ドがCO 2 等 排 出 国 の 上 位 を 占 めるようになり 地 球 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 めるうえで 全 ての 国 が 参 加 する 枠 組 みを 構 築 することの 重 要 性 が 強 まってきた そこで 2010 年 にメキシコのカンクンで 開 催 されたCOP16で



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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

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就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

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スライド 1

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期


代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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16 日本学生支援機構

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

しかし 主 に 欧 州 の 一 部 の 回 答 者 は 受 託 責 任 について 資 源 配 分 の 意 思 決 定 の 有 用 性 とは 独 立 の 財 務 報 告 の 目 的 とすべきであると 回 答 した 本 ED に 対 する ASBJ のコメント レターにおける 意 見 経 営 者 の 受

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公表表紙

全国都市再生モデル調査調書(様式1)

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

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m07 北見工業大学 様式①

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

公募

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

定款  変更

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

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続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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第4回税制調査会 総4-1

Transcription:

みずほインサイト 政 策 2015 年 12 月 18 日 COP21 がパリ 協 定 を 採 択 地 球 温 暖 化 抑 止 に 向 けた 今 後 の 課 題 政 策 調 査 部 主 任 研 究 員 堀 千 珠 03-3591-1304 chizu.hori@mizuho-ri.co.jp 2015 年 11 月 末 からフランスで 開 催 された 気 候 変 動 枠 組 条 約 第 21 回 締 約 国 会 議 (COP21)は 2020 年 以 降 の 地 球 温 暖 化 対 策 の 法 的 枠 組 みをまとめた パリ 協 定 を 採 択 して 終 了 した パリ 協 定 の 採 択 は 多 数 の 国 の 参 加 による 公 平 性 の 高 まりや 温 室 効 果 ガス 削 減 量 の 拡 大 が 見 込 まれ る 点 で 評 価 できる 今 後 は 各 国 の 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 める 仕 組 みづくりが 重 要 となろう COP21の 結 果 を 踏 まえた 日 本 の 課 題 は 長 期 エネルギー 需 給 見 通 しの 実 現 に 明 確 かつ 具 体 的 な 道 筋 をつけることや 環 境 技 術 を 活 かした 国 際 的 な 貢 献 を 強 化 することである 1.はじめに 温 暖 化 に 伴 う 異 常 気 象 や 水 害 発 生 などのリスクの 高 まりが 世 界 中 で 懸 念 されているなかで 地 球 温 暖 化 対 策 について 世 界 各 国 が 話 し 合 うことを 目 的 に 気 候 変 動 枠 組 条 約 第 21 回 締 約 国 会 議 (COP21)が 開 催 された 2015 年 11 月 30 日 から12 月 12 日 にわたりフランスのパリで 開 催 されたこの 会 議 は 2020 年 以 降 に 全 ての 締 約 国 が 二 酸 化 炭 素 などの 温 室 効 果 ガス( 以 下 CO 2 等 ) 削 減 に 取 り 組 むための 法 的 枠 組 みを 定 めたパリ 協 定 を 採 択 して 終 了 した 本 稿 では これまでの 地 球 温 暖 化 対 策 の 交 渉 経 緯 を 踏 まえ たうえで COP21の 結 果 やそれを 受 けた 今 後 の 日 本 の 課 題 について 論 じることとする 2.COP21 までの 経 緯 : 新 たな 地 球 温 暖 化 対 策 の 法 的 枠 組 みづくりに 向 けた 動 き まず COP21に 至 るまでの 地 球 温 暖 化 対 策 の 歴 史 を 振 り 返 っておこう COPとはConference of the Parties( 締 約 国 会 議 )の 略 称 で 1992 年 に 国 連 ( 国 際 連 合 )で 採 択 された 気 候 変 動 枠 組 条 約 を 締 約 し た 国 の 代 表 が 集 まって 開 催 される 年 に 一 度 の 会 議 のことを 指 す 同 条 約 は CO 2 等 の 大 気 中 濃 度 を 安 定 化 させることを 目 標 としており COPはこの 目 標 達 成 に 向 けた 対 策 を 議 論 する 場 となっている これまでのCOPにおける 最 大 の 成 果 は 1997 年 に 京 都 で 開 催 されたCOP3における 京 都 議 定 書 の 採 択 であるといえよう 京 都 議 定 書 は 先 進 国 に 対 してCO 2 等 削 減 量 を 割 り 当 て その 達 成 を 義 務 付 けた 法 的 拘 束 力 を 持 つ 取 り 決 めである 2005 年 に 発 効 した 同 議 定 書 に 基 づき 日 本 やEU( 欧 州 連 合 ) 諸 国 などを 含 む37カ 国 地 域 が 2008 年 から2012 年 の 第 一 約 束 期 間 内 にCO 2 等 排 出 量 合 計 を1990 年 比 5% 削 減 するという 目 標 の 達 成 に 取 り 組 んだ しかし 京 都 議 定 書 の 採 択 時 にCO 2 等 の 最 大 排 出 国 であった 米 国 が 自 国 の 議 会 で 承 認 を 得 られず 第 一 約 束 期 間 の 開 始 前 に 取 り 決 めから 離 脱 したために 同 議 定 書 の 効 果 は 当 初 の 想 定 に 比 べてかなり 限 定 的 なものとなってしまった 一 方 で CO 2 等 削 減 を 義 務 付 けられなかった 途 上 国 のうち 中 国 やイン 1

