私 立 短 期 大 学 におけるカリキュラムマネジメントに 関 する 考 察 カリキュラムマネジメントを 支 える 要 素 に 着 目 して 楊 暁 興 ( 平 成 27 年 3 月 修 了 ) 章 構 成 序 章 問 題 所 在 と 目 的 論 文 構 成 第 一 節 問 題 所 在 第 二 節 短 期 大 学 を 巡 る 先 行 研 究 の 検 討 第 三 節 本 研 究 の 目 的 構 成 と 研 究 方 法 第 一 章 高 等 教 育 政 策 の 変 化 第 一 節 社 会 環 境 の 変 化 第 二 節 高 等 教 育 の 規 制 緩 和 及 び 質 保 証 第 三 節 短 期 大 学 教 育 の 質 的 変 遷 第 二 章 カリキュラムマネジメント 視 点 の 導 入 第 一 節 初 等 中 等 教 育 における カリキュラムマ ネジメント の 再 吟 味 第 二 節 初 等 中 等 教 育 からの 示 唆 及 び 私 立 短 大 の 現 実 に 見 る 必 要 性 第 三 節 私 立 短 大 におけるカリキュラムマネジメ ントの 要 素 の 仮 説 第 三 章 アンケート 調 査 から 見 る 私 立 短 大 のカ リキュラムマネジメント 第 一 節 アンケート 調 査 デザイン 第 二 節 私 立 短 期 大 学 における 教 育 活 動 第 三 節 組 織 的 内 外 的 協 働 第 四 節 組 織 の 内 部 運 営 第 五 節 人 的 物 的 財 的 条 件 資 源 第 四 章 カリキュラムマネジメントが 有 効 に 機 能 す る 事 例 分 析 第 一 節 事 例 研 究 の 必 要 性 及 び 事 例 選 定 第 二 節 学 科 の 枠 組 みを 崩 した A 校 第 三 節 役 割 分 担 的 組 織 構 造 を 持 っている B 校 終 章 本 研 究 の 成 果 と 課 題 第 一 節 本 研 究 の 成 果 第 二 節 本 研 究 の 課 題 概 要 序 章 問 題 所 在 と 目 的 論 文 構 成 1990 年 代 半 ば 以 降 私 学 を 中 心 とした 短 期 大 学 ( 以 下 短 大 と 表 記 する)の 規 模 が 縮 小 し 定 員 割 れという 問 題 が 年 々 厳 しさを 増 してきた こうした 難 題 を 抱 えている 短 大 に 対 して 専 修 学 校 4 年 制 大 学 への 進 学 率 が 上 昇 し 続 けている こ れは 教 育 年 数 の 長 短 が 問 題 なのではなく 短 大 教 育 の 中 身 が 問 われている 可 能 性 が 高 いと 考 えら れる 短 大 教 育 に 関 する 先 行 研 究 は まとめると 主 に 次 の 通 りである 1まず 短 大 の 社 会 的 役 割 を 再 考 する 研 究 である 代 表 的 な 研 究 としては 短 期 高 等 教 育 から 生 涯 にわたる 学 習 機 関 乃 至 前 期 高 等 教 育 機 関 としての 役 割 を 期 待 する 短 大 の ファ ーストステージ 論 と 柔 軟 な 教 育 的 ニーズに 対 応 可 能 な 高 等 継 続 教 育 を 期 待 する コミュニティ カレッジ 論 である いずれも 短 大 の 将 来 の 方 向 性 を 明 確 にするものであるが 教 育 の 内 実 の 検 討 に 及 んでいない 2 次 に コンピテンシーに 関 す る 実 証 研 究 である 企 業 側 の 人 材 採 用 と 学 校 側 の 人 材 育 成 の 接 点 を 探 るため 短 大 におけ る 分 野 横 断 共 通 的 能 力 と 専 門 的 職 業 能 力 に 関 す る 教 育 状 況 を 就 職 先 の 需 要 能 力 と 比 較 すること で モデル コアカリキュラムを 作 成 したものは その 代 