2014 No.14 IPCC 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 の 公 表 2014 年 3 月 25~29 日 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル( 以 下 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change) 第 38 回 総 会 および 第 2 作 業 部 会 会 合 が 横 浜 で 開 催 された IPCC 総 会 が 日 本 で 開 催 されるのは 今 回 が 初 めてであり 第 2 作 業 部 会 会 合 には 約 110 か 国 から 約 400 名 が 参 加 した そこでは 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 の 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM:Summary for Policy-Makers)が 承 認 公 表 されるとともに 第 2 作 業 部 会 報 告 書 の 本 体 が 受 諾 された 本 稿 では はじめにIPCCについて 概 説 し 次 に 今 回 採 択 された 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 ( 政 策 決 定 者 向 け 要 約 )の 概 要 をまとめたうえで 最 後 に 企 業 が 今 後 留 意 すべき 点 に ついて 解 説 する 1. 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル(IPCC)について 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル(IPCC)は 気 候 変 動 についての 評 価 を 行 うための 国 連 に よる 国 際 的 な 組 織 体 であり 1988 年 に 国 連 環 境 計 画 (UNEP:United Nations Environment Programme)および 世 界 気 象 機 関 (WMO:the World Meteorological Organization)によっ て 設 立 された IPCCの 目 的 は 気 候 変 動 とそれに 伴 う 潜 在 的 な 環 境 および 社 会 経 済 的 影 響 に 関 する 最 新 の 科 学 的 技 術 的 社 会 経 済 的 情 報 をレビュー 評 価 し 現 時 点 で 科 学 的 に 解 明 さ れている 情 報 を 世 界 に 示 すことである 一 方 IPCC 自 体 は 気 候 変 動 に 関 する 研 究 や 気 候 に 関 連 するデータおよびパラメータの 監 視 等 は 一 切 行 っていない 現 在 IPCCのメンバー 国 は 195 か 国 であり 数 千 人 の 科 学 者 がIPCCの 活 動 に 参 加 している IPCCは 最 高 決 議 機 関 である 総 会 と 3 つの 作 業 部 会 およびタスクフォースによって 構 成 さ れている( 図 1) 第 1 作 業 部 会 は 気 候 変 動 に 関 する 自 然 科 学 的 根 拠 第 2 作 業 部 会 は 気 候 変 動 に 関 する 影 響 適 応 脆 弱 性 第 3 作 業 部 会 では 気 候 変 動 の 緩 和 について 評 価 を 行 ってお り 国 際 的 温 室 効 果 ガスインベントリに 関 するタスクフォース では 温 室 効 果 ガスの 国 別 排 出 目 録 作 成 手 法 の 策 定 等 を 行 っている なお 第 2 作 業 部 会 で 扱 う 気 候 変 動 に 関 する 影 響 適 応 脆 弱 性 のうち 適 応 とは 既 に 起 こりつつある あるいは 起 こりうる 温 暖 化 の 影 響 に 対 して 自 然 や 社 会 のあり 方 を 調 整 する ことである また 脆 弱 性 とは 温 暖 化 や 極 端 な 現 象 を 含 む 気 候 変 動 による 影 響 の 受 けやすさ または 対 処 できない 度 合 いのことである さらに 地 球 温 暖 化 対 策 として 適 応 と 対 になるの が 第 3 作 業 部 会 で 扱 う 緩 和 である 緩 和 とは 地 球 温 暖 化 の 原 因 となる 温 室 効 果 ガスの 排 出 を 抑 制 することである 1 IPCCでは 気 候 変 動 の 解 明 に 関 連 する 最 新 の 科 学 的 技 術 的 社 会 経 済 的 情 報 のレビュー および 評 価 に 関 して 定 期 的 に 評 価 報 告 書 を 発 行 している 評 価 報 告 書 には 各 作 業 部 会 の 報 告 1 環 境 省 温 暖 化 から 日 本 を 守 る 適 応 への 挑 戦 2012 による 定 義 1
