Ⅱ. 本 報 告 書 の 概 要 企 業 再 生 債 権 管 理 ニュースレター 1. 本 報 告 書 において 検 討 された 3 つの 制 度 モデル 本 検 討 会 においては 商 取 引 債 権 者 も 債 権 カット 対 象 となることにより 事 業 価 値 維 持 が 困 難 となるとい



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2015 年 9 月 号 事 業 再 生 ADR への 多 数 決 原 理 導 入 に 向 けた 動 き ~ 本 年 3 月 の 有 識 者 検 討 会 報 告 書 について~ Ⅰ. はじめに Ⅱ. 本 報 告 書 の 概 要 Ⅲ. 今 後 の 課 題 と 展 望 森 濱 田 松 本 法 律 事 務 所 弁 護 士 山 崎 良 太 TEL 03 5223 7790 ryota.yamasaki@mhmjapan.com 弁 護 士 稲 生 隆 浩 TEL 03 5220 1857 takahiro.inou@mhmjapan.com 弁 護 士 石 田 渉 TEL 03 6266 8926 wataru.ishida@mhmjapan.com Ⅰ. はじめに 企 業 の 再 建 手 続 のうち 法 的 整 理 手 続 は 商 取 引 債 権 も 債 権 カットの 対 象 となり 手 続 の 開 始 申 立 によりその 事 実 が 公 知 となるため 事 業 価 値 や 信 用 力 が 著 しく 毀 損 されてし まうのが 通 常 であり 事 業 や 雇 用 を 維 持 継 続 して 真 に 企 業 が 再 生 することは 容 易 では ない そのため 近 時 金 融 債 権 者 のみを 対 象 債 権 者 とし 商 取 引 債 権 者 については 対 象 としない 私 的 整 理 手 続 による 再 建 事 例 が 増 加 しており 政 府 系 機 関 の 機 能 拡 充 等 私 的 整 理 の 制 度 準 則 等 が 整 備 されている しかし 私 的 整 理 は 対 象 債 権 者 全 員 の 同 意 が 事 業 再 生 計 画 成 立 の 要 件 とされるため 計 画 成 立 に 向 けたハードルが 法 的 整 理 よりも 高 く 早 期 事 業 再 生 を 図 る 上 での 障 害 となることがある そのため 平 成 26 年 3 月 事 業 再 生 ADR 手 続 の 成 立 要 件 の 緩 和 ( 多 数 決 原 理 の 導 入 )を 検 討 するべく 有 識 者 による 事 業 再 生 に 関 する 紛 争 解 決 手 続 の 更 なる 円 滑 化 に 関 する 検 討 会 ( 以 下 本 検 討 会 という )が 発 足 し 議 論 が 重 ねられ 本 年 3 月 報 告 書 ( 以 下 本 報 告 書 という )がまとめられた 私 的 整 理 手 続 への 多 数 決 原 理 導 入 については 日 本 経 済 新 聞 等 のメディアでも 多 数 報 道 されており 本 年 6 月 30 日 に 閣 議 決 定 された 日 本 再 興 戦 略 改 訂 2015 においても 産 業 の 新 陳 代 謝 を 促 進 するための 具 体 的 施 策 として 私 的 整 理 手 続 における 反 対 債 権 者 がある 場 合 にもなお 事 業 再 生 を 迅 速 かつ 円 滑 に 行 えるようにするため 本 年 3 月 にま とめられた 有 識 者 検 討 会 報 告 書 ( 引 用 者 注 : 本 報 告 書 )の 内 容 等 も 踏 まえつつ 関 係 省 庁 において 法 的 枠 組 み 等 の 検 討 を 進 める 旨 が 盛 り 込 まれるなど 今 後 法 改 正 に 向 けた 議 論 が 加 速 する 可 能 性 がある 本 号 では 本 報 告 書 の 概 要 を 説 明 するとともに 私 的 整 理 ( 事 業 再 生 ADR)への 多 数 決 原 理 導 入 に 向 けた 課 題 や 今 後 の 展 望 について 解 説 する

