼 養 標 準 から 計 算 されるからである もう 一 つは TMR の 製 造 価 格 をより 下 げるためである 配 合 飼 料 の 価 格 ( 平 成 5 年 11 月 乳 牛 用 配 合 飼 料 工 場 渡 し 価 格 バラ)は 65.4 円 /kg であり 牧 草 サイレージ の 原 価 ( 釧 路 普 及 センター 試 算 )は 7.68 円 ~ 8.1 円 /kg である 栄 養 価 の 高 い 牧 草 サイレージを 生 産 し 乳 牛 の 栄 養 要 求 量 を 充 足 させながら 配 合 飼 料 の 使 用 量 を 減 少 させ 飼 料 給 与 価 格 をより 低 いものとする 努 力 が これからの 北 海 道 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 61

調 酪 農 の 目 標 である 今 牧 草 サイレージを 乾 物 で 日 量 10kg ビートパルプを 1.5kg を 混 合 することを 基 本 としながら 日 乳 量 30 ~ 40kg の 乳 牛 を 対 象 に 考 えると 乾 物 給 与 量 は 0 ~ 4kg 給 与 飼 料 の TDN 含 量 は 乾 物 中 70 ~ 74%が 要 求 量 となる その 中 央 値 kg と 7% を 用 いて 牧 草 サイレージの TDN 含 量 の 違 いが 配 合 飼 料 の 給 与 量 に 及 ぼす 影 響 を 計 算 すると 下 表 のようになる 牧 草 サイレージ TDN 配 合 飼 料 給 与 量 A 68% 9.8kg B 65% 10.kg C 60% 10.8kg D 57% 11.kg E 55% 11.5kg 現 在 の 北 海 道 の 牧 草 サイレージの 大 宗 はDと 考 えられるが これを A Bとすること によって 1 日 の 配 合 飼 料 の 量 は 1 頭 当 たり 1 ~ 1.kg 減 少 させることが 可 能 となる 北 海 道 の 1TMR センターの 平 均 頭 数 は 1,005 頭 である( 平 成 4 年 4 月 北 海 道 TMR センター 協 議 会 資 料 ) 1 日 1 頭 1 ~ 1.4kg の 配 合 飼 料 の 減 量 は 1 センター 当 たり 1,005 ~ 1,407kg 配 合 飼 料 価 格 にして 約 6 万 6,000 円 ~ 9 万,000 の 減 額 となる 目 標 は 高 い 方 が 良 い 泌 乳 最 盛 期 と 周 産 期 向 けの 牧 草 サイレージの 乾 物 中 TDN 含 量 として 65 ~ 68%を 目 標 値 として 掲 げ 牧 草 の 品 種 刈 り 取 り 時 期 肥 培 管 理 草 地 の 維 持 管 理 等 に 努 め その 体 系 の 計 画 と 実 践 をコントラクター そして コントラクター を 取 り 囲 む 地 域 の 関 係 者 の 集 団 に 期 待 したい 7 良 質 サイレージの 調 製 とコントラクターの 対 応 上 記 のように サイレージの 品 質 は 刈 り 取 り 時 期 の 選 択 サイロの 材 料 草 の 詰 め 込 み 密 度 ( 踏 圧 切 断 長 ) 水 分 含 量 等 によって 変 動 する コントラクターはこれらサイレー ジの 品 質 に 影 響 する 事 柄 にどう 対 応 しているのかを 今 回 の 聞 き 取 り 調 の 中 から 紹 介 する 1 刈 り 取 り 順 序 については コントラクターの 構 成 員 の 中 で 順 番 を 決 めてもらっ ている 構 成 員 外 の 人 達 に 対 しては 地 域 毎 にまとめてやっている 大 体 が 北 回 りとか 南 回 りとかにして 地 域 毎 の 対 応 にしている 1 番 草 は 6 月 の 15 日 前 後 からスタートするが 7 月 10 日 くらいまではかかる 6 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書

