本 資 料 は 学 会 代 議 員 との 意 見 交 換 を 踏 まえて 多 数 意 見 をまとめたものです しかし 学 術 団 体 として 多 様 な 意 見 があります これを 契 機 に 議 論 が 活 性 化 することを 期 待 します マンション 建 替 えに 関 する 意 見 ( 第 2 版 ) 当 日 の 口 頭 説 明 を 一 部 加 筆 千 葉 大 学 小 林 秀 樹 < 一 般 社 団 法 人 日 本 マンション 学 会 > マンションに 関 わる 専 門 家 が 参 加 する 学 術 団 体 (1992 年 設 立 ) 会 員 は 研 究 者 弁 護 士 建 築 士 マンション 管 理 士 コンサルタント 管 理 組 合 役 員 経 験 者 管 理 会 社 建 設 工 事 会 社 等
マンションの 建 替 え 決 議 について 決 議 要 件 を 無 条 件 で 緩 和 することには 強 く 反 対 します 理 由 : 所 有 権 は 保 護 することが 原 則 例 えば 中 古 マンションを 購 入 したところ しばらくして 多 数 決 で 所 有 権 の 売 却 を 強 要 されるとしたら 所 有 権 及 びマンションへの 信 頼 を 低 下 させる < 現 行 制 度 > ( 注 1) 規 約 で 定 める 下 記 は 標 準 管 理 規 約 の 場 合 通 常 の 維 持 管 理 に 関 する 事 項 過 半 数 ( 母 数 は 総 会 出 席 者 の 議 決 権 )( 注 1) 管 理 規 約 や 共 用 部 分 の 変 更 3/4 以 上 ( 母 数 は 区 分 所 有 者 及 び 議 決 権 ) マンションの 建 替 え 4/5 以 上 ( 同 上 ) 建 替 えの 公 共 性 が 明 確 な 場 合 は 例 外 的 に 緩 和 が 認 められると 考 えます 市 街 地 再 開 発 事 業 の 認 可 地 域 に 含 まれる 場 合 (2/3 以 上 ) 耐 震 性 に 务 る 場 合 は 耐 震 改 修 の 方 法 もあるため 緩 和 するには 建 替 えと 改 修 の 比 較 が 必 要
( 参 考 ) 特 別 多 数 決 の 数 値 について マンション 購 入 者 は 建 物 が 寿 命 に 達 するまでの 相 当 期 間 において 購 入 時 の 状 態 を 維 持 することを 期 待 して 区 分 所 有 関 係 に 入 ったと 解 することができます 現 行 制 度 における 下 記 の 数 値 は 適 切 であると 考 えられます 現 状 を 維 持 するための 決 議 1 通 常 の 維 持 管 理 過 半 数 の 普 通 決 議 現 状 を 変 更 するための 決 議 ( 反 対 者 の 所 有 権 を 制 約 するため 特 別 多 数 決 が 必 要 ) 1. 公 共 の 福 祉 の 観 点 からの 制 約 2 再 開 発 事 業 の 認 可 地 区 2/3 以 上 ( 外 部 的 理 由 ) 2. 区 分 所 有 者 の 調 整 からの 制 約 3 規 約 や 共 用 部 分 の 変 更 3/4 以 上 ( 内 部 的 理 由 ) 4マンション 建 替 え 4/5 以 上
マンション 建 替 えが 進 まない 理 由 決 議 要 件 ではなく 区 分 所 有 者 の 経 済 的 負 担 がおもな 理 由 です 建 替 え 成 功 例 は 建 物 の 容 積 を2~4 倍 に 増 加 増 やした 住 戸 (または 余 った 敷 地 )を 売 却 することで 区 分 所 有 者 の 金 銭 負 担 を 低 減 ( 参 考 ) 2002 年 の 法 整 備 前 は 全 員 同 意 による 建 替 えが 一 般 的 で 容 積 は 平 均 3.4 倍 整 備 後 は 平 均 2.8 倍 経 済 的 負 担 の 軽 減 には 次 の2つの 条 件 が 必 要 1 容 積 率 に 余 裕 があり 増 床 できる ( 法 定 容 積 率 に 比 べて 実 容 積 率 が 低 い) 2 立 地 が 高 地 価 で 住 宅 価 格 が 高 い 地 価 が 低 いと 戸 数 を 増 やしても 区 分 所 有 者 の 費 用 負 担 の 減 尐 はわずかになる 2つの 条 件 とも 満 たすマンションは 建 替 えが 終 了 しつつある 区 分 所 有 者 の 費 用 負 担 が 大 きいと 多 数 の 同 意 を 得 ることは 難 しいのが 実 態 今 後 は 建 替 えは 困 難 であることを 踏 まえた 施 策 が 重 要 になります 1マンション 解 消 制 度 の 創 設 2 老 朽 マンションの 再 生 の 重 視
