Microsoft Word - 201210601.doc



Similar documents
2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け


<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6


は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

39_1


公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

平成24年度 業務概況書

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

スライド 1

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt


4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

PowerPoint プレゼンテーション

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

第316回取締役会議案

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

連結計算書

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

 

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

12FBI特会vol1_01編.indd

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

(2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 該 当 事 項 はありません (3) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 作 成 に 係 る 会 計 処 理 の 原 則 手 続 表 示 方 法 等 の 変 更 当

添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

マネタリーベースと日本銀行の取引(2016年9月)

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

1_2013BS(0414)

<4D F736F F D E91E6318E6C94BC8AFA925A904D D838A815B8BA693AF8E9497BF2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 税制上の特例.pptx


養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

(参考資料)国際会計基準(IFRS)の2012年3月期からの任意適用について

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

公表表紙

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

●電力自由化推進法案

6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

(3) 善 通 寺 市 の 状 況 善 通 寺 市 においては 固 定 資 産 税 の 納 期 前 前 納 に 対 する 報 奨 金 について 善 通 寺 市 税 条 例 の 規 定 ( 交 付 率 :0.1% 限 度 額 :2 万 円 )に 基 づき 交 付 を 行 っています 参 考 善 通 寺

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

Microsoft Word - 【QA】外貨MMF受付停止.doc

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について


<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

小山市保育所整備計画

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ): 無 新 規 - 社 ( 社 名 ) 除 外 - 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~


セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保


<4D F736F F D E718CF68D C768E5A8F9197DE>


別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

<4D F736F F D F93878CA797708F4390B3816A819A95CA8B4C976C8EAE91E682538B4C8DDA97E12E646F6378>

定款  変更

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 事 業 税 は 都 道 府 県 が 所 得 ( 利 益 )に 対 して 課 税 します 1. 個 人 事 業 税 業 種 区 分 税 率 ( 標 準 税 率 ) 第 1 種 事 業 ( 物 品 販 売 業 製 造 業 金 銭 貸 付 業 飲 食 店 業 不 動

2016年夏のボーナス見通し

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

平成28年11月期第3四半期決算短

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

目 次 ( 資 産 の 部 金 融 資 産 ) 1. 資 金 4 1 資 金 明 細 台 帳 ( 資 産 負 債 整 簿 ) 5 2 資 金 の 明 細 台 帳 ( 付 属 明 細 表 ) 5 2. 税 等 未 収 金 6 3 債 権 債 務 整 台 帳 ( 資 産 負 債 整 簿 ) 6 4 当

Transcription:

金 融 緩 和 と 成 長 戦 略 の 効 果 発 現 を 期 待 する 日 銀 シナリオ ~2012 年 10 月 日 銀 展 望 レポートと 金 融 緩 和 の 強 化 ~ 調 査 情 報 担 当 室 鈴 木 克 洋 2012 年 10 月 30 日 日 本 銀 行 は 先 行 きの 経 済 と 物 価 情 勢 を 展 望 した 経 済 物 価 情 勢 の 展 望 ( 展 望 レポート) 1 を 公 表 するとともに 3つの 施 策 (2か 月 連 続 での 資 産 買 入 等 基 金 の 買 入 れ 額 増 額 金 融 機 関 への 貸 出 増 加 支 援 資 金 供 給 の 創 設 デフレ 脱 却 に 向 けた 取 組 についての 政 府 との 共 同 文 書 の 公 表 )による 金 融 緩 和 政 策 の 強 化 を 決 定 した 今 回 の 展 望 レポートでは 前 回 4 月 の 展 望 レポート 2 及 び7 月 の 中 間 評 価 での 明 るさの 見 られる 景 気 見 通 しから 一 転 し これまで 持 ち 直 すと 見 込 んできた 海 外 経 済 が 減 速 を 強 めたこと 等 により 先 行 きの 我 が 国 の 経 済 物 価 情 勢 につい ての 見 方 が 大 幅 に 下 方 修 正 されることとなった こうした 状 況 を 受 けて 追 加 的 な 金 融 緩 和 政 策 が 決 定 された 本 稿 では 今 回 公 表 された 展 望 レポートにおけ る 日 銀 見 通 しを 見 るとともに 今 次 決 定 された 金 融 緩 和 の 強 化 策 について 整 理 することとする 1. 展 望 レポートにおける 日 銀 の 経 済 物 価 の 見 通 し 1-1. 上 方 修 正 された 経 済 物 価 見 通 し 今 回 の 展 望 レポートにおいて 示 された 日 銀 政 策 委 員 の 経 済 と 物 価 の 見 通 しを 確 認 する 3 ( 図 表 1) 先 行 き 見 通 し 期 間 は 2014 年 度 まで 延 長 され 2012~2014 年 度 までの3 年 間 となった また 今 回 の 見 通 しでは 社 会 保 障 税 一 体 改 革 関 連 法 の 成 立 を 受 けて 4 2014 年 4 月 1 日 の 消 費 税 率 3%ポイントの 引 上 げが 前 提 1 展 望 レポートは 日 銀 の 想 定 する 先 行 き 経 済 物 価 情 勢 の 標 準 的 なシナリオやリスク 要 因 とと もに これを 踏 まえた 今 後 の 金 融 政 策 運 営 の 考 え 方 が 示 されており 先 行 きの 金 融 政 策 運 営 を 予 想 する 上 でのベンチマーク( 基 準 )となる 展 望 レポートは 毎 年 4 月 末 及 び 10 月 末 に 公 表 さ れるが 展 望 レポートの 公 表 から3か 月 後 に 当 たる7 月 と1 月 には 中 間 評 価 が 行 われる 2 前 回 の 展 望 レポートの 詳 細 は 拙 稿 景 気 改 善 を 見 込 む 中 での 金 融 緩 和 の 強 化 ~2012 年 4 月 日 銀 展 望 レポートと 金 融 緩 和 政 策 の 整 理 ~ ( 本 誌 第 101 号 平 成 24 年 6 月 )を 参 照 3 本 稿 では 政 策 委 員 全 員 の 見 通 しから 最 大 値 と 最 小 値 を1 個 ずつ 取 り 除 いた 見 通 し( 大 勢 見 通 し)の 中 央 値 を 日 銀 の 見 通 しとして 扱 うこととする 4 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 消 費 税 法 等 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律 及 び 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 地 方 税 法 及 び 地 方 交 付 税 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 (いずれも 2012 年 8 月 22 日 公 布 )によって 消 費 税 率 の 引 上 げ 前 に 経 済 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 した 上 で 2014 年 4 月 1 日 に 消 費 税 ( 地 方 消 費 税 を 1 経 済 のプリズム No106 2012.12

