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3 [ 食 品 工 場 の 生 産 管 理 システム] 中 小 食 品 工 場 における 生 産 管 理 システム 導 入 時 の 課 題 ローゼック 代 表 取 締 役 早 川 雅 人 1 はじめに ウチはまだそのレベルじゃありませんから 年 商 が 5 億 円 から 50 億 円 規 模 の 中 小 食 品 工 場 で 生 産 管 理 システムの 導 入 状 況 について 尋 ね ると, 多 くの 場 合 このような 答 えが 返 ってく る IT に 詳 しい 人 材 がいない, 予 算 が 無 い, 過 去 に 購 入 したものの 稼 働 できなかっ た などの 理 由 から,そう 考 えるのであろう しかし, 大 企 業 よりも 中 小 企 業 の 方 が 導 入 しや すく 得 られるメリットも 大 きい,というのが 筆 者 の 考 えだ 一 般 的 な 生 産 管 理 システムは, 生 産 計 画 手 配 計 画, 製 造 管 理, 購 買 管 理, 在 庫 管 理, 原 価 管 理 などのプログラム 群 によって 構 成 される 各 プログラムは 工 場 内 の 部 署 や 担 当 者 の 職 務 分 掌 に 対 応 した 機 能 を 持 ち, 単 独 でも 動 作 するよ うに 設 計 されている そして, 実 際 の 業 務 が 複 数 部 署 や 複 数 の 担 当 者 が 相 互 にコミュニケー ションを 取 りながら 進 められるように, 生 産 管 理 システムにおける 各 プログラムも 連 携 して 操 作 されるが, 関 与 者 が 増 えるほど 調 整 が 増 え 運 用 が 難 しくなっていく 前 段 で 中 小 企 業 の 方 が 導 入 しやすい,と 述 べた 理 由 はここにある 組 織 構 造 の 観 点 からは, 分 業 化 の 度 合 いが 低 い 中 小 企 業 の 方 が 生 産 管 理 システムを 適 用 しやす い,と 言 えるのである 本 稿 では, 中 小 食 品 工 場 が 生 産 管 理 システムを 導 入 する 際 に 注 意 すべ き 点 について,マスタ 整 備 と 個 別 機 能 ( 生 産 計 画 手 配 計 画, 製 造 管 理, 購 買 管 理 )の 面 から 述 べる 在 庫 管 理 や 原 価 管 理 については 文 字 数 の 都 合 もあり, 別 の 機 会 に 述 べさせていただき たい 2 マスタ 整 備 生 産 管 理 システムにおいて 特 に 重 要 なマスタ は 1. 品 目 マスタ( 品 目 とは, 商 品, 製 品, 中 間 品, 原 材 料, 包 装 資 材 などの 総 称 ),2.レシ ピマスタ,3. 工 程 手 順 マスタの 3 つである マ スタが 正 しくなければシステムは 機 能 しない が,マスタ 整 備 はシステムを 動 かすための 手 段 に 過 ぎない 労 力 をかけるべき 領 域 ではなく, 可 能 な 限 り 時 間 と 工 数 を 減 らす 工 夫 が 必 要 であ ろう 極 力 シンプルなマスタにすることが, 生 産 管 理 システム 導 入 に 成 功 するキーである 2-1 品 目 マスタ 商 品 や 製 品 のマスタは 大 抵 どこの 工 場 でも 整 備 されているが, 中 間 品, 原 材 料, 包 装 資 材 に ついては 未 整 備 の 工 場 が 多 い 新 たにマスタを 11 2014 75

