110806TOKYO 合 格 ライン 論 文 本 試 験 過 去 問 講 座 の 柏 谷 講 師 が 贈 る, 真 夏 の 論 文 ガイダンス 第 2 弾 もう 暗 記 で 苦 しまなくていい! 答 案 を 書 くのが 楽 しくなる 本 当 の 論 文 対 策 新 62 期 弁 護 士 柏 谷 周 希 先 生 辰 已 法 律 研 究 所 TOKYO YOKOHAMA OSAKA KYOTO NAGOYA FUKUOKA
- Contents - 柏 谷 先 生 御 作 成 オリジナルレジュメ... 1 問 題 文 ( 平 成 19 年 本 試 験 公 法 系 第 1 問 )... 5 法 務 省 発 表 の 出 題 趣 旨... 14 新 司 法 試 験 考 査 委 員 ( 公 法 系 科 目 )に 対 するヒアリングの 概 要... 16
真 夏 の 論 文 ガイダンス 第 2 弾 柏 谷 先 生 御 作 成 オリジナルレジュメ 第 0 はじめに 第 1 司 法 試 験 とは 1 実 務 家 登 用 試 験 = 司 法 研 修 所 の 入 所 試 験 2 合 格 すれば,すぐに 実 務 修 習 に 3 司 法 試 験 では, 法 的 知 識 と 法 的 思 考 力 が 問 われる 第 2 法 的 知 識 と 法 的 思 考 力 1 法 的 知 識 は 基 本 的 なもののみ 実 務 では 知 らないものは 調 べる 2 実 務 で 要 求 されるのは 法 的 思 考 力 ( 法 解 釈 力 と 事 実 認 定 力 ) 第 3 司 法 試 験 の 解 き 方 1 知 識 と 論 証 パターンの 暗 記 ではない 2 短 答 式 では, 基 本 的 な 知 識 と 法 的 思 考 力 で 問 題 を 解 き, 結 論 を 示 す 3 論 文 試 験 では, 基 本 的 知 識 と 法 的 思 考 力 で 問 題 を 解 き, 思 考 過 程 を 示 す 第 4 論 文 式 で 思 考 過 程 を 示 すとは 1 実 務 の 処 理 の 過 程 を 示 す 1 依 頼 者 の 目 的 を 把 握 する 2 目 的 を 達 成 する 法 的 効 果 を 有 する 規 定 を 探 す 3 法 的 手 段 を 選 択 4 条 文 の 文 言 ( 要 件 )に 事 実 を 評 価 してあてはめる * 要 件 があいまい 問 題 提 起 規 範 定 立 ( 法 解 釈 ) 当 てはめ( 事 実 認 定 ) 5 効 果 を 導 き, 当 事 者 の 目 的 が 達 成 したことを 示 す( 事 件 処 理 ) 2 法 解 釈 は, 必 要 性 と 許 容 性 で 書 く( 後 述 ) 3 事 実 認 定 は, 具 体 的 事 実 を 示 して 評 価 してあてはめる 例 ) 反 抗 を 抑 圧 する 暴 行 脅 迫 ( 刑 法 236 条 暴 行 又 は 脅 迫 の 限 定 解 釈 ) 刃 体 の 長 さ5センチメートルのナイフを 長 い 刃 物 殺 傷 力 あり Ⅴの 首 筋 にあてて 頸 動 脈 を 斬 ると 命 にかかわる まったく 抵 抗 できない 状 況 下 での 有 形 力 の 行 使 ( 暴 行 にあたる) 金 を 出 さないと 殺 すぞ と 言 う ナイフで 容 易 に 殺 せる 状 況 下 でのVの 命 を 奪 うとの 発 言 まったく 反 抗 できない 状 況 下 での 害 悪 の 告 知 ( 脅 迫 にあたる) 第 5 必 要 性 と 許 容 性 の 理 解 1 条 文 の 趣 旨 を 考 えるということは 必 要 性 と 許 容 性 を 考 えるということ 2 必 要 性 = 条 文 が 守 ろうとしている 利 益 = 得 られる 利 益 = 対 立 利 益 3 許 容 性 ( 相 当 性 )= 制 約 される 利 益 = 失 われる 利 益 = 被 侵 害 利 益 - 1 - 辰 已 法 律 研 究 所
もう 暗 記 で 苦 しまなくていい! 4 条 文 の 内 容 が 抽 象 的 な 場 合,この 比 較 考 量 が 全 面 にでる 5 基 本 知 識 をもって, 法 的 思 考 力 をもって 現 場 で 考 える 第 6 平 成 19 年 公 法 系 第 1 問 で 必 要 性 と 許 容 性 を 考 える 1 事 案 分 析 1 原 告 の 目 的 :B 教 団 の 本 部 施 設 を 建 設 して 修 行 すること : 不 許 可 処 分 によって 建 設 不 可 2 原 告 のとるべき 法 的 手 段 : 本 件 不 許 可 処 分 の 取 消 し+ 許 可 の 義 務 付 け 3H19 年 問 題 : 違 法 ( 違 憲 ) 事 由 の 有 無 ( 憲 法 上 の 主 張 ) 2 条 例 での 上 乗 せ 規 制 の 許 否 憲 法 94 条 法 律 の 範 囲 内 ⑴ 憲 法 94 条 の 趣 旨 必 要 性 : 地 域 ごとの 特 色 に 配 慮 許 容 性 : 法 律 で 禁 止 していない ⑵ 法 律 の 趣 旨 や 目 的 から 必 要 性 許 容 性 の 有 無 を 検 討 する( 判 例 ) 3 人 権 と 民 主 主 義 人 権 の 保 