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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

 

スライド 1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

公表表紙

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資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

退職手当とは

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●電力自由化推進法案

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    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

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Microsoft Word

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

●幼児教育振興法案

定款

平成16年度

18 国立高等専門学校機構

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

16 日本学生支援機構

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

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高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

【労働保険事務組合事務処理規約】

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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Microsoft Word - 目次.doc

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

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資料2 利用者負担(保育費用)

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別紙3

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4-3-4共立蒲原総合病院組合職員の育児休業等に関する条例

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(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

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資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国


1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

Taro-29職員退職手当支給規程

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1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

年 支 給 開 始 年 齢 図 特 別 支 給 の 老 齢 厚 生 年 ( 給 料 比 例 部 分 ) 昭 和 29 年 10 月 1 日 生 まれ 以 前 ~ 特 別 支 給 の 退 職 共 済 年 老 齢 厚 生 年 昭 和 25 年 10 月 1 日 生 まれ 以 前 ~ 退 職 共 済 年

東近江行政組合職員の育児休業等に関する条例

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◆併給の調整◆

波佐見町の給与・定員管理等について



申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

とする (1) 多 重 債 務 や 過 剰 債 務 を 抱 え 返 済 が 困 難 になっている 人 (2) 債 務 整 理 を 法 律 専 門 家 に 依 頼 した 直 後 や 債 務 整 理 途 上 の 人 (3) 収 入 よりも 生 活 費 が 多 くお 金 が 不 足 がちで 借 金 に 頼

(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)


(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

(3) 育 児 休 業 (この 号 の 規 定 に 該 当 したことにより 当 該 育 児 休 業 に 係 る 子 について 既 にし たものを 除 く )の 終 了 後 3 月 以 上 の 期 間 を 経 過 した 場 合 ( 当 該 育 児 休 業 をした 教 職 員 が 当 該 育 児 休 業

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 26 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 副 理 事 長 A 理 事 16,638 10,332 4,446 1,

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

Transcription:

社 会 保 障 税 一 体 改 革 における 年 金 制 度 改 正 国 民 年 金 法 改 正 案 年 金 機 能 強 化 法 案 ねぎし たかし 厚 生 労 働 委 員 会 調 査 室 根 岸 隆 史 1.はじめに 平 成 24 年 2 月 17 日 政 府 は 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 ( 以 下 一 体 改 革 大 綱 と いう )を 閣 議 決 定 した 一 体 改 革 大 綱 では 給 付 に 見 合 った 負 担 を 確 保 しないままその 負 担 を 将 来 世 代 に 先 送 りし 続 けることは 社 会 保 障 の 持 続 可 能 性 確 保 や 財 政 健 全 化 の 観 点 か らも 困 難 であるとし 制 度 改 革 の 必 要 性 が 訴 えられている 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 における 年 金 制 度 改 革 の 議 論 では 1 所 得 比 例 年 金 と 最 低 保 障 年 金 の 組 合 せからなる 一 つの 公 的 年 金 制 度 にすべての 人 が 加 入 する 新 しい 年 金 制 度 の 創 設 を 目 標 に 2 新 制 度 創 設 までの 間 に 新 年 金 制 度 の 方 向 性 に 沿 った 現 行 制 度 の 改 善 を 図 るという 二 段 階 の 制 度 改 革 を 実 施 するという 方 向 で 整 理 がなされてきた 政 府 は この 現 行 制 度 の 改 善 に 向 け 一 体 改 革 大 綱 の 各 項 目 の 法 案 化 作 業 を 進 めてきている これに 関 連 して 第 180 回 国 会 においては 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 以 下 国 民 年 金 法 改 正 案 という ) 及 び 公 的 年 金 制 度 の 財 政 基 盤 及 び 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 のための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 以 下 年 1 金 機 能 強 化 法 案 という )がそれぞれ 提 出 された 2 国 民 年 金 法 改 正 案 は 長 期 的 な 給 付 と 負 担 の 均 衡 年 金 制 度 の 将 来 的 な 持 続 可 能 性 の 向 上 を 主 な 目 的 としており 平 成 24 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の2 分 の1への 引 上 げや 年 金 給 付 額 における 特 例 水 準 の 解 消 を 行 うものである また 年 金 機 能 強 化 法 案 は 年 金 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 働 き 方 に 中 立 的 な 社 会 保 障 の 実 現 を 主 な 目 的 としており 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の2 分 の1への 引 上 げを 恒 久 化 させるとともに 低 所 得 者 等 への 年 金 額 の 加 算 や 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 を 行 うものである 本 稿 においては 両 法 律 案 の 背 景 と 経 緯 概 要 及 び 主 な 論 点 についてそれぞれ 紹 介 する こととしたい 3 2. 両 法 律 案 の 背 景 と 経 緯 (1) 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1への 引 上 げ 我 が 国 の 公 的 年 金 制 度 は 社 会 保 険 方 式 をとりつつ 給 付 水 準 の 改 善 や 保 険 料 負 担 の 軽 減 な どの 観 点 から 従 来 よりその 費 用 の 一 部 に 対 し 国 庫 負 担 を 実 施 してきた 昭 和 60 年 の 年 金 制 1 法 案 略 称 は 厚 生 労 働 省 資 料 による 2 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 関 連 では 他 に 被 用 者 年 金 一 元 化 のため 被 用 者 年 金 制 度 の 一 元 化 等 を 図 るため の 厚 生 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 提 出 されている 3 本 稿 は 平 成 24 年 4 月 13 日 時 点 によるものである 40 立 法 と 調 査 2012.5 立 法 No.328( と 調 査 参 2012.5 議 院 事 務 No.328 局 企 画 調 整 室 編 集 発 行 )

度 改 正 において 国 民 年 金 厚 生 年 金 共 済 年 金 の 各 年 金 制 度 に 共 通 する 基 礎 的 年 金 制 度 と して 基 礎 年 金 が 導 入 された これに 伴 い それまで 各 年 金 制 度 に 行 われていた 国 庫 負 担 は 基 礎 年 金 に 対 して 集 約 的 に 行 われることとなり その 負 担 割 合 は 当 時 の 国 民 年 金 に 対 する 負 担 割 合 と 同 じ3 分 の1とされた その 後 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の 引 上 げは 公 的 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 めるとされ その 実 現 が 課 題 とされていった ア 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 では 少 子 高 齢 化 の 進 展 を 踏 まえ 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 めるべく 抜 本 的 な 議 論 がなされ 将 来 世 代 の 負 担 が 過 重 なものとならないよう 給 付 と 負 担 の 見 直 しが 行 われた 同 改 正 では 新 たな 年 金 財 政 フレームワーク 4 が 構 築 され 国 庫 が 基 礎 年 金 給 付 費 の2 分 の1を 負 担 する 旨 が 国 民 年 金 法 の 本 則 ( 第 85 条 第 1 項 第 1 号 )に 5 明 記 された さらに 国 民 年 金 法 改 正 法 ( 以 下 16 年 改 正 法 という ) 附 則 において 以 後 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 引 上 げの 過 程 が 規 定 された 6 また 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 を2 分 の1に 恒 久 的 に 引 き 上 げる 特 定 年 度 については 平 成 19 年 度 を 目 途 に 政 府 の 財 政 運 営 の 方 針 との 整 合 性 を 確 保 しつつ 社 会 保 障 に 関 する 制 度 全 般 の 改 革 の 動 向 その 他 の 事 情 を 勘 案 し 所 要 の 安 定 した 財 源 を 確 保 する 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 った 上 で 平 成 21 年 度 までのいずれかの 年 度 を 定 めるものとする ( 同 附 則 第 16 条 第 1 項 )とされた イ 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の 段 階 的 引 上 げ( 平 成 17 ~ 19 年 度 ) 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 を 受 け 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 について 段 階 的 な 引 上 げが 実 施 された 平 成 16 年 度 は 年 金 課 税 等 の 適 正 化 ( 公 的 年 金 等 控 除 の 見 直 し 老 年 者 控 除 の 廃 止 )による 増 収 分 (272 億 円 )が 従 来 の 国 庫 負 担 割 合 3 分 の1に 上 乗 せされた 続 く 平 成 17 年 度 から 平 成 19 年 度 も 定 率 減 税 の 縮 減 廃 止 による 増 収 分 ( 平 成 17 年 度 :1,101 億 円 平 成 18 年 度 :2,200 億 円 平 成 19 年 度 :1,124 億 円 )が 更 に 上 乗 せされ 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 は 平 成 17 年 度 には 約 35.1 %(1/3 + 18/1000) 平 成 18 年 度 には 約 35.8 %(1/3 + 25/1000) 平 成 19 年 度 には 約 36.5 %(1/3 + 32/1000)へとそれぞれ 引 き 上 げられた 7 一 方 平 成 19 年 度 以 降 消 費 税 率 の 引 上 げを 含 む 税 制 の 抜 本 改 革 に 関 して 議 論 は 行 わ れたものの 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の2 分 の1への 引 上 げに 要 する 財 源 を 含 め 持 続 可 能 4 1 上 限 を 固 定 した 上 での 保 険 料 の 引 上 げ 2 負 担 の 範 囲 内 で 給 付 水 準 を 自 動 調 整 する 仕 組 み(マクロ 経 済 スラ イド)の 導 入 3 積 立 金 の 活 用 などの 見 直 し 4 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の2 分 の1への 引 上 げを 主 な 内 容 とする 5 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 16 年 法 律 第 104 号 ) 6 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 16 年 法 律 第 104 号 ) 附 則 第 15 条 では 平 成 17 年 度 及 び 平 成 18 年 度 において 我 が 国 の 経 済 社 会 の 動 向 を 踏 まえつつ 所 要 の 税 制 上 の 措 置 を 講 じた 上 で 別 に 法 律 に 定 め るところにより 国 庫 負 担 の 割 合 を 適 切 な 水 準 へ 引 き 上 げるものとする とされた 7 なお 平 成 20 年 1 月 25 日 平 成 20 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 を 約 37.3 %(1/3 + 40/1000)へと 引 き 上 げ るための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 第 169 回 国 会 に 提 出 された しかし 前 年 からの ねじれ 国 会 という 背 景 などから 審 議 が 進 まず 同 法 案 は 衆 議 院 にて 継 続 審 査 となり 第 170 回 国 会 には 審 査 未 了 により 廃 案 となった そのため 平 成 20 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 は 平 成 19 年 度 と 同 じ 約 36.5 %に 据 え 置 かれた 41

な 社 会 保 障 制 度 とするために 安 定 的 な 財 源 確 保 の 必 要 があるとして 消 費 税 をその 財 源 に 位 置 付 けるにとどまり 税 制 の 抜 本 改 革 に 具 体 的 な 道 筋 を 示 すに 至 らなかった ウ 臨 時 財 源 による 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1への 引 上 げ( 平 成 21 22 年 度 ) 平 成 20 年 9 月 米 国 大 手 証 券 会 社 の 破 綻 に 端 を 発 する 世 界 的 な 金 融 危 機 が 起 こり 我 が 国 の 経 済 状 況 も 急 速 に 悪 化 し 平 成 16 年 改 正 法 が 期 限 とする 平 成 21 年 度 からの 消 費 増 税 を 含 む 税 制 の 抜 本 改 革 は 困 難 な 状 況 8 となる 中 12 月 24 日 持 続 可 能 な 社 会 保 障 構 築 とその 安 定 財 源 確 保 に 向 けた 中 期 プログラム が 閣 議 決 定 された そこでは 社 会 保 障 安 定 財 源 については 税 制 抜 本 改 革 の 一 環 により 消 費 税 を 主 な 財 源 として 確 保 するものと し 税 制 抜 本 改 革 の 道 筋 については 今 年 度 を 含 む3 年 以 内 の 景 気 回 復 に 向 けた 集 中 的 な 取 組 により 経 済 状 況 を 好 転 させることを 前 提 に 消 費 税 を 含 む 税 制 抜 本 改 革 を 2011 年 度 より 実 施 できるよう 必 要 な 法 制 上 の 措 置 をあらかじめ 講 じ 2010 年 代 半 ばまでに 段 階 的 に 行 って 持 続 可 能 な 財 政 構 造 を 確 立 する こととされた 9 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の2 分 の1への 引 上 げについては 平 成 16 年 改 正 法 に 沿 って 税 制 抜 本 改 革 により 所 要 の 安 定 財 源 を 確 保 した 上 で 恒 久 化 する とされ 平 成 21 年 度 及 び 22 年 度 は 臨 時 財 源 によるこ ととし 財 政 投 融 資 特 別 会 計 からの 繰 入 金 を 充 てることとなった これを 受 けて 平 成 21 年 1 月 30 日 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 第 171 回 国 会 に 提 出 された 同 法 案 は 野 党 が 多 数 の 参 議 院 において 否 決 されたが 衆 議 院 における 再 可 決 により 成 立 した 10 こうして 平 成 21 年 度 及 び 22 年 度 は 臨 時 財 源 により 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 は2 分 の1に 引 き 上 げられることとなった エ 復 興 債 の 発 行 ( 平 成 23 年 度 ) 政 権 交 代 を 経 て 菅 内 閣 ( 当 時 )においても 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 維 持 を 前 提 とした 予 算 編 成 がなされた 財 源 の 捻 出 は 難 航 したものの 最 終 的 に 臨 時 財 源 11 による こととされ 12 平 成 23 年 2 月 10 日 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 閣 議 決 定 され 2 月 14 日 第 177 回 国 会 に 提 出 された しかし 3 月 11 日 東 日 本 大 震 災 が 発 生 したことから 震 災 復 旧 復 興 に 向 けた 関 連 8 自 由 民 主 党 平 成 21 年 度 税 制 改 正 大 綱 ( 平 20.12.12)では 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 の 基 軸 となるべき 消 費 税 率 の 見 直 しについては 現 下 の 厳 しい 経 済 金 融 情 勢 にかえりみれば 今 その 実 施 のタイミングにはない と された 9 これらを 踏 まえ 平 成 21 年 度 税 制 改 正 に 係 る 所 得 税 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 21 年 法 律 第 13 号 ) 附 則 第 104 条 第 1 項 では 消 費 税 を 含 む 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 の 道 筋 と 基 本 的 方 向 性 が 示 されるとともに 平 成 23 年 度 までに 法 制 上 の 措 置 を 講 ずるものとされた 10 主 な 内 容 として 1 平 成 21 年 度 及 び 22 年 度 については 財 政 投 融 資 特 別 会 計 からの 繰 入 金 を 活 用 し 36.5 % と2 分 の1との 差 額 を 負 担 する 2 所 得 税 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 附 則 第 104 条 の 規 定 に 従 って 行 われる 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 により 所 要 の 安 定 財 源 を 確 保 した 上 で 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 恒 久 化 する 3 恒 久 化 する 年 度 が 平 成 24 年 度 以 降 となった 場 合 それまでの 間 も 臨 時 の 法 制 上 財 政 上 の 措 置 を 講 ずる 4 老 齢 基 礎 年 金 額 の 計 算 について 平 成 21 年 度 及 び 22 年 度 の 全 額 免 除 期 間 の 月 数 を 国 民 年 金 保 険 料 納 付 済 期 間 の 月 数 の2 分 の 1と 算 定 することとされた 11 独 立 行 政 法 人 鉄 道 建 設 運 輸 施 設 整 備 支 援 機 構 の 特 例 業 務 勘 定 の 利 益 剰 余 金 1.2 兆 円 財 政 投 融 資 特 別 会 計 の 積 立 金 剰 余 金 1.1 兆 円 及 び 外 国 為 替 資 金 特 別 会 計 の 剰 余 金 0.2 兆 円 が 財 源 とされた 12 平 成 23 年 度 予 算 編 成 の 基 本 方 針 ( 平 22.12.16 閣 議 決 定 ) 42