( 宗 谷 地 方 ) 3 この 地 区 は 牧 草 の 予 乾 が 難 しいので 殆 どがダイレクトである それでも 搾 っ ている 人 は 搾 っているので 酪 農 家 の 給 与 技 術 があるのかもしれない 4 1 番 草 も 番 草 も 設 定 切 断 長 は 9mm である 5 きっちりと 詰 め 込 む 事 が 出 来 踏 圧 がしっかりとゆくならば 切 断 長 は 長 くて もよい それがうまくゆかないような 草 では 短 く 切 断 する 経 験 的 なものである 6 1 番 草 は 6 月 5 日 から 1 日 間 程 度 の 間 隔 で 調 製 するが 水 分 の 目 標 は 74% しかし 実 際 には 7 ~ 78% 程 度 に 分 布 する ( 中 標 津 ) 7 TMR センターの 草 地 からのサイレージ 調 製 を 委 託 している 農 業 土 木 会 社 の 専 務 が サイレージ 作 りにこだわりを 持 っていて 踏 み 方 や シートのかけ 方 を 厳 密 に 管 理 してくれている 8 粗 飼 料 の 水 分 は 毎 日 測 定 している 月 曜 日 にサイレージの 分 析 結 果 を 基 に 飼 料 設 計 の 部 分 的 な 変 更 を 行 っている 9 TMR センターのバンカーには 一 つ 一 つどの 畑 からのものかを 誰 でもが 見 られ るように センター 事 務 所 内 に 掲 示 版 を 作 って 表 示 している その 中 には 刈 り 取 り 調 製 日 添 加 剤 の 種 類 ( 乳 酸 菌 ギ 酸 ) 水 分 雨 当 たりの 有 無 1 番 草 か 番 草 か とうもろこしか 牧 草 か が 記 載 されている 10 普 及 センターには TMR センターの 全 面 的 なバックアップをいただいている コントラクターのオペレーターにはバンカーの 踏 み 方 の 講 習 会 をやっていただ いた サイレージの 品 質 は 良 いものが 出 来 るようになってきている 11 1 番 草 の 収 穫 調 製 の 前 の 6 月 1 日 に 毎 年 全 筆 の 圃 場 の 植 生 調 を 行 って いる それはコントラクターの 職 員 で 回 っている チモシーとアルファルファ の 混 播 が 多 いので 6 月 10 日 位 から 刈 り 取 りが 始 まるが 回 っていると ここ はどのような 状 態 かが 分 かってくる この 調 結 果 が コントラクターによる 刈 り 取 り 計 画 の 基 礎 データとなる これをベースとしてコントラクターが 刈 り 取 り 計 画 を 作 り コントラクターの 利 用 者 の 協 議 会 に 提 出 し 調 整 をした 後 作 業 に 入 る 予 乾 の 程 度 であるが 水 分 は 80%を 切 りたいと 考 えてやっている 75 ~ 78%という 水 準 のものが 多 いが 天 気 の 悪 い 時 には 80%ということもあ る 切 断 長 は 14mm であるが 踏 みづらくなると(フカフカになると)11mm になることもある 添 加 剤 は 乳 酸 菌 を 使 っている 調 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 63

4.コントラクターと 地 域 との 関 係 についての 考 察 ここでは 地 域 社 会 の 中 におけるコントラクターの 存 在 について いくつかのこと を 考 えてみる 調 1 地 域 の 行 政 や 農 協 等 組 織 との 連 携 地 域 の 経 済 活 動 の 主 体 が 酪 農 であるような 地 域 では 自 治 体 の 関 与 のあり 方 がコント ラクターの 活 動 や 活 性 に 重 要 な 役 割 を 持 つ J A 東 宗 谷 のコントラクターは 牛 の 預 託 事 業 堆 肥 センター 初 任 牛 を 作 って 販 売 する 基 礎 雌 事 業 そして コントラ クター 業 務 を 一 つのセットとして 行 っているが この 中 には 村 の 指 定 管 理 契 約 の 下 に 行 っているものもあり 預 託 事 業 を 行 っているために 牧 草 の 収 穫 機 械 は 村 が 導 入 し ている また 一 部 の 機 械 は 農 協 と 村 が 共 同 で 購 入 している そのようなことから 担 当 部 長 は 村 ( 地 域 行 政 )との 関 わりが 大 切 であることを 主 張 していた 以 前 に 筆 者 が 取 材 をした 清 水 町 農 業 サポートセンターのマネジャーの 林 