表 5 食 品 の 一 例 果 汁 飲 料 酒 蜜 膏 蜜 漬 ( 脯 ) 塩 漬 点 心 類 スープ 類 インスタント 類 調 味 料 ミカンジュース リンゴジュース トマトジュース 菊 花 茶 緑 茶 烏 龍 茶 山 楂 子 顆 粒 烏 梅 顆 粒 桂 花 酒 甘 酒 紹 興 酒 秋 梨 膏 姜

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製 造 業 者 は 製 造 販 売 業 者 の 管 理 監 督 の 下 適 切 な 品 質 管 理 を 行 い 製 品 を 製 造 します なお 製 造 業 は 製 造 に 特 化 した 許 可 となっており 製 造 業 の 許 可 のみでは 製 品 を 市 場 に 出 荷 することはできま せん

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ウ 一 日 当 たりの 摂 取 目 安 量 粒 ~ 粒 お 召 し 上 がりください という 旨 の 幅 の 両 端 をもって 表 示 することも 可 能 です エ 栄 養 成 分 の 量 及 び 熱 量 ( 栄 養 成 分 表 示 ) 一 日 の 摂 取 目 安 量 当 たりの 栄 養 成 分 の

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Transcription:

第 4 回 普 賢 会 ( 平 成 26 年 11 月 ) 食 材 生 薬 の 分 類 四 気 五 味 食 材 と 生 薬 の 配 伍 薬 膳 ( 食 物 療 法 )の 献 立 の 立 て 方 今 回 の 古 典 に 出 てくる 漢 方 を 食 物 療 法 に 変 えるとどうなるか 3 中 医 薬 膳 学 の 処 方 食 材 の 分 類 中 国 では 素 材 の 加 工 段 階 により 食 材 を 食 物 と 食 品 に 分 類 している 食 物 収 穫 したものを 簡 単 に 加 工 して 自 然 のまま 使 うものを 食 物 という( 表 4) 表 4 食 物 の 一 例 穀 類 米 小 麦 豆 類 大 豆 アズキ 緑 豆 黒 豆 豆 乳 イモ 類 ジャガイモ ヤマイモ サツマイモ 野 菜 白 菜 大 根 トウガン 唐 辛 子 生 姜 ネギ 果 物 梨 リンゴ ミカン 乾 果 類 栗 落 花 生 ヒマワリの 種 菌 類 キクラゲ 白 キクラゲ キノコ 霊 芝 肉 類 豚 牛 羊 鶏 鴨 魚 介 類 魚 エビ カニ 貝 卵 鶏 卵 鴨 の 卵 ウズラの 卵 乳 牛 乳 中 薬 枸 杞 子 大 棗 菊 花 三 七 紅 花 食 品 素 材 を 精 製 加 工 包 装 して 自 然 の 性 質 から 変 化 したものを 食 品 という( 表 5) 1

表 5 食 品 の 一 例 果 汁 飲 料 酒 蜜 膏 蜜 漬 ( 脯 ) 塩 漬 点 心 類 スープ 類 インスタント 類 調 味 料 ミカンジュース リンゴジュース トマトジュース 菊 花 茶 緑 茶 烏 龍 茶 山 楂 子 顆 粒 烏 梅 顆 粒 桂 花 酒 甘 酒 紹 興 酒 秋 梨 膏 姜 蜜 膏 棗 脯 梨 脯 杏 脯 百 合 脯 漬 物 魚 の 漬 物 クッキー ケーキ パン 枇 杷 露 金 銀 花 露 長 芋 湯 肉 湯 当 帰 羊 肉 湯 蓮 子 湯 棗 湯 銀 耳 湯 八 宝 粥 緑 豆 粥 薏 苡 仁 粥 味 噌 醤 油 酢 中 薬 の 分 類 料 理 に 使 える 中 薬 肉 桂 丁 香 花 椒 胡 椒 小 茴 香 大 茴 香 生 姜 葱 白 紫 蘇 香 菜 緑 豆 馬 歯 莧 蘆 薈 茯 苓 薏 苡 仁 冬 瓜 皮 赤 アズキ 陳 皮 薤 白 刀 豆 艾 葉 紅 花 海 藻 昆 布 杏 仁 銀 杏 朝 鮮 人 参 山 薬 大 棗 蜂 蜜 冬 虫 夏 草 胡 桃 韮 子 龍 眼 肉 地 黄 麦 門 冬 石 斛 黄 精 百 合 枸 杞 子 桑 椹 黒 ゴマ 五 味 子 烏 梅 蓮 子 芡 実 などがある これらの 中 薬 は 性 質 と 味 の 面 で 食 材 としても 使 いやすく 料 理 を 作 るときに よく 配 合 されている ただし 乾 燥 しているものは 使 う 前 に 戻 す 必 要 がある また 貴 重 な 中 薬 は 粉 末 にして 使 う 例 えば 冬 虫 夏 草 の 姿 を 見 ると 気 分 が 悪 くなる 人 もいるので まず 乾 煎 りしてから 粉 末 にする こうすると 香 ばしい 香 りで 補 腎 益 肺 の 効 果 が 高 められるという 利 点 もあり ふりかけのように 使 える 他 に 三 七 粉 や 真 珠 粉 などがある 薬 膳 茶 ( 薬 茶 )になる 中 薬 薄 荷 菊 花 桑 葉 金 銀 花 蒲 公 英 魚 腥 草 番 瀉 葉 菖 蒲 玫 瑰 花 茉 莉 花 丹 参 山 楂 子 枇 杷 葉 酸 棗 仁 決 明 子 西 洋 人 参 黄 耆 杜 仲 玉 竹 当 帰 などがある これらの 中 薬 の 性 質 あるいは 味 は 料 理 には 使 いにくいが 煎 じて 茶 として 飲 むことができる また は 煎 じた 汁 を 水 のかわりに 使 ってご 飯 を 炊 いたり スープを 作 ったりすれば 食 材 と 一 緒 に 使 うこと ができる 2

