37-13 CO2 貯 留 サイト 上 における 壌 並 びに 表 層 CO2ガスのモニタリン グとバンダリーダムCCSプロジェクト Monitering Method of Soil and Surface CO2 Gas-Flux for the Boundary Dam CCS Project 佐 々 木 久 郎 ( 九 州 大 学 ) 実 講 演 者 菅 井 裕 一 ( 九 州 大 学 ) 川 崎 航 ( 九 州 大 学 ) 内 藤 由 和 ( 中 外 テクノス 株 式 会 社 ) 川 村 太 郎 ( 中 外 テクノス 株 式 会 社 ) 福 馬 聡 之 ( 中 外 テクノス 株 式 会 社 ) CO2 貯 留 サイト 上 における 土 壌 並 びに 表 層 CO2ガスフラックスを 測 定 するための 測 定 機 器 および 非 定 常 濃 度 曲 線 に 基 づく 測 定 手 法 を 紹 介 する さらに 本 手 法 を 適 用 予 定 のカナダ サスカチュワン 州 バンダリーダムCCS プロジェクトの 現 地 状 況 を 紹 介 する
1. はじめに 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 (CO 2 )などの 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 は 増 加 する 傾 向 にあるが, 削 減 方 法 については, 家 庭 での 省 エ ネルギーから 産 業 界 の 削 減 に 関 わる 取 組 みまで 多 くの 提 案 がなされており, 京 都 議 定 書 以 降, 地 球 温 暖 化 は 政 府 および 国 民 すべてが 関 わる 問 題 として 定 着 しつつある 経 済 成 長 と 環 境 保 全 を 両 立 させる 技 術 の 1 つが 二 酸 化 炭 素 回 収 地 中 貯 留 (CCS)であり,とくに 石 炭 を 環 境 的 に 持 続 可 能 な 形 で 発 電 に 利 用 できる 利 点 をもつ 世 界 的 に 実 証 試 験 や 商 業 プロジェク トが 実 施 されている CO 2 は, 帯 水 層 中 の 圧 力 と 温 度 によって,その 相, 比 容 積 および 水 への 溶 解 度 などが 決 定 される また, 圧 力 勾 配 や 自 然 に 存 在 する 圧 力 差, 浮 力 や 拡 散 等 により 移 動 するが,その 移 動 は 圧 入 によるものを 除 くと 極 めて 遅 い CO 2 挙 動 のモニ タリングに 観 測 坑 井 を 利 用 すれば, 地 中 の CO 2 挙 動 の 精 確 な 把 握 が 可 能 となるが, 観 測 井 そのものが CO 2 の 漏 洩 経 路 と ならないように 仕 上 げられる また, 石 油,ガス 田 開 発 で 蓄 積 された 広 域 調 査 に 有 利 な 地 震 波 探 査 法 が 主 な CO 2 モニタ リング 手 法 である 直 接 的 モニタリングには, 地 下 流 体 サンプルの 採 取, 地 表 付 近 のガス 採 取,トレーサー 試 験 などがあ る 例 えば, 地 層 水 への CO 2 溶 解 によって, 流 体 中 の HCO 3 -イオン 濃 度 の 変 化 や 酸 性 化 などの 現 象 を 捉 える 流 体 サンプ リングによるモニタリングは, 多 くの CCS プロジェクトで 実 施 されている 帯 水 層 上 部 に 完 全 な CO 2 ガスシール 層 が 存 在 することで 圧 入 された CO 2 は 長 期 に 渡 り 安 全 に 貯 留 されることが 実 証 さ れてきているが, 垂 直 方 向 の 微 細 なフラクチャーシステムなどが 存 在 する 場 合 は 長 期 的 なスパンで 漏 洩 の 可 能 性 が 残 る もちろん,このような 漏 洩 の 可 能 性 がない 貯 留 層 が 選 定 されることになるが,CCS 実 施 地 域 近 くの 住 民 の 安 全 安 心 を 確 保 するためには 陸 域 での CO 2 漏 洩 モニタリングは 不 可 欠 なものと 判 断 される 本 報 告 では,CO 2 貯 留 サイト 上 における 土 壌 並 びに 地 表 における CO 2 ガスの 放 散 フラックスを 測 定 するための 測 定 機 器 および 非 定 常 濃 度 曲 線 に 基 づく 閉 鎖 チャンバー 法 を 適 用 した 測 定 手 法 を 紹 介 し, 本 測 定 手 法 を 適 用 予 定 の 世 界 最 大 級 の 規 模 を 有 するカナダ サスカチュワン 州 バンダリーダム CCS プロジェクトの 現 地 状 況 と 今 後 の 著 者 らによるモニタリング の 取 り 組 みを 紹 介 する 2. 