区 分 所 有 関 係 の 解 消 について マンションの 解 消 制 度 ( 解 体 または 敷 地 建 物 の 売 却 )は 必 要 と 考 えます 今 後 の 人 口 減 尐 社 会 では マンション 建 替 えがさらに 困 難 になることを 踏 まえて 危 険 老 朽 マンションへの 対 策 として 多 数 決 による 解 消 の 実 現 が 必 要 注 : 解 消 後 は マンション 再 建 の 他 一 戸 建 住 宅 や 老 人 ホーム 建 設 などの 用 途 転 換 も 予 想 される 参 考 ) 仙 台 の 被 災 マンションでは 費 用 負 担 ができない 安 い 中 古 がある 等 により 建 替 えは 困 難 しかし 多 数 決 を 認 める 客 観 的 要 件 については 学 会 として 検 討 途 中 マンション 学 会 では 被 災 マンションの 解 消 制 度 を 提 言 したが 老 朽 マンションについては 研 究 課 題 が 多 く 現 段 階 で 明 確 な 方 針 を 示 すことは 困 難 解 消 の 場 合 は 同 敷 地 での 居 住 が 保 証 されないため 反 対 者 への 配 慮 が 重 要 また 抵 当 権 や 借 家 権 への 対 応 危 険 老 朽 度 の 判 断 基 準 事 業 法 の 必 要 性 など 未 解 決 課 題 が 多 い 耐 震 性 に 务 り 危 険 が 明 確 な 場 合 は 解 消 制 度 の 早 急 な 創 設 に 賛 成 します 議 決 要 件 は 解 消 だけではなく 建 替 え 耐 震 改 修 による 方 法 もあるため 4/5 以 上 を 想 定 耐 震 性 が 务 ることが 明 確 であることを 担 保 する( 公 的 機 関 が 証 明 する 等 の) 仕 組 みが 重 要
老 朽 マンションの 再 生 について 建 替 えの 困 難 化 を 踏 まえて 再 生 ( 改 修 や 施 設 導 入 等 )を 重 視 すべきです 理 由 : マンション 建 替 えに 関 する 法 律 や 補 助 制 度 が 整 備 された 反 面 老 朽 マンションの 再 生 については 未 整 備 一 件 の 金 額 は 小 さくても 多 数 の 取 り 組 みがあるため 相 当 の 経 済 効 果 が 期 待 できる <マンション 再 生 に 関 して 必 要 になる 施 策 ( 例 )> 1. 敷 地 と 共 用 部 分 の 処 分 ( 敷 地 の 賃 貸 規 約 共 用 部 分 の 取 得 売 却 等 )を3/4 以 上 で 実 施 2. 専 有 部 分 の 変 更 増 築 を 伴 う 大 規 模 改 修 等 (リモデリング 1 室 増 築 団 地 の 空 地 に 高 齢 者 住 宅 棟 を 増 設 する 等 )を4/5 以 上 で 実 施 3. 共 用 部 分 や 管 理 規 約 の 変 更 についての 決 議 要 件 を 緩 和 ( 下 記 参 照 ) 4. 耐 震 改 修 だけではなく 大 規 模 改 修 についても 建 替 えと 同 等 の 補 助 を 実 施 参 考 ) 団 地 型 マンションで 集 会 室 を 建 替 えて 福 祉 施 設 を 導 入 する 計 画 が 賛 成 70%を 確 保 しな がら 3/4に 達 せず 否 決 高 経 年 マンションでは 相 続 遠 隔 地 居 住 等 で 無 反 応 者 が 一 定 数 存 在 それらは 現 行 法 では 反 対 票 になるため 3/4 以 上 の 獲 得 は 難 しい 例 えば 所 定 の 手 続 きを 経 て も 無 反 応 者 は 母 数 から 除 くなどの 法 改 正 等 が 必 要 (2/3 以 上 の 出 席 で 集 会 を 成 立 させる 方 法 もある)
