健 康 文 化 膝 の 痛 みに 飲 むグルコサミンやヒアルロン 酸 は 本 当 に 効 くのか? ~このお 金 を 本 来 の 医 療 に 使 ってくれたら ~ 猪 田 邦 雄 一 緒 に 仕 事 をしたのは 短 い 期 間 でしたが 私 の 知 る 診 療 放 射 線 技 術 学 科 教 授 の 林 文 子 先 生 は 気 骨 があり 何 事 にも 筋 を 通 す 先 生 でした 一 方 で 学 生 には 優 しい 思 いやりを 感 じる 先 生 でした その 追 悼 の 意 味 を 込 めた 記 念 すべき 健 康 文 化 50 号 に 先 生 の 気 概 に 負 けない 私 なりのこだわりを 見 せたいと 張 り 切 って 原 稿 を 引 き 受 けたものの 先 生 の 業 績 や 人 柄 にふさわしい 内 容 とは 程 遠 く 先 生 からは 失 笑 を 買 うかもしれないと 案 じつつ この 拙 文 を 書 いた 次 第 です 人 は 長 い 進 化 の 過 程 を 経 て 二 本 足 で 歩 くようになり 細 かな 作 業 や 日 常 生 活 に 便 利 な 手 という 最 大 の 武 器 を 手 に 入 れた これにより 下 肢 は 体 重 を 支 え 移 動 するという 目 的 のために 膝 や 股 関 節 が 機 能 的 に 発 展 し 上 肢 では 手 の 動 きを 最 大 限 に 生 かすために 肘 や 肩 関 節 が 支 えとなる 貢 献 をしてきた 一 方 で 人 が 長 生 きできるようになり 寿 命 は 延 び 今 や 日 本 人 の 平 均 寿 命 は 女 性 が 86.77 歳 で 世 界 一 男 性 でも 80.50 歳 となり やはり 世 界 の 上 位 に 位 置 している 考 えてみれば 長 生 きすれば 身 体 を 支 える 運 動 器 は 古 くなり 故 障 してくるのは 当 然 でもある 負 担 のかかる 腰 や 膝 の 疾 患 が 増 え 日 本 では 男 性 では 腰 痛 が 第 1 位 女 性 では 肩 凝 りについで 第 2 位 となっている 器 械 が 古 くなり 軟 骨 の 代 謝 も 衰 え 変 性 摩 耗 し それを 支 え 動 かす 筋 肉 が 衰 えてくれば さらに 変 性 は 進 み 痛 みの 原 因 ともなる 長 寿 社 会 では 器 械 の 変 性 変 形 に 伴 う 病 気 は 増 える 一 方 で しかも 運 動 器 の 病 気 では 死 ねないので 介 護 を 受 ける 大 きな 原 因 と なっている 男 性 では 椎 間 板 の 変 性 に 伴 う 骨 棘 形 成 や 椎 間 板 の 膨 隆 が 前 方 から 脊 柱 管 を 狭 め 後 方 からは 左 右 の 関 節 突 起 間 の 関 節 の 変 形 と 横 靭 帯 の 肥 厚 を 生 じ 脊 柱 管 が 狭 くなる いわゆる 脊 柱 管 狭 窄 症 が 多 く 女 性 は 膝 の 内 側 半 月 板 の 変 性 を 起 点 とする 内 側 の 関 節 軟 骨 変 性 が 進 み 内 反 変 形 (O 脚 )を 伴 う 膝 痛 に 悩 まされる 65 歳 以 上 の 女 性 では 膝 痛 は 40%を 超 え 年 とともに 顎 力 ( 食 べること しゃべること)が 強 くなり 太 る 原 因 ともなり 一 層 膝 痛 は 増 し 動 かないことによる 生 活 習 慣 病 を 合 併 することもしばしばである 膝 の 痛 みの 誘 因 は 1 肥 満 による 関 節 への 負 担 2 老 化 による 軟 骨 の 変 性 ( 衰 1