表 である 3 短 大 教 育 の 評 価 に 関 する 研 究 である 短 大 教 育 の 改 善 を 狙 う 目 的 で 短 大 に 関 わる 機 関 内 外 複 数 の 立 場 から 短 大 教 育 を 評 価 す る 実 証 研 究 が 代 表 である 評 価 の 結 果 により 短 大 の 努 力 の 方 向 が 明 らかにされているが 実 践 的 有 用 性 つまり 評 価 結 果 をいかに 活 用 するかについ て 考 慮 する 余 地 がある これらの 先 行 研 究 には 短 大 の 内 部 に 焦 点 化 して 短 大 教 育 活 動 及 びそれ が 達 成 するための 組 織 運 営 に 関 する 研 究 が 少 な い 上 記 の 研 究 到 達 点 を 踏 まえ 本 稿 は 次 のよう な 目 的 を 設 定 したい 本 研 究 の 目 的 は 各 大 学 の 独 自 性 が 最 も 具 現 化 されるカリキュラム 及 びそれを 実 現 させるため に 欠 かせないマネジメントを 総 合 するカリキュ ラムマネジメントという 視 点 から カリキュラム の 効 果 に 関 わるカリキュラムマネジメントの 構 成 要 素 に 着 目 し 私 立 短 大 教 育 の 現 状 と 課 題 を 分 析 することである 主 な 課 題 を 以 下 のように 設 定 する (1)カリキ ュラムマネジメントに 関 する 先 行 研 究 を 検 討 し 先 行 研 究 によって 検 証 されてきた 初 等 中 等 教 育 におけるカリキュラムマネジメントの 枠 組 みを 用 い 私 立 短 大 のカリキュラムマネジメントの 構 成 要 素 を 仮 説 として 立 てる (2) 私 立 短 大 の 学 科 長 の 意 識 調 査 を 通 じて 上 記 の 私 立 短 大 のカリキ -125-
ュラムマネジメントの 構 成 要 素 に 着 目 し カリキ ュラムの 効 果 との 関 係 を 検 証 する (3)アンケー ト 調 査 を 補 完 する 手 段 として カリキュラムマネ ジメントが 有 効 に 機 能 する 事 例 分 析 を 行 う (4) 私 立 短 大 のカリキュラムマネジメントについて これからの 可 能 性 を 探 る 第 一 章 高 等 教 育 政 策 の 変 化 第 一 章 において 短 大 の 置 かれている 社 会 環 境 及 び 環 境 の 激 変 による 高 等 教 育 政 策 の 変 化 を 整 理 した トロウ(1976)の 高 等 教 育 進 学 率 の 三 段 階 説 や 小 林 (2001)の 知 識 生 産 様 式 の 転 換 論 によれば 外 部 環 境 は 高 等 教 育 を 変 容 し そし てそのような 教 育 に 生 じている 変 化 が 大 学 のあ り 方 や 組 織 にも 影 響 がもたらされる 日 本 の 高 等 教 育 政 策 の 変 遷 を 概 観 すると 規 制 緩 和 と 質 保 証 が 考 えられる 臨 教 審 答 申 ( 1985-1987)で 教 育 における 個 性 重 視 の 原 則 や 自 由 化 を 提 言 して 以 来 特 に 1991 年 大 学 設 置 基 準 の 大 網 化 以 降 短 大 を 含 む 大 学 の 自 主 性 自 律 性 を 拡 大 し 大 学 の 個 性 化 や 多 様 化 を 求 める 傾 向 が 強 まってきた カリキュラムをはじめとし た 様 々な 改 革 が 行 われ これもカリキュラムマネ ジメントが 機 能 する 前 提 条 件 と 見 られる こうした 背 景 の 下 短 期 大 学 も 変 化 した 短 大 が 女 子 教 育 機 関 として 発 達 して 以 来 教 育 目 的 は 教 養 豊 かな 女 性 の 育 成 から 職 