事 業 実 施 のため 補 正 予 算 の 編 成 が 求 められ その 財 源 の 一 部 に 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 維 持 のための 臨 時 財 源 約 2.5 兆 円 が 充 てられることとなった 13 平 成 23 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 維 持 に 要 する 費 用 の 早 期 繰 入 れが 求 め られる 中 8 月 9 日 民 主 党 自 民 党 及 び 公 明 党 の3 党 幹 事 長 により 年 金 臨 時 財 源 の 方 向 性 が 確 認 され 10 月 7 日 平 成 23 年 度 第 3 次 補 正 予 算 及 び 復 興 財 源 の 基 本 的 方 針 が 閣 議 決 定 された そこでは 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 維 持 のための 財 源 は 臨 時 の 復 興 財 源 により 賄 う 復 興 債 の 発 行 により 補 塡 することとされ 同 方 針 に 基 づき 第 3 次 補 正 予 算 には 財 源 の 補 塡 経 費 約 2.5 兆 円 が 盛 り 込 まれた これを 受 けて 10 月 28 日 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 は 第 179 回 国 会 において 再 修 正 され 成 立 した 14 オ 年 金 交 付 国 債 の 発 行 ( 平 成 24 年 度 ) 平 成 24 年 度 においても 財 源 の 確 保 が 課 題 となった 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 の 維 持 のため 約 2.6 兆 円 が 必 要 とされたが 予 算 編 成 過 程 において 財 務 省 より 財 源 確 保 が 困 難 であるとし 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 を2 分 の1から 36.5 %に 引 き 下 げ 給 付 費 の 不 足 分 には 年 金 特 別 会 計 の 年 金 積 立 金 を 取 り 崩 して 充 当 する 案 が 提 示 された これに 対 し 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 維 持 し 消 費 税 引 上 げにより 確 保 され る 財 源 を 年 金 財 政 に 繰 り 入 れる 方 針 15 としていた 厚 生 労 働 省 は 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 16 を 損 ない 国 民 の 信 頼 喪 失 につながるとして 財 務 省 側 の 提 案 に 反 対 し 年 金 特 別 会 計 の 年 金 積 立 金 を 取 り 崩 すことなく 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 堅 持 する 立 場 から 17 将 来 の 消 費 増 税 分 を 償 還 財 源 とする つなぎ 国 債 の 発 行 で 対 応 するよう 求 めた 政 府 は 財 政 運 営 戦 略 において 中 期 財 政 フレームを 定 めており 18 そこでは 財 政 健 全 化 目 標 達 成 のため 平 成 24 年 度 の 新 規 国 債 発 行 枠 は 前 年 度 当 初 予 算 と 同 水 準 の 約 44 兆 円 とされていた 19 ことから 新 規 国 債 発 行 に 慎 重 な 財 務 省 20 との 予 算 折 衝 は 難 航 した そうした 状 況 の 下 政 府 内 の 折 衝 を 経 て 12 月 22 日 安 住 財 務 大 臣 小 宮 山 厚 生 労 13 4 月 28 日 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 中 修 正 が 閣 議 決 定 され 臨 時 財 源 を 平 成 23 年 度 の 基 礎 年 金 に 充 てる 旨 を 定 める 規 定 を 削 除 する 法 案 修 正 が 行 われた 14 主 な 内 容 として 1 平 成 23 年 度 については 復 興 債 の 発 行 により 確 保 される 財 源 を 活 用 し 36.5 %と2 分 の 1との 差 額 を 負 担 すること 2 平 成 24 年 度 から 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 により 安 定 財 源 の 確 保 が 図 られる 年 度 の 前 年 度 までの 各 年 度 については 同 差 額 に 相 当 する 額 を 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 により 確 保 される 財 源 を 活 用 して 国 庫 の 負 担 とするよう 必 要 な 法 制 上 財 政 上 の 措 置 を 講 ずるものとすること 3 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 期 間 について 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 前 提 に 年 金 額 を 計 算 することとされた 15 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 改 革 推 進 本 部 の 検 討 状 況 について( 中 間 報 告 ) ( 平 23.12.5)では 平 成 24 年 度 から 消 費 税 引 き 上 げ 年 度 の 前 年 度 までの 間 について 国 庫 負 担 2 分 の1と 36.5 %の 差 額 に 相 当 する 額 を 消 費 税 引 上 げにより 確 保 される 財 源 を 活 用 して 年 金 財 政 に 繰 り 入 れる こととされた 16 小 宮 山 厚 生 労 働 大 臣 記 者 会 見 ( 平 23.12.16) 17 第 179 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 3 号 24 ~ 26 頁 ( 平 23.11.15) 18 中 期 財 政 フレーム( 平 成 24 年 度 ~ 平 成 26 年 度 ) ( 平 23.8.12 閣 議 決 定 ) 19 平 成 24 年 度 の 新 規 国 債 発 行 額 ( 東 日 本 大 震 災 復 興 基 本 法 第 8 条 第 1 項 に 規 定 する 復 興 債 を 除 く )につ いて 平 成 23 年 度 当 初 予 算 の 水 準 ( 約 44 兆 円 )を 上 回 らないものとするよう 全 力 を 挙 げる とされる 20 安 住 財 務 大 臣 記 者 会 見 ( 平 23.12.16) 43

働 大 臣 による 合 意 21 がなされた そこでは 両 省 の 主 張 を 踏 まえ 22 平 成 24 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 を2 分 の1とし その 財 源 は 将 来 の 消 費 税 率 引 上 げに 伴 う 税 収 を 財 源 とする 年 金 交 付 国 債 23 により 賄 うこととされた 図 表 1 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の 推 移 と 今 後 の 見 通 し ( 出 所 ) 厚 生 労 働 省 資 料 より 作 成 カ 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 恒 久 化 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 において 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1への 引 上 げが 定 めら れて 以 降 その 後 の 段 階 的 な 国 庫 負 担 割 合 引 上 げを 経 て 平 成 21 年 度 以 降 臨 時 的 な 財 源 による2 分 の1への 引 上 げが 続 いてきた 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 消 費 税 収 を 社 会 保 障 財 源 化 することとしており 平 成 26 年 4 月 にも 予 定 される 引 上 げ ( 消 費 税 率 8%) 24 がなされれば 消 費 税 という 安 定 財 源 を 得 て 2 分 の1という 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 は 恒 久 化 されることとなる( 図 表 1 参 照 ) (2) 特 例 水 準 の 解 消 ア 特 例 水 準 の 発 生 21 平 成 24 年 度 以 降 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 の 取 扱 い 等 について ( 平 23.12.22) 22 年 金 交 付 国 債 は 交 付 を 受 けた 機 関 から 償 還 を 求 められた 際 に 一 般 会 計 予 算 に 計 上 される 性 質 上 発 行 時 点 では 新 規 国 債 発 行 額 には 計 上 されない 一 方 年 金 交 付 国 債 を 引 き 受 ける 年 金 積 立 金 管 理 運 用 独 立 行 政 法 人 (GPIF)は 年 金 積 立 金 から 基 礎 年 金 勘 定 に 拠 出 を 行 うこととなるが 拠 出 分 についてはその 運 用 収 益 相 当 分 も 含 めて 年 金 交 付 国 債 が 交 付 され それをGPIFの 資 産 として 計 上 することで 年 金 積 立 金 は 毀 損 しない とされた 23 交 付 国 債 は 昭 和 27 年 に 戦 没 者 等 の 遺 族 に 交 付 された 遺 族 国 庫 債 券 に 始 まり 近 年 では 平 成 10 年 の 金 融 機 関 の 破 綻 処 理 平 成 23 年 の 東 日 本 大 震 災 を 受 けた 原 子 力 損 害 賠 償 に 際 して 発 行 された 例 がある 24 平 成 24 年 3 月 30 日 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 消 費 税 法 等 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律 案 ( 閣 法 第 72 号 ) 及 び 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 地 方 税 法 及 び 地 方 交 付 税 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 閣 法 第 73 号 )がそれぞれ 提 出 された 44

年 金 額 については その 実 質 的 価 値 を 保 障 するため 従 来 より 物 価 スライド 制 がとら れてきたが 平 成 11 年 ~ 13 年 に 物 価 が 下 落 した 際 本 来 であればそれに 応 じて 平 成 12 年 ~ 14 年 の 年 金 額 を3 年 間 で 1.7 % 引 き 下 げる 必 要 があったところ 当 時 の 社 会 経 済 情 勢 や 年 金 受 給 者 の 生 活 状 況 等 への 影 響 に 配 慮 し 特 例 的 に 年 金 額 を 据 え 置 く 措 置 が 講 じられた この 特 例 措 置 の 実 施 により 年 金 額 には 本 来 の 水 準 ( 本 来 水 準 )とそれよ りも 高 い 水 準 ( 特 例 水 準 )が 発 生 したことから 両 水 準 の 差 の 解 消 が 課 題 とされるよう になった その 後 16 年 改 正 法 において 特 例 水 準 解 消 措 置 が 定 められ 物 価 の 上 昇 局 面 にお いて 特 例 水 準 を 据 置 きとすることで 賃 金 物 価 の 上 昇 に 伴 う 特 例 水 準 の 解 消 が 期 待 さ れた しかし 経 済 の 低 迷 もあり 賃 金 物 価 の 下 落 傾 向 が 続 いたことから 結 果 的 に 両 水 準 の 差 は 2.5 %に 拡 大 している( 図 表 2 参 照 ) 図 表 2 特 例 水 準 と 本 来 水 準 の 推 移 と 特 例 水 準 解 消 のイメージ ( 出 所 ) 厚 生 労 働 省 資 料 より 作 成 イ 特 例 水 準 の 解 消 に 向 けた 議 論 平 成 23 年 11 月 23 日 政 府 の 行 政 刷 新 会 議 による 提 言 型 政 策 仕 分 け が 行 われ 年 金 制 度 について 議 論 がなされた そこでは 年 金 額 の 特 例 水 準 について 本 来 水 準 の 金 額 よりも 多 く 支 払 われてきた 年 金 額 が 累 計 で 約 7 兆 円 25 に 上 るとされるなど 将 来 的 な 負 担 と 給 付 のバランスに 対 して 及 ぼす 影 響 が 指 摘 され 現 役 世 代 を 含 む 次 世 代 に 負 担 を 先 送 りせず 将 来 も 持 続 可 能 な 年 金 制 度 とするためには まず 年 金 特 例 水 準 を 来 年 25 基 礎 年 金 厚 生 年 金 の 給 付 額 の 合 計 なお 平 成 23 年 度 では 約 1.1 兆 円 45