Ⅱ. 本 報 告 書 の 概 要 企 業 再 生 債 権 管 理 ニュースレター 1. 本 報 告 書 において 検 討 された 3 つの 制 度 モデル 本 検 討 会 においては 商 取 引 債 権 者 も 債 権 カット 対 象 となることにより 事 業 価 値 維 持 が 困 難 となるという 法 的 整 理 手 続 の 問 題 点 と 全 債 権 者 合 意 が 必 要 という 私 的 整 理 手 続 の 問 題 点 を 克 服 すべく 商 取 引 債 権 者 への 弁 済 継 続 金 融 債 権 者 の 多 数 決 に よる 権 利 変 更 の 両 立 可 能 な 制 度 が 模 索 検 討 された そして 本 検 討 会 での 議 論 ( 平 成 26 年 3 月 ~ 平 成 27 年 3 月 の 合 計 12 回 開 催 )を 踏 まえ 本 報 告 書 では 1 既 存 の 簡 易 再 生 手 続 ( 民 事 再 生 手 続 の 特 則 )の 運 用 改 善 モ デル( 以 下 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル という ) 2 迅 速 事 業 再 生 手 続 の 導 入 モデル ( 以 下 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデル という ) 3 裁 判 所 による 認 可 モデル( 以 下 認 可 型 モデル という )の 3 つの 制 度 モデルが 検 討 対 象 とされた (1) 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルは 事 業 再 生 ADR における 決 議 会 議 において 事 業 再 生 計 画 案 につき 対 象 債 権 者 全 員 の 同 意 を 得 ることができない 場 合 に 既 存 の 簡 易 再 生 手 続 に 移 行 することを 想 定 している 簡 易 再 生 手 続 ( 民 事 再 生 法 211 条 以 下 )とは 届 出 再 生 債 権 者 の 総 債 権 額 の 5 分 の 3 以 上 の 額 を 有 する 届 出 債 権 者 が 再 生 計 画 案 に 同 意 し かつ 再 生 債 権 の 調 査 確 定 手 続 を 経 ないことに 同 意 していることを 申 立 要 件 とする 民 事 再 生 手 続 の 特 則 であり これにより 再 生 債 権 の 調 査 確 定 手 続 を 省 略 することが 可 能 となる 但 し 平 成 12 年 の 民 事 再 生 法 改 正 以 降 の 利 用 状 況 は 全 国 で 約 50 件 東 京 地 裁 ではわずか 2 件 のみであり ほとんど 利 用 されていないのが 実 情 である 同 モデルでは 事 業 再 生 ADR から 簡 易 再 生 手 続 に 移 行 した 場 合 においても 商 取 引 債 権 を 保 護 するべく 商 取 引 債 権 に 関 する 考 慮 規 定 を 産 業 競 争 力 強 化 法 ( 以 下 産 競 法 という )に 創 設 することが 想 定 されている 具 体 的 には 1 商 取 引 債 権 を 他 の 債 権 よりも 優 先 的 に 取 り 扱 うことについて 金 融 債 権 者 の 全 員 ( 又 は 多 数 )の 同 意 を 得 ていることを 事 業 再 生 ADR 事 業 者 ( 手 続 実 施 者 )が 確 認 した 場 合 には 2 裁 判 所 は 1の 確 認 がなされていることを 考 慮 した 上 で 民 事 再 生 法 85 条 5 項 後 段 に 基 づく 商 取 引 債 権 の 弁 済 の 可 否 を 判 断 しなければならない 旨 の 規 定 を 創 設 することに より 法 的 整 理 移 行 後 の 商 取 引 債 権 の 保 護 に 関 する 予 見 可 能 性 を 高 めることが 検 討 されている 同 モデルによる 手 続 の 基 本 構 造 は 下 記 図 1のとおりである

