日 本 統 計 学 会 金 融 の 計 量 リスク 管 理 分 科 会 JAFEE 信 用 リスク 理 論 研 究 部 会 講 演 資 料 債 権 回 収 率 の 実 務 利 用 に 関 する 現 状 と 課 題 2011 年 10 月 20 日 ( 木 ) 日 本 リスク データ バンク 株 式 会 社 取 締 役 常 務 執 行 役 員 尾 藤 剛
本 日 のアジェンダ 債 権 回 収 率 (LGD)については 自 己 資 本 比 率 規 制 の 改 定 (バーゼルII)を 契 機 と して 内 部 格 付 手 法 採 用 行 を 中 心 に 国 内 での 理 論 実 務 両 面 の 知 見 の 積 み 上 げが 急 速 に 進 んだ 分 野 である 本 発 表 では バーゼルIIの 導 入 期 より 共 同 データベースの 運 営 を 通 じてLGDに 関 す る 調 査 研 究 と 実 務 家 との 意 見 交 換 を 継 続 的 に 行 ってきた 立 場 から 銀 行 の 信 用 リスク 管 理 業 務 におけるLGDの 位 置 づけと 推 計 の 現 状 活 用 に 向 けた 課 題 につ いて 概 観 する 本 資 料 の 無 断 転 載 複 製 は 固 くお 断 りいたします なお 本 資 料 につきましては 作 成 時 点 における 筆 者 の 個 人 的 見 解 を 示 しており 日 本 リスク データ バンク 株 式 会 社 の 意 見 を 表 すものではありません また その 作 成 においては 筆 者 が 信 頼 に 足 ると 判 断 した 情 報 に 基 づき 正 確 性 を 期 しておりますが その 完 全 性 を 保 証 するものではありません 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 1
信 用 リスク 管 理 業 務 におけるLGD 推 計 の 位 置 づけ 信 用 リスク 管 理 業 務 の 全 体 像 信 用 格 付 資 産 査 定 債 務 者 区 分 判 定 債 権 分 類 債 務 者 格 付 財 務 評 価 非 財 務 修 正 債 務 者 格 付 (PD) 自 己 資 本 比 率 計 算 パラメータセット リスクウェイト 計 算 案 件 格 付 回 収 率 評 価 正 常 化 率 等 修 正 案 件 格 付 (LGD) 個 社 で 実 施 全 体 で 実 施 ポートフォリオ リスク 計 量 パラメータセット シミュレーション 銀 行 におけるLGD 推 計 は 規 制 上 の 所 要 自 己 資 本 額 の 計 算 を 目 的 とする 1つのパラメータ 計 測 と して 位 置 づけられている (EL = PD x LGD x EAD) LGDパラメータの 計 測 に 当 たっては 信 用 格 付 制 度 の 一 部 分 を 構 成 する 案 件 格 付 制 度 により 貸 出 ごとにLGD 推 計 値 を 割 り 当 てるのが 通 常 である リテール 向 け 貸 出 ( 例 : 住 宅 ローン カードロー ン 法 人 向 け 小 口 融 資 )の 場 合 複 数 の 貸 出 をひ とまとめにして(プール 区 分 ) 案 件 格 付 制 度 に よらずLGDを 推 計 することも 多 い 地 方 銀 行 をはじめとする 大 多 数 の 金 融 機 関 におい ては そもそも 所 要 自 己 資 本 額 の 計 算 に 際 して 自 らLGDを 推 計 する 規 制 上 の 必 要 性 は 無 い 開 示 債 権 額 償 却 金 額 引 当 金 自 己 資 本 比 率 非 予 想 損 失 (UL) ( 出 所 :ゼロからはじめる 信 用 リスク 管 理 ) 大 半 の 銀 行 においてはこれまで 回 収 率 = 保 全 率 であり バーゼルIIが 導 入 された 現 在 においても 貸 出 業 務 において 債 権 評 価 実 務 における 主 役 を 担 うのは 依 然 として 保 全 率 である 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 2