薬 膳 酒 に 用 いる 中 薬 木 瓜 独 活 五 加 皮 蛇 丹 参 当 帰 西 洋 人 参 黄 耆 杜 仲 肉 蓯 蓉 鹿 茸 冬 虫 夏 草 などがある これらの 中 薬 を 酒 に 漬 けると 薬 酒 になる 薬 酒 を 作 るときには アルコールの 濃 度 に 注 意 する 必 要 がある アルコール 濃 度 が 低 いと 有 効 成 分 が 出 にくくなる 殻 類 の 中 薬 貝 類 の 殻 は 捨 てられることが 多 いが 実 際 にはこれらはよく 使 われる 中 薬 である ハマグリの 殻 は 海 蛤 殻 アワビの 殻 は 石 決 明 カキの 殻 は 牡 蛎 赤 貝 の 殻 は 瓦 楞 子 と それぞれ 中 薬 の 名 前 が あり 精 神 安 定 作 用 のある 中 薬 として イライラや 不 安 や 不 眠 があるときによく 使 われる これらは 乾 燥 させて 保 存 する 使 う 際 には 砕 いてから 他 の 中 薬 より 先 に 煎 じる 食 材 と 中 薬 性 味 と 効 能 食 材 や 中 薬 はいずれもそれぞれの 味 性 質 効 能 をもっている 使 用 する 際 には 四 気 五 味 帰 経 昇 降 浮 沈 の 性 質 と 特 徴 により 使 い 分 けなければならない なかには 使 いにくい 食 材 や 中 薬 もあ るので 様 々な 工 夫 をする 必 要 がある 五 気 六 味 ( 四 季 五 味 ) 伝 統 的 に 四 気 五 味 というが 実 際 には 五 気 六 味 があるので このように 説 明 する 五 気 とは 食 材 や 中 薬 がもっている 寒 涼 温 熱 平 の5つの 性 質 を 指 している この 中 で 平 性 の ものは 寒 涼 性 と 温 熱 性 の 間 にある 性 質 であるため 配 合 しやすい 性 質 である( 表 6) 六 味 とは 食 材 や 中 薬 がもっている 辛 甘 酸 苦 鹹 淡 の6つの 味 を 指 している( 表 7) 六 味 の 実 質 には 食 材 や 中 薬 そのものがもっている 本 当 の 味 だけではなく 使 用 してから 現 れる 効 果 も 含 まれている 要 するに 五 味 の 定 義 は 食 材 や 中 薬 の 治 療 効 果 をまとめた 結 果 であるといえる この ため 食 材 や 中 薬 の 本 当 の 味 とは 異 なる 味 の 記 載 にあたることがときどきあるので 注 意 しなければな らない 味 以 外 では 香 りをもっている 食 材 や 中 薬 もある 例 えば 香 菜 紫 蘇 薄 荷 セロリ ミカンなど で このような 食 材 や 中 薬 は 精 神 安 定 食 欲 増 進 などの 作 用 がある 3

