65 保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 高 木 瞳 Dishwashing Methods and Food Allergic Residues in Day Nurseries Hitomi TAKAGI 要 旨 食 物 アレルギー 児 の 給 食 対 応 は 調 理 中 のアレルゲン 混 入 防 止 と 給 食 時 の 誤 配 誤 食 防 止 が 重 要 な 課 題 となっている しかし 調 理 器 具 や 食 器 等 の 洗 浄 における 残 留 アレルゲンについての 問 題 提 起 は 少 ない 給 食 における 洗 浄 は 食 中 毒 防 止 にあり 手 洗 い 食 材 や 調 理 器 具 等 の 洗 浄 加 熱 調 理 殺 菌 消 毒 などで 予 防 対 策 ができる 食 物 アレルゲンはタンパク 質 であることから 加 熱 殺 菌 では 残 存 の 可 能 性 があり 洗 浄 によるアレルゲンタンパク 質 の 完 全 除 去 が 必 須 である 本 研 究 は 保 育 所 給 食 等 の 洗 浄 食 器 のアレルゲン 残 存 の 有 無 の 検 査 を 簡 易 アレルゲン 検 出 キット にて 行 い 改 善 方 法 を 検 討 した 洗 浄 後 の 残 存 アレルゲンは 食 物 の 成 分 予 備 浸 漬 の 条 件 本 洗 浄 の 自 動 食 器 洗 浄 機 によっても 異 なる 結 果 がでた キーワード: 保 育 所 給 食 食 物 アレルゲン 食 器 洗 浄 検 出 キット Ⅰ はじめに 給 食 における 食 物 アレルギー 対 応 は 食 物 アレルゲンの 除 去 調 理 中 のコンタミネーションの 防 止 配 膳 や 誤 食 の 防 止 等 アレルギー 対 応 ガイドライン 等 に 沿 ってきめ 細 かく 実 施 されてきた し かし 保 育 所 等 では アレルギー 対 応 を 行 った 給 食 を 食 べていながら 症 状 が 改 善 されない 原 因 が 特 定 できない 状 態 で 給 食 での 対 応 に 配 慮 をしている 原 らは 洗 浄 後 の 調 理 器 具 や 食 器 等 に 残 存 し ている 食 物 アレルゲンがアレルギー 症 状 の 誘 発 の 一 因 と 考 え 調 理 器 具 等 に 料 理 を 付 着 させて ど の 程 度 洗 浄 すれば 食 物 アレルゲンの 残 存 量 が 低 下 するかを 報 告 1) している 調 理 器 具 等 の 洗 浄 マ ニュアルでは 洗 浄 重 視 の 第 一 は 食 中 毒 防 止 対 策 であり 手 洗 い 食 材 や 調 理 器 具 等 の 洗 浄 殺 菌 消 毒 加 熱 調 理 などの 内 容 で 食 物 アレルゲン 洗 浄 についての 記 述 はない 食 物 アレルギー 対 応 の 洗 浄 においては 数 μg/kg 単 位 のアレルゲン 食 品 残 存 が 問 題 となる 場 合 が あり 除 去 対 策 が 必 要 となる 食 器 等 に 付 着 しているアレルゲンの 除 去 は 加 熱 殺 菌 では 対 応 で きず 洗 浄 が 最 も 有 効 な 方 法 となる 現 在 保 育 所 等 の 給 食 業 務 においては 食 物 アレルギー 対 応 の 調 理 器 具 等 洗 浄 マニュアルが 科 学 的 な 根 拠 に 基 づいて 確 立 されていないため アレルギー 対 応 専 用 の 調 理 器 具 等 の 使 用 を 余 儀 なくさ れている そのために 除 去 食 等 の 調 理 作 業 と 調 理 器 具 等 の 区 別 化 洗 浄 方 法 の 複 数 化 など 従 事 者 の 負 担 は 大 きい 2) 給 食 担 当 者 の 負 担 軽 減 と 作 業 効 率 経 済 効 率 を 上 げるために 調 理 器 具 等 の 併 用 において アレルゲンが 残 存 しない 洗 浄 方 法 を 検 討 し 食 物 アレルギーに 対 応 した 洗 浄 マニュア
66 高 木 瞳 ルの 作 成 を 目 指 す 今 回 は 保 育 所 等 の 洗 浄 方 法 の 聞 き 取 り 調 査 簡 易 検 出 キットによる 洗 浄 後 の 食 器 等 のアレルゲ ン 残 存 検 査 および 卵 牛 乳 小 麦 粉 食 材 を 使 用 した 食 器 の 洗 浄 方 法 を 実 験 検 討 し 保 育 所 給 食 での 効 果 的 な 洗 浄 方 法 の 提 案 の 基 礎 データを 得 ることを 目 的 とする Ⅱ 洗 浄 における 調 理 器 具 等 のアレルゲン 対 応 の 実 態 1. 調 査 の 概 要 洗 浄 調 理 器 具 等 のアレルゲン 残 存 検 査 について 愛 知 県 下 の 保 育 園 幼 稚 園 に 協 力 依 頼 し 11 園 (9 保 育 園 2 幼 稚 園 )の 協 力 が 得 られた 調 査 期 間 は 2011 年 7 月 19 日 ~8 月 19 日 に 行 った 調 査 内 容 は 園 を 訪 問 してアンケート 事 前 調 査 を 基 に 聞 き 取 り 調 査 と 洗 浄 後 の 調 理 器 具 等 のア レルゲン 残 存 検 査 を 行 った 1) 聞 き 取 り 調 査 項 目 調 査 項 目 は 1 園 児 数 2アレルゲン 食 数 3アレルゲン 使 用 料 理 と 共 有 している 調 理 器 具 等 4 調 理 器 具 等 の 洗 浄 方 法 5 調 理 員 数 である 2)アレルゲン 残 存 検 査 方 法 検 査 用 食 器 は 給 食 後 通 常 の 洗 浄 方 法 で 洗 浄 し 乾 燥 保 管 庫 で 保 管 してある 全 園 児 共 用 の 食 器 またはアレルギー 児 専 用 の 食 器 ( 以 後 専 用 食 器 という)を 無 作 為 に 抽 出 し 検 体 とした 試 験 管 に 分 注 した0.9% 塩 化 ナトリウム 溶 液 1mlに 浸 した 綿 棒 ( 径 約 8mm 100%コットン)で 検 体 の 内 部 全 体 と 縁 周 りをふき 取 り 綿 棒 にしみ 込 んだふきとり 