邦 銀 の 貸 出 業 務 におけるLGDの 特 徴 邦 銀 の 実 務 において 必 要 とされるLGDは 規 制 上 の 所 要 自 己 資 本 額 の 計 算 を 出 発 点 とすることに 起 因 す るいくつかの 特 徴 を 有 しており 精 緻 な 推 計 のためには 海 外 のものを 中 心 とする 過 去 の 知 見 を 単 純 に 導 入 するだけでは 済 まないいくつかの 課 題 が 存 在 している ワークアウトLGDとマーケットLGD バーゼル 銀 行 監 督 委 員 会 も 参 照 した 先 行 知 見 とされる90 年 代 以 降 の 北 米 でのLGDの 実 証 研 究 については その 大 半 が 債 券 市 場 や ローン 売 買 市 場 における 債 権 の 市 場 価 格 データをもとにした マーケットLGD を 対 象 としている これに 対 して 邦 銀 の 資 産 の 多 くを 占 める 貸 出 債 権 については バルクセールのようなケースを 除 いて 市 場 で 債 権 を 処 分 するケースは 限 られており 市 場 価 格 をもとにLGDを 推 計 するのも 実 績 値 をとるのも 困 難 である このため 実 回 収 金 額 をもとにした ワークアウトLGD の 推 計 が 求 められている 統 計 モデルと 構 造 モデル ローン 売 買 市 場 は 言 うに 及 ばず 社 債 市 場 に 至 っても 本 邦 では 北 米 と 比 較 して 十 分 なデータ 量 を 得 られるだ けの 厚 みが 無 いと 言 われており 構 造 モデルの 構 築 が 技 術 的 に 難 しいとされている また タイムリーな 時 価 情 報 の 取 得 が 難 しいとされる 非 上 場 企 業 や 個 人 の 貸 出 先 のウェイトも 相 応 に 高 く そうしたケースにも 適 用 で きる 統 計 モデルの 開 発 が 望 まれていた 根 担 保 根 保 証 構 造 事 業 会 社 向 けの 貸 出 を 中 心 に 満 期 金 利 元 本 金 額 資 金 使 途 など あらゆる 融 資 条 件 が 異 なる 貸 出 に 共 通 の 担 保 を 設 定 する 貸 出 先 (obligor) 単 位 の 根 担 保 根 保 証 という 融 資 慣 行 が 本 邦 には 存 在 するため 貸 出 (facility) 単 位 のLGD 計 測 に 立 脚 する 海 外 知 見 をそのまま 導 入 することが 難 しい 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 3
ワークアウトLGDのイメージ ( 例 ) 回 収 事 例 と 回 収 率 の 計 算 結 果 キャッシュフロー 上 :イン 下 :アウト 2010/3/31 デフォルト 時 点 2010/6/30 商 手 落 ち 200 2010/9/30 担 保 処 分 220 2010/12/31 信 用 回 収 50 2011/3/31 償 却 500 保 全 状 況 左 : 残 高 右 : 保 全 500 商 手 200 根 抵 当 240 60 300 根 抵 当 240 60 80 80 30 30 デフォルト 時 貸 出 残 高 (EAD) : 500 保 全 率 : (200+240) / 500 = 88 % 総 回 収 率 : (200+220+50) / 500 = 94 % LGD = 100 % - 94 % = 6 % 担 保 回 収 率 ( 商 手 ) : 200 / 200 = 100 % ( 不 動 産 ) : 220 / 240 = 91.7 % 信 用 回 収 率 1 : 50 / (500-200-240) = 83.3 % ( 分 母 をデフォルト 時 点 の 非 保 全 部 分 の 債 権 額 とする) 信 用 回 収 率 2 : 50 / 500 = 10 % ( 分 母 をデフォルト 時 点 の 債 権 額 合 計 (EAD)とする) 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 4