整 備 し 直 す 場 合 は, 以 下 に 述 べる 3 つの 点 につ いて 留 意 していただきたい 1 コード, 意 味,カテゴリ まずコードには 意 味 を 極 力 持 たせるべきで はない コードに 意 味 を 持 たせるとは, 例 え ば 大 分 類 製 品 1, 中 分 類 弁 当 01, 小 分 類 和 食 01, 連 番 0001 と 定 義 して 品 目 コードを 101010001 などと 決 めていくや り 方 である コード 体 系 を 知 っている 者 には コードを 見 ただけでカテゴリが 理 解 できる, 探 しやすいメリットがある 反 面, 知 らない 者 にとっては 桁 数 が 増 えて 扱 いづらくなるデメ リットが 生 じる ちょっとした 敷 居 だが, 時 間 の 経 過 とともにシステム 関 連 業 務 が 属 人 化 していく 芽 を 孕 んでおり,マネジメントの 観 点 からも 回 避 すべきである 品 目 の 探 しやす さはコードに 求 めるのではなく, 項 目 属 性 が 引 き 受 けることで 容 易 に 解 決 できる さらに, 現 時 点 では 使 いやすいカテゴリで あっても, 将 来 は 実 態 と 齟 齬 が 生 じ 使 いにく くなることが 多 い 大 きな 変 化 ( 事 業 分 野 の 絞 り 込 み, 新 事 業 進 出, 企 業 買 収 など)がな くとも, 特 定 カテゴリ 内 でコードが 足 りなく なる, 複 数 のカテゴリにまたがるコンセプト の 商 品 が 生 まれる,などは 容 易 に 起 こり 得 る 結 局, 分 類 とは 特 定 の 視 点 からの 切 り 分 け 方 法 にすぎないのであるから, 全 社 共 通 で 長 期 間 に 渡 って 利 用 され 続 ける 品 目 コードの 採 番 ルールとしては 不 適 切 なのである 2 原 材 料 のコード 品 目 マスタ 整 備 の 際 に 考 慮 すべき 2 番 目 は, 原 材 料 のコードについてである レシピ 構 成 上 の 上 位 品 目 ( 例 えば 製 品 )によって 原 産 地 や 栽 培 方 法 などの 属 性 が 規 定 される 原 料 は,コードを 分 けた 方 が 良 い 例 えば 国 産 野 菜 だけをつかった 野 菜 ジュース と ( 輸 76 入 野 菜 も 使 った 普 通 の) 野 菜 ジュース の 両 方 を 製 造 している 工 場 の 場 合 は, 国 内 人 参 と 輸 入 人 参 はコードを 別 にとる さらに 千 葉 県 産 にこだわったキャロットジュース を 作 っている 工 場 ならば, 千 葉 県 産 人 参 は 別 コードになろう コードを 分 けなくてもモノ を 区 別 することは, 項 目 属 性 ( 原 産 地, 栽 培 方 法,グレード,ロット, 場 所, 消 費 期 限 な ど)を 併 用 すれば 可 能 であるが, 現 場 の 負 荷 は 確 実 に 増 大 する 人 参 + 国 産 と 2 項 目 入 力 するよりも, 国 産 人 参 と 1 項 目 で 済 ませる 方 がシンプルで 良 い 3 中 間 品 のコード 3 番 目 は 中 間 品 のコードについてである が, 量 的 変 化 後 または 質 的 変 化 後 に 在 庫 管 理 が 必 要 な 場 合 はコードを 分 けるべきある 例 えば 1 日 単 位 で 在 庫 数 を 把 握 している 工 場 の 場 合, 前 日 計 量 して 準 備 しておく 原 料 は 計 量 後 中 間 品 としてコードを 分 け, 当 日 計 量 して 翌 日 に 繰 り 越 さない 原 料 はコードを 分 け ない 在 庫 管 理 が 必 要 な 場 合 に という 制 限 事 項 を 忘 れて, 量 的 変 化 または 質 的 変 化 と いう 点 だけに 着 目 しコードを 分 けると,コー ドの 数 が 増 えレシピ 階 層 は 重 層 化 する 当 然,マスタ 維 持 の 負 荷 も 増 える ただでさえ 人 手 の 足 りない 中 小 工 場 では, 遠 からずシス テムが 稼 働 しなくなってしまうであろう 同 様 の 理 由 で, 指 示 を 出 す 工 程 ごとに 中 間 品 の コードを 割 り 振 る( 例 えば 野 菜 の 洗 浄 室 と 続 くカット 室 に 対 し 別 々の 指 示 書 を 印 刷 するた めにコードを 分 ける 等 ) 方 法 も 勧 められな い これを 回 避 するためには, 後 述 する 工 程 手 順 マスタの 工 程 番 号 と 合 わせて 指 示 を 出 す 仕 組 みが 必 要 である 食 品 機 械 装 置

