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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農


平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

公表表紙

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

●電力自由化推進法案

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経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

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2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

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●幼児教育振興法案

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

m07 北見工業大学 様式①

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

16 日本学生支援機構

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

連結計算書

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人



目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

1

 

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01.活性化計画(上大久保)

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市街化区域と市街化調整区域との区分

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,6 243,7 185,8 222,9 261,9

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

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別紙3

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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第1章 総則

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

表紙

Transcription:

地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 Global Biodiversity Outlook 3

目 次

まえがき... 4 国 連 事 務 総 長 によるまえがき... 5 国 連 環 境 計 画 (UNEP) 事 務 局 長 からのメッセージ... 6 生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 長 による 序 文... 7 要 旨... 8 序 論... 14 年 の 生 物 多 様 性... 16 種 の 個 体 数 と 絶 滅 リスク... 24 陸 域 生 態 系... 32 陸 水 生 態 系... 42 沿 岸 海 洋 生 態 系... 46 遺 伝 的 多 様 性... 51 現 在 の 生 物 多 様 性 への 圧 力 と 影 響... 55 21 世 紀 の 生 物 多 様 性 のゆくえ...7 陸 域 生 態 系... 74 陸 水 生 態 系... 78 沿 岸 海 洋 生 態 系... 8 生 物 多 様 性 の 損 失 を 減 少 させる 戦 略 に 向 けて... 82 謝 辞... 88 写 真 の 版 権... 91 Box 表 図 のリスト... 93 原 典 :Global Biodiversity Outlook 3 編 集 生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 http://www.cbd.int/ 日 本 語 版 監 修 香 坂 玲 ( 元 生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 職 員 名 古 屋 市 立 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 准 教 授 ) 制 作 環 境 省 自 然 環 境 局 自 然 環 境 計 画 課 生 物 多 様 性 地 球 戦 略 企 画 室 1-8975 東 京 都 千 代 田 区 霞 が 関 1-2-2 電 話 (3)3581-3351( 代 表 ) http://www.env.go.jp/ URL( 英 語 版 ):http://gbo3.cbd.int/ ( 日 本 語 版 ):http://www.biodic.go.jp/biodiversity/ Secretariat of the Convention on Biological Diversity. Global Biodiversity Outlook 3 (ISBN-92-9225-22-8) is an open access publication, subject to the terms of the Creative Commons Attribution License (http://creativecommons.org/licenses/by-nc/3./). Copyright is retained by the Secretariat. Global Biodiversity Outlook 3 is freely available online: www.cbd.int/gbo3. An annotated version of the publication with complete references is also available from the website. Users may download, reuse, reprint, modify, distribute, and/or copy text, figures, graphs and photos from Global Biodiversity Outlook 3, so long as the original source is credited. The designations employed and the presentation of material in Global Biodiversity Outlook 3 do not imply the expression of any opinion whatsoever on the part of the Secretariat of the Convention on Biological Diversity concerning the legal status of any country, territory, city or area or of its authorities, or concerning the delimitation of its frontiers or boundaries. Citation: Secretariat of the Convention on Biological Diversity () Global Biodiversity Outlook 3. Montréal, 94 pages.

まえがき

国 連 事 務 総 長 によるまえがき 22 年 世 界 の 首 脳 たちは 年 までに 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させることで 合 意 した 締 約 国 が 提 出 した 国 別 報 告 書 を 含 め 入 手 可 能 なあらゆる 証 拠 資 料 をとりまとめた 結 果 本 書 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 ( 以 下 GBO3)は この 目 標 が 達 成 されていないと 結 論 付 けている そしてさらに 生 物 多 様 性 の 損 失 につながる 主 な 圧 力 が 継 続 しているばかりか 強 まっている 場 合 さえあると 警 告 している このように 世 界 全 体 として 目 標 を 達 成 できてい ないという 事 実 を 早 急 に 正 さなければ いずれ 人 類 にとって 深 刻 な 結 果 を 招 くことになるだろ う 生 物 多 様 性 は 私 たちが 食 料 や 新 鮮 な 水 健 康 やレクリエーション 自 然 災 害 からの 保 護 を 得 る 上 で 依 存 している 生 態 系 の 機 能 を 支 えている また 生 物 多 様 性 の 損 失 は 文 化 的 にも 精 神 的 にも 私 たちに 影 響 を 及 ぼすものだ これは 数 値 化 する のがより 難 しいかもしれないが 人 類 の 福 利 ( 人 間 の 豊 かな 暮 らし)に 不 可 欠 なものである 現 在 の 傾 向 は こういった 不 可 欠 なサービスを 提 供 する 生 態 系 の 収 容 力 が 破 滅 的 なまでに 低 下 す ることになるであろう 数 多 くの 潜 在 的 な 転 換 点 (tipping point: 本 書 では 転 換 点 を ある 生 態 系 が 全 く 新 しい 状 態 へ 推 移 するような 状 況 と 定 義 )に 向 かいつつある 貧 困 層 はそういったサー ビスにとりわけ 直 接 的 に 依 存 している 傾 向 にあ り 最 初 に そして 最 も 深 刻 に 被 害 を 受 けること になるだろう ミレニアム 開 発 目 標 (MDGs)で 概 要 が 示 された 主 要 目 標 食 料 安 全 保 障 貧 困 の 撲 滅 すべての 人 々の 健 康 改 善 が 危 うく なっている 生 物 多 様 性 の 保 全 は 生 態 系 の そしてその 結 果 人 間 社 会 の 回 復 力 を 高 めることによっ て 気 候 変 動 の 規 模 を 縮 小 し その 悪 影 響 を 減 ら すことに 大 きく 寄 与 する 従 って 生 物 多 様 性 と 気 候 変 動 に 関 連 する 課 題 については 双 方 をうま く 連 携 させながら 等 しく 優 先 させて 取 り 組 むこ とが 不 可 欠 である 重 要 な 地 域 のなかには 生 物 多 様 性 を 支 える 国 家 レベル 及 び 国 際 レベルの 行 動 が 良 い 方 向 に 向 かっているものも 出 てきた より 多 くの 陸 域 や 海 域 が 保 護 され より 多 くの 国 が 侵 略 的 外 来 種 の 深 刻 な 脅 威 に 立 ち 向 かい 生 物 多 様 性 条 約 を 実 施 するために 確 保 される 資 金 が 増 えているのである しかし こうした 努 力 が 政 策 の 矛 盾 によって 損 なわれることがあまりにも 多 い 生 物 多 様 性 損 失 の 根 本 的 な 原 因 に 立 ち 向 かうため 私 たちは す べての 意 思 決 定 分 野 とすべての 経 済 セクターにお いて その 対 応 を 優 先 させなければならない こ の GBO3 が 明 確 にしているように 生 物 多 様 性 の 保 全 は 他 の 目 標 に 取 り 組 んだ 後 の 補 足 にはな り 得 ない それは こういった 目 標 の 多 くの 土 台 となる 基 盤 なのだ 私 たちには 健 全 な 地 球 と 人 類 の 持 続 可 能 な 未 来 のために 生 物 多 様 性 につい ての 新 たなビジョンが 必 要 である 国 連 事 務 総 長 潘 基 文 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 5

国 連 環 境 計 画 (UNEP) 事 務 局 長 からのメッセージ 年 は 国 際 生 物 多 様 性 年 であり 人 類 と 地 球 の 生 命 維 持 システムとの 間 の 新 たな そしてよ り 知 的 な 盟 約 が 緊 急 に 必 要 とされている 各 国 政 府 は この 年 までに 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させると 合 意 していたが この 目 標 はまだ 達 成 されていない 21 世 紀 に 持 続 可 能 性 を 実 現 させるつもりであるならば 各 国 政 府 企 業 社 会 全 体 は 思 案 するのではなく 早 急 に 計 画 を 新 たにして 再 び 全 力 で 取 り 組 む 必 要 がある GBO3 では ありのままの 事 実 と 数 字 が 盛 り 込 まれると 同 時 に 生 物 多 様 性 を 保 全 し さらに 強 化 するという 課 題 がなぜ 達 成 されないままであ るのか 主 な 理 由 をいくつか 突 き 止 めている 重 要 な 分 野 の 一 つが 経 済 である 動 物 植 物 その 他 の 生 命 体 の 多 様 性 がもつ 莫 大 な 価 値 と それら 生 命 体 が 森 林 や 新 鮮 な 水 から 土 壌 海 洋 そして 大 気 に 至 るまでの 健 全 かつ 機 能 的 な 生 態 系 で 果 た している 役 割 を 多 くの 国 や 制 度 がいまだに 把 握 できていない UNEP が 参 画 している 生 態 系 と 生 物 多 様 性 の 経 済 学 (TEEB) は この 分 野 において 理 解 の 橋 渡 しを 行 い 行 動 を 促 すことを 目 指 した 大 きな 取 組 である 年 後 半 に 名 古 屋 で 開 かれる 生 物 多 様 性 条 約 第 1 回 締 約 国 会 議 に 先 立 ち GBO3 を 補 完 する 存 在 となるであろう すでに 説 得 力 と 波 及 効 果 のある 事 実 がいくつか 浮 かび 上 がりつ つある 森 林 伐 採 と 森 林 劣 化 の 結 果 として 生 じる 年 間 の 損 失 だけで 2 兆 4 兆 5 千 億 米 ドル 超 に 相 当 する 可 能 性 がある それだけの 損 失 を 年 間 わずか 45 億 米 ドルの 投 資 によって 守 ること ができる 実 に 1 倍 のリターンとも 言 える 多 くの 国 が 見 返 りの 大 きい 経 済 社 会 生 活 の 分 野 の 一 部 に 自 然 資 本 を 組 み 込 み 始 めているが これを 迅 速 かつ 持 続 的 に 拡 大 する 必 要 がある ベネズエラでは 国 立 自 然 保 護 区 制 度 に 資 金 が 投 じられており 農 業 所 得 を 年 間 およそ 35 万 米 ドル 減 少 させていたかもしれない 土 砂 堆 積 が 未 然 に 防 がれつつある ベトナムで 12, ヘクタール 近 くのマング ローブ 林 の 植 林 や 保 護 が 行 われたところ 要 し た 費 用 は 1 万 米 ドルをわずかに 上 回 る 程 度 であるのに 対 し 年 間 7 万 米 ドルを 大 きく 超 える 堤 防 の 補 修 費 を 節 約 することができた 生 物 多 様 性 の 経 済 学 と 生 物 多 様 性 が 支 える 数 兆 ドル 相 当 の 生 態 系 サービスを 開 発 の 主 流 に 組 み 込 むことによって 年 を 成 功 に 導 く 意 思 決 定 を 行 うことができる その 他 の 試 金 石 としては 生 物 多 様 性 と 生 態 系 サービスに 関 する 政 府 間 パ ネル (IPBES)の 創 設 などによって 科 学 と 政 策 立 案 者 の 間 のギャップを 埋 めることなどがある 普 及 啓 発 もカギになるだろう 生 物 多 様 性 や 生 態 系 といった 用 語 をわかりやすく 説 明 することが 一 つの 課 題 だ もう 一 つの 課 題 は 生 物 多 様 性 と 暮 らしとの 間 にあるつながりの 理 解 とともに 気 候 変 動 や 水 不 足 農 業 といった 他 の 持 続 可 能 性 の 課 題 に 対 処 する 上 で 生 物 多 様 性 と 自 然 システムが 果 たしている 重 要 な 役 割 を 分 かってもらうことで ある 各 国 政 府 は 侵 略 的 外 来 種 という 難 問 にもうまく 対 処 しなければならない 複 数 の 推 定 によると 侵 略 的 外 来 種 によって 世 界 経 済 が 被 る 損 害 は 1 兆 4 千 億 米 ドル 以 上 になる 可 能 性 があるという サハラ 以 南 のアフリカでは 侵 略 的 なゴマノハグ サ 科 の 植 物 が 原 因 で 生 じるトウモロコシの 被 害 が 年 間 7 億 米 ドルに 上 る アフリカの 8 つの 主 要 作 物 に 目 を 向 けると 外 来 種 による 被 害 総 額 は 年 間 12 億 米 ドル 超 に 達 する 可 能 性 がある 最 後 に 重 要 なこととして 遺 伝 資 源 へのアクセ スと 利 益 配 分 (ABS)に 関 する 国 際 的 制 度 につい ての 交 渉 を 成 功 裏 に 終 結 させる 必 要 がある これ は 生 物 多 様 性 条 約 と おそらくその 資 金 メカニズ ムに 欠 けている 柱 である 成 功 裏 に 終 結 できれば 年 はまさに 称 賛 すべき 年 となるであろう 人 類 の 傲 慢 なところは 自 分 たちが 生 物 多 様 性 がなくても 何 とか 暮 らしていける または 生 物 多 様 性 はささいなことであると どういうわけ か 思 ってしまうところだ 実 のところ 6 億 人 以 上 が 住 み 25 年 には 9 億 人 超 になろうと している 地 球 上 で 私 たちはかつてないほどに 生 物 多 様 性 を 必 要 としているのである 国 連 事 務 次 長 兼 国 連 環 境 計 画 (UNEP) 事 務 局 長 アヒム シュタイナー 6 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 長 による 序 文 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 (GBO3) が 公 表 されるのは 生 物 多 様 性 条 約 の 歴 史 上 重 要 な 時 期 である というのも ヨハネスブルグで 世 界 の 首 脳 たちが 年 までに 貧 困 緩 和 と 地 球 上 すべての 生 物 の 便 益 のために 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させると 合 意 した その 期 限 に 当 たるからである そのために 国 連 は 年 を 国 際 生 物 多 様 性 年 と 定 めた 第 65 回 国 連 総 会 では 国 連 総 会 の 歴 史 上 初 めて 各 国 首 脳 が 参 加 する 生 物 多 様 性 ハイレベル 会 合 が 開 催 される さらに 愛 知 県 名 古 屋 市 で 開 催 される 生 物 多 様 性 条 約 第 1 回 締 約 国 会 議 の 期 間 中 に 締 約 国 は 条 約 実 施 の 手 段 や 世 界 全 体 の 共 通 目 標 に 向 けての 私 たちの 進 捗 を 監 視 評 価 するメカニズムだけで なく 生 物 多 様 性 のための 25 年 ビジョンや 22 年 ミッションを 含 め 今 後 数 十 年 間 の 新 しい 戦 略 計 画 を 策 定 することになるだろう 条 約 発 効 後 15 年 以 上 が 経 ち 国 際 社 会 がリオ +2 のサミットに 向 けて 活 発 な 準 備 をしている 今 こそ 地 球 上 のさまざまな 生 命 体 と それがも たらす 人 類 の 福 利 への 寄 与 を 守 ろうという 世 界 的 な 取 組 に 専 心 している 意 思 決 定 者 にとって 審 判 の 時 である GBO3 は 意 思 決 定 者 や 広 く 一 般 の 人 々に 対 し 年 時 点 の 生 物 多 様 性 の 状 況 や 現 在 の 傾 向 の 意 味 するもの 将 来 に 対 する 私 たちの 選 択 肢 について 情 報 を 与 える 重 要 なツール である GBO3 は 条 約 締 約 国 によって 提 出 された 約 12 の 国 別 報 告 書 を 幅 広 く 引 用 し 私 たちには 今 後 数 カ 月 から 数 年 にわたって やるべき 仕 事 がた くさんあるということを 明 確 にしている 年 目 標 を 完 全 に 達 成 するだろうと 報 告 した 国 は 一 つもなく 達 成 できないだろうとはっきり 述 べた 締 約 国 が 2 3 カ 国 あった さらに 大 部 分 の 締 約 国 が 自 国 領 土 内 の 少 なくとも 一 つ たいて いの 場 合 はいくつかの 種 や 生 息 地 が 減 少 の 状 態 に あると 報 告 している 人 的 技 術 的 な 能 力 が 限 られていること 科 学 的 情 報 の 入 手 が 不 十 分 であるか 困 難 であること 一 般 の 人 々や 意 思 決 定 者 の 間 で 生 物 多 様 性 問 題 の 認 識 が 限 定 的 であること 生 物 多 様 性 の 主 流 化 が 限 られていること 意 思 決 定 の 分 断 化 と さまざま な 省 庁 間 やセクター 間 の 意 思 疎 通 が 限 られている こと そして 生 物 多 様 性 の 経 済 的 評 価 が 欠 如 して いることなどである GBO3 が 明 確 にしているように 私 たちが 生 物 多 様 性 の 損 失 への 取 組 において 前 進 する 意 思 で あるならば こういった 障 害 を 取 り 除 くことが 必 須 である 現 在 の 傾 向 の 結 果 として 世 界 をより 良 く 変 えるために 国 連 組 織 で 広 く 共 有 されている 目 標 の 多 くが 達 成 困 難 になる 可 能 性 があるため 私 たちがそのように 前 進 することがますます 急 務 となっている 私 たちは GBO3 に 含 まれる 知 識 や 分 析 結 果 と その 基 になる 情 報 源 をもって 生 物 多 様 性 を 意 思 決 定 の 主 流 へと 引 っ 張 り 出 す 機 会 を 与 えられている 現 在 と 将 来 の 世 代 のために 個 人 としても 全 体 としても この 機 会 をとらえよ う まぎれもなく 生 物 多 様 性 は 生 命 そう 私 た ちの 生 命 なのだから 大 半 の 締 約 国 が 5 つの 主 要 圧 力 が 自 国 領 土 内 の 生 物 多 様 性 に 影 響 を 与 え 続 けていることを 認 め ている その 圧 力 とは 生 息 生 育 地 の 損 失 持 続 可 能 でない 資 源 利 用 及 び 過 剰 な 資 源 利 用 気 候 変 動 侵 略 的 外 来 種 汚 染 である こういった 問 題 に 対 処 できるようにするために 締 約 国 によっ て 多 くの 前 向 きな 措 置 が 講 じられてきた このよ うな 措 置 には 生 物 多 様 性 関 連 の 新 しい 法 律 の 制 定 環 境 影 響 評 価 のメカニズムの 確 立 国 境 を 越 えた 管 理 または 協 力 の 取 組 への 参 加 地 域 社 会 の 生 物 資 源 管 理 への 関 与 の 促 進 が 含 まれる それと 同 時 に 第 4 回 国 別 報 告 書 は 条 約 の 目 的 を 達 成 する 上 で 乗 り 越 えるべき 障 害 を 浮 き 彫 り にしている そのような 障 害 としては 以 下 の 点 が 挙 げられる: 先 進 国 と 途 上 国 の 双 方 で 経 済 的 国 連 事 務 次 長 補 生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 長 ア ハ メド ジョグラフ 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 7