書 と 各 作 業 部 会 の 報 告 書 を 統 合 した 統 合 報 告 書 があり それぞれ 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) が 併 せて 作 成 されている 図 1 IPCCの 構 成 出 典 :IPCCのWebサイトより 弊 社 作 成 IPCCは 1990 年 に 第 1 次 評 価 報 告 書 を 発 表 して 以 降 1995 年 に 第 2 次 評 価 報 告 書 2001 年 に 第 3 次 評 価 報 告 書 2007 年 に 第 4 次 評 価 報 告 書 を 発 行 している 発 行 された 報 告 書 はそれぞれ 気 候 変 動 枠 組 条 約 締 約 国 会 議 (COP) 等 において 地 球 温 暖 化 および 気 候 変 動 対 策 の 取 組 みに ついて 科 学 的 根 拠 を 示 すものとして 重 要 な 役 割 を 果 たしている 2007 年 には IPCCは 地 球 温 暖 化 と 人 類 活 動 の 因 果 関 係 を 広 く 知 らしめた ことが 評 価 され 前 米 国 副 大 統 領 であるアル ゴア 氏 とともにノーベル 平 和 賞 を 受 賞 している 現 在 は 2013 年 から 2014 年 にかけて 第 5 次 評 価 報 告 書 が 作 成 されている 過 程 にあり 今 回 公 表 された 第 2 作 業 部 会 の 報 告 書 のほか 第 1 作 業 部 会 の 報 告 書 は 2013 年 9 月 にストックホルムで 開 催 された 第 36 回 総 会 において 第 3 作 業 部 会 の 報 告 書 は 2014 年 4 月 12 日 にベルリンで 開 催 さ れた 第 39 回 総 会 において それぞれ 公 表 されている 今 後 は 統 合 報 告 書 が 2014 年 10 月 にコペ ンハーゲンで 開 催 される 第 40 回 総 会 において 公 表 される 予 定 である 2
2. 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 ( 政 策 決 定 者 向 け 要 約 )の 概 要 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 は 2009 年 から 作 業 が 着 手 されており 2014 年 3 月 25 ~29 日 に 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM)が 承 認 公 表 されるとともに 評 価 報 告 書 本 体 が 受 諾 さ れた 評 価 報 告 書 の 作 成 には 70 か 国 から 243 名 の 代 表 執 筆 者 と 66 名 の 査 読 者 が 参 加 するととも に 436 名 の 執 筆 協 力 者 が 携 わっており 12,000 を 超 える 科 学 文 献 が 引 用 されている 今 回 の 報 告 書 では 気 候 変 動 によるリスクと 潜 在 的 なメリットのパターンの 変 化 について 評 価 を 行 ってお り 気 候 変 動 に 関 連 する 影 響 およびリスクを 適 応 と 緩 和 により 減 少 させ 管 理 することができるか という 点 について 検 討 している また 適 応 に 関 連 する 必 要 性 選 択 肢 機 会 制 約 レジリエ ンス( 強 靭 性 ) 2 限 界 およびその 他 の 側 面 について 評 価 している 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM)はA B Cの 3 つのセクションから 構 成 されており セクシ ョンAでは 観 測 されている 影 響 脆 弱 性 曝 露 および 適 応 策 について 明 らかにしている セクシ ョンBでは 将 来 的 なリスクと 潜 在 的 な 便 益 について 分 析 しており セクションCでは 気 候 変 動 に 係 る 今 後 のリスクを 管 理 し レジリエンスを 構 築 するために 効 果 的 な 適 応 の 在 り 方 等 につい て 検 討 している 次 に それぞれのセクションについて 概 説 する (1)セクションA: 観 測 されている 影 響 脆 弱 性 および 適 応 ここでは 気 候 変 動 は ここ 数 十 年 の 間 すべての 大 陸 および 海 洋 において 自 然 生 態 系 およ び 人 間 社 会 に 影 響 を 生 じており その 影 響 は 自 然 生 態 系 において 最 も 強 力 かつ 包 括 的 に 表 れてい る としており 前 回 の 第 4 次 評 価 報 告 書 よりも 断 定 的 な 表 現 が 用 いられた 図 2 では 気 候 変 動 に 起 因 して 観 測 された 影 響 と それぞれにおける 気 候 変 動 要 因 の 確 信 度 (confidence) 3 につい て 示 したものである 2 内 閣 官 房 国 土 強 靭 化 推 進 室 国 土 強 靭 化 とは? によれば 強 靭 性 とは 強 くてしなやかなこと とされて いる 3 モデル 解 析 あるいはある 意 見 の 正 しさについての 専 門 家 の 判 断 に 基 づく 不 確 実 性 の 程 度 を 表 す 3