敬 貴 氏 は 地 域 社 会 の 責 務 を も 含 めてコントラクターの 地 域 社 会 における 位 置 付 けを 以 下 のように 述 べておられる ( 畜 産 の 情 011 年 3 月 号 農 畜 産 業 振 興 機 構 ) 1 最 も 大 切 なことは 地 域 農 業 を 衰 退 させないよう 地 域 のリーダーが 農 業 をどの ように 位 置 づけ その 将 来 像 を 創 り 上 げるかである 地 域 農 業 の 将 来 像 を 策 定 する 中 で 担 い 手 と コントラクター の 総 体 的 な パワーを 考 慮 しつつ コントラクターの 任 務 を 検 討 し コントラクターの 地 域 社 会 における 存 在 価 値 を 明 確 にすることが 次 に 必 要 である 3 そのような 地 域 社 会 の 負 託 と 自 己 の 責 務 の 両 方 から コントラクターは 企 画 力 交 渉 力 判 断 力 技 術 力 を 向 上 させる 方 向 に 向 かう 必 要 がある 4 地 域 社 会 は コントラクターに 対 して 地 域 産 業 を 支 える 組 織 としての 責 任 を 負 わ せることになるが 同 時 に 農 協 や 市 町 村 役 場 は コントラクターの 組 織 維 持 の ために コントラクターに 市 町 村 農 協 が 保 険 をかけるような 仕 組 みなど 工 夫 していただきたい 5 コントラクターの 経 営 者 は コントラクターの 設 立 と 維 持 に 関 して 理 念 を 持 って 行 動 することが 前 提 で その 下 で 従 業 員 は 高 度 な 技 術 と 経 験 を 持 って 任 務 を 遂 行 することが 望 ましい 作 業 機 械 は 堅 牢 かつ 能 力 の 高 いものを 備 え 種 々の 活 動 に 要 する 経 費 は 原 則 農 業 者 からの 出 資 で 賄 うこととし 不 足 の 部 分 は 上 記 のような 形 で 農 協 や 市 町 村 が 補 てんするという 仕 組 みを 備 えておく 5 新 たな 収 入 源 の 確 保 として コンサルタント 機 能 の 付 加 がある 草 地 の 維 持 更 新 牧 草 の 品 種 の 選 定 と 刈 り 取 り 作 業 スケジュールの 提 案 等 々 考 えられる 仕 事 は 種 々あるが 現 在 の 仕 事 と 酪 農 家 の 反 応 を 考 えながら 今 は 模 索 中 である 64 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書

TMR センターとの 連 携 既 に 述 べたが コントラクターと 酪 農 家 の 接 触 については コントラクターと 酪 農 家 の 個 別 の 契 約 と TMR センターの 委 嘱 下 に TMR センター 傘 下 の 草 地 の 管 理 収 穫 調 製 の 二 つがあり コントラクターの 中 には 両 方 の 仕 事 を 兼 ねているところもあ る 農 林 水 産 省 が 実 施 したアンケートの 中 に あなたはコントラクターに 今 後 どの ようなことを 望 みますか という 設 問 があるが 北 海 道 の 60 人 の 回 答 の 中 には TMR の 供 給 をして 欲 しい という 希 望 もある(10%) 今 後 の 方 向 として TMR センター の 設 立 が 増 加 し それに 参 加 する 既 存 のコントラクターや 新 規 のコントラクター 組 織 の 立 ち 上 げも 予 測 される その 場 合 の 両 者 (TMR センターとコントラクター)の 機 能 についても 上 記 のプロトコルに 則 して 考 え その 上 での 多 様 な 技 術 内 容 についての 連 携 がなされると 良 い 3 地 域 社 会 との 連 携 担 い 手 の 役 割 今 回 調 した 多 くの 事 業 体 は 地 域 の 運 送 業 者 やトラック 協 会 などと 連 携 し オペレー ターの 確 保 や TMR 製 造 の 委 託 を 行 っていた コントラクターおよび TMR センター 事 業 は 地 域 社 会 と 連 携 することで 一 定 の 雇 用 の 場 も 創 出 している 酪 農 家 の 後 継 者 育 成 