液 を 試 験 管 の 壁 面 を 使 い よく 搾 り 出 した 液 を 試 料 溶 液 とした アレルゲン 残 存 の 有 無 の 検 査 は イムノクロマト 法 による 牛 乳 卵 小 麦 タンパク 質 を 検 出 する キット( 日 本 ハム 株 式 会 社 製 のFASTKITスリム)のテストストリップで 行 った 試 験 操 作 は 取 扱 説 明 書 に 従 って 水 平 に 静 置 したテストストリップに 試 料 溶 液 100μlを 滴 下 し 結 果 の 判 定 を 行 った 結 果 判 定 は 15 分 間 室 内 で 放 置 後 テストライン 出 現 位 置 に 赤 紫 色 のライン の 有 無 を 目 視 で 確 認 し 判 断 した 赤 紫 色 のラインの 濃 淡 に 関 わらずラインが 確 認 された 場 合 には 陽 性 (+)と 判 定 した 本 キットは タンパク 質 を 定 性 的 に 確 認 するものであるが アレルゲンタンパク 質 が25ng/ml 以 上 のときに 陽 性 (+)を 示 す 2. 調 査 結 果 および 考 察 1) 調 査 園 のアレルゲン 別 園 児 数 および 給 食 担 当 者 数 表 1に 調 査 園 の 規 模 およびアレルゲン 園 児 数 給 食 担 当 者 数 を 示 す アレルゲンは 乳 幼 児 期 に 多 い 卵 乳 小 麦 の 順 となっている 卵 乳 を 料 理 に 使 わない 園 が3 園 あった 園 児 数 が 多 いほ ど 給 食 担 当 者 の 負 担 割 合 が 高 いことがわかる 2) 卵 牛 乳 料 理 と 共 有 する 調 理 器 具 等 と 洗 浄 後 のアレルゲン 残 存 検 査 について 8 種 類 の 調 理 器 具 等 についてアンケート 調 査 した 結 果 卵 牛 乳 料 理 と 共 用 している 比 率 の 高 い 調 理 器 具 等 の 順 は 鍋 (100%) お 玉 (91.7% ) ボール フライ 返 し(83.3%) 菜 箸 バット(75.0%) まな 板 (58.3%) コップ(50.9%)であった いずれの 調 理 器 具 等 においても 共 用 が50%を 超 えてお り 卵 牛 乳 専 用 の 調 理 器 具 を 備 えている 割 合 は 低 かった
保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 67 表 1 アレルギー 児 数 および 給 食 担 当 者 数 調 アレルゲン 別 園 児 (%) 査 園 児 数 栄 養 士 パート 含 給 食 担 当 者 1 人 園 内 訳 む 給 食 担 当 者 数 当 たりの 園 児 数 ( 人 ) 全 体 卵 乳 小 麦 ( 人 ) ( 人 ) A 30~40 8.1 5.4 2.7 2 18.5 B 60~ 3.3 3.3 6 10.2 C 79 20.3 5.4 1.4 13.5 5 14.8 D 80~ 13.1 7.1 4.8 1.2 8 10.5 E 99 36.8 17.2 13.8 5.7 4 21.8 F 100~ 5.7 2.8 1.9 0.9 5 21.2 G 119 3.7 1.8 0.9 0.9 4 27.3 H 120~ 4.5 1.5 2.3 0.8 4 33.0 I 139 7.3 5.1 0.7 1.5 3 45.7 J 500~ 2.3 1.9 0.4 5 50.8 K 600 6.0 3.8 2.0 0.2 8 75.5 表 2 菜 箸 小 鍋 およびコップの 卵 乳 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 ( ) 内 は% 材 質 別 の 調 査 検 体 数 卵 乳 陽 性 (+) 陰 性 (-) 陽 性 (+) 陰 性 (-) 備 考 全 体 10 1(10.0) 9(90.0) 2(20.0) 8(80.0) 1 園 はトング 使 用 のため 除 外 菜 箸 木 製 8 1 7 2 6 (-):5か 月 ~8 年 使 用 竹 製 * 1 1 1 卵 (+):8か 月 使 用 金 属 製 1 1 1 乳 (+):2 年 5 年 位 使 用 全 体 11 1(9.1) 10(90.9) 1(9.1) 10(90.9) 小 鍋 アルミ 製 9 1 8 1 8 (+):10 年 以 上 使 用 ステンレス 製 2 2 2 (-):1 年 ~ 10 年 使 用 全 体 11 1(9.1) 10(90.9) 8(72.7) 3(27.3) コップ 磁 器 6 1 5 5 1 (+): 半 年 ~ 10 年 位 使 用 樹 脂 系 5 5 3 2 乳 (-):2 年 ~4-5 年 使 用 * 竹 箸 はコーティングあり(1 年 使 用 ) 調 理 器 具 の 洗 浄 は 洗 剤 たわしまたはスポンジを 使 用 して 手 洗 いをして 乾 燥 させているが 菜 箸 のみは 最 後 に 自 動 食 器 洗 浄 機 ( 以 後 洗 浄 機 とする)で 再 度 洗 浄 していた 1 園 は 軽 く 水 洗 い した 後 自 動 食 器 洗 浄 機 ( 以 後 洗 浄 機 とする)で 洗 浄 していた 表 2は 菜 箸 小 鍋 およびコップについて 行 った 卵 乳 アレルゲン 残 存 検 査 の 結 果 である 検 体 のふき 取 りは 菜 箸 は 先 端 1/ 4の 部 分 を 小 鍋 は 内 側 鍋 底 を コップは 内 部 全 体 と 外 縁 周 り1cm 幅 をふき 取 り テストストリップで 行 った 菜 箸 小 鍋 については 使 用 年 数 に 関 係 なく 乳 卵 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 は80% 以 上 が 陰 性 (-) であったが 残 存 が 認 められた 園 は 洗 浄 機 で 菜 箸 小 鍋 を 洗 浄 していた コップについては 卵 アレルゲン 残 存 は9.1%であったが 乳 アレルゲン 残 存 は72.7%と 高 く 洗 浄 が 不 十 分 であることが 分 かった