図 表 1 日 本 銀 行 政 策 委 員 の 経 済 物 価 情 勢 の 見 通 し 実 質 経 済 成 長 率 % 4.0 3.3 3.0 1.8 1.8 2.0 1.6 1.0 1.5 0.6 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 2.1 実 績 2012.10 展 望 4.0 3.7 2012.7 中 間 2006 08 10 12 14 年 度 % 1.5 1.0 0.5 0.1 0.3 0.0 消 費 者 物 価 指 数 上 昇 率 1.2 当 面 の 中 長 期 的 物 価 安 定 の 目 途 1% 0.0 0.4 0.8 0.5 0.1 0.8 1.0 実 績 1.5 1.6 2012.10 展 望 2.0 2012.7 中 間 2006 08 10 12 14 年 度 ( 注 1) 数 値 は 大 勢 見 通 し( 各 政 策 委 員 が 最 も 蓋 然 性 の 高 いと 考 える 見 通 しの 数 値 について 最 大 値 と 最 小 値 を1 個 ずつ 除 いて 幅 で 示 したもの)の 中 央 値 実 質 経 済 成 長 率 は 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 が 反 映 され 消 費 者 物 価 指 数 上 昇 率 はその 影 響 は 除 かれている なお 実 質 経 済 成 長 率 の 実 績 は 2012 年 4-6 月 期 2 次 速 報 (2012 年 9 月 10 日 公 表 ) 時 点 の 数 値 ( 注 2) 実 質 経 済 成 長 率 中 の は 消 費 税 率 引 上 げによる 駆 け 込 み 需 要 とその 反 動 の 影 響 ( 日 銀 試 算 )を 機 械 的 に 控 除 した 場 合 の 筆 者 算 出 値 また 消 費 者 物 価 指 数 上 昇 率 に 消 費 費 税 率 引 上 げの 影 響 を 加 味 する 場 合 は 2014 年 度 の 数 値 に+2.0%ポイント( 日 銀 試 算 )を 加 算 する ( 出 所 ) 日 本 銀 行 経 済 物 価 情 勢 の 展 望 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 等 から 作 成 とされている 実 質 経 済 成 長 率 の 日 銀 の 見 通 しは 2012 年 度 +1.5% 2013 年 度 +1.6% 2014 年 度 +0.6%とされた 今 年 7 月 に 公 表 された 中 間 評 価 5 と 比 較 すると 2012 年 度 は 0.7%ポイントの 大 幅 な 下 方 修 正 であり 今 回 弱 含 み と 判 断 された 足 下 の 景 気 減 速 の 状 況 が 直 接 投 影 された 結 果 となっている 続 く 2013 年 度 は 数 値 上 0.1%ポイントの 下 方 修 正 であるが 日 銀 が 試 算 する 消 費 税 率 引 上 げの 駆 け 込 み 需 要 の 押 上 げ 効 果 (+0.3%ポイント 後 述 )を 機 械 的 に 控 除 するならば 下 方 修 正 の 幅 は 0.4%ポイントとなり 上 記 同 様 大 幅 な 修 正 である さらに 今 回 初 めての 公 表 となった 2014 年 度 は 消 費 税 率 引 上 げによる 駆 け 込 み 需 要 の 反 動 減 という 影 響 もあって1%を 下 回 るが 上 記 同 様 に 反 動 減 の 影 響 ( 0.7%ポイ ント)を 控 除 しても+1.3% 程 度 にしかならず 先 行 き2 年 先 まで1% 台 前 半 の 成 長 にとどまる しかも これら 先 行 きの 見 通 しは 次 節 (1-2 節 )で 見 るように 海 外 経 済 の 回 復 という 想 定 に 加 え 今 回 の 日 銀 の 金 融 緩 和 の 強 化 と 政 府 民 間 の 成 長 力 強 化 の 効 果 の 発 現 が 前 提 とされている 逆 を 言 えば これらの 効 果 が 含 む )は 現 行 5%から8%へ 2015 年 10 月 1 日 から 10%へ 引 き 上 げられることになっている 5 日 本 銀 行 当 面 の 金 融 政 策 運 営 について (2012 年 7 月 12 日 ) 経 済 のプリズム No106 2012.12 2

