踵 骨 骨 端 炎 と アキレス 腱 炎 との 関 係 山 形 支 部 森 谷 広 子 はじめに 近 年 低 学 年 を はじめとして スポーツ を 主 体 的 に 運 動 す る 子 ども 達 に 多 く の 障 害 が 出 現 し ています 成 長 の 段 階 における 必 要 以 上 の 運 動 量 が 体 に ストレスとして 起 き 色 々 な 病 気 の 原 因 を 発 生 し 体 を 酷 使 し て おります そ の 多 くの 中 で も 私 は 一 番 気 になる 踵 骨 骨 端 炎 と アキレス 腱 炎 との 関 係 につい て 考 えることにしました これに 合 併 し て 起 こ りうる 症 状 が 数 多 くあり 運 動 が 中 断 されることが 多 いというのも 事 実 です 踵 骨 骨 端 炎 男 子 に 多 く 女 子 の 2 倍 の 頻 度 で 認 め ら れます 発 症 年 齢 は 踵 骨 骨 端 核 が 出 現 し て 骨 端 線 が 閉 鎖 するまでの 時 期 ( 男 の 子 で は 7~8 歳 で 女 の 子 で は4~7 歳 で 骨 端 核 が 出 現 し 15~17 歳 に 骨 端 線 が 閉 鎖 ) です その 間 が 好 発 年 齢 と なります 特 に 10 歳 前 後 に 骨 端 核 の 濃 縮 化 扁 平 化 分 節 化 が 特 徴 的 と 言 われています 本 症 に おいては 骨 端 核 の 濃 縮 化 扁 平 化 分 節 化 が 特 徴 的 と いわれているが 症 状 を 伴 わ ない 場 合 には 単 な る 骨 化 異 常 と 区 別 で きないこともあり その 診 断 を するう えで 臨 床 症 状 などとあわせて 総 合 的 に 判 断 する 必 要 があります ラ ンニングやジャンプなどの 際 に アキレ ス 腱 や 足 底 腱 膜 の 牽 引 によって 踵 骨 骨 端 部 ( かかとの 軟 骨 部 ) が 炎 症 を 起 こ して 痛 みを 引 き 起 こ す 疾 患 で 時 に 外 傷 ( 打 撲 など)をきっかけに 発 症 する 事 もあります アキレス 腱 炎 ラ ンニングやジャンプなどのスポーツ 動 作 によるover useが 主 な 因 子 であるが 単 に 運 動 頻 度 や 運 動 時 間 の 大 小 ではなく 負 荷 を 助 長 さ せるなんらかの 要 因 が 働 い ている 場 合 が 多 い 運 動 量 と してはさほど 多 く な くても 運 動 効 率 を 低 下 させ 負 担 を 増 大 さ せるような 要 因 が 働 い た 結 果 と して 負 荷 の 積 み 重 ねが 組 織 の 対 応 強 度 を 越 え 痛 み の 原 因 となる したがって よく 言 われる ove ruse syndromeよりもoverload syndromeのほ うが 理 解 しやすい 前 述 の ごとくアキレス 腱 張 力 が 増 大 す る 急 激 な 反 動 動 作 ( 伸 張 ストレス)のくり 返 しにより アキレス 腱 への 微 小 外 傷 ( micro trauma)が 生 じ 炎 症 の 引 き 金 に なってい ることも 考 え られ いわゆる 慢 性 外 傷 と し てとらえられる ま た ランニング 時 の 荷 重 時 における 距 骨 下 関 節 の 過 回 内 も 腱 への 回 旋 ストレスを 生 じ さ せ 腱 内 側 の microtearや 血 行 不 良 を 引 き 起 こすともいわれている 関 わる 跳 躍 関 節 の 筋 の 作 用 背 屈 底 屈 回 外 回 内 筋 す べての 内 容 動 き を 理 解 す ることによりその 治 療 内 容 も 変 わ って 来 る もので どの 筋 肉 に 対 してア プローチをするかにより 早 期 の 痛 み の 軽 減 を 有 することができるかを 考 える 社 団 法 人 山 形 県 接 骨 師 会
症 状 正 常 歩 行 と 尖 足 位 歩 行 症 状 は 運 動 時 や 運 動 後 の 踵 の 痛 みで す 悪 化 す ると 跛 行 を 認 めます ( 痛 み の ために 踵 がつけられず つま 先 立 ち で 歩 行 するようになります) ア キ レ ス 腱 や 足 底 腱 膜 の 牽 引 力 に よ り 炎 症 を 起 こしているものに 対 し 踵 骨 骨 端 にか かる 負 荷 ははかりしれぬものがあります 鑑 別 診 断 ( 図 1) 下 腿 の 炎 症 には アキレス 腱 周 囲 炎 ア キレス 腱 周 囲 滑 液 包 炎 骨 髄 炎 結 核 骨 腫 瘍 骨 折 などである これらのうち アキレス 腱 周 囲 炎 アキレス 腱 周 囲 滑 液 包 炎 が 頻 度 の 多 いものである アキレス 腱 周 囲 炎 は 腱 および 踵 骨 付 着 部 に 炎 症 所 見 を み るものであり 踵 骨 骨 端 症 とは 疼 痛 部 位 に 違 い がある アキレス 腱 周 囲 滑 液 包 炎 は 滑 液 包 に 限 局 し た 腫 脹 と 圧 痛 を 認 め 胼 胝 を 伴 うことが 多 く 前 者 と 同 様 にX 線 像 上 特 別 な 所 見 はみられない ( 図 2) と 社 団 法 人 山 形 県 接 骨 師 会 治 療 と 要 因 の 改 善 運 動 を 継 続 しながら 治 療 を 進 めていく 場 合 や 再 発 予 防 を 考 える 場 合 には アキレス 腱 炎 の 発 生 に 影 響 を 及 ぼす 要 因 をできる 限 り 改 善 する 努 力 を 行 うことが 重 要 である 急 性 期 には 局 所 安 静 がもっとも 大 事 な こ とであり 松 葉 杖 や 下 腿 の ギプス 包 帯 の 使 用 が 行 わ れることもある はじめから 痛 み が 軽 度 な 場 合 や 急 性 期 を 過 ぎたものでは 厳 重 な 免 荷 は 必 要 がなく アキレス 腱 に よ る 牽 引 力 を 抑 えるために 踵 の 高 い 履 物 を 使 用 し たり 足 底 挿 板 な どを 靴 に 入 れ て 使 用 させることで 十 分 対 応 できる 身 体 的 要 因 の 改 善 と しては 筋 腱 ( 腓 腹 筋 /ヒラメ 筋 ~アキレス 腱 )のコンディシ ョンが 重 要 で ある 運 動 前 の 十 分 な ウォー ミングアップ 下 腿 三 頭 筋 およびアキレス 腱 へ の 運 動 前 後 入 浴 後 の ストレッチング を 励 行 さ せる ストレッチングは 膝 伸 展 位 と 屈 曲 位 の 両 方 の 方 法 を 行 う 膝 関 節 屈 曲 位 で のストレッチングは 膝 関 節 を またが る 腓 腹 筋 の 緊 張 を 緩 め ヒラメ 筋 ~ アキレ ス 腱 を 効 果 的 にストレッチする 運 動 直 後 に はアイスマッサージを 欠 か さ ないこと 運 動 や ストレッチングの 前 に ホ ットパックなどの 温 熱 療 法 を 行 ったり 下 腿 三 頭 筋 へのマッサージ 超 音 波 療 法 な ど も 有 効 である ま た ある 程 度 改 善 したら チュウブや カーフレイズ( 踵 上 げ )などによる 下 腿 三 頭 筋 の 筋 力 ト レーニングを 行 い 再 発 予 防 の 為 のコンディショニングを 心 がけること も 必 要 である バイオメカニクス 的 要 因 へ の 対 処 と して 環 境 あるいは 用 具 の 工 夫 に より 機 能 的 側 面 から 患 部 への 負 荷 の 軽 減 をはかる (1) 適 切 なシューズの 選 択 (2) 靴 の 踵 の 補 高 (ヒールリフト) (3) 路 面 : 土 芝 生 などの 柔 らかい ころから
(4)ウェッジ 回 内 足 O 脚 などに 注 意 し 回 内 が 強 ければ 内 側 ウェッジを 処 方 する (5)テーピング 足 関 節 の 可 動 域 制 限 を 行 いアキレス 探 り その 解 決 策 を 一 人 一 人 知 らなければ ならないし 指 導 しなければたった 数 年 の 間 の 一 番 大 切 な 時 期 に ある 成 長 の 過 程 の 子 供 た ちに 一 番 つらい 思 いをさせる 原 因 に も なります そのことを 念 頭 に 置 き 運 動 指 腱 の 過 度 な 伸 張 を 防 止 する また 反 導 機 能 的 指 導 を 心 が けることが 大 切 だ と 動 動 作 時 の 伸 張 ス トレス(アキレス 腱 思 います 張 力 ) を テープの 張 力 で 補 助 し 軽 減 するヒー ルパッドを 入 れ 踵 の 補 高 を 併 用 したり テープの 力 の 方 向 を 考 慮 して 回 内 制 限 を することも 可 能 で あ る (6) 水 中 ランニングなどの 荷 重 制 限 リコンディショニングの 一 環 と して 荷 重 負 荷 レベルを 段 階 的 に 調 節 してラ ン ニ ングやジャンプの 動 作 を 行 ってい くの が 好 ましい プールの 水 位 が 胸 部 であれ ば 体 重 の 30% 臍 部 であれば50 参 考 文 献 ~60%の 過 重 負 荷 である スポーツ 外 傷 障 害 の 理 学 療 