68 高 木 瞳 調 査 園 表 3 使 用 コップの 洗 浄 状 況 と 乳 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 コ ッ プ 洗 浄 状 況 予 備 浸 漬 材 質 使 用 状 況 洗 浄 方 法 浸 漬 時 間 洗 剤 本 洗 浄 ( 洗 浄 機 ) 洗 浄 温 度 時 間 A 磁 器 共 用 混 合 5 分 中 性 65 120 秒 B 磁 器 専 用 混 合 10 分 弱 アルカリ 60 75 秒 C メラミン 樹 脂 共 用 混 合 5~ 15 分 弱 アルカリ 65 60 秒 D 磁 器 共 用 混 合 15 ~ 20 分 弱 アルカリ 62 75 秒 E 磁 器 専 用 混 合 5~ 10 分 弱 アルカリ 60 90 秒 F メラミン 樹 脂 専 用 別 々 15 ~ 20 分 弱 アルカリ 62 90 秒 G 磁 器 専 用 別 々 10 ~ 15 分 弱 アルカリ 高 60 秒 H ポリプロピレン 専 用 別 々 5~ 20 分 弱 アルカリ 45 手 洗 い ( 洗 浄 機 なし) I ポリプロピレン 共 用 混 合 15 ~ 20 分 弱 アルカリ 65~75 55 秒 J メラミン 樹 脂 共 用 混 合 15 ~ 20 分 弱 アルカリ 80~85 60 秒 K 磁 器 共 用 混 合 15 ~ 20 分 中 性 47 30 秒 予 備 浸 漬 の 温 度 はおおよそ40 スポンジで 手 洗 い 使 用 状 況 : 専 用 はアレルギー 児 専 用 のこと 共 用 は 全 園 児 共 用 のこと 洗 浄 方 法 : 別 々 はアレルギー 児 専 用 食 器 と 他 の 園 児 の 食 器 を 区 別 してそれぞれ 洗 浄 すること 混 合 は 専 用 食 器 と 共 用 食 器 を 一 緒 に 洗 浄 すること 3) 食 器 等 の 洗 浄 方 法 について コップ 等 食 器 の 洗 浄 の 標 準 的 な 手 順 は 下 膳 食 器 回 収 残 渣 除 去 予 備 洗 浄 ( 浸 漬 洗 浄 剤 予 洗 い) 本 洗 浄 ( 洗 剤 洗 浄 で 手 作 業 と 洗 浄 機 洗 浄 ) 手 作 業 ですすぎ( 洗 浄 機 の 場 合 は 本 洗 浄 すすぎ 作 業 が 一 体 化 ) 汚 れとすすぎの 確 認 ( 汚 れ 確 認 の 場 合 は 再 洗 浄 ) 消 毒 保 管 庫 で 乾 燥 保 管 となっている 表 3は 園 での 使 用 コップの 材 質 牛 乳 アレルギー 児 専 用 コップ( 以 後 専 用 コップ とする) または 全 園 児 共 用 コップ( 以 後 共 用 コップ とする)の 区 別 洗 浄 方 法 など 洗 浄 状 況 を 示 したもの である 専 用 コップを 使 用 している 園 は 11 園 中 5 園 であった その 中 の3 園 の 専 用 コップ 洗 浄 は 共 用 コップと 別 々に 洗 浄 する( 以 後 別 々 洗 浄 とする) 方 法 で あ っ た 2 園 は 専 用 共 用 コッ プを 一 緒 に 洗 浄 する( 以 後 混 合 洗 浄 とする) 方 法 をとっていた 予 備 洗 浄 では 浸 漬 洗 浄 剤 に 中 性 洗 剤 が2 園 その 他 9 園 はアルカリ 石 けん 液 や 洗 浄 機 専 用 洗 剤 を 希 釈 して 使 用 していた 予 備 浸 漬 時 間 は 流 しの 容 量 に 応 じての 流 れ 作 業 のため 5~ 20 分 と 食 器 によって 異 なっていたが 15 ~ 20 分 が5 園 と 多 かった 浸 漬 温 度 は40 前 後 であった 洗 浄 機 は10 園 に 設 置 されており ドアタイプが9 園 で コンベアータイプは1 園 であった 洗 浄 機 洗 浄 温 度 は 45 ~ 65 が 多 く 洗 浄 時 間 は60 ~ 90 秒 で 最 短 は30 秒 最 長 が120 秒 であり こ
保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 69 表 4 専 用 コップ(5 園 )の 材 質 洗 浄 別 によるアレルゲン 残 存 検 査 結 果 検 査 項 目 洗 浄 機 洗 浄 で 専 用 コップのみ 別 に 洗 浄 洗 浄 機 で 共 用 コップと 混 合 して 洗 浄 磁 器 ポリプロ メラミン 磁 器 ポリプロ メラミン 乳 アレルゲン (-) (-) (-) (+) (+) 卵 アレルゲン (-) (-) (-) (+) (-) 残 存 結 果 乳 アレルゲン:(-)100% 卵 アレルゲン:(-)100% 乳 アレルゲン:(-)0% 卵 アレルゲン:(-)50% 献 立 に 卵 料 理 未 使 用 アレルギー 児 用 は 別 献 立 表 5 共 用 コップ(6 園 )の 材 質 別 によるアレルゲン 残 存 検 査 結 果 検 査 項 目 洗 浄 機 で 共 用 コップと 混 合 して 洗 浄 ポリプロ 磁 器 メラミン 樹 脂 ピレン 乳 アレルゲン (+) (+) (+) (+) (+) (-) 卵 アレルゲン (-) (-) (-) (-) (-) (-)* 残 存 結 果 乳 アレルゲン:(-)16.7% 卵 アレルゲン:(-)100% * 委 託 職 員 が 多 く 手 洗 いを 重 視 献 立 に 卵 料 理 未 使 用 アレルギー 児 用 は 別 献 立 洗 浄 機 洗 浄 で 専 用 コップのみ 別 に 洗 浄 の 洗 浄 時 間 内 にアルカリ 性 洗 剤 で 本 洗 浄 すすぎを 行 っていた 1 園 は 洗 浄 機 が 無 く 手 作 業 による 洗 浄 であった 汚 れ 落 ちのチェックは 目 視 手 触 りで 実 施 されており 茶 シブ 着 色 食 品 の 汚 れ 付 着 を 確 認 していた 食 器 等 洗 浄 マニュアルは 1 園 にあり 洗 浄 機 使 用 説 明 マニュアルに 沿 った 内 容 で 実 施 していた その 他 の10 園 (90.9%)には 無 く 設 置 してある 洗 浄 機 説 明 書 が 不 明 や 仕 様 を 確 認 せず 使 用 してい る 