業 人 の 育 成 へ 方 向 性 が 転 換 された それに 従 い 学 科 の 設 置 及 び 教 育 内 容 なども 変 わった このような 変 化 が 起 きた のは 短 大 には 社 会 環 境 の 変 化 や 地 域 社 会 のニー ズに 対 応 し 学 科 の 開 設 や 教 育 内 容 を 柔 軟 に 調 整 できる 特 色 があるからである 次 に 短 大 教 育 の 質 的 問 題 について バートン クラーク(1983) のトライアングルモデルを 援 用 すると 高 等 教 育 (ここでは 短 大 )の 質 的 保 証 の 担 い 手 として 大 学 国 家 市 場 が 考 えられる 具 体 的 には 大 学 自 身 による 調 整 国 家 による 規 制 市 場 による 統 制 で あり 短 大 教 育 の 質 に 関 わる 教 育 目 的 やカリキュ ラムの 設 定 実 施 などについて 短 大 自 身 のみな らず 国 家 や 市 場 からの 介 入 要 求 などから 影 響 を 受 けていることである つまり 短 大 教 育 を 改 善 するには 短 大 だけではなく 国 家 と 市 場 を 合 わせた 視 点 を 持 たなくてはいけない 第 二 章 カリキュラムマネジメント 視 点 の 導 入 第 二 章 において まずカリキュラムマネジメン トに 関 する 先 行 研 究 をレビューした 次 にすでに 検 証 した 初 等 中 等 教 育 におけるカリキュラムマ ネジメントの 分 析 枠 組 みを 参 考 とし 短 大 の 現 状 に 照 らしながら 私 立 短 大 におけるカリキュラム マネジメントの 構 成 要 素 に 関 する 仮 説 を 立 てた カリキュラムマネジメントは 教 育 課 程 内 容 論 のみならず 教 育 課 程 内 容 の P-D-S を 進 めていく 教 育 課 程 内 容 のための 条 件 作 りに 重 点 を 置 く 教 育 課 程 経 営 の 概 念 ( 高 野 1989 小 泉 2000)の 延 長 線 と 位 置 づけられ 学 校 改 善 のアプローチ( 組 織 構 造 的 アプローチ 文 化 的 アプローチ)の 重 要 性 を 意 識 し それも 視 野 に 入 れたものである( 中 留 2005) 田 村 ( 2005)は 従 来 の 教 育 課 程 経 営 の 構 成 要 素 に 含 まれなかった 文 化 的 要 因 をカリキ ュラムマネジメントの 構 成 要 素 として 取 り 入 れ 構 造 的 モデルを 開 発 した 倉 本 (2008)もアメリ カのサービスラーニングに 焦 点 化 し 経 営 的 要 素 を 抽 出 し 学 校 組 織 システムの 改 善 過 程 や 教 育 効 果 の 向 上 過 程 におけるカリキュラムマネジメン トの 有 効 性 を 実 証 した 上 記 の 先 行 研 究 により 学 校 の 教 育 目 標 に 応 じ たカリキュラムの 教 育 内 容 方 法 という 静 的 カリ キュラム 観 を 超 え P-D-S という 動 的 過 程 を 踏 ま え 組 織 文 化 などの 条 件 整 備 上 の 経 営 活 動 も 視 野 に 入 れた 初 等 中 等 教 育 におけるカリキュラムマ ネジメントは 教 育 活 動 の 充 実 組 織 の 活 性 化 最 終 的 に 学 校 改 善 には 意 義 があると 考 えられる 同 様 に 私 立 短 大 も カリキュラムマネジメント を 通 して 教 育 活 動 を 見 直 し 組 織 を 改 善 していく ことが 期 待 されているのであろう 私 立 短 大 において 独 自 の 建 学 精 神 や 教 育 方 針 に 従 い 教 育 目 標 を 明 確 化 し その 目 標 が 実 際 に 達 成 