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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について


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個 人 所 得 課 税 ~ 住 宅 ローン 控 除 等 の 適 用 期 限 の 延 長 2 4. 既 存 住 宅 に 係 る 特 定 の 改 修 工 事 をした 場 合 の 所 得 税 額 の 特 別 控 除 居 住 年 省 エネ 改 修 工 事 控 除 限 度 額 バリアフリー 改 修 工 事 平

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資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

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国 税 クレジットカード 納 付 の 創 設 国 税 のクレジットカード 納 付 については マイナンバー 制 度 の 活 用 による 年 金 保 険 料 税 に 係 る 利 便 性 向 上 に 関 するアクションプログラム( 報 告 書 ) においてその 導 入 の 方 向 性 が 示 されている

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内 において 管 理 されている 上 場 株 式 等 のうち 非 課 税 管 理 勘 定 に 係 るもの( 新 規 投 資 額 で 毎 年 80 万 円 を 上 限 とします )に 係 る 配 当 等 で 未 成 年 者 口 座 に 非 課 税 管 理 勘 定 を 設 けた 日 から 同 日 の 属

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

Transcription:

平 成 26 年 度 税 制 改 正 に 関 する 意 見 書 近 畿 税 理 士 会

目 次 ま え が き ------------------------------------------------------------------------------------------------ 1 主 要 意 見 項 目 Ⅰ 所 得 税 課 税 最 低 限 や 社 会 保 障 との 役 割 分 担 等 を 踏 まえた 人 的 控 除 の 整 理 ----------------- 5 Ⅱ 法 人 税 1. 法 人 税 率 の 引 下 げ -------------------------------------------------------- 6 2. 受 取 配 当 等 の 全 額 益 金 不 算 入 ---------------------------------------------- 7 3. 部 分 的 貸 倒 損 失 の 損 金 算 入 制 度 の 創 設 -------------------------------------- 8 Ⅲ 相 続 税 相 続 税 法 の 課 税 方 式 の 見 直 しと 連 帯 納 付 義 務 の 廃 止 ---------------------------- 9 Ⅳ 消 費 税 1. 複 数 税 率 の 導 入 反 対 ------------------------------------------------------ 10 2.インボイス 方 式 の 導 入 反 対 ------------------------------------------------ 12 その 他 意 見 項 目 Ⅰ 共 通 行 為 計 算 の 否 認 規 定 の 準 用 規 定 について その 実 効 性 を 法 的 に 担 保 すること ------- 13 Ⅱ 所 得 税 1. 青 色 専 従 者 給 与 の 従 事 期 間 要 件 の 廃 止 -------------------------------------- 13 2. 既 存 賃 貸 住 宅 の 有 効 活 用 促 進 を 目 的 とした 特 例 制 度 の 導 入 -------------------- 14 3. 社 会 保 険 診 療 報 酬 の 所 得 計 算 の 特 例 制 度 の 完 全 な 廃 止 ------------------------ 14 4. 退 職 所 得 控 除 額 の 一 定 額 化 ------------------------------------------------ 15 5. 不 動 産 所 得 に 係 る 借 入 金 利 息 の 損 益 通 算 特 例 の 廃 止 -------------------------- 16 6. 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 の 住 宅 借 入 金 等 要 件 の 撤 廃 --- 16 7. 純 損 失 雑 損 失 の 繰 越 期 間 の 延 長 ------------------------------------------ 16 8. 医 療 費 控 除 制 度 の 廃 止 ---------------------------------------------------- 17 9. 生 命 保 険 料 控 除 の 廃 止 ---------------------------------------------------- 17 10. 給 与 所 得 者 に 係 る 諸 制 度 の 見 直 し ------------------------------------------ 18 11. 給 与 所 得 者 に 係 る 寄 附 金 控 除 の 年 末 調 整 での 対 応 ---------------------------- 18 12. 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 に 係 る 当 初 申 告 要 件 の 廃 止 ---------------------------- 19 13. 年 金 に 対 する 課 税 の 見 直 し ------------------------------------------------ 19 14. 復 興 特 別 所 得 税 の 見 直 し -------------------------------------------------- 20

Ⅲ 法 人 税 1. 退 職 給 付 引 当 金 の 損 金 算 入 ------------------------------------------------ 20 2. 賞 与 引 当 金 繰 入 額 の 損 金 算 入 ---------------------------------------------- 21 3. 試 験 研 究 費 に 係 る 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 繰 越 期 間 の 延 長 等 -------------------- 21 4. 役 員 給 与 規 定 の 抜 本 的 見 直 し ---------------------------------------------- 22 5. 利 益 連 動 給 与 の 適 用 対 象 法 人 の 見 直 し -------------------------------------- 22 6. 税 法 上 の 中 小 企 業 概 念 の 見 直 し -------------------------------------------- 23 7. 交 際 費 課 税 の 見 直 し ------------------------------------------------------ 23 8. 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 における 買 換 えの 圧 縮 記 帳 制 度 の 見 直 し--------------- 23 9.グループ 法 人 税 制 における 親 族 の 範 囲 の 見 直 し ------------------------------ 24 10. 外 国 子 会 社 から 受 ける 配 当 金 の 益 金 不 算 入 制 度 の 見 直 し ---------------------- 24 11.トリガー 税 率 等 の 計 算 方 法 の 見 直 し ---------------------------------------- 25 Ⅳ 相 続 税 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 の 見 直 し ---------------------------------------------- 26 Ⅴ 消 費 税 1. 非 課 税 取 引 の 範 囲 の 拡 充 に 反 対 する ---------------------------------------- 26 2. 納 税 義 務 の 判 定 の 見 直 し -------------------------------------------------- 27 3. 簡 易 課 税 制 度 の 見 直 し ---------------------------------------------------- 28 4. 調 整 対 象 固 定 資 産 の 取 得 価 額 の 引 上 げ -------------------------------------- 28 5. 在 日 米 軍 基 地 内 の 消 費 税 の 課 税 の 見 直 し ------------------------------------ 28 Ⅵ 地 方 税 1. 住 民 税 (1) 地 方 団 体 に 対 する 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 の 廃 止 ---------------------- 29 (2) 道 府 県 民 税 の 均 等 割 二 重 課 税 の 廃 止 ------------------------------------ 30 (3) 法 人 住 民 税 の 均 等 割 に 係 る 資 本 金 等 の 額 の 見 直 し ------------------------ 30 (4) 公 的 年 金 等 に 係 る 住 民 税 の 申 告 不 要 制 度 の 創 設 -------------------------- 31 2. 事 業 税 個 人 事 業 税 における 事 業 主 控 除 額 の 引 上 げ ------------------------------------ 31 3. 固 定 資 産 税 (1) 固 定 資 産 税 額 の 税 額 計 算 の 明 示 ---------------------------------------- 32 (2) 償 却 資 産 に 係 る 固 定 資 産 税 の 免 税 点 の 引 上 げ ---------------------------- 32 (3) 固 定 資 産 税 における 家 屋 の 評 価 方 法 の 見 直 し ---------------------------- 32 4.その 他 事 業 所 税 の 廃 止 ------------------------------------------------------------ 33 Ⅶ 税 務 行 政 1. 個 人 番 号 制 度 の 導 入 は 慎 重 に 行 うこと -------------------------------------- 34 2. 電 子 申 告 の 利 便 性 の 向 上 を 図 ること ---------------------------------------- 34 各 意 見 項 目 の5つの 視 点 への 分 類 -------------------------------------------------------------------- 36

ま え が き 1. 税 理 士 としての 意 見 表 明 について 税 理 士 の 使 命 は 税 務 の 専 門 家 として 独 立 した 公 正 な 立 場 に 立 ち 申 告 納 税 制 度 の 理 念 にそっ て 納 税 者 の 信 頼 にこたえ 租 税 に 関 する 法 令 に 規 定 された 納 税 義 務 の 適 正 な 実 現 を 図 ることで あり 税 理 士 会 が 行 う 税 制 や 税 務 行 政 に 対 する 意 見 表 明 は 税 理 士 の 使 命 に 基 づく 義 務 である また 税 理 士 は その 業 務 を 通 じて 実 際 に 税 を 負 担 する 立 場 にある 納 税 者 と 常 に 接 しており 納 税 者 の 税 に 対 する 様 々な 考 え 方 を 知 ることができる 特 に 中 小 企 業 者 に 係 る 決 算 や 申 告 業 務 を 通 じて その 経 営 状 況 をよく 知 る 立 場 にあり 納 税 者 の 意 見 を 代 弁 する 者 としてもっともふさわしいと 考 えられる 税 制 は このような 税 理 士 が 疑 問 や 矛 盾 を 感 じるようなものであってはならない また 景 気 対 策 や 少 子 高 齢 社 会 での 安 定 的 な 財 源 の 確 保 など 税 制 に 求 められる 機 能 は 多 岐 にわたり 税 制 の 方 向 性 を 見 定 め 経 済 社 会 の 変 化 に 適 応 したあるべき 税 制 を 構 築 していくことは 極 めて 困 難 であるが 避 けて 通 ることはできない 近 畿 税 理 士 会 は 税 制 改 正 に 対 する 最 近 の 動 向 を 踏 まえた 上 で より 適 正 な 制 度 が 構 築 される よう 十 分 な 検 討 を 行 い 税 理 士 法 49 条 の11の 趣 旨 に 基 づき ここに 平 成 26 年 度 の 税 制 改 正 に 関 す る 意 見 を 表 明 するものである 2. 基 本 的 な 視 点 について 平 成 24 年 は 今 後 の 税 制 に 大 きな 影 響 を 与 える 年 となった まず 8 月 には 社 会 保 障 の 充 実 安 定 化 とそのための 安 定 的 財 源 確 保 と 財 政 健 全 化 の 同 時 達 成 を 目 的 として 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 図 るための 消 費 税 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 が 成 立 し 消 費 税 率 が 引 き 上 げられることとなった 同 じく12 月 の 第 46 回 衆 議 院 選 挙 において 民 主 党 政 権 から 自 民 党 公 明 党 による 連 立 政 権 に 交 代 した 新 政 権 は これまでの 三 党 合 意 を 維 持 しながら も デフレ 経 済 から 脱 却 し 経 済 再 生 を 図 ることとし 平 成 25 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 成 長 によ る 富 の 創 出 に 向 けた 税 制 措 置 が 検 討 され 民 間 投 資 の 喚 起 を 促 す 施 策 が 盛 り 込 まれている 政 権 交 代 は 税 制 に 与 える 影 響 が 大 きく 今 後 の 税 制 改 正 の 動 向 にも 注 目 をしていかなければ ならないが このような 時 こそ 5つの 基 本 的 な 視 点 を 基 礎 とした 税 制 の 実 現 を 目 指 して 具 体 的 に 提 言 をすることが 大 切 であり それができるのは 税 理 士 会 だけであると 考 える (1) 公 平 な 税 負 担 公 平 な 税 負 担 は 税 制 のあり 方 を 考 える 上 で 最 も 基 本 的 な 視 点 である しかし 公 平 には 水 平 的 公 平 垂 直 的 公 平 世 代 間 の 公 平 などの 考 え 方 があり 公 平 な 税 制 を 検 討 するにあた り できる 限 り 広 い 視 野 で 客 観 的 な 立 場 から バランスのとれた 税 制 を 構 築 する 必 要 がある (2) 理 解 と 納 得 のできる 税 制 わが 国 の 国 税 は ほぼ 申 告 納 税 方 式 によって 確 定 し 賦 課 課 税 方 式 による 個 人 住 民 税 や 事 - 5 -

業 税 も 申 告 納 税 方 式 による 所 得 税 の 課 税 標 準 の 計 算 を 基 礎 としているので 結 果 的 に 大 半 の 税 が 申 告 納 税 方 式 に 関 係 している 申 告 納 税 制 度 は 納 税 者 による 税 の 自 己 賦 課 であり 租 税 法 律 主 義 のもとで 納 税 者 は 租 税 法 規 の 解 釈 権 を 第 一 義 的 に 有 している したがって 租 税 制 度 は 複 雑 難 解 なものであってはならず 納 税 者 が 理 解 でき 納 得 する ものであることが 必 須 である (3) 必 要 最 小 限 の 事 務 負 担 申 告 納 税 制 度 のもとでは 納 税 者 自 らが 課 税 標 準 と 税 額 を 計 算 し 申 告 書 を 作 成 するのであ るから 納 税 者 には 納 税 のための 事 務 負 担 が 生 じる 租 税 収 入 に 係 る 費 用 は 税 務 行 政 庁 ばかりでなく 納 税 者 における 納 税 事 務 費 用 も 併 せて 認 識 されるべきであり その 負 担 は 常 に 必 要 かつ 最 小 になるように 配 慮 されるべきである (4) 時 代 に 適 合 する 税 制 税 制 は 経 済 社 会 の 構 造 変 化 や 取 引 形 態 の 変 化 に 対 して 適 切 に 対 応 していく 必 要 がある そうでなければ 納 税 者 に 新 たな 不 公 平 が 生 ずるなどの 弊 害 を 招 くことになる したがっ て 既 成 の 制 度 に 縛 られることなく 国 民 の 自 助 努 力 と 経 済 の 活 性 化 を 促 進 すること 等 を 念 頭 におき 常 に 時 代 に 適 合 するように 税 制 の 見 直 しを 継 続 しなければならない (5) 透 明 な 税 務 行 政 税 務 行 政 は 公 平 な 税 負 担 の 確 保 と 申 告 納 税 制 度 の 維 持 発 展 タックスコンプライアンス の 確 保 のために 透 明 であることが 必 要 不 可 欠 である 3. 今 後 の 検 討 課 題 (1) 消 費 税 の 複 数 税 率 課 税 区 分 の 見 直 しについて 消 費 税 率 の 引 上 げに 伴 う 逆 進 性 対 策 として 複 数 税 率 を 導 入 することが 検 討 されているが 複 数 税 率 には 様 々な 弊 害 があり 既 に 導 入 しているEU 諸 国 の 中 では 複 数 税 率 について 廃 止 を 含 めた 見 直 しを 検 討 する 国 も 出 てきている 世 界 的 にも わが 国 消 費 税 が 単 一 税 率 であることが 評 価 され 複 数 税 率 導 入 国 が 見 直 しを 進 めようとしている 中 で 複 数 税 率 を 導 入 することは このような 潮 流 に 逆 行 するものであ ることを 認 識 しなければならない また 消 費 税 率 が 引 き 上 げられる 際 に 消 費 税 の 課 税 区 分 についても 見 直 しを 検 討 すべき である すなわち 現 行 の 消 費 税 制 上 の 取 引 については 消 費 税 導 入 当 時 の 状 況 を 基 に 課 税 取 引 と 非 課 税 取 引 の 区 分 がなされ その 後 区 分 の 見 直 しは 1 度 行 われたのみである その 後 20 年 が 経 過 し 社 会 情 勢 も 大 きく 変 わってきているので 非 課 税 項 目 の 中 でも 特 に 社 会 政 策 的 配 慮 による 非 課 税 項 目 について 区 分 のあり 方 を 見 直 すべきである ただし その 見 直 しに 際 しては 課 非 区 分 が 変 わることの 影 響 を 慎 重 に 検 討 し かつての 住 宅 家 賃 の 見 直 しと 同 じ 轍 を 踏 まないようにしなければならない (2) 個 人 所 得 課 税 のあり 方 について 近 年 の 税 制 改 正 で 個 人 所 得 課 税 については 所 得 再 分 配 機 能 復 活 の 考 え 方 の 下 に 所 得 税 率 の 見 直 しが 行 われた 上 記 消 費 税 の 逆 進 性 の 問 題 に 対 しても 所 得 税 の 累 進 税 率 によ - 6 -

