ISSUE BRIEF 小 型 家 電 リサイクル 法 の 経 緯 と 課 題 国 立 国 会 図 書 館 ISSUE BRIEF NUMBER 780(2013. 4. 2.) はじめに Ⅰ 小 型 家 電 リサイクル 法 の 概 要 1 これまでの 経 緯 2 制 度 の 概 要 Ⅱ 小 型 家 電 リサイクル 制 度 の 課 題 1 回 収 量 の 確 保 2 個 人 情 報 の 保 護 3 認 定 事 業 者 による 広 域 回 収 おわりに 平 成 24 年 8 月 に 成 立 した 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 ( 小 型 家 電 リサイクル 法 )は 平 成 25 年 4 月 1 日 に 施 行 された これまでの 個 別 リサイクル 法 が 製 造 業 者 等 特 定 の 者 に 義 務 を 課 す 義 務 型 の 制 度 であるのに 対 し 小 型 家 電 リサイクル 法 は 誰 かに 義 務 を 課 すのではなく 関 係 者 が 協 力 して 自 発 的 にリサイクルを 行 い 再 資 源 化 を 実 施 する 促 進 型 の 制 度 である また 有 用 金 属 等 の 資 源 確 保 を 主 な 目 的 の 一 つとしている 点 が 大 きな 特 徴 となっている 本 稿 では 小 型 家 電 リサイクル 法 の 概 要 について 紹 介 し 制 度 の 促 進 に 向 けた 課 題 を 取 りまとめた 農 林 環 境 課 ふじた ( 藤 田 み か 実 花 ) 調 査 と 情 報 第 780 号
はじめに 平 成 24 年 8 月 に 成 立 した 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 ( 平 成 24 年 法 律 第 57 号 以 下 小 型 家 電 リサイクル 法 )は 平 成 25 年 4 月 1 日 に 施 行 さ れた 特 定 家 庭 用 機 器 再 商 品 化 法 ( 平 成 10 年 法 律 第 97 号 以 下 家 電 リサイクル 法 ) 等 これまでの 個 別 リサイクル 法 が 廃 棄 物 の 減 量 化 といった 環 境 負 荷 の 低 減 を 主 眼 とし ていたのに 対 し 小 型 家 電 リサイクル 法 は その 対 象 となる 小 型 電 気 電 子 機 器 ( 以 下 小 型 電 子 機 器 )が リサイクルを 実 施 しなければ 直 ちに 環 境 上 の 大 きな 問 題 となるものでは なく 有 用 金 属 等 の 資 源 確 保 を 主 な 目 的 の 一 つとしている 点 が 大 きな 特 徴 となっている 本 稿 では 小 型 家 電 リサイクル 法 の 概 要 について 紹 介 し 制 度 の 促 進 に 向 けた 課 題 を 取 り まとめた Ⅰ 小 型 家 電 リサイクル 法 の 概 要 1 これまでの 経 緯 (1) 既 存 のリサイクル 制 度 と 家 電 製 品 循 環 型 社 会 の 形 成 が 推 し 進 められているなか 廃 棄 物 については これまで 各 種 リサイ クル 法 に 基 づき 適 正 な 処 理 と 資 源 の 有 効 な 利 用 が 図 られてきた 家 電 製 品 については 平 成 13 年 に 施 行 された 家 電 リサイクル 法 が 廃 家 電 4 品 目 ( 家 庭 用 エアコン テレビ 1 電 気 冷 蔵 庫 電 気 冷 凍 庫 電 気 洗 濯 機 衣 類 乾 燥 機 )について 小 売 業 者 による 引 取 りと 製 造 業 者 及 び 輸 入 業 者 ( 以 下 製 造 業 者 等 )による 再 商 品 化 等 を 義 務 付 け 消 費 者 ( 排 出 者 )には 家 電 4 品 目 を 廃 棄 する 際 収 集 運 搬 料 金 とリサイクル 料 金 を 支 払 うことなど をそれぞれの 役 割 として 定 めている また パソコンについては 資 源 の 有 効 な 利 用 の 促 進 に 関 する 法 律 ( 平 成 3 年 法 律 第 48 号 以 下 資 源 有 効 利 用 促 進 法 )において 指 定 再 資 源 化 製 品 とされており 製 造 業 者 等 は 自 主 回 収 及 び 再 資 源 化 に 取 り 組 むことが 求 められている このほか 携 帯 電 話 端 末 について 通 信 事 業 者 製 造 業 者 販 売 会 社 等 による 自 主 的 な 回 収 が 行 われている 2 (2) 使 用 済 小 型 家 電 からのレアメタルの 回 収 適 正 処 理 に 関 する 検 討 電 気 電 子 機 器 ( 以 下 電 子 機 器 )については 有 用 金 属 ( 資 源 価 値 の 高 いベースメタ ル 3 貴 金 属 レアメタル 4 )を 多 く 含 んでいるにもかかわらず 家 電 リサイクル 法 対 象 品 本 稿 は 概 ね 平 成 25 年 3 月 6 日 時 点 までの 情 報 を 基 にしている なお インターネット 情 報 の 最 終 アクセス 日 も 同 日 時 点 である 1 ブラウン 管 テレビ 液 晶 テレビ プラズマテレビが 対 象 携 帯 テレビ 等 は 除 く 2 モバイル リサイクル ネットワーク <http://www.mobile-recycle.net/>の 活 動 が 行 われているほか 関 係 業 界 団 体 等 が 会 員 となり 総 務 省 経 済 産 業 省 環 境 省 がコーディネーターとして 参 加 している 携 帯 電 話 リサイ クル 推 進 協 議 会 <http://www.meti.go.jp/policy/kaden_recycle/kra/index.htm>でも 回 収 促 進 運 動 等 が 行 われて いる 3 鉄 銅 亜 鉛 鉛 アルミニウム 等 産 出 量 使 用 量 の 多 い 金 属 4 経 済 産 業 省 鉱 業 審 議 会 レアメタル 総 合 対 策 特 別 小 委 員 会 において 地 球 上 の 存 在 量 が 稀 であるか 技 術 的 経 済 的 な 理 由 で 抽 出 困 難 な 金 属 のうち 現 在 工 業 用 需 要 があり 今 後 も 需 要 があるものと 今 後 の 技 術 革 新 に 伴 い 新 たな 工 業 用 需 要 が 予 測 されるもの と 定 義 されている 31 鉱 種 を 対 象 としているが 定 義 を 踏 まえ 鉱 種 は 情 勢 に 応 じて 見 直 しがあり 得 る( 経 済 産 業 省 レアメタル 確 保 戦 略 2009.7.28. 経 済 産 業 省 ウェブサイト <ht 1