本 研 究 の 目 的 と 実 施 内 容 CCS によって 地 下 に 貯 留 された CO 2 の 地 表 への 漏 洩 の 検 出 のためには, 地 表 面 から 大 気 に 放 散 される 土 壌 CO 2 フラッ クスの 把 握 が 基 盤 データとして 必 要 である とくに,CCS に 関 連 する 地 表 面 での CO 2 放 散 フラックスの 挙 動 モニタリン グを 行 うためには,CCS 実 施 前 の CO 2 フラックスのバックグラウンド 値 が 必 要 である ただし, 自 然 界 で 発 生 する CO 2 フラックスは, 季 節, 天 候, 植 生, 微 生 物 の 影 響 を 受 け 変 動 する すなわち, 生 態 系 サイクルによって 生 成 される CO 2 フラックス 値 からベースライン 状 態 を 把 握 することにより,CCS に 起 因 する 地 表 面 における CO 2 放 散 フラックスを 議 論 することができる 本 研 究 では, 地 表 面 から 大 気 に 放 散 される 土 壌 CO 2 フラックスの 測 定 方 法 の 検 討 を 行 い, 土 壌 水 分 量 や 温 度 の 季 節 変 動 による 変 化 が 土 壌 表 面 から 放 散 される CO 2 フラックスに 与 える 影 響 を 明 らかにすることを 目 的 として,フィールド 測 定 を 実 施 した また, 実 際 に 土 壌 中 に 人 口 的 に 圧 入 された CO 2 ガスが 土 壌 表 面 へと 流 動 してきた 場 合 の, 圧 入 されたガ スと 地 表 面 から 大 気 中 に 放 散 される CO 2 フラックスとの 関 係 について 土 壌 モデルを 用 いた 室 内 実 験 を 行 い,その 測 定 誤 差 の 検 証 を 行 った 3. 地 表 面 からの 土 壌 CO 2 ガス 放 散 フラックスの 測 定 装 置 と 測 定 法 (1) CO 2 放 散 フラックスの 測 定 法 と 測 定 装 置 土 壌 中 から 大 気 へ 放 散 される CO 2 フラックスを 測 定 する 手 法 は, 大 きく 分 けて 2 種 類 に 分 類 される 1 つはチャンバー を 用 いた 方 法 で, 更 に 開 放 チャンバー 法 と, 閉 鎖 チャンバー 法 とに 分 けられる チャンバーを 用 いた 測 定 方 法 の 特 徴 とし て 簡 便 であること, 複 数 点 で 測 定 可 能 であること, 大 気 や 土 壌 等 の 測 定 環 境 へ 大 きな 影 響 を 与 えてしまうこと, 測 定 中 の 降 水 の 影 響 が 鈍 化 すること,チャンバー 内 外 の 気 圧 差 に 敏 感 であることが 挙 げられる これらの 方 法 では 測 定 環 境 への 擾 乱 が 小 さく, 高 い 時 間 分 解 能 を 持 つ CO 2 /H 2 O 分 析 計 が 必 要 とされる ただし, 降 水 中 は 測 定 できず, 測 定 機 器 が 一 般 的 に 高 価 である 閉 鎖 チャンバー 法 は,チャンバー 内 の 気 体 と 外 気 との 出 入 りがなく, 測 定 開 始 時 点 からのチャンバー 内 の CO 2 濃 度 の 時 間 変 化 を 計 測 する これに 対 し, 開 放 チャンバー 法 の 代 表 的 な 手 法 である 通 気 法 ではチャンバー 内 1 つの 導 入 口 から 外 気 を 送 り 込 み,もう 1 つの 導 入 口 から 同 じ 流 量 でチャンバー 内 の 空 気 を 吸 引 し,チャンバーに 入 る 前 の 空 気 とチャンバー を 通 過 した 空 気 に 含 まれる CO 2 の 濃 度 差 を 計 測 することにより,チャンバー 内 の 濃 度 変 化 を 求 める 本 研 究 では,バックグラウンドとして CO 2 放 散 フラックスの 測 定 方 法 として 閉 鎖 チャンバー 法 を 適 用 した 独 自 の 測 定
