防 災 ARの 試 みと 今 後 の 可 能 性 について 細 川 直 史 1
阪 神 淡 路 大 震 災 における 情 報 の 空 白 阪 神 淡 路 大 震 災 ( 兵 庫 県 南 部 地 震 ) 発 生 日 時 :1995 年 1 月 17 日 午 前 5 時 46 分 被 害 が 大 きかった 場 所 : 兵 庫 県 神 戸 市 淡 路 島 地 震 の 大 きさ:マグニチュード7.3 最 大 震 度 7 被 害 : 死 者 行 方 不 明 者 6435 人 全 部 こわれた 建 物 10 万 4906 戸 焼 けた 建 物 7483 戸 壊 れた 高 速 道 路 上 で 転 落 寸 前 で 止 まったバス 早 朝 のニュースで 家 屋 の 倒 壊 高 速 道 路 の 倒 壊 火 災 の 発 生 は テレビ 中 継 されていた 初 動 の 対 応 が 遅 れたのは 危 機 管 理 体 制 の 在 り 方 の 問 題 神 戸 市 内 の 火 災 の 様 子 地 震 で 倒 壊 したビル 2
兵 庫 県 南 部 地 震 での 主 な 自 治 体 による 死 者 把 握 数 の 時 間 変 化 1. 2 1 ITAMI 北 淡 町 HOKUDAN DEATHS I N THE 1995 HYOGOKEN- NANBU EQ. AMAGASAKI NORMALI ZED CUMULATI VE FREQ 0. 8 0. 6 0. 4 OSAKA ASHIYA TAKARAZUKA NISHINOMIYA KOBE 神 戸 市 0. 2 3 0 0 50 100 150 200 LAPSE TI ME( HOUR) 人 口 が 多 く, 被 害 が 大 きいほど 情 報 収 集 に 時 間 がかかる b
消 防 活 動 支 援 情 報 システムの 基 本 理 念 兵 庫 県 南 部 地 震 のように 極 めて 甚 大 な 被 害 をこうむると 消 防 等 公 設 防 災 機 関 にあっても 十 分 な 要 員 の 確 保 が 困 難 応 急 対 策 のための 情 報 が 殆 どない 情 報 の 空 白 期 間 が 生 じる 恐 れ 消 防 本 部 では, 対 策 本 部 の 設 置, 広 域 応 援 要 請 等 の 判 断 を 早 急 に 下 す 必 要 火 災 等 消 防 活 動 案 件 に 対 しては 迅 速 な 対 応 火 災 件 数,その 他 の 被 害 の 予 測 結 果 を 考 慮 しつつ できるだけ 実 被 害 を 収 集 全 体 の 火 災 等 被 害 件 数 が 消 防 力 を 大 きく 上 回 る 可 能 性 適 切 に 消 防 力 の 運 用 方 法 を 判 断 する 必 要 1. 情 報 の 空 白 をいかに 埋 めるか 2. 災 害 情 報 をどのように 収 集 するか 3. 情 報 を 如 何 に 確 実 に 消 防 本 部 等 へ 伝 達 するか 4. 情 報 をどのように 消 防 活 動 等 に 活 用 するか 4
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Hazard and risk assessment 地 震 被 害 想 定 システム Damage Estimated Various Damage Ground motion Numbers of collapsed wooden houses, fires and deaths. Population V max ESTIMATION METHOD Point or fault model Attenuation curve V h Amplification Factor R Faluts DATA Digital National Land Information (DNLI) Surface topography, elevation National Census data Population, Structures 6
危 機 管 理 における 対 処 能 力 ( 特 に 意 志 決 定 )の 向 上 にあったて 情 報 の 収 集 能 力 初 動 の 情 報 の 空 白 をなくす 限 られた 情 報 からの 被 害 想 定 空 間 的 補 間 未 経 験 の 災 害 での 被 害 規 模 の 見 積 過 去 や 他 地 域 の 災 害 に 学 ぶ ( 経 験 の 無 さを 補 う) 時 間 空 間 経 験 のブランク( 空 白 )を 埋 めることが 重 要 情 報 システムが 現 在 も 貢 献 し 今 後 も 大 きな 役 割 を 果 たす 7
