放 射 線 の 基 礎 知 識
本 日 の 内 容 1. 放 射 線 についての 基 礎 項 目 2. 医 療 被 曝 と 放 射 線 の 生 体 への 影 響 についての 基 礎 項 目
1 放 射 線 の 基 礎 項 目
放 射 線 とは 電 離 放 射 線 ( 電 離 励 起 作 用 のあるもの) 粒 子 線 アルファ 線 ベータ 線 陽 子 線 中 性 子 線 etc 電 磁 波 ガンマ 線 エックス 線 非 電 離 放 射 線 紫 外 線 赤 外 線 マイクロ 波 etc ( 主 に 励 起 のみだが 周 波 数 の 高 い 紫 外 線 は 電 離 作 用 がある) 一 般 的 に 放 射 線 と 言 う 場 合 電 離 放 射 線 を 指 し 法 令 上 も 非 電 離 放 射 線 は 放 射 線 として 扱 わない
放 射 線 の 透 過 力
電 磁 波 の 種 類 出 典 : 高 校 生 のための 放 射 線 副 読 本 文 部 科 学 省 可 視 光 線 も ガンマ 線 も 電 波 も 全 て 電 磁 波 であり 従 って 進 む 速 度 は 全 て 光 の 速 度 と 同 じ 粒 子 線 の 速 度 はいろいろ
主 な 放 射 線 の 単 位 ベクレル(Bq): 放 射 能 1Bqは 1 秒 間 に1 個 の 原 子 核 が 崩 壊 すること グレイ(Gy): 吸 収 線 量 放 射 線 のエネルギーが 物 質 にどれだけ 吸 収 されたかを 表 す 単 位 (J/kg) シーベルト(Sv): 等 価 線 量 と 実 効 線 量 人 体 が 吸 収 した 放 射 線 によってどれだけ 影 響 を 受 けるかを 数 値 化 した 単 位 放 射 線 防 護 の 分 野 で 使 用 される 等 価 線 量 吸 収 線 量 (Gy)に 放 射 線 の 種 類 毎 に 定 められた 放 射 線 荷 重 係 数 を 乗 じたもの 実 効 線 量 等 価 線 量 に 組 織 別 に 定 められた 組 織 荷 重 係 数 を 乗 じて 合 計 したもの 言 い 換 えれば 全 身 被 ばくに 換 算 したもので 放 射 線 防 護 の 意 味 で 用 いられる(Sv)は 主 に 実 効 線 量 が 用 いられる
等 価 線 量 放 射 線 荷 重 係 数 By INNERVISION(25 6)2010
実 効 線 量 組 織 荷 重 係 数 By INNERVISION(25 6)2010
実 効 線 量 の 計 算 その1 By INNERVISION(25 6)2010
実 効 線 量 の 計 算 その2 By INNERVISION(25 6)2010
線 量 限 度 について 一 般 公 衆 1mSv/ 年 ( 自 然 放 射 線 2.4mSv) 放 射 線 診 療 ( 作 業 ) 従 事 者 実 効 線 量 100mSv/5 年 (1 年 間 につき50mSv) 水 晶 体 ( 等 価 線 量 ) 150mSv/ 年 皮 膚 ( 等 価 線 量 ) 500mSv/ 年 妊 娠 可 能 な 女 子 の 腹 部 妊 娠 中 の 女 子 の 腹 部 表 面 5mSv/3ヶ 月 2mSv ( 内 部 被 ばく1mSv) 医 療 被 曝 は 除 く
放 射 線 防 護 体 系 の3 原 則 正 当 化 : 放 射 線 に 関 する 計 画 された 活 動 の 導 入 又 は 継 続 が 活 動 の 結 果 生 じる 損 害 よりも 大 きな 利 益 を 個 人 と 社 会 にもたらすべきである 最 適 化 : 被 ばくする 可 能 性 被 ばくする 人 の 数 及 びその 人 た ちへの 個 人 線 量 の 大 きさは すべて 経 済 的 及 び 社 会 的 な 要 因 を 考 慮 して 合 理 的 に 達 成 できる 限 り 低 く 保 たれるべきである 線 量 限 度 : 規 制 された 線 源 からのいかなる 個 人 への 総 線 量 も ICRPが 勧 告 する 適 切 な 限 度 を 超 えるべきでない 上 記 のうち 線 量 限 度 は 医 療 被 ばくには 適 用 されない