ドがCO 2 等 排 出 国 の 上 位 を 占 めるようになり 地 球 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 めるうえで 全 ての 国 が 参 加 する 枠 組 みを 構 築 することの 重 要 性 が 強 まってきた そこで 2010 年 にメキシコのカンクンで 開 催 されたCOP16では カンクン 合 意 が 採 択 され 京 都 議 定 書 に 参 加 していない 先 進 国 や 途 上 国 が2020 年 までのCO 2 等 削 減 目 標 行 動 を 自 主 的 に 設 定 し 国 連 に 登 録 する 形 式 をとる 枠 組 みが 定 められた この 枠 組 みは 京 都 議 定 書 とは 異 なり 法 的 な 拘 束 力 はな い COP16の 結 果 を 受 けて 2020 年 までの 地 球 温 暖 化 対 策 は 京 都 議 定 書 に 基 づく 枠 組 みとカンクン 合 意 に 基 づく 枠 組 みの 二 本 立 て で 進 められることになった こうした 状 況 を 見 直 し 枠 組 みの 一 本 化 を 実 現 しようとする 議 論 が 本 格 化 したのが2011 年 に 南 アフ リカのダーバンで 開 催 されたCOP17である 同 会 議 では 2013 年 以 降 に 京 都 議 定 書 の 第 二 約 束 期 間 を 設 定 することを 決 定 するとともに 1 全 ての 国 が 参 加 する2020 年 以 降 の 新 たな 法 的 枠 組 みの 採 択 を4 年 後 のCOP21で 目 指 すことが 合 意 された その 後 ロシアや 日 本 が 京 都 議 定 書 の 第 二 約 束 期 間 への 参 加 を 見 送 ったことなどもあり 新 たな 法 的 枠 組 みづくりに 向 けた 気 運 はさらに 高 まっていった 2013 年 にポーランドのワルシャワで 開 催 されたCOP19では 各 国 が 定 める 自 主 的 なCO 2 等 削 減 目 標 を 積 み 上 げる 方 式 で 新 たな 法 的 枠 組 みを 構 築 するとの 方 針 が 固 まり 各 国 がCOP21の 開 催 前 までに 同 目 標 を 明 記 した 約 束 草 案 を 国 連 に 提 出 することとなった これを 受 けて 2015 年 11 月 28 日 までにCO 2 等 主 要 排 出 国 を 含 む183カ 国 地 域 ( 条 約 締 約 国 の94%)が 実 際 に 約 束 草 案 を 提 出 し( 図 表 1) COP21での 議 論 に 向 けた 準 備 が 整 った また COP21の 開 催 直 前 に CO 2 等 の 二 大 排 出 国 でありながら 排 出 削 減 の 義 務 を 負 ってこなかった 米 国 と 中 国 の 首 脳 が 二 国 間 で 連 携 して 新 たな 枠 組 みづくりに 取 り 組 む 姿 勢 を 示 し 国 際 的 な 合 意 に 向 けて 大 きな 弾 みがついた 3.COP21 の 結 果 :2020 年 以 降 の 法 的 枠 組 みを 定 めたパリ 協 定 を 採 択 COP21では 先 進 国 と 途 上 国 が 果 たすべき 責 任 の 度 合 いの 差 異 化 や 途 上 国 の 温 暖 化 対 策 への 資 金 支 援 などを 巡 って 交 渉 が 難 航 した しかし 最 終 的 には 全 ての 締 約 国 によるCO 2 等 削 減 への 取 り 組 みを 前 提 とする2020 年 以 降 の 法 的 枠 組 みを 定 めたパリ 協 定 が 採 択 された 同 協 定 で 決 定 した 法 的 枠 組 みの 区 分 先 進 国 途 上 国 図 表 1 主 要 排 出 国 の 約 束 草 案 で 示 された CO 2 等 削 減 目 標 CO 国 地 域 削 減 目 標 2 等 排 出 量 シェア(2010 年 ) 米 国 2025 年 に2005 年 比 26~28% 削 減 14% EU 2030 年 までに1990 年 比 少 なくとも40% 削 減 10% ロシア 2030 年 までに1990 年 比 25~30% 削 減 5% 日 本 2030 年 までに2013 年 比 26% 削 減 3% 中 国 2030 年 までにGDP( 国 内 総 生 産 ) 当 たり2005 年 比 60~65% 削 減 ( 排 出 量 は2030 年 頃 がピーク) インド 2030 年 までにGDP 当 たり2005 年 比 33~35% 削 減 参 考 : 上 記 の 国 地 域 の 排 出 量 シェア 合 計 22% ( 資 料 ) 各 国 の 国 連 提 出 資 料 国 際 エネルギー 機 関 統 計 データベースより みずほ 総 合 研 究 所 作 成 6% 60% 2