表 6 五 気 ( 五 性 )の 働 きと 食 材 五 気 寒 性 涼 性 温 性 熱 性 平 性 代 表 的 な 食 材 中 薬 働 き 体 質 ニガウリ スイ 大 根 キュウリ カ 豆 腐 菊 花 セロリ 麦 門 冬 金 銀 花 百 合 身 体 の 熱 を 取 る 毒 を 排 泄 し 便 通 をよくする 生 姜 栗 エビ 胡 椒 肉 桂 唐 羊 肉 鶏 肉 朝 辛 子 鮮 人 参 身 体 を 温 める 痛 みを 止 め 気 血 の 循 環 をよくする ハト 麦 アズ キ キャベツ トウモロコシ イモ 陰 陽 のバランス を 調 和 させる 作 用 が 強 い 作 用 が 弱 い 作 用 が 弱 い 作 用 が 強 い 作 用 が 穏 やか 陽 盛 陽 盛 陰 虚 気 虚 陽 虚 陰 陽 虚 陰 盛 どのような 体 質 盛 にも 使 える 適 応 症 熱 証 寒 証 熱 証 寒 証 表 7 六 味 の 効 能 五 臓 との 関 係 と 食 材 中 薬 六 味 酸 ( 渋 ) 苦 甘 辛 鹹 淡 五 臓 肝 心 脾 肺 腎 脾 五 臓 代 表 的 な 食 材 中 薬 効 能 適 応 症 杏 山 楂 子 梅 ザクロ 五 味 子 ニガウリ チ シャ 蘆 薈 穀 物 果 物 蜂 蜜 砂 糖 生 姜 ネギ ニンニク 胡 椒 唐 辛 子 昆 布 ノリ 海 藻 塩 エ ビ ハト 麦 トウ ガン 白 菜 収 斂 固 渋 瀉 下 燥 湿 補 益 和 中 発 散 風 寒 軟 堅 散 結 滲 泄 開 竅 緩 急 行 気 活 血 瀉 下 脱 落 症 状 を 収 める 固 め る 熱 を 清 める 通 便 を よ く する 解 毒 疲 れ を 改 善 虚 弱 を 補 う 痛 みを 和 らげる 身 体 を 温 め る 気 血 の 流 れ を 良 く す る 痛 みを 止 める 固 い 物 を 和 らげる 塊 を 解 消 通 便 湿 を 取 り 除 く 脾 の 働 き を 促 進 食 欲 を 誘 う 多 汗 慢 性 下 発 熱 ニ キ 慢 性 疲 労 虚 カゼ 冷 え 血 虚 便 秘 小 便 不 利 む 痢 頻 尿 慢 ビ 胃 のもた 弱 疼 痛 瘀 血 疼 痛 腫 塊 くみ 下 痢 性 の 咳 心 悸 れ 食 欲 不 腹 脹 振 便 秘 昇 降 浮 沈 昇 降 浮 沈 とは 食 材 や 中 薬 の 作 用 方 向 を 指 している( 表 8) 昇 浮 は 上 昇 発 散 の 意 味 昇 陽 発 表 去 風 散 寒 湧 吐 開 竅 の 効 能 をもつものがこれである 辛 甘 の 味 や 温 熱 性 のもの 花 葉 のような 軽 いものは 昇 浮 の 傾 向 がある 例 えば 菊 薄 荷 は 花 葉 であり 軽 揚 上 昇 の 作 用 方 向 をもつので 頭 痛 のときによく 使 われる 降 沈 は 下 降 泄 利 の 意 味 瀉 下 清 熱 利 尿 滲 湿 重 鎮 安 神 潜 陽 熄 風 消 導 積 滞 降 逆 収 斂 止 咳 平 喘 の 効 能 をもつものがこれに 属 する 4

酸 ( 渋 ) 苦 鹹 の 味 や 寒 涼 性 のもの 茎 根 実 石 貝 類 のような 重 いものは 降 沈 の 傾 向 が ぼ れい ある 例 えば 牡 蛎 は 重 いので 下 降 の 傾 向 があり 鎮 静 安 神 の 作 用 があるため 不 眠 のときによく 使 わ れる 表 8 作 用 方 向 と 性 味 などの 関 係 作 用 方 向 意 味 作 用 ( 効 能 ) 四 気 五 味 種 類 例 昇 浮 上 昇 発 散 陽 気 を 上 昇 させる 去 温 熱 辛 甘 花 葉 ネギ 香 菜 菊 風 散 寒 湧 吐 開 竅 花 薄 荷 下 降 泄 利 清 熱 止 咳 安 定 健 寒 涼 酸 ( 渋 ) 茎 根 大 根 ゴボウ 降 沈 胃 利 尿 瀉 下 苦 鹹 実 石 貝 牡 蛎 帰 経 食 材 や 中 薬 の 効 能 は 臓 腑 経 絡 に 選 択 的 に 作 用 する 食 材 や 中 薬 の 色 性 味 によって 入 る 臓 腑 も 違 ってくるが 1つの 食 材 または 中 薬 が 身 体 のある 部 分 に 選 択 的 に 作 用 を 発 揮 し 1 経 あるいは 多 経 に 帰 することができる( 表 9) 例 えば 桔 梗 は 肺 経 に 入 るの で 咳 のときによく 使 い 牛 膝 は 腎 経 に 入 るので 足 腰 の 痛 みによく 使 う 一 般 に 酸 味 は 肝 経 に 入 りやすいので 適 量 の 酸 味 は 肝 をやわらげ 養 うことができる 苦 味 は 心 経 に 入 りやすい 夏 は 心 の 働 きが 盛 んになり 疲 れやすくなるので ニガウリなど 苦 味 のも のを 摂 り 心 の 熱 を 取 り 除 き 心 を 養 うとよい 甘 味 は 脾 経 に 入 りやすい 適 量 の 甘 味 は 脾 を 養 う 辛 味 は 肺 経 に 入 りやすい 適 量 の 辛 味 は 肺 の 働 きを 助 け カゼの 予 防 をすることができる 鹹 味 は 腎 経 に 入 りやすい 適 量 の 鹹 味 は 腎 を 養 う 表 9 五 色 五 味 の 相 互 関 係 五 色 青 赤 黄 白 黒 五 味 酸 苦 甘 辛 鹹 五 臓 肝 心 脾 肺 腎 食 材 と 中 薬 の 配 伍 実 際 食 材 や 中 薬 を 使 うときに 単 品 で 使 うことは 少 なく ほとんどの 場 合 2 品 以 上 を 同 時 に 使 う このとき その 互 いの 配 合 関 係 を7つの 関 係 に 収 めており これを 配 伍 七 情 という( 致 病 素 因 の 七 情 とは 違 うものである) 食 材 や 中 薬 を 実 際 に 使 うときには この 七 情 の 関 係 に 注 意 しなければならない たん 単 こう 行 単 味 の 食 材 や 中 薬 を 使 用 すること 例 えば 朝 鮮 人 参 や 真 珠 粉 だけを 使 うことがある 5