みられないならば 状 況 は 一 段 と 悪 い 結 果 になる 可 能 性 がある また 物 価 ( 消 費 者 物 価 指 数 ( 除 く 生 鮮 食 品 ) 上 昇 率 )の 見 通 しは 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 を 除 いたベースで 2012 年 度 は 0.1% 2013 年 度 は+0.4%とな り 前 回 と 比 較 して 2012 年 度 は 0.3%ポイント 2013 年 度 は 0.3%ポイン トと 大 幅 な 下 方 修 正 である 2014 年 度 は+0.8%とされたが( 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 を 加 えると+2.8%) 前 述 の 経 済 の 見 通 しが 前 提 となっており この 実 現 可 能 性 も 不 確 実 性 は 高 い 日 銀 は 中 長 期 的 な 物 価 安 定 の 目 途 とする 1% に 近 づくとするが 実 際 にこの 目 標 に 達 するまでにはしばらく 時 間 がかかると みることもできる なお 消 費 税 率 引 上 げの 経 済 への 影 響 については 日 銀 は 前 年 度 に 駆 け 込 み 需 要 として 経 済 を+0.3%ポイント 程 度 を 押 し 上 げ 当 年 度 は 0.7%ポイン ト 程 度 押 し 下 げると 試 算 している 図 表 2 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 ( 図 表 2) このうち 反 動 減 の 要 因 %ポイント を 簡 易 的 に 分 解 するならば 押 上 げ 0.4 駆 け 込 み 分 が 剥 落 して 元 に 戻 る 分 が 0.3% 0.2 0.3%p ポイント 駆 け 込 み 需 要 として 前 年 0.0 度 に 支 出 が 行 われた 分 ( 異 時 点 間 の 剥 落 分 0.2 0.3%p 代 替 効 果 )が 0.3%ポイントとする 異 時 点 間 0.4 代 替 効 果 分 と 実 質 所 得 が 減 少 することによる 代 替 0.3%p 0.6 所 得 効 果 分 需 要 減 少 分 ( 所 得 効 果 )は 0.1%ポ 0.1%p イントと 計 算 できる 試 算 は 不 確 実 0.8 反 動 減 性 が 大 きいため 幅 をもってみる 必 要 ( 注 ) 消 費 税 率 引 上 げによる 経 済 への 影 響 を イメージ 化 した があるが 所 得 効 果 による 経 済 の 押 ( 出 所 ) 日 本 銀 行 経 済 物 価 情 勢 の 展 望 等 下 げはそれほど 大 きくないとみてい から 筆 者 作 成 るということが 言 えよう 6 また 物 価 への 影 響 については 消 費 税 率 引 上 げ 分 が 商 品 価 格 にフル 転 嫁 されると 仮 定 して 物 価 指 数 における 非 課 税 免 税 品 目 のウェイトを 用 いた 日 銀 の 試 算 では 非 課 税 等 品 目 のない 国 内 企 業 物 価 指 数 では 2.9%ポイント 程 度 非 課 税 等 品 目 の ウェイトが 30% 弱 ある 消 費 者 物 価 指 数 では 2.0%ポイント 程 度 押 し 上 げるとし ている 6 これについて 日 銀 は やや 長 い 目 でみて 家 計 は 我 が 国 の 厳 しい 財 政 事 情 を 踏 まえ 将 来 の 消 費 税 率 引 上 げをある 程 度 織 り 込 んで 行 動 しているとみられることを 勘 案 すると その 影 響 は 所 得 の 減 少 から 機 械 的 に 計 算 されるほど 大 きくはならないとしている 3 経 済 のプリズム No106 2012.12

1-2. 先 行 き 経 済 物 価 についての 日 銀 のシナリオとリスク こうした 日 銀 の 見 通 しの 背 景 となる 日 銀 の 経 済 物 価 のシナリオ 7 は 当 面 横 ばい 圏 内 の 動 きにとどまるとみられるが 先 行 きは 国 内 需 要 が 全 体 としてみ れば 底 堅 さを 維 持 し 海 外 経 済 が 減 速 した 状 態 から 次 第 に 脱 していくにつれて 緩 やかな 回 復 経 路 に 復 していくと 考 えられる というものである これを 図 表 3に 沿 って 詳 細 にみれば 1 国 際 金 融 資 本 市 場 は 欧 州 債 務 問 題 を 背 景 とした 投 資 家 のリスク 回 避 姿 勢 が 一 頃 に 比 べやや 後 退 したものの 不 透 明 感 が 強 い 状 態 は 続 き 2 海 外 経 済 は 欧 州 債 務 問 題 の 影 響 の 広 がりや 中 国 経 済 減 速 が 予 想 以 上 に 長 期 化 していることなど 減 速 状 態 を 強 めている 状 況 にあり 8 3 我 が 国 経 済 は 輸 出 や 鉱 工 業 生 産 が 減 少 し 堅 調 に 推 移 してきた 内 需 にも 影 響 が 一 部 及 び 始 めていることから 当 面 横 ばい 圏 内 の 動 きが 続 く ただし その 後 の 先 行 きは 4(a) 国 際 金 融 資 本 市 場 が 総 じて 落 ち 着 いて 推 移 図 表 3 我 が 国 経 済 の 波 及 経 路 と 日 銀 シナリオ(イメージ 図 ) 当 面 減 速 次 第 に 緩 やかな 回 復 へ 当 面 減 少 国 内 金 融 市 場 強 力 な 金 融 緩 和 の 推 進 貸 出 支 援 企 業 による 潜 在 需 要 の 掘 り 起 こし 所 得 海 外 経 済 輸 出 生 産 企 業 収 益 雇 用 所 得 欧 米 経 済 国 際 金 融 資 本 市 場 欧 州 後 退 米 国 慎 重 化 企 業 外 国 為 替 設 備 投 資 個 人 消 費 住 宅 投 資 支 出 欧 州 債 務 問 題 不 透 明 感 の 強 い 状 況 物 価 公 共 投 資 新 興 国 資 源 国 経 済 中 国 減 速 成 長 戦 略 の 実 行 政 府 復 興 需 要 徐 々に 減 衰 ( 注 ) 一 般 に 理 解 される 経 済 の 波 及 経 路 をもとに 日 銀 のシナリオを 図 示 した ( 出 所 ) 筆 者 作 成 7 展 望 レポートは 日 銀 の 先 行 き 経 済 物 価 のシナリオについて 蓋 然 性 が 高 いと 考 えられる 中 心 的 なシナリオとともに そのシナリオに 係 る 上 振 れ 下 振 れのリスク 要 因 が 説 明 される 具 体 的 には 前 回 の 展 望 レポートで 示 されたシナリオ 及 びリスク 要 因 について 足 下 の 経 済 状 況 等 に 照 らして 点 検 し 修 正 すべき 場 合 は 修 正 等 を 行 って 新 たなシナリオ 等 を 公 表 している 8 前 回 7 月 の 日 銀 見 通 しでは 海 外 経 済 は 減 速 した 状 態 から 脱 していくとの 展 望 が 示 されていた が 夏 場 以 降 急 速 に 先 行 き 海 外 経 済 減 速 の 長 期 化 という 懸 念 が 国 際 機 関 や 民 間 エコノミストの 間 に 広 がり 始 めた 民 間 エコノミストの 予 想 ( 日 本 経 済 研 究 センター ESPフォーキャスト 調 査 )を 見 ると 海 外 経 済 の 見 通 しの 下 振 れに 伴 い 9 月 以 降 2012 年 度 の 我 が 国 の 実 質 経 済 成 長 率 見 通 しは 大 きく 下 方 修 正 されている 経 済 のプリズム No106 2012.12 4