度 から 速 やかに 解 消 していくべき との 提 言 がとりまとめられた また 民 主 党 におい ても 厚 生 労 働 部 門 会 議 年 金 ワーキングチームにおいて 議 論 がなされ 特 例 水 準 解 消 に 伴 う 年 金 給 付 額 減 額 による 年 金 受 給 者 への 影 響 について 慎 重 な 配 慮 を 求 める 意 見 も 見 ら れたものの 11 月 29 日 社 会 保 障 税 の 一 体 改 革 の 年 金 部 分 に 関 する 報 告 書 において 平 成 24 年 度 からの 特 例 水 準 の 解 消 に 踏 み 切 るべきとされ 26 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 においても 了 承 された 併 せて 検 討 を 行 っていた 厚 生 労 働 省 においても 特 例 水 準 の 解 消 に 向 けた 方 針 が 示 され 27 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 における 検 討 においても 多 くの 委 員 から 解 消 に 前 向 きな 意 見 が 出 されるとともに 世 代 間 の 公 平 の 観 点 及 び 年 金 財 政 の 早 期 安 定 化 を 図 る 観 点 か ら 3 年 以 内 で 特 例 水 準 を 解 消 するなど 早 急 な 解 消 に 取 り 組 むべきとの 意 見 が 多 数 を 占 めた 28 以 上 を 踏 まえ 一 体 改 革 大 綱 においても 特 例 水 準 は 早 急 に 計 画 的 な 解 消 を 図 るもの とされ 平 成 24 年 度 から 平 成 26 年 度 の3 年 間 で 解 消 し 平 成 24 年 度 は 10 月 から 実 施 する 29 こととされた ウ マクロ 経 済 スライド 少 子 高 齢 化 による 年 金 財 政 への 影 響 を 踏 まえ 社 会 全 体 の 保 険 料 負 担 能 力 の 伸 びを 年 金 改 定 率 に 反 映 させることを 目 的 とし 16 年 年 金 制 度 改 正 により 導 入 されたマクロ 経 済 スライドは 社 会 全 体 の 年 金 制 度 を 支 える 力 の 減 少 ( 公 的 年 金 全 体 の 被 保 険 者 数 )と 平 均 余 命 の 延 びに 伴 う 年 金 給 付 費 の 増 加 という マクロ 的 な 負 担 能 力 と 給 付 規 模 の 変 動 に 応 じて 給 付 水 準 を 調 整 するものであり 賃 金 や 物 価 の 変 動 による 従 来 の 年 金 額 の 改 定 (スライド)に 対 し 自 動 的 に 抑 制 的 な 機 能 を 果 たすことで 年 金 財 政 の 均 衡 を 図 ること が 期 待 されていた しかし 現 行 制 度 では 特 例 水 準 の 解 消 がマクロ 経 済 スライド 発 動 の 前 提 となってお り 現 在 までその 調 整 機 能 は 果 たされていない また デフレ 経 済 下 では 発 動 しない 30 仕 組 みとなっている 一 体 改 革 大 綱 においては 世 代 間 公 平 の 確 保 及 び 年 金 財 政 の 安 定 化 の 観 点 から デフレ 経 済 下 におけるマクロ 経 済 スライドの 在 り 方 については 特 例 水 準 の 解 消 の 状 況 も 踏 まえながら 引 き 続 き 検 討 することとされている (3) 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 高 所 得 者 の 年 金 給 付 の 見 直 し 平 成 18 年 12 月 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 31 は 16 年 年 金 制 度 改 正 後 も 残 された 課 題 26 朝 日 新 聞 ( 平 23.11.30) 等 27 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 改 革 推 進 本 部 の 検 討 状 況 について( 中 間 報 告 ) ( 平 23.12.5)では 特 例 水 準 は 世 代 間 公 平 の 観 点 から 早 急 に 計 画 的 な 解 消 を 図 る こととされた 28 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 29 解 消 幅 は 平 成 24 年 10 月 に 0.9 % 25 年 4 月 に 0.8 % 26 年 4 月 に 0.8 %とされる 30 賃 金 や 物 価 の 水 準 が 低 下 した 場 合 や 上 昇 した 場 合 でもスライド 調 整 率 を 適 用 すると 年 金 改 定 率 がマイナ スとなる 場 合 は マクロ 経 済 スライドは 行 わないという 名 目 下 限 の 仕 組 みが 設 けられている 31 現 在 の 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 ( 平 23.8.26 ~)とは 委 員 構 成 が 異 なる 46

などについて 議 論 を 開 始 し 低 所 得 者 に 対 する 加 算 等 や 老 齢 基 礎 年 金 の 受 給 資 格 期 間 (25 年 )の 見 直 しについても 検 討 を 行 った 同 部 会 は 平 成 20 年 11 月 に 報 告 32 をとりま とめたが そこでは 低 年 金 低 所 得 者 に 対 する 年 金 給 付 の 見 直 しについて 低 年 金 者 に 対 し 一 定 額 の 基 礎 年 金 を 保 障 する 最 低 保 障 年 金 の 創 設 が 示 され 給 付 と 負 担 の 関 係 性 保 険 料 の 納 付 意 欲 世 代 間 世 代 内 の 公 平 モラルハザードにそれぞれ 留 意 すべきとされ た また これらの 取 組 に 併 せて クローバック 33 など 高 所 得 者 に 対 する 年 金 給 付 の 扱 い について 更 に 検 討 を 進 めるべきとされた 基 礎 年 金 の 受 給 資 格 期 間 については 現 行 の 受 給 資 格 期 間 (25 年 )には 一 定 の 年 金 額 を 保 障 する 最 低 保 障 的 機 能 があるものの 無 年 金 者 対 策 として 期 間 短 縮 への 要 請 は 認 識 すべきとされ 保 険 料 納 付 意 欲 の 低 下 や 年 金 財 政 へ の 影 響 等 に 対 する 留 意 の 必 要 性 が 指 摘 されるとともに 10 年 程 度 への 短 縮 も 例 示 された また 平 成 20 年 1 月 に 設 置 された 社 会 保 障 国 民 会 議 34 においても 年 金 に 関 してとり わけ 年 金 保 険 料 の 未 納 率 の 高 まりを 背 景 に 議 論 がなされ 最 終 報 告 35 では 無 年 金 低 年 金 問 題 への 対 応 として 未 納 対 策 の 徹 底 とともに 最 近 増 加 しつつある 生 活 保 護 受 給 者 の 状 況 にもかんがみ 基 礎 年 金 の 最 低 保 障 額 の 設 定 弾 力 的 な 保 険 料 追 納 等 の 措 置 を 検 討 すべき とされた また 非 正 規 労 働 者 への 厚 生 年 金 適 用 拡 大 や 免 除 制 度 の 積 極 的 活 用 などの 未 納 対 策 の 強 化 基 礎 年 金 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 が 大 きな 課 題 とされた その 後 平 成 21 年 9 月 の 政 権 交 代 を 経 て 民 主 党 社 民 党 国 民 新 党 による 連 立 政 権 では 新 年 金 制 度 の 創 設 に 向 けた 検 討 がなされ 平 成 23 年 2 月 より 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 の 下 に 設 置 された 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 以 下 集 中 検 討 会 議 という )では 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 に 向 けた 成 案 のとりまとめを 念 頭 に その 具 体 的 な 制 度 設 計 に 向 けた 検 討 が 開 始 された 集 中 検 討 会 議 における 議 論 では 無 年 金 者 が 最 大 118 万 人 36 と 推 計 されていることを 背 景 に 低 年 金 無 年 金 者 対 策 が 急 務 とされているとし 低 年 金 無 年 金 者 に 対 する 加 算 措 置 を 求 める 意 見 が 見 られた また 同 会 議 において 議 長 を 務 めていた 菅 総 理 ( 当 時 )から は 社 会 保 障 給 付 費 の 削 減 を 念 頭 に 置 きつつ 世 代 内 世 代 間 公 平 の 実 現 に 向 けた 検 討 を 行 うよう 指 示 がなされた 37 同 会 議 において 平 成 23 年 6 月 2 日 にとりまとめられた 社 会 保 障 改 革 案 では 最 低 保 障 機 能 の 強 化 としての 低 所 得 者 への 年 金 加 算 や 高 所 得 年 金 受 給 者 の 年 金 額 調 整 など 高 齢 者 の 給 付 を 世 代 内 で 調 整 する 案 が 示 され 6 月 30 日 には 同 32 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 における 議 論 の 中 間 的 な 整 理 - 年 金 制 度 の 将 来 的 な 見 直 しに 向 けて- ( 平 20.11.27) 33 カナダの 老 齢 保 障 年 金 ( 全 額 税 財 源 )において 総 所 得 額 が 一 定 額 を 超 える 場 合 に 総 所 得 額 のうち 当 該 基 準 額 を 超 える 部 分 の 額 の 15 %に 相 当 する 額 を 税 として 国 に 払 い 戻 す 制 度 34 平 成 20 年 1 月 25 日 福 田 総 理 ( 当 時 )により 社 会 保 障 のあるべき 姿 と 財 源 問 題 を 含 む 今 後 の 改 革 の 方 向 について 議 論 するための 有 識 者 会 議 として 設 置 された 35 社 会 保 障 国 民 会 議 最 終 報 告 ( 平 20.11.4) 36 平 成 19 年 旧 社 会 保 険 庁 調 べ 37 第 9 回 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 平 23.5.30)において 世 代 内 世 代 間 における 公 平 な 支 え 合 い を 始 めとした 支 え 合 い3 本 柱 が 示 された 47

改 革 案 を 踏 まえ 政 府 与 党 による 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 38 ( 以 下 一 体 改 革 成 案 という )においても 同 様 のとりまとめがなされた ア 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 国 民 年 金 の 現 行 制 度 においては 20 歳 から 60 歳 まで 40 年 間 の 保 険 料 納 付 義 務 が 課 されており 原 則 として 年 金 の 受 給 には 25 年 以 上 の 保 険 料 納 付 済 期 間 や 保 険 料 免 除 期 間 39 等 が 求 められている また この 25 年 という 受 給 資 格 期 間 には 一 定 額 の 年 金 額 を 確 保 する 機 能 があると 解 されている 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 においても 短 縮 された 新 たな 期 間 について 具 体 的 な 年 数 それによって 受 給 可 能 となる 年 金 水 準 保 険 料 納 付 のインセンティブへの 影 響 等 につい て 検 討 がなされた 欧 米 各 国 の 受 給 資 格 期 間 との 比 較 における 米 国 や 諸 外 国 の 例 や 60 歳 から 最 大 10 年 間 任 意 加 入 が 可 能 であることを 踏 まえると 10 年 程 度 が 妥 当 であると する 意 見 が 多 かった 40 また 受 給 資 格 期 間 を 10 年 に 短 縮 すると 現 在 の 65 歳 以 上 の 無 年 金 者 42 万 人 のうち 約 4 割 が 年 金 を 受 給 可 能 となることも 示 された イ 低 所 得 者 等 への 年 金 額 の 加 算 一 体 改 革 成 案 では 年 収 65 万 円 未 満 の 高 齢 者 が 受 給 する 基 礎 年 金 に 対 し 基 礎 年 金 の 平 均 受 給 月 額 5.4 万 円 と 民 主 党 が 掲 げる 最 低 保 障 年 金 7 万 円 の 差 額 に 相 当 する 月 額 1.6 万 円 を 加 算 する 方 針 が 示 された 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 においては 加 算 によって 確 保 される 水 準 の 意 味 加 算 を 受 けられる 対 象 範 囲 保 険 料 納 付 のインセンティブへの 影 響 等 について 検 討 がなされた 年 金 制 度 における 最 低 保 障 機 能 強 化 の 観 点 高 齢 者 の 世 代 内 の 再 配 分 を 行 う 観 点 から 低 所 得 である 基 礎 年 金 受 給 者 に 対 する 税 財 源 による 加 算 は 方 向 性 として 望 ましいとす る 意 見 が 多 かった 41 なお 低 年 金 者 に 対 し7 万 円 に 近 づけるような 加 算 を 行 うとすれ ば 40 年 納 付 した 者 への 給 付 との 公 平 性 の 確 保 が 重 要 になる 旨 指 摘 も 見 られた 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 年 金 ワーキングチームにおいては 一 体 改 革 成 案 を 踏 まえた 政 府 案 に 対 し モラルハザードや 保 険 料 納 付 意 欲 への 影 響 が 指 摘 され 保 険 料 を 納 めな かった 者 が 得 をするなどの 批 判 がなされた そこで 公 平 性 の 観 点 や 保 険 料 納 付 意 欲 を 42 阻 害 しないという 観 点 から 検 討 された 結 果 最 終 的 に 定 額 の 加 算 部 分 は6 千 円 とされ 43 保 険 料 の 免 除 期 間 に 応 じて 最 大 1 万 円 程 度 の 加 算 がなされることとなった ウ 高 所 得 者 の 年 金 額 の 調 整 38 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 ( 平 23.6.30 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 決 定 ) 39 低 所 得 等 で 保 険 料 納 付 が 困 難 な 場 合 には 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 制 度 が 設 けられている 40 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 41 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 42 基 礎 年 金 の 満 額 約 6.4 万 円 ( 特 例 水 準 解 消 後 )に 対 し 近 年 の 基 礎 的 消 費 支 出 が 月 額 6.7 ~ 7.0 万 円 であ り 民 主 党 の 新 たな 年 金 制 度 における 最 低 保 障 年 金 が 月 額 7 万 円 とされたことから 差 額 の6 千 円 とされた 43 全 額 免 除 の 年 金 額 が 平 成 20 年 度 以 前 は 1/3 平 成 21 年 度 以 降 は 1/2 で 計 算 されることから その 差 に 相 当 する 割 合 として 1/6 が 設 定 され 基 礎 年 金 の 満 額 約 6.4 万 円 ( 特 例 水 準 解 消 後 )に 1/6 を 乗 じた 10,666 円 が 免 除 加 算 の 上 限 とされた 48