障 と 安 全 安 心 の 確 保 ⑴ 被 侵 害 利 益 と 対 立 利 益 被 侵 害 利 益 宗 教 行 為 の 自 由 ( 憲 法 20 条 ) 対 立 利 益 住 民 の 安 全 安 心 ⑵ 民 主 主 義 との 関 係 信 教 の 自 由 が 特 別 に 規 定 された 趣 旨 歴 史 的 に 国 家 権 力 ( 多 数 派 民 主 主 義 )によって 侵 害 されてきた 住 民 の 安 心 安 全 の 判 断 を 周 辺 住 民 の 過 半 数 で 決 めるC 市 の 運 用 少 数 派 の 人 権 を 守 る 裁 判 所 の 出 番 厳 格 審 査 で ⑶ 人 権 の 保 障 と 安 全 安 心 の 確 保 被 侵 害 利 益 は 憲 法 上 の 人 権 人 権 を 制 約 してまで 守 るべき 対 立 利 益 の 程 度 安 全 安 心 の 抽 象 的 な 不 安 で 足 りる? 安 全 安 心 の 具 体 的 な 危 険 まで 必 要?? 本 件 の 危 険 性 明 確 でも 不 明 確 でもない but C 市 の 住 宅 地 としての 人 気 を 落 とすには 不 安 感 で 十 分 C 市 の 住 みやすさへの 不 安 のためにB 団 体 の 人 権 をどの 程 度 制 約 してよいのか B 団 体 は 集 団 生 活 が 教 義 の 核 心 部 分 施 設 建 設 不 可 であれば,ほかの 地 へ 行 く しかない 第 7 これからの 勉 強 法 1 基 本 的 知 識 ( 入 門 レベル)の 再 復 習 新 しい 知 識 は 不 要 暗 記 は 論 外 使 い 慣 れた 基 本 書 判 例 学 習 書 条 文 の 趣 旨 を 押 さえる 辰 已 法 律 研 究 所 - 2 -
真 夏 の 論 文 ガイダンス 第 2 弾 2 過 去 問 の 出 題 趣 旨 を 考 える 短 答 にも 出 題 趣 旨 はある 論 文 は 公 式 発 表 をチェック 3 答 練 最 小 限 の 知 識 で 解 くための 現 場 思 考 訓 練 条 文 の 趣 旨 や 理 由 づけはその 場 で 考 える 短 答 も 論 文 も 解 くことに 意 義 がある 復 習 は 基 本 知 識 のみで 十 分 論 文 答 案 の 合 格 者 によるチェック( 添 削 とゼミナール) 思 考 過 程 が 答 案 に 表 れているかは 自 分 にはわかりにくいもの レジュメになっていないかを 指 摘 してもらう 第 8 さいごに 以 上 - 3 - 辰 已 法 律 研 究 所
もう 暗 記 で 苦 しまなくていい! MEMO 辰 已 法 律 研 究 所 - 4 -
論 文 式 試 験 問 題 [ 平 成 19 年 公 法 系 科 目 第 1 問 ] - 5 -
( 配 点 :100) A 教 団 は, 理 想 の 社 会 を 追 い 求 めて 集 団 生 活 を 営 む 信 者 のみが 救 済 されるという 教 義 を 信 奉 しつ つ 活 動 する 宗 教 団 体 であった A 教 団 には, 暗 黒 な 部 分 を 除 去 しなければ 理 想 社 会 は 実 現 できな いという 信 条 を 強 く 持 つ 信 者 も 少 なくなく,200X 年, 一 部 の 過 激 な 信 者 達 が, 複 数 の 官 庁 企 業 周 辺 で 同 時 爆 弾 テロを 実 行 し,その 計 画, 指 示, 実 行 に 当 たった 教 団 幹 部 や 信 者 は 逮 捕 された この 同 時 爆 弾 テロは,A 教 団 の 活 動 として 行 われたわけではなかったが,A 教 団 は 自 発 的 に 解 散 せ ざるを 得 なくなった その2 年 後,A 教 団 の 元 信 者 達 は, 同 教 団 の 幹 部 であった 甲 を 代 表 として, 新 たにB 教 団 を 結 成 した B 教 団 は,A 教 団 当 時 に 行 われたテロ 行 為 について 深 い 反 省 の 意 思 を 表 明 し,A 教 団 との 決 別 を 宣 言 している しかし, 同 時 爆 弾 テロ 事 件 で 逮 捕 されなかったA 教 団 の 元 幹 部 が 全 員 B 教 団 の 幹 部 となっており,B 教 団 の 教 典 もA 教 団 の 教 典 と 同 一 である B 教 団 の 教 義 によると, 信 者 は 集 団 で 居 住 して 修 行 しなければならないことになっており,B 教 団 結 成 に 伴 い, 集 団 居 住 のための 新 たな 施 設 を 建 設 する 必 要 が 生 じた B 教 団 は,かつてA 教 団 の 施 設 があった 幾 つかの 都 道 府 県 で 本 部 施 設 の 建 設 を 計 画 したが,いずれも 反 対 運 動 が 起 こり, 断 念 せざるを 得 なかった そこで,B 教 団 は, 新 たに 信 者 となった 乙 がC 市 にまとまった 土 地 ( 敷 地 面 積 1200 平 方 メートル)を 所 有 していたことから, 同 土 地 の 上 に 本 部 施 設 を 建 設 することを 計 画 した 当 該 施 設 は, 本 部 機 能 を 有 するとともに, 信 