目 等 の 一 部 を 除 き 多 くが 一 般 廃 棄 物 として 排 出 され 資 源 として 十 分 に 回 収 されている とは 言 えない 5 家 電 リサイクル 法 対 象 品 目 以 外 のすべての 電 子 機 器 を 小 型 電 子 機 器 と 捉 え ると 1 年 間 に 使 用 済 となる 小 型 電 子 機 器 の 重 量 は 65.1 万 t である これに 含 まれる 有 用 金 属 は 重 量 ベースで 27.9 万 t(うち レアメタルは 228.2t) 金 額 ベースで 844 億 円 とな っている 6 ( 主 な 品 目 ごとの 数 値 については 表 1 を 参 照 ) 表 1 1 年 間 に 使 用 済 となる 台 数 重 量 と 有 用 金 属 含 有 量 品 目 台 数 ( 台 ) 重 量 (t) 有 用 金 属 含 有 量 重 量 (t) 金 額 ( 万 円 ) * 携 帯 電 話 端 末 40,157,667 5,622 1,601 1,063,230 *DVD-ビデオ 6,200,000 21,576 15,253 460,191 *PC(デスクトップ 型 ) 5,013,000 40,906 20,910 1,584,337 *PC(ノートブック 型 ) 6,696,000 13,995 2,959 1,176,312 電 子 レンジ 3,529,000 43,160 22,205 120,557 炊 飯 器 6,180,333 21,792 7,871 124,971 電 気 照 明 器 具 59,754,277 77,066 41,460 449,342 ( 注 ) 推 計 している 有 用 金 属 は 鉄 銅 アルミニウム 鉛 亜 鉛 銀 金 アンチモン タンタル タングス テン ネオジム コバルト ビスマス パラジウム *のついている 品 目 は 後 述 の 特 定 対 象 品 目 に 含 まれる ものである ( 出 典 ) 中 央 環 境 審 議 会 小 型 電 気 電 子 機 器 リサイクル 制 度 の 在 り 方 について( 第 一 次 答 申 ) 2012.1.31. 環 境 省 ウェブサイト <http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19123&hou_id=14767>に 基 づき 筆 者 作 成 有 用 金 属 の 中 でも 特 に レアメタルは 産 出 の 地 域 偏 在 性 が 高 く 我 が 国 の 輸 入 先 にも 偏 りがみられる 中 国 によるレアアースの 輸 出 枠 制 限 の 例 にみられるように 主 要 産 出 国 の 輸 出 政 策 の 変 更 が 供 給 に 大 きな 影 響 を 与 える 状 況 にあり 急 激 な 価 格 変 動 等 が 起 こるリ スクがある このため 安 定 供 給 の 確 保 が 必 要 であり 近 年 関 心 が 高 まっている なお 小 型 電 子 機 器 中 のレアメタル 含 有 量 が 国 内 需 要 量 3 万 6099 トンに 占 める 割 合 は 0.6%とな っている 7 家 電 に 用 いられている 基 板 等 には 有 害 金 属 が 含 まれているが 8 現 状 ではそのまま 又 は 焼 却 後 埋 立 て 処 分 されている また 適 正 処 理 のために 薬 剤 が 必 要 となる 金 属 もある 9 さ らに 一 部 の 使 用 済 製 品 については 環 境 上 の 問 題 を 惹 起 する 不 適 正 なリサイクルにつな がる 海 外 流 出 が 行 われている 可 能 性 が 指 摘 されている 10 tp://www.meti.go.jp/press/20090728004/20090728004-3.pdf>) レアメタル 31 鉱 種 のうち 希 土 類 17 鉱 種 は レアアースと 呼 ばれる 5 一 般 廃 棄 物 として 排 出 された 廃 電 子 機 器 から 金 属 等 の 資 源 回 収 を 行 っている 市 町 村 は 約 6 割 である 鉄 は 50% 前 後 の 市 町 村 が 回 収 しているものの アルミの 回 収 を 行 っている 市 町 村 は 35% 前 後 銅 の 回 収 は 6% 前 後 となっている アルミ 銅 以 外 の 非 鉄 金 属 の 回 収 を 行 っている 市 町 村 は 2%に 満 たない( 環 境 省 経 済 産 業 省 使 用 済 小 型 家 電 からのレアメタルの 回 収 及 び 適 正 処 理 に 関 する 研 究 会 とりまとめ 2011.4. 環 境 省 ウェブサイ ト <http://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/conf_ruca.html>) 6 中 央 環 境 審 議 会 小 型 電 気 電 子 機 器 リサイクル 制 度 の 在 り 方 について( 第 一 次 答 申 ) 2012.1.31. 環 境 省 ウェ ブサイト <http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19123&hou_id=14767> なお 金 額 は 金 属 の 価 格 に 基 づくものであり 回 収 にかかる 費 用 等 は 考 慮 されていない 7 同 上 8 例 えば 鉛 については 携 帯 電 話 端 末 デジタルカメラ 等 の 一 部 の 製 品 の 基 板 ( 携 帯 電 話 端 末 : 最 大 2.87% デジタルカメラ: 最 大 2.41%)や DVD ドライブ(0.7%) 等 一 部 の 部 位 部 品 で 一 定 程 度 の 含 有 が 確 認 さ れている( 環 境 省 経 済 産 業 省 前 掲 注 (5)) 9 鉛 についてはキレート 剤 添 加 等 の 処 理 が 行 われている 10 前 掲 注 (6) 2