主 なポイントをまとめると 以 下 のとおりである( 図 表 2) 第 一 に この 枠 組 みは 産 業 革 命 前 からの 気 温 上 昇 を2.0 度 未 満 に 抑 えるとともに 1.5 度 未 満 に 収 まるよう 努 力 することを 目 的 とする これまでの 国 際 的 なコンセンサスである2.0 度 目 標 から 一 歩 踏 み 込 んだ1.5 度 目 標 にも 言 及 することで 各 国 の 積 極 的 な 取 り 組 みを 喚 起 する また 上 記 目 的 の 達 成 に 向 け 出 来 るだけ 早 い 時 期 に 世 界 のCO 2 等 排 出 量 の 増 加 を 止 め 今 世 紀 後 半 には 実 質 的 にゼロとする ことを 目 指 す 2 第 二 に CO 2 等 削 減 目 標 を 国 連 に 報 告 することや 目 標 を 達 成 するための 国 内 対 策 に 取 り 組 むことを 各 国 に 義 務 付 ける ただし 京 都 議 定 書 とは 異 なり 削 減 目 標 の 達 成 自 体 は 法 的 に 義 務 付 けられない 先 進 国 には 総 量 ベースの 削 減 目 標 を 求 める 一 方 途 上 国 には 他 の 指 標 ( 例 : 国 内 総 生 産 当 たり 排 出 量 ) に 基 づく 目 標 設 定 を 認 めつつ 総 量 ベースの 設 定 を 推 奨 する 目 標 は5 年 ごとに 見 直 す 必 要 があり 運 用 中 の 目 標 に 比 べて 可 能 な 限 り 難 易 度 の 高 い 目 標 を 新 たに 設 定 することが 求 められる さらに 各 国 の 取 り 組 みを 踏 まえた 世 界 全 体 の 排 出 量 の 削 減 状 況 が 2023 年 以 降 5 年 ごとに 検 証 される 第 三 に 途 上 国 支 援 について 先 進 国 に 努 力 義 務 を 課 すほか 先 進 国 以 外 の 国 にも 自 発 的 な 資 金 の 拠 出 を 奨 励 する 途 上 国 の 間 では 先 進 国 に 対 して2020 年 までの 目 標 年 額 1,000 億 ドルを 上 回 る 資 金 支 援 を2020 年 以 降 に 義 務 づけるよう 求 める 声 が 少 なからずあった しかし 最 終 的 には 法 的 拘 束 力 を 伴 わない 協 定 外 の 合 意 という 形 で 2025 年 までに 先 進 国 が1,000 億 ドルを 下 限 とする 新 しい 拠 出 額 の 目 標 を 設 定 することとなった 一 方 先 進 国 以 外 の 国 にも 拠 出 を 奨 励 する 規 定 の 記 載 は 先 進 国 の 要 望 を 受 け 入 れたもので 途 上 国 のなかでも 経 済 規 模 が 大 きい 中 国 インド ブラジル 南 アフリカといっ た 新 興 国 による 拠 出 が 想 定 されている 第 四 に この 枠 組 みは 温 暖 化 への 適 応 力 を 高 めるための 世 界 全 体 の 目 標 を 新 たに 設 定 する この 決 定 は 一 部 の 地 域 で 温 暖 化 が 原 因 とみられる 異 常 気 象 などによる 被 害 が 深 刻 化 しつつあるなかで 被 害 を 軽 減 するための 適 応 的 な 取 り 組 みを 強 化 する 必 要 があるとの 認 識 に 基 づくものである この 目 標 設 定 に 伴 い 各 国 は 適 宜 被 害 の 軽 減 策 をまとめた 行 動 計 画 を 国 連 に 提 出 することとされた 図 表 2 パリ 協 定 の 主 なポイント 目 的 : 産 業 革 命 前 からの 気 温 上 昇 を 2.0 度 未 満 に 抑 制 1.5 度 未 満 に 収 まるよう 努 力 -この 目 的 達 成 に 向 け 今 世 紀 後 半 には 実 質 的 な CO 2 等 排 出 量 をゼロとすることを 目 指 す CO 2 等 排 出 削 減 に 向 けた 対 策 : 各 国 に CO 2 等 削 減 目 標 の 報 告 や 目 標 達 成 に 向 けた 国 内 対 策 の 実 施 を 義 務 付 け ( ただし 削 減 目 標 の 達 成 自 体 は 義 務 付 けられない) - 先 進 国 には 総 量 ベースの 削 減 目 標 の 設 定 を 求 め 途 上 国 には 同 目 標 の 設 定 を 推 奨 - 目 標 は 5 年 ごとに 見 直 し 可 能 な 限 り より 難 易 度 の 高 い 目 標 設 定 が 求 められる -2023 年 以 降 5 年 ごとに 世 界 全 体 の 排 出 削 減 状 況 を 検 証 途 上 国 支 援 : 先 進 国 に 努 力 義 務 を 課 すほか 先 進 国 以 外 の 国 にも 自 発 的 な 拠 出 を 奨 励 (cf. 協 定 外 の 合 意 : 先 進 国 は 2025 年 までに 1,000 億 ドルを 下 限 とする 拠 出 額 の 目 標 値 を 設 定 ) 温 暖 化 への 適 応 に 向 けた 対 策 : 世 界 全 体 の 目 標 を 新 たに 設 定 ( 資 料 )United Nations Framework Convention on Climate Change Adoption of the Paris Agreement より みずほ 総 合 研 究 所 作 成 3