者 が 集 団 で 居 住 し, 修 行 する 施 設 となるもので ある C 市 は, 特 例 市 ( 地 方 自 治 法 第 252 条 の26の3 第 1 項 に 基 づき, 政 令 による 指 定 を 受 けた 市 ) である C 市 では, 以 前 から, 市 民 の 間 に 良 好 な 住 環 境 を 守 ろうとする 意 識 が 強 く 存 在 し, 行 政 も それに 積 極 的 に 対 応 してきている C 市 は, 安 心 して 暮 らせる 安 全 で 快 適 な 住 環 境 の 維 持 に 特 に 注 意 を 払 い, 独 自 の C 市 まちづくり 条 例 ( 以 下 条 例 と 表 記 ) を 制 定 している この 条 例 は, 都 市 計 画 法 ( 都 市 計 画 法 及 び 都 市 計 画 法 施 行 令 については, 資 料 1 参 照 ) 上 の 許 可 制 とは 別 に,C 市 内 の まちづくり 推 進 地 区 に 指 定 されている 地 域 における1000 平 方 メートル 以 上 の 開 発 事 業 ( 大 規 模 開 発 事 業 )について 許 可 制 を 導 入 しており, 大 規 模 開 発 事 業 を 行 おうとする 者 に 対 して, 事 前 手 続 として, 周 辺 住 民 の 過 半 数 が 同 意 する 開 発 事 業 協 定 の 締 結 及 び 市 との 協 議 を 義 務 付 けて いる そして, 条 例 第 18 条 第 2 項 に 定 める 要 件 に 該 当 する 場 合 には, 市 長 は, 当 該 開 発 事 業 を 許 可 しないことができる( 条 文 については, 資 料 2 参 照 ) B 教 団 本 部 施 設 の 建 設 が 計 画 されているD 地 区 は, 都 市 計 画 法 上 は 都 市 計 画 区 域 のうちの 市 街 化 区 域 であり, 条 例 上 は まちづくり 推 進 地 区 に 指 定 されている D 地 区 は,C 市 の 中 でも 住 宅 地 区 として 人 気 が 高 く, 常 に 各 種 ランキングで 住 んでみたい 街 の 上 位 に 位 置 していた C 市 の 相 談 窓 口 には, 周 辺 住 民 ばかりでなく, B 教 団 の 本 部 施 設 建 設 計 画 を 知 った 市 民 からも, 問 い 合 わせや 要 望 が 多 数 寄 せられるようになった B 教 団 の 本 部 施 設 建 設 計 画 は, 都 市 計 画 法 上 の 許 可 要 件 を 満 たしている B 教 団 は, 条 例 に 基 づ いて 周 辺 住 民 を 対 象 とする 事 前 説 明 会 を 開 催 した この 説 明 会 には 該 当 する 住 民 の90% 以 上 が 出 席 し, 出 席 した 住 民 からは テロリスト 集 団 を 引 き 継 ぐB 教 団 の 本 部 新 設 は 絶 対 に 認 められな い といった 趣 旨 の 発 言 が 相 次 いだ これに 対 して, B 教 団 の 信 者 から 威 圧 的 な 発 言 があり, 出 席 した 住 民 は 一 層 強 い 不 安 をかき 立 てられた そして,B 教 団 との 間 での 開 発 事 業 協 定 の 締 結 に 同 意 する 周 辺 住 民 は, 一 人 もいなかった 市 長 は,B 教 団 との 事 前 協 議 (その 内 容 については, 資 料 3 参 照 )の 結 果 を 踏 まえ, 条 例 第 17 条 第 2 項 に 基 づいて 開 発 事 業 の 中 止 を 勧 告 した しかし, B 教 団 は,これに 従 わず, 計 画 を 実 施 する 構 えを 見 せた そこで, 市 長 は, 条 例 第 18 条 に 基 づい て,C 市 まちづくり 審 議 会 の 意 見 を 聴 いた 上 で,B 教 団 の 開 発 事 業 計 画 を 不 許 可 とする 処 分 を 行 っ た B 教 団 は,C 市 を 相 手 どって 当 該 不 許 可 処 分 の 取 消 し 等 を 求 める 訴 えを 提 起 した 6
( 出 題 者 注 : 本 問 においては, 無 差 別 大 量 殺 人 行 為 を 行 った 団 体 の 規 制 に 関 する 法 律 ( 平 成 11 年 12 月 7 日 法 律 第 147 号 )については 考 慮 しないこととする ) 1. あなたがB 教 団 の 訴 訟 代 理 人 だとすれば,この 訴 訟 において,どのような 憲 法 上 の 主 張 を 行 う か, 述 べなさい 2. 設 問 1で 述 べられた 教 団 側 の 主 張 に 対 する 市 側 の 反 論 を 想 定 した 上 で, 憲 法 上 の 諸 問 題 を 検 討 し,あなた 自 身 の 見 解 を 述 べなさい 7