法 : 臨 床 ス ポーツ 医 学 編 集 委 員 会 ス テロイド 剤 の 局 所 注 射 は 疼 痛 の 軽 減 株 式 会 社 文 光 には 効 果 的 で あるが 組 織 弱 化 の 危 険 性 も あ り スポーツ 選 手 の 場 合 できれば 避 けたい 堂 解 剖 学 アトラス : 株 式 会 社 文 光 堂 柔 道 整 復 理 論 : 株 式 会 社 南 江 堂 整 形 外 科 頼 みへのアプローチ 結 果 ス ポーツ 選 手 の 場 合 患 部 の 安 静 を 図 っ ている 期 間 に おいても スポーツ 活 動 に 必 要 な 他 の 運 動 機 能 が 低 下 し ないように 積 極 的 に トレーニングすることがきわめて 重 要 である 患 部 が 治 癒 し たとしても 運 動 制 限 に より 競 技 活 動 に 必 要 な 体 力 要 素 が 低 下 してると さらに 再 強 化 の 期 間 が 必 要 と な 下 腿 と 足 の 痛 み : 株 式 会 社 南 江 堂 標 準 整 形 外 科 学 : 医 学 書 院 足 関 節 に 及 ぼすチューブトレーニングの 効 果 :Sports medicine 足 と 足 関 節 の 痛 み : 医 歯 薬 出 版 株 式 会 社 足 底 板 :Sports medicin e り 十 分 な 早 期 競 技 復 帰 が 望 め ないからで ある 個 々の 競 技 特 性 を 踏 まえたうえで 必 要 となる 運 動 機 能 の 強 化 を 行 う 局 所 は 安 静 にしつつ 患 部 外 はできるだけ 積 極 的 にトレーニングを 実 施 することがポイント である そ のためには その 発 生 要 因 をより 深 く 社 団 法 人 山 形 県 接 骨 師 会
踵 骨 骨 端 炎 とアキレス 腱 炎 との 関 係 山 形 支 部 森 谷 廣 子
踵 骨 骨 端 炎 セバー 病 1 男 子 に 多 く 女 子 の2 倍 の 頻 度 で 認 められます ランニングやジャンプなどの 際 にアキレス 腱 や 足 底 腱 膜 の 牽 引 により 起 こる 2 発 症 年 齢 は 踵 骨 骨 端 核 が 出 現 して 骨 端 線 が 閉 鎖 するまでの 時 期 男 の 子 では7~8 歳 女 の 子 では4~7 歳 で 骨 端 核 が 出 現 15~17 歳 で 骨 端 線 が 閉 鎖 3 好 発 年 齢 特 に10 歳 前 後 に 骨 端 核 の 濃 縮 化 扁 平 化 分 節 化 が 特 徴 的 8 割 が 扁 平 足 の 子 が 多 い
アキレス 腱 炎 ランニングやジャンプなどのスポーツ 動 作 によるover useが 主 な 因 子 単 に 運 動 頻 度 や 運 動 時 間 の 大 小 ではなく 負 荷 を 助 長 させるなん らかの 要 因 が 働 いて いる 場 合 が 多 い
症 状 正 常 歩 行 と 尖 足 位 歩 行 この 状 態 で 走 ったり ジャンプすることで 症 状 が 悪 化 します
鑑 別 診 断
関 わる 跳 躍 関 節 の 筋 の 作 用
治 療 (1) 膝 関 節 屈 曲 位 でのストレッチングは 膝 関 節 をまたがる 腓 腹 筋 の 緊 張 を 緩 め ヒラメ 筋 ~アキレス 腱 を 効 果 的 にストレッチする
治 療 (2) 下 腿 三 頭 筋 およびアキレス 腱 への 運 動 前 後 入 浴 後 のストレッチングを 励 行 させる
治 療 (3) 運 動 直 後 にはアイスマッサージを 欠 かさな いこと 運 動 やストレッチングの 前 にホット パックなどの 温 熱 療 法 を 行 ったり 下 腿 三 頭 筋 へのマッサージ 超 音 波 療 法 なども 有 効 である
治 療 (4) チュウブやカーフレイズ( 踵 上 げ)などによる 下 腿 三 頭 筋 の 筋 力 トレーニングを 行 い 再 発 予 防 の 為 のコンディショニングを 心 がけることも 必 要
治 療 (5) 足 の 長 さ+1cm を 目 安 としたシューズを 選 ぶ
(7)ウェッジ 回 内 足 O 脚 などに 注 意 し 回 内 が 強 ければ 内 側 ウェッジを 処 方 骨 端 核 に 体 重 がかからないような 状 態 にする
(8)テーピング
結 果 患 部 の 安 静 を 図 っている 期 間 においても 運 動 機 能 が 低 下 しないようなトレー ニングをする 個 々の 競 技 特 性 を 踏 まえたうえで 必 要 となる 運 動 機 能 の 強 化 を 行 う 一 人 一 人 の 状 態 をよく 理 解 し 指 導 する