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日 本 人 高 校 生 英 語 電 子 メール 作 成 能 力 調 査 英 語 ライティング 能 力 に 関 する Can-do Statements 開 発 への 基 礎 研 究 A Study of Japanese High School Students Ability to Write E-mails in English: A Fundamental Study on Developing Can-do Statements With Regard to Writing Ability in English 工 藤 洋 路 Yoji KUDO 東 京 外 国 語 大 学 大 学 院 博 士 後 期 課 程 / 日 本 女 子 大 学 附 属 高 等 学 校 Tokyo University of Foreign Studies The Doctor s Program of the Graduate School / The High School Affiliated with Japan Women s University Abstract The purpose of this study was to assess the ability of Japanese high school students to write e-mail in English. During the study, 136 students were required to work on six different e-mail tasks, and to take an essay-writing test in which they wrote freely on a given topic. After evaluating each examinee s performance on the six e-mail tasks and the essay test, the following findings were made: 1) The students had difficulty with e-mail tasks requiring the expression of emotions, e.g. surprise, anger, concern, as well as the simultaneous use of two or more complex language functions, e.g. refusal with suggestion. 2) To some extent, a student s ability to write e-mail is related to their ability to write essays. Students must reach a certain (threshold) level of competence in essay writing, before they are able to successfully write complex e-mails. 3) Similar vocabulary and grammar are required to write e-mails and essays, but each requires the use of different language abilities. Keywords writing ability, Can-do Statements, e-mail, essay, threshold level 1. 研 究 の 背 景 と 目 的 近 年, 言 語 能 力 がどのように 発 していくかについての 実 証 的 な 研 究 を 基 盤 として, 言 語 能 力 発 段 階 を 記 述 する 枠 組 みを 開 発 する 動 きが 多 く 見 られるようになった 例 えば,Common European Framework of References for Languages ( 以 下,CEFR),Canadian Language 113