2-2 レシピマスタ レシピマスタすなわち 部 品 表 は 配 合 または 処 方 を 構 造 化 したマスタであり, 品 目 間 の 親 子 関 係, 投 入 比 率 の 必 須 要 素 に 加 えて, 投 入 順 序, 歩 留, 日 付 (いつからいつまで 使 用 するか)な どで 構 成 される レシピマスタが 間 違 っている と 製 造 指 示 書 や 発 注 書 が 正 しく 出 力 されないの で, 導 入 時 点 のみならず 将 来 に 渡 って 高 い 精 度 が 求 められる ただし,レシピデータの 整 備 には 手 間 がかか る 生 産 管 理 システムの 導 入 コストを 左 右 する といって 良 い にもかかわらず,レシピマスタ 整 備 の 工 数 削 減 について 具 体 的 に 記 された 文 章 を 筆 者 は 目 にしたことがない せいぜいコピー 機 能 をうたう 程 度 である マスタ 整 備 の 責 任 は 最 終 的 にユーザ 企 業 が 負 うにせよ,ソフトウェ ア 会 社 にはユーザ 負 荷 を 減 らす 方 法 をガイドす る 責 任 があるのではないだろうか 重 要 と 思 わ れる 点 を 3 つ 指 摘 する 1 商 品 開 発 レシピと 製 造 レシピ 組 立 加 工 業 の 部 品 表 に 設 計 部 品 表 (Engineering BOM,E-BOM)と 製 造 部 品 表 (Manufacturing BOM,M-BOM)が 存 在 す るように, 食 品 製 造 業 のレシピマスタにも 商 品 開 発 担 当 者 が 使 う 開 発 用 のレシピと 製 造 現 場 が 使 う 製 造 用 のレシピが 存 在 する( 両 者 を 分 けるべきか? 統 合 すべきか? という 議 論 は 本 稿 では 割 愛 させていただく) 商 品 開 発 レシピの 特 徴 は 原 材 料 表 示 内 容 作 成 を 意 識 した 作 りとなっていることである 仕 入 先 か ら 調 達 する 加 工 食 材 に 含 まれる 基 原 原 料 をレ シピに 登 録 することで, 重 量 計 算 やアレル ギー 表 示 にシステムで 対 応 できる アレル ギーのコンタミネーションを 考 慮 に 入 れたラ イン 計 画 を 除 けば,これらの 情 報 は 製 造 現 場 には 不 要 である 逆 に 在 庫 管 理 の 都 合 で 登 録 する 仕 掛 品 情 報 や 投 入 情 報, 工 程 情 報 など は, 商 品 開 発 レシピには 不 要 である 2 つのレシピマスタが 別 々のシステムで 管 理 される 場 合 は, 最 低 でも 品 目 コードは 同 期 を 取 らねばならない( 品 目 コードは 全 社 的 に 統 一 化 されていることが 前 提 である) その 際, 時 系 列 で 先 に 作 成 される 商 品 開 発 レシピ が 主 で, 製 造 レシピが 従 となる 従 たる 製 造 レシピを 担 当 するのは 生 産 管 理 システムであ るが, 商 品 開 発 レシピの 階 層 情 報 を 流 用 でき ることが 求 められる 商 品 開 発 と 製 造 現 場 の 間 でレシピ 情 報 の 共 有 を 促 す 仕 組 みや,マス タ 整 備 の 遅 延 を 防 ぐ 仕 組 みがあればなお 良 い だろう 同 じ 製 品 であってもレシピは 常 に 変 化 し 続 けるという 現 実 がレシピマスタの 精 度 維 持 を 困 難 なものにする 特 定 の 日 付 を 境 にして 使 用 原 材 料 や 配 合 量 が 一 度 に 変 わるということ であれば,レシピに 日 付 を 持 たせることで 対 応 可 能 である だが, 食 品 製 造 業 ではあまり 発 生 しないことであるが, 原 材 料 の 在 庫 が 無 くなったらレシピを 切 り 替 える, 現 場 