防 災 ARのきっかけ 大 災 害 の 記 録 や 伝 承 を 復 興 後 も 現 場 (AR 空 間 )に 残 せるの では? 防 災 情 報 メディアとしてのARの 活 用 の 可 能 性 は? 8 火 災 警 報 の 個 別 通 知 システム 建 物 内 や 火 災 近 傍 の 携 帯 端 末 (PDA)へBluetoothで 通 知 火 災 などの 警 報 を 自 分 の 位 置 から どの 方 向 に どの 距 離 に 災 害 があるのかを 在 館 者 や 近 接 住 居 者 に 伝 える 仕 組 みは 実 現 普 及 していない
防 災 ARの 試 みへ 自 分 が 立 っている 位 置 を 中 心 として どの 方 向 に どのくらい 離 れたところに 対 象 とする 物 があるか 確 認 できる 災 害 現 場 や 地 域 に 実 際 に 立 って ハザード 防 災 情 報 警 報 など を 確 認 できる 可 視 化 ツールの 試 作 を 試 みた 9
関 心 事 項 GPS 付 きスマートホンの 普 及 で 防 災 用 のア プリケーションが 普 及 するのでは? 現 場 での 適 切 な 防 災 行 動 につなげるために ARが 防 災 情 報 の 伝 達 手 段 になりうるか? (ジャイロやGPSの 精 度 は?) 表 示 される 情 報 の 質 と 量 を 担 保 する 方 法 は? 10
システムの 構 成 防 災 マップ 拡 張 現 実 空 間 への 情 報 の 登 録 地 域 や 災 害 現 場 での 確 認 身 の 回 りの 防 災 施 設 の 検 索 と 表 示 避 難 所 AED 消 防 署 病 院 Tabletop Exercise GAEサーバ AEDや 救 護 所 の 表 示 例 避 難 所 やAEDなどが ど の 方 向 に どのくらい 離 れたところにあるか 確 認 できる 災 害 履 歴 被 害 想 定 結 果 火 災 警 報 火 災 家 屋 倒 壊 斜 面 災 害 洪 水 の 水 位 コンテンツ データ (GAE :Google App Engine ) Layar サーバ 過 去 の 災 害 状 況 を その 現 場 に 立 って 確 認 周 辺 の 災 害 履 歴 の 詳 細 を 画 像 やホー ムページに 直 接 ア クセスして 確 認 でき る 災 害 警 報 の 表 示 過 去 の 震 災 記 録 の 表 示 例 煙 感 知 器 (アナログ 型 ) 通 報 情 報 災 害 の 発 生 場 所 方 向 や 距 離 を 知 ること ができる 住 宅 用 火 災 警 報 器 ( 移 報 接 点 情 報 ) 火 災 警 報 の 表 示 例 11
エアタグの 入 力 インターフェース 12
過 去 の 災 害 状 況 を その 現 場 に 立 って 確 認 周 辺 の 災 害 履 歴 の 詳 細 を 画 像 やホー ムページに 直 接 アク セスして 確 認 できる 過 去 の 震 災 記 録 の 表 示 例 13
災 害 警 報 の 表 示 災 害 の 発 生 場 所 方 向 や 距 離 を 知 るこ とができる 火 災 警 報 の 表 示 例 14
中 央 市 豪 雨 防 災 訓 練 ( 実 証 実 験 )について 訓 練 日 時 : 平 成 22 年 12 月 19 日 ( 日 ) 9:00~12:00 訓 練 場 所 : 田 富 北 保 育 園 ( 県 市 消 防 の 災 害 対 策 本 部 が 設 置 ) リバーサイド 第 1 分 館 ( 地 域 の 防 災 会 の 本 部 が 設 置 ) 田 富 北 保 育 園 15
AR( 拡 張 現 実 )を 利 用 した 防 災 情 報 提 示 実 験 12 月 19 日 の 中 央 市 豪 雨 防 災 訓 練 < 訓 練 想 定 > 要 援 護 者 の 逃 げ 遅 れが 発 生 し 地 域 防 災 SNSによって 救 助 要 請 の 通 報 が 入 り 消 防 団 が 救 助 に 向 かう < 実 験 の 手 順 > 要 救 助 者 の 自 宅 位 置 を 地 域 防 災 SNSから 取 得 したとい う 想 定 で サーバに 入 力 エアタグ 化 する 要 救 助 者 の 位 置 ( 救 助 チームから 方 向 や 距 離 )をAR 端 末 (Gala xytab)で 表 示 し この 表 示 情 報 だけで 要 救 助 者 を 発 見 できるか を 確 認 する 16 IROHA 防 災 マップ(エアタグ 入 力 サーバ) AR 端 末 ( 現 場 での 情 報 提 示 )