根 担 保 根 保 証 とは? カードローン 住 宅 ローン この 人 がカードローン 住 宅 ロー ンともに 返 済 できなくなった 場 合 には 銀 行 は 抵 当 権 を 設 定 してい た 不 動 産 担 保 を 処 分 して その 売 却 代 金 をもってローンの 回 収 がで きるが... 担 保 ( 抵 当 権 ) ( 普 通 抵 当 権 の 場 合 ) 住 宅 ローンの 回 収 にのみ 充 当 ができる ( 根 抵 当 権 の 場 合 ) カードローン 住 宅 ローン いずれの 回 収 にも 充 当 ができる 後 者 を 特 に 根 担 保 などといい 貸 出 (facility) 単 位 での 回 収 率 の 計 測 や 推 計 を 行 うと 担 保 と 回 収 との 直 接 的 な 関 係 を 妨 げるノイズとして 作 用 しがちである 根 担 保 制 度 を 前 提 とする 貸 出 資 産 においては 貸 出 先 (obligor) 単 位 の 計 測 が 基 本 となる 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 5
銀 行 におけるLGDと 案 件 格 付 制 度 案 件 格 付 制 度 のイメージ ( 低 ) LGD ( 高 ) ( 狭 L 義 G の D 案 格 件 付 格 付 ) ( 低 ) 債 務 者 格 付 1 2 3 4 5 6 7 1 LGD1 1 EL1 2 LGD2 2 EL2 3 LGD3 3 EL3 4 LGD4 4 EL4 5 LGD5 5 EL5 PD1 PD2 PD3 PD4 PD5 PD6 PD7 PD ( 高 ) LGD 格 付 けによるランク 及 び 推 計 値 を 適 用 する ( 広 義 の) 案 件 格 付 PDxLGD 銀 行 における 信 用 格 付 制 度 は PD(probability of default デフォルト 率 )の 水 準 によって 貸 出 先 を 区 分 する 債 務 者 格 付 と LGD(loss given default デフォ ルト 時 損 失 率 )の 水 準 によって 貸 出 を 区 分 する( 狭 義 の) 案 件 格 付 の 組 み 合 わせから 成 り 立 っている 債 務 者 格 付 と ( 狭 義 の) 案 件 格 付 を 組 み 合 わせること で 貸 出 をEL(expected loss 予 想 損 失 )の 水 準 別 に 区 分 できる これを 特 に( 広 義 の) 案 件 格 付 と 呼 ぶ 案 件 格 付 という 言 葉 づかいには ELを 基 準 にするもの と LGDを 基 準 とするものとが 混 在 しており いずれを 指 しているのかについては 文 脈 から 解 釈 する 必 要 がある なお 英 文 では 前 者 がfacility rating 後 者 がloss severity ratingと 使 い 分 けられていることがある かかる 体 系 においては ( 狭 義 の) 案 件 格 付 を 付 与 する ために 貸 出 をLGD(または 債 権 回 収 率 )の 順 番 に 並 べ るロジックが 求 められている また ( 狭 義 の) 案 件 格 付 の 各 区 分 に 割 り 当 てられた 貸 出 については それぞれのLGD 推 計 値 が 必 要 となる 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 6
案 件 格 付 制 度 に 用 いるLGD 推 計 手 法 の 現 状 案 件 格 付 制 度 には 貸 出 のLGDの 水 準 を 有 意 に 区 分 する 尺 度 が 必 要 となるが 内 部 格 付 手 法 を 採 用 する 銀 行 でも 簡 易 なアプローチを 採 用 しているケースが 多 い 案 件 ごとの 保 証 与 信 期 間 担 保 等 の 取 引 条 件 を 勘 案 した 与 信 の 回 収 の 確 実 性 を 示 す 指 標 個 々の 案 件 の 特 性 ( 保 証 担 保 等 )を 考 慮 したうえで 案 件 ごとのデフォルト 時 における 損 失 の 程 度 に 応 じて 評 価 し 分 類 債 務 者 格 付 とは 別 に 個 々の 債 権 単 位 での 保 全 状 況 に 基 づいて 付 与 される ( 各 行 ディスクロージャー 資 料 より) 一 部 の 銀 行 では 統 計 モデル*を 採 用 するケースもあるが 多 くの 場 合 は 保 全 率 (+α)を 用 いて 貸 出 を LGDの 序 列 にて 並 べており また 区 分 別 のLGD 推 計 値 としては 過 去 の 実 績 値 を 用 いていることが 多 い ( ただし 区 分 別 の 推 計 値 に 過 去 の 実 績 値 をほぼそのまま 用 いることが 多 いのは PDも 同 じである) *ロジスティック 回 帰 モデル 決 定 木 など 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 7