されたかどうかを 評 価 し さらに 評 価 に 基 づ き 改 善 していくことは カリキュラムを 効 果 的 に 実 現 する 手 段 や 基 本 条 件 である 一 方 教 育 活 動 の 改 善 質 的 向 上 は 個 人 的 レベ ルだけではなく 組 織 的 レベルの 取 り 組 みや 学 問 の 学 際 性 が 問 われる 現 在 分 野 横 断 的 カリキュ ラムの 導 入 による 組 織 的 協 力 や 自 校 の 先 行 きに 関 わるリーダーシップも 短 大 には 不 可 欠 である さらにステークホルダー 論 に 基 づき 自 校 の 実 情 や 目 的 に 合 わせた 全 てのステークホルダーのニ ーズに 対 応 できるような 機 関 内 外 の 協 働 も 重 要 である 最 後 私 立 学 校 であるため 教 育 活 動 の 展 開 に 投 入 する 条 件 資 源 ( 人 的 物 的 財 的 )は 学 校 間 の 差 異 が 大 きく 教 育 の 質 に 関 係 があると 考 えら れ 本 稿 でそれもカリキュラムマネジメントの 一 要 素 と 考 える 本 稿 では 先 行 研 究 や 私 立 短 大 の 現 実 を 元 にし 教 育 活 動 組 織 運 営 ( 内 部 運 営 内 外 的 協 働 ) 条 件 資 源 という 三 つの 面 から 私 立 短 大 のカリキ ュラムマネジメントを 考 察 し カリキュラムの 効 -126-
果 との 関 係 を 第 三 章 で 検 証 する 分 析 枠 組 みは 次 の 図 のようになる 第 三 章 アンケート 調 査 から 見 る 私 立 短 大 のカリキュラムマネジメント 私 立 短 大 の 学 科 長 を 対 象 としたアンケート 調 査 は 文 科 省 公 私 立 短 期 大 学 一 覧 表 に 並 んで いる 私 立 短 大 の 順 に 各 私 立 短 大 の 学 科 長 に 調 査 票 を 200 部 郵 送 したが 回 収 された 有 効 回 答 は 48 件 である 調 査 票 は 第 二 章 で 立 てられた 仮 説 を 元 に カリキュラムの P-D-S サイクル 機 関 内 外 の 協 働 組 織 の 内 部 運 営 条 件 資 源 に 関 わる 質 問 からなっている 分 析 結 果 は 次 の 通 りである ( 1)カリキュラムのサイクル 活 動 カリキュラムのサイクル 活 動 における 取 り 組 みは カリキュラムの 質 を 保 証 する 基 本 手 段 であ り 私 立 短 大 におけるカリキュラムの 効 果 に 関 わ っている 1カリキュラムの 編 成 カリキュラム 編 成 の 配 慮 事 項 について 教 育 活 動 の 出 発 点 と 見 られる 教 育 理 念 目 標 将 来 の 就 職 に 繋 がる 資 格 取 得 国 家 試 験 学 生 ニーズの 対 応 との 順 に 重 視 される 分 野 別 から 見 ると 職 業 技 術 との 関 連 が 緊 密 する 分 野 ほど 資 格 取 得 国 家 試 験 を 重 視 する 教 養 的 色 彩 が 濃 い 人 文 社 会 教 養 分 野 では 重 視 しない 評 価 に 関 する 3 項 目 ( 認 証 機 関 他 短 期 大 学 連 携 企 業 就 職 先 の 評 価 )はどちらも 重 視 されないため 私 立 短 大 で 評 価 段 階 の 活 性 度 が 低 く 計 画 への 活 用 度 が 低 いと 分 かる 次 に 人 材 育 成 の 目 標 は 最 も 重 視 され るのが 高 度 な 専 門 知 識 であり 続 いて 一 般 職 業 に 最 低 限 必 要 な 基 礎 スキル 一 般 企 業 に 求 められる 分 野 横 断 共 通 的 能 力 広 範 的 教 養 進 学 できる