放 射 線 影 響 の 種 類 身 体 的 影 響 早 期 影 響 脱 毛 皮 膚 紅 斑 出 血 白 血 球 減 少 放 射 線 宿 酔 不 妊 白 内 障 確 定 的 影 響 遺 伝 的 影 響 晩 発 影 響 白 血 病 がん 寿 命 の 短 縮 突 然 変 異 染 色 体 異 常 確 率 的 影 響
確 定 的 影 響 確 定 的 影 響 には しきい 値 (1~5%に 影 響 が 表 れる 線 量 )と 呼 ばれ る 影 響 の 発 生 する 最 小 の 線 量 があり このしきい 値 を 超 えて 被 ばく した 場 合 でないと 影 響 は 発 生 しない しきい 値 を 超 えた 場 合 には 線 量 の 増 加 とともに 影 響 の 発 生 する 頻 度 および 重 篤 度 が 増 加 する 組 織 臓 器 影 響 被 ばく 線 量 (mgy) 生 殖 腺 ( 男 ) 永 久 不 妊 3500~6000 生 殖 腺 ( 女 ) 永 久 不 妊 2500~6000 眼 の 水 晶 体 白 内 障 2000~10000 骨 髄 造 血 機 能 低 下 500 胎 児 流 産 ( 受 精 ~15 日 ) 100 胎 児 形 態 異 常 ( 受 精 後 2~8 週 ) 100 胎 児 精 神 発 達 遅 延 ( 受 精 後 8~15 週 ) 120
確 率 的 影 響 確 率 的 影 響 に 分 類 されるのは がん 白 血 病 寿 命 の 短 縮 遺 伝 的 影 響 である 確 率 的 影 響 は 被 ばく 線 量 の 増 加 とともに 影 響 の 発 生 率 が 増 加 し 現 れた 障 害 の 重 篤 度 は 線 量 に 関 係 がない 放 射 線 防 護 上 の 考 えでは 下 図 に 示 すように 影 響 にはしきい 線 量 がな く 少 ない 線 量 でも 線 量 の 増 加 とともに 影 響 の 発 生 率 が 増 加 するという 直 線 仮 説 を 採 用 している しかし 広 島 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 を 対 象 にし た 疫 学 的 調 査 において 50~200mSv 以 下 の 被 ばくでは 放 射 線 とは 関 係 なく 自 然 発 生 する 影 響 との 統 計 的 有 意 差 は 認 められてい ない したがって 個 人 における 放 射 線 検 査 に 伴 い 受 ける50~200mSv(100mSv) 以 下 の 被 ばく 線 量 では 影 響 の 発 生 を 心 配 する 必 要 はないと 考 える ( 一 度 に 全 身 に 受 ける 線 量 ) 容 認 できる 範 囲
遺 伝 的 影 響 遺 伝 的 影 響 は 生 殖 細 胞 に 起 こった 突 然 変 異 が 関 係 して 発 症 する 影 響 で 被 ばくした 人 の 子 孫 すなわち 次 世 代 以 降 に 現 れる 影 響 の 事 を 言 いま す したがって 被 ばく 後 に 子 供 を 作 る 可 能 性 のない 年 齢 の 人 は 問 題 にな りません 子 供 を 作 る 可 能 性 のある 年 齢 の 人 でも 生 殖 腺 以 外 の 部 位 に 被 ばくした 場 合 にも 問 題 になりません この 疫 学 調 査 は 広 島 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 の 子 供 自 然 放 射 線 のレヘ ルの 高 い 地 域 の 子 供 放 射 線 診 療 ( 作 業 ) 従 事 者 の 子 供 などを 対 象 に 行 われており 遺 伝 性 の 疾 病 の 発 生 率 が 統 計 的 に 優 位 に 増 加 する 事 は 認 められていま せん