そう 相 す 須 同 じ 効 能 をもつ 食 材 や 中 薬 を 一 緒 に 使 うと 両 方 とも 効 果 が 増 加 すること 例 えば 補 気 するのに 朝 鮮 人 参 に 黄 耆 を 配 合 して 補 気 の 効 果 を 高 める 百 合 根 のデザートを 梨 を 一 緒 に 使 って 作 ると 肺 を 潤 す 効 果 を 高 めることができる 米 と 山 イモの 配 合 も 補 気 の 効 果 を 高 める そう 相 し 使 一 方 を 主 他 方 を 補 として 補 薬 が 主 薬 の 効 果 を 増 加 すること 例 えば 気 虚 の 浮 腫 に 対 し 健 脾 利 水 を 主 とする 黄 耆 に 黄 耆 の 利 尿 作 用 を 増 強 する 冬 瓜 皮 を 配 合 する 生 姜 と 黒 砂 糖 を 一 緒 に 煎 じて 飲 む と 生 姜 の 体 を 温 める 効 果 が 高 まる そう 相 さい 殺 ある 食 材 または 中 薬 が 他 の 食 材 や 中 薬 のよくない 作 用 を 消 除 軽 減 すること 例 えば 紫 蘇 が 刺 身 が 身 体 を 冷 やすのを 防 ぐ インゲンとニンニクがよく 一 緒 に 使 われるのは ニンニクがインゲンの 皮 疹 下 痢 を 引 き 起 こす 作 用 を 抑 えるためである 刺 身 にワサビが 生 魚 と 一 緒 に 使 われるのは ワサビが 生 魚 の 毒 を 抑 えるのである そう 相 い 畏 ある 食 材 や 中 薬 のよくない 作 用 または 副 作 用 が 他 の 食 材 や 中 薬 によって 消 除 軽 減 されること 相 殺 とは 表 裏 の 関 係 になる 例 えば 刺 身 と 大 葉 を 一 緒 に 使 うことが 多 いのは 刺 身 の 身 体 を 冷 やす 作 用 が 辛 くて 温 性 の 大 葉 に 抑 えられるからである 以 上 の5つの 配 合 は 実 際 にもよく 使 われている そう 相 はん 反 2 種 類 以 上 の 食 材 や 中 薬 を 合 わせて 用 いることにより 副 作 用 が 生 じること 例 えば 柿 と 茶 を 一 緒 に 摂 ると 便 秘 を 引 き 起 こす そう 相 お 悪 2 種 類 以 上 の 食 材 や 中 薬 を 合 わせて 用 いることにより 作 用 が 低 減 したり 無 効 になること 例 えば 気 を 下 す 作 用 のある 大 根 は 身 体 を 強 壮 する 作 用 をもつ 朝 鮮 人 参 山 イモ 鶏 肉 と 一 緒 に 使 うと 互 い に 働 きが 拮 抗 し 合 い どちらの 作 用 も 無 効 になるので 相 性 がよくない 6

