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2006( 平 成 18) 年 9 月 13 日 放 送 と 人 権 等 権 利 に 関 する 委 員 会 決 定 第 30 号 権 利 侵 害 申 立 てに 関 する 委 員 会 決 定 放 送 と 人 権 等 権 利 に 関 する 委 員 会 [BRC] 委 員 長 竹 田 稔 申 立 人 衆 議 院 議 員 仙 谷 由 人 衆 議 院 議 員 枝 野 幸 男 被 申 立 人 株 式 会 社 テレビ 朝 日 Ⅰ. 申 立 てに 至 る 経 緯 苦 情 の 対 象 となった 放 送 番 組 テレビ 朝 日 報 道 ニュース 番 組 報 道 ステーション 放 送 時 間 2006 年 4 月 4 日 午 後 9 時 54 分 ~11 時 10 分 4 月 5 日 午 後 9 時 54 分 ~11 時 10 分 (テレビ 朝 日 系 列 で 全 国 放 送 ) 被 申 立 人 テレビ 朝 日 は 4 月 4 日 5 日 の 報 道 ステーション で 民 主 党 代 表 選 挙 に 関 して 報 道 したが 放 送 後 に 仙 谷 申 立 人 側 から 政 治 評 論 家 によって 虚 偽 の 事 実 を 摘 示 され 著 しく 名 誉 を 毀 損 された 訂 正 放 送 か 書 面 での 謝 罪 を 求 める と 電 話 で 抗 議 があった その 後 被 申 立 人 と 仙 谷 申 立 人 の 間 で3 回 にわたり 話 し 合 いが 行 わ れたが 決 着 がつかず 5 月 23 日 仙 谷 申 立 人 と 枝 野 申 立 人 が 連 名 でBRCに 審 理 の 申 立 てを 行 った これまでの 双 方 の 話 し 合 いでは 申 立 人 らは 政 治 的 な 謀 略 的 筋 書 きで 一 方 的 に 放 送 し 裏 づけ 取 材 なく 虚 偽 の 報 道 をした などと 主 張 したのに 対 し 被 申 立 人 は 真 実 ないし 真 実 と 信 じるに 足 る 相 当 な 理 由 がある 事 実 に 基 づいて 論 評 を 行 ったものだ と 反 論 した 当 委 員 会 は 当 該 番 組 を 視 聴 した 上 で 6 月 の 委 員 会 で 審 理 入 りを 決 定 した 1

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仙 谷 申 立 人 は 平 成 17 年 9 月 12 日 から 平 成 18 年 3 月 3 日 までの 間 枝 野 申 立 人 は 平 成 16 年 6 月 以 降 ( 平 成 17 年 8 月 26 日 から9 月 17 日 までを 除 く) 民 主 党 においていわゆる 執 行 部 の 役 職 についておらず この 一 年 半 執 行 部 をやってきた ものではない また 申 立 人 らはいずれも 末 松 氏 の 立 候 補 表 明 とは 全 く 関 係 がなく 同 氏 から 立 候 補 表 明 の 前 後 を 通 じて 全 く 何 の 連 絡 もなかった これら 諸 点 の 報 道 は 明 確 に 事 実 に 反 している 3 古 舘 氏 は 4 月 5 日 の 放 送 で 僕 はね こういう 人 たちね 評 論 家 のように 客 観 的 に うちの 党 は 寄 り 合 い 所 帯 だからっていっている 若 手 なんかの 人 の 事 聞 いていると はっきり 言 ってムカつくんですよ テレビなんかでも 言 われて いるの きっと と 若 手 を 断 罪 している ここまでくると 言 いたい 放 題 とい うべきで 品 位 の 問 題 にとどまらない 2. 