Benchmarks,American Council for the Teaching for Foreign Language Proficiency Guideline などは,それぞれ, 設 定 された 言 語 能 力 段 階 ごとに, 多 くの 場 合 は 言 語 技 能 別 に, Can-do Statements を 開 発 している また,テスト 開 発 を 主 な 目 的 としている TOEFL や TOEIC 注 1 にもそれぞれ,Can-do Statements に 該 当 するものがあり,テスト 得 点 ごとに,こちらも 多 くの 場 合 言 語 技 能 別 に, 実 際 にその 言 語 を 使 って 何 ができるかについての 記 述 がある このような 言 語 能 力 の 枠 組 みや Can-do Statements を 日 本 の 中 学 生 や 高 校 生 に 応 用 できる 可 能 性 も 考 えら れるが, 現 段 階 では 以 下 に 示 す 問 題 点 を 挙 げることができる CEFR などは, 個 別 言 語 を 対 象 としているわけでないので, 個 別 言 語 に 特 有 の 発 段 階 を 記 述 していない 従 って, 英 語 を 研 究 の 対 象 とした 場 合 には, 英 語 特 有 の 発 段 階 を 枠 組 みに 組 み 込 めず, 英 語 という 言 語 の 包 括 的 な 枠 組 みにはなりにくい また, 上 述 した 枠 組 みの 多 くは, 言 語 の 学 習 を 始 めたばかりの 初 級 学 習 者 から, 母 語 話 者 のレベルに 近 い 上 級 学 習 者 まで,かなり 言 語 能 力 に 幅 のある 学 習 者 を 対 象 としていることから, 各 レベルでの 能 力 記 述 が 非 常 に 抽 象 的 になって いる 場 合 が 多 い 例 えば,CEFR では, 日 本 人 中 学 高 校 生 の 多 くが 該 当 するであろう A2 レベ 注 ル 2 の Can-do Statements には,Can write short, simple notes and messages relating to matters in areas of immediate need (Council of Europe, 2001) というものがある この 記 述 だ けでは, 実 際 にどんなメモやメッセージを 書 くことができるのかが 具 体 的 にイメージしにくい 短 いメモ とは 何 語 程 度 なのか, 簡 単 なメッセージ とはどんなメッセージのことかなど,もう 少 し 具 体 化 しない 限 り,この A2 レベルの 能 力 の 具 体 的 な 能 力 のイメージが 浮 かびにくいであろう このような 理 由 から, 海 外 で 開 発 されている 言 語 能 力 の 枠 組 みや Can-do Statements を 直 接 日 本 の 中 学 高 校 生 へ 応 用 することは 危 険 であろう そこで, 本 研 究 では, 日 本 人 中 学 高 校 生 を 対 象 として 開 発 された 英 語 のテストに 焦 点 を 当 て, 有 効 な Can-do Statements を 開 発 するための 調 査 を 行 うこととする 研 究 対 象 とするテストは,ベネッセコーポレーションが 開 発 した GTEC for STUDENTS とする GTEC for STUDENTS のスコアレポートには,Can-do Statements の 一 種 である あなたの 英 語 はこんなに 使 える が 存 在 していることから, 本 研 究 の 目 的 に 則 しており, その Can-do Statements をより 正 確 で 具 体 的 なものにする 調 査 を 行 うこととする この Can-do Statements も, 海 外 の 枠 組 み 同 様, 言 語 能 力 別 (グレード 別 ),そして 言 語 技 能 別 に 記 述 が 行 わ れている 言 語 技 能 の 中 でも, 本 研 究 では,ライティングの 技 能 に 焦 点 を 当 て,Can-do Statements 開 発 への 基 礎 調 査 を 行 う GTEC for STUDENTS のスコアレポートにおける,ライティング 能 力 に 関 する 記 述 例 は, 英 語 の 手 紙 や 電 子 メールで, 自 分 が 書 きたいことを 辞 書 を 引 きながら 書 くことができます さらに 書 く 練 習 を 積 むと, 辞 書 なしでも 大 体 のことは 書 けるようになるはずです というものである この 記 述 には, 手 紙 や 電 子 メール といった 現 実 の 生 活 で 使 用 する 言 語 媒 体 が 含 まれているが,そこに も, 上 述 したような 具 体 性 に 関 する 問 題 点 を 指 摘 することができる 電 子 メールで 書 きたいことが 書 ける という 記 述 だけでは, 電 子 メールといってもどんなタイプ(こちらからの 発 信 型 なのか 相 手 のメールに 対 する 返 信 型 なのか)のものか,また 誰 に 対 して 送 信 する 電 子 メールなのか, 電 子 メー 注 1 TOEFL( 詳 細 には,TOEFL ibt)では,can-do Statements ではなく,Language Competency Descriptor,TOEIC では,Can-do Tables と 呼 ばれている 注 2 CEFR の 能 力 段 階 は,A1(Breakthrough),A2(Waystage),B1(Threshold),B2(Vintage), C1(Effective Operational Proficiency),C2(Mastery)の 6 段 階 となっている 114