の 判 断 で 代 替 品 目 を 使 用 することがある,といった 場 合 はどうか マスタをその 都 度 変 更 するこ とは 現 実 的 ではないので, 製 造 指 示 または 完 成 登 録 の 際 に 一 時 的 に 変 更 するような 仕 組 み が 必 要 となる 2 複 数 階 層 整 備 昔 の 生 産 管 理 システムのレシピマスタは, 原 材 料 と 仕 掛 品, 仕 掛 品 と 製 品,といった 具 合 に 一 階 層 ごとに 定 義 する 方 法 をとるものが 多 かった だがこれでは, 製 品 から 原 材 料 ま での 全 体 を 俯 瞰 しながらレシピマスタを 作 る ことが 出 来 ない 一 度 定 義 した 階 層 の 下 に 新 たに 階 層 を 追 加 することを 禁 止 しているシス 11 2014 77

テムもあった 或 る 製 品 や 仕 掛 品 が 他 の 製 品 や 仕 掛 品 の 共 通 部 品 である 場 合 に 影 響 が 出 る ことを 考 慮 しているのだと 思 われる このシステム 操 作 上 の 制 約 は, 既 にレシピ マスタが 整 備 されていて IT 専 任 のスタッフ がいる 企 業 は 別 として, 多 くの 中 小 食 品 工 場 にとって 無 視 できない 多 大 な 負 荷 が 発 生 する 要 因 となる マウス 操 作 で 複 数 階 層 の 追 加, 変 更, 削 除 を 一 度 に 出 来 るようにするなど, 可 能 な 限 り 直 感 的 な 操 作 が 求 められるのでは ないか ただし MRP という 枠 内 で 言 えばレ シピマスタの 基 本 構 造 は 昔 も 今 も 変 わらない のだから,レシピ 登 録 処 理 の 際 には 当 レシピ が 他 品 目 のレシピに 影 響 を 与 えないか, 与 え るのであればそのまま 変 更 を 許 可 するのか, などのチェック 機 能 が 必 要 である 3 レシピに 登 録 する 数 値 生 産 管 理 システムで 使 う 製 造 レシピは,1 製 品 あたりの 数 値 で 登 録 すべきであろうか それとも 1 製 造 バッチあたりの 数 値 で 登 録 す べきであろうか 商 品 開 発 レシピを 別 で 管 理 する 前 提 で 言 えば, 製 造 指 示 の 出 し 方 によっ てどちらかを 決 めるべきである おにぎりを 100 個 作 れ,という 場 合 は 前 者 で 良 い しか しスープのような 液 体 の 場 合 は, 〇 〇 を 何 キ ロ 投 入 せよ,という 指 示 の 出 し 方 になる こ のため 製 造 現 場 にとって 重 要 なレシピの 数 値 は, 製 品 1 個 あたりではなく 1 製 造 バッチあ たりになる 歩 留 や 製 造 指 示 の 際 の 単 位 換 算 を 使 えば 製 品 1 個 あたりのレシピ 登 録 も 可 能 ではあるが,ユーザとしては 違 和 感 がぬぐえ ないであろう いずれの 方 法 でも 登 録 できる ような 柔 軟 さがシステム 設 計 に 求 められる 製 造 レシピ, 商 品 開 発 レシピのいずれで あってもレシピマスタはグラムなどの 単 一 の 単 位 で 登 録 させる,という 考 えもある 製 造 78 指 示 数 は 基 準 となる 単 位 の 数 値 に 換 算 係 数 を 乗 じて 得 る,という 考 えだ マスタ 整 備 の 方 法 論 としてわかりやすく, 原 材 料 表 示 作 成 の 際 に 必 要 な 重 量 計 算 を 考 えると 便 利 である だが, 比 重 の 異 なる 原 材 料 ( 例 えば 油 )はど う 扱 うのだろうか 重 量 ではなく 容 積 で 投 入 量 を 決 定 するのである 換 算 係 数 を 使 って 無 理 に 端 数 処 理 して 計 算 するよりも, 最 初 から 製 造 指 示 で 使 用 する 単 位 でレシピマスタに 登 録 しておく 方 が 自 然 であり 無 駄 がないのでは