え) 3 過 酷 なスポーツによる 損 傷 ( 半 月 板 靭 帯 損 傷 軟 骨 損 傷 など) 4 仕 事 による 酷 使 ( 使 い 過 ぎ) 5 外 傷 6 小 児 期 の 病 気 や 成 長 障 害 7ステロイド 注 射 8 細 菌 感 染 などが 主 なものであるが ほとんどは1と2による 変 形 性 膝 関 節 症 である 関 節 のすべりを 良 くして 摩 耗 を 防 ぐ 関 節 軟 骨 が 変 性 して 壊 れ 骨 同 士 が 直 接 こすれ 合 って 炎 症 を 起 こし 関 節 に 水 が 溜 まり 歩 き 始 めに 痛 み を 生 じる( 初 期 ) 進 行 すると 半 月 板 もすり 減 り 関 節 は 内 反 変 形 し 動 きが 悪 くなり 正 座 は 難 しくなってくる( 進 行 期 ) さらに 進 むと 膝 は 伸 びも 曲 がりも 悪 くなり 歩 行 は 困 難 となってくる この 時 期 では 膝 は 明 らかな 内 反 となってく る( 末 期 ) 関 節 の 病 気 はテレビや 自 動 車 と 同 じように 器 械 が 壊 れてくるので ある 程 度 壊 れてしまうと 1 修 理 をする 2 買 い 換 える 3 使 わないようにするしかな い 状 態 となる 現 在 の 医 学 の 力 では 買 い 換 えることはできない 上 いくつにな っても 歩 かないようにすることは 出 来 ないので ある 程 度 壊 れてしまうと 修 理 するしかないことになる つまり 病 気 の 時 期 ( 初 期 か 進 行 期 か 末 期 か)が 重 要 で 治 療 方 法 も 異 なる 立 位 のレントゲンを 撮 れば 関 節 の 隙 間 がなくなり( 関 節 裂 隙 の 狭 小 化 ) 骨 と 骨 が 接 触 してくる 立 位 のレントゲンは 必 須 で 大 腿 脛 骨 角 と 呼 ばれる 大 腿 骨 と 脛 骨 の 中 心 を 結 んだ 解 剖 軸 が 正 常 の 176±2 度 をこ え 内 反 膝 (O 脚 )となる この 軸 のなす 角 度 と 病 気 の 程 度 は 相 関 し 180 度 を 超 えると 毎 日 痛 みを 感 じて 生 活 に 支 障 を 来 す 一 般 には 初 期 は 180 度 以 内 で あるが 進 行 してくると 180 度 を 超 え 185 度 以 上 では 修 理 が 必 要 となる 変 形 性 膝 関 節 症 の 主 な 治 療 方 法 は1) 日 常 生 活 の 注 意 : 減 量 洋 式 の 生 活 2) 運 動 療 法 : 筋 力 強 化 や 下 肢 に 負 担 の 少 ないプール(アクアビクス バック やクロールなどの 水 泳 ) 自 転 車 エルゴメーター ポールウオーキング 3) 装 具 : 支 柱 付 き 装 具 足 底 板 4) 温 熱 療 法 5) 薬 : 湿 布 消 炎 鎮 痛 剤 6) 注 射 :ヒアルロン 酸 ステロイド 7) 手 術 : 関 節 鏡 視 下 手 術 骨 切 り 人 工 関 節 であるが 初 期 では 膝 を 支 える 筋 肉 を 鍛 えたり 体 重 を 減 らしたりして 日 常 生 活 の 注 意 を 守 れば 改 善 が 期 待 できる いずれの 時 期 でも1)と2)は 必 須 の 条 件 である 米 国 の 変 形 性 膝 関 節 症 の 治 療 ガイドラインでも 医 師 が 治 療 に 先 駆 けて 行 うべき 基 本 として 1 運 動 ( 筋 トレを 含 む) 2 減 量 3 患 者 教 育 ( 病 態 の 理 解 を 促 す)となっており エビデンスレベルも 高 い 軟 骨 は 水 分 が 約 70%で 約 30%はタンパク 質 を 主 成 分 とするコラーゲンから できた 骨 格 ( 線 維 成 分 )にプロテオグリカン( 蛋 白 質 とムコ 多 糖 )が 結 合 して できている ( 図 1.2.)プロテオグリカンは 水 と 仲 がよく 関 節 に 力 が 加 わ るとひずみ 力 がとれると 元 に 戻 るが そのときにヒアルロン 酸 を 主 成 分 とす 2