ルを 送 信 する 目 的 は 何 かなど,さらに 具 体 的 な 記 述 が 望 まれるものが 存 在 する ただし,このよう な 問 題 点 があっても,テスト 自 体 が 日 本 人 中 高 生 を 対 象 としているので, 本 研 究 で GTEC for STUDENTS を 用 いて, 枠 組 みに 関 する 調 査 を 用 いる 意 義 は 高 い 本 研 究 では,GTEC for STUDENTS の 受 験 者 へのフィードバックの 意 義 をさらに 高 めるため に,GTEC for STUDENTS のWriting のテスト 結 果 と, 実 際 に 英 語 を 使 って 書 けることの 関 連 性 を 明 らかにすることを 目 的 とする 実 際 に 英 語 を 使 って 書 くことについては, 電 子 メールという 媒 体 で 実 際 に 何 が 書 けるかを 調 査 する 電 子 メールに 関 しては,CEFR などの 既 存 の 枠 組 みに 電 子 メ ールに 関 しての 記 述 が 見 られるが, 書 く 媒 体 の 一 例 として 記 載 されている(Council of Europe, 2001)に 過 ぎないため, 本 研 究 で, 詳 細 な 調 査 を 行 う 意 義 が 認 められるであろう 同 様 に,GTEC for STUDENTS のスコアレポートでは 電 子 メールで 英 語 で 書 くことの 記 述 はあるが, 具 体 的 に 何 を 書 くか, 何 の 目 的 で 書 くかなどが 明 らかでないことからも, 電 子 メールに 関 する 研 究 を 行 う 必 要 性 が 認 められる 電 子 メールが 普 及 してきたのが 最 近 であり, 電 子 メールを 用 いて 英 語 で 書 くこと についての 研 究 があまり 行 われていないことなどからも, 本 研 究 で 電 子 メールに 焦 点 を 当 てる 意 義 が 見 出 せる そこで, 電 子 メールを 英 語 で 作 成 する 能 力 を 調 べるために, 以 下 の 調 査 を 行 っ た 2. 調 査 2.1 調 査 方 法 同 一 被 験 者 に,ほぼ 同 時 期 に,GTEC for STUDENTS の Writing のテスト, 複 数 の 電 子 メー ル 作 成 タスク, 電 子 メール 作 成 の 経 験 を 問 うアンケートを 実 施 し,それぞれの 数 値 データから, 両 者 の 関 連 性 を 検 証 する 2.2 収 集 データ 2.2.1 複 数 の 電 子 メール 作 成 タスクのパフォーマンス 結 果 電 子 メールを 書 く 能 力 といった 場 合, 誰 に 対 して, 何 の 目 的 で,どんな 電 子 メールを 書 くのか を 明 確 にすることが 本 研 究 の 目 的 のため, 複 数 の 電 子 メール 作 成 タスクを 用 意 する 実 際 に 電 子 メールを 作 成 してもらうために,パソコンが 設 置 されている 部 屋 で, 各 被 験 者 はパソコン1 台 を 前 に して, 電 子 メールを 作 成 する 一 般 に 使 用 されている 電 子 メールソフトに 類 似 した 電 子 メール 作 成 プログラムを 組 み, 画 面 上 で 作 業 をしてもらう( 資 料 1 参 照 ) また, 実 際 の 電 子 メール 作 成 場 面 に できる 限 り 近 づけるために, 被 験 者 は 送 信 されたメールに 対 する 返 信 のメールを 作 成 する 6 種 類 のタスクを 行 い, 返 信 する 人 物 になりきるために,プロフィール 表 と 週 間 予 定 表 ( 資 料 2 参 照 )が 配 布 され,それに 基 づいた 電 子 メールの 返 信 を 作 成 する 電 子 メールのタスクについては, 想 定 される 言 語 機 能 を 基 準 に 以 下 の 6 つを 設 定 した この 6 つ のタスクを 40 分 以 内 で 行 う 115