4.COP21 に 対 する 評 価 と 課 題 : 地 球 温 暖 化 対 策 における 歴 史 的 な 一 歩 COP21でのパリ 協 定 の 採 択 は 地 球 温 暖 化 対 策 において 歴 史 的 な 一 歩 であり COP3での 京 都 議 定 書 の 採 択 に 並 ぶ 大 きな 成 果 として 評 価 できる 京 都 議 定 書 の 下 ではCO 2 等 削 減 に 向 けた 取 り 組 みが 一 部 の 先 進 国 に 限 られていたのに 対 し パリ 協 定 の 下 では 約 束 草 案 を 提 出 した 他 の 先 進 国 や 途 上 国 の 多 くもこ の 取 り 組 みに 新 たに 加 わると 見 込 まれる これにより 地 球 温 暖 化 対 策 の 公 平 性 が 高 まるほか CO 2 等 削 減 量 が 拡 大 すると 予 想 される また 途 上 国 に 対 し 総 量 ベースの 削 減 目 標 の 設 定 や 他 の 途 上 国 に 対 する 自 発 的 な 資 金 支 援 が 奨 励 される 形 となったことで 新 興 国 の 地 球 温 暖 化 対 策 への 取 り 組 みの 拡 大 も 期 待 される ただし 協 定 が 発 効 せずに 終 わってしまえば 新 たな 法 的 枠 組 みは 画 に 描 いた 餅 となってしま う パリ 協 定 は 世 界 のCO 2 等 排 出 量 の55% 以 上 を 占 める55カ 国 以 上 の 批 准 が 発 効 要 件 とされており 実 質 的 には 米 国 と 中 国 の 参 加 を 前 提 としている このうち 米 国 は 民 主 党 のオバマ 大 統 領 が 議 会 の 承 認 を 経 ずに 当 協 定 の 批 准 を 決 定 できるとみられるものの 温 暖 化 対 策 に 懐 疑 的 な 共 和 党 の 候 補 が 来 年 の 大 統 領 選 で 勝 利 した 場 合 には 協 定 から 離 脱 するリスクがあり 今 後 の 行 方 が 注 目 される また パリ 協 定 には 先 送 りされた 課 題 も 少 なくない このうち 最 も 重 要 とみられる 課 題 が 各 国 の 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 める 仕 組 みづくりである 国 際 エネルギー 機 関 (IEA)は 各 国 が 約 束 草 案 の CO 2 等 削 減 目 標 を 達 成 したとしても 地 球 の 気 温 は2100 年 までに 約 2.7 度 上 昇 すると 予 測 しており パ リ 協 定 が 掲 げた1.5~2.0 度 目 標 の 実 現 は 容 易 ではない また 法 的 な 義 務 付 けがないなかでは 各 国 の 目 標 達 成 自 