ような 知 識 の 順 である 私 立 短 大 での 教 育 は 職 業 に 焦 点 を 当 てており 専 門 的 深 さだけではなく 職 業 人 としての 視 野 の 幅 広 さと 教 養 といったも のも 重 視 される 編 入 準 備 教 育 という 役 割 も 期 待 される 私 立 短 大 で 進 学 できるような 知 識 が 重 視 されない 分 野 別 について 人 文 社 会 教 養 分 野 は 教 養 的 分 野 であっても 広 範 的 教 養 より 一 般 職 業 に 求 められた 最 低 限 の 基 礎 スキル 分 野 横 断 共 通 の 能 力 がやや 重 視 され 周 辺 の 関 連 職 業 知 識 及 び 知 識 の 汎 用 性 が 必 要 となる 認 識 が 強 い 2カリキュラムの 実 施 カリキュラムの 実 施 について 調 査 票 で 専 門 的 能 力 対 汎 用 的 能 力 実 践 体 験 対 知 識 理 解 知 識 系 統 性 対 学 生 自 由 選 択 というように 二 つ の 相 対 立 する 選 択 肢 を 設 けた 全 体 的 傾 向 として それぞれ 専 門 的 能 力 実 践 体 験 知 識 系 統 性 に 重 点 を 置 くが 人 文 社 会 教 養 分 野 が 汎 用 的 能 力 工 業 農 業 が 学 生 自 由 選 択 とい った 分 野 間 の 相 違 が 見 られる 3カリキュラムの 評 価 及 び 改 訂 改 善 カリキュラムの 評 価 は 学 生 による 授 業 評 価 資 格 取 得 状 況 国 家 試 験 の 合 格 状 況 など 在 学 者 や 卒 業 生 に 対 する 学 外 ( 就 職 先 地 域 )の 評 価 が 主 な 形 である 人 文 社 会 教 養 分 野 で 資 格 や 国 家 試 験 にあまり 関 連 しないため 資 格 取 得 や 国 家 試 験 の 状 況 による 評 価 は 重 視 されない 大 きなカリキュラムの 改 訂 改 善 は 2010 年 以 降 半 分 以 上 の 学 科 で 行 われた 学 科 コース の 新 設 改 編 をきっかけとしたが 教 育 分 野 で 国 的 資 格 免 許 要 件 の 改 訂 家 政 分 野 で 地 域 のニ ーズの 対 応 との 回 答 が 多 い カリキュラム 改 訂 の 阻 害 要 因 課 題 について 教 員 間 の 合 意 形 成 の 不 十 分 さ と 最 も 多 く 回 答 した この 点 から 学 内 の 組 織 の 風 通 しはカリキュラム 改 善 の 推 進 に 関 わ ると 分 かる 4カリキュラムのサイクル 活 動 に 対 する 組 織 対 応 カリキュラムの 決 定 権 について 該 当 教 育 課 程 を 専 門 とする 教 員 の 意 向 を 重 視 する 学 科 が 最 も 多 く 次 いで 学 科 長 コース 長 の 意 向 学 長 副 学 長 の 意 向 という 順 である 私 立 短 大 の 二 重 組 織 構 造 で カリキュラムについて 経 営 面 を 担 当 する 理 事 会 からの 関 与 がほとんどないと 分 かる が 教 育 の 質 的 充 実 に 関 わるステークホルダー 論 から 学 外 の 関 係 者 からの 関 与 参 画 がない 現 状 は 今 後 の 課 題 となる カリキュラムを 検 討 する 学 校 レベル 学 科 レベ ルの 組 織 は 半 分 以 上 の 私 立 短 大 で 設 置 される 組 織 機 能 の 発 揮 は 組 織 会 議 の 回 数 と 関 係 があり 回 数 が 多 いほど 組 織 の 機 能 が 発 揮 することであ る そして 全 学 的 組 織 より 学 科 レベルの 組 織 が 活 性 化 している ( 2) 機 関 内 外 の 連 携 カリキュラムのサイクル 過 程 において 外 部 ス テークホルダーとの 関 わりが 非 常 に 重 要 である 学 外 との 連 携 で 何 が 実 現 したかについて 学 習 多 -127-