表 1. 電 子 メールタスク 一 覧 受 信 メールの 要 点 主 な 言 語 機 能 タスク 1 住 所 と 電 話 番 号 を 教 えてください 個 人 情 報 の 伝 タスク 2 明 日 放 課 後 テニスをしよう 報 告 & 勧 誘 受 諾 タスク 3 6 月 16 日 暇 ですか? 予 定 の 伝 & 勧 誘 拒 否 タスク 4 6 月 15 日 の 約 束 を 忘 れてしまった 感 情 ( 驚 き, 怒 り, 心 配 など) 表 現 & 予 定 伝 タスク 5 6 月 15 日 に 英 語 を 教 える 時 間 とれます 勧 誘 拒 否 & 謝 礼 タスク 6 6 月 16 日 にミュージカルに 行 きましょう 勧 誘 拒 否 & 勧 誘 電 子 メールのタスクのパフォーマンス 結 果 について, 課 題 成 (2 点 ), 内 容 伝 (1 点 ), 言 語 表 現 (1 点 ) の3 観 点 で 採 点 を 行 う 課 題 成 ではプロフィール 通 りで, 想 定 される 言 語 機 能 が 成 されているか, 内 容 伝 では 明 確 な 伝 内 容 が 書 かれているか, 言 語 表 現 では 電 子 メールのやりとりを 想 定 した 上 で, 理 解 可 能 な 文 法 や 語 彙 を 用 いているか,をそれぞれ 評 価 基 準 とする 電 子 メールを 実 際 のコミュニケーションの 手 段 として 用 いた 場 合, 相 手 に 誤 解 を 与 えたり, 理 解 が 不 可 能 なものでない 限 り,コミュニケーションは 成 立 することから, 今 回 の 採 点 においても, 意 図 する 内 容 が 伝 わっている 限 りは 減 点 対 象 にはしないこととする( 採 点 基 準 については, 資 料 3 を 参 照 ) 2.2.2 GTEC for STUDENTS の Writing のテスト 結 果 意 見 展 開 型 で 与 えられたテーマに 対 する 自 分 の 考 えを 表 現 する 問 題 1 題 を, 自 由 記 述 形 式 で 出 題 し, 採 点 は, 語 彙 (Vocabulary), 文 法 (Language Elements), 構 成 (Organization) 展 開 (Development) の3 観 点 および, 内 容 評 価 を 含 めたスコアとグレードを 数 値 で 出 す 分 析 対 象 は, スコア, グレード, 語 彙, 文 法, 構 成 展 開 の5つとする 以 下 はその 問 題 例 であ る GTEC for STUDENTS の Writing の 問 題 例 高 校 生 はアルバイトを 積 極 的 にすべきだ という 意 見 があります この 意 見 に 賛 成 か 反 対 か,いずれかの 立 場 をはっきりさせ,できるだけたくさんの 理 由 を 取 り 入 れながら, あなたの 意 見 を 英 語 で 書 きなさい 2.2.3 電 子 メール 作 成 の 経 験 を 問 うアンケート 結 果 電 子 メールのタスクを 行 う 前 に, 被 験 者 は,パソコンの 画 面 上 で, 英 語 で 電 子 メールを 作 成 した 経 験 があるかどうかと,その 成 度 ( 未 経 験 者 は 推 定 成 度 )についてのアンケートに 答 える アンケート 内 容 Q1 あなたは, 英 語 で 電 子 メールを 書 いたことがありますか? 1. 書 いた 事 がない 2. 少 し 書 いたことがある 3. 何 度 も 書 いたことがある 4. 頻 繁 にやりとりをしている 116

Q2 あなたは 英 語 で 電 子 メールを 書 いたとき,うまく 書 けましたか? ( 経 験 がない 人 は 書 いてみたらうまく 書 けると 思 いますか?) 1. 定 型 的 な, 決 まり 切 った 簡 単 な 内 容 なら 書 くことができた ( 書 けると 思 う) 2. 短 い 簡 単 な 内 容 なら, 自 分 の 書 きたいことをなんとか 書 けた ( 書 けると 思 う) 3. ある 程 度 の 長 さのものでも, 自 分 の 書 きたいことをだいたい 書 けた ( 書 けると 思 う) 4. ある 程 度 の 長 さのものでも, 自 分 の 書 きたいことをほとんど 書 けた ( 書 けると 思 う) このアンケートの 目 的 は, 英 語 での 電 子 メール 作 成 能 力 についての 自 己 評 価 についての 概 要 を 知 ることである Can-do Statements を 開 発 する 場 合, 被 験 者 が 自 分 の 能 力 を 自 己 評 価 すること によりその 人 の 能 力 を 知 る 方 法 がある 上 記 のアンケートは, 電 子 メール 作 成 能 力 に 関 して 自 己 評 価 を 行 った 場 合, 自 己 の 能 力 をどのように 判 定 するのかについて 一 般 的 な 傾 向 を 調 査 する 意 義 がある そして, 電 子 メールを 書 く 能 力 に 関 するその 自 己 評 価 を, 電 子 メール 作 成 の 経 験 値 と 