高 所 得 者 の 年 金 額 減 額 については 低 所 得 者 への 加 算 と 併 せて 実 施 することを 念 頭 に 世 代 内 世 代 間 の 公 平 の 観 点 から 検 討 がなされ 一 体 改 革 成 案 においても 年 収 1,000 万 円 以 上 から 基 礎 年 金 を 減 額 していき 1,500 万 円 以 上 で 公 費 負 担 部 分 に 当 たる 半 額 を 減 額 する 方 針 が 示 された 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 においては 低 所 得 者 加 算 に 対 する 高 齢 者 の 世 代 内 公 平 を 図 り 現 役 世 代 との 世 代 間 公 平 を 図 る 観 点 から 高 所 得 者 の 年 金 額 の 調 整 を 行 うことにつ いては 方 向 性 として 望 ましいとの 意 見 が 多 かった 44 なお 年 金 受 給 権 に 及 ぶとされ る 財 産 権 について 公 共 の 福 祉 の 観 点 から 法 律 により 制 約 を 加 えることが 憲 法 上 許 さ れる 場 合 があることは 累 次 の 判 決 で 示 されているものの 今 回 の 措 置 が 判 例 に 照 らし てどのように 位 置 付 けられるのかについては 詳 細 な 制 度 設 計 に 当 たり 慎 重 に 検 討 して おく 必 要 があるとされた 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 年 金 ワーキングチームでは 一 体 改 革 成 案 を 踏 まえた 政 府 案 に 対 し 更 なる 対 象 の 拡 大 が 要 請 された これを 受 けて 厚 生 労 働 省 から 年 収 850 万 円 45 以 上 から 減 額 を 開 始 し 1,300 万 円 程 度 で 受 給 額 を 半 減 する 案 が 提 示 され 同 ワーキ ングチームにおいても 了 承 された なお これに 伴 い 公 費 削 減 額 は 年 約 450 億 円 から 約 700 億 円 に 拡 大 された 以 上 の 検 討 を 経 て 一 体 改 革 大 綱 では 年 金 の 現 行 制 度 の 改 善 に 関 し 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 を 図 ることとされ あわせて 年 金 給 付 の 重 点 化 効 率 化 を 図 る 観 点 から 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 低 所 得 者 等 への 年 金 額 の 加 算 高 所 得 者 の 年 金 額 の 調 整 をそれぞれ 行 うこととされている (4) 遺 族 基 礎 年 金 の 父 子 家 庭 への 支 給 遺 族 年 金 は 世 帯 の 生 計 の 担 い 手 が 死 亡 した 場 合 に その 者 によって 生 計 を 維 持 されて いた 遺 族 の 生 活 が 困 難 にならないよう 所 得 保 障 をする 仕 組 みである 現 行 制 度 において は 遺 族 基 礎 年 金 の 支 給 対 象 者 は 子 のある 妻 又 は 子 となっており 父 子 家 庭 には 支 給 さ れない 46 従 来 よりこれについては 制 度 改 善 の 要 望 がなされていた 平 成 23 年 9 月 29 日 国 会 における 議 論 において 遺 族 基 礎 年 金 を 父 子 家 庭 にも 支 給 すべきとの 主 張 がなされ これに 対 し 小 宮 山 厚 生 労 働 大 臣 から 見 直 しに 向 けて 検 討 していく 旨 答 弁 がなされた 47 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 では こうした 国 会 における 議 論 も 踏 まえ 遺 族 年 金 の 男 女 差 について 検 討 がなされた 平 成 22 年 度 に 従 来 母 子 家 庭 のみに 支 給 されていた 児 童 扶 養 手 当 が 法 改 正 48 により 父 子 家 庭 にも 適 用 が 拡 大 された 事 例 なども 参 考 に 議 論 がなされ 家 族 モデルが 多 様 化 している 現 在 遺 族 年 金 の 支 給 対 象 に 男 女 差 がある 規 定 は 改 正 するべきと 44 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 45 厚 生 労 働 省 老 齢 年 金 受 給 者 実 態 調 査 ( 平 成 18 年 度 )によれば 老 齢 年 金 受 給 権 者 のうち 年 収 850 万 円 以 上 の 者 は 約 0.9 % 年 収 1,300 万 円 以 上 の 者 は 約 0.3 %とされる 46 昭 和 60 年 年 金 制 度 改 正 において 従 来 の 母 子 福 祉 年 金 が 遺 族 基 礎 年 金 に 引 き 継 がれたことに 由 来 する 47 第 178 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 3 号 26 頁 ( 平 23.9.29) 48 児 童 扶 養 手 当 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 22 年 法 律 第 40 号 ) 49

の 意 見 を 始 め 基 本 的 には 男 女 差 を 解 消 する 方 向 で 検 討 を 進 めるべきとの 意 見 が 多 数 を 占 めた 49 なお あわせて 遺 族 年 金 の 男 女 差 の 解 消 は 年 金 財 政 に 影 響 があるとともに 新 たな 公 費 財 源 も 必 要 である 点 に 留 意 が 必 要 とされた 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 年 金 ワーキングチームにおいても 検 討 がなされたが 制 度 にお ける 男 女 差 の 解 消 に 向 け 妻 を 亡 くした 父 子 家 庭 にも 遺 族 基 礎 年 金 を 支 給 するよう 求 める こととされ 50 11 月 29 日 遺 族 基 礎 年 金 の 父 子 家 庭 への 支 給 は 社 会 保 障 税 の 一 体 改 革 の 年 金 部 分 に 関 する 報 告 書 に 盛 り 込 まれ 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 においても 了 承 され た 以 上 の 検 討 を 経 て 最 終 的 に 一 体 改 革 大 綱 では 遺 族 基 礎 年 金 の 父 子 家 庭 への 支 給 を 行 うこととされた (5) 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 ア 短 時 間 労 働 者 の 増 加 と 現 状 経 済 が 高 度 成 長 を 続 けた 昭 和 30 年 代 以 降 進 学 率 の 向 上 による 若 年 労 働 力 不 足 や 家 電 製 品 の 普 及 による 家 事 労 働 の 軽 減 等 を 背 景 に 子 育 てを 終 えた 主 婦 が 働 く 雇 用 形 態 と してパートタイム 労 働 が 広 まった そして 産 業 構 造 が 労 働 集 約 的 かつ 軽 労 働 のサービ ス 産 業 にシフトするにつれ パートタイム 労 働 者 が 急 増 してきた その 結 果 現 在 では 雇 用 形 態 の 多 様 化 や デフレ 経 済 下 における 企 業 の 人 件 費 抑 制 雇 用 調 整 の 容 易 さなどを 背 景 に パートを 含 む 非 正 規 労 働 者 の 雇 用 者 全 体 に 占 める 割 合 は 34.3 % 51 に 達 している また 国 民 年 金 に 加 入 している 第 1 号 被 保 険 者 の 内 訳 においても パートなど 被 用 者 の 増 加 が 続 き その 割 合 は 全 体 の 39.4 %に 至 っている 52 次 いで 主 婦 や 学 生 等 の 無 職 が 30.6 %となっており 制 度 創 設 時 の 主 たる 対 象 だった 自 営 業 者 の 割 合 は 26.2 %ま で 低 下 するなどその 構 造 的 変 化 は 顕 著 である イ 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 国 民 年 金 加 入 者 には 基 礎 年 金 のみが 支 給 されることとなるが その 支 給 額 は 定 年 が ない 自 営 業 者 や 農 業 従 事 者 を 念 頭 に 制 度 設 計 されており 被 用 者 の 老 後 の 収 入 としては 十 分 とは 言 い 難 い さらに 短 時 間 労 働 者 は 基 本 的 に 低 賃 金 であり 第 1 号 被 保 険 者 で ある 短 時 間 労 働 者 は 経 済 的 な 余 裕 のなさから 保 険 料 の 未 納 が 起 こりやすいとされ 結 果 として 無 年 金 低 年 金 者 につながるおそれもある 現 行 の 年 金 制 度 において 短 時 間 労 働 者 は 1 所 定 労 働 時 間 2 被 扶 養 配 偶 者 かどう か 3 年 間 収 入 の 各 基 準 により 第 1 号 から 第 3 号 被 保 険 者 に 分 類 される 厚 生 年 金 保 険 では 被 保 険 者 として 第 2 号 被 保 険 者 とされるかは 短 時 間 労 働 者 が 当 該 事 業 所 と 常 用 的 使 用 関 係 にあるかどうかによって 判 断 されるべきとされている すなわち 所 定 労 49 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 50 日 本 経 済 新 聞 ( 平 23.11.30) 51 総 務 省 労 働 力 調 査 ( 平 成 22 年 度 ) 52 厚 生 労 働 省 平 成 20 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 50

働 時 間 が 週 に 30 時 間 以 上 53 であれば 第 2 号 被 保 険 者 となり 30 時 間 未 満 の 場 合 も 年 間 収 入 が 130 万 円 未 満 の 被 用 者 保 険 制 度 の 被 扶 養 配 偶 者 は 第 3 号 被 保 険 者 となり そう でない 者 は 第 1 号 被 保 険 者 となる よって 同 じ 条 件 で 働 いても 保 険 料 の 負 担 と 給 付 には 格 差 が 存 在 することとなる また 保 険 料 を 納 付 せずに 済 む 第 3 号 被 保 険 者 には 労 働 時 間 や 年 収 が 一 定 以 下 であることが 要 件 となっていることから 被 用 者 の 配 偶 者 がパ ートとして 就 労 する 上 で そうした 要 件 が 一 種 の 抑 制 要 因 となっているとの 指 摘 もなさ れ ひいては 女 性 の 社 会 進 出 を 妨 げているとされてきた ウ 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 における 検 討 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 については 従 来 よりその 必 要 性 が 指 摘 さ れてきた とりわけ 女 性 を 中 心 としたパート 労 働 者 数 の 増 加 を 背 景 に 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 に 際 しても 議 論 がなされ 適 用 基 準 として 週 の 所 定 労 働 時 間 が 20 時 間 以 上 の 者 を 基 本 に 適 用 する との 厚 生 労 働 省 案 54 がとりまとめられた また 社 会 保 障 審 議 55 会 年 金 部 会 による 意 見 においても 短 時 間 労 働 者 自 身 の 年 金 保 障 の 充 実 や 雇 用 労 働 者 としての 均 衡 処 遇 等 の 観 点 から 基 本 的 には 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 を 行 うべき とされた しかし 適 用 拡 大 は 労 使 の 保 険 料 負 担 増 につながるとし 日 本 経 団 連 を 始 めとする 経 済 界 からは 反 対 や 慎 重 な 検 討 を 求 める 意 見 が 相 次 ぎ 16 年 改 正 法 においては 具 体 的 な 検 討 がなされたものの 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 に 関 する 事 項 は 最 終 的 に 盛 り 込 まれず 改 正 法 の 施 行 後 5 年 を 目 途 として 総 合 的 に 検 討 が 加 えられ その 結 果 に 基 づき 必 要 な 措 置 が 講 ぜられるものとする 56 旨 の 検 討 規 定 が 設 けられるにとどまった エ 平 成 19 年 の 被 用 者 年 金 一 元 化 法 案 その 後 正 規 労 働 者 と 非 正 規 労 働 者 の 処 遇 格 差 が 社 会 的 注 目 を 浴 びるようになり 非 正 規 労 働 者 の 処 遇 改 善 のための 対 応 が 検 討 された 安 倍 内 閣 ( 当 時 )においては 再 チャレンジ 支 援 策 の 推 進 が 課 題 とされ パート 労 働 者 への 社 会 保 険 の 適 用 拡 大 の 方 針 が 打 ち 出 された 57 また 政 府 の 再 チャレンジ 支 援 総 合 プラン 58 では 重 点 課 題 の 一 つとして パートなど 非 正 規 労 働 者 のため 労 働 法 制 の 整 備 などとともに 社 会 保 険 の 適 用 拡 大 を 行 うこととされた 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 においてもパート 労 働 者 への 厚 生 年 金 適 用 拡 大 について 議 論 が 行 われることとなり 平 成 16 年 改 正 法 附 則 における 検 討 規 定 の 趣 旨 に 添 う 形 で 同 部 会 に パート 労 働 者 の 厚 生 年 金 適 用 に 関 するワーキン ググループが 設 置 され パート 労 働 者 の 就 業 実 態 等 を 把 握 しつつ 集 中 的 に 議 論 がなされ 53 都 道 府 県 民 生 主 管 部 ( 局 ) 保 険 課 ( 部 ) 長 あて 内 かん( 昭 55.6.6)により 1 日 又 は1 週 の 所 定 労 働 時 間 及 び1 月 の 所 定 労 働 日 数 が 当 該 事 業 所 において 同 種 の 業 務 に 従 事 する 通 常 の 就 労 者 の 所 定 労 働 時 間 及 び 所 定 労 働 日 数 のおおむね4 分 の3 以 上 であるか が 適 用 基 準 とされている 54 持 続 可 能 な 安 心 できる 年 金 制 度 の 構 築 に 向 けて( 厚 生 労 働 省 案 ) ( 平 15.11.17) 55 年 金 制 度 改 正 に 関 する 意 見 ( 平 15.9.12) 56 国 民 年 金 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 16 年 法 律 第 104 号 ) 附 則 第 3 条 第 3 項 57 第 165 回 国 会 安 倍 内 閣 総 理 大 臣 所 信 表 明 演 説 ( 平 18.9.29) 58 再 チャレンジ 支 援 に 関 する 関 係 閣 僚 による 会 合 了 承 ( 平 18.12.26) 51