装 置 を 製 作 し,その 測 定 結 果 の 検 証 と 検 討 を 行 った 図 1 に 示 すように, 閉 鎖 チャンバーを 土 壌 表 面 に 被 せ,その 内 部 に 土 壌 から CO 2 が 閉 鎖 チャンバー 内 に 拡 散 放 散 され, 時 間 経 過 とともに CO 2 濃 度 が 指 数 関 数 的 に 増 加 した 後 に 土 壌 CO 2 濃 度 と 平 衡 となることを 利 用 し,フラックスを 算 定 する 測 定 装 置 は, 閉 鎖 チャンバーの 測 定 用 気 体 サンプルを 可 搬 赤 外 線 ガス 分 析 計 (CO 2 分 解 能 : 1ppm, 水 分 分 解 能 : 1% )に 導 き, 測 定 後 に 気 体 チャンバーに 戻 すことにより,チャンバー 内 の 圧 力 を 大 気 圧 に 保 持 するとともにチャンバー 内 を 気 体 の 撹 拌 流 動 を 実 現 する 手 法 を 採 用 し,CO 2 濃 度 の 時 間 変 化 によって 土 壌 表 面 からの CO 2 ガス 放 散 フラックス CO 2 flux を 算 定 する 濃 度 測 定 値 はタブレット 型 のコンピータに 収 録 される 測 定 装 置 全 体 はバッテリーで 駆 動 されるため,フィールドにおいても 電 源 の 制 約 を 受 けないシステムとなっている また, 試 験 フィールドにおける 放 散 フラックスの 測 定 の 妥 当 性 を 検 証 するため, 図 2 に 示 す 土 を 充 填 した 円 筒 容 器 (パ ケツ)を 用 いて, 人 工 的 に 調 整 した CO 2 フラックスを 容 器 底 部 から 放 散 させ, 土 壌 表 面 において 測 定 した CO 2 フラックス との 比 較 から 検 証 実 験 を 実 施 した フィルター 循 環 する 気 体 の 流 れ データ 集 録 解 析 CO 2, 水 分 分 析 器 9.5 cm チャンバー エアポンプ 18.5 cm 図 1 本 研 究 で 用 いた CO 2 放 散 フラックス 測 定 装 置 のシステム 図 および 製 作 した 測 定 装 置 図 2 室 内 実 験 における 土 を 充 填 した 円 筒 容 器 (パケツ)を 用 いた CO 2 フラックスの 検 証 実 験 の 状 況 (2) CO 2 放 散 フラックスの 算 定 方 法 図 3 に 示 すように,チャンバーを 土 壌 表 面 に 被 せた 時 刻 から 土 壌 から CO 2 がチャンバー 内 に 拡 散 し 累 積 されることから, 経 過 時 間 -CO 2 濃 度 変 化 (t-c chamber ) 曲 線 は, C chamber t ( CS C0) 1 exp (1) ここで C 0 : 初 期 チャンバー 内 の CO 2 濃 度 ( 大 気 中 の CO 2 濃 度 ) (-) C S : 土 壌 中 の CO 2 平 衡 濃 度 (-) t : 測 定 開 始 からの 経 過 時 間 (s) τ : 測 定 チャンバーの 時 定 数 (s)
で 近 似 的 に 表 されることから, 土 壌 表 面 における CO 2 の 放 散 フラックス CO 2 flux (m 3 /s/m 2 あるいは mol/s/m 2 )は V dc CO2 flux A dt chamber t 0 V CS C0 A (2) ここで V: チャンバーおよびチューブなどの 総 体 積 (m 3 ) S: チャンバーの 開 放 面 の 面 積 (m 2 ) から 算 定 できる 試 験 フィールドで 測 定 した 結 果 に 対 して, 上 記 式 (1)をマッチングさせ, 測 定 パラメータ(C S, C 0, τ)を 算 定 した 一 例 を 図 3 に 示 す 測 定 時 間 を 短 縮 するため 閉 鎖 チャンバーの CO 2 濃 度 が 平 衡 条 件 に 達 する 前 に 測 定 を 終 了 しているが,パラメー タの 算 定 における 誤 差 はほとんどないことを 確 認 している また, 図 2 に 示 した 土 ( 試 験 フィールドの 表 層 土 壌 )を 充 填 し た 円 筒 容 器 (パケツ)を 用 いた 室 内 実 験 によって 人 工 的 に 既 知 の CO 2 フラックスを 与 えて 測 定 を 行 った 結 果, 概 ね 本 測 定 法 