低 線 量 被 ばく(50~200mSv)の 影 響 については 明 確 ではない 低 線 量 被 ばくによる 影 響 については 様 々な 研 究 機 関 や 団 体 等 によって 諸 説 あり 一 つの 結 論 に 達 していない
2 医 療 被 曝 と 放 射 線 の 生 体 への 影 響 についての 基 礎 項 目
ある 日 の 新 聞 記 事
The Lancet に 掲 載 された 論 文 The LANCET Vol363 January 2004 (The Lancet : 世 界 5 大 医 学 雑 誌 のひとつ) Risc of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries 診 断 用 Ⅹ 線 によるガン 発 症 のリスク: 英 国 および 他 の14カ 国 の 考 察 Berrington 博 士 らによる
LANCET 論 文 の 要 旨 日 本 の 原 爆 被 爆 者 のがん 発 症 のリスクに 基 づき 評 価 線 量 と 発 ガンの 関 係 が 直 線 になるというLNT 仮 説 を 使 用 対 象 国 は 英 国 をはじめとするヘルスケアⅠの 先 進 国 15カ 国 対 象 各 国 の 放 射 線 検 査 の 頻 度 や 被 ばく 線 量 を 調 査 Ⅹ 線 検 査 に 伴 う75 歳 までの 発 ガン 患 者 を 推 定 Ⅹ 線 検 査 の 頻 度 が 最 も 多 いのは 日 本 で 発 がん 率 は3.2% クロアチア1.8% ドイツ1.5% カナダ1.1% アメリカ0.9% イギリス0.6%
LANCET 論 文 への 反 論 LANCET 論 文 に 対 しHerzog 1) らは 以 下 の 点 において Berringtonらの 論 文 2) には 限 界 があると 反 論 した Ⅹ 線 診 断 で 用 いられる 程 度 の 放 射 線 でがんが 起 きる ことを 証 明 する 信 頼 できるデータはない 原 爆 被 爆 者 のデータを 用 いている Ⅹ 線 検 査 による 便 益 を 評 価 していない 1)P.Herzog, C.T.Rieger. Lancet 2004; 363: 340. 2)A.Berrington de Gonzalez, S.Darby. Lancet 2004;363: 345-351.
人 口 100 万 人 あたりの 国 別 CT 保 有 台 数 MRI : 1 位 日 本 43.1 台 OECD 平 均 12.0 台 OECDヘルスデータより
施 設 間 における 線 量 のバラツキ 胸 部 XP 撮 影 時 の 入 射 表 面 線 量 について 200を 超 える 施 設 を 対 象 に 調 査 したところ 最 少 線 量 から 最 大 線 量 までの 差 が 数 倍 からそれ 以 上 あることがわかった また CT 検 査 時 の 患 者 吸 収 線 量 についても200 近 い 施 設 を 対 象 に 調 査 が 行 われ 同 様 の 結 果 が 得 られたとの 報 告 があ る 従 って 撮 影 条 件 を 決 める 側 の 意 識 によって 患 者 被 ばく 線 量 に 大 きな 違 いが 出 ることがわかる