相 反 と 相 悪 の 配 合 は 日 常 生 活 においてはよく 使 われているが できるだけ 避 けたほうがよい 薬 膳 処 方 の 立 て 方 処 方 の 原 則 薬 膳 の 処 方 は 中 医 学 の 処 方 と 同 じく 一 定 の 原 則 に 従 って 作 られるものである 主 な 原 則 には 薬 膳 の 目 的 に 合 わせ 補 虚 瀉 実 調 和 の3つがある 補 虚 虚 弱 を 補 うことである 人 間 は 女 性 は 28 歳 男 性 は 32 歳 平 均 で 30 歳 までは 身 体 が 成 長 し 強 壮 となっていく 勢 いがある しかし この 年 齢 を 超 えると 身 体 は 老 化 していき だんだん 虚 弱 になって いくので 補 うことが 必 要 になる( 表 10) 表 10 補 虚 に 用 いる 食 材 と 中 薬 分 類 作 用 食 材 中 薬 補 気 法 臓 腑 の 働 きを 高 める ヤマイモ 蜂 蜜 大 棗 朝 鮮 人 参 温 陽 法 臓 腑 の 働 きを 強 くし 温 める 鶏 肉 冬 虫 夏 草 肉 桂 養 血 法 血 を 養 い 栄 養 を 提 供 する ニンジン ホウレン 草 龍 眼 肉 レバー 当 帰 熟 地 黄 滋 陰 法 血 津 液 精 を 養 う 卵 スッポン 百 合 麦 門 冬 枸 杞 子 瀉 実 実 とは 邪 気 で 瀉 は 取 り 除 くという 意 味 なので 瀉 実 とは 邪 気 を 取 り 除 くことである つ まり 邪 気 の 侵 入 あるいは 臓 腑 の 機 能 の 失 調 による 発 熱 頭 痛 咳 めまい 胃 のもたれ 腹 脹 便 秘 などの 実 証 に 対 する 治 療 法 である 例 えば 冬 のカゼには 生 姜 葱 白 紫 蘇 による 辛 温 解 表 または 春 のカゼには 薄 荷 菊 花 葛 根 牛 蒡 子 による 辛 凉 解 表 法 咳 喘 息 には 桔 梗 杏 仁 大 根 による 宣 肺 降 気 止 咳 法 胃 のもたれ 腹 脹 便 秘 には 大 根 陳 皮 ごぼう コンニャクによる 平 胃 去 脹 法 行 気 通 便 法 などの 方 法 を 取 り 入 れ 邪 気 を 駆 逐 する 7

調 和 体 調 を 調 節 することである 季 節 の 変 化 による 影 響 ストレス 精 神 的 な 不 安 定 身 体 の 不 調 などに 対 し 病 気 になる 前 に 陰 陽 のバランスを 調 節 することが 大 事 である 例 えば リラックスのためには 玫 瑰 花 紅 茶 陳 皮 紅 茶 茉 莉 花 茶 (ジャスミン 茶 ) 薄 荷 茶 龍 眼 肉 と 大 棗 のデザート ブドウと 枸 杞 子 のヨーグルトなどがよい 目 的 別 の 処 方 食 養 食 養 の 処 方 は 元 気 な 人 に 対 する 合 理 的 な 食 事 の 献 立 なので 身 体 を 営 養 し 健 康 を 保 ちながら 臓 腑 の 働 きを 増 進 するという 目 的 がある 使 われるものは 食 材 で 作 用 も 食 材 から 出 される 例 えば 美 肌 によい 銀 耳 真 珠 湯 ( 白 キクラゲと 真 珠 のスープ) 老 化 防 止 になる 黒 ゴマと 米 のデザート など 食 療 食 療 の 処 方 は 病 人 のために 作 られる 献 立 であり 使 われるものは 食 材 であり 効 果 は 食 材 から 出 す 例 えば 冷 え 症 と 生 理 痛 に 生 姜 黒 砂 糖 茶 高 脂 血 症 に 山 楂 子 茶 荷 ( 蓮 ) 葉 茶 食 欲 不 振 にミカンの 皮 の 粥 など 薬 膳 薬 膳 の 処 方 とは 食 材 と 中 薬 を 使 い 病 人 の 治 療 補 助 のために 作 る 献 立 である 例 えば 生 理 不 順 と 生 理 痛 のための 当 帰 羊 肉 スープ 胸 痛 のための 紅 花 酒 風 寒 によるカゼのための 桂 枝 湯 や 温 かい 粥 など 実 際 には 薬 膳 の 応 用 は 治 療 補 助 のみではなく 養 生 予 防 の 範 囲 にも 広 げて 使 われている 例 えば 枸 杞 子 大 棗 朝 鮮 人 参 山 薬 肉 桂 花 椒 胡 椒 小 茴 香 生 姜 葱 白 紫 蘇 緑 豆 薏 苡 仁 冬 瓜 皮 赤 アズキ 陳 皮 薤 白 昆 布 胡 桃 百 合 黒 ゴマ 蓮 子 など 多 くの 中 薬 は 食 材 と して 普 段 の 食 生 活 に 取 り 入 れられている( 表 11) 表 11 代 表 的 な 薬 膳 の 処 方 作 用 養 血 柔 肝 養 心 安 神 益 気 補 脾 補 益 養 陰 清 肺 滋 補 陰 陽 補 益 気 血 温 中 去 寒 代 表 的 な 薬 膳 ホウレン 草 とレバーの 炒 め 物 松 の 実 と 魚 の 炒 め 物 豚 の 胃 袋 と 白 朮 の 煮 物 白 キクラゲと 貝 母 と 梨 のデザート 鶏 と 中 薬 の 蒸 し 物 豚 肉 と 黄 精 の 煮 込 み 羊 肉 とニンジンの 水 餃 子 8