図 1: 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルの 基 本 構 造 事 業 再 生 ADR 手 続 利 用 の 申 込 み 債 権 者 会 議 ( 計 画 案 の 決 議 ) 対 象 債 権 者 全 員 同 意 不 同 意 の 債 権 者 あり 事 業 再 生 計 画 成 立 民 事 再 生 手 続 申 立 < 保 全 処 分 > 手 続 開 始 決 定 計 画 案 提 出 債 権 届 出 期 間 ( 1:1 週 間 程 度 に 短 縮 ) 簡 易 再 生 の 申 立 ( 2) 簡 易 再 生 の 決 定 付 決 議 決 定 ( 期 日 方 式 ) 決 定 主 文 等 の 公 告 通 知 2: 簡 易 再 生 の 申 立 要 件 は 届 出 再 生 債 権 者 の 総 債 権 額 の 5 分 の 3 以 上 の 額 を 有 する 届 出 債 権 者 が 提 出 された 計 画 案 に 同 意 し かつ 再 生 債 権 の 調 査 確 定 手 続 を 経 ないことに 同 意 していること ( 民 事 再 生 法 211 条 1 項 ) 財 産 状 況 報 告 集 会 or 裁 判 所 への 報 告 書 提 出 計 画 案 の 決 議 みなし 同 意 (214Ⅲ) 可 決 要 件 は 通 常 の 手 続 と 同 じ 可 決 認 可 決 定 不 認 可 決 定 否 決 再 生 手 続 廃 止

(2) 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデル 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルは 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルと 同 様 に 事 業 再 生 ADR に おける 決 議 会 議 において 事 業 再 生 計 画 案 につき 対 象 債 権 者 全 員 の 同 意 を 得 ることが できない 場 合 法 的 再 建 手 続 に 移 行 するモデルである 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルと 異 なるのは 民 事 再 生 法 の 改 正 により 既 存 の 簡 易 再 生 手 続 をより 簡 略 化 した 新 た な 手 続 ( 迅 速 事 業 再 生 手 続 )を 受 け 皿 として 創 設 することを 想 定 している 点 である 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルにおいては まず 通 常 の 民 事 再 生 申 立 を 行 ったうえで 債 権 届 出 期 間 終 了 後 に 改 めて 簡 易 再 生 申 立 を 行 うのに 対 し( 前 頁 図 1) 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルでは そのような 二 段 階 構 造 をとらず 直 ちに 迅 速 事 業 再 生 手 続 開 始 申 立 を 行 うことを 認 めることにより 手 続 のさらなる 簡 易 迅 速 化 を 図 るとされてい る 同 モデルにおいても 事 業 再 生 ADR から 簡 易 再 生 手 続 に 移 行 した 場 合 における 商 取 引 債 権 の 保 護 を 確 保 するべく 商 取 引 債 権 に 関 する 考 慮 規 定 を 産 競 法 に 創 設 する ことが 想 定 されている また 少 額 債 権 の 弁 済 許 可 に 関 する 規 定 ( 民 事 再 生 法 85 条 5 項 後 段 )を 商 取 引 債 権 を 保 護 しやすい 形 に 改 正 することも 検 討 課 題 とされてい る 同 モデルの 手 続 の 基 本 構 造 は 下 記 図 2のとおりである 図 2: 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルの 基 本 構 造 事 業 再 生 ADR 手 続 利 用 の 申 込 み 債 権 者 会 議 ( 計 画 案 の 決 議 ) 対 象 債 権 者 全 員 同 意 事 業 再 生 計 画 成 立 不 同 意 の 債 権 者 あり 迅 速 再 生 手 続 申 立 ( ) 計 