ないか 2-3 工 程 手 順 マスタ 工 程 手 順 マスタあるいは 工 順 マスタは, 品 目 に 対 し 工 程 の 順 序 や 作 業 区, 設 備, 能 力,リー ドタイム, 内 外 区 分 などを 定 義 する 一 部 の 簡 易 的 なシステムでは 工 程 手 順 マスタをあえて 省 略 し, 品 目 マスタにこれらの 情 報 を 持 たせるも のもある マスタ 整 備 の 難 易 度 を 下 げるメリッ トがあり, 中 小 食 品 工 場 の 入 門 編 としてとらえ るのであれば 良 いアイディアである しかし 工 程 手 順 マスタを 省 略 すると, 製 造 ラインを 切 り 替 える, 内 製 品 を 一 時 的 に 外 注 する,などの 場 合 に 新 たな 品 目 コードやレシピを 追 加 しなけれ ばならない 同 じモノなのに 品 番 が 異 なるとい う 事 態 が 生 じ 在 庫 管 理 に 支 障 が 出 る また, 複 数 工 程 に 対 し 別 々の 製 造 指 示 書 を 出 すために 品 目 コードを 作 る 必 要 が 出 るのは, 2-1 3で 述 べたとおりである 工 程 手 順 マスタを 省 略 し たところで 品 目 マスタやレシピマスタにシワ 寄 せが 行 くか, 融 通 のきかないシステムになる か,のどちらかになると 思 われる 2-4 マスタまとめ 最 初 に 述 べたとおり,マスタ 整 備 は 手 段 で あって 目 的 ではない マスタ 整 備 の 工 数 に 耐 え 食 品 機 械 装 置

切 れず 生 産 管 理 システムが 稼 働 しなかった,と いう 話 は 珍 しいことではない そのため, 現 状 のコード 体 系 に 特 段 不 便 を 感 じていないようで あれば,これまで 本 稿 で 述 べたことに 反 してい てもそのまま 使 い 続 けることも 選 択 肢 のひとつ だ 桁 数 の 問 題 が 生 じているのであれば, 現 状 の 品 目 コードに 単 純 に 2 桁 加 えてやっても 良 い 現 場 が 慣 れ 親 しんだコード 体 系 を 捨 てるデ メリットも 存 在 するのだ CIO など IT 専 任 の 役 員 が 居 ない 中 小 食 品 工 場 の 場 合 は,マスタ 整 備 方 針 は 経 営 トップが 判 断 を 下 すべき 重 要 な テーマと 言 ってよい 3 個 別 機 能 冒 頭 で 述 べたとおり, 生 産 管 理 システムを 構 成 する 生 産 計 画 手 配 計 画, 製 造 管 理, 購 買 管 理, 在 庫 管 理, 原 価 管 理 などのプログラム 群 は, 一 定 の 独 立 性 を 保 ちつつ 相 互 に 連 携 している この 相 互 連 携 は 2 種 類 のデータ,すなわちオー ダーと 実 績 データを 介 して 実 現 される オー ダーには 受 注 オーダー, 製 造 オーダー, 購 買 オーダー, 移 動 オーダー 等 があり, 生 産 計 画, 製 造 管 理, 購 買 管 理 の 各 プログラムを 媒 介 す る 指 示 や 注 文 と 言 い 換 えると 分 かりやすい 少 々 乱 暴 な 表 現 ではあるが, 実 績 データはオー ダーの 実 行 結 果 を 記 録 したものである 以 上 を 予 備 知 識 として, 個 別 機 能 についてご 一 読 いた だきたい 3-1 生 産 方 式 日 本 工 業 規 格 (JIS 規 格 )では, 生 産 計 画 を 生 産 量 と 生 産 時 期 に 関 する 計 画 と 定 義 して いる 生 産 量 と 生 産 時 期 を 適 切 に 計 画 するため には, 工 場 の 製 造 能 力 を 考 慮 したスケジューリ ング 的 要 素 が 必 要 であるが, 本 稿 では 触 れな い 中 小 食 品 工 場 の 多 くが 労 働 集 約 型 であり 作 業 者 の 頭 数 さえ 揃 えれば 何 とか 仕 事 をこなせて しまうという 無 限 能 力 状 況 にあるためである 