辛 温 解 表 ネギと 生 姜 の 黒 砂 糖 粥 解 表 辛 凉 解 表 菊 花 とホウレン 草 の 和 え 物 袪 暑 解 表 緑 豆 と 薄 荷 の 飲 みもの こうじゅ かっ こう 化 湿 解 表 香 薷 と 藿 香 (パチョリ)の 薬 膳 茶 清 熱 解 毒 魚 腥 草 (ドクダミ)のデザート 清 熱 清 熱 利 尿 トウガンと 肉 団 子 のスープ 清 熱 通 便 ヘチマと 肉 の 炒 め 物 潤 燥 滋 陰 養 血 潤 燥 八 宝 枸 杞 子 のスープ 滋 陰 清 熱 潤 燥 カキと 卵 と 黒 クワイの 炒 め 物 利 湿 淡 滲 利 湿 ハト 麦 粉 うどん 調 理 気 血 行 気 活 血 紅 花 田 七 酒 * 調 理 : 調 は 調 整 理 は 正 常 な 機 能 の 意 異 常 になった 機 能 を 調 整 し 正 常 に 戻 すことを 調 理 という 料 理 を 作 る 調 理 とは 異 なる 薬 膳 の 献 立 法 主 食 ご 飯 と 粥 野 菜 や 肉 などの 食 材 や 中 薬 の 五 気 六 味 によって いろいろなご 飯 と 薬 膳 粥 が 作 れる 薬 膳 ご 飯 または 粥 を 作 る 場 合 使 いやすい 中 薬 を 選 んで 料 理 に 入 れる 例 えば 葱 白 淡 豆 豉 蓮 子 大 棗 扁 豆 赤 アズキ 冬 瓜 皮 緑 豆 薏 苡 仁 海 藻 昆 布 杏 仁 銀 杏 紅 花 陳 皮 龍 眼 肉 朝 鮮 人 参 地 黄 黄 精 桑 椹 胡 桃 枸 杞 子 山 薬 百 合 ゴマなどは よく 米 と 一 緒 に 炊 いたり 粥 を 作 るときに 一 緒 に 入 れたりする 使 いにくい 中 薬 の 場 合 は まず 中 薬 を 煎 じて 濾 してから その 薬 汁 を 用 いてご 飯 または 粥 を 作 る または 後 から 入 れて 混 ぜる 例 えば 黄 耆 当 帰 五 味 子 決 明 子 山 楂 子 石 斛 麦 門 冬 金 銀 花 魚 腥 草 などは 煎 じてから 薬 汁 を 水 の 代 わりに 用 いて ご 飯 あるいは 粥 を 作 る 表 12 代 表 的 なご 飯 と 粥 の 薬 膳 処 方 適 応 症 ご 飯 粥 肺 脾 気 虚 朝 鮮 人 参 と 黄 耆 のご 飯 血 虚 性 便 秘 何 首 烏 と 松 の 実 とゴマの 粥 肝 気 欝 結 陳 皮 と 大 根 の 粥 またはご 飯 不 安 不 眠 ユリ 根 クルミ 酸 棗 仁 の 粥 皮 膚 の 痒 み 赤 み ハト 麦 とアズキの 粥 9