要 旨 カンムリシロムク(Leucopsar rothschildi)は インドネシアのバリ 島 に 固 有 の 鳥 類 で ごく 近 い 将 来 において 絶 滅 の 危 険 性 が 極 めて 高 いとされている 主 に 密 猟 により 2 世 紀 の 間 に 個 体 群 と 生 息 域 が 激 減 し 199 年 には 野 生 の 状 態 で 生 き 残 っているのはわずか15 羽 程 度 と 考 えられた その 後 人 工 繁 殖 したつがいの 放 鳥 などの 保 全 努 力 によって 28 年 には 推 定 個 体 数 が1 羽 を 超 えるまでになったが その 数 は 年 ごとに 増 減 を 繰 り 返 している

各 国 政 府 が22 年 に 合 意 した 年 ま でに 貧 困 緩 和 と 地 球 上 すべての 生 物 の 便 益 のために 地 球 地 域 国 家 レベルで 生 物 多 様 性 の 現 在 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させる という 目 標 は 達 成 されていない 生 物 多 様 性 の3つの 主 要 構 成 要 素 ( 遺 伝 子 種 生 態 系 )すべてにおいて 生 物 多 様 性 の 損 失 が 継 続 し ていることを 示 す 兆 候 が 以 下 に 示 すように 多 数 存 在 している 既 に 絶 滅 リスクが 指 摘 された 種 は 概 して 絶 滅 が さらに 近 づいている 最 大 の 危 機 に 直 面 している のは 両 生 類 であり 最 も 急 速 に 状 況 が 悪 化 して いるのはサンゴ 類 である また 植 物 種 の4 分 の 1 近 くが 絶 滅 の 危 機 にさらされていると 推 定 され る 個 体 群 の 調 査 が 行 われた 脊 椎 動 物 の 個 体 数 は 年 から26 年 の 間 に 平 均 で 約 3 分 の1が 失 われ 地 球 全 体 でその 減 少 が 継 続 している 特 に 熱 帯 地 域 と 淡 水 域 の 生 物 種 に 深 刻 な 減 少 がみられ る 熱 帯 林 とマングローブ 林 の 損 失 速 度 が 鈍 化 すると いう 大 きな 進 展 がみられた 地 域 もあったものの 世 界 の 大 部 分 の 自 然 生 息 生 育 地 は 規 模 も 完 全 性 も 低 下 し 続 けている 淡 水 湿 地 海 氷 域 塩 性 湿 地 サンゴ 礁 藻 場 貝 礁 は いずれも 深 刻 な 状 況 にある 森 林 河 川 等 の 生 態 系 は 広 範 囲 にわたって 分 断 化 と 劣 化 がみられ それによって 生 物 多 様 性 と 生 態 系 サービスの 損 失 も 引 き 起 こされている 農 業 のシステムのなかで 農 作 物 と 家 畜 の 遺 伝 的 多 様 性 が 引 き 続 き 減 少 している 生 物 多 様 性 の 損 失 に 直 接 的 に 拍 車 をかけている5 つの 主 要 な 圧 力 ( 生 息 地 の 損 失 と 劣 化 過 剰 利 用 と 非 持 続 可 能 な 利 用 過 剰 な 栄 養 素 の 蓄 積 等 によ る 汚 染 侵 略 的 外 来 種 気 候 変 動 )の 強 さは 変 化 していないか あるいは 増 加 している 人 類 のエコロジカル フットプリント( 人 間 活 動 が 環 境 に 与 える 負 荷 を 示 す 指 標 )は 地 球 のバイ オロジカルキャパシティ( 生 物 学 的 に 生 産 が 行 え るある 区 域 ( 例 : 国 など)が 再 生 可 能 な 資 源 を 供 給 し そのプロセスで 出 る 廃 棄 物 を 吸 収 できる 容 量 )を 超 えており 年 目 標 が 合 意 された 時 点 からさらに 増 加 している 生 物 多 様 性 の 損 失 は それ 自 体 が 深 く 懸 念 される 問 題 である さらに 生 物 多 様 性 は 人 間 社 会 に 幅 広 いサービスを 提 供 する 生 態 系 の 機 能 を 支 えるもので もある 従 って 生 物 多 様 性 の 損 失 が 継 続 すれば 現 在 及 び 将 来 の 人 類 の 福 利 ( 人 類 の 豊 かな 暮 らし) に 重 大 な 影 響 を 及 ぼす 結 果 となる 生 物 多 様 性 の 減 少 と 変 化 によって 脅 かされる 可 能 性 のある 生 態 系 サービスとしては 食 料 繊 維 医 薬 品 そして 新 鮮 な 水 の 供 給 や 農 作 物 の 受 粉 汚 染 物 質 のろ 過 自 然 災 害 からの 保 護 などが 挙 げられる また 精 神 的 宗 教 的 価 値 や 教 育 及 び 知 識 獲 得 の 機 会 レクリエー ション 上 の 価 値 や 美 的 価 値 などの 文 化 的 なサービス も 低 下 しつつある 生 物 多 様 性 年 目 標 によって 生 物 多 様 性 の 保 全 のための 重 要 な 取 組 が 促 進 された 例 えば 保 護 地 域 ( 陸 域 及 び 沿 岸 海 域 を 含 む)の 拡 大 や 特 定 の 生 物 種 の 保 全 汚 染 や 外 来 種 への 対 処 といった 生 態 系 に 直 接 的 な 影 響 を 及 ぼす 要 因 のいくつかに 取 り 組 む 活 動 がとられた 現 在 では 約 17カ 国 が 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 行 動 計 画 を 有 している 国 際 レベ ルでは 資 金 動 員 が 促 され 生 物 多 様 性 の 研 究 モ ニタリング 科 学 的 評 価 のメカニズムの 開 発 に 進 展 がみられた 生 物 多 様 性 を 保 全 する 多 くの 取 組 により 特 定 の 地 域 の 生 物 種 や 生 態 系 に 対 して 重 要 かつ 目 に 見 える 成 果 がもたらされた このことから 十 分 な 財 源 ( 人 的 な 資 源 等 も 含 む)と 政 治 的 意 志 があれば 生 物 多 様 性 の 損 失 を 減 少 させるための 手 段 は 幅 広 く 存 在 す ることがわかる 例 えば 近 年 では 森 林 伐 採 を 抑 制 する 政 府 政 策 により 一 部 の 熱 帯 諸 国 で 森 林 伐 採 の 速 度 が 低 下 した また 侵 略 的 外 来 種 への 対 策 によ り 多 くの 種 の 絶 滅 リスクのカテゴリーが1ランク 改 善 された もし 保 全 措 置 がとられていなかったら 2 世 紀 中 に(9,8 種 のうち) 少 なくとも31 種 の 鳥 類 が 絶 滅 していただろうと 推 定 されている 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 9

しかしながら ほとんどの 地 域 では 生 物 の 多 様 性 に 関 する 条 約 ( 生 物 多 様 性 条 約 )を 実 施 するため の 取 組 が 生 物 多 様 性 への 圧 力 に 抗 うのに 十 分 な 規 模 で 行 われていない 生 物 多 様 性 の 問 題 は より 広 範 な 政 策 戦 略 作 業 計 画 において 十 分 に 組 み 込 ま れず 生 物 多 様 性 損 失 の 根 本 的 な 要 因 への 有 効 な 対 策 も 行 われてこなかった 生 物 多 様 性 の 保 全 と 持 続 可 能 な 利 用 を 促 進 する 取 組 に 用 いられる 資 金 は イ ンフラ 整 備 と 産 業 開 発 を 目 的 とした 事 業 に 比 較 し て ごくわずかである さらに このような 開 発 計 画 は 生 物 多 様 性 への 配 慮 をないがしろにすることが 多 く 生 物 多 様 性 への 悪 影 響 を 最 小 化 するような 計 画 立 案 の 機 会 が 失 われている また 個 体 群 統 計 的 経 済 的 技 術 的 社 会 政 治 的 文 化 的 な 圧 力 など 生 物 多 様 性 損 失 の 根 本 的 な 要 因 への 有 効 な 対 策 も 限 られていた 将 来 を 描 いたシナリオは そのほとんどが 今 世 紀 を 通 して 大 規 模 な 絶 滅 と 生 息 生 育 地 の 損 失 が 続 き それに 付 随 して 人 類 の 福 利 にとって 重 要 な 一 部 の 生 態 系 サービスが 低 下 すると 予 測 している 漁 業 資 源 の 乱 獲 によって 海 洋 生 態 系 の 破 壊 と 魚 の 個 体 群 の 激 減 が 継 続 し それが 漁 業 の 崩 壊 を もたらすだろう 種 の 分 布 と 個 体 数 の 変 化 は 人 間 社 会 に 深 刻 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある 種 と 植 生 型 の 地 理 的 分 布 は 気 候 変 動 によって 大 きく 変 化 し その 分 布 域 は 21 世 紀 末 までに 数 百 数 千 キロメートルも 極 方 向 に 移 動 すると 予 想 されている 海 洋 生 物 種 が 低 温 の 海 域 に 移 動 し 熱 帯 海 域 の 多 様 性 が 減 少 する 一 方 で 北 方 林 及 び 温 帯 林 においても 現 在 の 分 布 域 の 南 端 が 広 範 囲 にわたって 後 退 し 漁 業 や 木 材 収 穫 量 レク リエーションの 機 会 やその 他 のサービスに 影 響 が 及 ぶだろう 生 態 系 がある 限 界 値 あるいは 転 換 点 を 超 えた 場 合 生 物 多 様 性 の 劇 的 な 損 失 とそれに 伴 う 広 範 な 生 態 系 サービスの 低 下 が 生 じる 危 険 性 は 高 い 最 初 に そして 最 も 深 刻 にこのような 変 化 の 影 響 を 受 けるの は 貧 困 層 であろうが 最 終 的 にはあらゆる 社 会 と 地 域 が 影 響 を 被 ることになるだろう 例 えば 次 のような 事 態 が 想 定 される バイオ 燃 料 の 生 産 のためという 潜 在 的 な 用 途 も 含 めて 農 作 物 や 牧 草 が 優 先 された 結 果 熱 帯 林 が 減 少 し 続 けるだろう 気 候 変 動 侵 略 的 外 来 種 の 移 入 汚 染 ダム 建 設 により 淡 水 域 の 生 物 多 様 性 とそれが 支 えるサー ビスへの 圧 力 が 増 大 するだろう アマゾンの 森 林 は 森 林 伐 採 と 森 林 火 災 気 候 変 動 の 相 互 作 用 により 広 範 囲 に 減 少 し 一 部 の 森 林 が より 頻 繁 な 森 林 火 災 と 激 しい 干 ばつの 悪 循 環 に 陥 り それによってサバンナのような 植 生 に 遷 移 する 可 能 性 がある このようなシナリオは 極 めて 不 確 実 であるが 森 林 伐 採 率 が2 3%を 超 えると( 現 在 ブラジルのアマゾンでは17% 超 ) このような 現 象 が 起 きる 可 能 性 が 大 幅 に 高 まるこ 1 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

