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取扱説明書 [d-02H]


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第 45 回国土地理院報告会平成 28 年 6 月 8 日 ( 水 ) 於 : 日経ホール 液状化リスク評価のための地形 地盤分類情報の効率的整備手法の開発 国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室中埜貴元 Ministry of Land, Infrastructure, Transp

象鼻山ペラ校正


Contents

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0900167 立命館大学様‐災害10号/★トップ‐目次

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資料調査結果 ( 新村地区 )- 53

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

す 遺跡の標高は約 250 m前後で 標高 510 mを測る竜王山の南側にひろがります 千提寺クルス山遺跡では 舌状に 高速自動車国道近畿自動車道名古屋神戸線 新名神高速道路 建設事業に伴い 平成 24 年1月より公益財団法人大 張り出した丘陵の頂部を中心とした 阪府文化財センターが当地域で発掘調査

近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

写真 1 東上空より調査地を望む ([ 大阪文化財研究所 2013] に一部加筆 ) N : 図 2 周辺の遺跡の位置 ([ 大阪文化財研究所 2013] に一部加筆 ) 2

縄文時代の海岸線復元と遺跡動態 岡山平野のボーリング調査を踏まえて 2018 年 2 月山本悦世 山口雄治 鈴木茂之



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H19年度


Y001〜044 『三国史記』 「地理志」 の高句麗地名漢字:おもに日本語との比較による考証.pwd


資料調査結果 ( 栗野岳地区 ) 64

目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が


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ハザードマップポータルサイト広報用資料

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9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南



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2016年熊本地震調査 第1報 2016年4月18日

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資料 2 東海管内における農業水利施設の防災 減災の取組 ( 農村地域防災減災事業 海岸事業 ) 平成 27 年 2 月東海農政局整備部防災課

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研究紀要 第3号 (その2)

函館平野西縁断層帯北斗市清川付近の変動地形 池田一貴 Ⅰ. はじめに 図 1 北海道と函館平野の位置関係 函館平野西縁断層帯は函館平野とその西側の上磯山地との境界に位置する断層帯である. 本断層帯は北部 中部の渡島大野断層と中部 南部の富川断層 ( 海底延長部を含む ) からなり, ほぼ南北に延びる

TP10 TP9 中世遺構検出 2-1区 中世後期 TP8 2-3区 2-2区 護岸遺 50m 0 2-4区 図 4 第 2 地点 調査区 6 S=1/1200 石積堤 防遺構 構1 2-5区

立ち読みページ


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感染症情報22週(週報)

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

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2. 急流河川の現状と課題 2.1 急流河川の特徴 急流河川では 洪水時の流れが速く 転石や土砂を多く含んだ洪水流の強大なエネルギー により 平均年最大流量程度の中小洪水でも 河岸侵食や護岸の被災が生じる また 澪筋 の変化が激しく流路が固定していないため どの地点においても被災を受ける恐れがある

「活断層の補完調査」成果報告書No.H24-2

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目 次 1 固定資産税と固定資産税評価 1 1 固定資産税とは 1 2 固定資産税の課税のしくみ 2 (1) 固定資産税を納める人 ( 納税義務者 ) 2 (2) 税額の計算 2 2 固定資産税評価のあらまし 1 固定資産税評価の意義 2 固定資産税評価によって求める価格とは 3 固定資産の価格を求

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2. 大和川について が 難波津 現在の大阪 から船で大和川をさか 奈良県には奈良盆地のほぼ全域を流域とし 大阪 のぼり 初瀬川から三輪山麓の海石榴市 つばい 平野を西に横切って大阪湾に注ぐ全長68kmの一級 ち に上陸 飛鳥の宮に至ってから1400年となる 河川である大和川が流れている 記念すべき

○ 01 那覇市

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同志社大学所蔵堺市城ノ山古墳出土資料調査報告 1 城ノ山古墳 城ノ山古墳は現在の大阪府堺市北区百舌鳥西之町1丁目 百舌鳥古墳群の東南部分 に所在していた 丘陵上に前方部を西に向けて築かれた古墳である 大山古墳の南側 百舌鳥川左 岸の台地が一段高くなる部分に築かれている 墳丘上からは大山古墳や御廟山古


目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

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Microsoft Word - 治水地形分類図 解説書 平成27年7月23日

水防法改正の概要 (H 公布 H 一部施行 ) 国土交通省 HP 1

学 校 対 抗 男 子 学 校 対 抗 6 月 3 日 ( 金 ) 9:00~ 開 始 式 ~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ2 回 戦 まで 6 月 4 日 ( 土 ) 9:00~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ3 回 戦, 個 人 戦 ( 複 ) 決 勝 まで, 個 人 戦 ( 単 )1 回 戦


1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

平成 29 年 7 月 20 日滝川タイムライン検討会気象台資料 気象庁札幌管区気象台 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 大雨警報 ( 浸水害 ) 洪水警報の基準改正 表面雨量指数の活用による大雨警報 ( 浸水害 )