むくみ 老 化 アズキと 桔 梗 と 粟 の 粥 またはご 飯 ハト 麦 と 茯 苓 と 陳 皮 のご 飯 八 宝 粥 八 宝 飯 麺 類 うどん 饅 頭 シュウマイ 餃 子 餅 ケーキなどの 生 地 を 作 るときに 中 薬 を 粉 にしたものを 混 ぜる 例 えば 茯 苓 粉 ハト 麦 粉 などを きな 粉 そば 粉 小 麦 粉 などと 合 わせて 生 地 を 作 り うどん 饅 頭 餅 などにする ただし 中 薬 粉 を 入 れすぎるとつぶれやすくなるので 分 量 の 注 意 が 必 要 である または 中 薬 を 煎 じて その 薬 汁 を 水 の 代 わりに 用 いて 生 地 を 作 ったり 麺 つゆと 混 ぜたり あんか けを 作 るという 方 法 もある あんかけうどんの 場 合 季 節 に 合 わせて 工 夫 する 春 には 春 菊 豚 肉 を 夏 にはキュウリ トマト 卵 貝 類 を 秋 には 百 合 根 白 菜 豚 肉 などを 冬 にはニンジン 山 イモ 鶏 肉 羊 肉 牛 肉 などを 使 うとよい 米 の 粉 米 の 粉 は 粘 りが 少 ないので 生 地 を 作 るときは 山 イモをすり 下 ろして 一 緒 に 入 れるとよい 餅 やビ ーフンを 作 る 場 合 ジャガイモ 朝 鮮 人 参 鶏 肉 シイタケなどを 使 うと 補 気 効 果 が 高 まる 副 菜 薬 膳 料 理 を 作 るときには 調 理 方 法 が 大 切 である 一 般 に 使 われている 調 理 方 法 のほとんどがつかえ るが 季 節 体 質 体 調 症 状 などに 合 わせて 選 択 することが 必 要 である 揚 げる 焼 く 漬 け 物 にす るなどの 調 理 方 法 は 食 材 や 中 薬 の 性 質 が 変 わりやすく また 脾 胃 の 運 化 機 能 に 影 響 しやすいので で きるだけ 避 ける 煮 る 煮 込 む 炒 める 蒸 すなどの 方 法 で 温 かい 食 事 を 作 るようにする 煮 物 食 材 中 薬 調 味 料 を 一 緒 に 煮 込 む または 中 薬 を 煎 じてから 濾 して その 薬 汁 を 水 の 代 わりに 使 う 作 り 方 としては 直 接 煮 たり 炒 めてから 煮 込 んだり 下 ごしらえしてから 煮 込 むなどの 方 法 がある 素 材 が 柔 らかくなったら 出 来 上 がりである 例 えば 大 棗 と 黄 精 のスペアリブ 煮 込 みなど 炒 め 物 食 材 中 薬 調 味 料 を 一 緒 に 炒 める または 中 薬 を 煎 じてから 濾 して その 薬 汁 を 片 栗 粉 と 混 ぜ とろみをつけるのに 使 う 蒸 し 物 蒸 し 物 に 使 う 容 器 は 土 鍋 土 瓶 竹 の 容 器 陶 器 などがよい 下 ごしらえした 食 材 中 薬 調 味 料 10

スープを 容 器 に 入 れて 蒸 す または 中 薬 を 煎 じてから 濾 して その 薬 汁 を 水 の 代 わりに 使 う 例 えば 冬 虫 夏 草 と 鶏 の 蒸 し 物 四 物 湯 とスペアリブの 蒸 し 物 など スープ( 湯 ) 食 材 と 中 薬 のスープ 食 材 や 中 薬 をそのまま 使 ってスープを 作 る 例 えば 龍 眼 肉 枸 杞 子 大 棗 朝 鮮 人 参 田 七 人 参 蒲 公 英 トウガンのスープなど 薬 汁 を 使 うスープ 煎 じた 薬 汁 を 利 用 してスープを 作 る 中 薬 を 煎 じた 薬 汁 を 水 で 薄 めてから 食 材 を 入 れて スープを 作 る 例 えば 黄 耆 欝 金 決 明 子 牡 蛎 瓦 楞 子 などは 煎 じてから その 薬 汁 を 使 う または 中 薬 を 煎 じてから 濾 し 出 来 上 がったスープにその 薬 汁 を 入 れて 混 ぜる 方 法 もある 中 薬 の 粉 末 を 使 うスープ 粉 にした 中 薬 を 最 後 にスープに 入 れて 混 ぜる 中 薬 を 粉 にしたものには 田 七 人 参 末 黄 耆 末 朝 鮮 人 参 末 欝 金 末 などがある 薬 酒 酒 には 最 も 早 い 時 期 から 中 薬 を 入 れていた 酒 に 中 薬 を 入 れて 薬 酒 を 作 ることは 薬 膳 学 の 中 で 重 要 な 位 置 を 占 めている 薬 酒 の 中 では 十 全 大 補 酒 虎 骨 酒 桂 花 酒 ライチ 酒 などが 注 目 を 集 めてい る( 表 13) 有 効 成 分 をよく 出 すためには アルコール 濃 度 の 高 い 酒 を 使 うべきである 表 13 代 表 的 な 薬 酒 去 風 除 湿 強 筋 壮 骨 活 血 化 瘀 補 益 強 身 滋 補 美 顔 五 加 皮 酒 木 瓜 酒 三 蛇 酒 虎 骨 酒 紅 花 酒 丹 参 酒 十 全 大 補 酒 亀 齢 補 酒 何 首 烏 酒 杜 仲 酒 さくらんぼ 酒 枸 杞 酒 桃 花 酒 桂 花 酒 ライチ 酒 飲 み 物 茶 茶 は 解 毒 作 用 があるので 中 薬 に 属 している 茶 の 分 類 方 法 は 多 くあるが 最 も 広 く 認 められている 分 類 は 6 大 茶 類 である( 表 14) 11