た 59 しかし その 後 の 検 討 の 過 程 で 外 食 流 通 産 業 や 中 小 企 業 60 などによる 反 発 があ り 最 終 的 に 従 業 員 300 人 以 下 の 事 業 所 への 適 用 猶 予 などの 条 件 が 付 されたことで 対 象 者 は 10 ~ 20 万 人 に 限 定 されるなど 拡 大 範 囲 61 は 大 幅 に 縮 小 された 以 上 の 経 緯 を 経 て 平 成 19 年 第 166 回 国 会 において 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 を 含 む 被 用 者 年 金 一 元 化 法 案 62 が 提 出 されたが 衆 議 院 で 継 続 審 査 となり その 後 第 171 回 国 会 の 衆 議 院 解 散 に 伴 い 廃 案 となった オ 社 会 保 障 税 一 体 改 革 における 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 平 成 23 年 3 月 政 府 の 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 における 協 議 において 菅 総 理 ( 当 時 )から 非 正 規 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 や 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 については パートの 多 い 業 種 などから 反 対 が 強 く 過 去 の 政 権 の 取 組 においても 実 現 困 難 だった 経 緯 を 踏 まえつつ 事 業 主 の 理 解 を 得 るべく 全 力 を 挙 げる 意 向 が 示 された 63 また 社 会 保 障 改 革 の 柱 として 国 民 の 安 心 確 保 のための 最 優 先 項 目 ( 安 心 3 本 柱 64 )の1つと された 65 5 月 12 日 厚 生 労 働 省 は 低 所 得 者 対 策 の 観 点 から 非 正 規 労 働 者 への 厚 生 66 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 を 行 うこととする 案 を 同 会 議 に 提 出 した 6 月 2 日 検 討 を 経 て 同 会 議 によりとりまとめられた 社 会 保 障 改 革 案 においても 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 が 盛 り 込 まれ また 同 改 革 案 を 踏 まえた 政 府 与 党 による 一 体 改 革 成 案 に おいても 同 様 の 方 針 が 示 された そこでは 適 用 拡 大 の 範 囲 について 雇 用 保 険 並 び 67 とすることが 例 示 され 厚 生 労 働 省 の 試 算 によれば 現 行 の 労 働 時 間 要 件 を 週 30 時 間 から 20 時 間 に 変 更 すると 約 400 万 人 が 移 行 対 象 となることが 示 された 9 月 厚 生 労 働 省 は 社 会 保 障 審 議 会 に 短 時 間 労 働 者 への 社 会 保 険 適 用 等 に 関 する 特 別 部 会 を 設 置 し 具 体 的 な 検 討 に 入 った 同 特 別 部 会 では 1 被 用 者 にふさわしい 年 金 医 療 保 険 の 確 保 2 社 会 保 険 制 度 の 就 労 促 進 型 少 なくとも 中 立 なものへの 転 換 3 企 業 の 社 会 保 険 料 負 担 を 業 種 や 雇 用 形 態 によって 異 ならない 公 平 なものとするといった 観 点 から 適 用 範 囲 をどうするか 短 時 間 労 働 者 の 雇 用 への 影 響 に 対 する 配 慮 短 時 間 労 働 者 比 率 の 高 い 企 業 への 配 慮 などをポイントに 議 論 が 行 われた 外 食 流 通 産 業 を 始 め 59 なお 当 時 の 厚 生 年 金 に 関 する 厚 生 労 働 省 の 試 算 によれば 加 入 条 件 を 週 20 時 間 とすると 約 310 万 人 が 対 象 となり 年 間 約 3,400 億 円 の 新 たな 企 業 負 担 が 発 生 するとされた 60 総 務 省 労 働 力 調 査 ( 平 成 22 年 度 )によれば 週 の 労 働 時 間 が 35 時 間 未 満 の 者 のうち 約 50.3 %が 従 業 員 100 人 未 満 の 事 業 所 に 勤 めている 実 態 があり 中 小 企 業 に 集 中 しているといえる 同 様 に 約 21.3 %が 卸 売 小 売 業 で 働 いているなど 一 部 の 産 業 の 企 業 においては 非 正 規 雇 用 者 への 適 用 拡 大 は 大 きな 負 担 とな り 得 る 61 週 労 働 時 間 20 時 間 以 上 従 業 員 301 人 以 上 月 額 賃 金 98,000 円 以 上 とされた 62 被 用 者 年 金 制 度 の 一 元 化 等 を 図 るための 厚 生 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 第 166 回 国 会 閣 法 第 95 号 ) 63 第 4 回 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 平 23.3.5) 64 社 会 保 障 改 革 における 安 心 3 本 柱 について- 総 理 指 示 - ( 平 23.5.23) 65 第 8 回 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 平 23.5.23) 66 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 制 度 改 革 の 方 向 性 と 具 体 策 ( 平 23.5.12) 67 雇 用 保 険 の 適 用 要 件 は 1 週 労 働 時 間 20 時 間 以 上 2 31 日 以 上 の 雇 用 見 込 みとされている 52

とした 労 使 各 種 団 体 からのヒアリング 等 も 踏 まえつつ 検 討 がなされ 経 営 者 側 からは 主 に 反 対 意 見 労 組 側 からは 激 変 緩 和 措 置 として 経 過 的 な 保 険 料 減 免 措 置 の 提 案 等 がそれ ぞれ 示 された 民 主 党 においても 厚 生 労 働 部 門 会 議 年 金 ワーキングチーム 等 において 議 論 がなされ 平 成 23 年 11 月 29 日 の 社 会 保 障 税 の 一 体 改 革 の 年 金 部 分 に 関 する 報 告 書 では 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 に 関 する 法 案 を 国 会 提 出 すべきとされた また 激 変 緩 和 措 置 を 講 じる 必 要 性 も 併 せて 指 摘 された その 後 同 報 告 書 は 民 主 党 厚 生 労 働 部 門 会 議 において 了 承 された こうした 意 見 を 踏 まえ 厚 生 労 働 省 でも 検 討 がなされ 12 月 5 日 には 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 改 革 推 進 本 部 の 中 間 報 告 がとりまとめられた そこでは 働 き 方 に 中 立 的 な 制 度 を 念 頭 に 短 時 間 労 働 者 の 被 用 者 保 険 厚 生 年 金 への 加 入 について 激 変 緩 和 措 置 を 検 討 した 上 で 国 会 に 法 案 提 出 することとされた 68 以 上 の 経 緯 により 平 成 24 年 1 月 6 日 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 素 案 において 短 時 間 労 働 者 への 被 用 者 保 険 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 については 企 業 や 労 働 者 への 影 響 に 配 慮 しつつ 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提 出 に 向 けて 関 係 者 の 意 見 を 聞 きながら 検 討 することとされた 同 素 案 に 基 づき 厚 生 労 働 省 は 具 体 的 な 実 施 策 の 検 討 を 行 い 中 小 企 業 への 配 慮 から 従 業 員 数 に 一 定 の 要 件 を 設 定 することなどが 決 定 された そこでは 労 働 時 間 の 要 件 を 週 20 時 間 以 上 に 引 き 下 げることで 見 込 まれていた 約 370 万 人 の 新 規 対 象 者 に 対 し 3 段 階 で 適 用 拡 大 を 実 施 していくこととされ 第 1 段 階 では 年 収 80 万 円 69 以 上 従 業 員 数 300 人 以 上 を 新 たな 適 用 要 件 とし まず 約 100 万 人 を 対 象 に 適 用 拡 大 することが 検 討 された 70 また 民 間 企 業 の 健 康 保 険 組 合 についても 週 20 時 間 以 上 に 加 入 要 件 を 引 き 下 げると 短 時 間 労 働 者 が 企 業 健 保 に 加 入 することでその 分 だけ 市 町 村 国 保 加 入 者 が 減 少 し 国 庫 負 担 の 減 少 が 見 込 まれることから これに 見 合 う 金 額 を 健 保 への 財 政 支 援 に 充 てることなどが 検 討 された しかし 約 370 万 人 への 適 用 拡 大 による 厚 生 年 金 及 び 健 康 保 険 における 企 業 の 追 加 負 担 が 5,400 億 円 とも 試 算 される 中 流 通 外 食 産 業 や 日 本 商 工 会 議 所 などから 反 発 が 強 まった こうした 状 況 を 受 けて 政 府 与 党 は 要 件 の 調 整 を 検 討 し 最 終 的 に 対 象 を 71 年 収 94 万 円 ( 月 額 賃 金 7.8 万 円 ) 以 上 従 業 員 数 501 人 以 上 とすることとし 72 新 規 68 社 会 保 障 税 一 体 改 革 素 案 ( 平 24.1.6 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 本 部 決 定 ) 69 週 20 ~ 30 時 間 労 働 の 国 民 年 金 加 入 者 は 年 収 80 万 ~ 90 万 円 の 層 が 多 いことに 配 慮 した 70 第 2 段 階 では 従 業 員 数 を 100 人 以 上 とし 更 に 約 50 万 人 に 適 用 を 拡 大 第 3 段 階 では 年 収 従 業 員 数 の 要 件 を 撤 廃 し 残 る 約 220 万 人 に 適 用 を 拡 大 することとされた 71 セーフティーネットが 必 要 と 思 われる 若 年 フリーターや 母 子 家 庭 の 母 といった 第 1 号 被 保 険 者 のおおむね 半 分 がカバーされる 水 準 であり 健 康 保 険 の 標 準 報 酬 月 額 の3 等 級 に 当 たるとされる 72 雇 用 期 間 は1 年 以 上 を 条 件 とし 学 生 は 適 用 対 象 から 除 外 することとされている 53

加 入 者 数 は 約 45 万 人 へと 縮 小 された 73 なお 3 年 以 内 に 対 象 を 拡 大 していくことと された (6) 産 休 期 間 中 の 保 険 料 免 除 厚 生 年 金 保 険 法 における 育 児 休 業 期 間 中 の 保 険 料 免 除 については これまで3 度 の 拡 充 が 図 られてきた 平 成 6 年 改 正 では 1 育 児 休 業 中 ( 子 が1 歳 に 到 達 するまで)の 厚 生 年 金 保 険 料 の 本 人 負 担 分 を 免 除 し 2 保 険 料 免 除 期 間 は 保 険 給 付 の 面 では 保 険 料 拠 出 を 行 った 期 間 と 同 様 に 取 り 扱 うこととされた 続 く 平 成 12 年 改 正 では 育 児 休 業 期 間 中 の 厚 生 年 金 保 険 料 を 本 人 負 担 分 だけでなく 事 業 主 負 担 分 も 免 除 することとなった さらに 平 成 16 年 改 正 では 1 育 児 休 業 等 期 間 のうち 子 が3 歳 に 到 達 するまでの 期 間 について 保 険 料 を 免 除 することとし 23 歳 未 満 の 子 を 養 育 しながら 就 業 を 継 続 する 者 への 給 付 算 定 上 の 配 慮 措 置 が 創 設 された よって 現 在 では 育 児 休 業 期 間 については 最 大 3 年 間 まで 厚 生 年 金 保 険 料 が 免 除 されるが 産 前 産 後 休 業 期 間 は 免 除 の 対 象 となっていない 出 産 時 74 には 出 産 手 当 金 の 支 給 等 があるものの こうして 育 児 休 業 と 産 前 産 後 休 業 とで 取 扱 いに 差 異 が 存 在 する 点 については 従 来 議 論 があった 平 成 23 年 5 月 には 集 中 検 討 会 議 において 厚 生 労 働 省 より 育 児 期 間 中 の 者 に 係 る 配 慮 措 置 の 拡 充 として 産 前 産 後 期 間 中 の 厚 生 年 金 保 険 料 の 免 除 についても 問 題 提 起 がなされ た 75 これを 踏 まえ 政 府 与 党 による 一 体 改 革 成 案 では 産 休 期 間 中 の 年 金 保 険 料 免 除 が 盛 り 込 まれた 厚 生 労 働 省 においても 次 世 代 育 成 の 観 点 から 産 休 期 間 中 の 保 険 料 負 担 免 除 について 法 案 提 出 に 向 けた 検 討 がなされた 76 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 においても 議 論 がなされ 女 性 の 就 労 継 続 支 援 や 子 育 て 世 代 の 経 済 的 負 担 の 軽 減 及 び 使 用 者 の 負 担 軽 減 に 資 することな どから 産 前 産 後 休 業 期 間 中 の 厚 生 年 金 保 険 料 負 担 を 免 除 する 措 置 をとることが 適 当 であ るとの 意 見 が 多 数 を 占 めた 77 以 上 の 検 討 を 経 て 育 休 期 間 中 の 保 険 料 負 担 免 除 については 子 ども 子 育 て 支 援 施 策 という 位 置 付 けがなされ 一 体 改 革 大 綱 に 盛 り 込 まれた (7) 両 法 律 案 の 提 出 以 上 の 経 緯 により 第 180 回 国 会 において 平 成 24 年 2 月 10 日 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 閣 法 第 26 号 )が 閣 議 決 定 され 同 日 国 会 に 提 出 された また 3 月 30 日 公 的 年 金 制 度 の 財 政 基 盤 及 び 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 のための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 閣 法 第 74 号 )が 閣 議 決 定 され 同 日 73 企 業 側 の 厚 生 年 金 と 健 康 保 険 における 追 加 負 担 は 800 億 円 ( 厚 生 年 金 500 億 円 健 康 保 険 300 億 円 )と 試 算 される 74 産 休 期 間 中 は 健 康 保 険 から 原 則 として 日 給 の3 分 の2 程 度 が 支 給 される 75 第 8 回 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 平 23.5.23) 76 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 改 革 推 進 本 部 の 検 討 状 況 について( 中 間 報 告 ) ( 平 23.12.5) 77 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 におけるこれまでの 議 論 の 整 理 ( 平 23.12.16) 54