とが 知 られている これによって 地 域 的 な 降 雨 量 が 減 少 し 農 業 生 産 が 低 下 することになるだろ う また 炭 素 排 出 量 の 増 加 や 生 物 多 様 性 の 大 規 模 な 損 失 による 地 球 規 模 での 影 響 も 生 じるだろ う 淡 水 湖 やその 他 の 陸 水 生 態 系 は 農 業 用 肥 料 と 下 水 からのリン 酸 塩 と 硝 酸 塩 が 蓄 積 すると 長 期 的 に 藻 類 が 優 占 する( 富 栄 養 化 の) 状 態 に 変 化 する 可 能 性 がある これにより 漁 獲 量 が 減 少 し 多 くの 途 上 国 の 食 料 安 全 保 障 に 影 響 が 及 ぶことが 懸 念 される また レクリエーションの 機 会 や 観 光 収 入 も 失 われ 有 毒 アオコによって 人 々や 家 畜 の 健 康 に 影 響 が 及 ぶ 場 合 もあるだろう 同 様 に 窒 素 による 海 岸 環 境 の 富 栄 養 化 現 象 によって 酸 欠 海 域 デッド ゾーン が 発 生 し 漁 獲 量 や 観 光 収 入 の 減 少 により 莫 大 な 経 済 的 損 失 がもたらさ れる 熱 帯 のサンゴ 礁 生 態 系 は 海 洋 酸 性 化 海 水 温 度 の 上 昇 やその 他 の 人 為 的 ストレスの 複 合 的 影 響 に より 崩 壊 の 危 機 にある 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 上 昇 によって 海 水 の 酸 性 化 が 進 むと サンゴ 骨 格 の 形 成 に 必 要 な 炭 酸 イオンが 利 用 しにくくな る 水 温 の 上 昇 による 白 化 汚 染 による 富 栄 養 化 漁 業 資 源 の 乱 獲 陸 域 の 森 林 伐 採 による 土 砂 堆 積 やその 他 の 圧 力 により 世 界 中 のサンゴ 礁 に 藻 類 が 優 占 し 生 物 多 様 性 と 生 態 系 機 能 の 壊 滅 的 な 損 失 が 起 きており 数 億 人 の 暮 らしと 食 料 安 全 保 障 を 脅 かしている 生 物 多 様 性 の 保 全 を 目 的 としていない 取 組 が 他 の 社 会 目 的 に 寄 与 すると 同 時 に 実 は 生 物 多 様 性 の 危 機 に 対 処 することにもなる 機 会 というものは これまで 認 識 されていた 以 上 に 大 きい 例 えば GBO3の 分 析 によって 気 候 変 動 の 緩 和 と 同 時 に 森 林 やその 他 の 自 然 生 態 系 の 現 在 の 規 模 を 維 持 し さらには 拡 大 しさえする(バイオ 燃 料 の 普 及 により 生 息 生 育 地 の 損 失 を 避 ける)シナリオの 存 在 が 明 らかになった その 他 の 例 としては 一 部 地 域 の 耕 作 放 棄 地 を 再 自 然 化 することや 河 川 流 域 をは じめとする 湿 地 生 態 系 によって 水 供 給 や 治 水 の 改 善 汚 染 の 除 去 につながることなどが 該 当 する 生 物 多 様 性 の 損 失 によって 人 々や 社 会 が 直 面 する 最 も 深 刻 な 影 響 を 回 避 するためには 危 機 的 な 状 況 にある 地 域 種 生 態 系 サービスを 重 視 する 目 標 を 明 確 に 掲 げた 政 策 が 不 可 欠 である 短 期 的 には 人 類 によるさらなる 生 物 多 様 性 損 失 を 防 ぐというのは 極 めて 難 しい 課 題 であるのは 事 実 だが 長 期 的 なビ ジョンに 立 った 協 調 的 かつ 効 果 的 な 取 組 に 合 意 し 緊 急 に 着 手 すれば 長 期 的 には 生 物 多 様 性 の 損 失 を 食 い 止 め 場 合 によってはその 流 れを 逆 転 させるこ ともできる このように 生 物 多 様 性 を 保 全 し その 構 成 要 素 を 持 続 可 能 な 形 で 利 用 する 取 組 を 行 えば 健 康 状 態 の 改 善 や 食 料 安 全 保 障 の 強 化 貧 困 の 緩 和 環 境 の 変 化 に 対 処 し 適 応 する 収 容 力 の 向 上 を 通 じて 大 きな 見 返 りが 得 られるだろう 開 発 及 び 貧 困 緩 和 策 において 生 物 多 様 性 を 優 先 す ることは これらを 成 功 に 導 くために 極 めて 重 要 で ある 何 もしない 状 態 が 続 けば すべての 人 間 社 会 の 未 来 が 危 うくなることは 明 らかであり 最 も 大 きな 危 機 にさらされるのは 生 物 多 様 性 の 恩 恵 に 暮 らしの 大 部 分 を 直 接 的 に 依 存 している 最 貧 困 層 で ある 生 物 多 様 性 の 損 失 は しばしば 文 化 の 多 様 性 の 損 失 にもつながり 特 に 先 住 民 社 会 に 多 大 な 悪 影 響 を 及 ぼす 生 物 多 様 性 損 失 と 気 候 変 動 という 関 連 した 難 題 に ついて それぞれの 最 も 深 刻 な 影 響 を 回 避 するので あれば 政 策 立 案 者 はどちらも 等 しく 優 先 させて 緊 密 に 連 携 をとりながら 取 り 組 まなければならない 熱 帯 林 や 塩 性 湿 地 泥 炭 地 など 炭 素 の 蓄 積 量 の 多 い 生 態 系 のさらなる 損 失 を 抑 制 することは 大 気 中 の 温 室 効 果 ガス 濃 度 上 昇 を 抑 える 上 で 極 めて 重 要 な 一 歩 となろう 同 時 に 生 態 系 に 影 響 を 及 ぼす 他 の 圧 力 を 減 らせば 生 態 系 は 回 復 力 を 高 めて すで に 不 可 避 となっている 気 候 変 動 の 影 響 を 受 けにくく なり 人 々の 暮 らしを 支 え 気 候 変 動 への 適 応 に 役 立 つ 生 態 系 サービスを 提 供 し 続 けてくれる 生 物 多 様 性 の 保 全 は 国 際 社 会 にとって リスク 回 避 への 賢 明 で 費 用 対 効 果 の 高 い 投 資 と 捉 えるべき である 大 規 模 で 急 激 な 生 態 系 の 変 化 が 起 こると 人 類 の 安 全 保 障 に 非 常 に 大 きな 影 響 が 及 ぶため た とえそれが 起 こる 確 率 が 不 明 確 であるとしても そ のような 変 化 を 引 き 起 こすリスクを 最 小 化 するのは 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 11

理 にかなっていると 言 えよう 生 態 系 の 劣 化 とその 結 果 として 生 じる 生 態 系 サービスの 低 下 は 災 害 の 危 険 性 を 高 める 主 要 因 の 一 つであることが 明 らかに なっている 回 復 力 と 多 様 性 に 富 み 複 数 の 圧 力 に 耐 えられるような 生 態 系 への 投 資 は これまでの 中 で 最 も 割 安 な 保 険 とさえ 言 えるかもしれない 生 物 多 様 性 の 保 全 について 生 物 多 様 性 と 人 類 の 福 利 との 詳 細 な 関 係 や 生 態 系 の 機 能 を 取 り 巻 く 科 学 的 な 不 確 実 性 をもって 何 も 行 動 を 起 こさないこ との 言 い 訳 にするべきではない 生 態 系 の 転 換 点 に 人 類 がどれだけ 近 づいているか そしてさらにどれ だけ 圧 力 をかけると 転 換 点 に 達 するのか 誰 も 正 確 に 予 測 することはできない ただし 過 去 の 例 から わかっているのは ひとたび 生 態 系 が 別 の 状 態 へ 移 行 すると 何 世 代 にもわたって 経 済 や 定 住 パターン の 基 盤 であったかつての 状 態 に 戻 すことは 困 難 あ るいは 不 可 能 になり 得 るということである 生 物 多 様 性 の 損 失 に 対 処 する 効 果 的 な 取 組 かどう かは 損 失 の 根 本 的 な 要 因 あるいは 間 接 的 な 要 因 に 対 処 しているかどうかによって 決 まる すなわち 高 まりつつある 需 要 を 満 たすために 土 地 エネ ルギー 淡 水 原 材 料 の 利 用 効 率 を 大 幅 に 向 上 さ せる 市 場 のインセンティブの 活 用 と 生 物 多 様 性 にとっ て 有 害 な 補 助 金 の 廃 止 により 持 続 可 能 でない 資 源 利 用 や 無 駄 の 多 い 消 費 を 最 小 限 に 抑 える 土 地 陸 水 海 洋 資 源 の 利 用 に 関 する 戦 略 計 画 を 立 案 し 開 発 と 生 物 多 様 性 保 全 や 複 数 の 生 態 系 サービス 維 持 とを 調 和 させる 一 部 の 取 組 には ある 程 度 の 費 用 やトレードオフが 伴 うかもしれな いが 生 物 多 様 性 にとっては 相 対 的 に 大 きな 利 益 が 生 じる 可 能 性 がある 例 えば 医 薬 品 や 化 粧 品 の 開 発 など 遺 伝 資 源 や 関 連 する 伝 統 的 知 識 の 利 用 及 びそれらへのアクセス から 生 じる 利 益 は 必 ずそれらが 得 られた 国 及 び 文 化 と 衡 平 に 配 分 するようにする CEPA( 広 報 教 育 普 及 啓 発 )により 可 能 な 限 りすべての 人 々が 生 物 多 様 性 の 価 値 やそれを 保 全 するためにできること( 個 人 の 消 費 や 行 動 を 変 えるなど)を 理 解 できるようにする 生 物 多 様 性 がもたらす 利 益 や その 損 失 によって 生 じる 費 用 を 経 済 システム 及 び 市 場 に 反 映 させる 必 要 がある 生 物 多 様 性 にとって 有 害 な 補 助 金 の 存 在 や 生 態 系 の 提 供 する 莫 大 な 利 益 に 経 済 的 価 値 が 付 与 されていないことが 生 物 多 様 性 の 損 失 の 一 因 となっている 天 然 のインフラを 使 い 果 たすのでは なく 規 制 やその 他 の 措 置 によって 市 場 を 活 用 し た 保 護 補 強 措 置 を 創 出 することは 十 分 に 可 能 で あり そうすべきである 世 界 的 不 況 に 伴 う 経 済 や 金 融 システムの 再 構 築 により このような 変 化 を 起 12 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