画 案 提 出 債 権 者 一 覧 表 提 出 < 保 全 処 分 > 手 続 開 始 決 定 付 議 決 定 議 決 権 者 への 通 知 債 権 のみなし 届 出 : 迅 速 事 業 再 生 手 続 の 申 立 要 件 につい ては 1 先 行 手 続 における 計 画 案 決 議 に おいて 対 象 債 権 者 が 有 する 債 権 総 額 の 5 分 の 3 以 上 を 有 する 債 権 者 が 計 画 案 に 同 意 し 2かつ 再 生 債 権 の 調 査 確 定 手 続 を 経 ない 迅 速 事 業 再 生 手 続 の 申 立 をなすことに 同 意 していること 等 を 要 件 とすることが 検 討 されている 債 権 届 出 期 間 計 画 案 の 決 議 ( 短 縮 or 省 略?) 同 意 擬 制 可 決 認 可 決 定 不 認 可 決 定 否 決 再 生 手 続 廃 止

(3) 認 可 型 モデル 認 可 型 モデルは 事 業 再 生 ADR における 決 議 会 議 において 事 業 再 生 計 画 案 につき 対 象 債 権 者 全 員 の 同 意 を 得 ることができない 場 合 に 裁 判 所 による 認 可 により 計 画 案 を 成 立 させるモデルである 多 数 決 要 件 その 他 の 一 定 の 認 可 要 件 を 充 足 する 場 合 には 裁 判 所 による 認 可 決 定 により 当 該 計 画 案 を 成 立 させ 反 対 債 権 者 を 拘 束 す る 制 度 を 産 競 法 の 改 正 により 創 設 することを 想 定 している 認 可 型 モデルは 金 融 債 権 者 のみを 対 象 とする 手 続 であるため 商 取 引 債 権 は 全 額 保 護 されることとなる 同 モデルの 手 続 の 基 本 構 造 は 下 記 図 3のとおりである 図 3: 認 可 型 モデルの 基 本 構 造 事 業 再 生 ADR 手 続 利 用 の 申 込 み 債 権 者 会 議 ( 計 画 案 の 決 議 ) 対 象 債 権 者 全 員 同 意 不 同 意 の 債 権 者 あり 事 業 再 生 計 画 成 立 裁 判 所 による 認 可 申 立 < 認 可 要 件 の 審 理 > 認 可 決 定 不 認 可 決 定 事 業 再 生 計 画 案 不 成 立 2. 3 つの 制 度 モデルに 関 する 検 討 結 果 ( 本 報 告 書 が 指 摘 する 各 モデルのメリット 問 題 点 ) 本 報 告 書 においては 3 つの 制 度 モデルのうち 最 終 的 にどのモデルを 採 用 すべきか という 絞 り 込 みは 行 われず 今 後 のより 具 体 的 なモデルの 絞 り 込 み 選 択 に 向 けての 参 考 として 各 モデルのメリット 問 題 点 を 指 摘 している 本 報 告 書 においては 概 要 以 下 のとおり 各 制 度 モデルのメリット 問 題 点 が 整 理 されている

モデル メリット 問 題 点 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデル 認 可 型 モデル 産 競 法 の 改 正 で 足 りる( 商 取 引 債 権 保 護 に 関 する 考 慮 規 定 事 業 再 生 ADR 参 加 の 努 力 義 務 の 追 加 ) 既 存 の 法 的 手 続 を 活 用 するため 理 論 的 問 題 が 少 ない 事 業 再 生 ADR に 参 加 していない 債 権 者 中 途 で 離 脱 した 債 権 者 も 手 続 に 取 り 込 むことが 可 能 債 権 者 の 類 型 に 応 じて 個 別 弁 済 が 可 能 となる( 弁 済 禁 止 保 全 処 分 の 例 外 や 民 事 再 生 法 85 条 5 項 後 段 の 活 用 ) 事 業 再 生 ADR に 参 加 していない 債 権 者 中 途 で 離 脱 した 債 権 者 も 手 続 に 取 り 込 むことが 可 能 債 権 者 の 類 型 に 応 じて 個 別 弁 済 が 可 能 となる( 弁 済 禁 止 保 全 処 分 の 例 外 や 民 事 再 生 法 85 