放 送 倫 理 について テレビ 報 道 は 国 民 の 権 利 に 資 するものとして また 言 論 の 自 由 の 核 心 として そ の 事 実 指 摘 意 見 表 明 批 判 非 難 も 広 い 範 囲 で 許 容 されるべきであろう しかし 取 材 と 事 実 に 基 づくことなく 何 を 言 ってもよいということにはならない 図 式 にはめ 込 んだ 上 加 えて 一 方 的 立 場 に 立 ってなんらの 根 拠 無 く 反 小 沢 と 決 め 付 けたり ここがぐちゃぐちゃするもんですから 話 もできない 共 同 会 見 もできない こういう 形 になってしまった などと 事 実 を 捏 造 するなどということは 許 されるはず もない A 氏 は 仙 谷 さんとこのグループ( 中 堅 若 手 )は 反 小 沢 グループで この 話 し 合 い で 小 沢 氏 へ 一 本 化 する 動 きに 異 を 唱 えている と 独 断 し 憶 測 を 逞 しくするとともに 偏 頗 な 情 報 源 から 聞 きかじった 事 実 を 強 引 にあてはめて 編 集 し これを 古 館 氏 と A 氏 とのかけ 合 いで いわばプロレス 中 継 のように 善 玉 vs 悪 役 バトルに 仕 立 て 上 げ 放 送 したものである Ⅲ. 被 申 立 人 の 答 弁 の 要 旨 1. 名 誉 毀 損 について (1) 本 件 放 送 の 企 画 意 図 と 政 治 論 評 について 本 件 放 送 の 企 画 意 図 は 民 主 党 の 代 表 選 挙 がどのように 行 なわれ 内 部 でどの ような 話 し 合 いが 行 われているのかを 視 聴 者 にわかりやすく 伝 えようと 政 治 ジャーナリストのA 氏 をゲストに 迎 え 同 氏 の 論 評 を 含 めて 代 表 選 の 行 方 を 放 送 したものである 末 延 氏 は 自 身 が 民 主 党 内 やそのほかの 複 数 の 情 報 源 から 取 材 3

した 情 報 をもとに 番 組 内 で 解 説 論 評 したもので 申 立 人 らが 指 摘 するような 虚 偽 の 報 道 をして 名 誉 を 傷 つけたものではない (2) 名 誉 毀 損 と 放 送 局 への 要 求 本 件 放 送 は 公 共 の 利 害 に 関 する 事 項 について 専 ら 公 益 を 図 る 目 的 で 放 送 し たもので その 重 要 な 部 分 において 真 実 ないし 真 実 と 信 じるに 足 りる 相 当 な 理 由 がある 事 実 に 基 づいている そもそも 申 立 人 らが 虚 偽 であるとする 本 件 放 送 の 当 該 部 分 は 申 立 人 らの 社 会 的 評 価 を 低 下 させるものではなく 申 立 人 らの 名 誉 を 毀 損 するものではない (3) 事 実 関 係 虚 偽 の 事 実 に 基 づいて 放 送 を 行 ったと 指 摘 された 部 分 について 反 論 する 1 岡 田 さんを 担 ぎ 前 原 さんを 担 いだ 若 手 グループ その 後 見 人 は 仙 谷 さん との 部 分 は A 氏 の 取 材 に 基 づくもので また ( 若 手 グループの) 後 見 人 は 仙 谷 さん という 表 現 は 新 聞 報 道 にもしばしば 登 場 している 結 果 として 自 民 党 を 利 する との 部 分 は 新 代 表 選 びが 話 し 合 いでなく 選 挙 で 行 われると 民 主 党 の 力 を 削 ぎ 結 果 として 自 民 党 を 利 する という 末 延 氏 の 論 評 である 2 申 立 人 らは 仙 谷 氏 は 前 原 代 表 体 制 のもとでは 執 行 部 といわれる 役 職 には 就 いていないと 主 張 しているが 反 論 書 で 申 立 人 らが 認 めているように 仙 谷 申 立 人 は 前 原 代 表 体 制 のもとで 本 年 3 月 3 日 から 幹 事 長 代 理 となっている また 申 立 人 らは 今 執 行 部 を1 年 半 やってきた との 点 を 問 題 にしているが 同 部 分 は 前 原 氏 らについて 述 べたもので 申 立 人 らについて 述 べたものではない 申 立 人 らは 本 件 放 送 が 申 立 人 らのグループが 末 松 氏 の 立 候 補 のために 20 名 を 貸 すとしているのは 捏 造 であると 主 張 している しかし 本 件 放 送 の 当 該 部 分 は 末 松 氏 が 立 候 補 の 意 思 を 表 明 したとの 事 実 に 関 し 万 万 が 一 中 堅 若 手 の 反 小 沢 グループが 協 力 して 末 松 氏 