園 があった 表 4 表 5は 専 用 コップおよび 共 用 コップの 材 質 洗 浄 方 法 別 による 乳 卵 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 である 専 用 コップ(5 園 ) 別 々 洗 浄 の3 園 では 材 質 に 関 係 なく 乳 卵 アレルゲン 残 存 結 果 は100% 陰 性 (-) であった 共 用 コップとの 混 合 洗 浄 の2 園 では 乳 アレルゲンの 残 存 は 陽 性 (+)を 示 し 専 用 コッ プへの 乳 アレルゲンの 付 着 が 推 測 できる 卵 アレルゲンにおいても 献 立 に 卵 料 理 未 使 用 の 園 では 陰 性 (-)を 示 したが 卵 使 用 園 の 混 合 洗 浄 では 付 着 が 認 められた 共 用 コップ(6 園 )においては 全 て 混 合 洗 浄 であるが 卵 アレルゲンは100% 陰 性 (-)を 示 し 卵 ア レルゲンのコップへの 付 着 は 認 められなかった 乳 アレルゲンについては 手 洗 いを 重 視 している 1 園 を 除 いた5 園 が 陽 性 (+)を 示 したことから 共 用 コップの 混 合 洗 浄 では 乳 アレルゲン 洗 浄 は 不 十 分 であると 推 測 できる このことから 専 用 コップ 使 用 で 別 々 洗 浄 が アレルゲン 残 存 率 が 低 いことがわかる 表 6は 給 食 担 当 者 の 予 備 洗 浄 についての 報 告 である 乳 アレルゲン 残 存 が 陰 性 (-)の 園 は 手 作 業 での 洗 浄 を 重 視 していた 陽 性 (+)を 示 した 園 のコップについて スポンジに 中 性 洗 剤 を 付 け
70 高 木 瞳 表 6 予 備 洗 浄 状 況 と 洗 浄 機 洗 浄 後 の 乳 アレルゲン 残 存 検 査 調 査 園 乳 アレルギー 児 (%) 給 食 担 当 者 による 予 備 洗 浄 の 実 態 記 述 乳 アレルゲン 残 存 結 果 園 での 洗 浄 再 洗 浄 * A 5.4 担 当 者 によって 洗 いの 基 準 が 異 なる (+) (-) B 3.3 洗 浄 は 丁 寧 にして 混 合 洗 浄 している (+) (-) C 1.4 ぬるま 湯 でさっと 洗 い 洗 浄 機 へ (+) (-) D 4.8 下 洗 い 後 洗 浄 機 に 入 れる (+) (-) E 13.8 混 合 洗 浄 月 に1 度 食 器 を 漂 白 する (+) (-) F 1.9 手 と 目 で 確 認 しながらスポンジで 洗 い 下 膳 も 別 専 用 食 器 は 最 後 に 洗 う (-) G 0.9 アレルギー 児 でなく 入 園 しアナフィラキシー 起 こ したので 洗 浄 も 重 視 (-) H 2.3 裏 や 溝 をしっかり 洗 い 以 前 (+)が 出 たので 専 用 食 器 は 別 に 置 く( 洗 浄 機 なし) (-) I 0.7 下 洗 いをして 説 明 書 通 りに 洗 浄 (+) (-) J 0.4 角 の 汚 れに 注 意 して 洗 浄 (-) K 2.0 手 作 業 できちっと 洗 っている(コンベアータイプ) (+) (+) * 再 洗 浄 は 予 備 洗 浄 においてスポンジに 中 性 洗 剤 ( 界 面 活 性 剤 28% )をつけて10 秒 間 こすり 洗 剤 を 流 し て 洗 浄 機 にかける て10 秒 間 こすり 洗 剤 を 流 して 洗 浄 機 で 再 洗 浄 した 後 に 残 存 検 査 を 行 った 結 果 7 園 中 6 園 が 陰 性 (-)となった 予 備 洗 浄 の 効 果 と 推 測 できる 4) 調 査 結 果 からの 課 題 食 器 の 予 備 洗 浄 での 浸 漬 洗 浄 剤 は 中 性 洗 剤 が2 園 アルカリ 性 洗 剤 の 使 用 が9 園 であった 中 性 洗 剤 は 油 汚 れがひどい 場 合 のみ 使 用 していた 洗 浄 機 の 洗 浄 剤 は 全 てメーカー 推 薦 のアルカリ 性 洗 剤 を 使 用 していた アルカリ 性 洗 剤 は アレルゲンタンパク 質 分 解 に 効 果 があるが 洗 浄 機 洗 浄 後 のアレルゲン 残 存 検 査 では 洗 浄 機 導 入 10 園 のコップの 乳 アレルゲン 残 存 陽 性 (+)は70%で あった 洗 剤 洗 浄 機 による 洗 浄 効 果 は 各 園 の 機 種 使 用 年 数 が 異 なるため アレルゲン 残 存 と 洗 浄 温 度 洗 浄 時 間 の 長 短 との 関 係 は 確 認 できなかった しかし 専 用 コップで 別 々 洗 浄 の 場 合 の 乳 アレルゲン 残 存 は 100% 陰 性 (-)であった また 手 作 業 で 洗 浄 している1 園 は 乳 アレルゲ ンの 残 存 が 認 められなかった 各 園 の 食 器 調 理 器 具 等 のアレルゲン 残 存 検 査 結 果 から 乳 アレルゲンの 残 存 は 牛 乳 使 用 コップ に 多 く(7 園 ) 次 に 菜 箸 (3 園 ) 小 鍋 (1 園 )であったが 洗 浄 方 法 材 質 使 用 年 数 などの 違 いに よる 顕 著 な 差 は 確 認 できなかった しかし スポンジ 使 用 で 予 洗 いした 再 洗 浄 では 一 定 の 成 果 が あった 洗 浄 マニュアルの 無 い 園 は90.9%(10 園 )あり 洗 浄 機 の 説 明 書 に 記 載 されている 予 洗 いの 必 要 性 を 確 認 せず 使 用 している 園 があった つまり 洗 浄 機 に 頼 り 過 ぎて 予 備 洗 浄 浸 漬 予 洗 い が 不 十 分 と 考 えられる 洗 浄 機 の 導 入 は 予 備 洗 浄 での 手 作 業 の 軽 減 を 期 待 してであるが 現 在 使 用 の 洗 浄 機 の 説 明 書 には 予 備 洗 浄 の 重 要 性 が 明 記 されている しかし アレルゲン 洗 浄 効 果 につ いての 記 載 はない アレルゲン 除 去 洗 浄 は 予 備 洗 浄 作 業 が 適 切 に 行 われているか 否 かが 非 常 に 重 要 なこととなる