このように 価 格 高 騰 偏 在 性 といった 資 源 制 約 の 課 題 最 終 処 分 場 の 確 保 や 有 害 金 属 の 管 理 といった 環 境 制 約 の 課 題 を 踏 まえ 環 境 省 と 経 済 産 業 省 は 平 成 20 年 12 月 に 使 用 済 小 型 家 電 からのレアメタルの 回 収 及 び 適 正 処 理 に 関 する 研 究 会 ( 以 下 研 究 会 )を 設 置 した 研 究 会 では 家 庭 で 使 用 する 電 子 機 器 のうち 法 に 基 づくリサイクルの 制 度 を 有 せず 比 較 的 小 型 のものを 小 型 家 電 とし モデル 事 業 11 を 実 施 するとともに 使 用 済 小 型 家 電 におけるレアメタル 含 有 実 態 の 把 握 及 びリサイクル 手 法 リサイクルにおける 有 害 性 の 評 価 及 び 適 正 処 理 方 法 について 検 討 を 行 った 平 成 23 年 4 月 の 取 りまとめ 12 では 使 用 済 小 型 家 電 中 のレアメタルについては 経 済 合 理 性 に 見 合 う 抽 出 技 術 が 確 立 されておらず 回 収 で 期 待 できる 効 果 は 大 きくないとしている しかし レアメタルの 供 給 リスクが 顕 在 化 する 前 から あらかじめ 小 型 家 電 の 回 収 システムを 構 築 しておくことには 一 定 の 意 味 が あり レアメタル 以 外 の 有 用 金 属 の 再 資 源 化 にも 資 するとしている 平 成 23 年 3 月 には 有 用 性 希 少 性 の 高 い 金 属 資 源 が 高 濃 度 に 含 まれる 小 型 電 子 機 器 について 循 環 型 社 会 の 形 成 を 推 進 する 観 点 から 使 用 済 製 品 のリサイクルのあり 方 を 検 討 する 必 要 があるとして 中 央 環 境 審 議 会 廃 棄 物 リサイクル 部 会 の 下 に 小 型 電 気 電 子 機 器 リサイクル 制 度 及 び 使 用 済 製 品 中 の 有 用 金 属 の 再 生 利 用 に 関 する 小 委 員 会 ( 以 下 小 委 員 会 )を 置 くこととなった 小 委 員 会 では 研 究 会 の 取 りまとめに 基 づき リサイクル 制 度 の 必 要 性 仕 組 み 有 用 金 属 の 循 環 利 用 の 向 上 再 生 利 用 のあり 方 等 について 審 議 を 行 い 平 成 24 年 1 月 に 第 一 次 答 申 13 が 公 表 された この 答 申 を 踏 まえ 同 年 3 月 に 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 案 が 閣 議 決 定 され 第 180 回 国 会 に 提 出 さ れた 後 同 年 8 月 に 成 立 した 2 制 度 の 概 要 (1) 小 型 家 電 リサイクル 法 の 内 容 小 型 家 電 リサイクル 法 は 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 14 を 促 進 するための 措 置 を 講 ずることにより 廃 棄 物 の 適 正 な 処 理 及 び 資 源 の 有 効 な 利 用 の 確 保 を 図 ることを 目 的 と する( 第 1 条 ) この 法 律 の 対 象 となる 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 ( 以 下 対 象 小 型 家 電 ) とは 家 電 リサイクル 法 の 対 象 となるものを 除 く 一 般 消 費 者 が 通 常 生 活 の 用 に 供 する 電 子 機 器 その 他 の 電 気 機 械 器 具 のうち 政 令 で 定 めるものである( 第 2 条 ) 施 行 令 では 28 分 類 を 挙 げており 携 帯 電 話 端 末 デジタルカメラ パソコン 電 子 レンジ 等 の 品 目 が 含 まれる 15 11 平 成 22 年 度 まで 先 行 している 自 治 体 と 連 携 し 全 国 7 地 域 でモデル 事 業 を 行 った 12 環 境 省 経 済 産 業 省 前 掲 注 (5) 13 中 央 環 境 審 議 会 前 掲 注 (6) なお 特 に 使 用 済 製 品 中 の 有 用 金 属 の 再 生 利 用 のあり 方 については 専 門 的 か つ 具 体 的 な 議 論 が 必 要 なことから 小 委 員 会 の 下 に 使 用 済 製 品 中 の 有 用 金 属 の 再 生 利 用 に 関 するワーキング グループ が 設 置 された 小 委 員 会 とワーキンググループの 合 同 での 作 業 を 受 けて 中 央 環 境 審 議 会 は 平 成 24 年 10 月 に 使 用 済 製 品 の 有 用 金 属 の 再 生 利 用 の 在 り 方 について( 第 二 次 答 申 ) <http://www.env.go.jp/press/f ile_view.php?serial=20818&hou_id=15803>を 取 りまとめている 14 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 全 部 又 は 一 部 を 原 材 料 又 は 部 品 その 他 製 品 の 一 部 として 利 用 することができる 状 態 にすること( 第 2 条 第 3 項 ) 15 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 施 行 令 ( 平 成 25 年 政 令 第 45 号 ) なお 環 境 省 経 済 産 業 省 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 回 収 に 係 るガイドライン 2013.3. 環 境 省 ウェブサイト <http://www.e nv.go.jp/recycle/recycling/raremetals/attach/gl_collect130306.pdf>では 対 象 小 型 家 電 のうち 資 源 性 と 分 別 3