が20 人 の 推 薦 人 を 集 め 立 候 補 する ようになることがあると 仮 定 した 場 合 は それは 小 沢 氏 への 批 判 票 を1 票 でも 多 く 集 めたいとの 思 惑 が 反 小 沢 グループにあるからだとしたもので 反 小 沢 グ ループが 末 松 氏 に 推 薦 人 を 貸 したと 指 摘 したものではなく もし 仮 にそのよう なことがあるとすれば 上 記 のような 思 惑 によるものではないかと 論 評 したに 過 ぎないもので 虚 偽 の 事 実 に 基 づくものではないことが 明 らかである 上 記 のとおり いずれも 真 実 ないし 真 実 と 信 じるに 足 りる 相 当 な 理 由 がある 事 実 に 基 づく 公 正 な 論 評 に 該 当 するものであり 申 立 人 らの 指 摘 部 分 は そも そも 申 立 人 らの 名 誉 を 毀 損 するものでもない 3 申 立 人 らは 古 館 氏 が 僕 はねこういう 人 達 ね 評 論 家 の 様 に 客 観 的 に う ちの 党 は 寄 り 合 い 所 帯 だからっていっている 若 手 なんかの 人 の 事 聞 いていると 4

はっきり 言 ってムカつくんですよ テレビなんかで 言 われているの きっと とコメントしたことを 問 題 にしている しかし 同 発 言 は 申 立 人 らについての 発 言 でないことが 明 らかであり 申 立 人 らの 名 誉 を 毀 損 するものではない 2. 放 送 倫 理 について 申 立 人 らは 本 件 放 送 は 仙 谷 申 立 人 と 中 堅 若 手 グループは 話 し 合 いで 小 沢 氏 へ 一 本 化 する 動 きに 異 を 唱 えているとして 悪 役 に 仕 立 て 上 げていると 主 張 している しかし A 氏 の 論 評 は 小 沢 菅 鳩 山 三 氏 が 中 心 になって 一 つにならないと 二 大 政 党 も 根 幹 から 崩 れることになり 与 党 自 民 党 の 一 方 的 な 政 治 主 導 になるという 危 機 的 な 状 況 に 陥 らないよう 野 党 第 一 党 としての 確 固 たる 地 盤 を 築 いてもらいたいとの 望 みを 込 め 解 説 したものと 認 識 している 本 件 放 送 における 上 記 論 評 が 申 立 人 らが 話 し 合 いで 小 沢 氏 へ 一 本 化 する 動 きに 異 を 唱 えていると 批 判 するものであるとしても 申 立 人 らはその 政 治 的 立 場 から 一 本 化 に 異 を 唱 えていたものであり 申 立 人 らの 社 会 的 評 価 を 低 下 させるものと 言 うことはできない Ⅳ 委 員 会 の 判 断 1. 名 誉 毀 損 の 成 否 について (1) 本 件 放 送 の 性 格 と 政 治 的 論 評 の 自 由 について 本 件 放 送 は 民 主 党 の 代 表 選 挙 戦 における 事 実 報 道 を 直 接 の 目 的 とするも のというよりは ゲストコメンテーターを 招 き その 独 自 に 取 材 したところを 基 にした 政 治 的 論 評 が 主 要 な 部 分 を 占 めており 当 該 ゲストは 民 主 党 が 自 民 党 に 対 して 政 治 的 に 拮 抗 できる 政 党 として 復 活 する 上 で 小 沢 氏 を 中 心 に 再 編 されよ うとしている 民 主 党 の 求 心 力 が 問 われるという 観 点 から 民 主 党 の 諸 グループや 有 力 党 幹 部 の 動 向 などを 論 じたものといえる 一 般 に 民 主 主 義 社 会 におけるメディアには 国 民 の 知 る 権 利 に 奉 仕 するとい う 役 割 があり そのために 自 由 な 論 評 が 保 障 されなければならないが 政 治 家 の 政 治 的 動 向 に 対 する 論 評 は 国 民 が 多 角 的 な 視 点 から 自 らの 政 治 的 選 択 をする ことに 役 立 つものであるべきであり 当 然 のことながら メディアが 特 定 の 政 治 家 に 対 する 人 身 攻 撃 を 主 たる 目 的 とする 論 評 により 当 該 政 治 家 の 社 会 的 評 価 を 低 下 させる 放 送 をしたときは 当 該 放 送 は 表 現 の 自 由 の 保 障 の 範 囲 を 逸 脱 するもの として 名 誉 毀 損 に 当 たる 当 委 員 会 は 以 下 上 記 のような 観 点 から 申 立 人 らの 申 立 ての 内 容 を 検 討 した (2) 社 会 的 評 価 の 低 下 の 有 無 について 5