し (b) 海 外 経 済 が 減 速 した 状 態 から 次 第 に 脱 していくにつれて 緩 やかに 持 ち 直 しに 転 じ さらに (c) 強 力 な 金 融 緩 和 の 効 果 とともに (d) 企 業 による 内 外 の 潜 在 需 要 の 掘 り 起 こしと(e) 政 府 による 成 長 力 強 化 の 取 組 の 成 果 が 上 がり 緩 や かな 回 復 経 路 に 復 していく また 5 物 価 については 1-1 節 のとおり 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 を 除 いた 経 済 成 長 率 (1% 台 前 半 )が 潜 在 成 長 率 ( 日 銀 の 推 計 で0% 台 半 ば)を 上 回 ることに よって 需 給 ギャップが 改 善 し 消 費 者 物 価 指 数 は 緩 やかに 上 昇 に 転 じる 2014 年 度 には 当 面 の 中 長 期 的 な 物 価 安 定 の 目 途 ( 以 下 目 途 という )であ る 1% に 9 近 づいていく というシナリオを 描 いている このように 緩 やかな 回 復 経 路 に 復 する とする 先 行 き 回 復 を 見 通 す 日 銀 シ ナリオではあるが その 前 提 条 件 を 見 るならば 1 不 透 明 感 がいまだ 強 く 残 る 海 外 経 済 について 緩 やかな 回 復 に 転 じていく という 想 定 をしていることに 加 え 10 2これまで 低 成 長 からの 脱 却 に 対 して 明 確 な 効 果 が 観 察 されているとは いえない 金 融 緩 和 の 効 果 や3まだ 具 現 化 していない 政 府 企 業 の 成 長 力 強 化 の 取 組 による 効 果 が 発 現 するという 期 待 までも 織 り 込 んだものとなっており シナリオの 描 き 方 にやや 強 引 な 部 分 があることは 否 定 できないだろう さらに 以 上 のシナリオはそれでも 中 心 的 な 見 通 しであり シナリオに 係 る リスク 要 因 も 存 在 し 不 確 実 性 が 高 い 状 態 にある 日 銀 はそのリスク 要 因 とし て 実 体 経 済 面 で4つ 物 価 面 で3つのリスクを 挙 げている( 図 表 4) いずれも 図 表 4 2012 年 10 月 の 日 銀 シナリオに 対 するリスク 要 因 実 体 経 済 面 国 際 金 融 資 本 市 場 と 海 外 経 済 の 動 向 企 業 家 計 の 中 長 期 的 な 成 長 期 待 の 動 向 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 に 関 する 不 確 実 性 我 が 国 の 財 政 の 持 続 可 能 性 を 巡 る 様 々な 問 題 物 価 面 マクロ 的 な 需 給 バランスに 対 する 物 価 感 応 度 に 関 する 不 確 実 性 企 業 家 計 の 中 長 期 的 な 予 想 物 価 上 昇 率 の 動 向 輸 入 物 価 の 動 向 ( 出 所 ) 日 本 銀 行 経 済 物 価 情 勢 の 展 望 (2012.10.30) 9 日 銀 は 中 長 期 的 な 物 価 安 定 の 目 途 に 示 す 数 値 を 基 に 物 価 安 定 が 展 望 できる 情 勢 になった と 判 断 するまで 実 質 ゼロ 金 利 政 策 を 継 続 するというコミットメント( 約 束 ) 政 策 を 行 っている 10 なお IMFの 世 界 経 済 成 長 見 通 し(10 月 )でも 2012~14 年 の 世 界 経 済 の 実 質 成 長 率 につ いて 過 去 32 年 間 の 平 均 成 長 率 +3.4%を 上 回 るペースに 緩 やかに 加 速 するとしている 5 経 済 のプリズム No106 2012.12