同 法 では 環 境 大 臣 及 び 経 済 産 業 大 臣 が 基 本 方 針 を 策 定 公 表 することとなっている( 第 3 条 ) 平 成 25 年 3 月 に 示 された 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 基 本 方 針 ( 以 下 基 本 方 針 ) 16 では 基 本 的 方 向 として 関 係 者 が 協 力 して 自 発 的 に 回 収 方 法 やリサイクルの 実 施 方 法 を 工 夫 しながら それぞれの 実 情 に 合 わせた 形 でリサイクルを 実 施 する 促 進 型 の 制 度 を 打 ち 出 している 同 法 では 国 地 方 公 共 団 体 消 費 者 事 業 者 小 売 業 者 製 造 業 者 それぞれについて 責 務 を 定 めており( 第 4 条 ~ 第 9 条 ) この 制 度 に おけるリサイクルの 大 まかな 流 れは 図 1 のように 想 定 される 図 1 小 型 家 電 リサイクルの 流 れ 製 造 業 者 製 造 販 売 消 費 者 事 業 者 排 出 小 売 業 者 引 渡 し 製 造 業 者 の 責 務 設 計 部 品 原 材 料 の 工 夫 により 再 資 源 化 費 用 低 減 再 資 源 化 により 得 られた 物 の 利 用 消 費 者 事 業 者 の 責 務 分 別 して 排 出 小 売 業 者 の 責 務 消 費 者 の 適 正 な 排 出 を 確 保 するために 協 力 市 町 村 引 渡 し 市 町 村 の 責 務 分 別 して 収 集 再 資 源 化 を 適 正 に 実 施 し 得 る 者 への 引 渡 し 認 定 事 業 者 その 他 再 資 源 化 を 適 正 に 実 施 し 得 る 者 中 間 処 理 金 属 回 収 を 行 い 循 環 利 用 国 の 責 務 必 要 な 資 金 の 確 保 情 報 収 集 研 究 開 発 の 促 進 教 育 広 報 活 動 ( 出 典 ) 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 環 境 省 ウェブサイト <http://www.env.go.jp/ council/03haiki/y0324-11/mat02-2.pdf> 等 を 基 に 筆 者 作 成 再 資 源 化 を 促 進 するための 措 置 として 認 定 事 業 者 の 仕 組 みがある 再 資 源 化 のための 事 業 を 行 おうとする 者 は 再 資 源 化 事 業 の 実 施 に 関 する 計 画 を 作 成 し 環 境 大 臣 及 び 経 済 産 業 大 臣 の 認 定 を 申 請 することができ( 第 10 条 ) 認 定 を 受 けた 者 又 はその 委 託 を 受 けた 者 が 再 資 源 化 に 必 要 な 行 為 を 行 う 時 は 市 町 村 長 等 による 廃 棄 物 処 理 業 の 許 可 が 不 要 となる などの 特 例 が 設 けられている( 第 13 条 ) 基 本 方 針 では 実 施 量 17 の 目 標 を 定 める 事 となっており 平 成 27 年 度 までに 14 万 t/ 年 1 のしやすさから 特 にリサイクルするべき 品 目 として 特 定 対 象 品 目 を 指 定 しており 携 帯 電 話 端 末 パソコ ン デジタルカメラ 等 が 含 まれる 16 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 基 本 方 針 ( 平 成 25 年 3 月 6 日 経 済 産 業 省 環 境 省 告 示 第 1 号 )<http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21672&hou_id=16411> 17 市 町 村 又 は 認 定 事 業 者 等 により 回 収 され 再 資 源 化 を 実 施 した 量 4
人 1 年 当 たり 換 算 で 約 1kg/ 年 人 となっている これは 平 成 23 年 の 1 年 間 に 使 用 済 と なる 小 型 電 子 機 器 等 の 重 量 約 65 万 t の 約 20% 18 である (2) 家 電 リサイクル 法 資 源 有 効 利 用 促 進 法 との 比 較 既 述 のとおり 小 型 家 電 リサイクル 法 は 誰 かに 義 務 を 課 すのではなく 関 係 者 が 協 力 して 自 発 的 にリサイクルを 行 い 再 資 源 化 を 実 施 する 促 進 型 の 制 度 である 一 方 同 じ 家 電 を 対 象 としたリサイクル 制 度 である 家 電 リサイクル 法 は 製 造 業 者 等 特 定 の 者 に 義 務 を 課 し 再 商 品 化 等 19 を 行 う 義 務 型 の 制 度 となっている また 資 源 有 効 利 用 促 進 法 は 事 業 者 による 自 主 回 収 と 再 資 源 化 を 規 定 している この 三 つの 法 律 を 比 較 したものが 表 2 である 義 務 型 の 制 度 とした 場 合 基 本 的 には 一 つの 方 法 に 限 定 してリサイクルを 実 施 していく こととなる 小 型 家 電 については 一 部 の 地 域 や 品 目 において 先 行 的 にリサイクルの 取 組 みが 行 われており これらの 取 組 みが 安 定 的 継 続 的 に 行 われるよう 制 度 的 に 担 保 する とともに リサイクルの 