まず 申 立 人 らは 本 件 放 送 によって 自 らの 社 会 的 評 価 が 低 下 したことを 前 提 として 名 誉 毀 損 があったと 主 張 している しかし 本 件 放 送 は 申 立 人 らの 立 場 から 見 れば 申 立 人 らが 民 主 党 代 表 選 に おいて 小 沢 代 表 の 選 出 に 対 して 一 定 の 消 極 的 ないし 対 立 的 な 言 動 をとったとの 印 象 を 与 えたかもしれない しかし それは 党 内 における 党 人 の 行 動 として 問 題 にされることはあっても 一 般 視 聴 者 の 立 場 から 見 るかぎり 申 立 人 らについて は 党 内 において 異 なった 意 見 をもち それに 基 づく 行 動 があったというだけで それは 政 党 人 として 当 然 ありうべきことであって 申 立 人 らの 政 治 家 としての あるいは 人 格 的 な 面 での 否 定 的 評 価 に 結 びつくとは 考 えられず その 実 害 があっ たとの 主 張 もない 本 件 においては 当 委 員 会 が 直 ちに 救 済 しなければならないよ うな 社 会 的 評 価 の 低 下 があったと 認 めることはできない したがって 名 誉 毀 損 に 関 して 確 立 している 違 法 性 阻 却 の 議 論 をするまでもな く 名 誉 毀 損 が 成 立 しないことは 明 らかである (3) 違 法 性 阻 却 事 由 の 存 否 について 仮 に 何 らかの 意 味 で 申 立 人 らの 社 会 的 評 価 が 低 下 したということがあったと しても 本 件 放 送 については 以 下 の 理 由 で その 違 法 性 は 阻 却 される すなわち 本 件 放 送 が 二 大 政 党 の 一 つで 政 権 奪 取 を 目 的 とする 民 主 党 の 代 表 選 挙 に 関 する 論 評 であり 公 共 の 利 害 に 関 する 事 項 を 取 り 扱 ったものであって 人 身 攻 撃 を 主 眼 とするものとは 言 いがたく もっぱら 公 益 目 的 で 行 われたもので あることは 本 件 放 送 を 全 体 としてみた 場 合 明 らかであるといえよう このような 場 合 その 論 評 の 前 提 となった 事 実 が 真 実 もしくは 真 実 とみなす 上 で 相 当 性 があるときは その 違 法 性 は 阻 却 される 本 件 申 立 てにおいて 具 体 的 に 指 摘 されているのは 以 下 の 諸 点 である 1 仙 谷 申 立 人 が 若 手 議 員 たちの 後 見 人 的 立 場 にある と 指 摘 されたことにつ いて( 報 道 ステーション4 月 4 日 5 日 放 送 分 ) ゲストコメンテーターがその 独 自 の 取 材 によって 申 立 人 らの 議 員 としての 日 常 の 言 動 を 認 識 した 上 で 若 手 議 員 グループの 後 見 人 岡 田 さん 前 原 さんを 担 いだ 後 見 役 と 指 摘 したことは 一 般 に 言 われている 評 価 を 述 べた ものであるが 後 見 人 というのは この 場 合 比 喩 的 に 用 いられた 言 葉 で あって ことの 性 質 上 後 見 人 であるか 否 か は 事 実 の 真 否 という 次 元 で 確 認 されなければならない 性 格 の 問 題 ではない 本 件 放 送 の 全 体 的 構 成 や 発 言 内 容 に 照 らしても 一 般 の 視 聴 者 は 若 手 議 員 の 先 輩 格 として あるいは 岡 田 前 原 両 氏 に 対 する 影 響 力 のある 人 物 という 意 味 に 認 識 し 受 け 止 めるものと いうことができる このような 意 味 に 解 される 後 見 人 との 表 現 があったとしても それは 事 6