ワークアウトLGDを 前 提 とする 推 計 モデルの 例 ワークアウトLGDを 前 提 とした 統 計 モデルの 一 例 が 回 収 源 泉 ごとに 得 られるキャッシュフローを 推 計 し 最 後 にこれらを 足 し 合 わせて 回 収 率 を 推 計 する ボトムアップ 型 のアプローチである 通 常 は 担 保 を 源 泉 とする 回 収 と それ 以 外 の( 信 用 による) 回 収 とを 別 々のモデルで 推 計 する 1EAD 2 保 全 ( 定 数 とすることも 多 い) Ⅰ 保 全 回 収 額 の 推 計 保 全 額 ( 種 類 別 ) 保 全 回 収 率 推 計 値 ( 種 類 別 )の 合 計 3 保 全 回 収 額 ( 推 計 値 ) 未 回 収 額 ( 推 計 値 ) 未 回 収 額 ( 推 計 値 ) = 1-3 (ロジスティック 回 帰 モデル) Ⅱ 信 用 回 収 額 の 推 計 未 回 収 額 ( 推 計 値 ) 信 用 回 収 率 2 推 計 値 4 信 用 回 収 額 ( 推 計 値 ) Ⅲ 統 合 5 回 収 額 合 計 3+4 回 収 率 推 計 値 = 5/1 ( 参 考 ) 統 計 モデルによるLGD 推 計 値 の 検 証 結 果 例 ( 実 績 値 と 推 計 値 の 順 位 相 関 を 比 較 ) 構 築 時 検 証 用 データ 検 証 用 データⅠ データⅡ 調 整 前 0.1496 0.1133 0.1484 調 整 Ⅰ 0.3083 0.2148 0.2268 調 整 Ⅱ 0.5087 0.4175 0.4407 ( 出 所 :RDB) 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 8
統 計 的 アプローチによるLGD 推 計 の 技 術 的 課 題 1 データの 数 量 ( 期 間 ) 品 質 ( 均 質 性 )の 制 約 双 峰 分 布 への 対 応 80% 60% 回 収 率 の 分 布 無 担 保 無 保 証 先 全 体 回 収 期 間 1 年 未 満 回 収 期 間 3 年 未 満 回 収 期 間 5 年 未 満 回 収 期 間 2 年 未 満 回 収 期 間 4 年 未 満 回 収 期 間 5.5 年 未 満 構 成 比 40% 20% 0% 0 20% 未 満 40% 未 満 60% 未 満 80% 未 満 95% 未 満 95% 以 上 正 常 化 ( 出 所 :RDB 2010 年 12 月 時 点 のデータより) 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 9
統 計 的 アプローチによるLGD 推 計 の 技 術 的 課 題 2 ランクアップ( 正 常 化 )する 貸 出 先 の 取 り 扱 い ランクアップとは? ランクアップ 率 を 考 慮 したLGD( 回 収 率 )の 推 計 期 初 デフォルト デフォルト 期 末 N% ランクアップ ( 回 収 率 100%) ランクアップ 先 の 回 収 率 は 通 常 は 100%とみなす 正 常 化 率 40% 30% 20% 正 常 先 要 管 理 先 正 常 先 要 管 理 先 正 常 先 1 初 回 のデフォルトのみを1 件 としてカウント 実 績 デフォルト 率 =1 100=1% 2 デフォルト ランクアップの 都 度 それぞれを1 件 としてカウント 実 績 デフォルト 率 =2 (100+2)=1.96% 3 期 末 の 状 態 だけでデフォルトをカウント 実 績 デフォルト 率 =0 100=0% ランクアップ 率 の 推 移 ランクアップ 正 常 化 率 の 推 移 無 担 保 無 保 証 先 2005 年 度 デフォルト 先 2006 年 度 デフォルト 先 2007 年 度 デフォルト 先 2008 年 度 デフォルト 先 2009 年 度 デフォルト 先 ランクアップ LGD デフォルト 100-N % ランクアップする 確 率 をランクアッ プ 率 (N%)として 定 義 し 回 収 率 と は 別 個 に 推 計 する 通 常 回 収 (R%) =100- 回 収 率 =100-(100x ランクアップ 率 + 通 常 回 収 率 x 非 ランクアップ 率 ) =100-{(100xN+Rx(100-N)} (%) ランクアップしない 先 の 通 常 回 収 率 (R%)は ランクアップ 先 のサンプルを 除 いて 計 算 した 実 績 値 をもとに 推 計 する ( 出 所 :ゼロからはじめる 信 用 リスク 管 理 ) 10% 0% 1 年 未 満 2 年 未 満 3 年 未 満 4 年 未 満 5 年 未 満 回 収 観 測 期 間 ( 出 所 :RDB 2010 年 12 月 時 点 のデータより) 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 10
統 計 的 アプローチによるLGD 推 計 の 技 術 的 課 題 3 処 分 されない 担 保 の 取 り 扱 い 銀 行 貸 出 先 データによる 回 収 行 動 を 追 跡 すると デフォルト 事 象 ( 要 管 理 先 以 下 )が 貸 出 先 の 破 綻 そのものを 表 すわけでは 無 いため 必 ずしも デフォルト 発 生 と 同 時 に 担 保 処 分 行 動 を 起 こす わけではない 担 保 処 分 による 回 収 行 動 は デフォルト 発 生 以 降 の 回 収 状 況 に 応 じて 銀 行 の 意 思 決 定 によっ て 発 生 する 選 択 的 なプロセスとなる 銀 行 が 回 収 率 LGDの 序 列 づけにおいて 最 も 重 視 するのが 貸 出 先 の 保 全 率 であるが 保 全 があるにもかかわらず それを 行 使 することなく100% 回 収 になるケースなどもあり 保 全 率 と 回 収 率 は 必 ずしもイコールではない 保 全 による 回 収 率 の 推 移 回 収 率 100% 80% 60% 40% 20% 0% 保 全 回 収 率 の 推 移 優 良 保 証 2005 年 度 デフォルト 先 2006 年 度 デフォルト 先 2007 年 度 デフォルト 先 2008 年 度 デフォルト 先 2009 年 度 デフォルト 先 1 年 未 満 2 年 未 満 3 年 未 満 4 年 未 満 5 年 未 満 回 収 観 測 期 間 優 良 保 証 による 回 収 率 は 銀 行 が 保 証 人 に 代 位 弁 済 請 求 を 行 えば 通 常 は100% 回 収 につながるはずであるが 実 際 の 優 良 保 証 カバー 先 における 回 収 率 の 推 移 をみる と 1 年 未 満 では20% 強 3 年 後 でも40% 程 度 にとどまっている これは 銀 行 定 義 のデフォルト 先 においては デフォルト 事 象 が 発 生 しても それ が 直 ちに 代 位 弁 済 請 求 につながっていない 実 態 を 表 している このため 保 全 率 をそのまま 回 収 率 推 計 値 に 用 いても 処 分 されない 担 保 実 行 されない 保 証 * の 分 だけ 実 績 値 との 間 に 乖 離 が 生 じることになる * 担 保 カバー 先 のうち 実 際 に 担 保 処 分 が 実 行 される 貸 出 先 の 割 合 を 特 に 実 行 率 と 呼 ぶことがある ( 出 所 :RDB 2010 年 12 月 時 点 のデータより) 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved. 11
尾 藤 剛 (びとう ごう) 日 本 リスク データ バンク 株 式 会 社 03-5425-2184 go_bito@riskdatabank.co.jp 本 資 料 の 無 断 転 載 複 製 は 固 くお 断 りいたします なお 本 資 料 につきましては 作 成 時 点 における 筆 者 の 個 人 的 見 解 を 示 しており 日 本 リスク データ バンク 株 式 会 社 の 意 見 を 表 すものではありません また その 作 成 においては 筆 者 が 信 頼 に 足 ると 判 断 した 情 報 に 基 づき 正 確 性 を 期 しておりますが その 完 全 性 を 保 証 するものではありません 2011/10/20 The Risk Data Bank of Japan, Ltd. All rights reserved 12