によるフラックスの 測 定 誤 差 が 約 10% 以 内 であることを 検 証 した チヤンバー 内 CO2 濃 度 (ppm) 1200 1000 800 600 400 200 0 dc chamber dt t0 Equation(1) フィールド 実 測 値 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 経 過 時 間 (s) 図 3 チャンバー 内 CO 2 の 時 間 経 過 曲 線 のマッチングの 例 (C S =1050ppm, C 0 =490ppm, τ=780s) 図 4 九 州 大 学 伊 都 ナチュラル アナログフィールド( 右 下 :モニタリングポストの 試 作 機 による 試 験 実 施 状 況 ) 3. 土 壌 CO 2 の 大 気 への 放 散 測 定 結 果 九 州 大 学 伊 都 キャンパス 内 の 西 地 区 共 同 利 用 スペース( 伊 都 ナチュラル アナログフィールド, 図 4)において 土 壌 CO 2 の 放 散 フラックスのバックグラウンド 測 定 を 行 った 測 定 サイトは,100m の 垂 直 坑 井 2 本,20m の 垂 直 坑 井 3 本, 地 表 面 上 に 数 多 くのモニタリング 管 を 配 置 した 試 験 フィールドであり,その 試 験 内 容 は 既 に 報 告 しているので 省 略 する ( 菅 井 ら 1) ) 本 フィールドにおいて, 本 研 究 で 製 作 した 測 定 装 置 ( 図 1)によって 地 表 面 から 放 散 される CO 2 フラックスを 測 定 した 具 体 的 には, 開 放 部 分 と 地 表 面 が 接 するように 設 置 されたチャンバー 内 の CO 2 濃 度 変 化 をおよそ 30 分 間 測 定 し,その 結
果 から CO 2 フラックスを 求 めた また, 測 定 した CO 2 放 散 フラックスと 地 表 面 から 深 さ 2cm 程 度 の 地 点 の 土 壌 温 度, 土 壌 水 分 量, 大 気 温, 地 表 風 速 などとの 関 連 性 の 評 価 を 行 った それらの 検 討 結 果 の 一 例 として, 土 壌 温 度 と O 2 フラック スの 関 係 を 図 5 に 示 す 土 壌 温 度 が 20 の CO 2 放 散 フラックスは 概 ね CO 2 flux = 2 μmol/s/m 2 のであり, 温 度 上 昇 に 伴 い フラックスも 上 昇 する 傾 向 が 明 らかである これは, 土 壌 中 における 微 生 物 活 動 が 温 度 の 上 昇 にともなって 活 発 化 するこ とで 土 壌 中 の CO 2 濃 度 を 上 昇 させ, 最 終 的 にガスの 分 子 拡 散 による 大 気 への 放 散 量 が 増 加 したものと 推 定 される 土 壌 温 度 のほか, 土 壌 水 分, 地 表 の 風 速 などとの 関 連 性 について 検 討 している 5.E-06 CO 2 放 散 フラックス CO2flux (mol/s/m 2 ), 4.E-06 3.E-06 2.E-06 1.E-06 0.E+00 0 5 10 15 20 25 30 35 地 表 近 傍 の 土 壌 温 度 ( C) 図 5 伊 都 ナチュラル アナログフィールドおける 表 層 土 壌 から 大 気 へ 放 散 される CO 2 フラックスのバックグランド 値 4. バウンダリーダム CCS プロジェクトについて 米 国 国 境 に 近 いカナダ サスカチュワン 州 エステバンにあるバンダリーダム(Boundary Dam) 石 炭 火 力 発 電 所 の 3 号 機 の 石 炭 燃 焼 排 ガス 中 の 90%の CO 2 を 回 収 し, 年 間 約 100 万 トンを 回 収 する 最 新 の 装 置 を 新 設 する 改 修 工 事 が SaskPower 社 によって 実 施 されており,2014 年 から 帯 水 層 に 貯 留 する CCS が 開 始 される SaskPower 社,サスカチュワン 州 政 府,カ ナダ 政 府 がこれらの 改 造 に 12.4 億 ドルの 投 資 を 実 施 し, 付 加 回 収 した CO 2 を 主 として 石 油 会 社 である Cenovus Energy 社 に 販 売 し, 余 剰 が 出 る 場 合 は 