保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 71 表 7 各 洗 浄 条 件 での 乳 アレルゲン 残 存 検 査 と 付 着 確 認 検 査 結 果 ( 数 字 は 件 数 ) 条 件 検 体 コップ の 状 態 と 数 乳 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 残 存 率 (% ) 園 の 洗 浄 済 み 食 器 * 24 (-)4 (+)20 83.3 0.2% 洗 浄 機 専 用 洗 剤 40 15 分 浸 漬 洗 浄 機 洗 浄 (+)20 (-)5 (+)15 75.0 0.3% 洗 浄 機 専 用 洗 剤 40 15 分 浸 漬 洗 浄 機 洗 浄 (+)11 (-)5 (+)6 54.5 0.2% 洗 浄 機 専 用 洗 剤 をスポンジに 付 け10 秒 手 洗 い 洗 浄 機 洗 浄 (+)3 (-)2 (+)1 33.3 0.2% 洗 浄 機 専 用 洗 剤 40 20 分 浸 漬 スポンジで 10 秒 手 洗 い 洗 浄 機 洗 浄 (+)3 (-)3 (+)0 0 (+) (-)コップの 混 合 洗 浄 付 着 検 査 (+)3 (-)0 (+)3 100 洗 浄 機 中 の 溜 め 水 の 状 態 : 乳 (+) ph 8 (-)3 (-)0 (+)3 100( 付 着 ) * 食 器 はアレルギー 児 専 用 で 予 備 洗 浄 は 混 合 で 石 けん 液 に 数 分 浸 漬 後 水 洗 いして 食 器 洗 浄 機 (60 75 秒 )で 洗 浄 したもの 検 体 (+)コップは 牛 乳 100mlをコップに 入 れ15 分 放 置 し 水 ですすいたもの 以 上 のことから 課 題 は 洗 浄 機 の 説 明 書 の 確 認 をすすめること 給 食 担 当 者 の 労 働 軽 減 と 合 理 的 かつ 効 果 的 な 洗 浄 方 法 の 検 討 が 必 要 である Ⅲ 食 器 洗 浄 方 法 の 検 討 1. 洗 浄 機 の 洗 浄 能 力 について 1) 乳 アレルゲンの 洗 浄 機 での 洗 浄 効 果 表 7は 乳 アレルゲン 残 存 率 83.3%の 洗 浄 機 を 用 いて 予 備 浸 漬 時 の 洗 浄 機 専 用 洗 剤 濃 度 および 予 備 洗 浄 方 法 の 違 いによる 洗 浄 効 果 を 調 べた 結 果 である 本 洗 浄 機 専 用 の 洗 剤 濃 度 は0.2 ~ 0.3%となっていることから 洗 剤 濃 度 0.2%と0.3%について 洗 浄 効 果 を 比 較 した 同 一 浸 漬 温 度 浸 漬 時 間 で 洗 浄 機 洗 浄 をした 場 合 は 0.3% 洗 剤 濃 度 の 方 が アレルゲン 残 存 率 54.5%と 低 いが アレルゲン 洗 浄 効 果 は 高 くない 0.2% 洗 剤 濃 度 でスポンジ 手 洗 い 洗 浄 機 洗 浄 では33.3% 残 存 率 となり さらに40 20 分 浸 漬 スポンジで 手 洗 い 洗 浄 機 洗 浄 では アレルゲン 残 存 は100% 陰 性 (-)となった 混 合 洗 浄 では 陽 性 (+)コップは100%アレル ゲンが 残 存 し 陰 性 (-)コップにはアレルゲンの 付 着 が 全 てに 認 められた 洗 浄 機 中 の 溜 め 水 も 乳 アレルゲン 陽 性 (+)を 示 した このことから 予 備 洗 浄 においては スポンジでの 手 洗 いの 有 無 が 洗 浄 効 果 に 影 響 すると 推 測 できる また 陰 性 (-) 陽 性 (+)コップ 同 数 の 混 合 洗 浄 においては 陰 性 (-)コップへのアレルゲン 付 着 の 危 険 性 があると 考 える 2) 給 食 未 使 用 コップを 用 いての 混 合 洗 浄 での 乳 アレルゲン 残 存 検 査 洗 浄 機 の 洗 浄 効 果 を 見 るために 給 食 未 使 用 のコップを 用 いて 予 備 洗 浄 を 行 わず 混 合 洗 浄 後 の アレルゲン 残 存 検 査 を 行 った 表 8は 使 用 年 数 の 異 なる2 種 の 洗 浄 機 で 給 食 未 使 用 のコップについて アレルゲン 残 存 検 査 を 行 った 結 果 である いずれの 洗 浄 機 においても 全 てのコップが 陰 性 (-)を 示 し 新 しい 食 器 につい ては アレルゲンの 洗 浄 効 果 が 高 いことが 分 かる
72 高 木 瞳 表 8 未 使 用 食 器 による 自 動 食 器 洗 浄 機 の 洗 浄 効 果 と 再 付 着 状 況 ( 数 字 は 件 数 ) 条 件 コップの 状 態 と 数 乳 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 園 の 洗 浄 済 みコップ* 4 (-)2 (+)2 50.0% 残 存 H 社 (+)3 (-)2コップを 混 合 洗 浄 (+)3 (-)3 (+)0 0 洗 浄 機 中 の 溜 め 水 の 状 態 : 乳 (-) ph 8 (-)2 (-)2 (+)0 0 園 の 洗 浄 済 みコップ* 2 (-)2 (+)0 0 Y 社 (+)3 (-)3コップを 混 合 洗 浄 (+)3 (-)3 (+)0 0 洗 浄 機 中 の 溜 め 水 の 状 態 : 乳 (-) ph 8 (-)3 (-)3 (+)0 0 * 園 で 使 用 中 のコップを 通 常 の 洗 浄 で 行 った 乳 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 検 体 は 乳 アレルゲン 陰 性 (-)コップと 牛 乳 100mlをコップに 入 れ15 分 放 置 した 後 水 ですすいだものを 陽 性 (+)カップとした 洗 浄 機 の 本 洗 浄 の 洗 浄 時 間 と 洗 浄 温 度 :H 社 :60 75 秒 ( 使 用 10 年 以 上 ) Y 社 :72 60 秒 ( 使 用 1 年 未 満 ) 表 9 0.066% 