り 逆 進 性 は 相 当 吸 収 されているとの 指 摘 もあり 今 後 も 所 得 再 分 配 機 能 をどのように 復 活 (あるいは 強 化 )するのかを 検 討 しなければならない そこでは 単 に 税 率 の 引 上 げ 等 だけではなく 公 的 年 金 や 退 職 所 得 等 これまで 税 負 担 が 軽 減 されていた 所 得 に 係 る 課 税 のあり 方 も 視 野 に 入 れた 見 直 しを 検 討 すべきである (3) 中 小 企 業 税 制 長 らくのデフレ 経 済 下 において わが 国 企 業 の 大 部 分 を 占 める 中 小 企 業 が 疲 弊 しているこ とはよく 知 られている 平 成 25 年 度 税 制 改 正 では 中 小 企 業 施 策 として 事 業 承 継 税 制 の 要 件 緩 和 や 国 内 投 資 を 促 進 するための 施 策 が 盛 り 込 まれているが 事 業 承 継 税 制 については 要 件 緩 和 によりどの 程 度 の 利 用 促 進 が 実 現 したのかを 確 認 しながら 必 要 に 応 じて 制 度 の 見 直 しをしなければならな い また 中 小 企 業 の 範 囲 があまりにも 広 く 今 般 の 改 正 による 投 資 促 進 等 を 後 押 しする 施 策 が 真 に 必 要 でないような 企 業 にまで 租 税 特 別 措 置 が 適 用 される 現 状 について かつて 会 計 検 査 院 からの 指 摘 にもあったように 中 小 企 業 の 範 囲 について 検 討 をする 必 要 がある (4) 恒 久 的 施 設 の 範 囲 の 見 直 しについて 外 国 法 人 に 係 る 課 税 については 日 本 国 内 に 恒 久 的 施 設 (PE)を 設 けている 場 合 に 国 内 源 泉 所 得 について 課 税 することとなっているが これは PEなければ 課 税 なし という 国 際 課 税 上 の 原 則 に 則 ったものとなっている しかしながら インターネット 取 引 が 普 及 し この 原 則 に 基 づくわが 国 規 定 では 外 国 法 人 に 対 して 適 正 に 課 税 できない 場 合 がある このため 外 国 法 人 の 国 内 での 事 業 活 動 状 況 等 を 要 件 とし 適 正 に 課 税 できるような 施 策 を 講 ずるべきである その 際 には 次 に 公 表 され るOECDレポート 等 を 参 考 に 国 際 課 税 上 も 協 調 できるものにすべきである (5) 納 税 環 境 整 備 ( 納 税 者 憲 章 の 制 定 )について 平 成 23 年 度 12 月 税 制 改 正 により 国 税 通 則 法 が 改 正 され 更 正 の 請 求 期 間 の 延 長 等 がなさ れ 平 成 25 年 1 月 からは 法 定 化 された 税 務 調 査 手 続 による 調 査 が 実 施 されることとなった これらの 改 正 は 納 税 者 の 権 利 救 済 制 度 の 拡 充 を 図 り また 納 税 者 の 予 見 可 能 性 を 高 める ものであるが 納 税 環 境 整 備 の 趣 旨 に 鑑 みれば 納 税 者 が 税 とのかかわり 方 を 正 しく 理 解 す るには 納 税 者 憲 章 を 制 定 し 民 主 国 家 の 担 い 手 である 納 税 者 の 国 税 に 関 する 共 通 的 な 手 続 きを 明 示 するとともに 納 税 者 の 果 たすべき 義 務 と 守 られるべき 権 利 を 明 らかにすることが 今 後 ますます 重 要 となる 納 税 者 憲 章 は 申 告 納 税 制 度 を 維 持 し 納 税 義 務 が 適 正 に 実 現 されることに 資 するために 重 要 な 役 割 を 果 たすものである 4. 本 意 見 書 の 構 成 本 意 見 書 では 共 通 1 項 目 所 得 税 15 項 目 (うち 主 要 意 見 1 項 目 ) 法 人 税 14 項 目 (うち 主 要 意 見 3 項 目 ) 相 続 税 2 項 目 (うち 主 要 意 見 1 項 目 ) 消 費 税 7 項 目 (うち 主 要 意 見 2 項 目 ) 地 方 税 9 項 目 税 務 行 政 2 項 目 の 合 計 50 項 目 からなっている - 7 -

なお 各 意 見 項 目 の 位 置 づけを 明 確 にするために 下 記 による 区 分 を 行 う 制 度 の 構 築 改 廃 等 に 関 する 意 見 項 目 運 用 上 運 用 解 釈 等 に 関 する 意 見 項 目 - 8 -

凡 例 1 法 令 及 び 通 達 の 略 語 は 次 による ( 法 令 ) 所 法 所 得 税 法 所 令 所 得 税 法 施 行 令 法 法 法 人 税 法 相 法 相 続 税 法 地 価 法 地 価 税 法 消 法 消 費 税 法 消 令 消 費 税 法 施 行 令 地 方 法 地 方 税 法 措 法 租 税 特 別 措 置 法 措 令 租 税 特 別 措 置 法 施 行 令 措 規 租 税 特 別 措 置 法 施 行 規 則 通 法 国 税 通 則 法 財 確 法 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 のための 施 策 を 実 施 するために 必 要 な 財 源 の 確 保 に 関 する 特 別 措 置 法 日 米 地 位 協 定 日 本 国 とアメリカ 合 衆 国 との 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 第 六 条 に 基 づく 施 設 及 び 区 域 並 びに 日 本 国 における 合 衆 国 軍 隊 の 地 位 に 関 する 協 定 2 条 文 の 符 号 1 2= 条 の 番 号 1 2= 項 の 番 号 一 二 = 号 の 番 号 - 9 -

主 要 意 見 項 目 - 10 -

Ⅰ 所 得 税 課 税 最 低 限 や 社 会 保 障 との 役 割 分 担 等 を 踏 まえた 人 的 控 除 の 整 理 人 的 控 除 については 課 税 最 低 限 のあり 方 や 課 税 単 位 についても 十 分 な 検 討 を 行 った 上 で 税 と 社 会 保 障 との 役 割 分 担 を 明 確 にし 次 のような 改 正 を 行 うべきである (1) 国 民 の 最 低 生 活 費 を 考 慮 し 基 礎 控 除 額 を 引 き 上 げること (2) 扶 養 控 除 については 年 齢 による 差 別 化 を 無 くすこと (3) 障 害 者 控 除 寡 婦 ( 寡 夫 ) 控 除 勤 労 学 生 控 除 については 社 会 保 障 制 度 として 適 切 な 財 政 措 置 を 講 じた 上 で 廃 止 すること 仮 に 税 制 で 措 置 する 場 合 であっても 税 額 控 除 方 式 とすること (4) ( 寡 婦 寡 夫 控 除 が 存 続 する 場 合 ) 寡 婦 控 除 と 寡 夫 控 除 の 差 異 を 無 くし 一 本 化 する こと ( 所 法 79~86) 基 礎 的 人 的 控 除 は 最 低 生 活 費 を 考 慮 し 課 税 最 低 限 を 構 成 するものである しかし 数 次 の 改 正 により 最 低 生 活 費 の 考 慮 が 希 薄 になってきている 基 礎 的 人 的 控 除 の 基 幹 となる 基 礎 控 除 につ いては 生 活 保 護 の 水 準 等 を 基 準 として 引 き 上 げるべきである 扶 養 控 除 については 控 除 から 手 当 てへ の 政 策 実 現 の 過 程 でなし 崩 し 的 に 縮 減 が 行 われてい る 殊 に 平 成 22 年 度 税 制 改 正 においては 子 ども 手 当 の 創 設 に 伴 い 年 少 扶 養 親 族 に 係 る 扶 養 控 除 が 廃 止 され さらに 平 成 24 年 度 には 扶 養 控 除 を 復 活 させることなく 子 ども 手 当 のみ 廃 止 ( 児 童 手 当 へ 改 組 )された そもそも 子 供 の 養 育 を 国 家 が 支 援 する 施 策 ( 子 ども 手 当 等 )は 社 会 保 障 制 度 であって 最 低 生 活 費 に 配 慮 する 人 的 控 除 とはトレードオフの 関 係 にあるものではなく 本 来 両 立 するべきもの である したがって 年 齢 による 控 除 額 の 差 別 化 は 無 くすべきである また 税 と 社 会 保 障 の 役 割 分 担 を 明 確 にし それぞれの 特 性 に 応 じた 制 度 設 計 を 行 うべきであ る 社 会 保 障 の 機 能 を 持 つとされる 特 別 な 人 的 控 除 ( 障 害 者 控 除 寡 婦 寡 夫 控 除 勤 労 学 生 控 除 各 種 加 算 措 置 )は 強 行 性 外 観 性 形 式 性 及 び 中 立 性 といった 税 の 特 質 を 考 えた 場 合 できるだけ 縮 減 して 本 来 の 社 会 保 障 制 度 に 委 ねることが 望 ましい 仮 に 税 制 で 措 置 する 場 合 で あっても 立 法 経 緯 や 納 税 者 の 負 担 を 考 慮 して 所 得 の 多 寡 に 影 響 されないよう 税 額 控 除 方 式 と することが 適 当 である なお 税 額 控 除 方 式 においても 税 額 控 除 適 用 後 の 金 額 で 確 定 申 告 の 要 否 判 定 を 行 えば 申 告 者 数 を 増 加 させることは 防 ぎ 得 る さらに 寡 婦 控 除 と 寡 夫 控 除 は 制 度 創 設 以 来 長 期 間 を 経 過 し 現 在 の 雇 用 状 況 等 の 社 会 情 勢 に 鑑 みて 男 性 の 寡 夫 の 場 合 も 必 ずしも 就 労 環 境 が 優 位 にあるとは 言 えず 両 制 度 に 差 異 を 設 け ることに 合 理 性 があるとは 認 められない したがって 両 者 の 差 異 を 無 くし 単 一 の 制 度 とすべきである - 11 -

Ⅱ 法 人 税 法 人 税 率 の 引 下 げ 1.わが 国 経 済 の 国 際 的 な 競 争 力 の 低 下 及 び 産 業 の 空 洞 化 を 防 止 する 観 点 から 法 人 税 率 を 引 き 下 げるべきである ( 法 法 66) わが 国 における 法 人 税 率 は 平 成 23 年 度 税 制 改 正 において 引 き 下 げられ 現 在 の 実 効 税 率 は 35.64%( 復 興 特 別 法 人 税 を 含 めると 38.01%)である これに 対 して 諸 外 国 の 実 効 税 率 はフラン ス 33.3% ドイツ( 全 ドイツ 平 均 )29.48% 中 国 25% 韓 国 (ソウル)24.2% イギリス 24% シンガポール 17% アメリカ(カリフォルニア 州 )は 40.75%である( 財 務 省 HP: 法 人 所 得 課 税 の 実 効 税 率 の 国 際 比 較 より) とりわけアジアにおいては 中 国 韓 国 に 比 べて 日 本 の 実 効 税 率 は 高 い 設 定 となっている このような 法 人 税 率 が 低 率 に 推 移 する 傾 向 は 地 域 間 における 経 済 連 携 協 定 が 進 むにつれ 加 速 することが 考 えられる 内 国 法 人 が 国 外 投 資 をしやすくするために 移 転 価 格 税 制 等 の 国 外 取 引 に 係 る 課 税 関 係 を 整 備 するとともに 国 外 からわが 国 への 投 資 を 促 すことができるよう 法 人 税 率 の 国 際 的 な 動 向 を 踏 まえ 現 行 の 法 人 税 率 を 引 き 下 げるように 検 討 すべきである なお 法 人 税 率 が 引 き 下 げられた 場 合 の 財 源 の 手 当 てについては 租 税 特 別 措 置 を 大 幅 に 見 直 し 限 定 的 な 効 果 しか 期 待 できないようなものを 廃 止 又 は 縮 減 することで 手 当 てすべきである - 12 -