( 目 的 ) 第 1 条 この 法 律 は, 都 市 計 画 の 内 容 及 びその 決 定 手 続, 都 市 計 画 制 限, 都 市 計 画 事 業 その 他 都 市 計 画 に 関 し 必 要 な 事 項 を 定 めることにより, 都 市 の 健 全 な 発 展 と 秩 序 ある 整 備 を 図 り,もつて 国 土 の 均 衡 ある 発 展 と 公 共 の 福 祉 の 増 進 に 寄 与 することを 目 的 とする ( 都 市 計 画 の 基 本 理 念 ) 第 2 条 都 市 計 画 は, 農 林 漁 業 との 健 全 な 調 和 を 図 りつつ, 健 康 で 文 化 的 な 都 市 生 活 及 び 機 能 的 な 都 市 活 動 を 確 保 すべきこと 並 びにこのためには 適 正 な 制 限 のもとに 土 地 の 合 理 的 な 利 用 が 図 られ るべきことを 基 本 理 念 として 定 めるものとする ( 定 義 ) 第 4 条 1 ( 略 ) 2 この 法 律 において 都 市 計 画 区 域 とは 次 条 の 規 定 によ 3~11 ( 略 ) 12 この 法 律 において 開 発 行 為 とは, 主 として 建 築 物 の 建 築 又 は 特 定 工 作 物 の 建 設 の 用 に 供 する 目 的 で 行 なう 土 地 の 区 画 形 質 の 変 更 をいう 13~16 ( 略 ) ( 都 市 計 画 区 域 ) 第 5 条 1 都 道 府 県 は, 市 の 中 心 の 市 街 地 を 含 み,かつ, 自 然 的 及 び 社 会 的 条 件 並 びに 人 口, 土 地 利 用, 交 通 量 その 他 国 土 交 通 省 令 で 定 める 事 項 に 関 する 現 況 及 び 推 移 を 勘 案 して, 一 体 の 都 市 として 総 合 的 に 整 備 し, 開 発 し, 及 び 保 全 する 必 要 がある 区 域 を 都 市 計 画 区 域 として 指 定 する ものとする ( 以 下 略 ) 2~6 ( 略 ) ( 区 域 区 分 ) 第 7 条 1 都 市 計 画 区 域 について 無 秩 序 な 市 街 化 を 防 止 し, 計 画 的 な 市 街 化 を 図 るため 必 要 があ るときは, 都 市 計 画 に, 市 街 化 区 域 と 市 街 化 調 整 区 域 との 区 分 ( 以 下 区 域 区 分 という ) を 定 めることができる ( 以 下 略 ) 2 市 街 化 区 域 は,すでに 市 街 地 を 形 成 している 区 域 及 びおおむね 十 年 以 内 に 優 先 的 かつ 計 画 的 に 市 街 化 を 図 るべき 区 域 とする 3 ( 略 ) ( 開 発 行 為 の 許 可 ) 第 29 条 1 都 市 計 画 区 域 又 は 準 都 市 計 画 区 域 内 において 開 発 行 為 をしようとする 者 は,あらか じめ, 国 土 交 通 省 令 で 定 めるところにより, 都 道 府 県 知 事 項 の 指 定 都 市, 同 法 第 252 条 の22 第 1 項 の 中 核 市 又 は 同 法 第 252 条 の26の3 第 1 項 の 特 例 市 ( 以 下 指 定 都 市 等 という ) の 区 域 内 にあつては, 当 該 指 定 都 市 等 の 長 以 下 この 節 にお いて 同 じ ) の 許 可 を 受 けなければならない ただし, 次 に 掲 げる 開 発 行 為 については, この 限 り ではない 8
一 市 街 化 区 域, 区 域 区 分 が 定 められていない 都 市 計 画 区 域 又 は 準 都 市 計 画 区 域 内 において 行 う 開 発 行 為 で,その 規 模 が,それぞれの 区 域 の 区 分 に 応 じて 政 令 で 定 める 規 模 未 満 であるもの 二 ~ 十 二 ( 略 ) 2,3 ( 略 ) ( 開 発 許 可 の 基 準 ) 第 33 条 1 都 道 府 県 知 事 は, 開 発 許 可 の 申 請 があつた 場 合 において, 当 該 申 請 に 係 る 開 発 行 為 合 しており,かつ,その 申 請 の 手 続 がこの 法 律 又 はこの 法 律 に 基 づく 命 令 の 規 定 に 違 反 していないと 認 めるときは, 開 発 許 可 をしなければならない 一 ~ 十 四 ( 略 ) 2~8 ( 略 ) ( 出 題 者 注 : 第 33 条 にいう 都 道 府 県 知 事 には, 第 29 条 第 1 項 により 特 例 市 の 長 も 含 む ) ( 法 第 29 条 第 1 項 第 1 号 の 政 令 で 定 める 規 模 ) 第 19 条 法 第 29 条 第 1 項 第 1 号 の 政 令 で 定 める 規 模 は, 次 の 表 の 第 1 欄 に 掲 げる 区 域 ごとに,それぞれ 同 表 の 第 2 欄 に 掲 げる 規 模 とする ( 以 下 略 ) 第 1 欄 第 2 欄 第 3 欄 第 4 欄 市 街 化 区 域 1000 平 方 メートル ( 略 ) ( 略 ) ( 略 ) ( 略 ) ( 略 ) ( 略 ) 2 ( 略 ) 9