こす 転 機 が 訪 れている 早 めの 行 動 は 何 もしない 場 合 や 遅 れて 行 動 を 起 こす 場 合 よりも 効 果 的 であ ると 同 時 に 費 用 負 担 も 小 さいだろう 生 物 多 様 性 損 失 の 直 接 的 要 因 を 減 少 させるため に 緊 急 の 取 組 が 求 められている 農 業 や 持 続 可 能 な 森 林 管 理 持 続 可 能 な 漁 業 におけるベスト プラ クティスが 標 準 的 な 慣 行 となるべきだ その 際 には 一 つの 生 態 系 サービスを 最 大 化 するためではなく 複 数 の 生 態 系 サービスを 最 適 化 するための 取 組 を 促 進 すべきである 多 くの 場 合 複 数 の 要 因 が 組 み 合 わさって 生 物 多 様 性 の 損 失 や 生 態 系 の 劣 化 を 引 き 起 こしている 時 として 政 策 の 変 化 に 最 も 影 響 を 受 けやすい 要 因 を 減 らすことに 集 中 的 かつ 緊 急 的 な 取 組 を 行 った 方 が より 効 果 的 かもしれない こう することにより 短 中 期 的 に 生 物 多 様 性 への 圧 力 が 減 少 し 人 間 社 会 にとっての 価 値 が 保 護 されるであ ろう 一 方 より 複 雑 な 要 因 については 長 期 的 な 時 間 軸 で 対 処 する 例 えば 漁 業 資 源 の 乱 獲 や 陸 域 からの 汚 染 物 理 的 破 壊 を 軽 減 することによって サンゴ 礁 の 回 復 力 ( 及 びサンゴ 礁 が 白 化 や 海 洋 の 酸 性 化 に 耐 えてそれに 適 応 する 能 力 )が 高 まる 可 能 性 がある 生 物 多 様 性 を 保 全 するため 特 に 貧 困 層 にとって 重 要 な 生 態 系 サービスの 保 全 措 置 とともに 文 化 的 価 値 が 高 く 脆 弱 な 種 及 び 生 態 系 を 対 象 とした 直 接 的 な 取 組 を 継 続 すべきである 保 全 活 動 の 対 象 は 商 業 目 的 で 採 取 捕 獲 され 絶 滅 の 危 機 にある 種 や あ るいは 文 化 的 に 重 要 な 種 機 能 群 ( 受 粉 や 最 も 上 位 の 捕 食 者 による 植 食 動 物 の 個 体 数 調 整 栄 養 循 環 土 壌 生 成 といった 生 態 系 の 中 で 全 体 として 必 要 不 可 欠 な 特 定 の 役 割 を 担 う 種 の 集 合 体 )にすべきであ る 経 済 セクターをはじめとするすべてのセクターの あらゆるレベルにおいて 生 物 多 様 性 のためにより 望 ましい 決 定 をしなければならならず 政 府 は そ の 実 現 のために 重 要 な 役 割 を 担 っている 地 域 社 会 や 地 方 自 治 体 企 業 が 主 導 する 効 果 的 な ボトムアッ プ のイニシアティブを 支 えていくような 望 まし い 状 況 を 醸 成 していくために 国 家 計 画 や 法 整 備 は 極 めて 重 要 であり ここには 先 住 民 や 地 域 社 会 が 生 物 多 様 性 の 管 理 や 意 志 決 定 の 責 任 を 負 える 体 制 や 遺 伝 資 源 へのアクセスから 生 じる 利 益 が 衡 平 に 配 分 されるような 制 度 を 構 築 することも 含 まれる 私 たちはもはや 継 続 する 生 物 多 様 性 の 損 失 や 変 化 を 社 会 の 中 核 的 な 課 題 と 切 り 離 して 捉 えること はできない この 中 核 的 な 課 題 とはつまり 貧 困 へ の 取 組 人 々の 健 康 や 繁 栄 や 安 全 保 障 の 改 善 気 候 変 動 への 対 処 である これらの 課 題 への 対 処 は 近 年 現 状 の 生 態 系 のなかで 弱 体 化 してしまう 傾 向 に あるが 国 際 社 会 が 共 有 する 優 先 課 題 に 対 して 生 物 多 様 性 が 果 たしている 役 割 を 私 たちが 正 しく 評 価 す れば 大 いに 強 化 されるだろう これを 実 現 するに は 政 府 や 民 間 セクター 地 域 レベルから 国 際 レベ ルに 至 る 諸 機 関 において 生 物 多 様 性 を 意 志 決 定 の 主 流 に 置 くことが 必 要 になる 人 類 の 文 明 が 過 去 1 万 年 にわたって 依 存 してきた 比 較 的 安 定 した 環 境 条 件 が 今 世 紀 の 後 も 続 くかどう かは 次 の1 2 年 間 にとられる 行 動 と 生 物 多 様 性 条 約 の 下 で 示 される 方 向 性 が 決 定 付 けること になるだろう もしこの 機 会 を 逃 せば 地 球 上 の 生 態 系 の 多 くは 現 在 及 び 将 来 世 代 のニーズに 応 える 収 容 力 が 極 めて 不 安 定 となるような これまでに 例 のない 新 しい 状 態 へ 移 行 してしまうことになろう 生 態 系 機 能 や 生 態 系 サービスを 回 復 させるために は 陸 域 陸 水 海 洋 生 態 系 の 再 生 がいっそう 必 要 になるだろう 経 済 分 析 から 生 態 系 の 再 生 は 高 い 経 済 的 収 益 をもたらすことがわかっている しか し 再 生 された 生 態 系 の 生 物 多 様 性 とそれに 関 連 し たサービスは 自 然 生 態 系 の 水 準 を 下 回 る 場 合 が 多 い このことは 生 態 系 は 事 後 に 再 生 するよりも 可 能 な 場 合 には 保 全 によって 劣 化 を 回 避 するほうが 望 ましい(さらに 費 用 対 効 果 も 高 い)という 議 論 を 裏 付 ける 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 13

序 論

本 書 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 (GBO3)は 人 間 社 会 にとって 厳 しいも のを 含 めて 選 択 を 提 示 している まず 人 間 活 動 の 結 果 として 地 球 上 の 生 きもの の 多 様 性 が 今 後 も 損 なわれ 続 けると 本 書 は 警 告 している 生 物 多 様 性 の 損 失 の 原 因 と なる 圧 力 は 低 下 する 兆 しがほとんどみら れず 悪 化 しているケースもある 現 在 の 状 態 が 継 続 した 場 合 にもたらされる 結 果 は かつて 想 定 されていたよりはるかに 悪 く 極 めて 重 要 な 生 態 系 サービスというものが 継 続 的 に 享 受 できるか 不 透 明 であるとして いる 今 後 数 十 年 間 に 起 こりうる 生 態 系 の 壊 滅 的 な 変 化 によって まずは 貧 困 層 が 甚 大 な 被 害 を 受 けることになるが 最 終 的 に はすべての 社 会 が 損 害 を 受 けることにもなる その 一 方 で GBO3は 希 望 のメッセージでもあ る この 危 機 に 対 処 するための 選 択 肢 は これまで の 研 究 で 考 えられていたより 幅 広 く 存 在 する 生 物 多 様 性 を 保 全 し 持 続 可 能 な 形 で 利 用 するために 確 固 たる 取 組 を 行 えば 大 きな 見 返 りが 得 られるだろ う 健 康 状 態 の 改 善 や 食 料 安 全 保 障 の 強 化 貧 困 の 緩 和 を 通 じて 多 くの 形 で 人 々に 恩 恵 がもたらさ れるだろう そして 自 然 の 多 様 さを 守 っていくこ とにもなる(この 目 的 自 体 さまざまな 信 仰 体 系 や 道 徳 規 範 によって 正 当 化 されている) また そう いった 取 組 を 通 じて 生 態 系 がより 多 くの 炭 素 を 吸 収 し 貯 蔵 できるようになり 気 候 変 動 の 抑 制 に 役 立 つだろう さらに 生 態 系 の 回 復 力 を 高 めて 脆 弱 性 を 低 減 することで 人 々が 気 候 変 動 に 適 応 するのに も 役 立 つだろう 適 切 に 機 能 する 生 態 系 ( 生 物 多 様 性 によって 支 え られ 人 間 社 会 に 天 然 のインフラを 提 供 する)の 維 持 と 再 生 を 確 実 にするように 行 動 すれば 年 間 数 兆 ドルに 値 する 経 済 的 利 益 がもたらされ 得 る 最 新 の 科 学 によれば 生 物 多 様 性 のより 良 い 管 理 保 全 持 続 可 能 な 利 用 を 行 うことは 社 会 と 経 済 の 安 全 保 障 そして 国 際 社 会 のリスク 低 減 への 賢 明 で 費 用 対 効 果 の 高 い 投 資 であることがいっそう 強 く 示 されて いる 本 書 では これまでの 取 組 が 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させるには 十 分 でなかったことを 示 しつつ その 理 由 を 分 析 している そして 現 在 の 傾 向 と 慣 行 によって 長 期 的 あるいは 不 可 逆 的 な 生 態 系 の 変 化 が 起 こる 可 能 性 について 評 価 を 下 してい る 目 標 を 絞 った 協 調 的 な 対 策 を 講 じ 生 物 多 様 性 に 対 する 直 接 的 圧 力 とその 根 本 原 因 の 両 方 に 対 処 す るように 適 切 なレベルで 行 動 をとれば 長 期 的 には 地 球 上 の 生 きものの 多 様 性 の 継 続 的 な 減 少 を 食 い 止 め さらに 逆 転 させることさえできると 結 論 付 ける 人 類 の 文 明 が 過 去 1 万 年 にわたって 依 存 してきた 比 較 的 安 定 した 環 境 条 件 が 今 世 紀 の 後 も 続 くかど うかは 今 後 2 年 間 にとられる 行 動 が 決 定 付 ける ことになる もしこの 機 会 を 逃 せば 地 球 上 の 生 態 系 の 多 くは 現 在 及 び 将 来 世 代 のニーズに 応 える 収 容 力 が 極 めて 不 安 定 となるような これまでに 例 の ない 新 しい 状 態 へ 移 行 することになるだろう BOX 1 生 物 多 様 性 生 物 多 様 性 条 約 及 び 年 目 標 生 物 多 様 性 (biodiversity) という 言 葉 は 生 物 の 多 様 性 (biological diversity) という 同 義 語 の 短 縮 形 であり 生 物 の 多 様 性 に 関 する 条 約 ( 以 下 生 物 多 様 性 条 約 )において 次 のように 定 義 されている すべての 生 物 ( 陸 域 生 態 系 海 洋 その 他 の 水 界 生 態 系 これらが 複 合 した 生 態 系 その 他 生 息 又 は 生 育 の 場 のいかんを 問 わない )の 間 の 変 異 性 をいうものとし 種 内 の 多 様 性 種 間 の 多 様 性 及 び 生 態 系 の 多 様 性 を 含 む この 定 義 を 本 書 でも 踏 襲 する 生 物 多 様 性 条 約 は 1992 年 にリオデジャネイロで 開 催 された 環 境 と 開 発 に 関 する 国 連 会 議 ( 通 称 地 球 サミット )で 生 まれた 3 つの リオ 条 約 の 一 つである 1993 年 末 に 発 効 し 次 の 目 的 が 掲 げられている 生 物 の 多 様 性 の 保 全 その 構 成 要 素 の 持 続 可 能 な 利 用 及 び 遺 伝 資 源 の 利 用 から 生 ずる 利 益 の 公 正 かつ 衡 平 な 配 分 をこの 条 約 の 関 係 規 定 に 従 って 実 現 す ることを 目 的 とする この 目 的 は 特 に 遺 伝 資 源 の 取 得 の 適 当 な 機 会 の 提 供 及 び 関 連 のある 技 術 の 適 当 な 移 転 (これらの 提 供 及 び 移 転 は 当 該 遺 伝 資 源 及 び 当 該 関 連 のある 技 術 についてのすべての 権 利 を 考 慮 して 行 う ) 並 びに 適 当 な 資 金 供 与 の 方 法 により 達 成 する 現 在 の 条 約 締 約 国 は 193 に 上 る(192 カ 国 と 欧 州 連 合 ) 22 年 4 月 に 各 締 約 国 は 年 までに 貧 困 緩 和 と 地 球 上 すべての 生 物 の 便 益 のために 地 球 地 域 国 家 レベルで 生 物 多 様 性 の 現 在 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させることを 約 束 した その 後 この 目 標 は 22 年 にヨハネスブルグで 開 催 された 持 続 可 能 な 開 発 に 関 する 世 界 首 脳 会 議 ( 通 称 リオ +1 ) 及 び 国 連 総 会 で 承 認 された また ミレニアム 開 発 目 標 (MDGs)の 一 つ( 環 境 の 持 続 可 能 性 の 確 保 )にも 新 たな 目 標 として 組 み 込 まれた このように 生 物 多 様 性 年 目 標 は 生 物 多 様 性 条 約 の 非 締 約 国 も 含 め すべての 政 府 による 約 束 コミットメントなのである 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 15

年 の 生 物 多 様 性

概 説 生 物 多 様 性 の 年 目 標 の 地 球 規 模 での 達 成 は ならなかった 年 までに 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させるという 全 体 目 標 に 付 随 する 21の 個 別 目 標 のうち いくつかは 部 分 的 または 地 域 的 に 達 成 されたものの 地 球 規 模 で 達 成 されたと 断 言 できるものは 一 つもない 生 物 多 様 性 を 保 全 す るための 取 組 は 増 加 したが 指 標 の 大 半 が 生 物 多 様 性 の 損 失 は 続 いていることを 示 している その 主 な 原 因 は 生 物 多 様 性 への 圧 力 が 増 加 し 続 けているこ とだ 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 が 顕 著 に 減 少 したとい う 兆 候 も 生 物 多 様 性 への 圧 力 が 顕 著 に 減 少 したと いう 兆 候 もない その 一 方 で 悪 化 傾 向 が 抑 えられ ている または 改 善 傾 向 に 転 じている 生 態 系 もある 生 物 多 様 性 の 損 失 への 対 策 が 増 加 し 改 善 されてい ることを 示 す 兆 候 が 複 数 みられるが 全 体 的 な 生 物 多 様 性 の 状 況 の 全 体 的 な 悪 化 傾 向 を 好 転 させ 生 物 多 様 性 への 圧 力 を 緩 和 させるほどの 規 模 にまでは 達 していない 個 別 目 標 はいずれも 達 成 されたとは 断 言 しがたい 状 況 だが いくつかは 部 分 的 に または 地 域 レベル 国 家 レベルで 達 成 されている( 表 1) 実 際 生 物 多 様 性 年 目 標 は 多 くのレベルで 取 組 を 促 して きた 現 在 では 約 17カ 国 が 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 行 動 計 画 を 有 している(BOX 2 図 1) 保 護 地 域 は 陸 域 と 沿 岸 海 域 の 両 方 で 数 規 模 ともに 拡 大 して いる 環 境 影 響 評 価 がより 広 く 適 用 されるようにな り 大 半 の 国 々がこれを 運 用 するため 何 らかの 措 置 を 講 じたと 報 告 している また 大 半 の 国 々では CEPA( 広 報 教 育 普 及 啓 発 ) 関 連 活 動 に 加 え 生 物 多 様 性 のモニタリン グ 調 査 データベース 開 発 も 進 められている 国 際 レベルでは 資 金 動 員 が 促 され 生 物 多 様 性 の 研 究 モニタリング 科 学 的 評 価 のメカニズムの 開 発 に 進 展 がみられた 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 を 顕 著 に 減 少 させるという 年 目 標 を 各 国 政 府 が 合 意 したことを 受 け (BOX 1) 生 物 多 様 性 条 約 やその 他 の 条 約 の 枠 組 み 内 で 目 標 達 成 に 向 けて 集 中 的 な 取 組 を 行 い そ の 進 捗 状 況 をモニタリングし 最 終 的 にその 目 標 が 実 際 に 達 成 されたか 否 かを 判 断 するために 数 々の 手 段 が 導 入 された 生 物 多 様 性 に 関 連 する11の 主 要 な 最 終 目 標 に 向 け 年 までに 達 成 すべき21 の 個 別 目 標 が 設 定 された カナダのトーンガット 山 脈 国 立 公 園 は 同 国 に 設 けら れた42 番 目 の 国 立 公 園 で ラブラドル 地 方 とヌナビク 地 域 のイヌイットによって 共 同 管 理 されている ラブ ラドル 地 方 の 北 端 に 位 置 し お よ そ9,7 km 2 の 北 地 球 極 規 生 模 態 生 物 系 多 が 様 性 公 概 園 況 区 第 3 域 版 に 指 17 定 されている