受 取 配 当 等 の 全 額 益 金 不 算 入 2. 受 取 配 当 等 は 全 額 益 金 不 算 入 とすべきである ( 法 法 23) 平 成 22 年 度 税 制 改 正 により 完 全 子 法 人 株 式 等 に 係 る 受 取 配 当 等 についてはその 全 額 が 益 金 不 算 入 とされたが 関 係 法 人 株 式 等 及 び 完 全 子 法 人 株 式 等 以 外 の 株 式 に 係 る 受 取 配 当 等 については 改 正 されず 益 金 不 算 入 割 合 は 50%のまま 据 え 置 かれている 株 主 としての 地 位 に 基 づいて 分 配 される 剰 余 金 については 預 貯 金 や 公 社 債 等 の 利 息 等 とは 異 なり 支 払 法 人 側 で 損 金 算 入 されない 取 扱 いとなっている 一 方 受 取 法 人 側 でこれが 益 金 算 入 されてしまうと 支 払 法 人 側 で 課 税 後 の 剰 余 金 に 対 して 再 度 受 取 法 人 側 で 課 税 されてしまい 同 一 の 経 済 価 値 に 対 して 二 重 に 課 税 していることになる このような 二 重 課 税 を 放 置 すると 取 引 を 行 う 者 に 対 して 過 大 な 税 負 担 を 生 じさせるおそれがあり 正 常 な 経 済 発 展 を 阻 害 する 要 因 と もなり 兼 ねない 受 取 配 当 等 の 益 金 不 算 入 制 度 は このような 二 重 課 税 を 排 除 する 趣 旨 で 設 けられているもので あり この 観 点 から 言 えば 受 取 配 当 等 に 関 して 益 金 不 算 入 割 合 を 制 限 することには 問 題 がある したがって 関 係 法 人 株 式 等 及 び 完 全 子 法 人 株 式 等 以 外 の 株 式 に 係 る 受 取 配 当 等 についても 益 金 不 算 入 割 合 を 100%とすべきである - 13 -

部 分 的 貸 倒 損 失 の 損 金 算 入 制 度 の 創 設 3. 部 分 的 な 貸 倒 損 失 の 計 上 を 認 めるべきである 貸 倒 れの 危 険 が 極 めて 高 い 状 態 にある 債 権 は 企 業 の 担 税 力 を 減 殺 するものである したがっ て 企 業 の 担 税 力 を 適 正 に 測 定 するためには 債 権 の 部 分 的 な 貸 倒 れを 認 識 し 課 税 所 得 の 金 額 の 計 算 に 反 映 させるべきである この 点 につき 平 成 23 年 度 税 制 改 正 前 は 貸 倒 れが 懸 念 される 債 権 がある 場 合 には 貸 倒 引 当 金 の 繰 入 れに 係 る 損 金 算 入 が 認 められ 部 分 貸 倒 れによる 損 失 を 認 識 する 必 要 はなかった しか し 改 正 により 貸 倒 引 当 金 の 繰 入 れに 係 る 損 金 算 入 の 規 定 は 銀 行 保 険 会 社 中 小 法 人 等 に 限 定 して 適 用 するものとされた これにより 適 用 除 外 とされた 企 業 においては 債 権 の 全 額 が 回 収 不 能 であると 確 認 されるまで 貸 倒 れのリスクが 所 得 の 金 額 の 計 算 に 反 映 されず 過 度 の 負 担 を 強 いられる 状 態 となっている したがって 手 形 交 換 所 において 取 引 の 停 止 処 分 を 受 けた 場 合 や 法 的 手 続 により 弁 済 が 猶 予 された 場 合 債 務 超 過 の 状 態 が 相 当 期 間 継 続 し 事 業 に 好 転 の 見 通 しが 無 い 場 合 災 害 等 により 多 大 な 損 害 が 生 じた 場 合 破 産 手 続 開 始 の 申 立 てがあった 場 合 など 回 収 不 可 能 な 部 分 があると 認 められる 重 大 な 事 実 が 生 じている 債 権 については 一 定 の 基 準 を 設 けて 部 分 的 に 貸 倒 損 失 を 認 識 し これを 損 金 の 額 に 算 入 する 規 定 を 設 けるべきである - 14 -

Ⅲ 相 続 税 相 続 税 法 の 課 税 方 式 の 見 直 しと 連 帯 納 付 義 務 の 廃 止 相 続 税 の 課 税 方 式 を 純 粋 な 遺 産 取 得 課 税 方 式 とするとともに 連 帯 納 付 義 務 は 完 全 に 廃 止 す べきである ( 相 法 34) 現 行 の 相 続 税 の 課 税 方 式 は 遺 産 課 税 方 式 と 遺 産 取 得 課 税 方 式 の 折 衷 方 式 と 言 われているが 相 続 税 総 額 の 算 出 に 形 式 的 に 遺 産 取 得 課 税 方 式 を 採 用 しているだけであり どちらかといえば 遺 産 課 税 方 式 の 考 え 方 が 強 いものである そのため 現 在 の 相 続 税 制 度 のもとでは 次 のような 不 合 理 さが 生 じている まず 遺 産 総 額 によって 適 用 する 税 率 が 異 なるため 同 額 の 財 産 を 相 続 したとしても 遺 産 総 額 の 大 小 により 相 続 税 額 が 異 なることになる 財 産 総 額 による 税 率 への 影 響 は 小 規 模 宅 地 等 の 特 例 措 置 にも 現 れる 特 例 に 基 づく 減 額 分 が 特 例 対 象 でない 相 続 人 の 税 負 担 をも 軽 減 させるこ とになり 一 人 の 財 産 評 価 の 誤 りや 申 告 漏 れにより 他 の 共 同 相 続 人 にも 追 徴 税 額 が 生 ずること にもなる これらはいずれも 個 人 としての 権 利 意 識 が 高 まった 現 代 ではそぐわなくなっている さらに 相 続 税 には 連 帯 納 付 義 務 についての 問 題 が 存 在 する すなわち 相 続 税 法 34 条 は 相 続 税 及 び 贈 与 税 の 徴 収 確 保 のために 連 帯 納 付 義 務 を 定 めている 連 帯 納 付 義 務 については 様 々 な 問 題 点 があったが 平 成 23 年 の 共 同 相 続 人 への 通 知 義 務 の 改 正 平 成 24 年 の 期 間 制 限 による 緩 和 措 置 により 連 帯 納 付 義 務 をめぐる 納 税 環 境 は 改 善 が 見 られるものの 自 己 の 納 税 義 務 を 適 正 に 履 行 したにもかかわらず 連 帯 納 付 義 務 により 追 加 的 に 税 負 担 を 強 いられるという 不 合 理 さ は 解 消 されていない 特 に 最 近 では 個 人 の 権 利 意 識 の 強 さから 相 続 人 が 共 同 して 相 続 税 を 負 担 するという 意 識 は 低 くなってきており 現 在 の 相 続 の 実 態 及 び 納 税 者 の 意 識 から 見 て 連 帯 納 付 義 務 は 受 け 入 れ 難 いものとなっている 傾 向 は 相 続 税 の 課 税 方 式 と 同 様 に 現 代 にそぐわなくなっている 相 続 税 の 課 税 方 式 と 連 帯 納 付 義 務 は 個 別 に 議 論 すべきものであるが 相 続 の 現 状 に 合 致 した 制 度 とするためには 相 続 税 の 課 税 方 式 を 純 粋 な 遺 産 取 得 課 税 方 式 とした 上 で 連 帯 納 付 義 務 を 完 全 に 廃 止 すべきである 今 後 死 亡 者 数 に 対 する 相 続 税 の 課 税 割 合 が 増 加 すれば これらの 問 題 はより 顕 著 に 表 れてくると 考 えられる よって 連 帯 納 付 義 務 については 完 全 に 廃 止 し 相 続 した 財 産 につき 各 相 続 人 がそれぞれ 独 立 して 納 税 義 務 を 果 たす 制 度 にすべきである - 15 -

Ⅳ 消 費 税 複 数 税 率 の 導 入 反 対 1. 複 数 税 率 の 導 入 に 反 対 する 消 費 税 の 持 つ 逆 進 性 を 緩 和 するために 食 料 品 などの 生 活 必 需 品 に 複 数 税 率 ( 軽 減 税 率 )を 導 入 することは 社 会 保 障 給 付 のための 財 源 調 達 機 能 の 観 点 及 び 効 率 公 正 簡 素 といった 租 税 原 則 から 多 くの 問 題 が 存 在 するため 以 下 の 理 由 により 反 対 する (1) 社 会 的 コストの 増 加 と 競 争 中 立 性 ( 効 率 性 )が 阻 害 される 問 題 第 1は 社 会 的 ( 民 間 行 政 )コスト 増 の 問 題 である 複 数 税 率 導 入 による 企 業 の 事 務 負 担 ( 対 象 品 目 の 仕 分 け レジシステムの 変 更 や 取 替 等 )を 考 慮 すると 企 業 負 担 コストが 増 加 することは 明 らかである また 消 費 税 の 納 税 手 続 が 複 雑 になる 一 方 で 形 式 的 に 生 活 必 需 品 扱 いを 装 う 租 税 回 避 行 為 も 発 生 する さらに 食 料 品 を 生 産 する 農 家 等 を 中 心 に 軽 減 税 率 を 適 用 される 事 業 者 が 還 付 申 告 をすることが 想 定 される 課 税 庁 は それらに 適 切 に 対 応 するため 執 行 体 制 の 大 幅 な 見 直 し( 行 政 コストの 増 加 )も 必 要 になる 他 方 税 制 が 消 費 者 の 購 買 選 択 へ 過 度 の 介 入 を 行 うことは 経 済 活 動 に 対 する 競 争 中 立 性 を 阻 害 し 資 産 選 択 や 資 源 配 分 に 対 して 偏 った 消 費 行 動 を 引 き 起 こす 可 能 性 があると 考 える (2) 財 源 調 達 機 能 としての 問 題 第 2に 軽 減 税 率 はいったん 導 入 されると 将 来 に 渡 って 財 政 収 入 にマイナス 効 果 を 生 じさ せ 社 会 保 障 給 付 のための 財 源 調 達 機 能 の 観 点 からは 歳 入 不 足 の 問 題 を 生 じさせる すな わち 需 要 の 価 格 弾 力 性 が 低 い 食 料 品 などの 生 活 必 需 品 に 軽 減 税 率 を 適 用 した 場 合 軽 減 税 率 分 だけ 大 きく 減 収 になるため その 減 収 分 だけ 本 来 であれば 社 会 保 障 給 付 のために 使 うこ とのできた 財 源 が 失 われる この 結 果 財 源 調 達 不 足 となる 税 収 分 を 再 度 標 準 税 率 の 引 上 げにより 補 てんするという 悪 循 環 を 招 くことになる よって 今 回 の 消 費 税 率 の 引 上 げによ る 増 収 効 果 は 軽 減 税 率 を 導 入 すると 大 幅 に 相 殺 される( 減 収 ) 結 果 となる (3) 再 分 配 ( 公 平 性 ) 政 策 としての 実 効 性 の 問 題 第 3は 再 分 配 政 策 としての 実 効 性 の 問 題 である 軽 減 税 率 は 再 分 配 の 対 象 とされるべ き 家 計 (たとえば 低 所 得 世 帯 )に 適 用 を 限 定 することはできず 一 律 にすべての 家 計 に 適 用 される とりわけ 軽 減 税 率 による 再 分 配 の 量 的 効 果 が 高 額 所 得 者 の 方 がより 大 きくなる こと 自 体 が 問 題 である これに 対 して 社 会 保 障 給 付 は 適 用 対 象 となる 家 計 を 定 めること が 可 能 である 軽 減 税 率 は 必 要 となる 財 源 の 大 きさに 比 し 低 所 得 者 層 の 負 担 軽 減 効 果 は さほど 期 待 できず その 政 策 的 な 実 効 性 は 疑 問 視 される (4) 税 制 の 複 雑 化 ( 簡 素 化 への 逆 行 )の 問 題 第 4は 複 数 税 率 は 単 一 税 率 の 場 合 と 比 較 すると 明 らかに 税 制 を 複 雑 化 する 経 済 活 動 や 価 値 観 が 多 様 化 しているわが 国 では 消 費 する 財 サービスの 種 類 で 必 需 品 や 贅 沢 品 を 分 類 すること 自 体 が 無 理 になってきている 税 務 執 行 の 上 で どの 品 目 を 軽 減 税 率 の 対 象 に するか 否 かの 線 引 きは 法 令 の 解 釈 通 達 等 により あらかじめ 統 一 的 な 取 扱 いを 定 めるこ - 16 -

とが 難 しい 過 去 の 物 品 税 と 同 様 の 制 度 面 での 欠 陥 を 生 じさせる 可 能 性 が 高 い さらに そ の 選 定 において 業 界 利 益 団 体 からの 政 治 的 な 圧 力 が 生 じることも 併 せて 懸 念 される 軽 減 税 率 の 問 題 点 及 びその 弊 害 については 既 に 導 入 している 諸 外 国 の 例 を 見 れば 明 らか であり 逆 に 軽 減 税 率 の 制 度 自 体 の 見 直 しが 行 われようとしている 先 行 事 例 と 同 じ 轍 を 踏 まないためにも 低 所 得 者 に 対 する 消 費 税 の 負 担 増 に 対 しては 給 付 付 き 税 額 控 除 で 対 応 す ることとし 複 数 税 率 ( 軽 減 税 率 )は 導 入 すべきではない - 17 -

インボイス 方 式 の 導 入 反 対 2.インボイス 方 式 の 導 入 に 反 対 する インボイス 方 式 は 以 下 の 理 由 によりその 導 入 に 反 対 する (1) 事 業 者 の 事 務 負 担 が 増 大 すること 現 行 の 帳 簿 方 式 は 法 人 税 や 所 得 税 の 所 得 算 定 にいわば 付 随 する 形 で 行 われているため 事 業 者 にそれほど 過 度 な 負 担 を 強 いるものではない これに 対 しインボイス 方 式 は 1 請 求 書 や 領 収 書 等 の 発 行 に 加 えてインボイスを 別 途 発 行 する 場 合 であっても 2 税 額 を 明 記 した 領 収 書 等 の 発 行 をもってインボイスとする 場 合 であっても 消 費 税 の 計 算 を 行 うためだけに 税 額 を 集 計 するといった 新 たな 業 務 が 必 要 となる これらの 新 たなコストを 特 に 中 小 事 業 者 に 負 わせることは 問 題 である わが 国 では 従 来 から 青 色 申 告 制 度 が 普 及 定 着 しており インボイス 方 式 によらずとも 現 行 の 帳 簿 方 式 で 正 確 な 消 費 税 額 の 計 算 が 行 われていると 考 える (2) 新 たな 租 税 回 避 行 為 が 生 じるおそれ 及 び 免 税 事 業 者 が 取 引 から 排 除 されるおそれのある こと インボイス 方 式 は 取 引 の 透 明 性 の 確 保 により 脱 税 行 為 防 止 にも 効 果 があると 言 われてい る しかしながら インボイスを 発 行 する 権 限 の 無 い 事 業 者 が 架 空 インボイスを 発 行 し 不 当 な 仕 入 税 額 控 除 を 受 けさせるといった 新 たな 脱 税 行 為 が 生 じるおそれがある また 免 税 事 業 者 からの 課 税 仕 入 れではインボイスが 発 行 されず 仕 入 税 額 控 除 ができないため 商 取 引 からインボイスを 発 行 できない 免 税 事 業 者 が 排 除 されるおそれがある (3) 消 費 税 が 附 加 価 値 税 であること インボイスの 有 無 に 関 わらず 課 税 仕 入 れという 事 実 があれば これを 控 除 するのは 附 加 価 値 税 たる 消 費 税 の 本 質 的 計 算 構 造 から 考 えて 税 の 累 積 を 排 除 すべきことは 当 然 のことであ る すなわち インボイスが 無 いという 理 由 だけで 仕 入 税 額 控 除 を 認 めないということは 当 該 事 業 者 が 仕 入 税 額 控 除 できなかった 消 費 税 相 当 額 を 負 担 することとなり 消 費 税 の 本 質 論 から 見 て 妥 当 ではない - 18 -