当 院 でのX 線 検 査 による 被 ばく 線 量 主 な 検 査 における 実 効 線 量 入 射 表 面 線 量 を 当 院 で の 標 準 的 な 撮 影 条 件 を 元 に 実 測 ではなく 線 量 推 計 ソフトにより 算 出 線 量 推 計 ソフト PCXMC ImPACT NDD-M
放 射 線 防 護 チームによるマニュアル 作 成
当 院 でのX 線 検 査 による 被 ばく 線 量 一 般 撮 影 での 主 な 検 査 (30 歳 大 人 ) 撮 影 部 位 撮 影 回 数 実 効 線 量 (msv) 頭 部 2 方 向 ( 座 位 ) 2 0.11 胸 部 2 方 向 ( 立 位 ) 2 0.13 腹 部 立 位 + 臥 位 2 0.47 頸 椎 2 方 向 2 0.06 腰 椎 6 方 向 6 1.91 両 股 関 節 2 方 向 3 0.96
当 院 でのX 線 検 査 による 被 ばく 線 量 CT 検 査 (64 列 )での 主 な 検 査 (30 歳 大 人 ) 撮 影 部 位 スキャン 方 式 実 効 線 量 (msv) 脳 ノンヘリカル 2.3 胸 部 ヘリカル 13.0 上 腹 部 ヘリカル 14.0 上 腹 部 ~ 骨 盤 部 ヘリカル 27.0 胸 部 ~ 骨 盤 部 ヘリカル 46.0 心 臓 3D ヘリカル 100.0
ある 総 合 病 院 における モダリティ 別 検 査 頻 度 と 線 量 寄 与 率 同 様 のモダリティを 有 した 総 合 病 院 であれば 概 ねこのような 分 布 になると 予 想 される
人 のがんの 原 因 医 療 と 医 薬 品 1% イギリスのがん 疫 学 者 R ドールの 分 析 X 線 検 査 の 被 ばくによる 影 響 を 心 配 するよりも バランスの 良 い 食 事 や 禁 煙 を 心 がける 方 が がんの 予 防 には 有 効 である
がんの 発 生 がんは 遺 伝 子 の 変 異 により 発 生 する 発 がん 要 因 は 多 数 ある たばこ 活 性 酸 素 ウィルス 紫 外 線 飲 酒 偏 食 環 境 汚 染 薬 品 放 射 線 放 射 線 と 発 がんの 関 係 は?
放 射 線 の 生 体 作 用 放 射 線 被 曝 物 理 的 過 程 科 学 的 過 程 生 化 学 的 過 程 生 物 学 的 過 程 電 離 励 起 フリーラジカル 炭 水 化 物 タンパク 質 脂 質 DNA RNAに 損 傷 を 与 える DNA 損 傷 細 胞 死 放 射 線 が 照 射 されると 生 体 中 の 原 子 分 子 との 間 に 光 電 効 果 コ ンプトン 効 果 電 子 対 生 成 (1.02MeV 以 上 の 場 合 )の 相 互 作 用 が 起 こる
放 射 線 の 生 体 への 影 響 電 離 作 用 が 生 体 に 影 響 を 及 ぼす 電 離 : 軌 道 電 子 を 放 出 励 起 : 軌 道 電 子 が 外 側 の 軌 道 に 飛 び 移 る
X 線 γ 線 の 電 離 作 用 電 離 電 離 電 離 X 線 γ 線 電 離 電 離 電 離 電 離 電 離 = 電 子
線 エネルギー 付 与 (LET) 放 射 線 の 生 物 学 的 効 果 に 最 も 影 響 を 及 ぼす 要 因 は その 飛 跡 に 沿 った 電 離 および 励 起 の 分 布 状 態 である しかし 同 じ 吸 収 線 量 を 与 える 放 射 線 で あっても 放 射 線 の 種 類 とエネルギーの 違 いによって 電 離 と 励 起 の 分 布 状 態 は 異 なる イメージ 図