上 振 れ 下 振 れの 両 方 向 のリスクが 存 在 するものであるが 現 時 点 では 下 振 れリ スクに 対 して 強 く 注 意 が 向 けられている 特 に 我 が 国 経 済 成 長 の 起 点 となる 海 外 経 済 の 動 向 リスク については 前 回 4 月 の 展 望 レポートでも 指 摘 され たものであるが 現 実 にこのリスクが 一 部 顕 在 化 してしまったことが 今 回 の 下 方 修 正 の 主 な 要 因 である 海 外 経 済 は 引 き 続 き 不 透 明 感 が 強 いことを 勘 案 すれ ば 今 回 の 日 銀 シナリオの 実 現 性 も 予 断 を 許 さない 2. 金 融 緩 和 政 策 の 強 化 の 概 要 と 効 果 2-1. 金 融 緩 和 の 強 化 の 概 要 1 節 でみたように 当 面 横 ばい 圏 内 を 続 ける との 見 通 しを 受 けて 展 望 レ ポートの 公 表 とあわせて 我 が 国 経 済 が 物 価 安 定 のもとでの 持 続 的 な 成 長 経 路 に 復 していく 軌 道 を 踏 みはずさないようにする ことを 目 指 して 金 融 緩 和 を 一 段 と 強 化 するため 次 の3つの 施 策 からなる 金 融 緩 和 の 強 化 策 が 決 定 された ( 図 表 5) 図 表 5 金 融 緩 和 の 強 化 (2012 年 10 月 30 日 )の 概 要 1 資 産 買 入 等 の 基 金 の 増 額 80 兆 円 程 度 から 91 兆 円 程 度 に 11 兆 円 程 度 増 額 (2か 月 連 続 ) 国 債 のほか ETF REIT 等 のリスク 性 資 産 も 増 額 2 貸 出 増 加 を 支 援 するための 資 金 供 給 の 枠 組 みの 創 設 金 融 機 関 の 貸 出 増 加 額 を 希 望 に 応 じて 低 利 長 期 で 資 金 供 給 ( 無 制 限 ) 金 融 機 関 の 積 極 的 な 行 動 と 企 業 家 計 の 前 向 きな 資 金 需 要 の 増 加 を 促 進 3 政 府 日 銀 で デフレ 脱 却 に 向 けた 取 組 について の 公 表 デフレ 脱 却 の 取 組 に 関 する 政 府 日 銀 の 共 有 認 識 を 改 めて 明 確 化 幅 広 い 経 済 主 体 による 成 長 力 強 化 の 努 力 と 金 融 面 からの 後 押 し 日 銀 は 強 力 な 金 融 緩 和 を 推 進 政 府 は 適 切 なマクロ 経 済 政 策 運 営 とデフレを 生 みやすい 経 済 構 造 の 変 革 ( 出 所 ) 日 本 銀 行 金 融 緩 和 の 強 化 について (2012.10.30) まず 1 基 金 の 増 額 は 2010 年 10 月 包 括 的 な 金 融 緩 和 政 策 11 の 一 手 段 と して 創 設 された 資 産 買 入 等 の 基 金 を 増 額 するものである 日 銀 は この 基 金 の 総 枠 の 範 囲 内 で 流 通 市 場 から 国 債 社 債 等 の 資 産 を 買 い 入 れている 当 初 11 包 括 的 な 金 融 緩 和 政 策 は 政 策 金 利 が 実 質 的 にゼロとなり 金 利 の 低 下 余 地 がほとんどない 中 で 更 なる 緩 和 効 果 を 追 求 することを 目 的 として 導 入 された その 内 容 は 1 政 策 金 利 の 0 ~0.1% への 引 下 げ 2 時 間 軸 の 明 確 化 3 資 産 買 入 れ 等 の 基 金 の 創 設 である 経 済 のプリズム No106 2012.12 6

総 枠 35 兆 円 から 始 まった 基 金 は 逐 次 総 枠 が 拡 大 され 今 回 の 措 置 で 91 兆 円 の 規 模 となり 創 設 から2 年 で 当 初 の 2.6 倍 の 規 模 になる 今 回 は 国 債 に 加 えて ETF 等 のリスク 性 資 産 の 買 入 れ 枠 の 増 額 を 行 ったことが 特 筆 すべき 点 である 12 次 に 2の 貸 出 増 加 支 援 資 金 供 給 は 既 存 の 成 長 基 盤 強 化 支 援 資 金 供 給 ( 総 枠 5.5 兆 円 )とは 別 枠 で 日 銀 が 民 間 金 融 機 関 に 対 して 各 機 関 の 貸 出 増 加 分 を 長 期 かつ 低 利 でバックファイナンスするというものである( 総 枠 無 制 限 ) 13 成 長 基 盤 強 化 支 援 は 中 央 銀 行 が 直 接 民 間 金 融 機 関 の 貸 付 資 金 を 供 給 す る 点 で 政 策 金 融 に 近 い 異 例 の 措 置 であるが 潜 在 成 長 率 や 生 産 性 の 引 上 げに 資 する 投 融 資 を 対 象 とするという 制 約 が 課 されたものであった 今 回 創 設 される 貸 出 増 加 支 援 では 基 準 時 点 と 比 べて 貸 出 が 増 加 した 分 という 量 のみが 注 目 さ れ 投 融 資 の 目 的 や 内 外 通 貨 建 てについては 問 われず 希 望 に 応 じて 増 加 額 全 額 を 中 央 銀 行 が 直 接 資 金 供 給 するという 従 来 よりもさらに 踏 み 込 んだ 制 度 にな る 最 後 に 3の 政 府 日 銀 の 共 同 文 書 は デフレ 脱 却 の 取 組 に 関 する 政 府 日 銀 の 共 有 認 識 を 改 めて 明 確 化 したものであるが 両 者 の 文 書 作 成 の 意 図 に 関 し ては 市 場 では 様 々な 解 釈 が 生 じており 説 明 責 任 として 求 められる 先 行 きの 政 策 の 予 見 可 能 性 という 視 点 からすれば 不 透 明 感 が 増 した 点 は 否 めない ただし 内 容 としては 政 府 日 銀 とも 従 来 から 実 施 している 政 策 を 改 めて 整 理 したも のであり 文 書 の 解 釈 をめぐる 市 場 での 思 惑 による 取 引 の 動 きを 除 けば この 文 書 自 体 が 新 たな 金 融 緩 和 の 措 置 として 直 接 市 場 に 何 かしらの 影 響 を 与 える ことまで 想 定 することは 難 しいだろう 2-2. 金 融 緩 和 の 強 化 の 効 果 それでは 今 回 の 金 融 緩 和 の 強 化 策 は どのような 効 果 をもつのか 白 川 日 銀 総 裁 の 講 演 14 を 元 に 金 融 政 策 の 波 及 経 路 に 沿 ってみることとする 金 融 緩 和 政 策 が 経 済 物 価 に 波 及 していく 経 路 については 2 段 階 に 分 ける と 理 解 しやすい( 図 表 6) つまり 第 1 段 階 は 金 融 緩 和 政 策 を 行 うこと 12 2010 年 4 月 創 設 同 年 6 月 導 入 当 初 は 総 枠 3 兆 円 であったが 総 枠 の 拡 大 (+0.5 兆 円 ) とともに ABL( 動 産 債 権 担 保 融 資 ) 特 則 (0.5 兆 円 ) 小 口 特 則 (0.5 兆 円 ) 米 ドル 特 則 (120 億 ドル; 約 1 兆 円 )と 拡 張 し 現 在 総 枠 5.5 兆 円 の 規 模 である 低 利 (0.1% ただし 米 ドル 特 則 は 市 場 金 利 )で 長 期 ( 借 換 えで 最 長 4 年 間 )の 資 金 を 民 間 金 融 機 関 に 供 給 するもの 13 両 者 の 資 金 供 給 をあわせて 貸 出 支 援 基 金 とされた 14 白 川 日 銀 総 裁 物 価 安 定 の 元 での 持 続 的 成 長 に 向 けて-きさらぎ 会 における 講 演 - (2012 年 11 月 ) 7 経 済 のプリズム No106 2012.12