表 1 生 物 多 様 性 年 目 標 に 向 けて 合 意 された 個 別 目 標 の 達 成 状 況 地 球 規 模 では 成 されていないが 域 のリーンの 分 以 上 が 1 目 を 成 した しか し 一 の 保 護 地 域 では 管 理 の 性 が 低 い 海 洋 水 域 の 保 護 地 域 は 増 加 にあるもの の 不 十 分 である 地 球 規 模 では 成 されていないが 鳥 類 保 全 に 重 要 な 土 地 や 絶 滅 危 種 の 最 の 存 個 体 群 を する 土 地 では 保 護 されている 割 合 が 増 加 している 多 くの 種 の 個 体 数 や 分 域 の 減 少 が 続 いているため 地 球 規 模 では 成 されていない しかし 一 の 取 がをし 種 のにつながったケースもある 概 して 種 の 絶 滅 の 危 性 が 増 大 しているため 地 球 規 模 では 成 されていない しかし 措 置 を 講 じ た 果 絶 滅 リスクのカテゴリーが 1 ランク 改 した 種 もある 伝 的 多 様 性 に 関 するは 的 であり 地 球 規 模 では 成 されていない 生 息 域 外 での 取 に よる 作 物 の 伝 的 多 様 性 の 保 全 では 展 がみられるものの 然 として 農 業 システムの 化 が んでいる 野 生 種 の 伝 的 多 様 性 を 確 するのはだが B3 に 示 されるように 生 物 多 様 性 が 全 体 的 に 減 少 していることからえると 伝 的 多 様 性 が 持 されていない 可 能 性 が 高 い 域 伝 資 源 や 伝 統 的 知 識 は 一 のプロクトで 保 護 されているが 全 体 としては 減 少 が 続 いている 地 球 規 模 では 成 されていないが 森 林 や 一 の 水 業 など 生 物 多 様 性 の 一 の 成 要 素 におい て 展 がみられた 地 球 規 模 でると 全 やその 生 地 域 にめる 持 続 可 能 な 利 用 の 割 合 は さい 地 球 規 模 では 成 されていない 持 続 可 能 でないは 増 加 し 生 物 多 様 性 の 損 失 のとなって いる 地 球 規 模 では 成 されていない 野 生 動 植 物 種 は 国 際 取 による 減 少 が 続 いているものの とりわ けシントン 条 約 (CIS: 絶 滅 のおそれのある 野 生 動 植 物 の 種 の 国 際 取 に 関 する 条 約 )の 実 による 成 果 がみられる な 生 物 多 様 性 をする 地 域 の 多 くは 減 少 が 続 いているため 地 球 規 模 では 成 されていない とはいえ 損 失 速 度 が 低 下 している 地 域 もある 観 光 の 大 により 侵 略 的 外 来 種 の 移 入 は 然 として 増 加 し 続 けているため 地 球 規 模 では 成 されていない しかし 植 物 保 護 やバラスト 水 についての 世 界 的 合 意 に 関 した 国 家 レベルの 取 により 一 の 国 や 生 態 系 でたな 移 入 リスクの 低 下 が 期 される 一 では 管 理 計 画 が 策 定 されているが 地 球 規 模 では 成 されていない 果 的 な 管 理 事 業 を 実 している 国 はられている 18 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

気 候 変 動 によるを 軽 減 できるように 気 候 変 動 による 以 外 のをして 生 物 多 様 性 のを 化 する 措 置 が 定 的 であることから 地 球 規 模 では 成 されていない し かし 一 の 地 域 で 生 態 的 な(リドー)が 設 定 されたことにより 種 の 移 動 や たな 気 候 条 件 の 応 がされる 可 能 性 がある さまざまな 成 果 があるが 地 球 規 模 では 成 されていない 汚 染 による 生 物 多 様 性 の を 低 減 する 措 置 がとられた 果 化 がだったいくつかの 生 態 系 がした しかし も 措 置 を 講 じなかった 地 域 の 多 くで 化 がんでいる 多 くの 地 域 で き 続 き 素 が 生 物 多 様 性 の 大 きな 脅 威 となっている 生 態 系 のが 続 し 一 ではさらに 増 大 しているケースもあるため 地 球 規 模 では 成 されていない しかし 生 態 系 サービスの 続 的 な 供 給 を 確 保 する 取 は 一 で 行 われて いる 魚 類 哺 乳 類 鳥 類 両 生 類 薬 用 植 物 生 を 支 える 生 物 資 源 の 多 くが 減 少 し 世 界 の が 特 にを 受 けているため 地 球 規 模 では 成 されていない 一 地 域 で 行 われている 保 護 の 取 にもかかわらず 伝 統 的 知 識 や 利 の 長 期 的 な 減 少 が 続 いているため 地 球 規 模 では 成 されていない 地 球 規 模 では 成 されていないが 共 同 管 理 システムや 地 域 社 会 にした 保 護 地 域 の 設 立 が 増 加 しており 先 住 民 や 地 域 社 会 の 利 保 護 増 につながっている 地 球 規 模 では 成 されていないが 条 約 に 基 づく 資 源 移 の 約 数 が 増 加 している 地 球 規 模 では 成 されていない 伝 資 源 の 業 的 利 用 その 他 の 利 用 から 生 じる 利 益 が 資 源 提 供 国 に 分 されたは 少 ない の 一 つとして 生 物 多 様 性 条 約 のなかで 年 目 が 採 された 22 年 から 制 度 の 最 合 意 の 期 として 設 定 された 年 までの 期 間 は 伝 資 源 のアクセスと 利 益 分 (ABS)に 関 する 制 度 がちうど 過 にあったことが 挙 げられる 地 球 規 模 では 成 されていない 資 金 は 然 不 しているが 生 物 多 様 性 に 関 する 発 (A)は 増 加 している 地 球 規 模 では 成 されていない 国 別 によると 一 の 上 国 では 移 のみ やプログラムが 整 されている しかし 多 くの 上 国 で を 得 る 機 会 がられているこ とが 条 約 の 実 と 年 目 の 成 をげる 要 の 一 つであることも 明 らかになって いる 地 球 規 模 で 成 されなかった 地 球 規 模 で 成 されなかったが 一 定 の 前 があった 地 球 規 模 で 成 されなかったが 大 きな 前 があった 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 19

BOX 2 生 物 多 様 性 に 関 する 国 の 取 組 17 カ 国 以 上 ( 本 条 約 締 約 国 の 87%)が 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 行 動 計 画 (NBSAP)を 策 定 している このほか 本 書 が 印 刷 される 時 点 で NBSAP の 準 備 を 進 めている 締 約 国 は 14 カ 国 戦 略 の 策 定 を 始 めていない またはそうする 意 思 を 表 明 していない 締 約 国 は 9 カ 国 あった つまり 大 多 数 の 国 々の 政 府 が その 国 内 で 生 物 多 様 性 保 全 の 取 組 を 明 文 化 するプロセスを 経 ている ということだ 多 くの 国 々では 戦 略 を 策 定 する 作 業 がきっかけとなって 追 加 的 な 法 律 や 作 業 計 画 が 整 備 され 多 岐 にわたる 問 題 への 取 組 が 促 されている こうした 取 組 の 例 として 侵 略 的 外 来 種 の 撲 滅 または 制 御 生 物 多 様 性 の 持 続 可 能 な 利 用 伝 統 的 な 知 識 や 規 範 を 保 護 し 新 たな 薬 品 食 品 化 粧 品 の 特 許 及 び 販 売 につながる 可 能 性 のある 生 物 資 源 調 査 で 得 た 利 益 を 地 域 社 会 にも 確 実 に 配 分 すること バイオテクノロジーの 安 全 な 利 用 農 業 に 利 用 される 動 植 物 の 多 様 性 の 維 持 などが 挙 げられる 生 物 多 様 性 年 目 標 を 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 行 動 計 画 (NBSAP)へ 完 全 に 組 み 入 れている 締 約 国 は 比 較 的 少 ない また より 上 位 の 国 家 戦 略 政 策 計 画 プロセスに 生 物 多 様 性 を 盛 り 込 む 効 果 的 な 手 段 として NBSAP を 利 用 している 国 も 数 少 ない 締 約 国 の 8% 超 が 生 物 多 様 性 条 約 への 最 新 の 国 別 報 告 書 で 本 条 約 の 最 終 目 標 を 達 成 する 上 での 課 題 は 生 物 多 様 性 の 主 流 化 がまだ 限 定 的 であること 意 思 決 定 の 分 断 化 と 政 府 の 省 庁 間 やセクター 間 の 意 思 疎 通 が 限 定 的 である と 認 めている しかし 最 近 になって 策 定 更 新 された NBSAP は 第 一 世 代 のものに 比 べると 概 して 戦 略 性 を 増 しており 生 物 多 様 性 の 主 流 化 が 以 前 よりも 重 視 さ れているほか より 広 範 な 国 の 開 発 目 標 についての 認 識 も 高 まっている NBSAP は 各 国 で 以 下 をはじめとした 数 多 くの 戦 略 的 行 動 を 促 すものであるべきだ 主 流 化 さまざまなセクター 省 庁 経 済 活 動 において 下 される 決 定 や 土 地 や 水 海 域 の 利 用 を 計 画 するために 用 いられる( 空 間 計 画 )システム 貧 困 の 軽 減 や 気 候 変 動 への 適 応 に 向 けた 政 策 の 中 で 主 流 化 が 重 要 な 要 素 となった 場 合 に 生 物 多 様 性 が 最 もよく 保 全 される 情 報 交 換 と 関 与 保 護 の 対 象 となる 資 源 に 最 も 近 いところにいる 人 々を 本 当 の 意 味 で 巻 き 込 まない 限 り 戦 略 の 効 果 を 望 むことはできない 最 善 の 解 決 策 は 地 元 の 要 請 に 基 づいた 上 で より 高 いレベルの 法 的 制 度 的 な 枠 組 みを 利 用 したものであることが 多 い 実 施 のための 手 段 生 態 系 全 般 の 健 全 性 の 維 持 改 善 を 主 眼 とした 総 合 的 な 決 定 や これまで 無 料 だった 生 態 系 サービスの 利 用 料 の 支 払 いに 関 す る 政 策 の 導 入 など 特 定 のアプローチが 生 物 多 様 性 の 保 護 に 役 立 つ 可 能 性 がある 知 識 すぐれた 決 定 を 下 すには その 国 や 地 域 の 生 物 多 様 性 に 関 して 入 手 できる 最 善 の 情 報 が 適 切 な 人 々に 適 切 なタイミングで 与 えられなければ ならない 関 連 する 最 新 の 知 識 を 蓄 積 調 整 し 提 供 するシステムであるクリアリングハウス メカニズムは 生 物 多 様 性 条 約 の 枠 組 みによってもたら された 重 要 なツールである モニタリング 生 物 多 様 性 戦 略 によって 設 定 された 目 的 や 目 標 への 進 捗 状 況 を 評 価 し 伝 達 することは その 効 果 と 認 知 度 を 高 める 重 要 な 方 法 である 資 金 調 達 と 能 力 開 発 生 物 多 様 性 を 支 えるための 連 携 活 動 は これを 実 現 する 資 金 と 実 現 の 方 法 を 知 っている 人 が 存 在 しない 限 り 無 意 味 なものと なってしまう ( 国 数 ) ( 国 数 ) 195 1 16 14 12 1 195 1 16 14 12 1 図 1 生 物 多 様 性 条 約 の 締 約 国 生 物 多 様 性 条 約 の 締 約 国 数 は 時 とともに 増 え 現 在 では 世 界 のほぼすべての 国 々が 加 盟 してい る 条 約 締 約 国 193カ 国 のうち 17カ 国 が 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 行 動 計 画 (NBSAP)を 策 定 し うち35カ 国 以 上 がその 改 訂 を 行 っている 出 典 : 生 物 多 様 性 条 約 事 務 局 6 6 4 4 2 2 1992 1993 1994 1995 1996 1997 199 1999 21 22 23 24 25 26 27 2 29 1992 1993 1994 1995 1996 1997 199 1999 21 22 23 24 25 26 27 2 国 NBSAP 締 約 国 NBSAP 改 訂 国 NBSAP 締 約 国 NBSAP 改 訂 2 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