( 目 的 ) 第 1 条 この 条 例 は, 本 市 のまちづくりについて,その 基 本 理 念 を 定 め, 市, 市 民 及 び 事 業 者 の 責 務 を 明 らかにするとともに, 市 民 参 加 によるまちづくりを 推 進 するための 基 本 となる 事 項 を 定 め ることにより, 市 民 が 安 心 して 生 活 できる 安 全 で 快 適 な,かつ, 環 境 保 護 にも 配 慮 したまちづく りを 推 進 し,もって,C 市 らしい 個 性 豊 かで 住 み 良 い 都 市 環 境 の 形 成 に 寄 与 することを 目 的 とす る ( 定 義 ) 第 2 条 この 条 例 において, 次 の 各 号 に 掲 げる 用 語 の 意 義 は, 当 該 各 号 に 定 めるところによる 一 開 発 事 業 都 市 計 画 法 第 4 条 第 12 項 に 規 定 する 開 発 行 為 をいう 二 大 規 模 開 発 事 業 開 発 事 業 に 係 る 土 地 の 面 積 が1000 平 方 メートル 以 上 の 開 発 事 業 をいう 三 事 業 区 域 開 発 事 業 に 係 る 土 地 の 区 域 をいう 四 事 業 者 開 発 事 業 を 行 おうとする 者 をいう 五 市 民 C 市 内 に 住 所 を 有 する 者 をいう 六 周 辺 住 民 事 業 区 域 の 境 界 線 からの 水 平 距 離 が200メートル 以 内 における 土 地 を 所 有 する 者 又 は 建 築 物 の 全 部 若 しくは 一 部 を 所 有 し, 若 しくは 占 有 する 者 をいう ( 市 の 責 務 ) 第 3 条 1 市 は,まちづくりについての 必 要 な 調 査 を 行 うとともに,まちづくりのための 基 本 計 画 ( 以 下 基 本 計 画 という )を 策 定 し,これを 実 施 しなければならない 2 市 は, 前 項 の 基 本 計 画 の 策 定 及 び 実 施 に 当 たっては, 市 民 の 意 見 を 十 分 に 反 映 させるよう 努 め なければならない ( 市 民 の 責 務 等 ) 第 4 条 1 市 民 は, 安 全 で 快 適 な 居 住 環 境 の 享 受 を 妨 げられない 2 市 民 は, 自 らまちづくりに 努 めるとともに, 市 が 実 施 する 施 策 に 協 力 しなければならない ( 事 業 者 の 責 務 ) 第 5 条 事 業 者 は, 開 発 事 業 を 行 うに 当 たって,まちづくりに 必 要 な 措 置 を 講 ずるとともに, 市 が 実 施 する 施 策 に 協 力 しなければならない ( 推 進 地 区 の 指 定 等 ) 第 14 条 1 市 長 は, 次 の 各 号 のいずれかに 該 当 する 地 区 において, 市 街 地 整 備 を 中 心 としたま ちづくりが 必 要 であると 認 めるときは, 当 該 地 区 をまちづくり 推 進 地 区 ( 以 下 推 進 地 区 とい う )として 指 定 することができる 一 基 本 計 画 により, 重 点 的 なまちづくりを 推 進 することが 必 要 な 地 区 二 現 に 市 街 地 が 形 成 されている 地 区 で, 安 全 で 快 適 なまちづくりの 実 現 を 図 るために, 拠 点 的 な 市 街 地 整 備 が 必 要 な 地 区 2 市 長 は, 推 進 地 区 の 指 定 に 当 たっては, 当 該 地 区 の 住 民 その 他 利 害 関 係 者 の 意 見 を 反 映 させる ため, 説 明 会 の 開 催 その 他 必 要 な 措 置 を 講 ずるとともに, C 市 まちづくり 審 議 会 ( 以 下 審 議 会 という )の 意 見 を 聴 かなければならない 3 市 長 は, 推 進 地 区 を 指 定 したときは,その 旨 を 告 示 しなければならない 1 0
( 推 進 地 区 での 開 発 事 業 の 許 可 ) 第 15 条 事 業 者 は, 推 進 地 区 において, 大 規 模 開 発 事 業 を 行 おうとするときは,あらかじめ, 規 則 で 定 める 開 発 事 業 計 画 書 を 市 長 に 提 出 し, 市 長 の 許 可 を 受 けなければならない ( 説 明 会 の 開 催, 協 定 書 の 締 結 ) 第 16 条 1 事 業 者 は, 前 条 に 定 める 開 発 事 業 計 画 書 を 提 出 したのち, 開 発 事 業 の 内 容, 工 事 施 工 方 法 等 について, 周 辺 住 民 を 対 象 とする 説 明 会 を 開 催 しなければならない 2 事 業 者 は, 前 項 の 説 明 会 を 開 催 したのち, 周 辺 住 民 との 間 で 開 発 事 業 協 定 を 締 結 しなければな らない 開 発 事 業 協 定 の 締 結 には, 周 辺 住 民 の 過 半 数 の 同 意 を 必 要 とする ( 事 前 協 議, 改 善 勧 告 ) 第 17 条 1 事 業 者 は, 前 条 の 説 明 会 等 と 並 行 し, 又 は 説 明 会 等 ののちに, 当 該 開 発 事 業 の 内 容, 工 事 施 工 方 法 等 について, 市 長 と 協 議 しなければならない 2 市 長 は, 前 項 の 協 議 を 踏 まえ, 事 業 者 に 対 し 当 該 開 発 事 業 計 画 の 変 更, 中 止,その 他 の 必 要 な 勧 告 