体 も 懸 念 される 同 協 定 には 5 年 ごとにCO 2 等 削 減 目 標 をより 難 易 度 を 高 める 方 向 に 見 直 したり 世 界 の 排 出 削 減 状 況 を 検 証 したりする 規 定 が 設 けられたが これらの 規 定 は 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 める 仕 組 みの 骨 格 部 分 にすぎず その 肉 付 けは 次 回 以 降 のCOPでの 議 論 に 委 ねられる 今 後 は 各 国 の 取 り 組 みの 公 平 性 や 積 極 性 を 高 める 方 向 で この 仕 組 みの 具 体 的 な 運 用 方 法 を 定 めていく ことが 求 められよう 運 用 方 法 の 決 定 に 向 けては 途 上 国 支 援 を 行 う 国 が 支 援 対 象 先 の 途 上 国 におけ るCO 2 等 削 減 分 を 市 場 メカニズムを 用 いて 自 国 の 削 減 実 績 に 算 入 する 手 法 などをどう 見 直 していくか も 検 討 すべき 課 題 といえる 3 温 暖 化 対 策 の 実 効 性 を 高 めるための 仕 組 みづくりや 市 場 メカニズムを 用 いた 手 法 の 見 直 しに 際 して は 締 約 国 間 で 激 しい 対 立 が 生 じる 可 能 性 もあり 調 整 の 難 航 が 予 想 される パリ 協 定 の 採 択 はそれ 自 体 で 評 価 に 値 するものの 同 協 定 の 真 価 が 試 されるのはむしろこれからであろう なお 次 回 の 気 候 変 動 枠 組 条 約 第 22 回 締 約 国 会 議 (COP22)は 2016 年 11 月 にモロッコのマラケシュで 開 催 される 予 定 である 5. 日 本 の 課 題 :CO 2 等 削 減 目 標 の 達 成 や 国 際 的 貢 献 に 向 けた 取 り 組 みの 強 化 COP21の 結 果 を 踏 まえ 最 後 に 日 本 が 今 後 取 り 組 むべき 課 題 について 触 れたい( 次 頁 図 表 3) 第 一 の 課 題 は 日 本 が 提 出 した 約 束 草 案 におけるCO 2 等 削 減 目 標 の 根 拠 となっている 長 期 エネルギー 需 給 見 通 し(いわゆるエネルギーミックス)の 実 現 に 向 けて 明 確 かつ 具 体 的 な 道 筋 をつけていくこ とである 2015 年 7 月 に 政 府 が 決 定 した 同 見 通 しでは 12013 年 度 に1%まで 低 下 した 原 子 力 の 電 源 構 成 比 を2030 年 度 に20~22% 程 度 まで 引 き 上 げること 22013 年 度 に11%であった 再 生 可 能 エネルギー 4