界 面 活 性 剤 ( 中 性 洗 剤 )の 予 備 洗 浄 別 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 ( 数 字 は 件 数 ) 洗 浄 条 件 乳 アレルゲン 小 麦 アレルゲン 5 分 浸 漬 後 お 湯 の 流 水 中 でスポンジを 用 いて 軽 く 洗 浄 10 分 浸 漬 後 お 湯 の 流 水 中 でスポンジを 用 いて 軽 く 洗 浄 (+)2 (-)1 66% 残 存 (+)2 (-)1 66% 残 存 (+)3 100% 残 存 また 使 用 中 の 洗 浄 済 みコップについて 使 用 年 数 が 異 なる 洗 浄 機 で 洗 浄 した 場 合 10 年 以 上 使 用 した 洗 浄 機 において50%の 乳 アレルゲン 残 存 が 認 められ 1 年 未 満 の 洗 浄 機 では 陰 性 (-)であった 新 しい 洗 浄 機 の 洗 浄 効 果 は 高 く 食 器 においても 新 しいものほどアレルゲン 残 存 は 低 いことが 分 か る アレルゲンは 食 器 表 面 の 傷 口 に 残 る 可 能 性 があり 手 洗 いによる 洗 浄 が 必 要 であり 定 期 的 な 食 器 交 換 も 考 慮 すべきと 考 える 2. 予 備 浸 漬 ( 予 洗 い)における 洗 剤 および 洗 浄 条 件 についての 検 討 園 での 予 備 浸 漬 の 洗 剤 は 中 性 洗 剤 洗 浄 機 専 用 のアルカリ 性 洗 剤 またはアルカリ 性 石 けん 液 を 使 用 している 洗 剤 による 洗 浄 効 果 について 調 べた 給 食 未 使 用 の 磁 器 製 コップと 磁 器 皿 を 検 体 とし コップは 乳 アレルゲンを 磁 器 皿 は 小 麦 アレル ゲンについて 残 存 検 査 を 行 った 浸 漬 温 度 は40 とし スポンジは 柔 らかい 材 質 のポリウレタンフォーム 用 いて 軽 く2 回 検 体 を こすった 1) 中 性 洗 剤 および 洗 浄 機 専 用 洗 剤 による 乳 小 麦 アレルゲン 残 存 検 査 について 中 性 洗 剤 は 食 器 用 中 性 洗 剤 無 リン 台 所 用 合 成 洗 剤 ( 中 性 / 界 面 活 性 剤 44%)を 使 用 目 安 に 従 って 希 釈 して 用 いた 乳 アレルゲン 検 査 用 と 小 麦 アレルゲン 検 査 用 の 食 器 浸 漬 は 別 々に 行 った 乳 アレルゲンは 牛 乳 ( 乳 脂 肪 分 3.6% 以 上 )を 冷 たいまま 食 器 に 入 れ 小 麦 アレルゲンは 市 販 のゆでうどんを5 分 沸 騰 させ うどんと 汁 を 食 器 に 入 れた それぞれ 食 材 を 食 器 に 入 れて15 分 経 過
保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 73 表 10 食 器 洗 浄 機 専 用 洗 剤 (0.3% 濃 度 ph9)の 予 備 洗 浄 別 アレルゲン 残 存 検 査 結 果 洗 浄 条 件 乳 アレルゲン 小 麦 アレルゲン 5 分 浸 漬 後 スポンジにて 流 水 中 で 軽 く 洗 浄 (-) (+) 10 分 浸 漬 後 スポンジにて 流 水 中 で 軽 く 洗 浄 (-) (-) 浸 漬 した 食 器 をとりだした 後 の 洗 浄 液 (-) (-) 10 分 浸 漬 後 スポンジを 使 用 せずサッと 水 洗 いした 食 器 に0.9% 生 理 食 塩 水 1.0mlを 入 れて 全 体 にまわした 液 ( 綿 棒 は 使 用 せず) (-) (-) 後 食 材 を 除 いた 食 器 を 検 体 とした 浸 漬 時 間 洗 浄 方 法 の 異 なるアレルゲン 残 存 検 査 結 果 を 表 9に 示 す 中 性 洗 剤 (0.066% 界 面 活 性 剤 濃 度 )に10 分 浸 漬 後 スポンジ 洗 浄 では 乳 アレルゲンは66%の 残 存 率 小 麦 においては 全 てに アレルゲンの 残 存 が 認 められた 中 性 洗 剤 での 洗 浄 効 果 は 低 いと 考 えられる 中 性 洗 剤 は 高 起 泡 性 で 界 面 活 性 剤 による 油 脂 の 洗 浄 には 効 果 があるが 食 器 を 十 分 に 水 洗 した 後 に 洗 浄 機 に 移 さないと 洗 浄 機 専 用 洗 剤 のアルカリ 洗 浄 の 効 果 が 低 下 する 予 備 洗 浄 での 中 性 洗 剤 使 用 は アレルゲン 洗 浄 効 果 が 低 く 水 洗 いによる 水 量 と 洗 浄 時 間 が 必 要 となる 油 脂 洗 浄 にのみ 使 用 が 望 ましい 表 10は 0.3% 洗 浄 機 専 用 洗 剤 での 浸 漬 時 間 別 のアレルゲン 残 存 検 査 結 果 である スポンジにて 流 水 中 で 洗 浄 した 場 合 は 5 分 浸 漬 で 小 麦 アレルゲンが 残 存 していたが 10 分 浸 漬 では 乳 小 麦 ア レルゲンともすべて 陰 性 (-)であった また 食 器 をとりだした 洗 浄 液 とスポンジ 未 使 用 の 食 器 に おいても 乳 小 麦 アレルゲンとも 全 て 陰 性 (-)を 示 した アルカリ 性 洗 剤 は タンパク 質 分 解 作 用 があり アレルゲン 残 存 検 査 陰 性 (-) 結 果 がそれを 証 明 している しかし 洗 浄 機 専 用 洗 剤 は 水 洗 作 業 の 短 縮 と 洗 浄 効 果 はあるが 食 器 数 が 多 い 場 合 は 手 洗 いに 時 間 がかかり アルカリ 性 液 との 皮 膚 接 触 が 避 けられず 問 題 が 残 る 2) 台 所 用 石 けん 液 によるアレルゲン 別 の 残 存 検 査 について 台 所 用 石 けん 液 ( 液 状 弱 アルカリ 28% 脂 肪 酸 カリウム)を 用 いて コップの 予 備 洗 浄 での 効 果 を 調 べた 実 験 方 法 は アレルゲンと 接 触 させたコップを 40 の 石 けん 液 ( 水 3Lに15mlの 石 けん 原 液 ph8.4 ~ 8.6)に 浸 漬 し 経 過 時 間 毎 に 取 り 出 して 流 水 で 洗 剤 を 流 す 検 体 と スポンジで 軽 く2 回 ま わして 水 で 流 した 検 体 について 乳 小 麦 卵 アレルゲン 残 存 検 査 を 行 った 乳 アレルゲンは 60 に 加 温 した 牛 乳 をコップに 入 れて20 分 放 置 し 内 容 物 を 捨 て 軽 く 水 洗 いし たコップと 牛 乳 を 入 れないコップを 対 照 として 同 一 桶 に 浸 漬 した 小 麦 アレルゲンは うどん(100gに400mlの 水 を 加 え10 分 沸 騰 )を 卵 アレルゲンは 炒 り 卵 ( 空 炒 りの 状 態 )をコップに 入 れて20 分 放 置 同 様 に 行 った 表 11に 実 験 結 果 をまとめて 示 す 20 分 浸 漬 の 対 照 食 器 には アレルゲンの 付 着 が 乳 アレルゲンで50% 認 められたが 小 麦 卵 アレ ルゲンについては 認 められなかった 予 備 洗 浄 において スポンジでの 手 洗 いを 行 えば 小 麦 卵
74 高 木 瞳 表 11 台 所 用 アルカリ 石 けん 液 によるアレルゲン 別 予 備 洗 浄 での 残 存 検 査 結 果 ( 数 字 は 件 数 ) 浸 漬 時 間 乳 アレルゲン( 牛 乳 ) 小 麦 アレルゲン(うどん) 卵 アレルゲン( 炒 り 卵 ) スポンジ すすぎ スポンジ すすぎ スポンジ すすぎ 5 分 (+) (+) (-) (+) (-) (+) 10 分 (-) (+) (-) (+) (-) (+) 15 分 (-) (+) (-) (+) (-) (+) 20 分 (-)2 (+)2 (-)2 (+)2 (-) (+) 対 照 (20 分 ) (+) (-) (-)2 (-) スポンジ:スポンジで 手 洗 い すすぎ:スポンジを 使 用 せず 流 水 で 流 す 表 12 特 定 原 材 料 のスクリーニング 試 験 結 果 検 体 ELISA 法 による 分 析 結 果 検 体 A( 小 麦 ): 小 麦 使 用 食 器 検 出 せず 定 量 下 限 (1.0μg/g) ELISA 法 検 体 B( 乳 ): 牛 乳 使 用 コップ 検 出 せず 定 量 下 限 (1.0μg/g) ELISA 法 検 体 B( 乳 ): 牛 乳 使 用 コップ 検 出 せず 定 量 下 限 (1.0μg/g) ELISA 法 日 本 食 品 分 析 センターによる 分 析 アレルゲンは 浸 漬 時 間 5 分 で 陰 性 (-)を 示 し 乳 アレルゲンは10 分 で 陰 性 (-)であった スポン ジを 使 わず 食 器 の 石 けん 液 を 水 で 流 した 場 合 は 20 分 間 浸 漬 においても 乳 小 麦 卵 アレルゲン 残 存 結 果 は 100% 陽 性 (+)であった このことから 台 所 アルカリ 石 けん 液 においては 浸 漬 時 間 は 5 分 以 上 とし スポンジにて 手 洗 いし 洗 浄 機 にかけるのが 望 ましい アレルゲン 食 器 洗 浄 後 の 洗 浄 機 内 環 境 ( 溜 め 水 壁 面 等 )がアレルゲン 陰 性 (-)である 場 合 は 混 合 洗 浄 であっても 食 器 のアレ ルゲン 残 存 は 陰 性 (-)の 確 率 が 高 い 3. 給 食 後 洗 浄 済 み 食 器 コップから 溶 出 されるアレルゲン 濃 度 の 定 量 園 の 洗 浄 済 み 食 器 のアレルゲン 残 存 検 査 ( 定 性 )において 乳 小 麦 アレルゲンに 陽 性 (+)が 認 め られたが アレルゲン 陽 性 (+)のコップおよび 食 器 で 飲 食 した 場 合 を 想 定 して 食 器 からの 体 内 に 移 行 するアレルゲン 量 の 定 量 を 試 みた 検 体 のコップおよび 食 器 に 0.9% 食 塩 水 100mlを 入 れ ガラス 棒 にて15 分 混 ぜた 液 ( 溶 出 液 )につ いてアレルゲン 定 量 を 依 頼 した 分 析 は 小 麦 乳 について 日 本 食 品 分 析 センター 名 古 屋 に 小 麦 1 本 乳 2 本 を 依 頼 した 検 査 は アレルギー 物 質 を 含 む 検 査 方 法 に 基 づき モリナガFASPE 測 定 キットおよび FASTKITエライザVer.Ⅱを 用 いての 測 定 を 行 った 表 12に 示 すように 検 査 結 果 は 全 て1.0μg/gの 定 量 下 限 で 検 出 せず であった アレルゲン 残 存 検 査 のテストストリップでは 25ng/ml 以 上 のアレルゲンタンパク 量 で 陽 性 (+)
保 育 所 給 食 における 効 果 的 なアレルゲン 洗 浄 の 検 討 75 を 示 しているが 定 量 では1.0μg/g 以 下 であった 加 工 食 品 のアレルゲン 物 質 の 表 示 義 務 は 食 品 中 に 含 まれる 特 定 原 材 料 等 の 総 タンパク 量 が 数 μg/ml 濃 度 レベルまたは 数 μg/g 含 有 レベルに 満 たない 場 合 は 表 示 の 必 要 性 がないレベルとなっている 3) 数 ng/ml 濃 度 レベルでは ほぼアレルギー の 誘 発 はないであろうと 考 えられているが 数 μg/gのレベルは アレルギー 誘 発 に 個 人 差 があるレ ベル 範 囲 であるので 食 器 等 の 洗 浄 においても 十 分 対 応 が 必 要 と 考 える Ⅳ 要 約 保 育 所 等 での 食 物 アレルギー 対 応 給 食 の 実 施 は その 重 要 性 が 理 解 され 行 政 等 の 指 導 もあり 浸 透 している 給 食 では アレルゲン 除 去 を 基 本 とし アレルギー 児 専 用 食 器 が 使 用 されているが その 洗 浄 については 軽 視 されている 傾 向 にある 今 回 は 保 育 所 等 の 調 理 器 具 等 の 洗 浄 方 法 を 聞 きとり 洗 浄 調 理 器 具 等 のアレルゲン 残 存 検 査 は ふき 取 り 操 作 によってテストストリップで 判 定 を 行 い 洗 浄 の 実 態 を 明 らかにすることができた 調 査 結 果 および 検 討 した 洗 浄 方 法 を 要 約 すると 以 下 のようになる 1. 