生 物 学 的 効 果 比 (RBE) 放 射 線 に 被 ばくした 場 合 に 同 じ 吸 収 線 量 であっても 放 射 線 の 種 類 エネ ルギーの 違 いにより 生 物 に 及 ぼす 効 果 に 量 的 な 差 がある その 違 いを 比 で 表 したものが 生 物 学 的 効 果 比 (RBE)である X γ β 線 : 1 陽 子 線 (2MeV 以 上 ) : 5 α 線 : 20 中 性 子 線 (エネルギーにより) : 5~20
放 射 線 影 響 と 活 性 酸 素 生 体 内 における 放 射 線 の 電 離 作 用 により 活 性 酸 素 の 一 種 であるヒドロキシルラジカルを 発 生 させ 生 体 に 障 害 をあ たえることになる ヒドロキシルラジカルは いわゆる 活 性 酸 素 と 呼 ばれる 物 の 中 では 最 も 反 応 性 が 高 く 最 も 酸 化 力 が 強 い このヒドロキシルラジカルは 放 射 線 だけが 発 生 させるので はなく 通 常 の 活 性 酸 素 についても 一 部 がヒドロキシルラジ カルになる
活 性 酸 素 活 性 酸 素 は 様 々な 物 質 に 対 して 非 特 異 的 な 化 学 反 応 をも たらし 細 胞 に 障 害 を 与 えるために その 有 害 性 が 指 摘 され ています 私 たちは 呼 吸 によって 空 気 中 から 酸 素 を 取 り 入 れ 酸 素 を 利 用 して 体 内 のエネルギーを 生 成 しています この 時 に 使 用 される 酸 素 の 一 部 が 活 性 酸 素 に 変 化 します 人 の1 日 に 酸 素 消 費 量 は 約 500リットルで その 内 の2%ほどが 活 性 酸 素 になると 言 われています それを 防 ぐために 私 たちの 体 には 抗 酸 化 酵 素 と 呼 ばれる 活 性 酸 素 を 消 去 あるいは 除 去 する 酵 素 が 存 在 します 抗 酸 化 酵 素 カタラーゼ ペルオキシダーゼ スーパーオキシドディスムターゼ など ( 空 気 の 組 成 : 窒 素 78% 酸 素 21% その 他 1%)
活 性 酸 素 とフリーラジカル 一 般 に 活 性 酸 素 とフリーラジカルは 混 同 されることが 多 いが 活 性 酸 素 にはフリーラジカルとそうでないものがある 狭 義 の 活 性 酸 素 ヒドロキシルラジカル HO スーパーオキシドアニオンラジカル ヒドロペルオキシルラジカル 過 酸 化 水 素 HOOH HO 2 O 2 一 重 項 酸 素 1 O 2 広 義 の 活 性 酸 素 一 酸 化 窒 素 二 酸 化 窒 素 オゾン O 3 過 酸 化 脂 質 NO ONO 赤 字 がフリーラジカル
直 接 作 用 と 間 接 作 用 人 の 組 成 の60%~70%は 水 イオン 化 された 水 (H2O + )は H2O + H + +HO
放 射 線 の 生 体 作 用 放 射 線 の 生 体 作 用 は 直 接 作 用 と 間 接 作 用 (ヒドロキシ ルラジカルなどの 活 性 酸 素 による 作 用 )があるとされて います しかし それぞれの 寄 与 の 割 合 は 放 射 線 の 種 類 に よって 大 きく 異 なり X 線 γ 線 のような 低 LET 放 射 線 は 間 接 作 用 が 大 きな 割 合 を 占 め α 線 や 中 性 子 線 のよう な 高 LET 放 射 線 は 直 接 作 用 が 主 体 となります 医 療 で 用 いる 放 射 線 はほとんどがX 線 γ 線 なので 医 療 放 射 線 の 影 響 はというのは これら 低 LET 放 射 線 の 影 響 と 考 えてよく 間 接 作 用 つまりヒドロキシルラジ カルの 作 用 が 主 であると 言 えます