取 組 みを 全 国 に 広 げていくためには 義 務 化 で 一 つの 方 法 を 限 定 するよりも 様 々な 取 組 みを 包 含 できる 方 が 望 ましいという 考 え 方 から 促 進 型 の 制 度 が 目 指 されることとなった 20 パソコンについては 小 型 家 電 リサイクル 法 資 源 有 効 利 用 促 進 法 両 方 の 対 象 となって いる 小 型 家 電 リサイクル 法 では 制 度 を 実 施 する 自 治 体 や 小 売 業 者 が 回 収 を 行 うのに 対 し 資 源 有 効 利 用 促 進 法 では 製 造 業 者 等 による 自 主 回 収 が 行 われる 一 つの 品 目 について 2 種 類 の 制 度 が 並 立 していることについては 消 費 者 の 適 正 な 排 出 の 方 法 機 会 が 増 える と 捉 えることができる 一 方 後 述 するように 消 費 者 の 混 乱 やリサイクルの 質 について 懸 念 する 意 見 もある 21 18 中 央 環 境 審 議 会 の 答 申 ( 前 掲 注 (6))では 費 用 対 効 果 分 析 を 踏 まえて 採 算 性 を 確 保 するために 回 収 率 は 最 低 でも 20%~30%を 目 指 すべきとしている 19 次 の 行 為 を 指 す( 第 2 条 第 1 項 ) 1 対 象 機 器 の 廃 棄 物 から 部 品 及 び 材 料 を 分 離 し これを 製 品 の 原 材 料 又 は 部 品 として 利 用 すること 2 対 象 機 器 の 廃 棄 物 から 部 品 及 び 材 料 を 分 離 し これを 燃 料 として 利 用 すること 20 中 央 環 境 審 議 会 前 掲 注 (6) 21 中 野 加 都 子 小 型 家 電 R 識 者 インタビュー 既 存 取 り 組 みとの 整 合 性 に 疑 問 も 一 般 排 出 者 の 行 動 分 析 に 課 題 循 環 経 済 新 聞 2013.1.14.; 焦 点 小 型 家 電 リサイクル 法 制 度 懸 念 材 料 の 払 拭 を 循 環 経 済 新 聞 2012.11.19. 5
表 2 小 型 家 電 リサイクル 法 家 電 リサイクル 法 資 源 有 効 利 用 促 進 法 の 比 較 各 段 階 に お け る 関 係 者 の 役 割 目 的 対 象 機 器 排 出 収 集 運 搬 等 再 資 源 化 再 商 品 化 等 ( 出 典 ) 筆 者 作 成 小 型 家 電 リサイクル 法 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 を 促 進 するための 措 置 を 講 ずることにより 廃 棄 物 の 適 正 な 処 理 及 び 資 源 の 有 効 な 利 用 の 確 保 を 図 る 施 行 令 の 28 分 類 に 含 まれる 電 気 機 械 器 具 携 帯 電 話 端 末 及 び PHS 端 末 デジタルカメラ パソ コン 電 子 レンジ 等 消 費 者 事 業 者 分 別 して 排 出 適 正 な 引 渡 し 市 町 村 分 別 して 収 集 再 資 源 化 を 適 正 に 実 施 し 得 る 者 への 引 渡 し 小 売 業 者 適 正 な 排 出 を 確 保 するた めに 協 力 ( 市 町 村 の 回 収 ボ ックスの 設 置 への 協 力 認 定 事 業 者 から 委 託 を 受 け ることによる 回 収 への 協 力 等 ) 認 定 事 業 者 その 他 再 資 源 化 を 適 正 に 実 施 し 得 る 者 認 定 事 業 者 については 収 集 を 行 おうとする 区 域 内 の 市 町 村 から 引 取 りを 求 められたときは 正 当 な 理 由 がある 場 合 を 除 き 引 取 りに 応 ずる 義 務 あり 家 電 リサイクル 法 特 定 家 庭 用 機 器 の 小 売 業 者 及 び 製 造 業 者 等 による 特 定 家 庭 用 機 器 廃 棄 物 の 収 集 及 び 運 搬 並 びに 再 商 品 化 等 に 関 し これを 適 正 かつ 円 滑 に 実 施 するための 措 置 を 講 ずる ことにより 廃 棄 物 の 減 量 及 び 再 生 資 源 の 十 分 な 利 用 等 を 通 じて 廃 棄 物 の 適 正 な 処 理 及 び 資 源 の 有 効 な 利 用 の 確 保 を 図 る 4 品 目 家 庭 用 エアコン テレビ 電 気 冷 蔵 庫 電 気 冷 凍 庫 電 気 洗 濯 機 衣 類 乾 燥 機 消 費 者 事 業 者 適 正 な 引 渡 し 収 集 再 商 品 化 等 に 関 する 費 用 負 担 市 町 村 収 集 した 対 象 機 器 の 廃 棄 物 を 製 造 業 者 等 に 引 渡 すこと ができる( 自 ら 再 商 品 化 等 を 行 うことも 可 能 ) 小 売 業 者 引 取 義 務 ( 自 らが 過 去 に 小 売 販 売 した 対 象 機 器 買 換 えの 際 に 引 取 りを 求 められ た 対 象 機 器 ) 製 造 業 者 への 引 渡 し 義 務 製 造 業 者 等 引 取 義 務 ( 自 らが 過 去 に 製 造 輸 入 した 対 象 機 器 ) 再 商 品 化 等 実 施 義 務 指 定 法 人 義 務 者 不 在 中 小 業 者 の 委 託 による 場 合 等 に 引 取 り 再 商 品 化 等 を 行 う 資 源 有 効 利 用 促 進 法 ( 指 定 再 資 源 化 製 品 関 連 ) 資 源 の 有 効 な 利 用 の 確 保 を 図 るとともに 廃 棄 物 の 発 生 の 抑 制 及 び 環 境 の 保 全 に 資 するため 使 用 済 物 品 等 及 び 副 産 物 の 発 生 の 抑 制 並 びに 再 生 資 源 及 び 再 生 部 品 の 利 用 の 促 進 に 関 する 所 要 の 措 置 を 講 ずる 2 品 目 パソコン 小 形 二 次 電 池 消 費 者 事 業 者 製 造 業 者 等 が 実 施 する 措 置 に 協 力 製 造 業 者 等 製 品 の 自 主 回 収 製 造 業 者 等 自 主 回 収 した 製 品 の 再 資 源 化 Ⅱ 小 型 家 電 リサイクル 制 度 の 課 題 促 進 型 の 制 度 である 小 型 家 電 リサイクルにおいて 目 標 の 実 施 量 を 達 成 するためにはよ り 多 くの 自 治 体 の 参 加 が 欠 かせない 環 境 省 の 調 査 では 同 制 度 への 参 加 を 前 向 きに 検 討 6