負 荷 配 分 ( 山 積 みと 山 崩 し)が 問 題 になること は 少 ない 資 本 集 約 型 であっても, 大 手 に 比 べ て 機 械 設 備 の 数 が 少 ない 中 小 食 品 工 場 の 場 合 は, 自 作 の Excel シートでも 十 分 対 応 できてい るようだ 以 下, 生 産 方 式 について 述 べる 受 注 してか ら 設 計 に 着 手 す る 個 別 受 注 生 産 (ETO = Engineer to Order)で 運 営 される 食 品 工 場 の 存 在 は 寡 聞 にして 聞 かない 1 受 注 後 に 原 材 料 を 手 配 する 繰 り 返 し 受 注 生 産 (MTO = Make to Order),2 受 注 後 に 製 造 する 受 注 組 み 立 て 生 産 (ATO = Assemble to Order),3 見 込 み 生 産 (MTS = Make to Stock)のいずれか, と 言 ってよいだろう 1 繰 り 返 し 受 注 生 産 業 務 用 カット 野 菜 工 場 などに 見 られる 特 に 給 食 施 設 向 けに 製 造 する 場 合 は, 献 立 表 が 存 在 するので 生 産 計 画 数 が 早 い 段 階 で 確 定 さ れ,またブレも 少 ない 規 模 の 小 さい 工 場 の 場 合 は 原 材 料 の 使 用 量 も 少 ないため, 原 材 料 がショートしそうになったら 近 隣 の 市 場 や 卸 に 直 接 出 向 いて 数 時 間 以 内 に 調 達 を 済 ませる ことも 可 能 である ただし, 原 材 料 である 野 菜 の 相 場 が 天 候 状 況 等 により 大 きく 変 動 する ため, 価 格 が 安 い 時 に 多 めに 発 注 して 在 庫 と して 確 保 しておくこともあり, 一 概 に 原 材 料 在 庫 を 持 たないとは 言 えない 2 受 注 組 み 立 て 生 産 弁 当 や 惣 菜, 生 麺, 生 菓 子 などの 日 配 品 が 該 当 する( 後 述 のコンビニエンスストア 向 け は 例 外 ) 賞 味 期 限 が 1 日 から 数 日 と 短 いた め, 製 品 の 作 り 置 きが 出 来 ない 原 材 料 在 庫 は 一 定 量 確 保 しつつ, 製 造 で 減 った 分 だけ 小 11 2014 79

まめに 手 配 をかけるのが 一 般 的 である 製 造 リードタイムが 短 いものが 多 いため, 受 注 数 が 確 定 した 後 に 製 造 指 示 をかけても 納 期 まで 余 裕 がある ただし, 生 産 設 備 がボトルネッ クとなって 受 注 後 にイチから 製 造 を 開 始 する のでは 納 期 に 間 に 合 わない 場 合 は, 仕 掛 品 在 庫 を 持 って 対 応 しているようである 3 見 込 み 生 産 一 般 的 には 飲 料 や 調 味 料 など 賞 味 期 限 が 長 く 日 持 ちがする 製 品 が 該 当 する 常 温 で 保 存 可 能 な 製 品 は 特 にその 傾 向 が 強 い 例 外 は, コンビニエンスストア 向 けに 収 める 日 配 品 で ある 受 注 数 確 定 から 出 荷 まで 数 時 間 しか 与 えられない 納 品 リードタイムが 製 造 リード タイムに 満 たないうえ, 賞 味 期 限 も 1 日 から 2 日 と 極 めて 短 い このような 場 合 は 受 注 予 測 を 立 てて 製 品 の 見 込 み 生 産 を 行 わざるを 得 ない 予 測 が 外 れれば 廃 棄 となる,リスクの 高 い 方 式 である 4 生 産 計 画 まとめ 食 品 において 賞 味 期 限 は 生 産 方 式 を 左 右 す る 大 きなファクターである 消 費 者 はより 期 限 残 の 長 いロットを 選 別 して 購 買 する 傾 向 が あり, 賞 味 期 限 が 長 い 製 品 であっても 店 頭 に 並 ぶ 期 間 は 実 際 にはもっと 