関 連 づけることにより, 経 験 と 自 己 評 価 の 関 連 性 も 見 えてくる 本 研 究 の 主 たる 調 査 ではないが, 電 子 メールを 実 際 に 実 施 できない 環 境 でも, 経 験 に 基 づく 自 己 評 価 によってその 能 力 を 推 定 するこ とができれば,Can-do Statements の 開 発 に 貢 献 することが 可 能 であろう この 点 は, 本 研 究 で は, 副 次 的 な 目 的 と 捉 える 2.3 被 験 者 被 験 者 に 関 しては,3つのスーパー イングリッシュ ランゲージ ハイスクール(SELHi) 指 定 校 より, 合 計 136 名 を 設 定 する その 内 訳 は,A 校 52 名,B 校 21 名,C 校 63 名 である 3. 結 果 と 考 察 電 子 メールタスクのパフォーマンス 得 点 ( 資 料 4 参 照 )に 関 しては, 被 験 者 が 作 成 した 多 くの 返 信 メールが,コミュニケーション 上 は 問 題 がないと 判 断 され, 結 果 的 にどのタスクも 平 均 点 が 高 くなっ た ただし,その 中 でも, 比 較 的 難 易 度 が 高 いものが,タスク 4とタスク6であるため,その 原 因 を, 想 定 した 言 語 機 能 に 探 ってみる すると,タスク4では, 驚 き, 怒 り, 心 配 などの 感 情 を 表 現 すること と, 予 定 を 伝 することが 成 すべき 言 語 機 能 として 設 定 されていた タスク 6では, 相 手 からの 勧 誘 を 断 ると 同 時 に 別 の 提 案 を 持 ちかけるという 複 雑 な 言 語 機 能 を 成 することが 採 点 基 準 となって いた この2つのタスクにおいて, 被 験 者 間 でパフォーマンスの 差 が 見 られたこと, 特 に 課 題 成 の 観 点 で 得 点 が 取 れた 被 験 者 とそうでない 被 験 者 がいたことは, 電 子 メール 作 成 能 力 の 発 段 階 に, 上 記 のような 言 語 機 能 を 使 いこなす 能 力 が 関 わっている 可 能 性 があることが 示 唆 できる そこで, 電 子 メールタスクの 得 点 と,GTEC for STUDENTS Writing テスト 得 点 ( 資 料 5 参 照 ) の 相 関 を 算 出 し, 英 語 での 電 子 メール 作 成 の 能 力 に, 何 らかの 発 段 階 を 見 出 せる 要 素 が 存 在 するかを 検 証 してみる 電 子 メールタスク 得 点 にも,GTEC for STUDENTS Writing テスト 得 点 にも,トータル 得 点 と,それを 導 く 下 位 得 点 があるので,すべての 組 み 合 わせで 相 関 値 を 算 出 した ( 資 料 7 参 照 ) まず, 電 子 メールタスクの 総 点 と GTEC for STUDENTS Writing のトータルスコ アの 相 関 係 数 が 0.41 であることから, 電 子 メールを 作 成 する 能 力 と, 意 見 展 開 型 で 与 えられたテ ーマに 対 する 自 分 の 考 えを 表 現 する 能 力 に,それほど 高 い 相 関 が 認 められるわけではないこと が 判 明 した ただし, 相 関 係 数 を 用 いて 考 察 を 行 うことは, 電 子 メールタスク 得 点 のデータの 各 項 117

目 において, 平 均 値 が 非 常 に 高 く,また 標 準 偏 差 も 非 常 に 小 さいことから, 危 険 である そこで, 各 項 目 間 のクロス 集 計 表 から,GTEC for STUDENTS Writingと 電 子 メールタスクの 関 連 性 を 探 っ てみる その 結 果, 難 易 度 の 高 いと 判 定 されたタスク4と GTEC for STUDENTS Writing には, 関 連 性 が 存 在 すると 思 われる( 資 料 8 参 照 ) 電 子 メールタスク4が 成 される(トータル 得 点 が3 点 以 上 と 設 定 )ためには,GTEC for STUDENTS Writing テストで,グレード3ないし4 以 上 を 取 る 能 力 が 必 要 であることがわかる 従 って, 電 子 メールを 作 成 する 能 力 と, 意 見 展 開 型 で 与 えられた テーマに 対 する 自 分 の 考 えを 表 現 する 能 力 に 何 らかの 関 連 性 がある 場 合 があると 言 える その 関 連 性 とは, 相 関 関 係 ではなく,ある 一 定 のレベルを 超 えると, 同 じ 程 度 に 成 可 能 な 事 柄 が 存 在 するようになるという 関 連 性 である 言 い 換 