の 同 構 成 比 を2030 年 度 に22~24% 程 度 まで 引 き 上 げること 3 徹 底 した 省 エネルギーによって2030 年 度 の 電 力 需 要 をほぼ2013 年 度 並 みに 抑 制 すること などが 示 された 1 2は CO 2 等 排 出 量 が 大 きい 火 力 の 電 源 構 成 比 の 引 き 下 げを 意 味 し 3とともにCO 2 等 の 削 減 につながる しかし 電 力 供 給 につい てみると 原 発 の 運 転 期 間 延 長 や 新 設 がなければ 上 記 の 原 子 力 の 電 源 構 成 比 は 達 成 できない 一 方 で 発 電 コストが 相 対 的 に 低 い 石 炭 火 力 発 電 所 の 増 設 計 画 が 相 次 いでいる また 需 要 サイドをみても 省 エネルギーの 目 標 達 成 が 見 込 みがたいとの 批 判 が 専 門 家 から 出 ており 長 期 エネルギー 需 給 見 通 し の 実 現 は 容 易 ではない 政 府 は 事 態 の 改 善 に 向 けて 石 炭 火 力 発 電 所 の 新 設 に 対 する 規 制 を 見 直 す 案 を 既 に 固 めたと 報 道 されているが 4 これに 加 え 再 生 可 能 エネルギーの 普 及 促 進 や CO 2 等 排 出 量 の 削 減 余 地 が 大 きいとみられる 家 庭 部 門 での 電 力 消 費 の 抑 制 などに 関 わる 追 加 策 も 年 度 内 のとりまと めを 予 定 している 地 球 温 暖 化 対 策 計 画 において 示 す 必 要 があろう 第 二 の 課 題 は これまで 以 上 に 日 本 の 環 境 技 術 を 途 上 国 支 援 に 活 かすとともに 環 境 エネルギー 分 野 でのイノベーションを 促 進 することにより 温 暖 化 対 策 における 国 際 的 な 貢 献 を 強 化 することで ある 政 府 は2015 年 11 月 に 日 本 の 得 意 分 野 である 地 熱 発 電 都 市 鉄 道 防 災 インフラ 水 確 保 を 中 心 として 途 上 国 支 援 に 取 り 組 むこと 水 素 の 製 造 貯 蔵 輸 送 や 次 世 代 蓄 電 池 といった 革 新 的 技 術 の 開 発 を 強 化 することなどをまとめた 美 しい 星 への 行 動 2.0 を 決 定 した 5 また 安 倍 首 相 はCOP21 首 脳 会 合 の 場 で 途 上 国 支 援 のための 官 民 合 わせた 年 間 投 資 額 を2020 年 に1 兆 3,000 億 円 ( 現 状 の1.3 倍 ) へと 引 き 上 げる 意 向 も 表 明 しており 国 際 的 な 貢 献 の 当 面 の 方 向 性 や 規 模 はある 程 度 固 まったといえ る 今 後 は 政 府 が 市 場 メカニズムを 用 いたCO 2 等 削 減 手 法 への 取 り 組 みを 通 じて 構 築 してきた 途 上 国 政 府 との 協 力 関 係 を 活 かすなどして 日 本 企 業 の 環 境 技 術 の 国 際 的 な 普 及 を 支 援 する 役 割 を 積 極 的 に 果 たすことが 求 められよう 海 外 に 目 を 向 けると 温 暖 化 対 策 を 新 たなビジネスチャンスにつなげようとする 動 きが 広 がりつつ ある EUでは 複 数 の 大 手 石 油 企 業 が 石 油 掘 削 技 術 を 応 用 したCO 2 の 回 収 貯 留 (Carbon dioxide capture and storage 略 称 CCS) 技 術 の 商 業 化 を 進 めており 政 府 とも 連 携 しつつ 事 業 機 会 の 拡 大 に 取 り 組 ん でいる また 2015 年 9 月 には 中 国 が 途 上 国 の 温 暖 化 対 策 を 支 援 するための 基 金 を 独 自 で 設 立 すると 表 図 表 3 COP21 の 結 果 を 踏 まえて 日 本 が 取 り 組 むべき 課 題 (1) 約 束 草 案 の 根 拠 となる 長 期 エネルギー 需 給 見 通 しの 実 現 に 向 けて 明 確 かつ 具 体 的 な 道 筋 をつける < 主 なポイント> 石 炭 火 力 発 電 所 の 新 設 に 対 する 規 制 の 見 直 し 再 生 可 能 エネルギーの 普 及 促 進 CO 2 等 排 出 量 の 削 減 余 地 が 大 きいとみられる 家 庭 部 門 での 電 力 消 費 の 抑 制 (2) 日 本 の 環 境 技 術 を 活 かした 途 上 国 支 援 やイノベーションの 促 進 < 主 なポイント> 政 府 間 の 協 力 関 係 などを 活 かした 日 本 企 業 の 環 境 技 術 の 国 際 的 な 普 及 促 進 水 素 の 製 造 貯 蔵 輸 送 や 次 世 代 蓄 電 池 といった 革 新 的 技 術 の 開 発 ( 資 料 )みずほ 総 合 研 究 所 作 成 5