その 他 意 見 項 目 - - 13

Ⅰ 共 通 行 為 計 算 の 否 認 規 定 の 準 用 規 定 について その 実 効 性 を 法 的 に 担 保 すること 同 族 会 社 の 行 為 計 算 否 認 規 定 の 準 用 規 定 はその 立 法 趣 旨 に 鑑 みて ある 税 目 において 行 為 計 算 否 認 規 定 を 適 用 して 増 額 更 正 をした 場 合 は その 更 正 に 対 して 他 の 税 目 において 減 額 更 正 をすることも 含 む 規 定 であると 解 される よって このことを 明 確 にする 法 令 の 制 定 及 び 法 令 解 釈 通 達 の 発 遣 等 を 行 い その 実 効 性 を 法 的 に 担 保 すべきである ( 所 法 1573, 法 法 1323, 相 法 642, 地 価 法 323) 平 成 18 年 度 税 制 改 正 で 所 得 税 法 157 条 3 項 法 人 税 法 132 条 3 項 相 続 税 法 64 条 2 項 及 び 地 価 税 法 32 条 3 項 に 同 族 会 社 の 行 為 計 算 否 認 規 定 の 準 用 規 定 が 新 設 された この 改 正 の 趣 旨 につき 改 正 税 法 のすべて( 平 成 18 年 版 ) では これまで 規 定 上 は 所 得 税 や 相 続 税 の 行 為 計 算 の 否 認 規 定 によって 増 額 計 算 が 行 われた 際 に 反 射 的 に 法 人 税 の 課 税 所 得 等 を 減 少 させる 計 算 を 行 う 権 限 が 税 務 署 長 に 法 律 上 授 権 されているかどうかは 必 ずしも 明 らかで は ないとして 納 税 者 の 利 便 性 をも 考 えて 所 得 税 法 及 び 相 続 税 法 の 適 用 関 係 に 係 る 明 確 化 措 置 として 所 得 税 法 157 条 や 相 続 税 法 64 条 の 規 定 の 適 用 による 所 得 税 相 続 税 又 は 贈 与 税 の 増 額 計 算 が 行 われる 場 合 に 税 務 署 長 に 法 人 税 における 反 射 的 な 計 算 処 理 を 行 う 権 限 があることを 明 定 する こととした と 説 明 している 一 般 に この 改 正 は 経 済 的 二 重 課 税 等 を 考 慮 して 導 入 されたものと 考 えられ 例 えば 所 得 税 において 行 為 計 算 が 否 認 され 所 得 税 額 が 増 えれば それに 対 応 して 法 人 税 額 が 減 るという 対 応 的 調 整 としての 減 額 更 正 をも 認 める 趣 旨 であると 言 われている しかしながら 平 成 18 年 度 税 制 改 正 の 同 族 会 社 の 行 為 計 算 否 認 に 関 する いわゆる 対 応 的 調 整 規 定 の 創 設 については 経 済 的 二 重 課 税 の 排 除 規 定 として 立 法 化 を 評 価 しつつも 条 文 表 現 の 不 明 確 さゆえに 執 行 面 での 実 効 性 について 否 定 的 な 見 解 も 見 受 けられる よって 対 応 的 調 整 については 早 急 に 減 額 更 正 をすることを 含 む 規 定 であることを より 一 層 明 確 にする 法 令 の 整 備 が 必 要 である 平 成 23 年 度 税 制 改 正 で 更 正 の 請 求 期 間 が 延 長 されたことに 伴 い 課 税 実 務 の 混 乱 を 招 く 可 能 性 が 危 惧 される 納 税 者 の 権 利 保 護 のためにも 適 正 公 平 な 税 務 執 行 のためにも その 解 釈 の 一 元 化 が 必 要 不 可 欠 である Ⅱ 所 得 税 青 色 専 従 者 給 与 の 従 事 期 間 要 件 の 廃 止 1. 青 色 事 業 専 従 者 給 与 を 適 用 する 場 合 の 従 事 期 間 要 件 を 廃 止 すべきである ( 所 法 57, 所 令 165) - - 14

青 色 事 業 専 従 者 の 給 与 が 労 務 の 対 価 として 相 当 の 金 額 であれば 一 般 の 従 業 員 と 異 なる 取 扱 い をする 理 由 は 無 い 青 色 申 告 制 度 は 適 正 な 記 帳 と 書 類 の 保 存 を 前 提 として 認 められるものである 適 正 な 記 帳 が なされている 限 り 青 色 事 業 専 従 者 の 給 与 は その 記 帳 を 前 提 とした 青 色 申 告 決 算 書 の 記 載 によ り 把 握 できる したがって 青 色 事 業 専 従 者 給 与 に 関 する 形 式 的 要 件 のうち 従 事 期 間 要 件 は 廃 止 すべきである 既 存 賃 貸 住 宅 の 有 効 活 用 促 進 を 目 的 とした 特 例 制 度 の 導 入 2. 既 存 賃 貸 住 宅 の 有 効 活 用 を 促 進 するために 一 定 年 数 を 経 過 した 既 存 賃 貸 住 宅 について 省 エネ 改 修 工 事 耐 火 耐 震 工 事 バリアフリー 化 工 事 など 住 宅 環 境 改 善 のための 改 良 工 事 を 行 って 賃 貸 した 場 合 早 期 の 償 却 や 一 定 の 税 額 控 除 を 認 める 特 例 を 設 けるべきである ( 措 法 14,14 の 2,41 の 19 の 2~3) 従 来 わが 国 の 住 宅 政 策 は 住 宅 不 足 の 解 消 景 気 対 策 の 観 点 から 新 築 住 宅 の 供 給 促 進 に 重 点 が 置 かれてきた 居 住 用 の 新 築 家 屋 については 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 や 認 定 長 期 優 良 住 宅 等 特 別 税 額 控 除 等 の 税 額 控 除 が 設 けられ 賃 貸 住 宅 においても サービス 付 き 高 齢 者 向 け 賃 貸 住 宅 の 割 増 償 却 の 特 例 や 特 定 再 開 発 建 築 物 等 の 割 増 償 却 の 特 例 が 設 けられている 一 方 既 存 住 宅 については 自 己 の 居 住 用 家 屋 について 省 エネ 改 修 工 事 やバリアフリー 改 修 工 事 耐 震 改 修 工 事 をした 場 合 等 の 特 別 控 除 の 特 例 が 存 在 するが 既 存 の 賃 貸 住 宅 については 特 に 手 当 てがされていない 人 口 減 少 社 会 の 到 来 を 迎 えた 今 日 では 新 規 供 給 だけでなく 既 存 住 宅 の 有 効 活 用 も 住 宅 環 境 の 向 上 や 都 市 の 再 生 のために 貢 献 し 低 コストであるため 環 境 への 配 慮 にも 貢 献 すると 考 えられ る このための 施 策 として 既 存 住 宅 について 省 エネ 改 修 工 事 耐 震 工 事 バリアフリー 化 工 事 給 排 水 衛 生 設 備 の 改 良 など 住 宅 環 境 を 改 善 するためのリフォームを 行 って 当 該 住 宅 を 賃 貸 の 用 に 供 した 場 合 に 当 該 資 本 的 支 出 について 早 期 償 却 もしくは 税 額 控 除 を 認 める 等 既 存 住 宅 の 改 良 工 事 を 促 進 するための 思 い 切 った 措 置 を 講 じるべきである 社 会 保 険 診 療 報 酬 の 所 得 計 算 の 特 例 制 度 の 完 全 な 廃 止 3. 社 会 保 険 診 療 報 酬 の 所 得 計 算 の 特 例 制 度 を 完 全 に 廃 止 すべきである ( 措 法 26,67) この 制 度 は 社 会 保 険 医 の 所 得 水 準 の 維 持 及 び 国 民 皆 保 険 制 度 の 定 着 を 目 的 として 昭 和 29 年 に 創 設 されたものであるが その 目 的 はすでに 達 成 されている また 必 要 経 費 の 額 及 び 損 金 の 額 に 算 入 する 金 額 は 実 額 計 算 によることが 原 則 であるが 特 例 の 適 用 と 実 額 計 算 を 比 較 し 有 利 な 方 を 選 択 している 実 状 がしばしば 見 受 けられる このよう な 行 為 は 当 該 制 度 の 趣 旨 に 反 するものである 特 例 適 用 の 対 象 事 業 者 につき 収 入 金 額 の 上 限 が - - 15

設 定 されたが 有 利 選 択 の 余 地 が 残 されていることに 変 わりは 無 く この 制 度 を 存 置 することは 公 平 な 課 税 を 損 なうものである したがって この 特 例 制 度 は 廃 止 すべきである 退 職 所 得 控 除 額 の 一 定 額 化 4. 勤 続 1 年 当 たりの 退 職 所 得 控 除 額 は 一 定 額 にすべきである ( 所 法 30) 終 身 雇 用 制 度 からの 離 脱 や 非 正 規 雇 用 の 増 加 により 勤 労 者 のライフスタイルや 就 労 形 態 は 多 様 化 している ところが 現 行 の 退 職 所 得 の 税 額 計 算 は 勤 続 20 年 を 境 に 退 職 所 得 控 除 額 が 増 額 し 他 の 所 得 とは 区 分 され 超 過 累 進 税 率 の 適 用 も 緩 和 されている これは 終 身 雇 用 制 度 を 前 提 としたものであり 現 在 の 雇 用 形 態 に 合 致 するものとは 言 えない 退 職 所 得 は 給 料 の 後 払 いとしての 性 格 を 有 することから その 課 税 においては 中 短 期 の 勤 務 に よる 者 と 長 期 の 勤 務 による 者 との 勤 続 年 数 による 課 税 上 の 差 を 無 くすべきである また 退 職 所 得 に 対 する 超 過 累 進 税 率 の 適 用 は 調 整 されていることから 勤 続 年 数 にわたる 平 準 化 措 置 等 によ る 軽 減 措 置 も 必 要 は 無 い 勤 続 年 数 によって 控 除 額 を 増 額 したり 税 額 計 算 構 造 を 変 えることによって 退 職 所 得 に 係 る 税 額 を 低 く 抑 えることは 所 得 税 が 本 来 有 する 所 得 再 分 配 機 能 を 形 骸 化 させるものであり 望 ま しいものとは 言 えない よって 勤 続 年 数 20 年 超 を 境 に 増 額 する 退 職 所 得 控 除 制 度 を 見 直 し 勤 続 年 数 1 年 当 たりの 退 職 所 得 控 除 額 を 40 万 円 の 一 定 額 とすべきである 参 考 退 職 所 得 に 係 る 税 負 担 の 比 較 ( 現 行 控 除 額 と 退 職 所 得 控 除 を 40 万 円 一 定 額 との 比 較 ) 勤 続 年 数 退 職 所 得 退 職 所 得 控 除 税 額 退 職 所 得 控 除 税 額 ( 現 行 ) ( 定 額 40 万 円 ) 10 年 5,000,000 4,000,000 25,000 4,000,000 25,000 15 年 7,000,000 6,000,000 25,000 6,000,000 25,000 20 年 10,000,000 8,000,000 50,000 8,000,000 50,000 25 年 15,000,000 11,500,000 87,500 10,000,000 152,500 30 年 20,000,000 15,000,000 152,500 12,000,000 302,500 35 年 25,000,000 18,500,000 227,500 14,000,000 452,500 * 各 勤 続 年 数 の 退 職 金 額 は 税 額 が 発 生 するように 設 定 している 退 職 給 付 の 支 給 実 態 ( 抜 粋 ) ( 厚 生 労 働 省 : 平 成 20 年 就 労 条 件 総 合 調 査 ) 勤 続 年 数 大 学 卒 ( 管 理 事 務 技 術 職 ) 平 均 高 校 卒 ( 同 職 ) 平 均 20~24 年 730 万 円 557 万 円 25~29 年 893 万 円 700 万 円 30~34 年 1,358 万 円 1,189 万 円 35 年 以 上 1,764 万 円 1,384 万 円 - - 16