照 射 後 に 約 2.5mgを 投 与 した42 匹 のマウスは98%が 生 きていた 投 与 しなかったマウスは 約 7%しか 生 き 残 らなかった ビタミンEが 放 射 線 影 響 を 軽 減 する 2011 年 福 岡 大 学 の 高 田 二 郎 教 授 と 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 のグループは ビタミンEの 一 種 が 放 射 線 による 被 ばくの 影 響 を 軽 減 できることを 動 物 実 験 で 確 認 した 大 豆 やトウモロコシから 抽 出 できるビタミンEの 一 種 γ トコフェロール は 投 与 すると 体 内 でビタミンEに 変 る 実 験 では マウスに7.5Svと 高 い 線 量 のX 線 を 照 射 し この 薬 を 与 えた 群 と 与 えなかった 群 における1ヶ 月 後 の 生 存 率 を 比 べた
放 射 線 の 影 響 を 軽 減 する 食 物 成 分 ビタミンE ビタミンC ビタミンA ベータ カロチン いわゆる 活 性 酸 素 を 除 去 する 成 分 と 同 じ
ネクローシスとアポトーシス 放 射 線 生 物 学 での 細 胞 死 はネクローシスとアポトーシスに 分 類 される ネクローシス 虚 血 火 傷 毒 物 放 射 線 照 射 などにより 細 胞 膜 の 障 害 細 胞 の 膨 潤 細 胞 溶 解 などが 起 こる 放 射 線 照 射 後 に 起 こる 細 胞 死 は 多 くの 場 合 ネクローシスによる 細 胞 死 とされ ている ( 壊 死 自 然 死 ) アポトーシス プログラム 細 胞 死 とも 呼 ばれ 放 射 線 照 射 後 ではDNA の 変 異 を 防 ぐために 遺 伝 子 の 自 爆 スイッチがONになって 起 こる 細 胞 死 ( 自 発 死 ) 癌 抑 制 遺 伝 子 であるp53 遺 伝 子 が 深 くかかわっている
DNAの 損 傷 の 種 類 その 他 に 塩 基 遊 離 架 形 成 など 最 も 重 大 なDNA 損 傷 は 二 本 鎖 切 断 ある 研 究 報 告 では 実 効 線 量 80mSv で 二 本 鎖 切 断 が 一 か 所
DNA 損 傷 修 復 完 了 ほとんどは 修 復 放 射 線 被 曝 DNA 損 傷 修 復 過 程 修 復 エラー がん 突 然 変 異 細 胞 死 アポトーシス DNAの 損 傷 は 塩 基 損 傷 塩 基 の 遊 離 鎖 切 断 架 橋 形 成 に 分 けられる 電 離 放 射 線 の 細 胞 への 作 用 で 最 も 大 きく 関 与 するのはDNA 鎖 の 切 断 である 放 射 線 照 射 により 起 こる 二 本 鎖 切 断 は 一 本 鎖 切 断 に 比 べ 約 1/40である 紫 外 線 の 生 物 作 用 はその 大 部 分 が 塩 基 損 傷 である DNA 損 傷 による 癌 化 を 防 ぐ 癌 抑 制 遺 伝 子 p53 NBS1などが 存 在 する
放 射 線 の 生 体 への 影 響 要 するに 放 射 線 被 ばくによる 発 がん 等 の 障 害 は 放 射 線 に 限 って の 特 有 なものではなく 他 の 発 がん 要 因 が 及 ぼす 機 序 と 同 じであると 考 えてよい 特 に 医 療 において 主 に 利 用 されるX 線 ガンマ 線 ベータ 線 の 生 体 への 影 響 は 間 接 作 用 が 主 な 要 因 であり 日 常 生 活 においてのがん 予 防 の 取 り 組 みが 他 の 要 因 と 同 様 に 放 射 線 の 影 響 も 軽 減 できると 言 える
出 典 : 高 橋 希 之 放 射 線 の 影 響 はあなたしだい 生 体 機 能 研 究 会