図 2 世 界 において 広 がる 気 候 変 動 等 による 影 響 出 典 :IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) に 弊 社 加 筆 表 1 確 信 度 の 定 義 用 語 正 しさについての 確 信 度 確 信 度 が 非 常 に 高 い very high confidence 10 のうち 少 なくとも 9 が 正 しい 確 信 度 が 高 い high confidence 10 のうち 約 8 が 正 しい 確 信 度 が 中 程 度 medium confidence 10 のうち 約 5 が 正 しい 確 信 度 が 低 い low confidence 10 のうち 約 2 が 正 しい 確 信 度 が 非 常 に 低 い very low confidence 10 のうち1 未 満 出 典 : 気 象 庁 IPCC 第 4 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 政 策 決 定 者 向 け 要 約 の 日 本 語 訳 より 弊 社 作 成 ここでは 気 候 変 動 により 降 水 量 や 氷 雪 の 溶 解 が 変 化 し 水 資 源 の 水 量 や 水 質 に 影 響 が 出 たり 陸 上 および 水 中 の 生 物 の 生 息 域 や 生 態 に 変 化 が 生 じたり 農 作 物 にマイナスの 影 響 がより 多 く 発 生 していることが 示 されている また いくつかの 生 態 系 や 人 間 社 会 については 近 年 の 気 候 変 4
動 に 関 連 した 熱 波 干 ばつ 洪 水 等 の 極 端 現 象 (climate-related extremes)の 発 生 による 影 響 を 受 けやすく 被 害 が 生 じやすいことが 示 されている これらの 気 候 変 動 及 び 極 端 現 象 に 対 して これまでも 人 間 社 会 は 適 応 策 を 講 じて 対 処 すること により 程 度 の 差 はあるが 成 功 を 収 めてきており 一 部 においては 既 に 国 や 地 域 の 開 発 計 画 のプ ロセスに 組 み 込 まれて 実 施 されているものもある 気 候 変 動 および 極 端 現 象 の 影 響 が 明 らかとな る 中 多 くの 政 策 策 定 等 における 意 思 決 定 において 気 候 変 動 および 極 端 現 象 を 踏 まえることが 重 要 となっている 気 候 に 関 連 するリスクは 気 候 変 動 及 び 開 発 の 進 展 により 変 化 しており 変 化 す る 気 候 リスクに 対 応 するため 世 界 は 適 応 策 に 取 り 組 む 必 要 があるとしている (2)セクションB: 将 来 のリスクおよび 適 応 の 機 会 セクションBでは 今 後 数 十 年 における 将 来 的 なリスクと 潜 在 的 なメリットについて 示 してい る ここでの 主 要 リスク とは 気 候 変 動 枠 組 条 約 の 第 2 条 における 気 候 系 に 対 して 危 険 な 人 為 的 干 渉 を 及 ぼすこと 4 によって 深 刻 な 影 響 をもたらす 可 能 性 を 意 味 している 確 信 度 が 高 い(10 のうち 約 8 が 高 いレベル) 複 数 の 分 野 および 地 域 に 及 ぶ 主 要 リスクとして 表 2 の 8 項 目 が 示 されている また それぞれの 主 要 なリスクについて 補 足 し 包 括 する 5 つの 懸 念 の 理 由 があわせて 示 されている 懸 念 の 理 由 は 適 応 の 限 界 を 示 すものであり 気 候 システムを 脅 かす 人 為 的 干 渉 を 評 価 するための 一 つの 出 発 点 を 示 している 4 環 境 省 気 候 変 動 に 関 する 国 際 連 合 枠 組 条 約 ( 気 候 変 動 枠 組 条 約 ) による 定 義 5