不 動 産 所 得 に 係 る 借 入 金 利 息 の 損 益 通 算 特 例 の 廃 止 5. 不 動 産 所 得 の 計 算 上 生 じた 損 失 の 金 額 のうち 土 地 等 の 取 得 に 係 る 借 入 金 に 対 応 する 支 払 利 息 は 損 益 通 算 の 対 象 とされないとする 特 例 を 廃 止 すべきである ( 措 法 41 の 4) この 制 度 は 借 入 金 による 不 動 産 の 取 得 が 過 度 な 節 税 や 地 価 高 騰 の 一 因 となっていることから これを 抑 制 するために 平 成 3 年 度 税 制 改 正 において 創 設 されたものである しかし 現 在 では 制 度 が 創 設 された 状 況 とは 大 きく 異 なり 不 動 産 取 引 は 停 滞 し 地 価 も 高 騰 の 兆 しは 無 く 当 該 制 度 は 既 に 役 割 を 終 えたと 言 える また 利 息 は 現 実 に 支 払 われていることからも 本 来 は 損 益 通 算 されるものである したがって 所 得 税 におけるこの 特 例 制 度 は 廃 止 すべきである 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 の 住 宅 借 入 金 等 要 件 の 撤 廃 6. 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 について 住 宅 借 入 金 等 要 件 を 撤 廃 すべ きである ( 措 法 41 の 5,41 の 5 の 2) 長 期 所 有 の 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 の 特 例 の 適 用 を 受 けるためには 1 住 宅 借 入 金 等 により 居 住 用 財 産 を 買 い 換 えるか 2 買 換 えをしない 場 合 には 譲 渡 代 金 を 上 回 る 住 宅 借 入 金 等 の 残 債 があることが 要 件 となっている 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 は 個 人 の 生 活 を 支 える 基 本 的 資 産 の 価 値 の 下 落 による 損 失 が 譲 渡 によ り 顕 在 化 したものである これに 対 して 住 宅 借 入 金 等 要 件 まで 付 し 一 定 の 制 限 を 加 えているが この 譲 渡 損 は 個 人 の 生 活 において 最 優 先 で 考 慮 されるべき 生 活 基 盤 に 生 じた 損 失 で あり 本 来 直 ちに 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 の 適 用 対 象 となるべきものである したがって 居 住 用 財 産 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 及 び 繰 越 控 除 について 住 宅 借 入 金 等 要 件 を 撤 廃 すべきである 純 損 失 雑 損 失 の 繰 越 期 間 の 延 長 7. 純 損 失 および 雑 損 失 の 金 額 の 繰 越 控 除 期 間 を5 年 に 延 長 すべきである ( 所 法 70,71) 平 成 23 年 の 税 制 改 正 において 更 正 期 間 が5 年 となった しかし 所 得 税 法 における 純 損 失 お よび 雑 損 失 の 繰 越 控 除 期 間 は3 年 である これらの 損 失 は 所 得 が 無 ければ 控 除 できない その 損 失 を 控 除 する 期 間 が3 年 しかないというのはあまりにも 短 いため 延 長 すべきである したがって 更 正 期 間 とのバランスを 考 慮 して 繰 越 控 除 期 間 を5 年 に 延 長 すべきである - - 17

医 療 費 控 除 制 度 の 廃 止 8. 医 療 費 控 除 については 将 来 的 には 社 会 保 障 施 策 に 吸 収 させ 廃 止 すべきである ( 所 法 73) 医 療 費 控 除 は 長 期 にわたる 医 療 費 や 手 術 など 多 額 の 費 用 を 要 する 場 合 に 納 税 者 の 担 税 力 を 著 しく 阻 害 するという 点 が 考 慮 されてシャウプ 勧 告 後 の 税 制 改 正 により 設 けられた 制 度 であり 制 度 創 設 当 初 は 大 手 術 や 長 期 入 院 小 児 まひや 肺 結 核 等 の 重 大 疾 患 があった 場 合 など 災 害 と 同 じように 多 額 の 費 用 がかかる 状 況 が 想 定 されていた 今 日 では 医 療 保 険 制 度 が 確 立 し 国 民 が 享 受 できる 医 療 サービスが 格 段 に 進 歩 したこと 累 進 税 率 の 効 果 により 高 額 所 得 者 がより 大 きな 負 担 調 整 を 受 けられ 社 会 保 障 制 度 としてはふさわしく ない 面 があることを 考 慮 すれば 医 療 費 控 除 は 廃 止 して 社 会 保 障 施 策 に 吸 収 されることが 望 まし い また 現 行 の 医 療 費 控 除 制 度 は 生 計 を 一 にする 配 偶 者 やその 他 の 親 族 のために 支 払 った 医 療 費 と 納 税 者 本 人 分 以 外 の 医 療 費 も 対 象 となっている このため 世 帯 の 中 で 最 も 所 得 の 高 い 者 に 医 療 費 控 除 を 集 中 させる 等 の 恣 意 性 が 働 く 余 地 を 残 している よって 医 療 費 控 除 は 廃 止 すべきである 経 過 措 置 的 に 税 制 における 社 会 保 障 施 策 として 存 続 させるのであれば 税 額 控 除 方 式 とすべきである 生 命 保 険 料 控 除 の 廃 止 9. 生 命 保 険 料 控 除 を 廃 止 すべきである ( 所 法 76) 生 命 保 険 料 控 除 は 昭 和 26 年 に 長 期 貯 蓄 の 奨 励 のほか 社 会 保 障 制 度 が 十 分 とは 言 い 切 れな かった 当 時 のわが 国 において 相 互 扶 助 による 生 活 安 定 の 効 果 を 持 つ 生 命 保 険 を 優 遇 するために 創 設 されたものである( 会 計 検 査 院 平 成 18 年 度 決 算 検 査 報 告 ) しかし 現 在 生 命 保 険 加 入 率 は 男 性 79.9% 女 性 81.4%( 生 命 保 険 文 化 センター 生 活 保 障 に 関 する 調 査 平 成 22 年 度 )と 相 当 程 度 高 くなっており 貯 蓄 の 奨 励 という 生 命 保 険 料 控 除 の 役 割 はすでに 終 わっていると 言 える 所 得 控 除 において 一 定 の 要 件 を 満 たす 金 融 商 品 に 対 する 投 資 を 優 遇 するのは 金 融 商 品 の 選 択 についての 中 立 性 の 観 点 から 問 題 である 生 命 保 険 商 品 から 生 じるリターンについての 課 税 の あり 方 については 貯 蓄 と 保 障 の 二 面 性 を 持 つ 生 命 保 険 商 品 の 特 殊 性 を 考 慮 しつつ 金 融 商 品 収 益 についての 所 得 課 税 財 産 課 税 のあり 方 の 一 環 として 検 討 すべきである 少 なくとも 保 険 料 支 出 段 階 での 控 除 は 特 定 の 貯 蓄 を 優 遇 するという 意 味 でも 合 理 的 ではない したがって 所 得 控 除 としての 生 命 保 険 料 控 除 は 廃 止 すべきである 一 方 平 成 24 年 度 から 生 命 保 険 料 控 除 の 対 象 が 生 命 保 険 個 人 年 金 保 険 に 加 え 介 護 医 療 保 険 にまで 拡 充 されたが 生 存 保 険 への 加 入 奨 励 という 施 策 が 必 要 であるならば 措 置 法 において 規 定 すべきものであり 本 法 において 規 定 すべき 類 のものではない - - 18

給 与 所 得 者 に 係 る 諸 制 度 の 見 直 し 10. 給 与 所 得 者 に 対 する 課 税 について 次 のように 改 めるべきである (1) 給 与 所 得 について 年 末 調 整 と 確 定 申 告 の 選 択 制 にすべきである (2) 給 与 所 得 者 の 税 額 の 過 不 足 は 直 接 確 定 申 告 によっても 是 正 できるようにすべきであ る ( 所 法 120,190,226) わが 国 の 所 得 税 は 申 告 納 税 制 度 を 原 則 としながらも 給 与 所 得 者 については 源 泉 徴 収 制 度 に より 年 末 調 整 で 納 税 が 完 結 することから 大 半 の 給 与 所 得 者 は 確 定 申 告 の 必 要 が 無 い 確 かに わが 国 の 源 泉 徴 収 制 度 は 極 めて 精 密 かつ 強 力 で それが 迅 速 確 実 な 租 税 の 徴 収 確 保 に 役 立 つと ともに 給 与 所 得 者 の 利 便 にも 資 するものである しかし 一 方 で 納 税 者 ( 給 与 所 得 者 )の 租 税 制 度 に 対 する 認 識 の 低 下 をもたらし 個 人 情 報 保 護 の 観 点 からも 問 題 が 指 摘 される これらのこ とを 踏 まえ 給 与 所 得 者 に 対 する 課 税 については 適 正 な 源 泉 徴 収 制 度 の 枠 組 みを 維 持 しつつ 次 のように 改 めるべきである (1) 年 末 調 整 と 確 定 申 告 の 選 択 制 の 導 入 給 与 所 得 者 の 個 人 情 報 を 保 護 する 観 点 から 年 末 調 整 と 確 定 申 告 とを 選 択 できるように 改 めるべきである (2) 源 泉 徴 収 過 不 足 額 の 確 定 申 告 による 是 正 源 泉 徴 収 に 係 る 国 と 受 給 者 ( 給 与 所 得 者 )との 関 係 は 国 と 給 与 支 払 者 及 び 給 与 支 払 者 と 受 給 者 の 二 つに 切 断 され 給 与 支 払 者 による 源 泉 徴 収 の 過 程 で 生 じた 徴 収 額 の 過 誤 納 額 を 受 給 者 がその 確 定 申 告 の 際 に 精 算 是 正 することはできないとされている( 最 判 平 4.2.18 参 照 ) しかし この 点 については 1 源 泉 所 得 税 はあくまでも 受 給 者 の 年 税 額 の 前 納 にすぎ ないこと 2 受 給 者 の 確 定 申 告 が 所 得 税 法 の 基 本 原 則 であること 及 び 3 受 給 者 が 確 定 申 告 で 直 接 精 算 する 方 が 手 続 きも 簡 便 であり 費 用 時 間 も 節 約 になること 等 の 観 点 から 受 給 者 ( 給 与 所 得 者 )の 確 定 申 告 による 精 算 を 認 めるべきである なお この 制 度 は あくまでも 正 確 な 毎 月 の 源 泉 徴 収 を 前 提 とすべきであり 制 度 導 入 に 際 しては 源 泉 徴 収 制 度 の 形 骸 化 を 防 止 するため 確 定 申 告 により 受 給 者 の 税 額 を 精 算 する と 同 時 に 給 与 支 払 者 に 対 して 不 納 付 加 算 税 を 賦 課 する 等 の 執 行 上 の 手 当 てが 必 要 となろう 給 与 所 得 者 に 係 る 寄 附 金 控 除 の 年 末 調 整 での 対 応 11. 給 与 所 得 者 が 寄 附 金 控 除 を 受 ける 場 合 国 等 に 対 する 寄 付 金 など 判 断 が 容 易 なものについ ては 年 末 調 整 においても 適 用 できるようにすべきである ( 所 法 190) 現 行 制 度 では 寄 附 金 控 除 は 確 定 申 告 によってのみ 適 用 が 認 められるため 年 末 調 整 で 課 税 関 係 が 完 了 する 給 与 所 得 者 にとってはやや 不 便 である さらなる 寄 附 の 奨 励 と 寄 附 文 化 の 醸 成 を 目 指 し 寄 附 者 ( 給 与 所 得 者 )の 利 便 性 を 向 上 させる ため 国 等 に 対 する 寄 附 など 判 断 が 容 易 なものについては 年 末 調 整 においても 適 用 可 能 とすべき - - 19

である 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 に 係 る 当 初 申 告 要 件 の 廃 止 12. 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 についても 当 初 申 告 要 件 を 廃 止 し 修 正 申 告 又 は 更 正 の 請 求 書 に 記 載 及 び 添 付 することで 適 用 を 可 能 とすべきである ( 措 法 4117) 平 成 23 年 度 の 税 制 改 正 により 当 初 申 告 要 件 がある 措 置 ( 当 初 申 告 において 適 用 金 額 の 記 載 を した 場 合 等 に 限 り 適 用 が 可 能 とされていた 措 置 )のうち 外 国 税 額 控 除 等 一 定 の 措 置 について 更 正 の 請 求 ( 又 は 修 正 申 告 )により 事 後 的 に 適 用 を 受 けることが 可 能 となった しかし この 改 正 は 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 については 適 用 されていない 改 正 に 当 たっては インセンティブ 措 置 ( 例 : 設 備 投 資 に 係 る 特 別 償 却 )に 該 当 しない 措 置 を 対 象 に 当 初 申 告 要 件 が 廃 止 されたと 説 明 されている( 平 成 23 年 度 税 制 改 正 大 綱 34 頁 ) しかし 例 えインセンティブ 措 置 であろうと この 特 別 控 除 の 適 用 対 象 者 が 通 常 確 定 申 告 を 行 わない サラリーマン 等 の 一 般 納 税 者 であることを 考 慮 すれば 当 初 における 手 続 きの 誤 りのみで 減 税 の 機 会 を 奪 うことは 妥 当 なものとは 考 えられない したがって 住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 についても 当 初 申 告 要 件 を 廃 止 し 修 正 申 告 又 は 更 正 の 請 求 書 に 記 載 及 び 添 付 することで 適 用 を 可 能 とすべきである 年 金 に 対 する 課 税 の 見 直 し 13. 年 金 に 対 する 課 税 は 年 金 収 入 に 応 じた 負 担 となるよう 公 的 年 金 等 控 除 額 の 年 齢 による 差 異 を 無 くし 上 限 を 設 定 するなどの 見 直 しをすべきである ( 所 法 35, 措 法 41 の 15 の 31) 所 得 税 においては 公 的 年 金 保 険 料 を 拠 出 した 者 の 負 担 の 軽 減 を 図 り 世 代 間 の 負 担 を 公 平 に するという 観 点 から 保 険 料 拠 出 時 に 所 得 税 の 計 算 上 社 会 保 険 料 控 除 として 所 得 からその 拠 出 額 全 額 が 控 除 される さらに 受 給 時 には 所 得 税 の 計 算 上 受 給 額 から 公 的 年 金 等 控 除 額 が 控 除 された 残 額 が 課 税 の 対 象 となり 公 的 年 金 等 控 除 額 は 実 質 的 に 非 課 税 と 同 様 の 効 果 をもたらす 公 的 年 金 は 受 給 者 の 生 活 の 糧 という 性 格 を 有 しており 標 準 的 な 年 金 や 標 準 以 下 の 年 金 だけで 生 活 している 受 給 者 に 対 する 配 慮 は 当 然 必 要 である このような 拠 出 時 及 び 受 給 時 の 優 遇 措 置 が 公 的 年 金 制 度 の 特 徴 ではあるが 公 的 年 金 等 控 除 額 は 年 齢 による 差 異 がある 上 に 累 進 的 に 増 加 していくため 受 給 額 に 連 動 して 実 質 的 な 非 課 税 額 が 増 加 することになっており 公 平 性 の 観 点 から 問 題 である したがって 年 金 収 入 に 応 じた 負 担 となるよう 公 的 年 金 等 控 除 額 の 年 齢 による 差 異 を 無 くし 上 限 を 設 定 するなどの 見 直 しをすべきである - - 20