を 行 うことができる ( 開 発 事 業 許 可 の 基 準 ) 第 18 条 1 市 長 は, 次 項 の 規 定 により 許 可 しない 場 合 を 除 き, 第 15 条 の 許 可 をしなければな らない 2 市 長 は, 第 16 条 の 開 発 事 業 協 定 が 締 結 されていない 場 合, 又 は 事 業 者 が 前 条 第 2 項 の 勧 告 に 従 わない 場 合 において, 当 該 開 発 事 業 が 次 の 各 号 のいずれかに 該 当 すると 認 めるときは, 当 該 開 発 事 業 を 許 可 しないことができる 一 本 条 例 に 基 づくまちづくり 基 本 計 画 に 適 合 しない 場 合 二 災 害 防 止 に 対 する 支 障 等, 市 民 生 活 の 安 全 に 支 障 が 生 ずるおそれがある 場 合 3 市 長 は, 前 2 項 の 処 分 をしようとするときは,あらかじめ, 審 議 会 の 意 見 を 聴 かなければなら ない 4 市 長 は, 第 1 項 の 処 分 をしたときはその 旨 を, 第 2 項 の 処 分 をしたときはその 旨 及 び 理 由 を, 遅 滞 なく 事 業 者 に 通 知 するものとする ( 中 止 命 令 等 ) 第 19 条 市 長 は, 事 業 者 が 第 15 条 の 許 可 を 受 けないで 開 発 事 業 に 着 手 したときは, 当 該 事 業 者 若 しくは 当 該 事 業 者 から 工 事 を 請 け 負 った 者 又 は 当 該 工 事 の 現 場 を 管 理 する 者 に 対 して, 当 該 開 発 事 業 の 中 止 を 命 じ, 又 は 相 当 の 猶 予 期 間 を 付 して, 原 状 の 回 復, 建 築 物 の 除 却 その 他 の 必 要 な 措 置 を 命 ずることができる 1 1
B 教 団 : 我 々は, 本 市 D 地 区 にある, 信 者 である 乙 が 所 有 する 土 地 に 教 団 本 部 施 設 を 建 設 したい 教 団 本 部 施 設 は, 我 々の 信 仰 生 活 の 拠 点 となるものであり, 正 に 我 々の 信 仰 を 実 践 する 場 所 である このことを, 市 には 十 分 配 慮 していただきたい C 市 : 市 としては, まちづくり 条 例 が 定 める 要 件 を 満 たすことを 求 めている 市 は, どのよう な 方 が 開 発 事 業 者 であっても 変 わりなく, 同 じように 条 例 を 執 行 している B 教 団 : 我 々が 建 設 する 施 設 は, 教 団 と 信 者 にとって 神 聖 な 場 所 である 信 者 は 集 団 で 居 住 し, 代 表 である 甲 に 従 って 修 行 に 励 む このような 形 態 が, 我 々B 教 団 の 信 仰 の 在 り 方 である し たがって,この 施 設 は, 我 々 教 団 の 信 仰 にとって 絶 対 に 欠 くことのできないものである C 市 : 市 には,あなた 方 の 信 仰 自 体 を 否 定 するつもりなど 毛 頭 ない ただ, 条 例 が 定 める 条 件 を 満 たすことを 求 めているだけである 問 題 の 一 つは, 周 辺 住 民 の 同 意 が 全 く 得 られていない ことである B 教 団 : 周 辺 住 民 は, 我 々の 教 団 とA 教 団 との 関 係 を 疑 い,A 教 団 当 時 の 事 件 と 同 じようなことが 起 きるのではないかと 思 っているようである それは, 根 拠 のない 憶 測 である 根 拠 のない 憶 測 によって, 住 民 は 我 々を 危 険 視 し, 敵 視 している そのような 状 況 で, 周 辺 住 民 の 過 半 数 から 同 意 を 取 りつけることは, 極 めて 困 難 である C 市 : C 市 では, 古 くから, 宅 地 乱 開 発 問 題 やマンション 建 設 問 題 等 から 住 民 による 景 観 論 争 や 環 境 保 全 のための 開 発 反 対 運 動 が 展 開 されてきた そのような 住 民 による 運 動 から, 良 好 な 住 環 境 を 守 ろうとする 住 民 の 高 い 意 識 が 醸 成 されてきたし, 行 政 もそれに 積 極 的 に 対 応 して きた 安 心 して 暮 らせる, 良 好 な 住 環 境 を 守 ろうとする 市 民 のコンセンサスが, まちづくり 条 例 を 制 定 させた そのような 歴 史 から,C 市 は 住 民 の 意 向 を 尊 重 している 周 辺 住 民 が 抱 く 不 安 は,あなた 方 自 らが 払 拭 すべき 問 題 であって, 市 が 周 辺 住 民 を 説 得 する 問 題 ではな い 条 例 の 要 求 する 条 件 を 満 たすことは,あなた 方 の 主 体 的 な 努 力 にかかっている B 教 団 : そもそも, 周 辺 住 民 の 同 意 がなければ, 我 々が 真 摯 な 信 仰 の 実 践 活 動 をできないというこ とに, 問 題 がある C 市 : 既 に 述 べたように, 住 民 の 