国 会 に 提 出 された なお 同 法 案 においては 当 初 より 被 用 者 年 金 の 一 元 化 に 関 する 制 度 改 正 も 合 わせて 盛 り 込 まれることが 検 討 されてきたが 共 済 年 金 の 職 域 加 算 部 分 の 取 扱 い について 検 討 を 要 したことなどから 別 法 案 78 として 国 会 に 提 出 されている 3. 両 法 律 案 の 概 要 (1) 国 民 年 金 法 改 正 案 ア 法 案 の 趣 旨 平 成 24 年 度 における 基 礎 年 金 に 係 る 国 庫 負 担 割 合 について 国 債 を 発 行 し 交 付 す ることにより2 分 の1とする 等 の 措 置 を 講 ずるとともに 平 成 12 年 度 以 降 の 各 年 度 に おける 年 金 額 等 の 改 定 の 特 例 措 置 による 年 金 額 等 の 水 準 について 段 階 的 な 適 正 化 を 図 る 等 のため 所 要 の 措 置 を 講 ずる イ 法 案 の 概 要 (ア) 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 関 係 1 平 成 24 年 度 について 国 庫 は 交 付 国 債 により 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1と 36.5 %の 差 額 を 負 担 することとする 79 2 平 成 24 年 度 の 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 期 間 について 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 を 前 提 に 年 金 額 を 計 算 するものとする 80 (イ) 特 例 水 準 の 解 消 関 係 1 世 代 間 公 平 の 観 点 から 老 齢 基 礎 年 金 等 の 年 金 額 の 特 例 水 準 (2.5 %)について 平 成 24 年 度 から 平 成 26 年 度 までの3 年 間 で 解 消 する( 図 表 3 参 照 ) 図 表 3 特 例 水 準 の 解 消 に 伴 う 年 金 額 の 推 移 ( 物 価 賃 金 に 変 動 がない 場 合 ) 平 成 24 年 4 月 平 成 24 年 10 月 平 成 25 年 4 月 平 成 26 年 4 月 特 例 水 準 解 消 による 影 響 額 特 例 水 準 解 消 幅 - 0.9% 0.8% 0.8% - 基 礎 年 金 年 金 額 65,541 円 64,941 円 64,400 円 63,866 円 1,675 円 厚 生 年 金 ( 標 準 世 帯 ) 年 金 額 230,940 円 228,823 円 226,925 円 225,040 円 5,900 円 ( 出 所 ) 厚 生 労 働 省 資 料 より 作 成 2これまで 年 金 と 連 動 して 同 じスライド 措 置 がとられてきた 単 親 家 庭 や 障 害 者 等 の 手 当 78 被 用 者 年 金 制 度 の 一 元 化 等 を 図 るための 厚 生 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 閣 法 第 78 号 ) なお 同 法 案 では 共 済 年 金 の 職 域 加 算 部 分 の 取 扱 いについて 公 務 員 共 済 の 職 域 加 算 額 ( 中 略 )の 廃 止 と 同 時 に 新 たな 公 務 員 制 度 としての 年 金 の 給 付 の 制 度 を 設 けることとし その 在 り 方 について 平 成 24 年 中 に 検 討 を 行 い その 結 果 に 基 づいて 別 に 法 律 で 定 めるところにより 必 要 な 措 置 を 講 ずる とされている 79 平 成 25 年 度 から 税 制 抜 本 改 革 実 施 の 前 年 度 までの 年 度 については 必 要 な 税 制 上 の 措 置 を 講 じた 上 で 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 維 持 するよう 法 制 上 財 政 上 の 措 置 を 講 ずるものとしている 80 国 民 年 金 保 険 料 免 除 期 間 の 年 金 額 は 国 庫 負 担 分 に 連 動 して 設 定 されている( 全 額 免 除 の 場 合 平 成 20 年 度 まで:3 分 の1 平 成 21 年 度 から 23 年 度 まで:2 分 の1) 55

の 特 例 水 準 (1.7 %)についても 平 成 24 年 度 から 平 成 26 年 度 までの3 年 間 で 解 消 す る 81 ウ 施 行 期 日 1 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 関 係 : 平 成 24 年 4 月 1 日 2 特 例 水 準 の 解 消 関 係 : 平 成 24 年 10 月 1 日 (2) 年 金 機 能 強 化 法 案 ア 法 案 の 趣 旨 公 的 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 のため 低 所 得 者 等 の 老 齢 基 礎 年 金 等 の 額 の 加 算 高 所 得 者 の 老 齢 基 礎 年 金 の 支 給 停 止 及 び 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 を 行 うとともに 産 前 産 後 休 業 期 間 中 の 厚 生 年 金 保 険 の 保 険 料 免 除 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 保 険 の 適 用 拡 大 等 の 所 要 の 措 置 を 講 ずるほか 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 割 合 を2 分 の1とするための 安 定 した 財 源 の 確 保 が 図 られる 年 度 を 定 める 等 の 所 要 の 措 置 を 講 ずること イ 法 案 の 概 要 (ア) 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 年 金 給 付 の 重 点 化 効 率 化 1 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 納 付 した 保 険 料 に 応 じた 給 付 を 行 い 将 来 の 無 年 金 者 82 の 発 生 を 抑 えていくという 視 点 から 老 齢 基 礎 年 金 の 受 給 資 格 期 間 を 10 年 に 短 縮 する 83 2 低 所 得 者 等 への 年 金 額 の 加 算 84 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 を 図 る 観 点 から 低 所 得 である 老 齢 基 礎 年 金 受 給 者 に 対 して 福 祉 的 な 加 算 を 行 う 加 算 額 は 定 額 加 算 ( 老 齢 基 礎 年 金 に 月 額 6 千 円 を 加 算 ) 及 び 免 除 期 間 加 算 ( 過 去 の 免 除 期 間 について 老 齢 基 礎 年 金 の 満 額 の6 分 の1 相 当 額 を 加 算 )の 合 算 額 とする 老 齢 基 礎 年 金 受 給 者 への 加 算 に 併 せ 障 害 基 礎 年 金 についても 2 級 で 月 額 6 千 円 1 級 で 月 額 7.5 千 円 の 加 算 を 行 う 遺 族 基 礎 年 金 も 月 額 6 千 円 の 加 算 を 行 う ただし 加 算 部 分 について 所 得 制 限 を 設 ける 3 高 所 得 者 の 年 金 額 の 調 整 低 所 得 者 等 への 加 算 の 導 入 と 併 せて 世 代 内 及 び 世 代 間 の 公 平 を 図 る 観 点 から 高 所 81 児 童 扶 養 手 当 法 による 児 童 扶 養 手 当 の 額 等 の 改 定 の 特 例 に 関 する 法 律 ( 平 成 17 年 法 律 第 9 号 )の 一 部 改 正 82 現 在 無 年 金 である 高 齢 者 に 対 しても 改 正 後 の 受 給 資 格 期 間 を 満 たす 場 合 には 経 過 措 置 として 施 行 日 以 降 納 付 済 期 間 等 に 応 じた 年 金 支 給 を 行 う 83 対 象 となる 年 金 は 老 齢 基 礎 年 金 老 齢 厚 生 年 金 退 職 共 済 年 金 寡 婦 年 金 上 記 に 準 じる 旧 法 老 齢 年 金 なお 遺 族 年 金 については 死 亡 者 が 短 期 の 加 入 の 場 合 でも 受 給 できる 要 件 ( 死 亡 時 までに 納 付 済 期 間 等 が3 分 の2 以 上 あること)に 加 えて 老 齢 年 金 の 受 給 資 格 期 間 を 満 たした 者 が 死 亡 した 場 合 に 支 給 されるという 長 期 の 要 件 があるが 10 年 の 納 付 で 老 齢 年 金 の 資 格 期 間 を 満 たしたからといって 30 年 間 滞 納 していても 遺 族 年 金 が 受 給 できることにしたのでは 両 者 のバランスが 崩 れるため 要 件 は 25 年 のまま 変 更 しない 84 低 所 得 者 の 範 囲 は 家 族 全 員 の 市 町 村 民 税 が 非 課 税 であり かつ 年 金 収 入 及 びその 他 所 得 金 額 が 老 齢 基 礎 年 金 の 満 額 以 下 である 者 とする 56

得 の 基 礎 年 金 受 給 者 の 老 齢 基 礎 年 金 額 について 国 庫 負 担 相 当 額 を 対 象 とした 支 給 停 止 を 行 う 老 齢 基 礎 年 金 受 給 者 について 所 得 550 万 円 ( 年 収 850 万 円 相 当 )を 超 える 場 合 に 老 齢 基 礎 年 金 額 の 一 部 の 支 給 停 止 を 開 始 し 所 得 950 万 円 ( 年 収 1,300 万 円 相 当 ) 以 上 の 者 については 老 齢 基 礎 年 金 額 85 の 半 額 ( 最 大 3.2 万 円 )を 支 給 停 止 する( 図 表 4 参 照 ) 災 害 離 職 等 による 所 得 の 減 少 により 支 給 停 止 を 行 うことが 適 当 でないと 認 められ る 場 合 には 支 給 停 止 を 解 除 する 配 慮 措 置 を 設 ける 図 表 4 支 給 減 額 のイメージ ( 出 所 ) 厚 生 労 働 省 資 料 (イ) 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1 関 係 1 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1が 恒 久 化 される 特 定 年 度 を 平 成 26 年 度 と 定 める 基 礎 年 金 国 庫 負 担 については 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 により 所 要 の 安 定 財 源 の 確 保 が 図 ら れる 年 度 として 特 定 年 度 86 を 法 律 で 定 めることで その 年 度 以 降 恒 久 的 に 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1が 達 成 されることとされている 2 平 成 24 年 度 に 発 行 する 交 付 国 債 の 償 還 に 関 する 事 項 を 定 める 87 償 還 期 間 は 平 成 26 年 度 から 20 年 間 とする 償 還 財 源 には 税 制 抜 本 改 革 により 確 保 される 財 源 ( 消 費 税 収 )を 充 てる (ウ) 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 及 び 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 を 行 う( 図 表 5 参 照 ) 85 施 行 時 期 として 想 定 される 平 成 27 年 10 月 時 点 では 物 価 スライド 特 例 水 準 の 解 消 が 実 現 していることを 踏 まえ 約 6.4 万 円 としている 86 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 16 年 法 律 第 104 号 ) 附 則 第 16 条 第 1 項 は 特 定 年 度 につ いて 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 ( 所 得 税 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 21 年 法 律 第 13 号 ) 附 則 第 104 条 の 規 定 に 従 って 行 われる 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 をいう )により 所 要 の 安 定 した 財 源 の 確 保 が 図 られる 年 度 と 規 定 する 87 発 行 額 は 約 3 兆 円 ( 元 本 ( 約 2.6 兆 円 )+ 運 用 収 入 相 当 額 ( 約 0.4 兆 円 )) なお 運 用 収 入 相 当 額 は 償 還 期 間 を 踏 まえ 設 定 具 体 的 には 元 本 額 を 各 年 限 ごとの 譲 渡 可 能 な 国 債 に 投 資 したと 仮 定 して 計 算 また 発 行 額 を 償 還 期 間 で 除 して 算 出 される 毎 年 の 償 還 額 は 約 1,500 億 円 と 見 込 まれる 57