実 認 識 において 誤 りとは 断 定 できず 同 様 の 表 現 は すでに 新 聞 報 道 にも 見 ら れるところであって 真 実 であると 判 断 したことには 相 当 性 があるというべき であり この 点 に 関 する 本 件 放 送 については 違 法 性 を 認 めることはできない 2 申 立 人 らが 同 党 の 執 行 部 の 一 員 として 反 小 沢 の 行 動 をした との 指 摘 につ いて( 報 道 ステーション4 月 5 日 放 送 分 ) これは 末 松 議 員 の 代 表 選 参 戦 の 動 きについて 何 がこうしたいかと 言 う と 小 沢 さんへの 批 判 票 をとにかく 一 票 でも 多 く 作 りたいというのがこの 仙 谷 さん 枝 野 さんという 今 執 行 部 をこの1 年 半 やってきた 前 原 さんたちの 思 惑 なんです との 指 摘 についてである まず 判 断 の 前 提 として 次 のことを 指 摘 しておく 必 要 がある 党 の 代 表 選 にあたって 誰 がどういう 立 場 でどう 動 き それが 結 果 にどう 影 響 するのか という 問 題 は 政 党 として 党 外 に 開 示 されることはまずありえないことである が 反 面 二 大 政 党 政 権 交 代 を 標 榜 する 大 政 党 の 代 表 者 に 誰 が 就 くことにな るのかは 国 民 視 聴 者 の 正 当 な 関 心 事 である その 時 点 における 大 勢 を 概 観 し 主 な 候 補 者 の 動 向 を 論 評 し さらに 有 力 な 候 補 者 への 対 抗 勢 力 の 存 在 を 指 摘 し あるべきと 考 える 方 向 を 示 唆 したのが 本 件 放 送 の 内 容 であり 意 図 するところ であったと 考 えられるが この 種 の 放 送 において ある 程 度 合 理 的 な 範 囲 での 推 測 に 基 づいて 論 評 することは 通 常 行 われているところであり それが 特 定 の 政 治 家 に 対 する 人 身 攻 撃 を 主 たる 目 的 としていないかぎり 問 題 とされること はない そこで 論 評 の 前 提 となる 事 実 として 問 題 とされる 発 言 については 申 立 人 らが 直 接 末 松 議 員 擁 立 に 具 体 的 に 行 動 したかどうかについて コメンテーター としては もう 少 し 慎 重 な 発 言 をすることが 望 ましかったといえるが 水 面 下 の 行 動 について 諸 般 の 事 情 をふまえて この 程 度 の 推 測 をすることはあながち 不 当 とは 言 えず 当 時 の 状 況 からすれば 末 松 議 員 一 人 だけの 判 断 での 立 候 補 は 通 常 考 えられないので 小 沢 批 判 グループの 支 持 があったのではないかとの 発 言 は 真 実 と 考 えることに 相 当 性 を 認 めることができる また 申 立 人 両 名 がこの1 年 半 執 行 部 を 担 ったとする 発 言 が 真 実 に 反 する という 主 張 については その 全 期 間 を 通 じて 両 名 が 執 行 部 を 担 ったかどうかは 別 として その 間 の 一 時 期 執 行 部 の 一 員 であったことは 事 実 であり 文 脈 上 1 年 半 は 前 原 さんたち にかかるとも 聞 こえ 期 間 についてやや 正 確 性 に 欠 けるところがあったが 活 字 媒 体 ではない 生 放 送 での 発 言 として その 点 に 違 法 性 があるとまではいえない したがって この 点 に 関 する 放 送 についても 公 正 な 論 評 の 範 囲 内 であって 全 体 として 違 法 性 はない 7