条 5 項 後 段 の 活 用 ) 簡 易 再 生 手 続 よりも 手 続 の 実 効 性 迅 速 性 の 点 で 優 位 法 的 再 建 手 続 への 移 行 を 伴 わない 最 も 迅 速 な 事 業 再 生 が 可 能 産 競 法 ( 事 業 再 生 ADR 関 連 法 規 ) の 改 正 で 足 りる 既 存 の 法 的 再 建 手 続 の 枠 内 に 留 まる ため 限 界 がある ( 事 業 価 値 毀 損 等 の 法 的 再 建 手 続 の 弊 害 を 解 消 できない) 民 事 再 生 法 の 改 正 が 必 要 既 存 の 法 的 再 建 手 続 の 延 長 に 過 ぎず ( 再 生 手 続 の 特 則 である 簡 易 再 生 手 続 にさらなる 特 則 を 設 けることとな る) 事 業 価 値 毀 損 等 の 法 的 再 建 手 続 の 弊 害 が 解 消 されない 反 対 債 権 者 を 拘 束 する 理 論 的 根 拠 が 乏 しい 憲 法 29 条 1 項 に 抵 触 するおそれ ( 反 対 債 権 者 の 財 産 権 の 保 障 ) 憲 法 14 条 1 項 に 抵 触 するおそれ ( 反 対 債 権 者 と 非 対 象 債 権 者 との 平 等 ) 多 数 決 原 理 の 導 入 による 事 業 再 生 ADR 手 続 の 敬 遠 3. 今 後 の 検 討 のあり 方 本 報 告 書 は このような 3 つの 制 度 モデルを 1 今 後 速 やかに 検 討 すべきと 考 えら れる 直 近 の 検 討 課 題 2 直 近 の 検 討 課 題 の 次 の 段 階 において 制 度 の 運 用 状 況 等 を みながら 検 討 を 進 めるべき 次 なる 検 討 課 題 3ある 程 度 長 期 的 な 視 野 に 立 ち 議 論 を 積 み 重 ねていくことが 必 要 と 考 えられる 将 来 的 な 検 討 課 題 の 3 段 階 に 分 類 し 長 期 的 段 階 的 に 認 可 型 モデルを 目 指 していく 方 向 性 を 示 している

1 直 近 の 検 討 課 題 : 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルに 向 けた 対 応 まずは 導 入 に 当 たってのハードルが 最 も 低 い 既 存 手 続 の 運 用 改 善 により 対 応 すべきであるとしている 2 次 なる 検 討 課 題 : 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルの 導 入 に 向 けた 検 討 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルによる 対 応 結 果 を 踏 まえ 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルの 導 入 を 検 討 すべきであるとしている 3 将 来 的 な 検 討 課 題 : 認 可 型 モデルの 導 入 に 向 けた 検 討 認 可 型 モデルの 導 入 に 当 たっては 反 対 債 権 者 に 対 する 拘 束 力 の 正 当 化 根 拠 反 対 債 権 者 の 財 産 権 の 保 障 法 の 下 の 平 等 との 関 係 等 の 問 題 が 存 在 し 理 論 的 ハ ードルが 相 応 に 高 いことから 長 期 的 な 視 野 に 立 った 議 論 が 必 要 であるとしてい る 直 近 の 検 討 課 題 とされた 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデルに 関 しては 前 記 のとおり 日 本 再 興 戦 略 改 訂 2015 にも 提 言 をふまえ 検 討 を 進 める 旨 が 盛 り 込 まれたため 今 後 法 改 正 及 びモデル 導 入 に 向 けた 動 きが 加 速 する 可 能 性 があり 注 視 していく 必 要 がある Ⅲ. 