復 興 特 別 所 得 税 の 見 直 し 14. 復 興 特 別 所 得 税 は 所 得 税 の 税 率 とブラケットを 見 直 すことにより 所 得 税 に 吸 収 し 所 得 税 の 一 部 を 復 興 特 別 税 とみなして 復 興 の 財 源 にすべきである ( 財 確 法 8,9,45,49,54,63) 平 成 23 年 12 月 2 日 施 行 された 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 のための 施 策 を 実 施 するために 必 要 な 財 源 の 確 保 に 関 する 特 別 措 置 法 において 東 日 本 大 震 災 の 復 興 財 源 とするために 復 興 特 別 所 得 税 復 興 特 別 法 人 税 が 創 設 された 復 興 特 別 所 得 税 は 所 得 税 に 対 して 2.1%の 税 率 で 課 税 されるものであり 源 泉 徴 収 が 前 提 と なる 給 与 や 報 酬 等 に 係 る 所 得 税 をはじめ 利 子 や 配 当 等 に 係 る 所 得 税 についても 課 税 される 特 に 源 泉 徴 収 に 係 る 修 正 については 源 泉 徴 収 義 務 者 における 修 正 が 必 要 であり 納 税 者 が 直 接 確 定 申 告 などで 修 正 することはできない 上 復 興 特 別 所 得 税 の 税 率 2.1%は 端 数 を 生 じさ せ 計 算 が 煩 雑 となり 源 泉 徴 収 義 務 者 の 事 務 負 担 が 大 きくなることが 想 像 に 難 くない また 復 興 特 別 法 人 税 が 課 される 期 間 は3 年 間 であるのに 対 し 復 興 特 別 所 得 税 は 25 年 という 長 期 間 にわたる 法 人 に 課 される 復 興 特 別 所 得 税 は 復 興 特 別 法 人 税 から 控 除 することにより 二 重 課 税 の 排 除 が 行 われる しかしながら 3 年 が 経 過 し 復 興 特 別 法 人 税 の 課 税 が 終 了 した 後 は 法 人 に 課 される 復 興 特 別 所 得 税 は 法 人 税 から 控 除 することはできないことから 源 泉 徴 収 され た 復 興 特 別 所 得 税 の 還 付 を 受 けるためには 復 興 特 別 法 人 税 の 申 告 が 必 要 となり 還 付 の 事 務 手 続 が 22 年 間 にも 及 ぶことになる したがって 復 興 特 別 所 得 税 は 所 得 税 に 吸 収 し 税 率 とブラケットの 変 更 を 実 施 することに より その 増 税 分 を 復 興 特 別 税 とみなして 被 災 地 復 興 の 財 源 にすべきである Ⅲ 法 人 税 退 職 給 付 引 当 金 の 損 金 算 入 1. 退 職 給 付 引 当 金 の 損 金 算 入 を 認 めるべきである 退 職 給 付 金 は 労 働 協 約 就 業 規 則 労 働 契 約 等 によって 支 払 条 件 が 明 確 にされている 場 合 に は 労 働 基 準 法 11 条 の 労 働 の 対 償 としての 賃 金 に 該 当 するものと 解 される 懲 戒 解 雇 等 の 特 殊 事 例 を 除 き 労 働 関 係 が 終 了 すれば 企 業 は 支 払 義 務 を 免 れない また 会 社 計 算 規 則 退 職 給 付 に 関 する 会 計 基 準 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 におい ては 退 職 給 付 債 務 は 負 債 として 計 上 することとされている 退 職 給 付 は 企 業 が 負 うべき 責 任 であり その 原 因 が 生 じた 時 期 において 適 正 な 評 価 による 負 債 を 認 識 すべきことは 顕 然 としている しかし 法 人 税 法 においては 退 職 給 与 引 当 金 は 平 成 14 年 度 税 制 改 正 により 廃 止 され 所 定 の 取 崩 しによる 益 金 算 入 を 行 うこととされている この 取 扱 いは 事 業 年 度 ごとに 認 識 すべき 負 債 - - 21

を 看 過 するものであり 適 正 な 退 職 給 付 債 務 の 認 識 の 障 害 となっている 退 職 給 付 債 務 が 企 業 の 責 任 を 認 識 するものであることを 踏 まえ 労 働 契 約 等 によって 支 払 条 件 が 明 確 にされている 場 合 には 退 職 給 付 引 当 金 の 損 金 算 入 を 認 めるべきである 賞 与 引 当 金 繰 入 額 の 損 金 算 入 2. 賞 与 引 当 金 繰 入 額 の 損 金 算 入 を 認 めるべきである 賞 与 引 当 金 繰 入 額 の 損 金 算 入 制 度 は 平 成 10 年 度 の 改 正 において 廃 止 され 原 則 として 賞 与 は その 支 払 いをする 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 するものとされた その 一 方 事 業 年 度 末 までに 支 給 する 賞 与 の 額 が 受 給 者 に 通 知 され その 後 速 やかに(1か 月 以 内 が 限 度 ) 支 払 われるものであること 等 の 要 件 に 該 当 するものについては 未 払 費 用 として 損 金 の 額 に 算 入 できることとなった( 使 用 人 賞 与 の 損 金 算 入 時 期 の 規 定 法 令 134 の2) この 改 正 は 課 税 の 公 平 性 また 明 確 性 を 期 するとともに 財 源 確 保 のために 行 われたものであっ た しかしながら 賞 与 は 支 給 月 における 費 用 ではなく 各 月 に 発 生 する 未 払 費 用 としての 性 格 を 有 しているとの 観 点 から 企 業 会 計 において 賞 与 引 当 金 を 計 上 することとされている そして 法 人 税 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 に 従 って 計 算 することを 原 則 と しているのであるから 財 源 確 保 の 理 由 で 税 法 は 企 業 会 計 との 乖 離 を 進 めるべきでない また 使 用 人 賞 与 の 損 金 算 入 時 期 の 規 定 は 法 人 税 法 22 条 の 債 務 確 定 基 準 より 厳 格 な 規 定 であり 会 計 期 間 と 賞 与 の 支 給 時 期 のズレが 各 課 税 期 間 の 納 税 者 の 担 税 力 に 多 大 に 影 響 を 与 える 結 果 とな る したがって 賞 与 引 当 金 繰 入 額 の 損 金 算 入 制 度 は 早 急 に 復 活 させるべきである 試 験 研 究 費 に 係 る 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 繰 越 期 間 の 延 長 等 3. 試 験 研 究 費 に 係 る 税 額 控 除 制 度 について 次 のように 改 め より 利 用 価 値 の 高 い 制 度 とし その 研 究 開 発 を 税 制 上 支 援 すべきである (1) 試 験 研 究 費 に 係 る 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 取 扱 いを 次 のようにすること 1 繰 越 期 間 を 延 長 し 古 い 年 度 の 繰 越 控 除 限 度 超 過 額 から 順 次 控 除 すること 2 試 験 研 究 費 の 増 加 要 件 を 撤 廃 すること (2) 控 除 税 額 の 上 限 を 撤 廃 すること ( 措 法 42 の 4) (1) 1 研 究 開 発 は 成 果 が 現 れるまでには 多 額 の 投 資 と 膨 大 な 時 間 を 要 するものが 多 い しか し 現 行 制 度 では 支 出 事 業 年 度 の 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 繰 越 期 間 が1 年 ( 繰 越 期 間 最 長 3 年 の 特 例 は 平 成 21 年 度 分 と 平 成 22 年 度 分 に 限 定 )で 打 ち 切 られ 税 額 控 除 による 研 究 開 発 の 支 援 という 目 的 が 十 分 に 達 成 されていない また 資 源 の 少 ないわが 国 では 諸 外 国 との 国 際 競 争 に 打 ち 勝 つために 研 究 開 発 が 不 可 欠 - - 22

であるが これを 支 援 するはずの 本 制 度 そのものが 諸 外 国 における 繰 越 制 度 (イギリス: 無 期 限 アメリカ:20 年 中 国 :5 年 韓 国 :5 年 )に 劣 る 内 容 となっている したがって 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 繰 越 期 間 を 少 なくとも5 年 程 度 に 延 長 するとともに 税 額 控 除 の 順 序 については 古 い 年 度 の 税 額 控 除 限 度 超 過 額 から 順 次 控 除 することによっ て より 一 層 企 業 の 研 究 開 発 を 支 援 すべきである 2 毎 年 試 験 研 究 費 を 費 やし その 支 出 額 を 増 加 させ 続 けることは 容 易 ではない また 過 年 度 に 生 じた 税 額 控 除 限 度 超 過 額 を 控 除 するにあたって 前 年 度 より 試 験 研 究 費 が 増 加 していなければ 認 められないということに 明 確 な 理 由 は 見 出 せない したがって 税 額 控 除 限 度 超 過 額 については 次 年 度 以 降 における 試 験 研 究 費 の 増 加 要 件 を 撤 廃 してその 控 除 を 認 めるべきである (2) 現 行 法 上 控 除 税 額 の 上 限 は 本 体 部 分 については 法 人 税 額 の 20%( 平 成 26 年 度 までは 30%) 上 乗 せ 部 分 については 法 人 税 額 の 10%とされている 一 方 諸 外 国 においては 控 除 税 額 に 上 限 を 設 けていない 国 も 多 い 研 究 開 発 を 支 援 し 諸 外 国 との 企 業 競 争 力 を 確 保 する 上 でも 税 額 控 除 の 上 限 は 撤 廃 すべきである 役 員 給 与 規 定 の 抜 本 的 見 直 し 4. 法 人 税 において 損 金 不 算 入 となる 役 員 給 与 を 具 体 的 に 示 すべきである ( 法 法 341) 平 成 18 年 度 税 制 改 正 以 降 役 員 給 与 が 損 金 算 入 される 場 合 と 損 金 不 算 入 となる 場 合 について Q&A や 質 疑 応 答 事 例 などによって 課 税 庁 がその 取 扱 いを 公 表 してきたところである しかし 本 来 法 律 や 施 行 令 はそれに 記 載 され 表 現 されていることを 以 って 理 解 されるべきも のである 質 疑 応 答 事 例 などによって 初 めて 解 釈 できるということは 納 税 者 の 予 測 可 能 性 を 著 しく 損 っているものであると 言 え 取 扱 いの 判 断 が 難 しい 規 定 が 会 社 経 営 の 障 害 となることは 望 ましくない したがって 法 人 税 法 において 役 員 給 与 は 原 則 損 金 算 入 であることを 前 提 に 損 金 の 額 に 算 入 されない 役 員 給 与 をさらに 明 確 かつ 具 体 的 に 規 定 すべきである 利 益 連 動 給 与 の 適 用 対 象 法 人 の 見 直 し 5. 同 族 会 社 を 除 くすべての 法 人 において 利 益 連 動 給 与 を 認 めるべきである ( 法 法 341) 利 益 連 動 給 与 が 損 金 として 認 められるためには 算 定 方 法 の 基 礎 となる 利 益 に 関 する 指 標 が 有 価 証 券 報 告 書 に 記 載 されたものに 限 られているが 有 価 証 券 報 告 書 の 提 出 義 務 があるのは1 億 円 以 上 の 有 価 証 券 の 募 集 を 行 う 会 社 や 金 融 証 券 取 引 所 に 株 式 公 開 している 会 社 等 ある 程 度 規 模 が 大 きい 会 社 に 限 られている そのため 中 小 企 業 をはじめとする 多 くの 法 人 が 実 質 的 に 利 益 連 動 給 与 の 対 象 法 人 から 除 外 さ れている 状 態 である - - 23

しかし 利 益 連 動 給 与 については 経 営 者 の 手 腕 が 大 きく 影 響 する 中 小 企 業 にこそふさわしい 支 給 形 態 であるため 事 前 に 役 員 給 与 の 計 算 方 法 について 税 務 署 長 の 承 認 を 受 ける 等 の 恣 意 性 を 排 除 するための 措 置 を 講 じた 上 で 同 族 会 社 を 除 くすべての 法 人 に 対 して 認 めるべきである 税 法 上 の 中 小 企 業 概 念 の 見 直 し 6. 中 小 企 業 者 の 定 義 を 統 一 するとともに 優 遇 措 置 の 適 用 を 受 ける 中 小 企 業 者 の 範 囲 から 担 税 力 が 弱 いとは 必 ずしも 認 められない 中 小 企 業 者 を 除 くべきである 中 小 企 業 者 を 税 制 上 優 遇 する 前 提 として 中 小 企 業 者 の 定 義 を 明 確 にする 必 要 があるが 現 在 本 法 措 置 法 大 企 業 の 完 全 支 配 関 係 にある 法 人 等 において 中 小 企 業 者 として 優 遇 税 制 の 対 象 となる 法 人 の 範 囲 が 異 なっている また その 基 準 は 主 に 資 本 金 の 額 をもとに 判 定 が 行 われてい るが 資 本 金 の 額 が 小 さい 法 人 が 必 ずしも 中 小 企 業 者 として 税 制 上 優 遇 すべき 法 人 ではない 場 合 も 多 くなっている そこで 特 に 限 定 的 な 業 種 に 限 られるような 個 別 政 策 的 な 優 遇 税 制 を 除 いて 一 般 普 遍 的 な 制 度 については 各 制 度 において 異 なる 中 小 企 業 者 の 定 義 を 統 一 するとともに 適 用 を 受 ける 中 小 企 業 者 の 範 囲 から 担 税 力 が 弱 いとは 必 ずしも 認 められない 中 小 企 業 者 を 除 外 すべきである 交 際 費 課 税 の 見 直 し 7. 交 際 費 について 次 のように 改 正 すべきである (1) 交 際 費 等 の 範 囲 を 冗 費 や 濫 費 の 性 格 の 強 いものに 限 定 すること (2) 交 際 費 の 具 体 的 な 範 囲 の 多 くが 通 達 で 定 められているが 法 令 で 定 めること ( 措 法 61 の 4) (1) 交 際 費 課 税 は 企 業 の 冗 費 の 支 出 抑 制 と 資 本 充 実 を 目 的 に 租 税 特 別 措 置 法 に 規 定 され 損 金 不 算 入 制 度 として 課 税 強 化 されてきた しかし 現 行 の 交 際 費 には 社 会 通 念 上 必 要 と 認 められる 得 意 先 仕 入 先 等 社 外 の 者 に 対 する 冠 婚 葬 祭 に 係 る 費 用 営 業 に 伴 う 少 額 の 手 土 産 など 必 ずしも 冗 費 や 濫 費 を 招 くとはい えない 費 用 も 含 まれている これらの 費 用 に 課 税 をすることは 冗 費 の 支 出 抑 制 という 目 的 を 逸 脱 するものであり 交 際 費 等 の 範 囲 は 見 直 すべきである (2) 交 際 費 等 の 範 囲 については 一 定 の 明 示 はされているものの 依 然 として 通 達 に 依 拠 すると ころが 大 きく 課 税 庁 の 裁 量 に 委 ねられている 面 がある よって 法 令 で 定 めるべきである 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 における 買 換 えの 圧 縮 記 帳 制 度 の 見 直 し 8. 買 換 えの 圧 縮 記 帳 に 係 る 買 換 え 取 得 資 産 の 範 囲 から 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 から 取 得 した 資 産 は 除 外 すべきである ( 法 法 61 の 13, 措 法 65 の 7) - - 24