Transcription:

細畑銅鐸 各務原台地 60m 6 木曽川 上野 犬山扇状地 2 2 西上免 日光川 猫島 尾張 国府跡 32. 32. 3 春日井台地 阿弥陀寺 西志賀 寺野 1 1 2 名古屋台地 40m 60m 60m 東山丘陵 60m 至 豊 田 2. 名古屋城銅鐸 畠 微高地 荒蕪地 Ⅱ期 Ⅲ期環濠 Ⅳ期 Ⅵ期 水田 河道に沿う水田 河道跡 の水田 Ⅴ期環濠 銅鐸出土地 推定河道 水路 河道 1 1 1 12. 天白川 瑞穂 池 堤防 2 2. 高蔵 Ⅱ期 Ⅲ期 中根銅鐸 見晴台 三王山 雑林 12. 1 2 地形区分界 3 2. 古墳Ⅰ期 34 Ⅰ期環濠 至 豊 田 Ⅰ期 古代寺院 関 西 本 線 図 1 明治 2O 年代の濃尾平野と遺跡分布 0m 1000m 4000m 50m 守山丘陵 2 2. 2. 松河戸 朝日銅鐸 森南 勝川 月縄手 朝日 3 本 線 道 小牧山 海 野口北出 東 2. 岩倉銅鐸 五条川 三宅川 12. 元屋敷 1 80m 22. 3 32. 2 12. 青木川 山中 80m 2 八王子銅鐸 八王子 五条川 3 40m 一色青海 小牧台地 1 4 1 50m 22. 余野 40m 12. 3 二宮銅鐸 5 60m 4 32. 2 城

伊勢湾周辺地域における弥生時代の平野地形について 石黒 旧流路① 旧流路② 現流路 伊勢湾 安濃津遺跡 古墳前期末 砂堆間低地 第2砂堆 潟もしくは砂堆間湿地 高松 砂堆間低地 丸の内本町 第1砂堆 後背湿地 尺目 安濃川鉄橋下 低地 上村 大御堂 ン イ ラ 丘陵 宮前 神戸銅鐸 谷A 市場 高 標 竹川 標高 納所 4mラ イン 宮代 丘陵 標高7m コウゼンジ 窪地 梁瀬 蔵田 宮ノ前 森山東 太田 松ノ木 山籠 位田 森山 微高地Ⅰ 柳谷 桶田 森山古Ⅰ期 竪穴 Ⅴ初 J中 土坑 12 独立丘 宮ノ前 松ノ木 8 谷A 蔵田 J晩後半 流路 Ⅱ 位田 土坑 Ⅵ 古Ⅰ Ⅴ初 方周 窪地 水田 Ⅴ 流路 無遺構 (削平 ) J後末 Ⅱ 集落 J晩末 Ⅰ 流路群 窪地 丘陵 谷A 微高地Ⅰ 古墳 流路群 古Ⅰ 流路 替田 J晩後半 6 上層 下層 8 納所 10 J晩末 森山東 Ⅴ 太田 突帯文期の流路 現安濃川 J晩後半 竪穴 土坑 流路 Ⅱ期 方周 水田 1000m 500 0 100 4 微高地Ⅱ 山籠 Ⅳ 17m 1 長 Ⅳ 40m 6 里前 谷B 長 10 替田 弐ノ坪 現河道 弐ノ坪 Ⅱ Ⅲ前半 遺物のみ 竪穴 土坑 Ⅱ Ⅲ前半 竪穴 土坑 溝 谷B 微高地Ⅱ 里前 梁瀬 J後晩 埋積浅谷 4 J晩末 古Ⅰ 遺物のみ 低地 図 2 安濃川下流域における遺跡分布と横断模式図 丘陵 37

コドノB 金剛坂 瀬干 櫛 田 川 4m 3m 草山 川原表B 花ノ木 阿形 1 下之庄東方 天保 蛇亀橋 天花寺 4m 3m 1 片野 鳥居本 川 桶早崎 中ノ庄 0. 筋違 4m 木造 中村 川 雲出 1 0 筋違 Ⅰ期 2.5 3m 洪水層 Ⅳ期 3.5?m 前田町屋 嶋抜 3m 四ツ野B 5km 前田町屋から浮線紋浅鉢が出土しているが 遺跡としての認定は難しい 現流路 旧流路 砂堆 扇状地 曽祢崎 自然堤防 下位面 低位面 中位面 上位面 丘陵 尾根状地形 伊勢湾周辺地域における弥生時代の平野地形について 石黒 図 3 雲出川 櫛田川下流域地形図 ( 土地条件図を参考に作製 ) 地よりの第1列に嶋抜遺跡や中ノ庄遺跡が立地 雲出川下流域における遺跡分布は 砂堆を除 している 第 1 列は大きく西の陸側に湾入し けば現在の地表面標高 4m 以上の地点に位置し ており 陸側の等高線も他に比べて間隔が詰 ている 実際の遺跡の検出面はそれより低くな まっており 傾斜は急である 砂堆第 1 列が り 筋違遺跡の場合 弥生前期面は標高 2. 弥生時代の海岸線に近いなら 沖積平野はきわ 3m で 現地表から 1.5 ほどマイナス めて狭いものとなる かりに砂堆の西側に後背 となる これだけの堆積を見込むなら 現標高 湿地や潟が形成されていたならば 沖積平野の 3m 以下の範囲は湿地もしくは干満の影響範囲 範囲はさらに狭まることになる となる 雲出川や櫛田川下流域における堆積 あ 39