様 化 教 育 内 容 方 法 の 改 善 さらに 教 員 の 質 的 向 上 や 学 生 募 集 の 改 善 に 関 わる 経 営 条 件 の 改 善 が 実 現 したという 実 証 結 果 が 得 られ 私 立 短 大 にお ける 学 外 連 携 の 必 要 性 と 重 要 性 を 説 明 した ( 3) 組 織 の 内 部 運 営 学 内 組 織 戦 略 として 因 子 分 析 で 方 針 目 標 共 有 教 育 活 動 改 善 のための 協 働 科 目 設 置 上 の 協 働 リーダーシップ 組 織 制 度 の 構 築 の 4 つのカテゴリーが 得 られた 科 目 設 置 上 の 協 働 以 外 に 全 てがカリキュラムの 効 果 にプラ スの 影 響 を 与 えると 実 証 した 私 立 短 大 では カ リキュラム 論 から 求 められる 科 目 間 の 関 連 性 や 科 目 とカリキュラム 全 体 の 関 連 性 を 考 える 組 織 的 対 応 が 不 足 している 課 題 がある ( 4) 条 件 資 源 実 証 結 果 として カリキュラムの 効 果 に 関 連 し たのは 学 生 一 人 当 たりの 教 職 員 数 や 施 設 設 備 な ど 学 校 規 模 に 関 する 変 数 である しかし 私 立 短 大 では それらが 現 実 的 に 不 足 している 問 題 が 厳 しい 上 述 したように カリキュラムの 効 果 を 向 上 させるには 単 なるカリキュラムの P-D-S サイ クルの 教 育 活 動 系 列 だけではなく 私 立 短 大 の 機 関 内 外 の 協 働 学 内 の 組 織 戦 略 条 件 資 源 などマ ネジメントの 面 から 出 発 した 条 件 整 備 活 動 も 影 響 要 因 として 考 慮 に 入 れるべきである 第 四 章 カリキュラムマネジメントが 有 効 に 機 能 する 事 例 分 析 量 的 分 析 だけでは 1 学 校 規 模 とマネジメント 力 の 強 弱 と 関 係 があると 考 えられるため 2~ 3 学 科 を 有 する 学 校 に 集 中 したサンプルのバラン スが 偏 る 2データによる 優 先 順 位 が 低 いため ある 要 因 が 軽 視 されることや 仮 説 が 先 行 研 究 及 び 筆 者 の 主 観 に 基 づいたもので 重 要 な 問 題 や 要 因 が 潜 在 する 可 能 性 があるという 限 界 性 がある ため アンケート 調 査 を 補 完 する 手 段 として 本 章 において 事 例 分 析 を 実 施 した A 校 は 全 学 の 全 ての 学 科 の 枠 を 取 り 払 い 学 校 改 善 に 資 する 取 り 組 みが 行 われた 例 である 学 習 内 容 の 多 様 性 と 選 択 の 自 由 性 を 目 指 したカリキ ュラムの 実 施 に 当 たり 学 生 が 自 由 に 組 み 合 わせ たカリキュラムの 合 理 性 と 将 来 の 有 効 性 を 確 保 するため 担 任 の 制 度 が 導 入 した 組 織 戦 略 とし ては 人 事 以 外 の 全 てのことは 全 教 員 及 び 職 員 の 管 理 職 からなる 拡 大 教 授 会 で 決 定 され カリキ ュラムに 関 わる 事 項 の 決 定 において 学 長 のリー ダーシップの 下 での 組 織 的 一 体 性 が 見 られる 同 一 科 目 の 教 育 内 容 や 異 なる 科 目 相 互 の 関 連 性 カ リキュラムにおける 科 目 の 位 置 づけなどについ て 組 織 的 に 検 討 する 場 を 作 り 組 織 的 対 応 は 進 ん でいる B 校 は 6 学 科 を 有 する 大 規 模 校 である 6 学 科 はいずれも 資 格 取 得 を 重 視 し それをカリキュラ ムに 取 り 入 れる 組 織 的 戦 略 としては 学 校 の 方 向 性 や 企 画 に 関 わることは 学 長 のリーダーシッ プの 下 で 教 授 会 や 運 営 協 議 会 が 決 定 するが カ リ キュラムに 関 わることは 各 学 科 に 任 せるという 役 割 分 担 式 の 組 織 運 営 である 目 標 の 効 率 的 達 成 には 役 立 つのであるが 組 織 単 位 の 上 下 的 調 整 や 学 科 間 の 協 働 が 不 足 する 課 題 が 残 っている 以 上 のように 私 立 短 大 は 自 校 の 教 育 理 念 目 標 に 基 づき 学 校 学 科 の 個 性 特 色 ある 教 育 活 動 が 展 開 されていることは 言 うまでもないが 学 校 規 模 が 小 さいほど 全 学 上 下 の 合 意 が 取 りやすく リーダーシップも 十 分 に 発 揮 しやすい 条 件 整 備 としての 組 織 的 協 働 とりわけ 学 科 間 科 目 間 教 職 間 の 協 働 もしやすい 終 章 本 研 究 の 成 果 と 課 題 本 研 究 の 成 果 :1 私 立 短 大 における 教 育 内 容 方 法 に 関 わるものにとどまらず 初 等 中 等 教 育 の カリキュラムマネジメントに 関 する 先 行 研 究 や 分 析 枠 組 みを 援 用 し カリキュラムを 効 果 的 に 実 現 するためのマネジメントも 視 野 に 入 れ 分 析 を 加 える 2 学 科 長 に 対 する 意 識 調 査 を 通 じて カ リキュラムの P-D-S サイクルだけではなく 機 関 内 外 の 協 働 組 織 の 内 部 運 営 条 件 資 源 など 経 営 的 条 件 整 備 がカリキュラムの 効 果 に 対 する 影 響 関 係 を 検 証 した 3アンケート 調 査 の 補 完 手 段 と して 事 例 分 析 を 実 施 することで カリキュラム の 効 果 に 関 わる 要 因 について 優 先 順 位 が 低 いた め 軽 視 されることや 筆 者 の 主 観 により 潜 在 され ることを 再 検 討 した 本 研 究 の 限 界 と 課 題 :1 資 料 収 集 及 び 研 究 能 力 の 限 界 で さらに 奥 深 い 研 究 になる 可 能 性 がある 2アンケート 調 査 及 び 事 例 分 析 の 対 象 サンプリ ングによる 限 界 性 である 3 調 査 対 象 に 関 する 課 題 である 本 稿 の 取 り 扱 った 学 内 管 理 職 のみなら ず 短 大 教 育 に 関 わる 教 員 在 学 生 さらに 外 部 の 様 々な 関 係 者 への 調 査 を 実 施 する 必 要 がある 主 要 参 考 文 献 財 団 法 人 短 期 大 学 基 準 協 会 (2007) 短 期 大 学 ステークホルダー 調 査 調 査 研 究 報 告 書 高 野 桂 一 (1989) 教 育 課 程 経 営 の 理 論 と 実 際 新 教 育 課 程 基 準 を 踏 まえて 教 育 開 発 研 究 所 -128-
田 村 知 子 (2005) カリキュラムマネジメン トのモデル 開 発 日 本 教 育 工 学 会 論 文 第 29 巻 中 留 武 昭 (2005) カリキュラムマネジメン トの 定 着 過 程 教 育 課 程 行 政 の 裁 量 とかか わって 教 育 開 発 研 究 所 中 留 武 昭 (2012) 大 学 のカリキュラムマネ ジメント 理 論 と 実 際 東 信 堂 -129-