買 換 えの 圧 縮 記 帳 制 度 は 取 得 資 産 の 相 手 方 について 制 限 を 設 けていない したがって 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 から 買 換 え 資 産 を 取 得 した 場 合 であっても 圧 縮 記 帳 の 対 象 となる しかし これには 次 の 問 題 が 存 在 する 1. 課 税 回 避 手 段 としての 利 用 当 初 より 代 替 資 産 の 取 得 予 定 が 無 い 場 合 においても 完 全 支 配 関 係 のある 法 人 間 で 資 産 を 移 転 して 買 換 えの 圧 縮 記 帳 制 度 の 適 用 を 受 けることにより 売 却 益 についての 課 税 回 避 が 考 えられ る また 取 得 指 定 期 間 の 経 過 による 課 税 を 回 避 するため 完 全 支 配 関 係 のある 法 人 間 で 資 産 を 移 転 することによる 取 得 指 定 期 間 の 形 骸 化 が 考 えられる 2. 制 度 の 趣 旨 との 整 合 性 グループ 法 人 税 制 の 趣 旨 は 課 税 の 中 立 性 や 公 平 性 などを 確 保 するため 完 全 支 配 関 係 があ る 法 人 グループを 一 体 と 見 て 課 税 するものである よって 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 から 買 換 え 資 産 を 取 得 することは 法 人 グループを 一 体 と 見 るとグループ 内 での 資 産 の 移 転 にすぎない これは 外 部 からの 買 換 え 資 産 の 取 得 を 前 提 としている 買 換 えの 圧 縮 記 帳 制 度 の 趣 旨 にそぐわ ない したがって 買 換 え 取 得 資 産 の 対 象 から 完 全 支 配 関 係 がある 法 人 から 取 得 した 資 産 を 除 外 す べきである グループ 法 人 税 制 における 親 族 の 範 囲 の 見 直 し 9.グループ 法 人 税 制 における 親 族 の 範 囲 は 民 法 上 の 親 族 概 念 を 用 いず グループ 法 人 税 制 の 目 的 に 即 した 範 囲 にすべきである グループ 法 人 税 制 における 完 全 支 配 関 係 の 判 定 において 一 の 者 が 個 人 の 場 合 その 判 定 基 準 として 民 法 における 親 族 の 範 囲 (6 親 等 以 内 の 血 族 配 偶 者 3 親 等 以 内 の 姻 族 )を 用 いてい る しかし グループ 法 人 税 制 が 想 定 する 同 一 社 内 における 事 業 部 制 を 採 用 した 場 合 と 事 業 部 を 100% 子 会 社 として 分 離 させた 場 合 との 課 税 の 中 立 性 や 公 平 性 を 確 保 する という 趣 旨 におけ る 範 囲 と 民 法 における 親 族 の 範 囲 は 必 ずしも 一 致 しない 親 族 がそれぞれ 支 配 する 法 人 間 であ っても ひとつのグループと 認 識 するに 適 さない 関 係 の 法 人 もあり そのような 法 人 間 にもグル ープ 法 人 税 制 が 適 用 されることは かえって 課 税 の 中 立 性 や 公 平 性 を 削 ぐことになる そこで グループ 法 人 税 制 における 親 族 の 範 囲 は その 目 的 に 即 した 範 囲 にすべきである 外 国 子 会 社 から 受 ける 配 当 金 の 益 金 不 算 入 制 度 の 見 直 し 10. 外 国 子 会 社 から 受 ける 配 当 金 の 益 金 不 算 入 制 度 について 益 金 不 算 入 額 の 制 限 措 置 を 見 直 すとともに 持 株 要 件 を 緩 和 すべきである ( 法 法 23 の 2) - - 25

平 成 21 年 度 税 制 改 正 により 外 国 子 会 社 から 受 ける 配 当 金 に 係 る 益 金 不 算 入 制 度 が 創 設 され わが 国 企 業 が 海 外 で 子 会 社 を 設 立 したことにより 投 資 した 資 金 を 国 内 に 還 流 させるための 制 度 が 整 備 された しかしながら 現 行 制 度 では 費 用 収 益 対 応 の 観 点 から 配 当 の 額 のうち 当 該 配 当 に 係 る 費 用 の 概 算 経 費 として 5%を 控 除 した 95%を 益 金 不 算 入 としている 今 後 海 外 に 投 資 された 資 金 がスムーズに 国 内 に 還 流 され 法 人 が 再 投 資 する 機 会 を 創 出 し 国 内 経 済 の 活 性 化 に 資 するために 持 株 割 合 が 100%の 海 外 子 会 社 からの 配 当 については 全 額 益 金 不 算 入 とすべきである また 現 行 制 度 において 本 規 定 の 適 用 を 受 けるためには 外 国 子 会 社 の 発 行 済 み 株 式 を 25% 以 上 保 有 することを 要 件 としているが 外 国 子 会 社 が 所 在 する 国 によっては 出 資 制 限 があり 株 式 保 有 要 件 を 満 たせない 場 合 があるため 当 該 国 の 出 資 制 限 や 外 国 子 会 社 株 式 の 保 有 期 間 等 を 加 味 して 適 用 要 件 を 緩 和 すべきである トリガー 税 率 等 の 計 算 方 法 の 見 直 し 11. 外 国 企 業 買 収 後 の 資 本 関 係 を 整 理 するために 現 物 分 配 による 株 式 譲 渡 があった 場 合 の 外 国 子 会 社 株 式 に 係 る 譲 渡 益 を トリガー 税 率 及 び 課 税 対 象 金 額 の 計 算 上 法 人 税 法 上 の 課 税 所 得 に 加 算 しないようにすべきである ( 措 法 66 の 6, 措 令 39 の 14) 内 国 法 人 が 海 外 において 外 国 籍 企 業 を 買 収 した 場 合 に 機 能 を 統 合 させ 企 業 内 ガバナンス を 強 化 する 等 の 観 点 から 買 収 後 に 組 織 再 編 を 実 施 し 資 本 関 係 を 整 理 する 場 合 がある その 際 に 子 会 社 株 式 の 現 物 分 配 による 株 式 譲 渡 益 が 現 物 分 配 を 行 った 法 人 の 所 在 地 国 にお いて 非 課 税 となる 場 合 わが 国 のタックス ヘイブン 税 制 におけるトリガー 税 率 の 計 算 上 非 課 税 所 得 として 加 算 される( 下 記 算 式 の )ため 判 定 対 象 となる 現 地 国 の 税 率 が 低 くなる (トリガー 税 率 の 計 算 式 ) 本 店 所 在 地 国 で 本 店 所 在 地 国 以 外 で みなし 納 付 課 される 外 国 法 人 税 + 課 される 外 国 法 人 税 + 外 国 法 人 税 本 店 所 在 地 本 店 所 在 地 損 金 算 入 損 金 算 入 損 金 算 入 益 金 算 入 還 付 国 の 法 令 に + 国 の 法 令 で + 支 払 配 当 + 外 国 + さ れ な い + すべき 保 - 外 国 基 づく 所 得 非 課 税 とさ 法 人 税 保 険 準 備 金 険 準 備 金 法 人 税 れる 所 得 さらに タックス ヘイブン 税 制 が 適 用 されることとなった 場 合 には 子 会 社 株 式 の 現 物 分 配 による 株 式 譲 渡 益 は 課 税 対 象 金 額 に 含 まれるため 当 初 予 定 していなかった 課 税 が 発 生 する 可 能 性 があることから 企 業 再 編 を 断 念 し 買 収 の 目 的 を 十 分 に 達 成 できない 場 合 がある 内 国 法 人 の 国 際 競 争 力 を 低 下 させないためにも 法 人 税 課 税 上 の 弊 害 が 生 じないよう 措 置 を 講 - - 26

じた 上 で 一 定 の 要 件 を 満 たす 海 外 における 現 物 分 配 については トリガー 税 率 及 び 課 税 対 象 金 額 の 計 算 上 当 該 譲 渡 益 を 加 算 しないようにすべきである Ⅳ 相 続 税 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 の 見 直 し 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 を 見 直 し 贈 与 者 が 死 亡 した 場 合 はその 連 帯 納 付 義 務 は5 年 で 解 除 すべ きである ( 相 法 344) 相 続 税 における 連 帯 納 付 義 務 については 平 成 24 年 度 の 税 制 改 正 において 申 告 書 の 提 出 期 限 より5 年 の 期 限 が 設 けられ さらに 本 来 の 納 税 義 務 者 に 対 し 延 納 の 許 可 又 は 納 税 猶 予 がされた 場 合 は 連 帯 納 付 の 責 めを 負 わないこととなった しかしながら 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 については 見 直 されることなく 贈 与 者 は 受 贈 者 が 納 付 すべき 贈 与 税 額 に 対 し 無 制 限 に 連 帯 納 付 義 務 を 負 っているままである 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 については 通 常 の 債 務 と 同 様 に 相 続 人 に 相 続 されるが 連 帯 納 税 義 務 を 債 務 控 除 できるかどうかについては その 債 務 が 確 実 と 認 められるものに 限 られるため 受 贈 者 が 資 力 を 喪 失 して 弁 済 することが 困 難 な 場 合 を 除 き 難 しいと 考 えられる また 相 続 税 の 連 帯 納 付 義 務 につき 期 限 が 設 けられる 一 方 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 については 無 期 限 であることは 遺 贈 と 贈 与 を 異 に 扱 うことになるが 死 を 目 前 にして 自 らの 意 志 で 贈 与 を 行 った 場 合 と 死 を 目 前 にして 遺 言 書 にて 贈 与 の 意 志 をしたためた 場 合 とでその 行 為 に 大 きな 違 いは 無 い にもかかわらず 一 方 は 連 帯 納 付 義 務 が 無 期 限 であり もう 一 方 は5 年 の 期 限 が 設 けら れる さらに 贈 与 者 である 被 相 続 人 が 相 続 人 以 外 の 者 に 財 産 を 贈 与 し その 受 贈 者 が 贈 与 税 を 完 納 しなかった 場 合 は 贈 与 者 の 相 続 人 は 相 続 人 以 外 の 者 に 係 る 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 を 負 うこと になる 以 上 のような 不 合 理 な 状 況 を 解 消 するため 贈 与 税 の 連 帯 納 付 義 務 については 贈 与 者 が 死 亡 した 場 合 には 相 続 税 の 連 帯 納 付 義 務 の 期 間 制 限 の 見 直 しに 合 わせ 相 続 税 の 申 告 期 限 より5 年 が 経 過 した 時 点 で 解 除 すべきである Ⅴ 消 費 税 非 課 税 取 引 の 範 囲 の 拡 充 に 反 対 する 1. 消 費 税 率 の 引 上 げに 伴 い 非 課 税 取 引 の 範 囲 を 拡 充 すべきではない - - 27