2. 放 送 倫 理 違 反 の 有 無 上 記 のとおり 当 委 員 会 は 本 件 放 送 が 申 立 人 らについて 名 誉 毀 損 は 認 められな いとの 見 解 を 採 るものであるが 本 件 のような 政 治 的 論 評 のあり 方 について 政 治 的 な 公 正 中 立 に 配 慮 すること あるいは 批 判 される 側 への 取 材 など 論 評 の 客 観 的 妥 当 性 を 確 保 するための 努 力 が 求 められることは 申 立 人 らの 主 張 するとおりである しかし 政 治 的 な 状 況 が 激 変 している 中 で 現 れているかぎりの 事 象 をもとに 緊 急 に 論 評 をすることもメディアにとっては 避 けることのできない 責 務 であり 専 門 家 の 蓄 積 した 知 見 をもとに 現 状 を 分 かりやすく 説 明 し 国 民 の 意 見 の 形 成 に 資 する 番 組 を 企 画 し 放 送 する 必 要 性 は 大 きく 民 主 党 代 表 選 についての 一 つの 意 見 として 提 示 した 本 件 放 送 については 放 送 倫 理 に 違 反 したものとはいえない 3. 結 論 申 立 人 らは いずれも 政 治 家 として 著 名 な 存 在 であり その 政 治 的 言 動 について メディアが 報 道 論 評 をすることは 国 民 の 知 る 権 利 との 関 係 でも また 開 かれた 民 主 的 な 政 治 体 制 を 維 持 する 上 で 重 要 なことである このような 立 場 にある 政 治 家 は その 政 治 的 動 向 時 にはそのプライバシーを 報 道 論 評 されることにおいて 公 共 性 公 益 目 的 があるとされる 場 合 が 多 く 公 務 員 あるいは 公 職 選 挙 によって 選 ばれた 者 として 一 般 私 人 よりも 受 忍 すべき 限 度 は 高 く 寛 容 でなければならない 立 場 にある 本 件 は そもそも 本 件 放 送 によって 社 会 的 評 価 を 低 下 させたものとは 認 められず 名 誉 毀 損 をもって 論 じるケースではないし 申 立 人 らが 民 主 党 の 有 力 な 政 治 家 であり 自 らも メディアを 通 じて その 批 判 について 反 論 する 機 会 を 有 するだけの 政 治 的 な 力 量 をもつ 以 上 むしろこのような 自 由 な 論 評 は 甘 受 すべきであり 本 件 放 送 を 論 難 することについては 報 道 の 自 由 を 堅 持 し 政 治 的 干 渉 からの 自 由 を 擁 護 することを 通 じ 民 主 主 義 を 維 持 発 展 させるという 観 点 から 疑 問 なしとしない そのほか 申 立 ての 中 で 民 主 党 あるいは 一 部 若 手 グループに 対 する 批 判 を 不 適 当 と 主 張 していると 思 われる 点 については 申 立 人 個 人 の 名 誉 毀 損 の 有 無 それに 関 する 放 送 倫 理 違 反 の 有 無 を 審 理 する 当 委 員 会 に 与 えられた 任 務 の 範 囲 を 超 えるもので あるので その 当 否 については 判 断 しないこととする 8

Ⅴ. 審 理 経 過 審 理 経 過 は 以 下 の 通 りである 年 月 日 審 理 内 容 2006 年 5 月 23 日 申 立 人 から BRCに 苦 情 申 立 書 届 く 苦 情 内 容 を 被 申 立 人 テレビ 朝 日 に 連 絡 6 月 9 日 テレビ 朝 日 経 過 説 明 書 と 当 該 番 組 VTR を 提 出 6 月 20 日 第 113 回 委 員 会 で 審 理 入 りを 決 定 6 月 28 日 テレビ 朝 日 答 弁 書 を 提 出 同 日 申 立 人 に 送 付 7 月 7 日 申 立 人 反 論 書 を 提 出 同 日 テレビ 朝 日 に 送 付 7 月 13 日 テレビ 朝 日 再 答 弁 書 を 提 出 同 日 申 立 人 に 送 付 7 月 18 日 第 114 回 委 員 会 実 質 審 理 に 入 る 8 月 8 日 起 草 委 員 会 8 月 22 日 第 115 回 委 員 会 ヒアリング 並 びに 決 定 草 案 を 審 理 9 月 6 日 持 ち 回 り 委 員 会 にて 決 定 案 を 了 承 9 月 13 日 決 定 を 通 知 公 表 9