している 自 治 体 は 約 3 割 であり 22 今 後 は 制 度 を 運 用 しつつ より 多 くの 自 治 体 また 自 治 体 の 住 民 に 参 加 を 促 していく 必 要 がある 参 加 促 進 に 向 けては 回 収 量 の 確 保 個 人 情 報 の 保 護 認 定 事 業 者 による 広 域 回 収 といった 課 題 が 挙 げられる 1 回 収 量 の 確 保 自 治 体 が 制 度 への 参 加 を 検 討 する 際 の 課 題 の 一 つとして 採 算 性 が 挙 げられ 採 算 性 を 確 保 するためには 回 収 率 が 重 要 となる 例 えば 機 械 解 体 によってパソコンの HDD からレ アメタルのネオジム 磁 石 を 回 収 すると 想 定 し 経 済 性 を 試 算 すると 回 収 率 が 低 い 場 合 の 全 体 利 潤 ( 収 入 - 費 用 )はネオジム 磁 石 を 回 収 しない 方 が 優 位 となるが 30% 以 上 では 回 収 した 場 合 の 方 が 優 位 となる 23 回 収 率 を 決 定 するのは 自 治 体 の 住 民 の 排 出 行 動 である しかし 小 型 家 電 リサイクル 法 の 制 度 構 築 にあたっては 消 費 者 の 排 出 のインセンティブについて 法 律 上 で 示 されてい ない 24 製 品 の 有 用 金 属 含 有 量 や 金 属 回 収 技 術 の 問 題 等 処 理 過 程 の 経 済 性 が 中 心 に 検 討 され 消 費 者 の 排 出 行 動 の 分 析 や 排 出 促 進 に 向 けた 議 論 が 不 十 分 であるという 指 摘 がある 25 消 費 者 を 対 象 として 行 われた 小 型 家 電 の 排 出 に 関 するアンケート 調 査 では デジタルカ メラ 携 帯 音 楽 プレーヤーなど より 小 型 で 個 人 が 所 有 するものと 電 子 レンジ 等 比 較 的 大 きく 世 帯 で 所 有 するものでは 排 出 動 機 排 出 先 退 蔵 率 等 に 大 きな 違 いがみられた 前 者 の 製 品 は 通 勤 通 学 等 で 立 ち 寄 れる 場 所 に 設 置 されたボックスによる 回 収 が 適 してい るなど 製 品 や 所 有 者 によってリサイクルを 促 す 回 収 方 法 場 所 が 異 なると 分 析 されてい る 26 回 収 方 法 については 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 回 収 に 係 るガイドライン ( 以 下 ガ イドライン ) 27 で 市 町 村 等 に 実 施 可 能 と 考 えられる 方 法 の 種 類 として 7 つの 方 法 を 例 示 し それぞれのメリット デメリットについて 解 説 している( 表 3 参 照 ) しかし ここ で 示 されているのは 主 に 自 治 体 にとってのメリット デメリットであり 前 述 のアンケー ト 結 果 のような 消 費 者 の 立 場 から 見 た 各 回 収 方 法 の 特 徴 については 情 報 が 不 十 分 である 対 象 小 型 家 電 の 回 収 量 を 確 保 するためには 今 後 消 費 者 への 普 及 啓 発 が 欠 かせない また 自 治 体 に 対 しても より 消 費 者 の 排 出 行 動 に 即 した 回 収 方 法 を 検 討 する 判 断 材 料 と して 国 は これまでに 行 われたモデル 事 業 28 等 の 事 例 から 得 られた 消 費 者 の 排 出 行 動 に 関 する 知 見 を 提 供 するとともに 施 行 後 も 参 加 自 治 体 の 取 組 みから 情 報 を 広 く 集 め 提 供 していくことが 求 められる 22 小 型 家 電 リサイクル 法 に 関 する 自 治 体 アンケート 調 査 結 果 について(お 知 らせ) 環 境 省 ウェブサイト <h ttp://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21656&hou_id=16401> 23 中 央 環 境 審 議 会 前 掲 注 (13) なお これはあくまで 議 論 の 材 料 として 関 係 者 ヒアリング 及 び 既 往 調 査 等 を 踏 まえ 部 分 的 に 試 算 したものである 24 大 塚 直 小 型 家 電 リサイクル 法 の 意 義 と 法 的 課 題 廃 棄 物 資 源 循 環 学 会 誌 23 巻 4 号, 2012, pp.319-326. 25 中 野 加 都 子 前 掲 注 (21) 26 中 野 加 都 子 消 費 者 意 識 を 活 かした 小 型 家 電 の 効 率 的 なリサイクルに 向 けて ひょうごエコタウン 推 進 会 議 によるアンケート 調 査 結 果 より 月 刊 廃 棄 物 39 巻 2 号, 2013.2, pp.20-24. 27 経 済 産 業 省 環 境 省 前 掲 注 (15) 28 前 掲 注 (11) 7