消 費 税 は 原 則 として すべての 物 品 やサービスの 消 費 に 広 く 薄 く 課 税 するべきもので 非 課 税 取 引 は 極 力 設 けるべきではない この 点 において わが 国 消 費 税 は 非 課 税 取 引 を 絞 り シンプルな 税 制 として 世 界 的 にも 評 価 が 高 い しかしながら 諸 外 国 の 例 を 見 ても 消 費 税 率 の 引 上 げに 伴 い 非 課 税 取 引 の 範 囲 が 拡 充 され ることも 考 えられ 制 度 が 複 雑 になることが 想 像 できる 現 に 過 去 の 改 正 により 非 課 税 取 引 が 見 直 されたことをきっかけに 消 費 税 の 還 付 スキームが 問 題 視 され 最 近 の 改 正 において 手 当 てをされた 事 例 もある 今 般 の 消 費 税 率 の 引 上 げは 社 会 保 障 制 度 の 維 持 発 展 のために 充 当 される 財 源 確 保 が 目 的 で あり 非 課 税 取 引 の 範 囲 を 拡 充 させることは その 趣 旨 にも 反 することであり その 範 囲 を 拡 充 すべきでない 運 用 上 納 税 義 務 の 判 定 の 見 直 し 2. 消 費 税 の 免 税 点 制 度 を 無 くし 原 則 としてすべての 事 業 者 を 納 税 義 務 者 ( 課 税 事 業 者 )と し それに 伴 い 次 の 制 度 を 廃 止 及 び 整 備 すべきである (1) 基 準 期 間 及 び 特 定 期 間 を 廃 止 すること (2) その 課 税 期 間 における 課 税 売 上 高 が 1,000 万 円 以 下 の 個 人 事 業 者 については 選 択 によ り 申 告 を 不 要 とする 制 度 を 創 設 すること 消 費 税 率 が 引 き 上 げられた 場 合 には 申 告 が 不 要 となる 課 税 売 上 高 を 見 直 すこと ( 消 法 21 十 四,9,9 の 2,12 の 2) 現 行 の 消 費 税 は 小 規 模 零 細 事 業 者 の 納 税 事 務 負 担 や 税 務 執 行 面 の 配 慮 から 一 定 以 下 の 小 規 模 事 業 者 については 納 税 義 務 を 免 除 する 規 定 が 設 けられている 納 税 義 務 は 基 準 期 間 における 課 税 売 上 高 により 判 断 される 当 課 税 期 間 における 実 態 と 異 なることも 多 く 小 規 模 零 細 事 業 者 以 外 の 納 税 義 務 をも 免 除 することとなる ここ 数 年 の 改 正 により 納 税 義 務 の 判 定 は 複 雑 になっている( 基 準 期 間 における 課 税 売 上 高 特 定 期 間 における 課 税 売 上 高 支 払 給 与 額 期 首 資 本 金 の 額 出 資 者 の 持 分 比 率 ) 消 費 税 の 事 業 者 免 税 点 制 度 を 無 くし すべての 事 業 者 を 納 税 義 務 者 とすべきである 新 たに 会 社 を 設 立 し 消 費 税 の 納 税 義 務 を 免 れるスキームを 封 じ 込 めるために 特 定 期 間 による 納 税 義 務 の 判 定 が 設 けられたが その 期 間 の 課 税 売 上 高 その 期 間 の 支 払 給 与 額 のどちらもが 1,000 万 円 を 超 えない 限 り 納 税 義 務 は 生 じない 例 えば その 期 間 の 課 税 売 上 高 が 1,000 万 円 を 超 えても その 期 間 の 支 払 給 与 額 が 1,000 万 円 以 下 であれば 支 払 給 与 額 を 選 択 することにより 免 税 事 業 者 となるという 実 効 性 に 問 題 がある 制 度 である 法 人 は 営 利 を 目 的 として 設 立 されており 小 規 模 であるからといって 納 税 義 務 を 免 除 する 必 要 は あろうか よって 小 規 模 零 細 の 個 人 事 業 者 への 対 応 として その 課 税 期 間 における 課 税 売 上 高 が 1,000 万 円 以 下 の 場 合 には 選 択 により 申 告 を 不 要 とする 制 度 を 創 設 すべきである なお 簡 易 課 税 制 度 の 判 定 も 当 期 の 課 税 売 上 高 で 判 定 することとし 基 準 期 間 そのものも 廃 止 すべきである - - 28

簡 易 課 税 制 度 の 見 直 し 3. 簡 易 課 税 制 度 について 次 のように 改 めるべきである (1) 簡 易 課 税 制 度 の 適 用 対 象 者 は 個 人 事 業 者 のみとすること (2) 事 業 区 分 を2~3 区 分 とし 適 用 範 囲 の 見 直 し 及 びみなし 仕 入 率 の 引 下 げをすること (3) 簡 易 課 税 制 度 の 選 択 不 選 択 を 確 定 申 告 時 にできる 制 度 にすること ( 消 法 37, 消 令 57) 小 規 模 事 業 者 の 事 務 負 担 軽 減 措 置 として 簡 易 課 税 制 度 は 設 けられているが 現 状 のみなし 仕 入 率 では 納 付 税 額 をも 軽 減 している 場 合 が 多 い 消 費 税 の 制 度 を 的 確 に 運 用 するためにも 事 務 負 担 の 軽 減 措 置 を 受 けているなら 納 付 税 額 の 軽 減 措 置 は 無 くすべきである これにより 納 税 額 の 損 得 を 計 算 した 上 で 適 用 している といった 過 去 の 指 摘 や 推 計 1,000 億 円 といわれる 簡 易 課 税 制 度 適 用 による 益 税 (2005 年 ) の 問 題 を 制 度 を 存 続 しながら 解 消 可 能 と 考 えられる (1) 専 ら 事 業 活 動 を 行 う 目 的 で 設 立 された 法 人 にまで 簡 易 課 税 制 度 を 認 める 必 要 は 無 い (2) 事 業 区 分 を 現 行 の5 区 分 から2~3 区 分 程 度 に 簡 素 化 し みなし 仕 入 率 を 大 幅 に 引 き 下 げ る これにより 簡 易 課 税 制 度 が 納 税 事 務 負 担 の 軽 減 のための 制 度 であることを 明 確 にすべ きである (3) 納 付 税 額 の 軽 減 措 置 が 無 くなっている 場 合 は 簡 易 課 税 制 度 は 任 意 に 選 択 させるべきであ る 調 整 対 象 固 定 資 産 の 取 得 価 額 の 引 上 げ 4. 新 設 事 業 者 のマンション 建 築 等 を 利 用 した 消 費 税 の 還 付 スキーム 対 策 については 合 計 額 が 一 定 額 以 上 の 調 整 対 象 資 産 の 取 得 に 限 定 すべきである ( 消 法 97,301,2,33,372) 平 成 22 年 度 税 制 改 正 で いわゆるマンション 建 築 等 に 係 る 消 費 税 還 付 スキームに 対 し 調 整 対 象 固 定 資 産 を 取 得 した 場 合 には 当 該 資 産 取 得 後 3 年 間 は 課 税 事 業 者 とし 簡 易 課 税 制 度 の 適 用 もできないという 制 度 が 設 けられた しかし この 制 度 は 還 付 スキームを 活 用 しない 事 業 者 に も 適 用 されることから 課 税 売 上 高 が 僅 少 な 小 規 模 事 業 者 への 影 響 は 多 大 である そもそもこの 制 度 の 趣 旨 は 消 費 税 の 過 大 な 還 付 に 焦 点 をあてたものであるから 小 規 模 事 業 者 等 の 通 常 の 設 備 投 資 については 制 度 の 対 象 外 とすべきである 具 体 的 には 本 制 度 の 適 用 を 調 整 対 象 固 定 資 産 の 合 計 額 が 一 定 の 金 額 を 超 える 場 合 に 限 定 すべきである 在 日 米 軍 基 地 内 の 消 費 税 の 課 税 の 見 直 し 5. 在 日 米 軍 基 地 内 での 資 産 の 譲 渡 等 に 係 る 課 税 仕 入 れについては 課 税 資 産 の 譲 渡 等 にのみ 要 する 課 税 仕 入 れとして 取 り 扱 うべきである ( 消 法 302) 現 在 米 軍 基 地 内 の 営 業 店 舗 において 事 業 者 が 行 う 資 産 の 譲 渡 等 は 日 米 地 位 協 定 15 条 2 項 を - - 29

準 用 して 非 課 税 とされている 通 常 非 課 税 売 上 に 対 応 する 課 税 仕 入 れについては 控 除 できない ため その 税 額 分 を 販 売 価 額 に 転 嫁 し 利 益 を 確 保 する しかし 米 軍 基 地 内 の 営 業 店 舗 での 販 売 は その 販 売 価 額 を 事 業 者 が 自 ら 決 定 することはできない そのため 事 業 者 の 利 益 は 消 費 税 導 入 後 その 仕 入 れに 係 る 消 費 税 分 が 減 少 している 日 米 地 位 協 定 は 消 費 税 導 入 前 からある 制 度 につき これを 考 慮 していない 事 業 者 が 適 正 な 利 益 を 確 保 できるよう 販 売 価 格 への 転 嫁 あるいは その 課 税 仕 入 れについては 課 税 資 産 の 譲 渡 等 にのみ 要 するものとして 取 り 扱 うべきで ある Ⅵ 地 方 税 1 住 民 税 地 方 団 体 に 対 する 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 の 廃 止 1-(1) 個 人 住 民 税 の 都 道 府 県 市 区 町 村 に 対 する 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 (いわゆる ふる さと 納 税 )を 廃 止 すべきである ( 地 方 法 37 の 2,314 の 7) 個 人 住 民 税 の 都 道 府 県 市 区 町 村 に 対 する 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 は 平 成 6 年 に 創 設 され 数 次 の 改 正 にわたって 控 除 額 の 引 上 げ 適 用 下 限 額 の 引 下 げが 行 われてきた 更 に 平 成 20 年 度 の 税 制 改 正 においては いわゆる ふるさと 納 税 制 度 が 導 入 され 一 層 の 拡 充 が 図 られたところ である かかる 地 方 公 共 団 体 に 対 する 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 は 地 域 に 密 着 した 民 間 活 動 やわが 国 の 寄 附 文 化 の 促 進 に 役 立 っている 点 は 否 めないが 一 方 で 地 方 税 の 大 原 則 である 応 益 負 担 の 原 則 負 担 分 任 の 原 則 を 歪 めてしまうという 側 面 がある つまり 寄 附 金 控 除 を 適 用 した 納 税 者 は 自 らが 行 政 サービスを 受 けている 地 方 公 共 団 体 に 本 来 納 付 すべき 税 金 の 一 部 を 削 減 し 行 政 サービスを 受 けていない 地 方 公 共 団 体 にその 一 部 を 移 転 するという 結 果 を 生 んでいる これは 同 じ 地 方 公 共 団 体 に 居 住 し 同 じ 行 政 サービスを 受 けている にも 関 わらず その 地 方 公 共 団 体 への 納 税 額 が 異 なるという 税 負 担 の 不 公 平 が 生 じているこ とに 他 ならない また 納 税 額 の 一 部 とはいえ 納 税 者 の 自 由 意 思 で 納 税 先 を 決 定 できるという 側 面 があり 租 税 の 強 制 性 に 反 する 更 に 公 益 社 団 法 人 公 益 財 団 法 人 などに 対 する 寄 附 とは 異 なり 都 道 府 県 市 区 町 村 に 対 す る 寄 附 についての 寄 附 金 控 除 は 条 例 で 指 定 したものに 限 り 適 用 する といった 条 件 は 付 されて おらず 国 が 一 律 に 寄 附 金 控 除 の 対 象 を 定 めるという 形 式 になっている これは 地 方 分 権 の 観 点 からは 問 題 のある 制 度 だと 言 わざるを 得 ない 以 上 のことから いわゆる ふるさと 納 税 制 度 を 廃 止 し 現 行 の 寄 附 金 控 除 の 適 用 金 額 を 拡 大 すること 等 による 代 替 制 度 に 改 組 すべきである - - 30

道 府 県 民 税 の 均 等 割 二 重 課 税 の 廃 止 1-(2) 二 重 課 税 となっている 次 の 制 度 を 廃 止 すべきである 1 個 人 の 道 府 県 民 税 均 等 割 の 重 複 ( 二 重 ) 課 税 を 廃 止 すること ( 地 方 法 24) 2 政 令 指 定 都 市 における 区 の 区 域 について 一 の 市 の 区 域 とみなす 規 定 を 廃 止 する こと ( 地 方 法 737) 1 地 方 税 法 24 条 では 法 人 に 対 しては 同 一 道 府 県 内 の 異 なる 市 町 村 に 事 務 所 等 を 有 する 場 合 であっても 一 の 道 府 県 民 税 均 等 割 が 課 されるのに 対 し 同 一 道 府 県 内 の 異 なる 市 町 村 に 住 所 と 事 務 所 を 有 する 個 人 には 住 所 あるいは 事 務 所 の 存 するそれぞれの 市 町 村 ごとに 道 府 県 民 税 均 等 割 が 課 されることになる しかし 同 一 道 府 県 内 においては 個 人 法 人 の 形 態 の 如 何 を 問 わず その 負 担 の 仕 組 みは 同 一 であるべきである 一 人 の 個 人 に 対 して 道 府 県 民 税 の 均 等 割 を 二 度 課 すことは 明 らかな 二 重 課 税 であり 徴 税 の 便 宜 のためや 事 業 規 模 均 等 割 金 額 等 を 理 由 に 許 されるものではない よって 道 府 県 内 に 住 所 を 有 する 個 人 に 対 しては その 住 所 を 有 する 市 町 村 においてのみ 道 府 県 民 税 均 等 割 を 課 すべきであり 二 重 課 税 を 改 めるべきである 2 地 方 税 法 737 条 は 政 令 指 定 都 市 の 区 を 東 京 都 の 特 別 区 と 同 様 に 市 とみなし 道 府 県 民 税 市 町 村 民 税 に 関 する 規 定 を 準 用 している 東 京 都 の 特 別 区 は 特 別 地 方 公 共 団 体 として 法 人 格 を 有 しており 課 税 自 主 権 を 持 つ これに 対 し 政 令 指 定 都 市 の 区 は 市 長 の 権 限 に 属 する 事 務 を 分 掌 させるために 設 けられただけのも のであり 法 人 格 も 課 税 自 主 権 も 無 い 両 者 を 比 較 すれば 政 令 指 定 都 市 が 区 ごとに 法 人 市 民 税 の 均 等 割 を 課 税 することの 根 拠 は 見 出 し 難 い 政 令 指 定 都 市 の 区 を 市 とみなす 規 定 は 廃 止 すべきである 法 人 住 民 税 の 均 等 割 に 係 る 資 本 金 等 の 額 の 見 直 し 1-(3) 法 人 住 民 税 の 均 等 割 額 の 算 定 にあたり その 基 準 となる 資 本 金 等 の 額 は 法 人 税 法 に 規 定 する 資 本 金 等 の 額 から 資 本 の 欠 損 の 補 てんのために 減 少 した 金 額 を 控 除 した 金 額 とすべき である ( 地 方 法 52,312) 法 人 住 民 税 の 均 等 割 は 資 本 金 等 の 額 と 従 業 者 の 数 により 段 階 的 に 増 加 する( 地 方 税 法 52 条 312 条 ) この 資 本 金 等 の 額 は 法 人 税 法 2 条 16 号 に 規 定 する 法 人 が 株 主 等 から 出 資 を 受 けた 金 額 とし て 政 令 で 定 める 金 額 である( 地 方 税 法 23 条 1 項 四 号 の 五 292 条 1 項 四 号 の 五 ) したがって 資 本 の 欠 損 を 補 てんするため 資 本 金 又 は 資 本 準 備 金 の 額 を 減 少 させた 場 合 であっても 従 前 の 均 等 割 額 が 課 税 される 一 般 に 獲 得 した 利 益 によって 損 失 の 補 てんを 行 うことが 困 難 であると 判 断 した 場 合 に 資 本 金 又 は 資 本 準 備 金 の 減 少 による 損 失 処 理 が 行 われるものであることを 考 慮 すると それに 至 るま - - 31