平 成 31 年 3 月 末 日 までの 間 に 対 象 を 拡 大 するための 法 制 上 の 措 置 をとる 図 表 5 適 用 拡 大 要 件 の 比 較 現 行 今 回 の 改 正 ( 参 考 ) 平 成 19 年 被 用 者 年 金 一 元 化 法 案 勤 務 時 間 週 30 時 間 以 上 週 20 時 間 以 上 週 20 時 間 以 上 収 入 - 月 額 7.8 万 円 以 上 月 額 9.8 万 円 以 上 ( 年 収 94 万 円 以 上 ) 勤 務 期 間 - 1 年 以 上 1 年 以 上 学 生 - 適 用 除 外 適 用 除 外 従 業 員 数 - 501 人 以 上 301 人 以 上 ( 参 考 ) 対 象 者 数 約 45 万 人 約 10 ~ 20 万 人 ( 出 所 ) 厚 生 労 働 省 資 料 より 作 成 短 時 間 労 働 者 など 賃 金 が 低 い 加 入 者 が 多 く その 保 険 料 負 担 が 重 い 医 療 保 険 者 に 対 し その 負 担 を 軽 減 する 観 点 から 賃 金 が 低 い 加 入 者 の 後 期 高 齢 者 支 援 金 介 護 納 付 金 の 負 担 について 被 用 者 保 険 者 間 で 広 く 分 かち 合 う 特 例 措 置 を 導 入 し 適 用 拡 大 によって 生 じる 保 険 者 の 負 担 を 緩 和 する( 影 響 緩 和 措 置 ) (エ) 産 休 期 間 中 の 保 険 料 免 除 次 世 代 育 成 支 援 の 観 点 から 産 前 産 後 休 業 を 取 得 した 者 に 育 児 休 業 同 様 の 配 慮 措 置 を 講 ずる 1 産 前 産 後 休 業 期 間 中 の 保 険 料 徴 収 の 特 例 産 前 産 後 休 業 期 間 88 中 の 厚 生 年 金 及 び 健 康 保 険 の 保 険 料 を 免 除 する 2 産 前 産 後 休 業 を 終 了 した 際 の 標 準 報 酬 の 改 定 産 前 産 後 休 業 終 了 後 に 育 児 等 を 理 由 に 報 酬 が 低 下 した 場 合 に 定 時 決 定 まで 保 険 料 負 担 が 改 定 前 のものとならないよう 産 前 産 後 休 業 終 了 後 の3か 月 間 の 報 酬 月 額 を 基 に 標 準 報 酬 月 額 を 改 定 する (オ) 遺 族 基 礎 年 金 の 父 子 家 庭 への 拡 大 遺 族 基 礎 年 金 の 支 給 対 象 を 子 のある 妻 ではなく 子 のある 配 偶 者 とする 89 ( 子 のある 夫 の 追 加 ) (カ)その 他 の 制 度 改 善 事 項 未 支 給 年 金 の 請 求 範 囲 の 拡 大 国 民 年 金 保 険 料 免 除 に 係 る 遡 及 期 間 の 見 直 し 等 所 要 の 措 置 を 実 施 する 88 産 前 産 後 休 業 期 間 とは 産 前 6 週 間 ( 多 胎 妊 娠 の 場 合 14 週 間 ) 産 後 8 週 間 のうち 被 保 険 者 が 労 務 に 従 事 しなかった 期 間 89 ただし 被 扶 養 者 である 第 3 号 被 保 険 者 (いわゆる 専 業 主 婦 )が 死 亡 した 場 合 には 遺 族 基 礎 年 金 を 支 給 しないこととなっている 58

ウ 施 行 期 日 1 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 年 金 給 付 の 重 点 化 効 率 化 ( 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 低 所 得 者 等 への 年 金 額 の 加 算 高 所 得 者 の 年 金 額 の 調 整 ): 税 制 抜 本 改 革 の 施 行 時 期 ( 消 費 税 率 10 %)に 合 わせ 平 成 27 年 10 月 2 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1が 恒 久 化 される 特 定 年 度 を 平 成 26 年 度 と 規 定 : 税 制 抜 本 改 革 の 施 行 時 期 ( 消 費 税 率 8%)に 合 わせ 平 成 26 年 4 月 3 平 成 24 年 度 に 発 行 する 交 付 国 債 の 償 還 に 関 する 事 項 : 公 布 日 4 短 時 間 労 働 者 に 対 する 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 : 平 成 28 年 4 月 5 産 休 期 間 中 の 保 険 料 免 除 : 公 布 の 日 から2 年 を 超 えない 範 囲 内 で 政 令 で 定 める 日 6 遺 族 基 礎 年 金 の 父 子 家 庭 への 拡 大 : 税 制 抜 本 改 革 の 施 行 時 期 ( 消 費 税 率 8%)に 合 わせ 平 成 26 年 4 月 4. 主 な 論 点 (1) 年 金 財 政 の 持 続 可 能 性 ア 消 費 税 の 引 上 げ 今 回 の 改 正 により 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1への 引 上 げは 消 費 税 の 引 上 げ 分 という 安 定 財 源 を 前 提 に 恒 久 化 されることとなる 今 後 の 更 なる 少 子 高 齢 化 社 会 が 見 込 まれる 我 が 国 にとって 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 の 向 上 は 不 可 欠 であり その 意 義 は 非 常 に 大 きい しかし 消 費 税 引 上 げの 実 施 は 平 成 26 年 4 月 とされており それまでの 取 扱 いは 引 き 続 き 検 討 することとされていることから 平 成 25 年 度 の 基 礎 年 金 国 庫 負 担 の 財 源 に ついては 同 年 度 予 算 の 編 成 過 程 において 協 議 されることとなる なお 平 成 24 年 度 の 財 源 は 交 付 国 債 によることとされているが 野 党 側 から 粉 飾 的 との 批 判 もあり つ なぎ 国 債 や 年 金 債 の 検 討 もなされている 90 また 今 回 の 改 正 における 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 恒 久 化 に 代 表 されるよう に 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 消 費 税 の 増 税 分 を 財 源 とする 制 度 改 正 が 数 多 く 含 まれており その 施 行 は 消 費 税 の 増 税 を 前 提 としたものとなっている 91 しかし 平 成 26 年 4 月 の 消 費 税 率 8%への 引 上 げについては 平 成 25 年 秋 にも 経 済 状 況 を 踏 ま えて 最 終 判 断 を 行 うとされているところ 結 果 的 に 消 費 税 率 の 引 上 げが 遅 れることとな った 場 合 今 回 の 年 金 制 度 改 正 の 施 行 もずれこんでいくこととなる イ 年 金 給 付 抑 制 策 とマクロ 経 済 スライド 平 成 21 年 度 の 社 会 保 障 給 付 費 は 99.9 兆 円 であり そのうち 年 金 が 51.7 兆 円 90 安 住 財 務 大 臣 記 者 会 見 ( 平 24.4.5) 日 本 経 済 新 聞 読 売 新 聞 ( 平 24.4.6) 日 本 経 済 新 聞 ( 平 24.4.10) 産 経 新 聞 ( 平 24.4.12) 等 91 今 回 の 両 法 案 により 必 要 とされる 経 費 は 基 礎 年 金 国 庫 負 担 (2 分 の1)のため 約 2.9 兆 円 ( 数 値 は 平 成 26 年 度 見 込 額 ) 年 金 交 付 国 債 償 還 のため 約 0.15 兆 円 最 低 保 障 機 能 の 強 化 のため 約 0.6 兆 円 とされてい る 59

(51.8 %)を 占 めている 92 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 社 会 保 障 給 付 の 重 点 化 効 率 化 についても 検 討 がされてきたが 負 担 と 給 付 の 均 衡 という 観 点 から 更 なる 年 金 給 付 抑 制 策 を 検 討 すべきとの 指 摘 もある 今 回 の 改 正 では 年 金 給 付 抑 制 策 として は 特 例 水 準 の 解 消 と 高 所 得 者 の 年 金 給 付 の 見 直 しが 盛 り 込 まれるにとどまっている 平 成 23 年 6 月 の 一 体 改 革 成 案 においては それらとともに 年 金 支 給 開 始 年 齢 の 引 上 げ マクロ 経 済 スライドの 見 直 しといった 年 金 給 付 抑 制 策 が 盛 り 込 まれたが 最 終 的 に 平 成 24 年 2 月 の 一 体 改 革 大 綱 ではそれぞれ 今 後 の 検 討 課 題 とされ 法 案 化 は 先 送 りさ れた マクロ 経 済 スライドについては 今 回 の 法 改 正 では 同 スライド 実 施 の 前 提 となる 特 例 水 準 の 解 消 が 果 たされることから 一 体 改 革 大 綱 に 沿 って 今 後 はデフレ 下 の 実 施 も 含 めた 検 討 がなされよう 平 成 16 年 年 金 制 度 改 正 における 試 算 では マクロ 経 済 スライ ドにより 年 に 0.9 % 程 度 の 年 金 給 付 額 の 引 下 げが 見 込 まれ これによる 公 費 負 担 削 減 は 約 0.1 兆 円 となる これは 将 来 世 代 への 負 担 先 送 りの 抑 制 や 年 金 給 付 総 額 の 抑 制 にもつ ながることから 世 代 間 の 公 平 や 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 めるのに 資 するとされる しか し 基 礎 年 金 には 基 礎 的 消 費 支 出 との 関 係 性 も 指 摘 されており そうした 観 点 からは 一 定 の 配 慮 も 検 討 されるべきと 解 される (2) 働 き 方 に 中 立 的 な 社 会 保 障 等 ア 短 時 間 労 働 者 への 厚 生 年 金 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 今 回 の 適 用 拡 大 により 今 後 は 企 業 の 負 担 等 にも 考 慮 しつつ 対 象 を 拡 大 する 方 向 で 検 討 がなされる こうした 方 向 性 はこれまで 正 社 員 との 処 遇 格 差 に 苦 しんできた 非 正 規 労 働 者 にとっては 望 ましいことだが あわせて 非 正 規 労 働 者 の 待 遇 改 善 に 関 しては 労 働 政 策 の 観 点 からも 幅 広 い 取 組 が 求 められる なお 適 用 拡 大 により 第 3 号 被 保 険 者 のうち 就 労 している 者 の 相 当 数 を 第 2 号 被 保 険 者 へと 移 行 させることで 第 3 号 被 保 険 者 数 を 減 少 させ 最 終 的 な 第 3 号 被 保 険 者 制 度 の 縮 小 廃 止 に 導 くべきとの 見 解 も 見 られる 93 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 の 議 論 においては 厚 生 年 金 には 基 礎 年 金 部 分 に 報 酬 比 例 部 分 が 上 乗 せされて 支 給 されることから 保 険 料 における 均 衡 が 意 識 されてきた すなわち 9.8 万 円 という 月 額 収 入 が 議 論 の 大 きな 基 準 となってきた 9.8 万 円 は 現 在 の 保 険 料 納 付 の 標 準 報 酬 下 限 であり これに 基 づく 厚 生 年 金 保 険 料 の 月 額 は 16,084 円 となる こ れに 対 し 平 成 24 年 4 月 現 在 国 民 年 金 保 険 料 の 月 額 は 14,980 円 である しかし 今 回 の 改 正 で 新 たに 下 限 とされる 7.8 万 円 では 保 険 料 月 額 が 12,802 円 となり 国 民 年 金 の 保 険 料 月 額 を 下 回 ることとなるが 報 酬 比 例 部 分 の 分 だけ 受 給 される 年 金 額 は 多 く なる これについては 負 担 と 給 付 の 観 点 からも 公 平 性 を 損 なうとの 指 摘 がある また 適 用 拡 大 に 対 してより 積 極 的 な 立 場 からは 以 下 のような 問 題 点 が 指 摘 されて 92 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 平 成 21 年 度 社 会 保 障 給 付 費 93 今 回 の 改 正 により 対 象 となる 第 3 号 被 保 険 者 は 約 20 万 人 他 に 第 1 号 被 保 険 者 約 10 万 人 等 60

いる 1 今 回 対 象 となる 労 働 者 の 範 囲 は 余 りにも 限 定 的 である 94 特 に 格 差 の 是 正 と いう 観 点 からは 本 来 保 護 されるべき 中 小 企 業 における 短 時 間 労 働 者 が 排 除 されてしまう 2 適 用 の 要 件 の 一 つである1 年 間 の 雇 用 見 込 みについて 雇 用 保 険 (31 日 )や 健 康 保 険 (2 月 95 )と 比 較 して 長 いことから 例 えば 企 業 により 雇 用 期 間 が 分 割 されるなどし て その 運 用 が 適 正 に 行 われないのではないかという 懸 念 がある 3 同 様 に ダブルジ ョブやマルチジョブに 従 事 する 者 は 適 用 拡 大 の 対 象 とならない 一 方 適 用 拡 大 に 消 極 的 な 立 場 からは 1 中 小 企 業 やパートの 多 い 特 定 産 業 において 過 重 な 保 険 料 負 担 が 発 生 し 経 営 を 圧 迫 する 2 企 業 が 保 険 料 負 担 を 避 けるため 雇 用 調 整 する 可 能 性 もあることから 労 働 者 にとって 必 ずしもメリットとならない さらには 96 第 3 号 被 保 険 者 が 第 2 号 被 保 険 者 への 移 行 を 嫌 って 自 ら 就 業 調 整 する 可 能 性 もあると いう 意 見 も 出 されている なお 現 在 でも 未 適 用 事 業 所 が 10 万 以 上 あり 保 険 料 の 徴 収 を 逃 れる 実 態 が 依 然 と して 存 在 する このため 非 正 規 労 働 者 に 対 するセーフティーネットを 強 化 し 厚 生 年 金 制 度 の 実 効 性 を 確 保 するためにも 早 急 に 未 適 用 事 業 所 の 適 用 促 進 等 に 向 けた 体 制 整 備 が 求 められる また 今 回 の 適 用 拡 大 により 制 度 的 な 格 差 の 是 正 がなされるが 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 平 成 25 年 の 国 会 に 年 金 制 度 を 一 元 化 する 新 しい 年 金 制 度 に 関 する 法 案 が 提 出 されることとされている しかし その 具 体 的 内 容 が 明 らかにされていないこ とから 今 回 の 適 用 拡 大 との 関 係 が 不 明 確 であるとの 指 摘 もある イ 産 休 期 間 中 の 保 険 料 免 除 産 休 期 間 中 の 保 険 料 免 除 については 年 間 約 20 万 人 が 対 象 となるものと 見 込 まれて おり これによって 産 前 産 後 休 業 と 育 児 休 業 期 間 中 について 制 度 的 な 整 合 性 がとれるこ ととなるが あわせて 企 業 において 産 休 及 び 育 休 が 十 分 に 取 得 可 能 な 環 境 整 備 にも 努 めていくことが 望 ましい なお 従 来 より 育 休 について 保 険 料 免 除 制 度 のない 第 1 号 被 保 険 者 とのバランスに ついても 指 摘 がなされてきた 今 回 の 措 置 は 厚 生 年 金 保 険 料 の 中 で 財 源 が 手 当 されると しても 今 回 の 制 度 改 正 により 更 に 格 差 が 拡 大 することに 留 意 が 求 められる (3) 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 や 低 所 得 者 への 加 算 については 年 金 保 険 料 を 十 分 に 納 付 せずとも 一 定 の 年 金 額 が 受 給 可 能 となるため 公 平 性 の 観 点 や 保 険 料 納 付 意 欲 への 影 響 などから 94 厚 生 労 働 省 試 算 によれば 非 正 規 労 働 者 は 約 1,700 ~ 1,800 万 人 とされ そのうち 厚 生 年 金 の 加 入 者 は 約 900 ~ 1,000 万 人 であり 未 加 入 者 は 約 700 ~ 800 万 人 とされる 95 健 康 保 険 では 短 時 間 勤 務 でない 通 常 の 労 働 者 ( 日 雇 特 例 被 保 険 者 を 除 く)については 原 則 として2 月 を 超 えて 使 用 される 場 合 被 保 険 者 とされる 96 厚 生 労 働 省 パートタイム 労 働 者 総 合 実 態 調 査 ( 平 成 18 年 )によれば 就 業 調 整 の 理 由 として 主 なもの に 所 得 税 の 非 課 税 限 度 額 ( 年 収 103 万 円 ) 第 3 号 被 保 険 者 の 被 扶 養 配 偶 者 認 定 基 準 ( 年 収 130 万 円 )があ る 61