表 2 主 要 リスクと 懸 念 の 理 由 出 典 :IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) より 弊 社 作 成 また 本 セクションでは 地 域 ごとの 主 要 なリスクと 適 応 の 可 能 性 についても 示 されている 例 えばアジアでは 主 要 なリスクとして1 洪 水 による 被 害 の 増 加 2 熱 関 連 死 のリスクの 増 加 3 干 ばつによる 水 及 び 食 糧 不 足 による 栄 養 失 調 リスクの 増 加 の 3 つが 挙 げられており それぞれ のリスクと 適 応 のポテンシャルが 現 在 近 未 来 (2030~2040 年 ) 長 期 (2080~2100 年 ) に 分 けて 示 されている 長 期 については 気 温 の 上 昇 が 2 の 場 合 と 4 の 場 合 に 分 けられて おり いずれも 気 温 の 上 昇 が 4 の 場 合 にリスクが 高 くなっている なお それぞれのリスクに 関 する 適 応 策 としては 効 果 的 な 土 地 開 発 計 画 および 選 択 的 な 移 住 や 監 視 及 び 早 期 警 報 システム の 導 入 ヒートアイランドを 減 少 させる 都 市 計 画 や 高 温 に 関 する 警 報 システムの 導 入 早 期 警 報 システムや 地 域 の 対 処 戦 略 を 含 めた 災 害 対 策 適 応 策 と 一 体 の 水 資 源 管 理 等 が 示 されており 適 応 策 によりリスクの 低 減 が 可 能 であることが 示 されている 6
(3)セクションC: 将 来 のリスクの 管 理 とレジリエンスの 構 築 気 候 変 動 のリスクを 管 理 するためには 次 世 代 および 将 来 的 な 経 済 環 境 を 意 識 して 適 応 策 と 緩 和 策 の 両 方 を 行 っていくことが 必 要 である このセクションでは レジリエンス( 気 候 変 動 に 対 して 強 靭 な 社 会 )を 構 築 し 気 候 変 動 の 影 響 に 適 応 するために 効 果 的 な 適 応 策 のあり 方 につ いて 評 価 するとともに 気 候 変 動 に 対 して 強 靭 な 社 会 を 構 築 するための 方 法 や 政 治 的 社 会 的 経 済 的 技 術 的 システムの 各 方 面 から 変 革 を 進 めることの 必 要 性 について 検 討 している 適 応 策 は 地 域 や 個 別 の 状 況 に 応 じて 講 じられるものであるため 1 つの 手 段 によってすべてのリ スクを 低 減 することはできない このため 現 在 の 気 候 変 化 に 対 して 影 響 を 受 けやすい 弱 い 部 分 や 被 害 が 生 じやすい 部 分 を 減 らしていくことが 将 来 の 気 候 変 動 に 向 けた 適 応 策 の 第 一 歩 となる 世 界 的 に 適 応 策 を 展 開 するためには 相 応 の 費 用 が 必 要 となる しかし 今 回 の 報 告 書 ではその 金 額 は 明 記 されず 全 世 界 における 適 応 策 の 必 要 性 と その 実 行 のために 必 要 な 資 金 には 隔 たりが あり また その 資 金 等 を 評 価 するためには さらなる 研 究 が 必 要 であるとされている 気 候 変 動 に 対 して 強 靭 な 社 会 を 構 築 していくためには 気 候 変 動 およびその 影 響 を 低 減 させる ための 適 応 と 緩 和 を 組 み 合 わせることにより 持 続 可 能 な 開 発 5 を 行 うことが 必 要 である そして 経 済 的 社 会 的 技 術 的 政 治 的 決 定 および 行 動 において 変 革 6 を 行 うことにより 気 候 変 動 に 対 して 強 靭 な 社 会 を 構 築 することが 可 能 となる 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 において 気 候 変 動 に 関 するリスク 管 理 に 関 して 核 となるコン セプトは 図 3 の 通 りである 5 外 務 省 Web サイト: 持 続 可 能 な 開 発 (Sustainable Development)によれば 環 境 と 開 発 に 関 する 世 界 委 員 会 が 1987 年 に 公 表 した 報 告 書 Our Common Future の 中 心 的 な 考 え 方 として 取 り 上 げた 概 念 であり 将 来 の 世 代 の 欲 求 を 満 たしつつ 現 在 の 世 代 の 欲 求 も 満 足 させるような 開 発 のこと 6 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) によれば 自 然 および 人 間 社 会 システムの 基 本 的 特 性 における 変 化 のこと この 政 策 決 定 者 向 け 要 約 においては 貧 困 の 削 減 を 含 む 持 続 可 能 な 開 発 に 向 けて 適 応 策 を 促 進 させるため パラダイム 目 標 又 は 価 値 観 を 強 化 変 化 又 は 同 調 させ 得 ることを 意 味 する 7