で 金 融 市 場 において 緩 和 的 な 金 融 環 境 を 生 み 出 すことであり 第 2 段 階 は その 緩 和 的 な 金 融 環 境 下 において 企 業 家 計 が 資 金 を 調 達 し 投 資 や 支 出 を 増 やすことによって 経 済 物 価 が 好 転 していくというものである 15 この 波 及 経 路 のメカニズムに 2-1 節 でみた 金 融 緩 和 強 化 策 を 当 てはめれば 1 資 産 買 入 等 基 金 の 増 加 額 は 第 1 段 階 に 働 きかける 施 策 2 貸 出 増 加 支 援 資 金 供 給 は 第 2 段 階 に 働 きかける 施 策 として 整 理 される 図 表 6 金 融 緩 和 政 策 の 経 済 物 価 への 波 及 経 路 (イメージ) 政 府 < 経 済 構 造 の 変 革 > 成 長 力 強 化 に 向 けた 取 組 を 推 進 金 融 市 場 企 業 家 計 金 融 緩 和 第 1 段 階 緩 和 的 な 金 融 環 境 長 めの 市 場 金 利 の 低 下 貸 出 金 利 低 下 CP 社 債 の 良 好 な 発 行 環 境 日 銀 当 座 預 金 の 超 過 預 金 第 2 段 階 投 資 支 出 経 済 物 価 の 好 転 < 実 質 的 ゼロ 金 利 政 策 > < 時 間 軸 の 明 確 化 > 長 めの 金 利 や リスクプレミアム の 低 下 を 促 す < 資 産 買 入 等 基 金 > 日 本 銀 行 緩 和 的 な 金 融 環 境 の 活 用 を 促 す < 貸 出 支 援 基 金 > 成 長 基 盤 強 化 支 援 貸 出 増 加 支 援 ( 出 所 ) 白 川 (2012) 等 をもとに 筆 者 作 成 第 一 段 階 における 資 産 買 入 等 基 金 の 増 額 は 日 銀 が 国 債 等 を 市 場 から 買 い 入 れることで 長 めの 金 利 を 引 き 下 げ または 各 リスク 性 資 産 のリスクプレミアム 低 下 させることで 金 融 緩 和 の 状 況 を 作 り 出 そうとするものである 金 融 市 場 における 価 格 ( 金 利 ) 決 定 メカニズムは 基 本 的 には 需 要 ( 買 い)と 供 給 ( 売 り)のバランスで 決 まるという 教 科 書 的 に 説 明 できるもので 通 常 ならば 需 要 ( 買 い)が 多 ければ 金 利 は 下 がり( 価 格 は 上 がる) 供 給 ( 売 り)が 多 ければ 金 利 は 上 がる( 価 格 は 下 がる)ことになる 中 央 銀 行 は 短 期 金 融 市 場 での 資 金 需 給 動 向 をコントロールして 超 短 期 の 政 策 金 利 16 を 誘 導 することが 本 来 の 機 能 であるが( 伝 統 的 金 融 政 策 ) この 機 能 を 超 えて 資 産 買 入 等 基 金 における 国 債 等 の 買 い 入 れのように 長 めの 金 融 商 品 を 取 引 する 債 券 市 場 やリスク 性 の 金 融 商 品 を 扱 う 証 券 市 場 において 積 極 的 に 行 15 より 詳 細 な 金 融 政 策 の 波 及 経 路 については 脚 注 2 掲 載 の 拙 稿 で 解 説 している 16 短 期 金 融 市 場 のうち 民 間 金 融 機 関 間 で 取 引 が 行 われる 無 担 保 コールレート 翌 日 物 の 金 利 経 済 のプリズム No106 2012.12 8