明 しており その 背 景 には 自 らの 技 術 を 他 国 に 導 入 したい との 思 惑 があるものとみられている 6 日 本 もパリ 協 定 の 採 択 を 契 機 に 官 民 一 体 となって 温 暖 化 対 策 につながる 製 品 サービスの 開 発 や 輸 出 を 強 化 し 地 球 温 暖 化 抑 止 への 貢 献 と 経 済 成 長 の 両 立 を 図 っていくことが 求 められる 1 第 二 約 束 期 間 の 終 了 時 は COP17 では 決 定 せず 後 に 2020 年 までとなった 2 CO 2 等 排 出 量 を 実 質 的 にゼロにするということは CO 2 等 排 出 量 が 森 や 海 などの 自 然 が 吸 収 できる 範 囲 内 にとどまるこ とを 意 味 し CO 2 回 収 貯 留 技 術 などの 活 用 による 実 現 が 想 定 されている 3 市 場 メカニズムを 用 いた CO 2 等 削 減 の 手 法 は 京 都 議 定 書 において 導 入 され パリ 協 定 の 法 的 枠 組 みにおいても 利 用 さ れることとなった しかし パリ 協 定 のもとでは 途 上 国 も CO 2 等 の 削 減 目 標 を 設 定 するため 市 場 メカニズムの 利 用 に よる 削 減 分 を 関 係 する 先 進 国 と 途 上 国 の 間 でどのように 配 分 するかなどについてルールを 定 める 必 要 がある 4 日 本 経 済 新 聞 2015 年 12 月 16 日 5 首 相 官 邸 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 本 部 ( 第 31 回 )2015 年 11 月 26 日 会 議 資 料 ( 下 記 URL) 参 照 [https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai31/siryou1.pdf] 6 朝 日 新 聞 2015 年 12 月 2 日 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではありません 本 資 料 は 当 社 が 信 頼 できると 判 断 した 各 種 データに 基 づき 作 成 されておりますが その 正 確 性 確 実 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 に 記 載 された 内 容 は 予 告 なしに 変 更 されることもあります 6