意 思 の 尊 重 は,C 市 における 良 好 な 住 環 境 を 求 める 運 動 の 歴 史 の 反 映 である B 教 団 : 我 々は,A 教 団 とは 別 個 の, 独 立 した 宗 教 団 体 である A 教 団 当 時 に 起 きた 爆 弾 テロ 行 為 は,A 教 団 の 活 動 として 行 われたものではなく,A 教 団 の 教 典 や 教 義 から 逸 脱 した 一 部 の 者 が 実 行 したにすぎない 我 々の 教 団 は,A 教 団 の 一 部 の 信 者 が 犯 した 重 大 な 犯 罪 行 為 を 真 摯 に 反 省 し,A 教 団 と 決 別 して 結 成 された, 新 たな 宗 教 団 体 である 教 団 代 表 である 甲 は,A 教 団 当 時 の 犯 罪 行 為 には 一 切 かかわっていない 甲 は,この2 年 間 真 摯 に 修 行 に 励 み, 新 た な 悟 りを 開 いた 悟 りの 境 地 に 達 した 甲 代 表 のもとで, 我 々 信 者 は 真 面 目 に 信 仰 生 活 を 送 り たいだけである 我 々の 教 義 は, 信 者 の 内 面 的 救 済 のみを 求 めるものである 現 在 のB 教 団 が 周 辺 住 民 に 危 害 を 与 える 危 険 性 など, 全 くない C 市 : 市 としては,A 教 団 の 幹 部 らが2 年 前 に 起 こした 同 時 爆 弾 テロ 事 件 を 無 視 することはでき ない あなた 方 の 教 典 はA 教 団 と 同 一 であり,A 教 団 の 元 幹 部 があなた 方 の 教 団 の 幹 部 にな っている したがって,A 教 団 があなた 方 の 教 団 の 母 体 といえる そして,あなた 方 は,A 教 団 と 同 様 に, 集 団 で 居 住 する A 教 団 当 時, 集 団 居 住 施 設 の 中 で 爆 弾 が 製 造 されていた A 教 団 は 各 地 の 教 団 施 設 の 近 隣 に 住 む 住 民 と 様 々なトラブルを 起 こしていたし, 多 くの 訴 訟 も 提 起 されている 集 団 居 住 の 実 態 が 分 からない 集 団 居 住 施 設 の 中 で 何 をしているか, 見 えない 仮 に 教 典 自 体 は 平 和 的 なものであるとしても, 教 典 から 再 び 逸 脱 しないという 保 証 はどこにもない 1 2
あなた 方 が, 他 の 都 市 で 本 部 施 設 を 建 設 しようとしたときも, 住 民 の 反 対 運 動 にあって 断 念 せざるを 得 なかったではないか 本 市 における 事 前 説 明 会 でも,あなた 方 の 信 者 が 威 圧 的 な 発 言 をしている このような 事 実 が,あなた 方 への 周 辺 住 民 の 不 安 を 高 めている この 不 安 は, 周 辺 住 民 だけのものではない それは, 市 の 相 談 窓 口 に 多 くの 市 民 から 不 安 の 声 が 寄 せられていることにも 示 されている A 教 団 当 時 の 同 時 爆 弾 テロ 事 件 から 得 た 一 つの 教 訓 は, 近 隣 住 民 との 間 でトラブルが 発 生 したときに, 市 がきちんと 対 応 することである 市 としては,あなた 方 の 教 団 に 関 する 諸 々 の 事 実 を 踏 まえて,あなた 方 の 開 発 事 業 計 画 には, 条 例 第 18 条 第 2 項 が 定 める 市 民 生 活 の 安 全 に 支 障 が 生 ずるおそれ があると 判 断 している 1 3
もう 暗 記 で 苦 しまなくていい! 法 務 省 発 表 の 出 題 趣 旨 本 問 は 人 権 と 統 治 を 組 み 合 わせた 問 題 となっており, 仮 想 的 な 事 案 をめぐって3つのテーマが 問 われている それは, 法 律 と 条 例 の 関 係, 人 権 の 保 障 と 民 主 主 義 の 関 係,そして 人 権 の 保 障 と 安 全 安 心 の 確 保 の 関 係 である 本 事 案 で 問 題 となっている まちづくり 条 例 は, 市 の 処 分 に 関 して,いわば2 段 階 構 造 を 採 っている 第 1 段 階 では, 住 民 自 治 を 具 体 化 するものとして 周 辺 住 民 の 過 半 数 の 同 意 による 開 発 事 業 協 定 の 締 結 等 の 条 件 が 課 せられている このような 条 件 が 満 たされていない 場 合, 第 2 段 階 として, 市 は, 条 例 第 18 条 第 2 項 各 号 のいずれかに 該 当 すると 認 めるときには, 当 該 開 発 事 業 を 許 可 しないことができる 本 事 案 では,こういった 条 例 の 仕 組 みをきちんと 理 解 した 上 で, 条 例 自 体 の 合 憲 性 と 不 許 可 処 分 の 合 憲 性 について 論 ずることが 求 められている 条 例 自 体 の 合 憲 性 に 関 する 主 要 な 問 題 は 法 律 と 条 例 の 関 係 である 徳 島 市 公 安 事 件 上 告 審 判 決 