動 するならば( 非 伝 統 的 金 融 政 策 ) ここで 取 引 される 金 利 は 低 下 することにな るだろう 加 えて この 大 口 需 要 者 の 行 動 が 予 見 性 できるならば その 市 場 で の 金 利 変 動 は 小 さくなり 安 定 的 に 推 移 することができるようにもなる( 時 間 軸 政 策 ) 実 際 に 資 産 買 入 等 基 金 はその 他 の 緩 和 政 策 とともに 第 一 段 階 では 効 果 をあげており 金 融 市 場 は 長 めの 金 利 の 低 下 貸 出 金 利 の 低 下 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 など 非 常 に 緩 和 した 状 態 になっている 一 方 で こうした 緩 和 的 な 金 融 環 境 にありながら 現 時 点 で いわゆる 失 われた 20 年 とも 言 われる 経 済 低 迷 低 成 長 からの 克 服 やデフレ 脱 却 に 繋 がっ ていない これについて 金 融 緩 和 が 不 足 していることを 理 由 に 挙 げる 意 見 もあ るが 17 金 融 の 波 及 メカニズムの 視 点 からみれば 第 一 段 階 での 緩 和 の 効 果 が 金 融 市 場 内 に 留 まっており 第 二 段 階 として 企 業 家 計 への 貸 付 という 形 で 必 ず しも 十 分 に 活 用 されていないことが 大 きな 要 因 となっているとみることができ る このことは 民 間 金 融 機 関 が 日 銀 の 超 過 準 備 預 金 を 累 積 させるほか 多 額 の 国 債 等 を 保 有 していることや その 背 景 にあるところの 企 業 がバブル 崩 壊 以 降 積 極 的 な 設 備 投 資 を 控 え 貯 蓄 超 過 にある( 借 入 金 の 返 済 や 預 金 累 積 )こと からも 裏 付 けられよう( 図 表 7) 図 表 7 企 業 の 貯 蓄 超 過 と 日 銀 当 座 預 金 の 積 み 上 がり < 非 金 融 法 人 の 資 金 過 不 足 の 推 移 > < 日 銀 の 準 備 預 金 額 の 推 移 > 兆 円 60 40 資 金 余 剰 ( 貯 蓄 超 過 ) 借 入 金 返 済 資 金 過 不 足 兆 円 40 35 30 超 過 準 備 額 20 25 0 20 1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 年 度 / 年 20 15 10 40 60 5 法 定 準 備 額 借 入 金 増 減 0 資 金 不 足 1995 97 99 01 03 05 07 09 11 借 入 金 増 加 暦 年 / 月 ( 注 ) 準 備 預 金 額 の 推 移 は 準 備 預 金 積 み 期 間 の 平 均 残 高 ( 出 所 ) 日 本 銀 行 資 金 循 環 統 計 準 備 預 金 額 から 作 成 17 こうした 意 見 には 例 えば インフレ 率 と 通 貨 供 給 量 の 関 係 からみて 通 貨 供 給 量 が 足 りない ( 金 融 緩 和 不 足 )ためデフレ 脱 却 できないというもの 金 融 緩 和 が 不 足 しているため 人 々の 予 想 インフレ 率 を 引 き 上 げられずにデフレ 脱 却 できないというもの 他 の 先 進 国 と 比 べて 金 融 緩 和 が 足 りない( 緩 和 競 争 に 負 けている)ため 相 対 的 に 円 高 になり 輸 出 や 経 済 が 伸 び 悩 んでデフレ 脱 却 できないといったものがあるが 本 稿 でみる 金 融 波 及 メカニズムとはアプローチが 異 なる 9 経 済 のプリズム No106 2012.12

こうした 第 二 段 階 の 目 詰 まりを 解 消 するためには 金 融 実 需 両 面 からの 施 策 が 必 要 になる 今 回 創 設 される 貸 出 増 額 支 援 資 金 供 給 制 度 は 成 長 基 盤 強 化 支 援 と 並 んで 金 融 面 からのアプローチの 一 つとして 位 置 づけられる この 制 度 の 下 では 民 間 金 融 機 関 は 貸 付 金 の 原 資 を 低 利 かつ 長 期 で 調 達 できるため 企 業 へ 融 資 の 機 会 があれば 積 極 的 に 利 用 することが 十 分 予 想 できよう 18 しかし 民 間 金 融 機 関 が この 制 度 を 活 用 するためには 同 時 に 企 業 が 収 益 の 機 会 を 見 つけ 投 資 するために 資 金 を 調 達 するといった 実 体 経 済 における 資 金 需 要 が 存 在 しなければならない つまり 資 金 需 要 を 生 み 出 すような 実 需 面 で の 対 策 が 必 要 になる 例 えば 政 府 においては 経 済 構 造 改 革 などによる 成 長 力 強 化 の 実 行 であり 企 業 においては 潜 在 需 要 の 掘 り 起 こしなど 積 極 的 な 取 組 で ある 19 両 者 の 施 策 が 相 まってはじめて 緩 和 効 果 が 実 体 経 済 に 波 及 し 経 済 を 活 性 化 させることになるだろう 3. 日 銀 の 国 債 買 入 れによる 国 債 の 需 給 環 境 への 影 響 本 稿 でみたように 今 回 金 融 緩 和 の 強 化 が 行 われたが こうした 非 伝 統 的 政 策 は いわば 力 業 に 近 いものであり 現 時 点 では 見 えないものの どこかに 歪 み や 無 理 を 生 じさせている 可 能 性 は 否 定 できないだろう 最 後 に こうしたもの の 一 つとして 今 回 の 資 産 買 入 等 基 金 の 増 額 による 金 融 緩 和 の 効 果 以 外 の 国 債 の 需 給 環 境 への 影 響 をみることとする 図 表 8は 資 産 買 入 等 基 金 残 高 での 買 入 れの 進 捗 状 況 と 総 枠 の 引 上 げの 推 移 をみたものである 2012 年 11 月 10 日 現 在 基 金 全 体 では 最 終 的 な 総 額 (91 兆 円 )に 対 して 64.4 兆 円 ( 約 70.7%) うち 長 期 国 債 は 買 入 額 (39 兆 円 )に 対 し て 21.6 兆 円 ( 約 54.4%)となっている このうち 長 期 国 債 については 現 有 額 から 買 入 れ 総 額 までの 差 額 17.4 兆 円 (=39-21.6)を 市 場 から 買 い 入 れることになるが 達 成 期 限 2013 年 12 月 末 までに 6.6 兆 円 の 満 期 償 還 があることから 実 際 には 少 なくとも 24 兆 円 (=17.4 18 ただし 通 常 の 資 金 供 給 オペレーションである 共 通 担 保 資 金 供 給 オペ からの 当 該 施 策 へ の 付 け 替 えになる 可 能 性 も 否 定 できず 実 際 に 経 済 全 体 として 貸 付 量 がどの 程 度 増 加 するかは 実 需 面 の 動 向 次 第 となろう 19 資 金 需 要 が 起 こりにくい 理 由 としては (1) 新 規 投 資 の 利 益 率 が 低 下 していること (2) 長 期 低 成 長 による 企 業 マインドの 低 下 で 積 極 的 なリスクテイクが 行 われないこと (3) 国 内 投 資 より も 海 外 投 資 収 益 率 の 方 が 高 いことなどが 挙 げられる( 脚 注 14) これらを 転 換 するためには (a) 冷 戦 後 の 国 際 経 済 環 境 の 変 化 に 対 応 し 国 際 分 業 の 利 益 を 活 かすことのできる 産 業 構 造 への 転 換 (b) 消 費 抑 制 や 設 備 投 資 をためらう 一 つの 要 因 となっている 高 齢 化 進 行 による 財 政 や 社 会 保 障 制 度 の 持 続 可 能 性 の 不 確 実 性 を 払 拭 できる 財 政 再 建 や 社 会 保 障 制 度 の 抜 本 的 な 改 革 といった(いず れも 痛 みを 伴 うものであるが) 我 が 国 の 構 造 問 題 の 根 本 的 な 解 決 が 必 要 である( 池 尾 (2012)) 経 済 のプリズム No106 2012.12 10