地 球 規 模 で 生 物 多 様 性 の 現 状 や 傾 向 をとらえる 単 一 の 尺 度 は 存 在 しない そこで 生 物 多 様 性 条 約 のた めに 各 種 の 指 標 が 開 発 された 生 物 多 様 性 のさまざ まな 構 成 要 素 ( 遺 伝 子 個 体 群 種 生 態 系 )の 状 態 の 傾 向 これにかかっている 圧 力 生 物 多 様 性 の 損 失 に 取 り 組 むためにとられている 対 応 について 科 学 的 に 厳 密 な 評 価 を 行 うことが 目 的 だ 15 項 目 あるヘッドライン 指 標 のうち1 項 目 で 生 物 多 様 性 にとって 好 ましくない 傾 向 が 明 らかになっている ( 表 2) ただし 一 部 の 指 標 については データが 量 対 象 範 囲 ともに 十 分 でなく 確 実 な 記 述 を 行 うこと ができない 従 って 本 書 の 生 物 多 様 性 の 現 状 と 傾 向 の 評 価 は 科 学 論 文 や 最 近 の 評 価 本 条 約 締 約 国 の 国 別 報 告 書 など 複 数 の 証 拠 に 基 づいている 生 物 多 様 性 条 約 に 提 出 された 最 新 の 報 告 書 の 中 で 生 物 多 様 性 年 目 標 が 国 家 レベルで 完 全 に 達 成 さ れたと 述 べた 国 は 一 つもない およそ5 分 の1の 国 々 が 目 標 を 達 成 できなかったことを 明 言 している 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 が 顕 著 に 減 少 したことを 示 す 証 拠 はないが 手 を 加 えたおかげで 手 を 加 えな かった 場 合 に 予 測 されるより 生 物 多 様 性 の 低 下 が 抑 制 され 目 に 見 えて 好 転 したケースもある 例 えば もし 保 全 の 取 組 が 行 われていなかったら 全 鳥 類 お よそ9,8 種 のうち31 種 がすでに 絶 滅 していただ ろうと 推 定 されている 年 目 標 を 達 成 できないことで 人 間 社 会 に 深 刻 な 影 響 がもたらされる 生 物 多 様 性 は 経 済 食 料 生 産 システム 安 全 な 生 活 条 件 を 支 える 多 種 多 様 なサービスの 基 盤 となっている(BOX 3) また ( 遺 伝 子 種 生 態 系 の 各 レベルでの) 生 物 多 様 性 の 損 失 は 人 々の 健 康 にもさまざまな 面 で 悪 影 響 を 及 ぼす GBO3では 継 続 する 生 物 多 様 性 の 損 失 の 影 響 関 連 コストやこれを 避 ける 手 段 についての 予 測 を 概 説 する 初 めに 生 物 多 様 性 の 現 状 と 傾 向 生 物 多 様 性 に 対 する 圧 力 その 損 失 への 対 策 について 詳 し く 述 べる 沿 岸 の 生 態 系 は さまざま な 種 を 支 えるだけでなく 波 や 嵐 の 直 撃 を 防 ぐなど 人 間 社 会 を 守 るのに 欠 かせ ない 防 壁 の 役 割 を 果 たして いる 場 合 も 多 い 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 21

表 2 生 物 多 様 性 年 目 標 の 達 成 状 況 を 測 る 指 標 によって 示 された 推 移 生 息 地 のは 世 界 のほとんどの 地 域 で 減 少 しているが 森 林 は 一 地 域 で 増 加 し マングロ ーブ 林 については アアを 除 き 減 少 速 度 がに 低 下 している 個 体 数 と 分 がられているほとんどの 種 はさらに 減 少 しているが 一 の 種 侵 略 種 は 増 加 している (ただしられた 分 類 群 を 評 価 ) いくつかの 種 のプログラムがめざましい 成 果 をめているものの 多 くの 絶 滅 危 種 で 絶 滅 リ スクが 増 大 している ( 評 価 となった 種 について) 栽 培 種 の 伝 的 多 様 性 が 低 下 している 可 能 性 が 高 いが こうした 低 下 の 度 その 全 体 的 な はよくわかっていない (ただし 確 実 性 の 高 いことを 示 す 事 も 多 い) 生 息 地 のは 世 界 のほとんどの 地 域 で 減 少 しているが 森 林 は 一 地 域 で 増 加 し マングロ ーブ 林 については アアを 除 き 減 少 速 度 がに 低 下 している 保 護 地 域 の 指 定 は 過 去 1 年 で 上 と 海 洋 の 方 でしく 増 加 している しかし 多 くのリ ーン 特 に 海 洋 生 態 系 の 保 護 は 然 不 十 分 であり また 保 護 地 域 の 管 理 の 性 にもばらつきが 個 体 数 と 分 がられているほとんどの ある 種 はさらに 減 少 しているが 一 の 種 侵 略 種 は 増 加 している (ただしられた 分 類 群 を 評 価 ) いくつかの 種 のプログラムがめざましい 成 果 をめているものの 多 くの 絶 滅 危 種 で 絶 滅 リ スクが 増 大 している いにもかかわらず 海 洋 物 指 数 ( 平 均 栄 養 )は 年 以 降 地 球 規 模 ではやかに ( 評 価 となった 種 について) 増 加 している しかし 地 域 によって 大 きながあり データのある 海 域 の 分 では 減 少 が 録 されて 栽 培 種 の 伝 的 多 いる 様 性 が 地 低 下 球 している 規 模 での 可 能 性 増 が 加 高 は を いが こうした 示 低 している 下 の 度 その 可 能 性 全 もあるが 体 的 な 漁 が 動 を 広 げたことによっ はよくわかっていない て 大 の 大 魚 が 獲 されずにっている 海 洋 資 源 にしているだけ という 可 能 性 の 方 が (ただし 確 実 性 の 高 い いことを 示 す 事 も 多 い) とりわけ 気 候 変 動 の 応 に 関 して (リドー)や 続 性 の 価 値 の 識 が 高 まっているにもか かわらず ほとんどの 地 表 域 の 水 域 応 生 性 態 系 でますます 素 の 生 成 分 速 度 化 が が 行 人 している 間 動 によってになっている 栄 養 素 汚 染 による 生 物 多 様 性 のは 然 として 増 加 しているが 栄 養 素 の 利 用 を 上 げて 水 中 や 大 気 中 の 出 を 減 らす 措 置 の 中 には ましい 果 が 現 れつつあるものもある 世 界 のほとんどの 場 で 水 質 が 化 している 可 能 性 が 高 いが 一 地 域 では 源 汚 染 の 管 理 により 水 質 が 改 している 全 大 のあらる 種 類 の 生 態 系 において 外 来 種 の 数 が 増 加 し 大 の 速 度 も 増 している (ただし 確 実 性 の 高 いことを 示 す 事 も 多 い) 地 表 の 応 性 素 の 生 成 速 度 が 人 間 動 によってになっている 栄 養 素 汚 染 による 生 物 多 様 性 のは 然 として 増 加 しているが 栄 養 素 の 利 用 を 上 げて 水 中 や 大 気 中 の 出 を 減 らす 措 置 の 中 には ましい 果 が 現 れつつあるものもある 持 続 可 能 な 管 理 下 にある 土 地 のを 増 やすことを 目 的 として 多 くの 取 が 行 われている 持 続 可 全 大 のあらる 能 種 類 な の 森 生 林 態 系 管 において 理 の 各 外 地 来 域 種 レベルでのプロセスが これに の 数 が 増 加 し 大 の 速 度 も 増 している 与 するものと 期 される 理 的 かつ (ただし 確 実 的 性 なの の 高 いことを 需 示 要 す が 事 も 増 し 伝 多 統 い) 的 な 農 業 行 の 持 と 性 化 につながっている しかし これもまだ 比 較 的 さな 間 市 場 でしかなく 持 続 可 能 な 管 理 下 にある 土 地 のをに 増 加 させるには 多 大 なが 必 要 とされる 持 続 可 能 な 管 理 下 人 にある 類 のロカル フットプリントは 土 地 のを 増 やすことを 目 的 として 多 くの 増 大 取 している が 行 われている 資 源 の 持 続 可 上 のためのは 人 の 増 加 と 能 な 森 林 管 理 の 各 の 地 域 レベルでのプロセスが これに 増 加 にう 大 によりちされている 与 するものと 期 される 理 的 かつ 的 なの 需 要 が 増 し 伝 統 的 な 農 業 行 の 持 と 性 化 につながっている しかし これもまだ 比 較 的 さな 間 市 場 でしかなく 持 続 可 能 な 管 理 下 にある 土 地 のをに 増 加 させるには 多 大 なが 必 要 とされる 人 類 のロカル フットプリントは 増 大 している 資 源 の 上 のためのは 人 の 増 加 と の 増 加 にう 大 によりちされている 多 くの 少 数 民 のが 滅 の 危 機 にあるとえられ の 多 様 性 が 減 少 している 可 能 性 が 極 め て 高 い (ただし 確 実 性 の 高 いことを 示 す 事 も 多 い) 多 くの 少 数 民 のが 滅 の 危 機 にあるとえられ の 多 様 性 が 減 少 している 可 能 性 が 極 め て 高 い (ただし 確 実 性 の 高 いことを 示 す 事 も 多 い) 追 加 的 な 指 の 必 要 性 えられるについて ABSに 関 するアドック 公 作 業 会 にお いて 中 である 保 護 地 域 の 指 定 は 過 去 1 年 で 上 と 海 洋 の 方 でしく 増 加 している しかし 多 くのリ ーン 特 に 海 洋 とりわけ 生 態 系 の 保 気 護 候 は 変 然 動 不 の 十 分 であり また 応 に 関 保 して (リドー)や 護 地 域 の 管 理 の 性 にもばらつきが 続 性 の 価 値 の 識 が 高 まっているにもか ある かわらず ほとんどの 域 水 域 生 態 系 でますます 分 化 が 行 している 世 界 のほとんどの 場 で 水 質 が 化 している 可 能 性 が 高 いが 一 地 域 では 源 汚 染 の 管 理 により いにもかかわらず 海 洋 物 指 数 ( 平 均 栄 養 )は 年 以 降 地 球 規 模 ではやかに 水 質 が 改 している 増 加 している しかし 地 域 によって 大 きながあり データのある 海 域 の 分 では 減 少 が 録 されて いる 地 球 規 模 での 増 加 は を 示 している 可 能 性 もあるが 漁 が 動 を 広 げたことによっ て 大 の 大 魚 が 獲 されずにっている 海 洋 資 源 にしているだけ という 可 能 性 の 方 が 高 い 追 加 的 な 指 の 必 要 性 えられるについて ABSに 関 するアドック 公 作 業 会 にお いて 中 である 生 物 多 様 性 のためのAは 過 去 数 年 で 増 加 している 生 物 多 様 性 のためのAは 過 去 数 年 で 増 加 している 地 球 規 模 での 明 確 なはない と ましくない 変 化 ましい 変 化 地 球 規 模 での 明 確 なはない と なる 地 域 や 生 物 群 系 により ましい 変 化 ましくない 変 化 ましい 変 化 なる 地 域 や 生 物 群 系 により ましい 変 化 最 的 なを 出 す 十 分 な とましくない 変 化 とましくない 変 化 がられる がられる がない 最 的 なを 出 す 十 分 な がない 確 か さ: 低 い 低 い 中 度 中 度 高 い 高 い 22 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

BOX 3 なぜ 生 物 多 様 性 が 重 要 なのか 生 物 多 様 性 は 動 植 物 や 微 生 物 その 他 の 地 球 上 に 存 在 する 生 命 体 の 種 の 多 様 性 にとどまらない 種 内 の 遺 伝 的 多 様 性 や 異 なる 種 が 互 いに 影 響 し 合 うと ともに 物 理 的 な 環 境 とも 作 用 し 合 う 生 態 系 レベルでの 多 様 性 も 含 まれる この 多 様 性 は 人 類 にとって 極 めて 重 要 である なぜならこの 多 様 性 こそ 人 間 社 会 が 常 に 依 存 してきた その 重 要 性 は 往 々にしてひどく 過 小 評 価 された り 無 視 されたりしてきたにせよ さまざまな 生 態 系 サービスの 基 盤 となっているからだ 生 物 多 様 性 の 構 成 要 素 が 失 われると 生 態 系 の 回 復 力 は 弱 まり 提 供 するサービスが 危 機 にさらされる 均 質 で 変 化 に 乏 しいランドスケープ( 景 観 )や 水 環 境 は 疾 病 や 極 端 な 気 候 といった 突 発 的 な 外 部 の 圧 力 に 対 して 脆 弱 であることが 多 い 生 態 系 サービスは 4 つのカテゴリーに 分 けられる 供 給 サービス 人 間 に 直 接 の 利 益 をもたらす 財 の 供 給 で 明 確 な 金 銭 的 価 値 があることが 多 い 森 林 から 得 られる 木 材 薬 用 植 物 海 や 河 川 湖 沼 の 魚 類 など 調 整 サービス 生 態 系 は 従 来 の 市 場 では 金 銭 的 な 価 値 を 与 えられることがほとんどないが 種 々の 重 要 な 機 能 を 果 たしている 炭 素 貯 蔵 や 局 地 的 な 降 雨 の 制 御 による 気 候 の 調 整 空 気 や 水 のろ 過 による 汚 染 物 質 の 除 去 地 滑 りや 沿 岸 域 の 暴 風 といった 自 然 災 害 からの 保 護 など 文 化 的 サービス 直 接 的 物 質 的 な 利 益 をもたらしはしな いものの 社 会 の 幅 広 いニーズや 欲 求 に 応 えるので 人 々 が 保 全 の 代 価 を 払 おうとする 意 欲 をもたらす 神 聖 な 森 な ど 特 定 の 生 態 系 に 与 えられた 精 神 的 な 価 値 や 観 光 客 をひ きつける 景 観 や 海 岸 線 の 美 しさなど 基 盤 サービス 人 間 に 直 接 利 益 をもたらすわけではない が 生 態 系 の 機 能 に 必 要 不 可 欠 であり 他 のサービスすべ てを 間 接 的 に 支 えている 土 壌 の 形 成 や 植 物 の 成 長 プロ セスなど 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 23