る 関 節 液 がしみこんで 栄 養 をもらう (ポンプ 作 用 )すべすべした 軟 骨 の 摩 擦 係 数 は 0.001 である 精 密 に 作 られ 耐 用 年 数 が 20 年 を 超 えた 人 工 膝 関 節 でも 摩 擦 係 数 は 0.01 で 人 の 軟 骨 とは 一 桁 違 っている つまり 関 節 表 面 を 覆 ってい る 関 節 軟 骨 は 弾 力 性 があり クッションの 機 能 もあるが もっとも 大 切 な 使 命 は 関 節 の 摩 擦 を 減 らして 長 期 になめらかな 動 きを 保 つためにある しかし 軟 骨 は 血 管 がなく 神 経 細 胞 もないので 繰 り 返 しの 負 荷 により 一 旦 壊 れ 始 めると 修 復 はゆっくりしか 出 来 ない ひどく 壊 れた 軟 骨 は 現 在 の 医 学 では 修 復 は 難 し く クッションのなくなった 関 節 面 は 荷 重 面 を 増 やして 負 荷 を 分 散 するために 骨 棘 を 形 成 し 荷 重 が 集 中 する 部 は 骨 硬 化 や 細 胞 がなくなって 骨 嚢 腫 を 形 成 し 変 形 してくるため 動 きが 悪 くなる レントゲンに 写 らない 軟 骨 が 減 れば 立 位 のレントゲンで 関 節 の 隙 間 ( 関 節 裂 隙 )は 狭 くなる こうなると 修 理 以 外 方 法 はなく 薬 や 注 射 でも 回 復 はしない 軟 骨 細 胞 は 培 養 して 増 やし 元 に 戻 すこ とは 可 能 になったが 荷 重 面 などの 広 くて 動 きながら 負 荷 が 架 かる 部 分 では 修 復 は 難 しい 将 来 ips 細 胞 などの 研 究 が 進 んでも 荷 重 面 の 修 復 ではさらに 研 究 と 時 間 が 必 要 な 状 況 である 飲 むグルコサミン(タンパク 質 と 多 糖 類 からなるヒアルロン 酸 コンドロイ チン 硫 酸 等 )は 分 子 量 も 大 きく 腸 からは 吸 収 されない 一 旦 糖 やアミノ 酸 に 分 解 されて 吸 収 され 体 内 で 再 合 成 するので 材 料 にはなるが 直 接 関 節 軟 骨 に 取 り 込 まれることはない もし 効 果 や 文 献 によるエビデンスがあるなら 健 康 補 助 食 品 ではなく 国 が 薬 として 病 院 で 投 薬 できる 様 になっているはずである 飲 むヒアルロン 酸 やグルコサミンを 高 いお 金 を 出 して 毎 日 飲 む 必 要 はなく バランスの 良 い 食 生 活 筋 力 強 化 運 動 体 重 のコントロールの 方 が 理 にかなっ ている 海 外 でも 本 邦 でも 飲 むヒアルロン 酸 やグルコサミンが 変 形 性 膝 関 節 症 に 効 果 があるという 報 告 はない 最 近 は 関 節 液 の 主 成 分 であるヒアルロン 酸 を 合 成 することができ 注 射 薬 として 認 可 されている メーカーによりヒアル ロン 酸 の 分 子 量 が 幾 分 異 なるものの 数 種 類 が 市 販 されている 粘 調 性 が 高 く 関 節 液 の 主 成 分 であるヒアルロン 酸 は 軟 骨 が 減 ってきた 関 節 の 辷 りをよくする ような 気 がするが エビデンスには 乏 しく 米 国 の 変 形 性 膝 関 節 症 治 療 ガイド ラインでは 初 期 の 関 節 症 に 対 する 関 節 内 注 射 に 限 って 一 定 の 効 果 が 認 められ ている しかし 軟 骨 が 減 り 変 形 が 進 んだ 関 節 症 では 少 なくともステロイ ドのような 炎 症 を 抑 える 働 きはほとんどなく 軟 骨 変 性 を 食 い 止 めるほどの 効 果 はない 注 射 薬 として 日 本 でも 診 療 報 酬 で 認 めたヒアルロン 酸 でさえこの 状 況 である しかし 整 形 外 科 では 頻 繁 に 注 射 が 行 われ 従 来 のステロイド 注 射 にとって 代 わられた ステロイドの 関 節 内 注 射 は 炎 症 を 抑 える 働 きが 強 く 痛 3