犬山扇状地 谷筋A ❶ 5. ❷ ❼ 5. 7m 8m 8m 7. 谷筋B ❸ 6m 0.6m 4m ❽ 3m 2. 庄内川河口域 1.8m ❺ 0.8m ❻ 0.8m 弥生中期前半 環濠集落 環濠不明 7m ❹ 小牧 春日井台地 弥生中期前半 環濠 弥生中期前半 環濠 貝塚 弥生中期前半 そのほか 弥生中期後半 ❶八王子 ❷二タ子 ❸一色青海 ❹野口 北出 ❺森南 ❻阿弥陀寺 ❼猫島 ❽朝日 ❾西志賀 高蔵 ❾ 0 2km 発掘調査で検出された 流路 谷 は戦後の地盤沈下量で補正した等高線 2km 0 遺跡の数値は 当時の地表面の推定標高 名古屋台地 図 4 濃尾平野南部弥生中期遺跡分布図 はない 第 3 砂堆の中央部が幅広いことを考 慮するならば 複数時期の砂堆列が複合してい る可能性を考える必要もある 第 3 砂堆東方 の陸側では 低地を囲む丘陵に至るまでさらに 複数列 少なくとも 2 列 の砂堆が認められる 知多半島中央部にある内海谷でも縄文時代に遡 る砂堆形成が認められる このように 知多半島の砂堆はもっとも海側 の砂堆 の主要部分 の形成時期が縄文晩期 も しくは後期 である可能性が高いのに対して 西岸域ではもっとも陸側の砂堆が縄文時代晩期 もしくは後期 に遡る可能性が高いという違 42 いがある 砂堆列の形成時期の相違について一 般論としては 地盤が沈降する伊勢湾西岸と隆 起する伊勢湾東岸における構造的な差異である 可能性もあるが 重要なのは当該期に活動可能 な地表面を形成していたのかどうかの確定であ る 知多半島東側から碧海台地にかけては海が台 地縁辺にせまり また谷奥に入り込んで埋没谷 となり 複雑な海岸線を形成している 知立市 の猿渡川下流域は珍しく弥生時代の遺跡が集中 する区域であるが 縄文時代の貝塚が数多く形 成されて後は 弥生時代前期を別にしてⅣ期ま

伊勢湾周辺地域における弥生時代の平野地形について 石黒 犬山扇状地 3.7m 5. ❶ 9m ❷6. 8m 3. ❸ 6. 2.7m 1. 2.8m 2. 7m 6m 5.4m 谷筋B 4m 1. 2. ❹ 0.7m 0.8m ❺ 3m 0m 0 3.7m 0.8m 0.3m 主要な堆積方向 小牧 春日井台地 2.4m 名古屋台地 2km ❶萩原遺跡群 弥生後期 古墳前期の遺跡 後期初頭の遺跡 朝日以外は洪水で埋没 ❷元屋敷 ❸御申塚 ❹廻間 遺跡の数値は 当時の地表面の推定標高 ❺朝日 図 5 濃尾平野南部弥生後期 古墳初頭遺跡分布図 で空白期である この地域では一般的に弥生時 められないようである 縄文晩期から弥生前期 代の遺跡形成は低調なようだが かえってⅣ期 にかけて そして弥生後期の 2 度の寒冷化と における遺跡形成の活発さが際立つ 小海退によって河口部の形状は大きく変貌した 2 矢作川下流域 豊川下流域 であろうが それを確実に把握できるだけの情 報は残念ながら得られていない いまだ埋没し 矢作川流域は豊田市域から下流に向けて て 人知れず眠ったままの遺跡があることだろ 2km 5km の幅で段丘に挟まれた氾濫平野が う 続く 安城市 岡崎市から西尾市にかけて矢作 矢作川の流路がけっして固定していなかった 川は碧海台地を横断して流れるが それは江戸 ことは 矢作川河床遺跡群 の存在から明らか 時代の付け替えによるのであり 本来は矢作古 である しかも それは矢作川の堆積の進行 川が流路であった 矢作古川の最下流域におけ 速度 天井川化 が速いことも複合的に関係し る弥生時代の遺跡分布は 弥生後期には両岸の ているのである 現在は段丘面も 1 面しか認 台地 丘陵上に分布の重心がある 低地側は不 められないのだが 地表面形成において地盤の 明瞭であり 確実に集落と考えられる遺跡は認 隆起現象よりも天井川化がより強い要因であっ 43