短 い 日 配 品 ほど ではないが, 需 要 に 合 わせた 小 ロット 製 造 が 求 められるのである 生 産 計 画 立 案 の 期 間 も 長 くて 1 ヶ 月 程 度, 多 くは 2 週 間 程 度 一 部 の 工 場 では, 生 産 計 画 の 機 能 はほとんど 不 要 と 言 っても 良 い 場 合 がある 中 小 の 食 品 工 場 では 生 産 計 画 機 能 は 簡 易 で 良 いと 思 われる 3-2 手 配 方 式 中 小 の 食 品 工 場 を 想 定 すると, 手 配 方 式 は MRP か 製 番 のいずれかに 限 られる 原 材 料 調 達 先 との 力 関 係 においてそれほど 強 く 立 てない 80 ので,かんばん 方 式 は 現 実 的 にあり 得 ない MRP を 選 ぶか 製 番 を 選 ぶか,は 最 も 重 要 な 選 定 ポイントと 言 って 良 いだろう なお, 製 番 紐 付 け 可 能 な MRP などのハイブリッド 型 も 存 在 するが, 話 を 分 かりやすくするために 本 稿 では 触 れない MRP(Material Requirement Planning) は 日 本 語 訳 で 資 材 所 要 量 計 画 とあてられていると おり, 合 計 でどれだけ 必 要 か,に 着 目 して 計 算 処 理 を 行 なう 共 通 の 仕 掛 品 や 原 材 料 が 多 いほ ど,また 原 材 料 点 数 が 多 いほど,MRP は 効 力 を 発 揮 する しかし, 製 造 オーダーや 手 配 オー ダーなどの 各 オーダー 間 の 紐 付 けが 存 在 しない ので, 製 造 工 程 の 進 捗 を 見 るには 不 向 きであ る 同 様 の 理 由 で, 受 注 オーダーから 製 造 オー ダーや 手 配 オーダーをたどることが 出 来 ないた め, 製 造 現 場 への 指 示 の 際 に 出 荷 先 等 の 情 報 を 提 示 できない MRP は 膨 大 な 計 算 処 理 を 伴 うため, 以 前 は 一 度 実 行 すると 数 時 間 以 上 必 要 としていた そ のため 日 中 を 避 け 夜 間 に 実 行 させていた 最 近 は 処 理 速 度 が 向 上 したため, 日 中 に 何 度 も MRP を 回 すことを 前 提 とした 業 務 フローが 可 能 になっている 特 に 変 更 箇 所 だけを 対 象 に 再 計 算 するネットチェンジ 機 能 の 速 度 向 上 には 目 覚 ましいものがある (ご 参 考 までに 当 社 ユー ザの 場 合,それまで 7 ~ 8 分 かかっていた 計 算 が 10 秒 前 後 まで 短 縮 された) MRP は 計 画 数,レシピ, 在 庫 の 3 つのデー タを 元 に 計 算 する 問 題 は,かなり 高 い 精 度 の データが 必 要 なことである 諸 説 あるが,それ ぞれ 97% 以 上 の 精 度 が 無 いと 信 頼 できる 手 配 オーダーが 得 られない 中 小 の 食 品 工 場 ではか なり 高 いハードルではないだろうか また, 前 記 3 データがいくら 正 確 でも, 歩 留 変 動 の 大 き い 製 品 の 場 合 は 理 論 在 庫 があてにならず MRP 食 品 機 械 装 置

に 不 向 きといえよう 一 方 の 製 番 方 式 は, 製 番 (もしくは 作 番 )を キーとして 計 画 オーダー, 製 造 オーダー, 購 買 オーダーなどを 紐 づけて 管 理 することができる 反 面,そのままでは 手 配 をまとめることができ ない 共 通 の 仕 掛 品 や 原 材 料 が 多 い 場 合 は, オーダーを 管 理 する 工 数 が 増 えてしまう 自 社 の 工 場 が MRP と 製 番 のどちらを 選 ぶべきか, 判 断 のポイントは, 製 造 指 示 書 に 受 注 情 報 を 記 載 する 必 要 があるか 否 か,である 製 造 現 場 が 受 注 情 報 を 必 要 とする 理 