みも 軽 減 できる しかし 何 回 も 注 射 すればステロイドの 副 作 用 で 軟 骨 は 急 速 に 変 性 し 骨 破 壊 に 至 ることは 良 く 知 られている まさに 麻 薬 と 同 じである また 感 染 を 惹 起 しやすいこともあり 注 射 に 際 しては 細 心 の 注 意 が 必 要 であ るが 時 々 注 射 による 感 染 性 関 節 炎 の 治 療 を 余 儀 なくされている 最 近 は 高 齢 者 が 増 え 糖 尿 病 や 腎 機 能 肝 機 能 の 低 下 各 種 の 免 疫 抑 制 剤 使 用 などいわゆ るコンプロマイズドホストは 増 えており 高 齢 者 自 体 がコンプロマイズドホス トでもある 感 染 すれば 関 節 機 能 は 破 壊 され 容 易 にMRSA 感 染 を 引 き 起 こ し 医 原 性 でもあることから 対 応 に 難 渋 することになる つまり ステロイド の 関 節 注 射 は 劇 的 な 効 果 があることから 整 形 外 科 医 にとっては 切 り 札 と いえる 切 り 札 は 濫 用 しては 意 味 がないことは 自 明 の 理 である これらの 理 由 から 関 節 注 射 といえばヒアルロン 酸 となり その 使 用 頻 度 は 極 めて 高 いのが 現 状 である 運 動 器 の 専 門 家 としては 筋 力 強 化 を 含 む 運 動 療 法 と 減 量 が 基 本 であるにも かかわらず 整 形 外 科 では 膝 が 痛 いという 患 者 には 湿 布 薬 とヒアルロン 酸 の 注 射 が 定 番 となり 汎 用 されているのは 情 けない 限 りである とにかく 高 齢 者 には 湿 布 薬 と 注 射 が 手 っ 取 り 早 く 収 入 も 増 える 私 の 勤 めている 病 院 で も 同 僚 の 若 い 先 生 は 湿 布 や 薬 を 出 すか 注 射 をするしか 他 にやることが 無 い という 年 を 取 ると 痛 みは 不 安 であり 薬 を 飲 みたくなるのも 事 実 であるが 器 械 が 古 くなり 支 える 筋 肉 が 衰 えて 痛 みが 出 ていることがほとんどで 8 割 は 運 動 指 導 や 動 きを 増 やすような 生 活 指 導 減 量 指 導 で 改 善 する それ 以 外 は 修 理 が 必 要 であり 進 行 期 では 関 節 を 温 存 できる 骨 切 り 術 が 適 応 となり 重 症 で は 人 工 膝 関 節 以 外 方 法 がなく 内 反 の 程 度 が 185 度 以 内 であれば 内 側 のみ 置 換 する 片 側 型 の 人 工 関 節 も 有 用 である いずれにしても 最 新 の 人 工 関 節 は 20 年 近 い 耐 用 があるので 手 術 するなら 早 い 方 が 良 い 特 に 70 歳 を 過 ぎたら 何 をしたいのか 何 年 生 きたいのか などの 活 動 性 を 重 視 して 75 歳 までには 修 理 した 方 が 良 いと 説 明 している 手 術 は 感 染 と 深 部 静 脈 血 栓 (DVT) 肺 塞 栓 症 (PE)が 主 な 合 併 症 であることからも 75 歳 までの 元 気 なうちに 手 術 する 方 が 成 功 率 も 高 い 話 が 本 題 から 少 しそれたが 多 くの 患 者 が 飲 むヒアルロン 酸 を 買 い 常 用 し ているのは 事 実 である その 主 因 は 新 聞 やテレビの 広 告 と 比 較 的 大 きな 製 薬 会 社 ( 大 正 製 薬 小 林 製 薬 ゼリア 新 薬 等 )や 企 業 (サントリー アサヒビー ル 等 )が 製 造 していることにある 有 名 人 がテレビで 宣 伝 するし 全 国 紙 の 新 聞 が 一 面 を 割 いて 毎 日 のように 宣 伝 すれば 効 果 があると 思 うのが 当 然 かもし れない 朝 刊 の 頁 数 は 平 日 では 毎 日 30 頁 であるが テレビ ラジオ 欄 が 1 ペー 4