モラルハザードの 問 題 が 絶 えず 指 摘 されてきた これに 対 しては 最 終 的 に 一 体 改 革 成 案 に おける 当 初 案 よりも 定 額 加 算 部 分 を 減 らし 免 除 期 間 に 応 じた 加 算 部 分 を 組 み 合 わせたこ とで 一 定 の 対 応 がとられたが あくまで 40 年 間 保 険 料 を 納 付 することを 前 提 とした 制 度 設 計 がなされていることについて 国 民 に 対 する 周 知 が 求 められる 低 所 得 者 への 加 算 や 高 所 得 者 への 減 額 調 整 では 公 平 性 の 観 点 から 所 得 の 正 確 な 把 握 が 重 要 となる また 現 実 的 な 行 政 コスト 抑 制 の 観 点 からも 平 成 24 年 2 月 15 日 に 国 会 提 出 されたマイナンバー 法 案 97 による 社 会 保 障 税 番 号 制 度 の 導 入 が 期 待 される 現 在 政 府 与 党 内 では 国 税 庁 と 日 本 年 金 機 構 を 統 合 再 編 した 歳 入 庁 の 創 設 に 関 する 検 討 も 進 んでいるが 番 号 制 度 及 び 歳 入 庁 により 税 と 保 険 料 が 一 体 的 に 徴 収 されることは 保 険 料 の 未 納 対 策 としても 有 効 だと 考 えられる また 今 回 の 改 正 により 低 所 得 者 への 年 金 額 の 加 算 を 始 めとして 年 金 制 度 の 最 低 保 障 機 能 の 強 化 がなされるが 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 平 成 25 年 の 国 会 に 最 低 98 保 障 年 金 を 創 設 する 新 しい 年 金 制 度 に 関 する 法 案 が 提 出 されることとされている この 点 今 回 の 最 低 保 障 機 能 強 化 と 最 低 保 障 年 金 との 関 係 を 明 らかにすべきであるとの 指 摘 が ある ア 受 給 資 格 期 間 (25 年 )の 短 縮 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 により 低 年 金 者 が 増 える 懸 念 も 指 摘 されている しかし 結 果 的 に 他 の 制 度 による 給 付 が 併 せて 必 要 だとしても 保 険 料 を 納 付 し 年 金 の 給 付 を 受 ける ことには 一 定 の 意 義 があるものと 考 えられる また 厚 生 年 金 に 加 入 していれば 報 酬 比 例 部 分 の 受 給 を 合 わせることで 一 定 額 の 確 保 が 可 能 となってこよう なお 受 給 資 格 期 間 を 10 年 とすると 10 年 を 超 えると 保 険 料 の 納 付 意 欲 が 減 退 する との 指 摘 も 見 られるが 実 際 に 現 行 の 受 給 資 格 期 間 である 25 年 を 超 えたところでそう した 問 題 は 確 認 されていない イ 低 所 得 者 等 への 加 算 今 回 の 改 正 における 特 例 水 準 の 解 消 による 年 金 額 の 削 減 は 低 所 得 者 に 対 しても 影 響 が 及 び マクロ 経 済 スライドのデフレ 経 済 下 における 発 動 も 検 討 すべきとされていること から 低 所 得 者 加 算 の 果 たす 役 割 は 重 要 となってくる また 生 活 保 護 受 給 者 の 急 増 を 踏 まえると 低 所 得 者 加 算 を 行 うことで 生 活 保 護 への 転 落 を 防 止 する 役 割 を 期 待 でき る なお 保 険 には 本 来 的 に 負 担 と 給 付 の 関 係 があることから その 枠 組 みにおいて 所 得 再 配 分 を 行 うことは 抑 制 的 であるべきであり 所 得 再 分 配 を 行 うならば 別 の 制 度 を 活 用 すべきとの 意 見 もある また 今 回 の 改 正 では 保 有 資 産 を 要 件 とすることは 見 送 られた 保 有 資 産 の 把 握 は 実 務 上 も 困 難 だと 思 われるが 前 述 した 社 会 保 障 税 番 号 制 度 の 活 用 も 将 来 的 には 検 討 99 97 行 政 手 続 における 特 定 の 個 人 を 識 別 するための 番 号 の 利 用 等 に 関 する 法 律 案 ( 閣 法 第 32 号 ) 98 全 額 税 財 源 により 月 7 万 円 を 支 給 するとされている 99 厚 生 労 働 省 福 祉 行 政 報 告 例 ( 平 成 24 年 1 月 分 概 数 )によれば 平 成 24 年 1 月 の 受 給 者 は 209 万 人 受 給 世 帯 は 151 万 世 帯 であり 過 去 最 多 となっている 62

課 題 となりうる ウ 高 所 得 者 の 年 金 額 調 整 高 所 得 者 の 年 金 額 調 整 は 現 在 の 受 給 者 も 対 象 となることから 世 代 内 公 平 のみなら ず 世 代 間 公 平 にも 資 すると 考 えられる ただし 本 来 的 には 保 険 料 の 負 担 すなわち 拠 出 と それに 応 じた 給 付 という 関 係 が 社 会 保 険 方 式 の 基 本 であり また 年 金 受 給 権 に は 憲 法 上 の 財 産 権 の 問 題 もある そうした 観 点 からは 慎 重 な 対 応 を 求 める 意 見 も 見 ら れる 高 所 得 者 については 世 代 間 公 平 の 確 保 の 観 点 から 年 金 課 税 についても 検 討 がなされ ていたが 一 体 改 革 大 綱 では 年 金 課 税 の 在 り 方 については 今 後 の 年 金 制 度 改 革 の 方 向 性 も 踏 まえた 上 で 見 直 していくこととされている エ 低 年 金 無 年 金 対 策 ( 年 金 保 険 料 の 未 納 対 策 ) 平 成 22 年 度 の 国 民 年 金 の 保 険 料 納 付 率 は 59.3 %と 近 年 下 げ 止 まらない 傾 向 が 続 いて いる 100 また これに 伴 い 未 納 者 数 も 321 万 人 となっている 将 来 の 低 年 金 無 年 金 者 の 増 加 を 防 止 するためには まずこうした 保 険 料 未 納 対 策 が 重 要 となる 年 金 保 険 料 の 未 納 については 未 納 期 間 に 応 じて 将 来 的 な 年 金 給 付 額 が 減 額 されることから 年 金 財 政 自 体 には 影 響 を 与 えないという 見 解 もあるが 例 えばそうした 未 納 が 生 活 保 護 の 受 給 につながる 可 能 性 も 出 てくる この 点 未 納 者 の 約 2 割 は 免 除 対 象 となるとの 指 摘 もあり 免 除 の 積 極 的 な 活 用 も 求 められる さらに 今 回 の 制 度 改 正 により 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1が 恒 久 化 する ことを 踏 まえ 国 庫 負 担 部 分 の 存 在 についても 周 知 が 重 要 となろう 悪 質 な 保 険 料 滞 納 者 対 策 として 導 入 された 国 税 庁 への 強 制 徴 収 委 任 も 実 施 されたが 短 時 間 労 働 者 への 適 用 拡 大 による 負 担 増 により 厚 生 年 金 の 保 険 料 未 納 率 が 上 昇 する 可 能 性 もある 現 在 検 討 されている 事 業 所 名 の 公 表 など 厚 生 労 働 省 による 更 なる 取 組 が 求 められる 国 民 年 金 の 保 険 料 納 付 率 改 善 に 関 しては 昨 年 国 民 年 金 保 険 料 の 納 付 を 過 去 10 年 にわたって 可 能 とする 年 金 確 保 支 援 法 労 働 者 への 厚 生 年 金 適 用 拡 大 にもその 効 果 が 期 待 される 101 が 成 立 しており 今 回 の 改 正 における 短 時 間 5.おわりに 平 成 24 年 2 月 29 日 の 党 首 討 論 において 谷 垣 自 民 党 総 裁 は 野 田 総 理 からの 平 成 24 年 度 予 算 に 関 する 自 民 党 案 102 における 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1の 財 源 についての 100 厚 生 労 働 省 平 成 22 年 度 の 国 民 年 金 の 加 入 保 険 料 納 付 状 況 なお 過 去 24 か 月 間 の 保 険 料 が 未 納 と なっている 者 が 未 納 者 とされる 101 国 民 年 金 及 び 企 業 年 金 等 による 高 齢 期 における 所 得 の 確 保 を 支 援 するための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 23 年 法 律 第 93 号 ) 102 自 由 民 主 党 わが 党 の 政 策 ビジョンと 平 成 24 年 度 予 算 ( 平 24.2.24) 63

問 いかけに 対 し 消 費 税 で 間 違 いない 旨 明 言 した 103 これに 象 徴 されるように 今 回 の 改 正 を 含 む 年 金 の 現 行 制 度 の 改 善 に 関 する 民 主 党 による 取 組 と 自 民 党 及 び 公 明 党 の 主 張 に は 大 枠 で 政 策 の 方 向 性 に 類 似 点 も 見 受 けられる 104 しかしながら 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 においては 今 回 の 制 度 改 正 により 年 金 の 現 行 制 度 の 改 善 に 着 手 がなされ 引 き 続 いて 平 成 25 年 には 新 しい 年 金 制 度 の 創 設 に 関 する 法 案 が 提 出 されるとされているものの 105 新 しい 年 金 制 度 の 具 体 的 な 内 容 や 現 行 制 度 から の 移 行 イメージは 現 状 では 十 分 に 明 らかになってきていない 政 府 与 党 には 新 しい 年 金 制 度 に 関 し 必 要 な 財 源 を 含 め 具 体 的 な 説 明 が 求 められており 野 党 や 広 く 国 民 に 対 し 詳 細 な 情 報 発 信 がなされ それを 踏 まえた 全 般 的 な 議 論 が 展 開 されることが 期 待 されている 一 体 改 革 大 綱 では 本 大 綱 をもって 野 党 各 党 に 社 会 保 障 税 一 体 改 革 のための 協 議 を 提 案 し 与 野 党 協 議 を 踏 まえ 法 案 化 を 行 う こととされている 将 来 世 代 に 更 なる 負 担 を 先 送 りすることなく 一 体 改 革 大 綱 の 目 指 す 社 会 保 障 制 度 の 持 続 可 能 性 と 財 政 の 健 全 性 を 実 現 するためには 負 担 と 給 付 のバランスに 関 する 制 度 の 抜 本 的 な 改 革 に 関 する 議 論 を 避 けて 通 ることはできず ねじれ 国 会 という 現 在 の 状 況 に 鑑 みれば まさに 与 野 党 一 体 となった 協 議 とそれに 基 づく 取 組 が 望 まれる 参 考 文 献 勝 俣 妃 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 の 維 持 と 財 源 確 保 ~ 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ~ 立 法 と 調 査 (2011.3)No.314 藤 井 亮 二 年 金 制 度 の 見 直 し 議 論 ~ 社 会 保 障 税 の 一 体 改 革 の 一 環 として~ 立 法 と 調 査 (2012.1)No.324 ( 内 線 75228) 103 第 180 回 国 会 国 家 基 本 政 策 委 員 会 合 同 審 査 会 会 議 録 第 1 号 4 頁 ( 平 24.2.29) 参 照 なお 平 成 22 年 参 議 院 通 常 選 挙 における 自 民 党 マニフェスト 自 民 党 政 策 集 J-ファイル 2010 においても 消 費 税 の 10 %へ の 引 上 げとともに 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 2 分 の1を 消 費 税 財 源 により 賄 うことが 示 されている 104 平 成 22 年 参 議 院 通 常 選 挙 におけるマニフェストにおいて 自 民 党 及 び 公 明 党 は 低 所 得 者 の 基 礎 年 金 受 給 に 関 し 給 付 を 上 乗 せする 措 置 とともに 受 給 資 格 期 間 の 10 年 への 短 縮 をそれぞれ 主 張 している また 自 公 政 権 時 代 の 平 成 19 年 には 被 用 者 年 金 一 元 化 法 案 が 提 出 されている 105 法 律 成 立 後 の 施 行 時 期 については 未 定 とされている 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 10 号 第 18 ~ 19 頁 ( 平 24.3.16) 参 照 64