を 考 える 際 に 草 地 管 理 および 飼 養 管 理 の 技 術 を 総 合 的 に 深 度 を 持 って 身 につける ことは 難 しい 課 題 と 言 える 今 回 調 した TMR センターでは 次 世 代 の 若 者 ( 後 継 者 )をコントラクター 作 業 のオペレーターとして 雇 用 していた 事 業 体 の 中 で 熟 練 した 技 術 を 身 につけている 酪 農 家 が こうした 若 手 のオペレーターを 指 導 することで 技 術 の 伝 承 を 行 っている また 月 に 1 回 の 定 例 会 では 事 業 体 の 構 成 員 が 集 まり 情 交 換 することで 地 域 内 のコミュニテイーの 繋 がりを 強 めている このように コントラク ターおよび TMR センターの 事 業 を 通 して この 地 域 の 担 い 手 の 養 成 や 地 域 のコミュニ テイー 形 成 に 大 きな 役 割 を 果 たしている 今 後 酪 農 地 帯 の 高 齢 化 が 進 んでいくことを 考 えると こうした 機 能 を 充 実 させることで 新 規 就 農 者 の 受 け 入 れや 後 継 者 の 確 保 に 大 きく 貢 献 できると 考 えられる 調 4 リース 業 者 によるコントラクターシステム 細 断 型 ロールベーラーの リース 業 者 による 新 たな 形 でのコントラクターシステムが 注 目 されている 耕 種 農 家 に 対 して コントラクター 形 式 でとうもろこしの 播 種 や 栽 培 を 請 負 い 販 売 流 通 まで 実 施 しており 広 域 の 流 通 も 行 われているようである 新 た な 飼 料 生 産 および 流 通 システムとして 注 目 を 集 めており 利 用 面 積 は 順 調 に 伸 びている 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書 65

調 5 粗 飼 料 の 広 域 流 通 今 回 の 調 ( 宗 谷 地 区 )では とうもろこしサイレージの 他 地 域 からの 供 給 とい う 事 も 話 題 になった いわゆる 粗 飼 料 の 広 域 流 通 である これにつては とうもろこし サイレージの 道 内 間 北 海 道 からの 府 県 への 流 通 が 一 部 行 われているが 未 だ 大 きな 流 れにはなっていない 余 剰 サイレージばかりではなく 商 品 として 作 られるサイレージも 今 後 各 地 で 生 産 されてくることも 考 えられる どの 地 域 に 何 が どれだけ という 情 を 把 握 してい るのはコントラクターである 粗 飼 料 広 域 流 通 の 窓 口 情 提 供 者 としての 機 能 も これからのコントラクターには 期 待 されるであろう 6 コントラクターと 受 益 者 の 関 係 コントラクターと 受 益 者 との 間 の 関 係 についても 今 回 の 調 では 話 題 となった 二 つの 問 題 があって 一 つは 緊 張 関 係 の 維 持 もう 一 つは 許 容 の 問 題 である 前 者 は 実 際 の 作 業 における 両 者 間 のルールの 徹 底 不 徹 底 が 作 業 そのものを 円 滑 にしたり そうと はならずに 予 想 外 の 作 業 時 間 となってしまうという 結 果 に 繋 がっているようで その 緊 張 感 の 強 さというか ルールの 徹 底 度 合 は 事 業 所 によって 違 うようである 後 者 は 以 下 のような 話 である 農 家 は 収 穫 はこの 時 期 にやってもらいたいという 事 がありますよね それをコントラが 全 て その 通 りにやろうとすれば 恐 らくそのシー ズンは 終 わらないですね だから 任 せる 人 は 今 日 来 ようが 一 週 間 後 に 来 ようが コ ントラが 決 めたスケジュールで 待 っているという 頼 むほうの 気 持 ちですね 利 用 する 側 がそういう 意 識 になる 必 要 があるのではないでしょうか 自 分 の 思 う 通 りにやっても らうというのではなく 頼 んで 仕 事 をしてもらうのですから 66 北 海 道 におけるコントラクターおよび TMRセンターに 関 する 共 同 調 書