がポイントとなるが,まず, 当 該 判 決 を 正 確 に 理 解 していることが 求 められる その 上 で, 法 律 と 条 例 の 目 的 趣 旨 効 果 をどのように 比 較 するのか,どのような 点 で 法 律 の 範 囲 内 である /ない,という 結 論 を 導 くのかについて 論 じることが, 必 要 である さらに, 人 権 の 保 障 と 民 主 主 義 の 関 係 というテーマにかかわるが, 第 1 段 階 での 周 辺 住 民 の 過 半 数 の 同 意 要 件 が, 実 際 上,いわゆる 禁 忌 施 設 への 拒 否 として 機 能 することも, 問 題 となる つまり,このような 要 件 を 置 くことの 合 憲 性 である 不 許 可 処 分 の 違 憲 性 に 関 しては 安 全 安 心 の 確 保 と 人 権 の 保 障 との 兼 ね 合 いが 問 題 となる こ こでは,B 教 団 の 危 険 性 に 関 する 評 価 が 焦 点 となるが, 資 料 に 掲 げられた 事 実 の 一 面 だけを とらえて, 危 険 だから 不 許 可 は 合 憲, 危 険 でないから 不 許 可 は 違 憲 といった 資 料 の 読 み 方 では 不 十 分 である 本 問 で 前 提 となっているのは, 教 団 の 危 険 性 への 懸 念 にも 一 定 の 理 由 があるが, その 有 無 程 度 等 には 不 確 実 な 面 もあるといった 状 況 である この 文 脈 で, 審 査 基 準 論 が 意 味 を 持 つ 審 査 基 準 論 が 用 いられる 文 脈, 意 義 内 容 を 正 確 に 把 握 した 上 で 検 討 することが 求 められ る 条 例 自 体 の 違 憲 性 及 び 不 許 可 処 分 の 違 憲 性 に 関 しては,どの 人 権 が 侵 害 されているのかが 問 題 となる 本 事 案 において 専 ら 問 題 になるのは, 宗 教 的 行 為 の 自 由 である ここでも, 熟 慮 した 主 張 と 検 討 が 求 められる 本 事 案 の 条 例 や 不 許 可 処 分 において, 居 住 の 自 由 そのものが 制 限 されて いるわけではない 都 市 計 画 法 や まちづくり 条 例 一 般 が 示 しているように, 自 己 の 所 有 する 土 地 に 関 してその 利 用 形 態 が 制 限 されることはあり 得 る 居 住 移 転 の 自 由 や 財 産 権 への 侵 害 で あるゆえに 違 憲 であると 主 張 するためには, 更 に 広 く 深 い 説 得 力 のある 論 述 が 必 要 となる まず 設 問 1においては,これらの 問 題 に 関 して, 判 例 学 説 を 正 確 に 理 解 した 上 検 討 し, 適 切 な 結 論 を 導 くとともに, 説 得 力 のある 理 由 を 示 すことが 求 められている 法 律 との 抵 触 や, 宗 教 的 行 為 の 自 由 の 侵 害 を 抽 象 的 に 指 摘 しただけで, 直 ちに 審 査 基 準 論 を 展 開 するというのでは, 不 十 分 である まず,どのような 点 で,どのような 抵 触 や 侵 害 が 生 じているのかを,B 教 団 の 立 場 から 具 体 的 に 論 じることが 必 要 である 設 問 2におけるC 市 側 の 主 張 では, 設 問 1におけるほど 詳 細 な 論 述 までを 求 めているわけでは ない その 主 張 の 理 由 付 けの 詳 細 が 設 問 2での 自 説 の 検 討 において 述 べられていれば,それでも よい 辰 已 法 律 研 究 所 - 14 -
真 夏 の 論 文 ガイダンス 第 2 弾 その 上 で, 設 問 2では, 設 問 1でのB 教 団 側 の 主 張 と 設 問 2でのC 市 側 の 主 張 を 踏 まえた 上 で あなた の 見 解 を 展 開 することが 求 められている あなた の 見 解 は, 必 ずしも,B 教 団 側 の 主 張 かC 市 側 の 主 張 か,という 二 者 択 一 であるとは 限 らない あなた の 見 解 は,それらとは 異 なる 第 3の 道 となることもあり 得 る 例 えば, 徳 島 市 公 安 事 件 上 告 審 判 決 の 判 断 には 問 題 も ある 同 判 決 の 判 断 が 公 安 条 例 の 場 合 を 超 えて, 他 の 条 例 の 場 合 にどこまで 妥 当 するのかは, 必 ずしも 明 確 ではない ここで,この 問 題 が 論 じられ, 判 例 とは 異 なる あなた の 見 解 が 主 張 さ れることもあり 得 よう また,B 教 団 側 の 主 張 あるいはC 市 側 の 主 張 と 同 じである という 答 えでは, 不 十 分 である なぜ, 一 方 の 主 張 に 賛 成 するのかについての 説 得 力 のある 理 由 が 述 べら れていなければならない - 15 - 辰 已 法 律 研 究 所
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