洗 浄 後 保 管 中 の 菜 箸 および 小 鍋 (ステンレス アルミ)についての 乳 卵 アレルゲン 残 存 検 査 で は 11 園 中 1 園 が 菜 箸 小 鍋 ともに 乳 卵 アレルゲンともに 陽 性 (+)を 示 した その 他 2 園 が 菜 箸 で 乳 アレルゲン 陽 性 (+)であったが 菜 箸 小 鍋 ともに 卵 アレルゲンは 全 て 陰 性 (-)であった アレルゲン 陽 性 (+)の 菜 箸 の 材 質 は 木 製 で 小 鍋 はアルミ 製 であった 2. 食 器 洗 浄 後 のアレルギー 児 専 用 コップの 乳 アレルゲン 残 存 は 11 園 中 8 園 (72.7%)に 認 められ た 残 存 検 査 が 陰 性 (-)であった 食 器 の 材 質 は 磁 器 ポリプロピレン メラミン 樹 脂 であり 材 質 による 洗 浄 効 果 の 差 は 認 められなかった 3. 洗 浄 機 の 洗 浄 時 間 が 短 いため 予 備 洗 浄 が 不 完 全 で 洗 浄 機 に 頼 った 洗 浄 では アレルゲン 残 存 検 査 が 陰 性 (-)になる 確 率 は 低 かった 4. 予 備 洗 浄 において アルカリ 性 洗 剤 とスポンジ 使 用 による 手 洗 いに 効 果 が 認 められた スポン ジによる 手 洗 いがあれば 予 備 浸 漬 時 間 は5 分 以 上 で 残 存 検 査 は 陰 性 (-)となった スポンジ 手 洗 いをしない 場 合 は アルカリ 液 での 浸 漬 時 間 は20 分 以 上 必 要 であった 5. 専 用 食 器 のみスポンジで 洗 浄 すれば 他 の 食 器 と 混 合 洗 浄 をしてもアレルゲン 付 着 は 認 められ なかった また 新 しい 食 器 ほど 洗 浄 効 果 が 高 く 茶 シブなどの 汚 れがあるとアレルゲン 付 着 の 可 能 性 がある 6. 新 しい 洗 浄 機 ほど 洗 浄 効 果 は 高 いが アレルゲン 食 器 洗 浄 後 洗 浄 機 の 機 内 環 境 ( 溜 め 水 壁 面 等 )がアレルゲン 陰 性 (-)である 場 合 は 混 合 洗 浄 であっても 食 器 のアレルゲン 残 存 は 陰 性 (-) の 確 率 が 高 かった 7.テストストリップによる 食 器 のアレルゲン 残 存 検 査 結 果 が 陽 性 (+)であっても ELISA 法 に よる 乳 小 麦 の 定 量 は 定 量 下 限 (1.0μg/g)で 検 出 せず であった しかし 数 μg/g(μg/ml) 濃 度 レベルでは アレルギーの 誘 発 には 個 人 差 があるので 特 に 重 篤 な 食 物 アレルギー 児 の 食 器 等 の 洗 浄 においては 注 意 が 必 要 である Ⅴ おわりに 食 物 アレルギー 対 応 給 食 は 乳 幼 児 期 に 多 い 保 育 園 等 で 大 きく 前 進 している しかし 微 量 混 入
76 高 木 瞳 でアナフィラキシーの 誘 発 や 死 亡 事 故 など 命 にかかわる 問 題 を 含 み その 誘 発 アレルゲン 量 のレベ ルには 個 人 差 があり 対 応 の 課 題 は 多 い 本 調 査 研 究 では 給 食 担 当 者 の 食 器 等 洗 浄 の 負 担 軽 減 を 目 指 し なおかつ 食 物 アレルゲン 残 存 が 陰 性 (-)となる 洗 浄 方 法 について 検 討 した 結 果 から 専 用 コップと 共 用 コップは 別 々に 洗 浄 するのが 望 ましく 予 備 浸 漬 でのスポンジ 洗 浄 が 最 も 効 果 的 な 洗 浄 方 法 であった この 基 礎 データを 基 に 今 後 の 保 育 所 給 食 での 具 体 的 な 洗 浄 方 法 の 提 案 につ なげたい 謝 辞 本 調 査 研 究 において 施 設 での 洗 浄 検 査 等 にご 協 力 いただいた 保 育 園 等 の 園 長 先 生 並 びに 給 食 担 当 者 の 皆 様 そして 検 査 実 施 にご 協 力 くださいました 特 定 非 営 利 活 動 法 人 アレルギー 支 援 ネット ワークの 皆 様 に 感 謝 申 し 上 げます なお 本 研 究 は 平 成 23 年 度 本 学 研 究 助 成 金 の 交 付 を 受 けて 行 ったものであることを 記 し 謝 辞 といたします 引 用 文 献 1) 原 正 美 他 : 食 器 および 調 理 器 具 に 残 存 する 食 物 アレルゲンの 検 討. 小 児 保 健 研 究,70:744-752,2011 2) 高 木 瞳 : 食 物 アレルギー 対 応 給 食 のあり 方 4 保 育 園 給 食 への 対 応. 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 短 期 大 学 部 紀 要,42:97-106,2010 3) 消 費 者 庁 ホームページ:アレルギー 物 質 を 含 む 食 品 に 関 する 表 示 Q&A. URL:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin12.pdf 参 考 文 献 1) 厚 生 労 働 省 : 保 育 所 におけるアレルギー 対 応 ガイドライン. 平 成 23 年 3 月 2) 日 本 保 育 園 保 健 協 議 会 : 保 育 所 におけるアレルギー 対 応 の 手 引 2011. 平 成 23 年 3 月 3) 文 部 科 学 省 スポーツ 青 少 年 局 学 校 健 康 教 育 課 : 調 理 場 における 洗 浄 消 毒 マニュアルPartⅡ. 平 成 22 年 3 月 4) 日 本 食 品 洗 浄 剤 衛 生 協 会 : 学 校 給 食 における 食 器 の 洗 浄 について 食 器 洗 浄 機 用 洗 浄 剤 の 使 用 実 態 と 適 切 な 洗 浄 オペレーション. 平 成 22 年 4 月