種の個体数と絶滅リスク 野 生 の 脊 椎 動 物 の 個 体 数 は 年 か ら 26年の間に 地球規模では平均で約3分の1 野生種の個体数では 以下の傾向が観測されてい る 31 が失われた 特に 熱帯地域 59 種 の 分 布と個 体 数 の 変 化 は 人 間 社 会に深 刻な 影 響を及ぼ す可 能性がある と淡水生態系 41 に深刻な減少がみられる 欧州における農地の鳥類の個体数は 198年以 降 平均で5 減少している 生きている地球指数 The Living Planet Index LPI によると 種ごとの平均個体数の推移は 北米の草原における鳥類の個体数は 過去5年間 温帯地域と熱帯地域とでは大きく異なり 生物種に に若干の回復を見せたものの 1968 23年 温帯性の よってもかなりばらつきがある 図2 の間に 4 近く減少した 北米の乾燥地にお 種の個体数は実のところ 年以降 概して増 いては 196年代後半以降3 近く減少している 加しており 同時期に地球規模の減少が続いている のは 熱帯地域での急激な減少に起因している た だ これは必ずしも 熱帯地域の生物多様性の状況 傾 向 が 判 明 し た1,2の 水 鳥 の 個 体 群 の う ち 44 が減少している が温帯地域よりも悪い という意味ではない 指数 を数十年ではなく数世紀単位で考えれば 温帯性の 種の個体数は 熱帯地域と同程度かそれ以上に減少 両 生類全種のうち42 と鳥類全種のうち4 で 個体数が減少している しているかもしれない さらに言えば 温帯地域に おける野生動物の個体数の増加は かつての耕作地 や牧草地を広範に植林したことと関連している可能 Living Planet Index 性があり 必ずしも種の多様性の豊かさを反映して Freshwater 2. いるとは言えない しかしながら 現在 地球全体 Marine の種の個体数が減少している速度をみると 熱帯地 生きている地球指数 Liv 2. 2. 1.5 1.5 域の生態系における生物多様性の損失が深刻かつ進 行中であることがわかる 1.5 Marine temperate er temperate 温帯地域 図2 生きている地球指数 グラフの中央のラインが示している地球規模の 生きている地球指数 LPI は 1. 年以降 3 以上減少しており 同時期に脊椎動物の個体数が平均で 3 分の 1 近くが減少 Marine したことを示している 熱帯地域の LPI 下のライン は より明確な減少 約 6 eshwaterを示している 温帯地域の LPI は 15 の増加を示し 一部の温帯性の種の個体数が 過 去の大幅な減少を経て 回復したことを反映している 1. 1. 出典 世界自然保護基金 WWF ロンドン動物学会.5 地球規模 Marine tropical.5.5 熱帯地域 ater tropical LPIは 全世界の2,3種を超える哺乳類 鳥類 爬虫類 両生類 魚類の7,1以上の個体群 をモニタリングしている その個体数の変化は 年と比較して 年を1.として 時 系列で図示される LPIの値が安定している場合 種ごとの平均個体数は全般的に変化がないこ. とを示しており これは生物多様性の損失に歯止めがかかっていることを示す必要条件であるが 198 199 十分条件ではない 24 地球規模生物多様性概況第3版. 198 199. 19

地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 25

将 来 を 描 いたシナ リオ は そ の ほと んどが 今 世 紀 を 通 して 大 規 模 な 絶 滅 と 生 息 生 育 地 の 損 失 が 続 くと 予 測 している 今 回 傾 向 が 明 らかになった 種 では どのグ ループの 種 も 概 して 絶 滅 にさらに 近 づいてい る 最 大 の 危 険 に 直 面 しているのは 両 生 類 であ り 最 も 急 速 に 状 況 が 悪 化 しているのは 暖 水 域 の 造 礁 サンゴである 現 在 脊 椎 動 物 無 脊 椎 動 物 植 物 群 のうち 12 55%の 種 が 絶 滅 の 危 機 に 瀕 している 食 料 及 び 医 薬 品 に 用 い られる 鳥 類 と 哺 乳 類 の 種 は こうした 目 的 で 利 用 されない 種 よりも 概 して 大 きな 絶 滅 リスク に 直 面 している 暫 定 版 の 評 価 でも 植 物 種 の 23%が 危 機 に 瀕 しているということが 示 され ている 保 全 措 置 によって 絶 滅 リスクが 減 少 している 種 も あるが 絶 滅 に 近 づいている 種 の 数 の 方 が 多 い 種 の 平 均 的 な 絶 滅 リスクを 時 系 列 で 追 跡 する レッド リスト 指 数 (RLI) によると 絶 滅 リスクについて の 十 分 な 評 価 が 行 われたすべてのグループで ます ます 絶 滅 のおそれが 高 まっていることが 明 らかに なった(Box4 図 3 4 5) 近 年 絶 滅 リスクが 最 も 深 刻 に 増 大 していると 観 測 されているのは サンゴ 類 である おそらく 主 な 原 因 は 海 水 温 度 が 異 常 な 上 昇 をみせた1998 年 に 熱 帯 域 のサンゴ 礁 が 広 範 にわたって 白 化 したことだ ろう 両 生 類 は 生 息 地 の 改 変 や 気 候 変 動 真 菌 性 疾 患 のツボカビ 病 などの 相 互 作 用 によって 概 して 最 も 絶 滅 リスクの 高 いグループである 種 の 絶 滅 リスクに 関 する 地 域 的 な 傾 向 として 以 下 のものが 挙 げられる 鳥 類 の 絶 滅 リスクは 東 南 アジア 太 平 洋 諸 島 極 地 沿 岸 海 洋 生 態 系 においてとりわけ 急 速 に 高 まっている 哺 乳 類 の 絶 滅 リスクもまた 狩 猟 の 影 響 と 生 息 地 の 減 少 の 二 重 の 圧 力 によって 南 アジアと 東 南 アジアで 最 も 急 速 に 高 まっている 生 態 系 の 種 類 別 に 見 ると リスクが 最 も 増 加 しているの は 海 洋 哺 乳 類 だが 最 も 絶 滅 の 危 機 にあるのは 依 然 として 淡 水 哺 乳 類 である 両 生 類 は 中 南 米 とカリブ 海 において 状 況 が 最 も 急 速 に 悪 化 しており 絶 対 的 な 絶 滅 リスク が 最 も 高 い ケニア リフトバレー 州 のナイバシャ 湖 に 集 うフラミンゴ ラムサール 条 約 ( 特 に 水 鳥 の 生 息 地 として 国 際 的 に 重 要 な 湿 地 に 関 する 条 約 )の 登 録 湿 地 であるこの 淡 水 生 息 地 には 3 種 以 上 の 鳥 類 が 生 息 し フラミ ンゴもその 一 つである ナイバシャ 湖 が 受 けている 脅 威 の 一 つに 近 隣 の 生 花 農 園 が 多 少 関 係 する 過 剰 な 取 水 が 挙 げられる それに 加 え て 湖 は 栄 養 塩 や 農 薬 による 汚 染 侵 略 的 外 来 種 の 移 入 漁 業 資 源 の 乱 獲 に 脅 かされている 26 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

BOX4 絶 滅 リスクの 評 価 方 法 国 際 自 然 保 護 連 合 (IUCN)の レッドリスト の 各 カテゴリーは 現 在 の 状 況 が 継 続 した 場 合 に 種 が 絶 滅 に 至 る 可 能 性 を 示 している 種 の 絶 滅 リスク のランクは 世 界 中 の 何 千 人 もの 種 の 研 究 者 からの 情 報 に 基 づいている 評 価 は 種 を8つのカテゴリー 絶 滅 野 生 絶 滅 絶 滅 危 惧 ⅠA 類 絶 滅 危 惧 ⅠB 類 絶 滅 危 惧 Ⅱ 類 準 絶 滅 危 惧 軽 度 懸 念 情 報 不 足 のいずれか に 分 類 する 厳 密 なシステムに 従 って 行 われる 絶 滅 危 惧 ⅠA 類 絶 滅 危 惧 ⅠB 類 絶 滅 危 惧 Ⅱ 類 に 分 類 される 種 が 絶 滅 危 惧 種 とみなされる 種 を 絶 滅 リスクの 各 カテゴリーに 分 類 する 際 には 個 体 群 の 規 模 と 構 造 個 体 数 の 減 少 速 度 分 布 域 の 規 模 と 構 造 個 体 群 の 生 存 能 力 のシミュレーション によって 判 断 される 絶 滅 リスクについて 定 量 的 な 閾 値 を 基 準 にして 判 断 される 29 年 の 時 点 で 47,677 の 種 について 評 価 が 行 われ そのうち 36%が 絶 滅 の 危 機 にあると 考 えられている また 集 中 的 な 評 価 が 行 われたグループ( 哺 乳 類 鳥 類 両 生 類 サンゴ 類 淡 水 性 のカニ 類 ソテツ 類 針 葉 樹 類 )に 属 する 25,485 の 種 のうち 21%が 絶 滅 の 危 機 にあると 考 えられている また 評 価 がなされた 12,55 の 植 物 種 のうち 7%が 絶 滅 の 危 機 に 瀕 している ただし このサンプルには 平 均 的 な 絶 滅 リスクが 高 い 植 物 種 が 多 く 含 まれて いる 6,54,91 9,75 75 3,325 4,91 3,931 19,32 不 軽 度 懸 念 9,75 19,32 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B 類 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 野 生 絶 滅 6,54 6,54 75 不 軽 度 懸 念 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B 類 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 絶 滅 危 野 種 生 絶 滅 75 3,325 3,325 4,91 3,931 3,931 9,75 絶 滅 危 種 4,91 Numer o pee 5 9,75 4 3 2 不 軽 度 懸 念 IUCN レッドリスト で 評 価 されたすべての Numer o pe 種 について 絶 滅 リスクのカテゴリー 別 の 5 割 合 (47,677の 種 のデータに 基 づく) 出 典 :IUCN Numer o pee 5 aa deen 4 3 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B Lea 類 onern 絶 滅 危 種 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 野 生 絶 滅 2 図 3 レッドリストの 各 カテゴリー に 分 類 された 種 の 割 合 Near hreaened 不 軽 度 懸 念 aa deen 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B 類 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 野 生 絶 滅 Lea onern Near hreaened ulnerale 4 絶 滅 危 種 3 2 1 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 27 ulnerale 1 hreaened

図 4 包 括 的 な 評 価 が 行 われた 分 類 群 に 属 する 種 の 絶 滅 の 危 険 性 包 括 的 な 評 価 が 行 われた 分 類 群 に 属 する 種 に ついて 絶 滅 リスクの 各 カテゴリーに 分 類 さ れた 数 と 割 合 ただし トンボ 類 と 爬 虫 類 に 関 しては 無 作 為 に 抽 出 された 各 1,5 種 の サンプルから 推 定 された 数 と 割 合 サンゴ 類 については 暖 水 域 の 造 礁 サンゴ 類 のみが 評 価 されている 出 典 :IUCN 鳥 類 種 数 1 9 種 数 両 生 類 2 不 軽 度 懸 念 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B 類 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 野 生 絶 滅 絶 滅 危 種 哺 乳 類 両 生 類 7 6 5 哺 乳 類 鳥 類 1 5 1 4 3 5 2 トンボ 類 淡 水 性 のカニ 類 淡 水 魚 類 サンゴ 類 爬 虫 類 1 テ 類 淡 水 魚 類 淡 水 性 の カニ 類 爬 虫 類 サンゴ 類 類 類 トンボ 類 テ 類 28 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

図 5 レッドリスト 指 数 1..95.9.5 不 軽 度 懸 念 絶 滅 危 絶 滅 危 類 絶 滅 危 B 類 絶 滅 危 A 類 絶 滅 または 野 生 絶 滅 絶 滅 危 種 追 加 的 な 保 全 措 置 を 講 じないという 前 提 で 近 い 将 来 に 存 続 し 続 けると 予 想 される 暖 水 域 のサンゴ 類 鳥 類 哺 乳 類 両 生 類 の 割 合 は その 時 間 の 経 過 とともに 減 少 している これらの 種 群 のレッドリスト 指 数 (RLI)は すべて 低 下 している 絶 滅 リスクが 最 も 急 速 に 高 まっているのはサンゴ 類 だが 概 して 最 も 絶 滅 の 危 機 に 瀕 しているのは 両 生 類 である レッドリスト 指 数 の 値 が1.である 場 合 あるグループのすべ ての 種 が 軽 度 懸 念 つまり 近 い 将 来 に 絶 滅 に 至 るとは 予 想 されていないことを 表 しており 値 がであれば グループ のすべての 種 がすでに 絶 滅 したことを 表 している 長 期 間 にわ たって 指 数 が 一 定 の 数 値 を 示 している 場 合 は 種 の 絶 滅 リスク が 一 定 レベルに 保 たれていることを 表 し 生 物 多 様 性 の 損 失 速 度 が 減 少 しているなら この 図 の 線 が 右 上 がりになる 出 典 :IUCN..75.7 19 195 199 1995 25 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 29