出 典 : 高 橋 希 之 放 射 線 の 影 響 はあなたしだい 生 体 機 能 研 究 会
出 典 : 高 橋 希 之 放 射 線 の 影 響 はあなたしだい 生 体 機 能 研 究 会
出 典 : 高 橋 希 之 放 射 線 の 影 響 はあなたしだい 生 体 機 能 研 究 会
免 疫 機 能 がん 細 胞 HO H HO2 H2O2 禁 酒 禁 煙 バランスのとれた 食 事 適 度 の 運 動 ストレスの 解 消 発 がんバケツ 発 がん 原 因 たばこ 食 事 ウィルス 感 染 アルコール 放 射 線 ストレス 生 活 環 境 不 摂 生 薬 剤 環 境 汚 染 運 慶 応 大 近 藤 誠 先 生
放 射 線 障 害 と 回 復 効 果 同 じ 線 量 でも 一 度 に 被 ばくするのと 何 度 かに 分 けて 被 ばくするのでは 全 く 影 響 が 異 なる 例 ) 1 度 に 実 効 線 量 50mSvの 検 査 を1か 月 毎 に12 回 (1 年 ) 600mSv 1 度 に600mSvを 被 ばく 100mSv 程 度 の 被 ばくであれば1 週 間 くらい 10mSv 程 度 の 被 ばくであれば1 日 くらい でほぼ 元 の 状 態 に 回 復 するとの 報 告 もある
IVR 時 の 被 ばく 近 年 IVRに 関 する 技 術 や 機 器 の 発 展 にともない 対 象 疾 患 の 範 囲 も 拡 大 している それに 伴 い 長 時 間 の 透 視 や 多 数 回 の 撮 影 による 患 者 の 皮 膚 障 害 の 報 告 も 全 国 的 には 珍 しくないのが 現 実 また 同 時 に 術 者 の 被 ばく 線 量 も 増 加 の 傾 向 にある と 考 えられることから 術 中 の 放 射 線 防 護 には 十 分 な 配 慮 が 必 要 である
IVRによる 皮 膚 障 害 の1 例 当 院 の 症 例 ではありません 左 は 肝 細 胞 癌 により TAE TAIを6 回 施 行 下 は 急 性 心 筋 梗 塞 により PCI 施 行
医 療 被 ばくを 知 る 各 検 査 の 大 まかな 被 ばく 線 量 を 把 握 しておく 放 射 線 障 害 発 生 の 可 能 性 がある 線 量 の 限 度 を 把 握 しておく 放 射 線 検 査 についての 患 者 さんからの 質 問 に 大 丈 夫 ですよ と 言 える 根 拠 となる 情 報 を 備 える 被 曝 に 関 する 患 者 さんへの 対 応 で 困 った 時 には 放 射 線 科 にご 相 談 を
Q1 妊 娠 可 能 な 女 性 の 胸 部 X 線 撮 影 を 行 う 際 腹 部 の 防 護 をせずに 撮 影 した
Q2 病 室 にて 胸 部 X 線 写 真 をポータブル 撮 影 装 置 で 撮 影 する 際 患 者 から3 m 程 離 れたところに 看 護 師 さんがい たが かまわず 撮 影 した
Q3 放 射 線 技 師 は 業 務 中 に 多 少 放 射 線 に 被 ばくしても 大 丈 夫 だ
まとめ 放 射 線 の 単 位 ベクレル(Bq) グレイ(Gy) シーベル ト(Sv)の 意 味 医 療 被 ばくには 線 量 限 度 がない 放 射 線 について 正 しい 知 識 と 感 覚 を 持 ち リスクとベネフィットのバラン スを 常 に 意 識 して 低 減 について 努 力 する 必 要 がある X 線 ガンマ 線 の 生 体 への 影 響 は 主 にヒドロキシル ラジカルという 活 性 酸 素 の 一 種 によるものである 放 射 線 の 発 ガンへの 影 響 は 特 化 したものではなく 他 の 要 因 と 同 様 であると 言 える 従 って 生 活 習 慣 に より 影 響 を 減 らすことができる