表 3 回 収 方 法 のメリット デメリット 回 収 の 種 類 回 収 の 方 法 メリット デメリット ボックス 回 収 ステーション 回 収 ピックアップ 回 収 集 団 市 民 参 加 型 回 収 イベント 回 収 清 掃 工 場 へ の 持 込 み 戸 別 訪 問 回 収 回 収 ボックスを 常 設 し 排 出 者 が 直 接 投 入 ごみステーションごとに 定 期 的 に 行 っている 資 源 物 回 収 に 併 せ 対 象 小 型 家 電 に 該 当 する 分 別 区 分 を 新 設 し 回 収 従 来 の 分 別 区 分 に 沿 って ステーションごとに 一 般 廃 棄 物 を 回 収 した 中 から 選 別 既 に 資 源 物 の 集 団 回 収 を 行 っている 市 民 団 体 が 対 象 小 型 家 電 も 回 収 地 域 のイベントにおいて 回 収 ボックスを 設 置 し 参 加 者 が 持 参 した 対 象 小 型 家 電 を 回 収 消 費 者 が 清 掃 工 場 や 資 源 化 センター 等 へ 持 参 消 費 者 が 排 出 したい 旨 を 市 町 村 に 連 絡 し 担 当 者 ま たは 依 頼 を 受 けた 業 者 が 直 接 引 き 取 って 回 収 常 時 排 出 可 能 分 別 区 分 を 増 やす 必 要 がない 排 出 しやすい 通 常 のごみ 区 分 の 一 環 となる ため 他 のごみ 区 分 への 混 入 が 減 る 排 出 しやすい 収 集 運 搬 費 用 等 が 増 加 しない 分 別 区 分 を 増 やす 必 要 がない 既 存 の 集 団 回 収 を 利 用 するた め 新 たな 費 用 の 増 加 を 抑 え られる 設 置 等 の 費 用 が 必 要 ボックスを 利 用 しない 消 費 者 は 不 燃 ごみ 等 として 排 出 盗 難 等 への 配 慮 が 必 要 異 物 が 混 入 されるおそれ コンテナ 設 置 等 に 費 用 が 必 要 ピックアップ 費 用 が 必 要 普 及 啓 発 費 用 が 必 要 回 収 量 の 確 保 が 難 しい 参 加 しない 消 費 者 は 不 燃 ごみ 等 として 排 出 集 団 回 収 奨 励 金 を 支 払 う 場 合 は 資 金 確 保 が 必 要 分 別 区 分 を 増 やす 必 要 がない イベント 出 店 費 用 等 が 必 要 回 収 量 の 確 保 が 難 しい 参 加 しない 消 費 者 は 不 燃 ごみ 等 として 排 出 常 時 受 付 可 能 分 別 区 分 を 増 やす 必 要 がない 盗 難 等 が 起 きにくい 排 出 しやすい 盗 難 等 が 起 きにくい 高 齢 者 障 害 者 等 も 参 加 しやす 普 及 啓 発 費 用 が 必 要 持 参 しない 消 費 者 は 不 燃 ごみ 等 として 排 出 収 集 運 搬 費 用 等 が 必 要 となる い ( 出 典 ) 環 境 省 経 済 産 業 省 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 回 収 に 係 るガイドライン 2013.3. 環 境 省 ウェブサイ ト <http://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/attach/gl_collect130306.pdf>に 基 づき 筆 者 作 成 2 個 人 情 報 の 保 護 小 型 家 電 リサイクル 法 の 対 象 小 型 家 電 には 個 人 情 報 が 記 録 されているものもあるため 個 人 情 報 の 保 護 に 配 慮 する 必 要 がある 同 法 では 基 本 方 針 で 個 人 情 報 の 保 護 を 配 慮 すべ き 重 要 事 項 として 定 めることとしており( 第 3 条 第 2 項 ) 基 本 方 針 では 特 に 多 量 かつ 重 要 な 個 人 情 報 を 含 む 可 能 性 が 高 いパソコンや 携 帯 電 話 端 末 等 については 消 費 者 及 び 事 業 者 が 排 出 する 段 階 で 自 ら 個 人 情 報 の 削 除 に 努 めるとともに 回 収 や 再 資 源 化 の 段 階 で 個 人 情 報 の 漏 えいの 防 止 の 措 置 を 講 ずる 必 要 があるとしている 具 体 的 には 消 費 者 に 対 して 個 人 情 報 を 削 除 した 上 で 排 出 するよう 周 知 し 回 収 に 際 し てもボックス 回 収 の 場 合 は 鍵 付 きにする ステーション 回 収 の 場 合 は 監 視 員 が 立 ち 会 うな どの 盗 難 防 止 対 策 や 管 理 体 制 整 備 などを 実 施 することとしている 29 パソコンや 携 帯 電 話 端 末 は 資 源 性 と 分 別 のしやすさから 特 にリサイクルするべきとされる 特 定 対 象 品 目 であ 29 前 掲 注 (16) なお ガイドラインでは 市 町 村 内 の 回 収 における 個 人 情 報 保 護 対 策 事 例 等 を 示 している 8
り 30 退 蔵 を 防 ぎ 回 収 率 を 上 げるためにも 個 人 情 報 保 護 の 確 保 は 欠 かせないと 言 える なお パソコンや 携 帯 電 話 端 末 は 既 述 のとおり 自 主 回 収 が 行 われており 基 本 方 針 にお いても 自 主 回 収 の 取 組 みも 併 せて 消 費 者 に 周 知 することで 回 収 を 一 層 促 進 することも 可 能 であるとしているが 既 存 の 自 主 回 収 と 小 型 家 電 リサイクル 制 度 の 競 合 により 消 費 者 の 混 乱 や 個 人 情 報 の 漏 えい 等 を 含 むリサイクルの 質 の 低 下 を 懸 念 する 意 見 もある 31 リ サイクルの 関 係 者 や 消 費 者 に 対 して 自 主 回 収 と 新 制 度 の 整 合 性 さらに 個 人 情 報 保 護 等 についての 分 かりやすい 説 明 が 求 められる 3 認 定 事 業 者 による 広 域 回 収 既 述 のとおり 小 型 家 電 リサイクル 法 では 対 象 小 型 家 電 の 再 資 源 化 事 業 を 行 う 者 は 再 資 源 化 事 業 計 画 を 作 成 し 主 務 大 臣 の 認 定 を 受 けることで 再 資 源 化 事 業 を 行 う 認 定 事 業 者 となり( 第 10 条 ) 市 町 村 長 等 による 廃 棄 物 処 理 業 の 許 可 が 不 要 となるなどの 特 例 が 設 