図 表 8 資 産 買 入 等 基 金 の 買 入 れ 進 捗 状 況 < 資 産 買 入 等 基 金 残 高 の 状 況 > <うち 長 期 国 債 買 入 れ 枠 の 状 況 > 兆 円 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 35 長 期 国 債 残 高 国 庫 短 期 証 券 残 高 リスク 性 資 産 残 高 固 定 金 利 オペ 残 高 65 70 基 金 総 額 55 50 40 '10/10 '10/12 '11/02 '11/04 '11/06 '11/08 '11/10 '11/12 '12/02 '12/04 '12/06 '12/08 '12/10 '12/12 '13/02 '13/04 '13/06 '13/08 '13/10 '13/12 80 91 65 64.4 78 91 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 兆 円 1.5 2 長 期 国 債 残 高 買 入 総 額 4 9 19 29 34 21.6 39 24 31.5 '10/10 '10/12 '11/02 '11/04 '11/06 '11/08 '11/10 '11/12 '12/02 '12/04 '12/06 '12/08 '12/10 '12/12 '13/02 '13/04 '13/06 '13/08 '13/10 '13/12 39 ( 注 1) 図 表 中 はその 時 点 までに 達 成 すると 決 められた 基 金 の 規 模 ( 注 2) 長 期 国 債 の 2012 年 11 月 20 日 以 降 の 残 高 ( 薄 い 紫 )は 11 月 10 日 現 在 の 保 有 国 債 を 保 有 したまま 償 還 を 迎 えた 場 合 の 残 高 を 試 算 なお 国 債 銘 柄 は 10 月 末 日 時 点 を 使 用 し たため 数 値 に 若 干 の 誤 差 が 出 る 可 能 性 があるが 実 質 的 に 影 響 を 与 えるものではない ( 出 所 ) 日 本 銀 行 営 業 毎 旬 報 告 日 本 銀 行 が 保 有 する 国 債 の 銘 柄 別 残 高 等 から 作 成 +6.6)を 買 い 入 れなければならない 20 期 限 までの 14 か 月 で 単 純 平 均 すれば 毎 月 1.7 兆 円 強 の 買 入 れとなる 日 銀 は この 基 金 による 長 期 国 債 買 入 れ 以 外 にも 通 常 の 公 開 市 場 操 作 (オペレーション)として 成 長 通 貨 供 給 のための 国 債 買 入 オペ 21 を 実 施 しており 市 場 から 年 間 21.6 兆 円 ( 月 額 1.8 兆 円 )の 国 債 を 買 い 入 れ 続 けている つまり あわせて 毎 月 3.5 兆 円 の 長 期 国 債 が 日 銀 に よって 買 われることになる ここで 平 成 24 年 度 の 国 債 発 行 計 画 ( 当 初 予 算 ベ ース)を 見 ると 毎 月 9.1~9.4 兆 円 ( 年 額 111.6 兆 円 22 )の 長 期 国 債 が 市 中 で 発 行 される 予 定 である 日 銀 は 長 期 国 債 を 直 接 政 府 から 引 き 受 けるものではな いものの 長 期 国 債 の 市 場 における 需 給 量 の 観 点 から 言 えば 発 行 される 1/3 強 の 長 期 国 債 が 日 銀 によって 買 われることを 意 味 する このように 現 在 日 銀 が 国 債 の 消 化 機 関 として 無 視 できない 規 模 になってい ることは 否 定 できない 基 金 における 国 債 買 入 れをもっと 積 極 的 にするとの 提 案 もあるが すでに 日 銀 の 存 在 感 が 大 きいことについても 十 分 認 識 しておく 必 20 その 後 も 基 金 残 高 維 持 のために 償 還 分 を 買 い 入 れる 必 要 がある 21 国 債 買 入 オペ( 国 債 買 切 りオペ 輪 番 オペとも 呼 ばれる )は 市 場 から 長 期 国 債 を 買 い 入 れ て 資 金 供 給 する 伝 統 的 なオペレーションである 経 済 の 成 長 に 伴 う 銀 行 券 需 要 の 増 加 トレンドに 対 応 して 市 場 に 安 定 的 に 資 金 供 給 をすることを 目 的 としている 22 年 間 発 行 計 画 から 1 年 以 下 の 国 債 10 年 物 価 連 動 債 流 動 性 供 給 入 札 を 除 いて 算 出 11 経 済 のプリズム No106 2012.12

要 があるだろう 参 考 文 献 池 尾 和 人 経 済 低 迷 の 結 果 がデフレ 症 状 労 働 規 制 改 革 など 抜 本 的 治 療 が 不 可 欠 エ コノミスト 2012.11.20 号 毎 日 新 聞 社 2012 年 11 月 白 川 方 明 物 価 安 定 の 元 での 持 続 的 成 長 に 向 けて-きさらぎ 会 における 講 演 - 日 本 銀 行 2012 年 11 月 ( 内 線 75043) 経 済 のプリズム No106 2012.12 12