ジで 残 る 29 頁 の 内 15 頁 が 全 面 の 広 告 となっている 日 によって 異 なるもの の 15 頁 のうち 酵 素 青 汁 などの 健 康 食 品 関 連 が 最 も 多 く 化 粧 品 整 髪 料 旅 行 などがそれに 次 ぎ 衣 服 衣 料 時 計 住 宅 不 動 産 などが 多 い 中 でも グルコサミン コラーゲン ヒアルロン 酸 コンドロイチンなどの 広 告 はほぼ 毎 日 ある 新 聞 社 に 1 地 球 温 暖 化 に 関 わるパルプの 無 駄 遣 いをしているのは 新 聞 社 である 2 効 果 がない 商 品 の 宣 伝 をするのは 無 責 任 である という 趣 旨 の 申 し 入 れをしても 各 社 とも 返 事 は 決 まって 新 聞 社 は 高 邁 な 事 業 をしてお り 広 告 がなければ 成 り 立 たず 新 聞 がなくなって 困 るのは 国 民 だという 巧 妙 な 宣 伝 文 句 には 薬 事 法 違 反 すれすれの 表 現 がみられる 変 形 性 膝 関 節 症 に 効 果 がある とか 変 形 性 関 節 症 がなおる とは 絶 対 に 書 かないが 飲 んでいる と 効 果 があると 勘 違 いするような 文 言 が 踊 っている テレビでも 元 気 なタレン トが 出 てきて 運 動 して 見 せたり 舞 の 海 が 出 てきて 効 果 があるようなことを 言 うが タレントには 法 的 な 責 任 はないそうである 患 者 さんに 効 果 がないこと を 説 明 しても テレビや 新 聞 の 力 には 抗 すべくもない せいぜい 効 果 がある なら 国 が 薬 として 認 め もっと 安 く 保 険 で 投 薬 できるはずですよ と 言 って 抵 抗 するのがやっとである 政 府 も 厚 生 労 働 省 も 企 業 寄 りであり 今 年 から 健 康 補 助 食 品 のほかに 機 能 性 食 品 なる もっと 怪 しいお 墨 付 きを 作 ってしまった 食 べたり 飲 んだりしても 害 はないかもしれないが バランスのとれた 食 事 に 勝 るものはなく 無 駄 遣 い であることは 間 違 いない 結 論 から 言 えば 知 間 にあふれている 薬 のようにし て 飲 むヒアルロン 酸 やグルコサミンは 膝 の 痛 みに 効 果 がるというエビデンス はなく 効 果 がないことは 確 かである これらに 使 うお 金 があるなら 運 動 指 導 や 生 活 指 導 などの 正 しい 医 療 にお 金 を 使 ってほしいものである 正 しい 医 療 は 効 率 が 悪 く 収 益 性 も 低 いことから 日 の 目 を 見 ないのは 残 念 というほかな い はかない 抵 抗 かもしれないが 一 人 ぐらい 世 の 中 の 流 れに 逆 らって 本 来 の 運 動 器 の 専 門 家 である 整 形 外 科 医 療 を 追 い 求 める 医 者 がいてもいいと 考 えて 頑 固 に 主 義 を 貫 いて 働 いている 今 日 この 頃 である いつまでできるかわからな いが 元 気 で 働 けることに 感 謝 しながら もう 少 し 頑 張 ってみるつもりである ( 医 療 法 人 三 仁 会 あさひ 病 院 理 事 顧 問 中 部 大 学 生 命 健 康 科 学 部 特 任 教 授 名 古 屋 大 学 名 誉 教 授 ) 5
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