近 傍 の 帯 水 層 へ 貯 留 するプロジェクトである 2013 年 10 月 に,Brad Wall サスカチュワン 州 首 相 同 席 のもと,SaskPower 社, K-Coal Canada 社, 中 外 テクノス の 三 者 間 で 上 記 プロジェクトにおける CO 2 監 視 技 術 に 関 する 覚 書 が 締 結 された 2) 中 外 テクノス( 株 )は 先 端 的 な 地 表 の CO 2 監 視 システムを 開 発 して 提 供 し, 土 壌 CO 2 の バックグランド 測 定 値 に 関 して 九 州 大 学 の 研 究 グループが 検 証 を 担 当 することになった 中 外 テクノス( 株 )が 開 発 製 作 した CO 2 地 表 漏 洩 モニタリングシステム( 図 6)は,CO 2 貯 留 サイトの 10 か 所 程 度 に 2014 年 の 春 季 に 設 置 され,モニタリングを 開 始 する このモニタリングシステムは, 大 規 模 な 連 続 測 定 における 安 定 性, 費 用 対 効 果 性, 高 い 信 頼 性, 実 施 可 能 性 を 提 供 し, 利 用 し 易 いシステム 構 成 とすることで CCS 技 術 に 関 する 地 域 住 民 の 受 容 性 を 高 める 役 割 を 果 たす 九 州 大 学 の 研 究 グループは,フィールドにおける CO 2 漏 洩 モニタリングの 測 定 値 および 測 定 結 果 の 検 証 や 現 地 の 土 壌 CO 2 放 散 フラックスのバックグラウンドや 変 動 特 性 などのデータを 提 供 する 2013 年 9 月 にバンダリーダム 発 電 所 近 くの 地 中 貯 留 地 域 において 主 要 地 点 の 事 前 の 現 地 調 査 を 実 施 し,CO 2 放 散 フラックス 測 定 法 の 確 認 を 行 っている( 図 7) 2014 年 春 以 降 に 本 格 的 な 測 定 を 中 外 テクノス( 株 )と 協 力 して 実 施 する 予 定 である 5. まとめ 本 報 告 では, 地 表 面 から 大 気 に 放 散 される 土 壌 CO 2 放 散 フラックスの 測 定 方 法 の 検 討 を 行 い, 土 壌 水 分 量 や 温 度 の 季 節 変 動 による 変 化 が 土 壌 表 面 から 放 散 される CO 2 フラックスに 与 える 影 響 を 明 らかにすることを 目 的 として, 九 州 大 学 伊 都 ナチュラル アナログフィールドおよび 室 内 実 験 による 土 壌 モデルを 用 いた 検 証 結 果 を 報 告 した さらに, 今 後 予 定 しているバウンダリーダム CCS プロジェクトに 使 用 される CO 2 モニタリングシステムの 開 発 経 過 と 事 前 調 査 の 状 況 を 紹 介 した 最 後 に, 本 研 究 は 科 研 費 (60178639)および 中 外 テクノス との 共 同 研 究 として 実 施 されたことを 付 記 する
図 6 バンダリーダム CCS プロジェクトに 設 置 予 定 の 中 外 テクノス( 株 ) 製 CO 2 モニタリングポスト ( 太 陽 光 発 電 装 置 による 24 時 間 無 人 測 定 と 遠 隔 データ 転 送 ) 図 7 バンダリーダム 発 電 所 近 くの 地 中 貯 留 地 域 における 九 州 大 学 グループによる 現 地 調 査 (H25.9.11) 参 考 文 献 1) 菅 井 佐 々 木 ら: CO 2 の 漏 洩 モニタリング 手 法 に 関 するパイロット 試 験, 資 源 素 材 学 会 秋 季 大 会 ( 資 源 素 材 2013 札 幌 ), 2013.09.03. 2) SaskPower News Release: SaskPower signs carbon capture and storage monitoring system MOU with Chugai Technos, K-Coal, http://www.saskpower.com/about-us/media-information/news-releases/saskpower-signs-carbon-capture-and-storage-monitoringsystem-mou-with-chugai-technos-k-coal/, 2013.