今 後 の 課 題 と 展 望 前 記 Ⅰのとおり 現 在 の 企 業 再 生 の 実 務 においては 私 的 整 理 手 続 がより 重 要 となっ ており 企 業 再 生 の 簡 易 迅 速 化 産 業 の 活 性 化 や 地 方 創 生 を 実 現 していく 上 で 事 業 再 生 ADR における 多 数 決 原 理 の 導 入 は 一 定 の 意 味 を 持 つと 思 われる しかし 本 報 告 書 が 想 定 する 3 つの 制 度 モデルのうち 法 的 整 理 である 民 事 再 生 手 続 を 利 用 する 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル 及 び 迅 速 事 業 再 生 手 続 モデルは 手 続 が 複 雑 迂 遠 になることに 加 え 手 続 開 始 申 立 の 事 実 が 公 知 となり 事 業 価 値 信 用 力 等 の 毀 損 を 回 避 するという 私 的 整 理 手 続 のメリットが 損 なわれてしまう 事 業 再 生 ADR に 反 対 して も 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル 等 により 多 数 決 原 理 で 計 画 が 成 立 するという 状 況 が 予 想 さ れることによって 対 象 債 権 者 に 事 業 再 生 ADR 段 階 で 同 意 するインセンティブが 生 じ る 側 面 はあると 思 われるが 現 行 の 事 業 再 生 ADR でも 不 成 立 となった 場 合 速 やかに 法 的 整 理 手 続 に 移 行 するとされており 大 きな 相 違 はない 逆 に 裁 判 所 が 関 与 する 簡 易 再 生 運 用 改 善 モデル 等 が 控 えていることにより 対 象 債 権 者 が 事 業 再 生 ADR 段 階 で 同 意 しない 選 択 肢 を 採 りやすくなる 側 面 もあるといえ 同 モデルによって 事 業 再 生 ADR における 全 員 一 致 での 計 画 案 成 立 の 可 能 性 がむしろ 低 くなることも 懸 念 される 本 来 私 的 整 理 のメリット( 手 続 の 秘 密 性 商 取 引 債 権 保 護 等 )を 維 持 しつつ 多 数 決 原 理 導 入 により 事 業 再 生 の 簡 易 迅 速 化 を 図 るのであれば 3 つの 制 度 モデルのうち 認 可 型 モデルを 導 入 することが 最 良 である 本 報 告 書 では 前 記 Ⅱ 2 のとおり 反 対 債 権 者 を 拘 束 する 理 論 的 根 拠 が 乏 しい 憲 法 29 条 1 項 同 14 条 1 項 に 抵 触 する 可 能 性 がある 等 の 理 論 的 問 題 が 存 在 し 長 期 的 な 視 野 に 立 った 議 論 が 必 要 であるとして 認 可 型 モデルは 将 来 的 な 検 討 課 題 に 位 置 付 けられている しかし 認 可 型 モデルは 一 定 のカテゴリーに 属 する 債 権 者 間 における 多 数 決 決 議

について 裁 判 所 が 認 可 することにより 少 数 反 対 債 権 者 を 拘 束 する という 点 で 社 債 権 に 関 する 社 債 権 者 集 会 の 多 数 決 による 決 議 ( 会 社 法 724 条 2 項 ) 及 び 裁 判 所 による 認 可 制 度 ( 会 社 法 732 条 から 734 条 まで 多 数 決 決 議 及 び 裁 判 所 の 認 可 により 反 対 する 債 権 者 を 含 め 償 還 すべき 社 債 金 額 を 減 免 することが 認 められている)と 共 通 する 社 債 権 の 多 数 決 による 権 利 変 更 についてはその 団 体 性 が 根 拠 であり 金 融 債 権 は 性 質 が 異 なるとする 見 解 もあるが 同 じ 金 銭 債 権 であり 憲 法 上 の 財 産 権 保 護 の 要 請 は 同 様 なの であるから 事 業 再 生 ADR の 対 象 債 権 についても 社 債 と 同 様 に 取 り 扱 うことも 不 可 能 ではないと 考 えられる また 欧 米 アジア 等 の 諸 外 国 では 裁 判 外 でのワークアウトの 利 点 を 活 かし 事 業 価 