AR( 拡 張 現 実 )を 利 用 した 要 援 護 者 の 位 置 特 定 実 験 スマートフォンのカメラで 撮 影 される 映 像 上 に 要 救 助 者 までの 距 離 や 方 向 が 表 示 される その 情 報 をもとに 目 的 地 までたどり 着 けるかを 確 認 した 目 標 まで118m 端 末 の 位 置 を 中 心 にしたエアタグの 分 布 表 示 要 救 助 者 の 位 置 ( 目 的 地 ) アイコン の 表 示 タグラベルの 表 示 要 救 助 者 まで118 メートル 端 末 の 位 置 17
目 標 まで55m 要 救 助 者 の 位 置 ( 目 的 地 ) 端 末 の 位 置 他 の 防 災 施 設 の 情 報 55メートル 18
要 救 助 者 まで17m > ほぼ 目 標 地 点 の 建 物 前 要 救 助 者 の 位 置 ( 目 的 地 ) 端 末 の 位 置 17メートル 19
結 果 要 救 助 者 の 位 置 や 方 向 性 については GPSの 精 度 が 比 較 的 保 証 されている 屋 外 の 実 験 であるので 的 確 に 情 報 提 示 がなされ 速 やかな 現 場 到 着 ができ た 要 救 助 者 の 位 置 特 定 が 困 難 と 考 えられる 地 域 の 地 理 不 案 内 な 救 助 隊 員 ( 特 に 都 市 部 )の 使 用 に おいて 有 効 であるとのコ メントが 得 られた 20
課 題 方 向 と 距 離 だけでは 途 中 の 道 路 閉 塞 や 遮 蔽 物 があった 場 合 には 目 的 地 にたどり 着 けない ( 地 図 表 示 モードの 併 用 やナビ 機 能 も 必 要 ) 画 面 に 注 意 が 行 き 足 下 がおろそかになる 長 時 間 スマートホンを 支 え 持 っているのは 困 難 さらなるUIの 工 夫 が 必 要 (たとえばHMDの 適 用 ) 21
電 子 防 災 マップ 機 能 について 端 末 側 22 スマートホンで 表 示 された 電 子 防 災 マップ (Layarのマップモード 表 示 )
電 子 防 災 マップ 機 能 について PC 等 Webブラウザ エアタグ 化 された 防 災 マップ( 避 難 所 病 院 消 防 署 など)を PCを 使 っ てウエブブラウザーで 表 示 する 機 能 23
電 子 防 災 マップ 機 能 について( 災 害 履 歴 ) 24 過 去 の 水 害 記 録 をエアタグ 化 し 詳 細 情 報 が インターネットで 閲 覧 可 能 となっている
スマートホンで 表 示 された 災 害 履 歴 25 (Layarのカメラモード)
まとめ 防 災 ARアプリは スマートフォンの 防 災 マップア プリとして 十 分 機 能 する GPSとジャイロの 計 測 精 度 は 屋 外 での 防 災 目 的 使 用 であれば 十 分 であった エアタグの 登 録 については Google(GAE)などの 活 用 で 作 業 が 容 易 であった 今 後 さらなる 取 り 組 みを オブジェクトの3 次 元 表 示 高 さ 情 報 26
消 防 活 動 が 困 難 な 地 下 空 間 等 における 消 防 活 動 支 援 情 報 システムの 開 発 位 置 特 定 システム 慣 性 航 法 装 置 を 利 用 した 自 立 測 位 電 子 タグを 利 用 した 位 置 補 正 位 置 表 示 システム 警 防 計 画 図 をデジタル 化 した3 次 元 表 示 シ ステム 通 信 システム 自 動 火 災 報 知 設 備 の 電 話 線 を 使 ったVDS L 通 信 警 防 計 画 図 27
ARの 防 災 分 野 での 活 用 について 活 動 現 場 での 情 報 提 供 天 井 付 近 980 天 ぷら 油 の 燃 焼 図 上 訓 練 (DIGなど)での 活 用 机 上 防 災 施 設 や 訓 練 での 注 意 地 点 の 確 認 現 場 炎 の 向 こうに 要 救 助 者 あり 防 災 上 重 要 となるポイントや 写 真 をエアタグとして 登 録 災 害 現 場 での 誘 導 ここに 急 病 人 がい ます ここに 要 救 助 者 が います ここに 消 火 栓 があ ります 地 下 街 での 情 報 提 示 28