表 14 中 国 6 大 茶 緑 茶 龍 井 茶 など お 茶 の 色 は 緑 色 清 熱 解 毒 に 使 う 紅 茶 祁 茶 など 茶 葉 は 褐 赤 色 で お 茶 の 色 は 金 黄 色 か 赤 黄 色 身 体 を 温 める 青 茶 烏 龍 茶 など 茶 葉 は 青 緑 色 か 周 りが 紅 色 で 中 心 が 緑 色 はじめは 紅 茶 と 同 じ 発 酵 さ せる 作 り 方 を 用 い その 後 緑 茶 と 同 じ 発 酵 させない 作 り 方 を 用 いる お 茶 の 色 は 金 黄 色 か 橙 黄 色 で 紅 茶 の 色 と 香 りに 加 えて 緑 茶 のサッパリ した 感 じがある 白 茶 白 豪 銀 針 など 茶 葉 は 白 く 毛 が 多 い お 茶 の 色 は 薄 い 清 熱 解 暑 に 使 う 黒 茶 プーアール 茶 など 茶 葉 は 真 っ 黒 か 深 褐 緑 色 で お 茶 の 色 は 褐 黄 色 か 褐 赤 色 身 体 を 温 める 黄 茶 君 山 銀 針 など お 茶 の 色 は 黄 色 清 熱 作 用 がある 薬 茶 ( 薬 膳 茶 ) 中 国 では 昔 から 地 域 により 薬 茶 を 飲 む 習 慣 がある 例 えば 表 15 のようなものがある 他 にも 黄 耆 紅 棗 茶 人 参 茶 玉 米 鬚 茶 八 宝 茶 ( 大 棗 龍 眼 肉 菊 花 茉 莉 花 枸 杞 子 干 しブドウ 緑 茶 氷 砂 糖 )など 沢 山 あり 中 薬 の 性 味 の 特 徴 を 覚 えれば それぞれの 目 的 に 合 わせた 薬 茶 が 上 手 に 作 れるようになる 表 15 代 表 的 な 薬 茶 分 類 内 容 作 用 姜 糖 茶 生 姜 黒 砂 糖 身 体 を 温 め 痛 みをやわらげる 菊 花 茶 清 熱 作 用 があり めまいによく 使 われる( 杭 菊 花 は 杭 州 の 菊 花 杭 菊 花 滁 菊 花 滁 菊 花 は 安 徴 省 滁 県 の 菊 花 ) 蘇 葉 茶 紫 蘇 身 体 を 温 め 食 欲 を 増 す 薄 荷 茶 薄 荷 甘 草 清 熱 解 毒 作 用 があり のどの 痛 みによく 使 われる 感 冒 茶 板 藍 根 貫 衆 甘 草 カゼの 予 防 橘 紅 茶 陳 皮 紅 茶 咳 痰 烏 梅 茶 烏 梅 氷 砂 糖 のどの 渇 き 緑 豆 茶 緑 豆 氷 砂 糖 清 熱 解 暑 作 用 があり 夏 に 使 われる 双 花 茶 菊 花 金 銀 花 清 熱 解 毒 作 用 があり 熱 やのどの 痛 みによく 使 われる 山 楂 菊 花 茶 山 楂 子 菊 花 決 明 子 肥 満 高 血 圧 便 秘 合 歓 花 茶 合 歓 花 気 分 をリラックスさせる 玫 瑰 紅 茶 玫 瑰 花 紅 茶 気 分 をリラックスさせる 果 汁 野 菜 ジュース 野 菜 や 果 物 はそれぞれ 中 薬 と 同 じように 性 質 特 徴 効 能 をもっているので フレッシュジュース を 使 ってもよい スイカ 梨 オレンジ ミカン トマト セロリ 大 根 ニガウリ キュウリなどが ジュースにできる また 五 汁 飲 ( 芦 根 梨 黒 クワイ レンコン 麦 門 冬 )などもある 薬 茶 と 混 ぜ 合 わせる 方 法 もある 12

牛 乳 豆 乳 これらには 身 体 を 潤 す 滋 陰 効 果 がある 点 心 デザート 中 薬 などを 使 って 点 心 デザートを 作 る 例 えば クルミ 大 棗 松 の 実 百 合 枸 杞 子 などを 使 って 薬 膳 クッキーを 作 ることができる 菊 花 薄 荷 魚 腥 草 ニガウリ セロリ 大 棗 などを 使 ったデザートも 工 夫 できる * 薬 膳 処 方 の 原 則 は 方 剤 と 同 じ 補 虚 瀉 実 調 和 を 考 える * 食 薬 とは 料 理 に 使 える 中 薬 のこと 効 果 的 に 使 いたい *お 茶 の 歴 史 を 知 り いろいろな 組 み 合 わせをたのしもう! 参 考 資 料 実 用 薬 膳 学 辰 巳 洋 東 洋 医 学 出 版 社 2008 年 4 月 8 日 第 1 版 13