由 は, 顧 客 によって 異 なる 仕 様 ( 包 材 や 内 容 量 など)を 同 一 の 品 目 コードで 管 理 している, 製 造 作 業 と 小 分 け 作 業 が 連 続 して 行 われている, 製 造 順 を 現 場 で 判 断 したい,などである 得 意 先 の 仕 様 に 従 ってモノ 作 りをしている 企 業 はどうしても 製 番 寄 りの 方 法 をとらざるを 得 ない 現 在 は PB 中 心 だが, 将 来 は NB の 比 率 を 高 めていき たい 意 向 があるならば, 製 番 から MRP へ 移 行 することも 考 えてシステム 設 計 する 必 要 があ る コストとの 兼 ね 合 いもあるので, 経 営 層 が 判 断 を 下 すべき 内 容 である 3-3 手 配 計 画 手 配 計 画 では 前 段 の MRP もしくは 製 番 の 結 果 得 られた 手 配 オーダーを, 発 注 書 や 製 造 指 示 書 などにする 前 に 一 度 人 間 の 判 断 を 入 れて 微 調 整 する 製 造 オーダーの 場 合 は, 数 量, 納 期, 作 業 区 (ライン)が 変 更 可 能 でなければならな い 購 買 オーダーの 場 合 は, 数 量, 納 期, 発 注 先, 単 価, 単 位 の 変 更 機 能 が 必 要 である また, 一 度 出 したオーダーは 完 納 ステータスに 変 わる まで 任 意 のタイミングで 変 更 できる 必 要 があ る 所 要 量 計 算 を 行 って 発 注 書 や 製 造 指 示 書 を 出 すだけの 簡 易 な 仕 組 みの 場 合 は,そもそも オーダーという 概 念 が 存 在 しないので 注 意 が 必 要 である 3-4 製 造 管 理 と 購 買 管 理 製 造 管 理 と 購 買 管 理 では 発 令 されたオーダー の 遂 行 状 況, 完 了 状 況,の 管 理 が 中 心 となる 指 示 通 りに 物 事 が 進 むのであれば 良 いのだが, 現 実 は 思 い 通 りにはならない 製 造 や 納 入 の 納 期 が 遅 れたり, 原 材 料 の 投 入 量 や 製 品 の 完 成 量, 歩 留 がレシピ 通 りにならなかったり, 想 定 以 上 に 製 造 時 間 がかかったり 人 手 中 心 の 製 造 工 程, 原 材 料 のバラつきが, 製 造 オーダーと 実 績 が 乖 離 する 主 要 因 である これらの 変 動 は 企 業 損 益 に 直 結 するので, 速 やかに 経 営 層 に 警 告 を 発 する 仕 組 みが 必 要 だ そして 経 営 層 だけで なく, 担 当 者 本 人 も 含 めた 工 場 全 体 で 警 告 情 報 を 共 有 することで,スピーディな 防 止 処 置 や 是 正 処 置 が 期 待 できる オーダーが 無 くとも 実 績 を 計 上 できる 機 能 も 工 場 によっては 必 要 であろう 事 前 指 示 の 無 い 製 造 や 入 荷 が 発 生 するのである 前 者 は 細 かく 指 示 を 出 さない 出 せない 製 造 現 場 で 発 生 し, 後 者 は 緊 急 に 調 達 したために 発 注 書 を 出 せな かった 場 合 である このような 混 乱 を あるべ き 姿 と 違 う と 処 断 すべきこととは 筆 者 は 思 え ない ヒトモノカネの 全 てが 不 足 している 中 小 食 品 工 場 の 現 実 を 受 け 入 れた, 柔 らかい 生 産 管 理 システムが 求 められるのではないだろうか 4 おわりに 以 上, 当 社 が 開 発 した 生 産 販 売 統 合 システム クラフトライン を 中 小 食 品 工 場 に 導 入 した 経 験 を 元 に 課 題 と 解 決 の 方 向 性 について 述 べ た 今 回 触 れなかった 原 価 管 理 やトレーサビリ ティなど 実 績 データ 収 集 に 近 い 内 容 については 別 の 機 会 に 述 べてみたい 11 2014 81