えると, 最 も 難 易 度 が 高 いタスク4を 成 する,つまり, 複 雑 な 電 子 メールでも 英 語 で 作 成 できる threshold level は,GTEC for STUDENTS Writing テストではグレード3ないし4であると 言 える 以 下 の 作 文 例 からも,グレード3を 超 えるとほぼ 同 じ 程 度 に 電 子 メールタスクが 成 できることがわかる グレード3の 被 験 者 もグレード5の 被 験 者 も 同 程 度 に 電 子 メールタスク4が 成 されていることがわかる GTEC for STUDENTS Writing グレード 3 の 被 験 者 の 電 子 メールタスク 4 の 作 文 Hello, Julie!! Yeah, I remember about that. I m looking forward to seeing the musical with you! But 18th is better than 16th for me. If you re good, can we go to see that on 18th? Plese write back. Thank you. Hikaru. GTEC for STUDENTS Writing グレード 5 の 被 験 者 の 電 子 メールタスク 4 の 作 文 Hello! How are you? Yes, let s!! I m really looking forword seeing the musical!! I m sorry I have another plan on June 16th. So let s go 18th. I m free that day. Then when and where are we going to meet at? Hikaru GTEC for STUDENTS Writing と 電 子 メールタスクの 関 連 に 関 して,threshold level の 存 在 の 可 能 性 があることから,その 理 由 を 探 るために, 下 位 項 目 を 見 てみる 同 様 に,クロス 集 計 表 を 用 いると, 上 述 した 電 子 メールタスク 4 とタスク 6 の 下 位 項 目 と,GTEC for STUDENTS Writing テストの 下 位 項 目 との 間 に,ある 程 度 の 関 連 性 が 見 られる( 資 料 9 参 照 ) トータル 得 点 と 同 様,ここ でも,GTEC for STUDENTS Writing の 下 位 項 目 である 語 彙 と 文 法 と,タスク 4 の トータ ル との 間 に,threshold level の 存 在 が 認 められるであろう 従 って, 電 子 メール 作 成 にも, 自 由 記 述 式 のライティングに 必 要 な 語 彙 や 文 法 の 運 用 能 力 が 必 要 であることもわかる 一 方 で,もう1 つの 下 位 項 目 である 構 成 展 開 とタスク4とのクロス 集 計 では, 関 連 性 は 見 えなかった このこと は,GTEC for STUDENTS Writing のような 自 分 の 意 見 を 展 開 していくエッセイ 型 のライティン グを 書 く 能 力 と, 電 子 メールを 作 成 する 能 力 に 違 いが 存 在 することを 示 している 最 後 に, 電 子 メール 作 成 経 験 を 問 うアンケート 結 果 ( 資 料 6 参 照 )によると, 英 語 で 電 子 メールを 作 成 した 経 験 のある 人 は 全 体 の 約 4 割 程 度 であり,その 経 験 がある 人 の 方 が, 若 干, 自 分 の 電 子 メ ール 作 成 能 力 を 高 めに 評 価 している ただ, 全 体 の 傾 向 としては, 電 子 メールを 英 語 で 作 成 する 能 力 に 対 する 自 己 評 価 は 低 めであると 言 える 118

4. 結 論 と 今 後 の 課 題 本 研 究 では, 電 子 メールといってもタスクによって 難 易 度 に 差 があり, 特 に, 驚 き, 怒 り, 心 配 な どの 感 情 を 表 現 することと, 相 手 からの 勧 誘 を 断 ると 同 時 に 別 の 提 案 を 持 ちかけるような 複 雑 な 言 語 機 能 を 果 たす 電 子 メールは 難 易 度 が 高 いことが 明 らかになった また, 意 見 展 開 型 で 与 えられ たテーマに 対 する 自 分 の 考 えを 表 現 する 能 力 と, 電 子 メールを 作 成 する 能 力 には, 重 なっている 要 素 もあれば,そうでない 要 素 もある 重 なっている 要 素 として 明 らかになったこととして, 