図 3 気 候 変 動 に 関 するリスクの 管 理 に 関 して 核 となるコンセプト 出 典 :IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) に 弊 社 加 筆 3. 企 業 における 留 意 点 IPCCの 評 価 報 告 書 は 主 に 国 際 的 な 地 球 温 暖 化 対 策 を 検 討 するための 科 学 的 な 根 拠 として まとめられたものであり 今 後 気 候 変 動 枠 組 条 約 の 締 約 国 会 議 (COP)で 議 論 される 新 しい 枠 組 みづくり 等 で 活 用 されるものである ここで 示 された 事 象 や 新 たに 特 定 された 地 球 温 暖 化 に 関 する 主 要 なリスクと 懸 念 の 理 由 等 は 企 業 においても 留 意 を 要 する 内 容 が 盛 り 込 まれている 気 候 変 動 に 関 連 して 既 に 顕 在 化 しつつあるリスクとして 例 えば ゲリラ 豪 雨 や 洪 水 等 の 極 端 な 気 象 現 象 によって 従 業 員 や 生 産 拠 点 の 安 全 が 脅 かされる 可 能 性 がある また 気 温 上 昇 降 水 量 の 変 動 等 により 農 作 物 等 の 生 産 に 影 響 が 生 じ 原 料 調 達 に 支 障 が 生 じる 可 能 性 がある 一 方 長 期 的 な 影 響 としては 海 面 上 昇 等 により 沿 岸 部 や 小 島 嶼 国 においてコミュニティが 成 り 立 たな くなったり 農 業 生 産 性 の 大 幅 な 低 下 により 食 糧 の 安 全 保 障 が 脅 かされる 等 の 可 能 性 がある こ のため 特 に 気 候 変 動 の 影 響 を 受 けやすいと 考 えられる 業 種 や 業 態 の 企 業 が 持 続 可 能 性 を 維 持 す るためには 今 回 示 されたような 最 新 の 科 学 的 知 見 を 有 する 専 門 家 にアドバイスを 仰 ぐ 等 積 極 的 な 情 報 収 集 により 自 社 におけるリスクや 取 るべき 適 応 策 を 把 握 し 対 応 可 能 なものについて は 備 えておくことが 重 要 である 気 候 変 動 によって 自 然 と 人 間 社 会 にもたらされるリスクを 地 形 分 類 別 に 俯 瞰 すると 特 に 乾 燥 地 域 を 中 心 とした 水 資 源 の 不 足 沿 岸 部 および 海 抜 の 低 い 地 域 おける 水 害 の 増 加 農 作 物 生 産 量 の 減 少 海 洋 資 源 の 減 少 と 食 糧 安 全 保 障 への 影 響 都 市 部 における 熱 波 洪 水 等 による 環 境 劣 化 等 が 重 大 なものとして 挙 げられる 8
企 業 においては 自 社 の 事 業 活 動 に 関 わる 地 形 地 域 の 特 徴 を 把 握 してリスクに 備 えるととも に これらのリスクへの 適 応 策 が 新 たなビジネスチャンスに 結 びつく 可 能 性 7 について 検 討 するこ とも 重 要 である 具 体 的 には 今 後 予 測 される 動 植 物 の 生 息 域 の 変 化 や 安 全 な 水 の 不 足 食 糧 不 足 等 に 対 して 気 候 変 動 の 影 響 を 受 けにくい 食 糧 生 産 システム 高 度 浄 水 技 術 食 糧 生 産 高 効 率 化 等 の 技 術 は 将 来 的 に 大 きなニーズが 見 込 まれる また 今 後 増 加 が 見 込 まれる 水 害 等 への 対 応 として 防 災 対 策 および 危 機 管 理 対 応 等 も 必 要 となる このため 適 宜 専 門 家 のアドバイス 等 を 受 けながら 気 候 変 動 によるリスクとチャンスを 積 極 的 にビジネスに 活 かすことが 求 められる [2014 年 5 月 21 日 発 行 ] 7 気 候 変 動 がもたらすビジネスリスクとチャンスについては 弊 社 2013 年 11 月 5 日 発 行 リスクマネジメント 最 前 線 地 球 環 境 の 変 化 がビジネスにもたらすリスクとチャンス ビジネスのための 地 球 環 境 概 況 第 5 次 報 告 書 を 参 照 願 う (http://www.tokiorisk.co.jp/risk_info/up_file/201311051.pdf) http://www.tokiorisk.co.jp/ 製 品 安 全 環 境 事 業 部 CSR 環 境 グループ 100-0005 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 1-2-1 東 京 海 上 日 動 ビル 新 館 8 階 Tel.03-5288-6582 Fax.03-5288-6596 9