食料及び医薬品に用いられる鳥類及び哺乳類種 世界的に見ると 途上国の約8 の人が伝統薬 は 過剰利用や生息地の減少 その他の要因の相互 に依存しており その大半が植物由来である 植物 作用によって 大体において 生物種全般に比べて に関する地球規模のデータは入手できないが 医療 大きな絶滅リスクに直面している また 食料及び 目的の利用や野生種の採取による収入源として 薬 医薬品に用いられる鳥類 哺乳類 両生類は そう 用植物に最も依存している地域 アフリカ アジア でない種より急速に絶滅の危険性の高いカテゴリー 太平洋沿岸 及び南米 において 薬用植物は高い へ移行しつつある このことは 生物多様性の損失 絶滅リスクに直面している 図6 によって 野生種の安定供給に直接的に依存してい る何百万もの人々の健康と福利 人類の豊かな暮ら し にもたらされる脅威を浮き彫りにしている 例 えば 世界保健機関 WHO の推定によると ガー ナ マリ ナイジェリア ザンビアでは 発熱した 子どもの6 が 自宅で薬草療法を受けている また ネパールの一部では 45の植物種が 地元 で医薬用に広く利用されている % 1 8 図6 地理区分別に見る薬用植物種の 保全状況 6 絶滅リスクが最も高い地域は 薬用植物が最も広く利用さ れている アフリカ 南米 太平洋沿岸である 出典 IUCN 4 2 オーストラレーシア 欧州 絶滅 アジア 絶滅危惧種 3 地球規模生物多様性概況第3版 北米 太平洋沿岸 南米 アフリカ 絶滅危惧でない 情報不足

ヒマラヤ 地 域 では 山 岳 地 域 のすべての 地 域 社 会 で 伝 統 的 に 薬 草 療 法 が 行 われてき た そこには 多 様 な 先 住 民 の 知 識 や 文 化 的 信 条 が 存 在 し 社 会 の 発 展 の 重 要 な 基 盤 となっている 中 国 雲 南 省 香 格 里 拉 (シャングリラ 旧 中 甸 ) での ヒマラヤハッカクレン(Podophyllum hexandrum)の 栽 培 この 植 物 には 抗 ガ ン 作 用 を 持 つ 成 分 が 含 まれることが 科 学 的 に 証 明 されたため 需 要 が 高 まり 野 生 生 育 地 で 大 規 模 な 採 取 が 行 われた 少 数 の 村 民 が 栽 培 に 乗 り 出 したものの 実 際 には 経 済 的 利 益 はわずかであることが 判 明 した 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 31

陸 域 生 態 系 生 態 系 の 損 失 に よって 人 々や 社 会 が 直 面 する 最 も 深 刻 な 影 響 を 回 避 するためには 危 機 的 な 地 域 種 生 態 系 サービ スを 重 視 する 目 標 を 明 確 に 掲 げ た 政 策 が 不 可 欠 となる 熱 帯 林 は 引 き 続 き 急 速 に 失 われているが 最 近 森 林 減 少 が 改 善 されている 国 もある 過 去 1 年 間 主 として 温 帯 地 域 での 森 林 拡 張 により 森 林 の 純 減 は 大 幅 に 鈍 化 している 陸 域 の 生 息 生 育 地 に 関 する 最 新 の 情 報 は 現 在 地 球 の 陸 地 面 積 のほぼ31%を 占 める 森 林 に 関 する ものだ 推 定 によれば 陸 域 の 動 植 物 種 の 過 半 数 が 森 林 に 生 息 しており その 大 半 は 熱 帯 林 に 生 息 して いるという また 森 林 は 陸 域 における 純 一 次 生 産 太 陽 エネルギーを 植 物 体 内 の 物 質 へと 変 換 の3 分 の2 以 上 を 担 っていると 推 定 されている 森 林 減 少 は 依 然 として 驚 異 的 な 速 さで 進 行 してい るものの 主 に 農 地 への 転 換 による 森 林 伐 採 が 減 少 の 兆 しを 見 せている 熱 帯 地 域 の 国 々もある (Box5 図 7) 199 年 代 には 年 間 16,km 2 近 くの 森 林 がほかの 用 途 に 転 換 されたり 自 然 要 因 に よって 失 われたりしたのに 比 べ 年 の 各 年 に 失 われた 森 林 は13,km 2 に 満 たなかっ た 森 林 の 純 減 は 199 年 代 の 年 間 約 83,km 2 から 年 には 年 間 5,km 2 強 と 大 幅 に 鈍 化 している これは 主 に 温 帯 地 域 におけ る 大 規 模 な 植 林 と 自 然 拡 張 によるものである ただ し 新 たに 植 林 された 森 林 は 生 物 多 様 性 価 値 の 低 い 場 合 が 多 く 単 一 の 樹 種 で 構 成 される 可 能 性 もあ るため 森 林 の 純 減 率 の 低 下 が 必 ずしも 世 界 の 森 林 の 生 物 多 様 性 損 失 率 の 低 下 を 示 しているわけでは ない 年 の 間 に 世 界 の 天 然 林 ( 実 質 的 に 人 の 手 が 入 っていないもの)は4,km 2 以 上 も 減 少 しており これはジンバブエの 国 土 より も 広 い 面 積 に 相 当 する 南 米 とアフリカの 森 林 は 年 の 間 も 引 き 続 き 過 去 最 大 の 純 減 を 示 した オセアニアも また 森 林 の 純 減 を 報 告 したが 北 米 中 米 ( 単 一 地 域 として 扱 われる)の 年 の 森 林 面 積 は 年 とほぼ 同 じであると 推 定 された 欧 州 の 森 林 面 積 は 199 年 代 に 比 べて 増 加 率 は 鈍 化 してい るものの 引 き 続 き 拡 張 した 199 年 代 に 純 減 を 示 していたアジアは 年 においては 主 として 中 国 が 実 施 した 大 規 模 な 拡 大 造 林 により 森 林 は 純 増 したが 南 アジア 東 南 アジアの 多 くの 国 々では 引 き 続 き 高 い 森 林 減 少 率 であった 針 葉 樹 が 茂 る 高 緯 度 の 北 方 林 は 近 年 概 して 規 模 が 安 定 している ただし 劣 化 の 兆 しを 見 せてい る 地 域 もある さらに 温 帯 林 北 方 林 ともに 冬 季 気 温 の 上 昇 も 一 因 となって 病 虫 害 の 発 生 に 対 し て 以 前 より 脆 弱 になっている 例 えば 199 年 代 後 半 以 降 樹 皮 下 キクイムシ 類 の 未 曾 有 の 大 発 生 に より カナダと 米 国 西 部 の11,km 2 を 超 える 森 林 が 甚 大 な 被 害 を 受 けた 32 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版

BOX 5 ブラジルのアマゾン 森 林 減 少 率 は 鈍 化 の 傾 向 最 新 の 衛 星 画 像 によると ブラジル 領 アマゾンにおける 年 間 の 森 林 減 少 率 が 著 しく 低 下 している 23 24 年 のピーク 時 には 年 間 の 減 少 面 積 は 27,km 2 を 超 えていたが 28 29 年 には 7,km 2 強 となり 74% 以 上 の 改 善 となっ ている しかしながら 同 じ 衛 星 画 像 では アマゾンの 森 林 の 劣 化 が ますます 広 範 に 及 び つつあることが 示 されている 28 29 年 の 森 林 減 少 率 が 1988 年 の 人 工 衛 星 によるモニタリング 開 始 以 来 最 低 値 を 示 したことについて 景 気 後 退 に 加 えて 政 府 や 民 間 セクター 市 民 社 会 団 体 による 森 林 伐 採 を 抑 制 する 取 組 が 影 響 した 可 能 性 があるものの 26 29 年 の 平 均 値 も その 前 の 1 年 間 の 平 均 値 を 4% 以 上 下 回 っており 森 林 減 少 の 傾 向 が 著 しく 鈍 化 していることが 明 らかになった とは いえ ブラジルのアマゾンにおける 累 積 の 森 林 減 少 率 は 相 当 大 きく 当 初 の 森 林 面 積 の 17% 以 上 に 達 している そして 現 在 政 府 が 掲 げている 年 間 の 森 林 減 少 率 を 22 年 までに(1996 25 年 の 平 均 値 から)8% 減 少 させるという 目 標 を 達 成 できたとしても 累 積 の 森 林 消 失 は 2% 近 くにまで 及 ぶだろう 世 界 銀 行 がまと めた 最 近 の 研 究 によると アマゾンの 森 林 減 少 率 が 2%に 及 んだ 状 態 で 気 候 変 動 や 森 林 火 災 といったほかの 圧 力 が 重 なると 225 年 までに 生 物 群 系 の 一 部 において 大 規 模 な 森 林 の 減 少 が 引 き 起 こされる 可 能 性 が 十 分 にあるという 図 7 ブラジルのアマゾンにおける 年 間 の 森 林 減 少 面 積 と 累 積 の 森 林 減 少 率 3 の 森 林 減 少 2 25 15 2 15 年 間 の 森 林 減 少 1 1 5 5 199 1995 25 215 22 濃 い 色 の 棒 グラフは 199 29 年 にブラジルのアマゾンで 1 年 間 に 伐 採 された 森 林 の 実 面 積 を 示 しており( 数 値 は 左 縦 軸 を 参 照 ) 人 工 衛 星 画 像 を ブラジル 国 立 宇 宙 研 究 所 (INPE)が 分 析 したものである 薄 い 色 の 棒 グラフが 示 しているのは 年 間 の 森 林 減 少 率 を 22 年 までに(1996 25 年 の 平 均 値 から)8% 減 少 させる というブラジル 政 府 の 目 標 を 達 成 するために 必 要 と 予 測 される 年 間 平 均 値 実 線 が 示 しているのは ブラジルのアマゾンの 当 初 の 推 定 規 模 (41 万 km 2 )に 対 する 森 林 減 少 率 ( 数 値 は 右 縦 軸 を 参 照 )の 累 計 出 典 :ブラジル 国 立 宇 宙 研 究 所 (INPE) 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版 33

十 分 なデータは 得 られていないが サバンナと 草 原 も 著 しく 衰 退 している 陸 域 の 森 林 以 外 の 生 息 生 育 地 の 規 模 について 十 分 なデータが 得 られていないが 北 米 では 草 原 の 95% 以 上 が 失 われたと 推 定 されている 地 域 固 有 の 植 物 種 が 非 常 に 豊 富 な ブラジル 中 央 部 の 低 木 サ バンナの 生 物 群 系 であるセラードは その 半 分 近 く が 耕 作 地 と 牧 草 地 に 姿 を 変 えた 22 28 年 の 間 に セラードは 毎 年 14,km 2 ( 当 初 の 規 模 の.7% 以 上 )が 失 われてきたと 推 定 される これ は アマゾンにおける 現 在 の 森 林 消 失 速 度 を 大 きく 上 回 っている アフリカ 南 部 のミオンボ 林 も 植 物 の 多 様 性 が 非 常 に 豊 かなサバンナ 地 域 で 継 続 的 な 森 林 減 少 を 経 験 している アンゴラからタンザニアにかけての 24 万 km 2 (アルジェリアの 面 積 に 相 当 する)に 広 がるミオンボ 林 は この 地 域 全 体 の 地 元 社 会 に 燃 料 や 建 材 大 量 の 天 然 の 食 料 や 薬 用 植 物 を 供 給 してい る この 一 帯 が 農 地 のための 開 墾 木 炭 づくりの ための 木 材 の 採 取 野 火 の 放 置 によって 危 機 に 瀕 している BOX 6 伝 統 的 な 管 理 によるランドスケープ( 景 観 )と 生 物 多 様 性 地 域 に 適 応 した 慣 行 によって 農 業 や 牧 畜 に 従 事 している 人 々が 維 持 する 農 地 のランドスケープは 農 作 物 や 家 畜 の 遺 伝 的 多 様 性 を 比 較 的 高 く 保 つだけでな く 固 有 の 野 生 種 の 生 物 多 様 性 をも 支 えている 可 能 性 がある こういったランドスケープは 世 界 中 に 見 られ 同 時 に 進 化 してきた 幅 広 い 伝 統 的 知 識 や 文 化 的 慣 行 を 用 いることによって 維 持 されており 世 界 的 に 重 要 な 農 業 の 生 物 多 様 性 を 有 するランドスケープとなっている このようなシステムの 例 として 以 下 のものが 挙 げられる 中 国 で 行 われている 稲 魚 農 業 は 少 なくと も2, 年 前 の 漢 時 代 から 行 われている このシステムでは 水 田 で 飼 われている 魚 が 肥 料 を 供 給 し 土 壌 を 柔 らかくし 幼 虫 や 雑 草 を 食 べる 一 方 で 稲 は 魚 のために 日 陰 をつくり 餌 を 供 給 する このシステムで 育 てられた 魚 と 米 は 高 品 質 であり 栄 養 価 の 高 さや 人 件 費 の 低 さ 化 学 肥 料 や 除 草 剤 殺 虫 剤 の 必 要 性 の 低 減 によって 農 家 に 直 接 的 な 利 益 をもたらしている ペルーのクスコとプーノの 峡 谷 では ケチュ ア 族 とアイマラ 族 の 人 々が 棚 田 という 方 法 を 採 用 している 棚 田 では トウモロコシ やジャガイモなど さまざまな 作 物 の 栽 培 ができるほか 標 高 2,8 4,5メート ルの 急 傾 斜 地 で 家 畜 の 放 牧 をすることもで きる このシステムは 何 世 代 にもわたっ て 続 けられてきた177 種 類 ものジャガイモ 栽 培 の 土 台 であり 土 壌 侵 食 の 抑 制 にも 役 立 っている 日 本 の 里 山 ランドスケープは 二 次 林 や 灌 漑 池 水 田 牧 草 地 草 原 など 複 数 の 種 類 の 生 態 系 からなる 小 さなモザイクであり 土 地 の 所 有 者 は 昔 から 植 物 や 魚 きのこ 類 落 ち 葉 木 材 といった 資 源 を 持 続 可 能 な やり 方 で 収 穫 してきた 里 山 ランドスケー プは 長 年 にわたる 人 々と 環 境 との 相 互 作 用 によって 進 化 してきた 定 期 的 な 森 林 の 間 伐 や 森 林 の 落 ち 葉 の 収 穫 といった 活 動 に よって このシステムは 少 数 の 生 物 種 が 優 占 することなく 多 様 な 種 が 生 息 できるよう になっている 34 地 球 規 模 生 物 多 様 性 概 況 第 3 版