けられている( 第 13 条 ) 認 定 の 要 件 の 一 つとして 対 象 小 型 家 電 の 収 集 を 行 おうとする 区 域 が 広 域 にわたる 収 集 に 資 するものとして 主 務 省 令 で 定 める 基 準 に 適 合 すること( 第 10 条 第 3 項 第 2 号 )と あり 施 行 規 則 32 で 定 められた 基 準 は 以 下 のようになっている 33 北 海 道 若 しくは 沖 縄 県 又 は 相 互 に 隣 接 する 3 以 上 の 都 道 府 県 の 区 域 の 全 部 を 含 むも のであり 区 域 内 の 人 口 密 度 が 1,000 人 /km 2 未 満 であること 互 いに 隣 接 しない 複 数 の 区 域 で 構 成 される 場 合 においては それぞれの 区 域 につい て 上 記 の 基 準 を 満 たしていること 3 以 上 の 都 道 府 県 の 区 域 を 全 部 含 むものとする 基 準 は 採 算 性 効 率 性 の 観 点 から 広 域 的 に 一 定 量 以 上 の 対 象 小 型 家 電 を 集 めるため 設 定 された また 人 口 密 度 を 1,000 人 /km 2 未 満 とする 基 準 は 公 平 性 の 観 点 から 対 象 小 型 家 電 が 集 中 的 に 発 生 する 人 口 密 集 地 域 だ けで 集 めることを 認 めた 場 合 に 地 方 において 空 白 地 域 が 発 生 することを 防 ぐために 設 定 された 34 一 方 で 先 行 事 例 の 多 くは 地 元 の 中 小 事 業 者 が 協 力 し 限 定 的 な 地 域 で 行 われたもので あり 既 存 の 回 収 システムと 認 定 事 業 者 による 回 収 との 整 合 性 がどう 図 られるかが 課 題 で あるとの 指 摘 がある 35 小 型 家 電 リサイクル 法 では 回 収 した 対 象 小 型 家 電 について 認 定 事 業 者 その 他 再 資 源 化 を 適 正 に 実 施 し 得 る 者 に 引 き 渡 すこととしており 引 渡 し 先 を 認 定 事 業 者 に 限 定 するも のではない しかし 認 定 事 業 者 については 廃 棄 物 処 理 業 の 許 可 が 不 要 となるなどの 特 30 経 済 産 業 省 環 境 省 前 掲 注 (15) 31 前 掲 注 (21) 32 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 施 行 規 則 ( 平 成 25 年 経 済 産 業 省 環 境 省 令 第 3 号 ) 33 廃 棄 物 リサイクル 対 策 部 企 画 課 リサイクル 推 進 室 使 用 済 小 型 電 子 機 器 等 の 再 資 源 化 の 促 進 に 関 する 法 律 施 行 令 等 の 概 要 環 境 省 ウェブサイト <http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21674&hou_id=1641 1> 34 検 討 にあたっての 根 拠 資 料 ( 中 央 環 境 審 議 会 廃 棄 物 リサイクル 部 会 小 型 電 気 電 子 機 器 リサイクル 制 度 及 び 使 用 済 製 品 中 の 有 用 金 属 の 再 生 利 用 に 関 する 小 委 員 会 ( 第 12 回 ) 産 業 構 造 審 議 会 環 境 部 会 廃 棄 物 リサイク ル 小 委 員 会 ( 第 25 回 ) 合 同 会 合 参 考 資 料 2) 環 境 省 ウェブサイト <http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0 324-12/ref02.pdf> 35 山 本 耕 平 小 型 家 電 リサイクルにおける 回 収 システムと 採 算 性 都 市 問 題 104 巻 1 号, 2013.1, pp.61-68. 9
例 が 設 けられ 基 本 方 針 で 再 資 源 化 を 担 う 中 核 的 な 主 体 として 継 続 的 安 定 的 及 び 高 度 に 再 資 源 化 を 行 い より 多 くの 有 用 資 源 が 回 収 されるよう 責 任 をもって 再 資 源 化 事 業 に 取 り 組 むことが 求 められる 36 としていることにも 表 れているように 同 法 では 対 象 小 型 家 電 が 主 に 認 定 事 業 者 に 引 き 渡 されることを 想 定 している 中 小 事 業 者 が 認 定 事 業 者 の 要 件 を 満 たすのは 難 しいと 考 えられており これまでの 地 域 的 な 取 組 みを 活 かすためには 適 正 な 処 理 に 配 慮 しつつ 認 定 事 業 者 だけでなく 中 小 事 業 者 等 も 関 与 していける 制 度 運 用 が 求 められる おわりに 有 用 金 属 等 の 資 源 確 保 という 新 たな 目 的 を 持 った 促 進 型 のリサイクル 制 度 である 小 型 家 電 リサイクル 法 が 施 行 を 迎 えた 制 度 が 機 能 していくためにはより 多 くの 自 治 体 の 参 加 消 費 者 の 適 正 な 排 出 が 欠 かせない 既 述 のとおり 環 境 省 の 調 査 では 同 制 度 への 参 加 を 前 向 きに 検 討 している 自 治 体 は 約 3 割 にとどまる 37 また 消 費 者 の 適 正 な 排 出 の 促 進 の ための 方 策 についても 分 析 議 論 が 不 十 分 との 指 摘 もある 施 行 後 は 制 度 を 運 用 しつつ より 多 くの 自 治 体 消 費 者 の 協 力 を 得 て 制 度 への 参 加 適 正 な 排 出 を 促 していくとともに 自 治 体 ごとに 異 なると 思 われる 取 組 みの 把 握 に 努 め より 適 切 な 制 度 に 向 けて 検 討 を 行 っていくことが 求 められる 36 前 掲 注 (16) 37 前 掲 注 (21) 10