電 子 メ ール 作 成 にも, 意 見 展 開 型 の 自 由 記 述 式 のライティングに 必 要 な 語 彙 や 文 法 の 運 用 能 力 が 必 要 であることであることが 挙 げられる また, 複 雑 な 言 語 機 能 を 成 することが 必 要 な 電 子 メー ルを 作 成 する 能 力 と 意 見 展 開 型 の 自 由 記 述 式 のライティングを 行 う 能 力 の 間 に,threshold level が 存 在 することも 判 明 した 逆 に, 重 なっていない 部 分 としては, 意 見 展 開 型 の 自 由 記 述 式 のライ ティングで 必 要 な 構 成 展 開 の 能 力 が 挙 げられる 重 ならない 部 分 が 存 在 するということは, 同 じ 英 語 でのライティングとはいえ, 電 子 メールと 自 由 記 述 作 文 というように, 求 められるテキストタイプ が 違 えば, 必 要 な 能 力,あるいは 引 き 出 される 能 力 が 異 なるということが 言 える 今 回 の 調 査 で 実 施 したような 電 子 メールを 書 く 能 力 と,エッセイ 型 のライティングで 必 要 な 論 理 的 に 文 章 を 構 成 し, それを 展 開 していく 能 力 の 関 連 性 は 薄 いと 言 える 今 後 の 課 題 としては, 本 研 究 で 利 用 した 電 子 メールタスクの 採 点 規 準 は 非 常 に 簡 易 なものであ ったため,タスク 得 点 にあまり 差 が 出 なかったことから, 電 子 メールタスクの 評 価 規 準 の 再 構 築 を 行 う 必 要 がある また, 採 用 した 電 子 メール 作 成 タスクは,すべて 返 信 型 であったので, 自 分 から 最 初 のメールを 送 信 する 発 信 型 の 検 証 も 必 要 である 最 後 に, 電 子 メールの 作 成 の 経 験 を 問 うアン ケート 結 果 から, 電 子 メールを 英 語 で 作 成 する 能 力 に 対 する 自 己 評 価 は 低 い 傾 向 にあることが 分 かったが,このことは,Can-do Statements を 自 己 評 価 による 回 答 を 基 に 開 発 する 際 には, 考 慮 に 入 れたい 参 考 文 献 Council of Europe. 2001. Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment. Cambridge University Press. 119

資 料 1. 電 子 メール 作 成 画 面 資 料 2. 電 子 メール 作 成 : 作 成 者 プロフィールと 週 間 予 定 Profile Hikaru School Minami High School Club Basketball Likes Movie, Soccer, Comedy, Musical Address 1-1-1 Minato-Town, Kanagawa Pref. Phone Number 045-953-ABCD Mail Address hikaru@gtec.ne.jp Schedule 6/12 [Mon.] after school: no club (look for someone to spend time with) 6/13 [Tue.] after school: club (16:00-18:00) 6/14 [Wed.] after school: no club (look for someone to spend time with) 6/15 [Thu.] after school: go to Yokohama with Chris to buy shoes & t-shirts, watch soccer game at the stadium together (18:30-21:00) 6/16 [Fri.] school holiday: study at home (until 12:00), movie with Peter (14:00-17:00), dinner at home with my family (from 18:00) 6/17 [Sat.] after school: club (16:00-18:00), after club: buy basketball books with Chris 6/18 [Sun.] want to go to see MUSICAL! (look for someone to go with) 120