( 参 考 ) マンションの 生 涯 設 計 を 確 立 するための 課 題 高 経 年 マンションに 対 する 対 策 として 黄 色 枠 の 制 度 がある 白 枠 は 未 着 手 4/5 以 上 の 同 意 建 替 え 円 滑 化 法 高 経 年 のマンション 建 替 える 長 期 に 使 い 続 ける 過 半 の 同 意 解 消 する 新 規 建 設 現 行 制 度 の 課 題 団 地 型 での 建 替 えの 進 め 方 等 処 分 敷 地 や 規 約 共 用 部 分 の 活 用 修 繕 3/4 以 上 共 用 部 改 修 改 修 マンションの 寿 命 リモデリング 一 括 売 却 解 体 再 入 居 / 住 み 替 え 専 有 部 分 を 含 む 改 修 改 修 の 議 決 要 件 の 緩 和 建 替 える 解 消 する
団 地 型 マンションの 建 替 え 解 消 について 一 括 建 替 え 決 議 は 現 行 制 度 を 概 ね 維 持 することが 望 ましい 1. 一 括 建 替 え 決 議 において 各 棟 2/3 以 上 の 同 意 を 不 要 とする 件 すべての 団 地 内 建 物 が 同 じ 条 件 とは 限 らない 一 部 の 棟 のみが 不 利 にならないために 各 棟 2/3 以 上 の 同 意 を 要 件 とすることは 必 要 2. 社 宅 棟 が 含 まれる 団 地 において 一 括 建 替 え 決 議 を 可 能 とする 件 原 則 は 棟 別 建 替 え 決 議 を 積 み 重 ねることで 対 応 ただし 以 下 の3 条 件 が 整 う 場 合 に 一 括 建 替 え 決 議 を 認 めることは 要 考 慮 1 社 宅 所 有 者 の 同 意 2 一 般 棟 全 体 の4/5 以 上 の 同 意 3 一 般 棟 各 2/3 以 上 の 同 意 団 地 の 建 替 え 解 消 は 市 街 地 再 開 発 事 業 と 同 等 の 仕 組 みが 必 要 です 大 規 模 な 団 地 型 マンションの 建 替 え 等 は 敷 地 の 変 更 建 替 え 解 消 改 修 の 組 合 せ 計 画 変 更 工 期 区 分 等 を 伴 うことが 多 く 所 有 者 間 の 権 利 調 整 のみに 基 づいて 遂 行 することは 困 難 再 開 発 事 業 の 団 地 タイプ( 団 地 再 生 事 業 法 と 仮 称 )を 創 設 し 行 政 が 関 与 補 助 しつつ 敷 地 の 分 筆 交 換 多 様 な 手 法 の 組 合 せ 工 期 区 分 の 安 定 確 保 等 を 考 慮 して 進 めることが 必 要
容 積 率 の 緩 和 について 容 積 率 の 緩 和 には 原 則 として 反 対 します( 慎 重 に 扱 うことが 望 ましい) 容 積 率 の 緩 和 は 都 市 計 画 の 観 点 から 行 うもので マンション 建 替 えのみを 理 由 と した 敷 地 単 位 での 緩 和 には 慎 重 であるべき 下 記 4 条 件 に 配 慮 < 個 別 敷 地 での 緩 和 の 問 題 点 > 1 近 隣 の 反 対 に 配 慮 する 必 要 近 隣 の 反 対 運 動 につながる 反 対 の 恐 れがない 立 地 に 限 定 する 等 の 配 慮 が 必 要 2 隣 地 間 の 不 平 等 の 発 生 ( 地 域 の 広 がりで 検 討 する 必 要 ) 建 替 えマンションの 隣 地 に 新 築 がある 場 合 両 者 で 許 容 容 積 率 に 差 があるのは 不 合 理 < 容 積 率 の 緩 和 自 体 の 問 題 点 > 3 容 積 率 は 道 路 等 の 公 共 施 設 の 許 容 量 とのバランスに 配 慮 緩 和 する 場 合 は 受 益 者 に 対 して 公 共 施 設 等 の 整 備 ( 費 )を 求 めることが 原 則 4 容 積 率 は 住 環 境 や 都 市 景 観 への 総 合 的 配 慮 容 積 率 は 建 物 高 さや 日 照 採 光 等 を 全 体 として 維 持 する 仕 組 みとなっている 環 境 アセスメントや 日 影 規 制 等 では 複 合 日 影 等 を 制 御 できない 現 実 に 配 慮 複 合 日 影 : 一 つの 建 物 による 日 影 は 小 さくても 順 次 建 物 が 建 てられることで 日 影 が 大 きくなること