値 の 毀 損 を 回 避 して 早 期 の 事 業 再 建 を 図 る 方 向 での 制 度 改 革 が 進 められており 金 融 債 権 者 のみを 対 象 とする 多 数 決 ワークアウト( 私 的 整 理 ) 制 度 の 実 例 が 多 数 存 在 する 例 えば 韓 国 では 2001 年 に 企 業 構 造 調 整 促 進 法 が 成 立 し 金 融 債 権 者 の 75% 以 上 の 同 意 によりワークアウトが 成 立 するという 制 度 が 実 施 されている( 韓 国 では 賛 成 債 権 者 が 少 数 反 対 債 権 者 の 債 権 を 清 算 価 値 で 買 取 る 制 度 も 実 施 されており 認 可 型 モデルの 検 討 に 当 たっては 参 考 となる) 私 的 整 理 に 多 数 決 原 理 を 導 入 することが 早 期 事 業 再 生 ひいては 産 業 の 活 性 化 地 域 創 生 に 寄 与 するという 考 え 方 を 貫 くのであれば 今 後 は 類 似 する 制 度 を 導 入 している 諸 外 国 の 法 制 や 既 に 法 制 化 されている 社 債 権 者 の 取 扱 い 等 を 参 考 としつつ 認 可 型 モデ ルを 実 現 させるための 議 論 を 進 めていくことが 望 ましいといえる なお 本 報 告 書 が 指 摘 するとおり 現 在 の 私 的 整 理 手 続 は 対 象 債 権 者 全 員 の 合 意 が 必 要 であることにより 一 定 の 高 いハードルが 存 することは 事 実 であるが 私 的 整 理 の 実 務 や 金 融 機 関 調 整 に 長 けた 弁 護 士 が 債 務 者 代 理 人 となり 合 理 的 かつ 公 平 性 妥 当 性 の 高 い 事 業 再 生 計 画 を 策 定 した 上 で 私 的 整 理 による 再 建 のメリット( 事 業 雇 用 の 維 持 に よる 地 域 経 済 への 寄 与 等 )を 丁 寧 に 説 明 し 金 融 機 関 の 意 向 もふまえて 粘 り 強 く 調 整 を 進 めていく 等 により 円 滑 かつ 迅 速 に 私 的 整 理 を 成 立 させることは 十 分 可 能 である 私 的 整 理 への 多 数 決 原 理 導 入 の 議 論 と 並 行 し 事 業 再 生 ADR 等 の 現 状 の 私 的 整 理 手 続 を 活 用 した 事 業 再 生 を 促 進 していくことが 重 要 であろう

文 献 情 報 論 文 債 権 譲 渡 ( 譲 渡 制 限 特 約 ) 法 制 の 改 正 -ABL 実 務 の 観 点 から- 雑 誌 名 金 融 法 務 事 情 2024 号 著 者 末 廣 裕 亮 矢 田 悠 ( 共 著 ) 論 文 ABL に 関 連 する 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 雑 誌 名 著 者 企 業 会 計 Vol.67 No.9 矢 田 悠 論 文 セイクレスト 大 阪 高 裁 判 決 と 監 査 役 監 査 基 準 雑 誌 名 月 刊 監 査 役 No. 643 著 者 松 井 秀 樹 書 籍 一 問 一 答 平 成 26 年 改 正 会 社 法 [ 第 2 版 ] (2015 年 8 月 刊 ) 出 版 社 株 式 会 社 商 事 法 務 著 者 内 田 修 平 渡 辺 邦 広 ( 共 著 ) 論 文 実 務 に 効 く 国 際 ビジネス 判 例 精 選 知 的 財 産 雑 誌 名 著 者 ジュリスト 増 刊 2015 年 8 月 田 中 浩 之 書 籍 秘 密 保 持 競 業 避 止 引 抜 きの 法 律 相 談 (2015 年 8 月 刊 ) 出 版 社 株 式 会 社 青 林 書 院 著 者 高 谷 知 佐 子 上 村 哲 史 ( 共 著 ) ( 当 事 務 所 に 関 するお 問 い 合 せ ニュースレター のバックナンバーのご 希 望 などは 下 記 まで) 森 濱 田 松 本 法 律 事 務 所 広 報 担 当 mhm_info@mhmjapan.com 03-6212-8330 www.mhmjapan.com