資 料 3. 電 子 メールタスク 採 点 例 課 題 成 (2 点 ) タスク 4 (2 点 ) Hey,hey,hey!Chris. What s the matter with you? We are to go to YOKOHAMA!! to buy shoes &T-shirts,and then watch soccor game at the stadium TOGETHER! how about go restaurant after watching the game? Hikaru タスク 5 (1 点 ) 感 情 表 現, 予 定 伝 の 機 能 が 成 されている Hi! Mike. I m sorry.i can t meet that day. How about on June 14 (Wednesday)? If you are free on June 14th, please send me a mail. Bye 謝 礼 表 現 なしのため 減 点 1 内 容 伝 (1 点 ) タスク 1 (0 点 ) Hi! I am Hikaru. I m pretty good. We can meet you? Very wounderful! O.K. I ll send you my home address and phone number. 1-1-1 Minato-Town, Ibaraki Pref. 0294-953-ABCD See You.Hikaru. タスク 5 (0 点 ) 前 半 部 分 に, 受 信 メールとのつながりが 不 明 な 点 がある Hi,Mike! How are you? I want to help my English home work with you. But The day, I have already plan.i m going to go Yokohama with Chris. I sorry. Please help me someday. Good bye. Hikaru. I want to help my English home work with you.が 返 信 メールとして 機 能 していない 言 語 表 現 (1 点 ) タスク 1 (0 点 ) タスク 5 (0 点 ) 1-1-1 Minato-Town, Kanagawa Pref. 045-953-ABCD 要 件 のみで, 電 子 メールのやり 取 りの 想 定 がない Hello,Mike,,, Thank you to remember asking you about my homework. But,,, I have already have a plan on June 15. I will go to Yokohama with Chris. I m really sorry. Hikaru Thank you to remember asking you about my homework.の 意 味 が 不 明 121

資 料 7. 電 子 メールタスク 得 点 と GTEC for STUDENTS Writing 得 点 の 相 関 電 子 メールタスク 得 点 ある 程 度 の 相 関 (0.3 以 上 )が 見 られる 項 目 2 4 6 課 題 成 課 題 成 内 容 伝 ト ー タ ル 課 題 成 内 容 伝 言 語 表 現 ト ー タ ル 課 題 成 計 内 容 伝 計 メ ー ル 総 点 スコア 0.31 0.31 0.33 0.37 0.30 0.31 0.39 0.35 0.41 GTEC for STUDENTS Writing グレード 0.32 0.30 0.31 0.38 0.37 語 彙 0.32 0.34 0.42 0.39 文 法 0.32 0.30 0.44 0.42 構 成 展 開 0.31 0.27 資 料 8. 電 子 メールタスク 4 と GTEC for STUDENTS Writing グレード のクロス 集 計 表 タスク 4 トータル 0 1 2 3 4 計 2 1 1 GTEC グ レ ー ド 3 1 1 9 2 13 4 1 3 51 24 79 5 25 17 42 6 1 1 計 1 2 4 85 44 136 資 料 9. 電 子 メールタスク 4 と GTEC for STUDENTS Writing 語 彙 文 法 のクロス 集 計 表 タスク 4 トータル 0 1 2 3 4 計 3 1 1 4 1 1 1 2 5 タスク 4 トータル 0 1 2 3 4 計 3 1 1 1 3 4 1 4 3 8 GTEC 5 2 15 8 25 GTEC 5 1 3 35 13 52 語 彙 6 1 1 49 18 69 7 10 6 16 文 法 6 41 23 64 7 3 3 6 8 8 12 20 8 1 2 3 計 1 2 4 85 44 136 計 1 2 4 85 44 136 123