妊婦の栄養状態とBMIの関連



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平 成 27 年 度 大 学 生 の 食 生 活 等 生 活 習 慣 調 査 結 果 1 目 的 平 成 25 年 3 月 に 策 定 された 健 康 日 本 21あいち 新 計 画 の 栄 養 食 生 活 分 野 の 目 標 項 目 では 2~6 歳 代 の 肥 満 者 の 割 合 と2~3 歳

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

【資料1】栄養強調表示等について

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で

目次

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

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第 2 部 各 論 1 糖 尿 病 に 関 する 柏 市 の 現 状 及 び 健 康 課 題 糖 尿 病 に 関 する 柏 市 の 現 状 から, 柏 市 の 健 康 課 題 を 抽 出 します 柏 市 の 現 状 データ 疾 病 の 指 摘 状 況 再 掲 図 4 成 人 の 疾 病 の 指 摘

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

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学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

5 民 間 事 業 者 における 取 扱 いについて( 概 要 資 料 P.17~19) 6 法 人 番 号 について( 概 要 資 料 P.4) (3) 社 会 保 障 税 番 号 制 度 のスケジュールについて( 概 要 資 料 P.20) 1 平 成 27 年 10 月 から( 施 行 日 は

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農


1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

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1

資料1:勧告の仕組みとポイント 改【完成】

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

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4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

事務連絡

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

別紙3

16 日本学生支援機構

子 育 てをサポート サポートする 休 暇 等 制 度 1 出 産 前 後 の 休 暇 休 暇 等 名 称 妊 娠 出 産 後 通 院 休 暇 ( 特 別 休 暇 ) 妊 娠 中 の 職 員 及 び 出 産 後 1 年 以 内 の 職 員 が 保 健 指 導 又 は 健 康 審 査 を 受 ける 場

●電力自由化推進法案

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18 国立高等専門学校機構

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(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

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毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

これらを 踏 まえ 当 健 保 組 合 では 被 保 険 者 の QOL 向 上 および 医 療 費 適 正 化 に 向 け 生 活 習 慣 病 予 防 対 策 の 追 加 的 な 取 り 組 みを 開 始 した 平 成 23 年 度 は 対 象 疾 病 として 糖 尿 病 にフォーカスする ことと

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1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

m07 北見工業大学 様式①

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

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延長保育料について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

1. 本 市 の 保 育 所 運 営 費 と 保 育 料 の 現 状 2 (1) 前 回 (5/29 5/29) 児 童 福 祉 専 門 分 科 会 資 料 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区 分 別 軽 減 率 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区

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(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%

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守 口 市 立 東 小 学 校 大 久 保 小 学 校 の 統 合 実 施 計 画 目 次 第 1 守 口 市 における 学 校 統 合 の 背 景 1 第 2 東 小 学 校 と 大 久 保 小 学 校 の 統 合 について 1 第 3 統 合 校 の 学 校 づくりについて 2 第 4 東 小

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公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

1 総括

2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

Transcription:

静 岡 県 立 大 学 短 期 大 学 1 研 究 紀 要 25 W 号 (2011 年 度 ) 7 妊 娠 中 の 栄 養 状 態 に 関 する 研 究 -1 妊 婦 の 栄 養 状 態 と BMI の 関 連 内 藤 初 枝 *1 久 保 田 君 枝 *2 Study on the relationship the nutrition of pregnant women-1 Relationship between Pregnancy Nutritional Status and BMI NAITO, Hatsue and KUBOTA, Kimie *1 静 岡 県 立 大 学 短 期 大 学 部 University of Shizuoka Junior College *2 浜 松 医 科 大 学 助 産 学 専 攻 Hamamatsu University of Medicine 1.はじめに 近 年 日 本 の 出 生 児 体 重 の 注 目 すべき 点 は 2500g 未 満 の 低 出 生 体 重 児 の 増 加 である この 50 年 間 で 体 重 増 加 傾 向 は 1980 年 をピークに 徐 々に 低 下 し 2000 年 以 降 も 確 実 に 減 少 が 続 き 現 在 に 至 っている 1) ところで 先 般 平 成 21 年 度 国 民 健 康 栄 養 調 査 の 概 要 が 発 表 され メタボリックシンドローム あるいは 子 ど もの 食 生 活 など 広 範 囲 のデータが 紹 介 されている 中 妊 孕 世 代 の 体 格 食 生 活 面 については 20~40 代 の 女 性 のやせ(BMI が 18.5 以 下 )の 増 加 や 脂 肪 摂 取 エ ネルギー 比 率 の 増 加 カルシウム 摂 取 量 の 不 足 などが 報 告 されている 2) 妊 娠 時 における 母 体 の 栄 養 状 態 の 良 否 は 出 産 後 の 母 子 の 健 康 状 態 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 特 に 近 年 若 い 女 性 のダイエット 志 向 による BMI 値 18.5 未 満 のやせにお いては 妊 娠 中 の 体 重 増 加 量 の 少 ない 傾 向 があり 早 期 産 や 低 体 重 児 出 産 のリ スクが 高 いことが 指 摘 され 3) さらに 低 体 重 児 は 成 人 になると 生 活 習 慣 病 特 に 高 血 圧 のリスクが 高 くなる という Barker DJ の 説 4) なども 報 告 されており 出 生 体 重 2500g 未 満 の 低 体 重 児 出 産 の 増 加 現 象 に 対 し 警 鐘 が 鳴 らされている またカルシウム 不 足 は すでに 十 代 からみられる 傾 向 であるが 津 田 ら 5) 坂 本 ら 6) などの 報 告 からも 低 出 生 体 重 児 出 生 と 何 らかの 関 連 性 が 予 測 される こ

2 のようにやせた 妊 婦 食 事 摂 取 量 の 少 ない 妊 婦 に 関 して 論 じた 報 告 は 上 記 以 外 にもいくつか 見 られる 7)~8) しかしこれらの 多 くは 妊 娠 前 に 限 定 した 栄 養 摂 取 調 査 や 食 事 の 聞 き 取 り 調 査 あるいは 疫 学 的 調 査 のみという 研 究 で 妊 娠 全 期 間 を 通 して 詳 細 な 食 事 内 容 と 胎 児 の 推 定 体 重 および 妊 婦 の 体 重 増 加 について 経 過 を 精 査 した 研 究 は 今 のところ 見 られない そこで 現 在 久 保 田 および 内 藤 ら は 妊 婦 の 非 妊 娠 時 の BMI 区 分 を 基 にして 妊 娠 期 間 初 期 各 期 間 の 妊 婦 の 食 事 を 詳 細 に 分 析 すると 共 に BMI 区 分 別 に 栄 養 摂 取 状 況 を 詳 細 に 調 べ また 各 時 期 の 胎 児 の 推 定 体 重 妊 婦 の 体 重 増 加 量 などを 測 定 し 妊 娠 期 間 中 の 食 事 のバランス 及 び 量 の 良 否 がどのように 胎 児 の 成 長 や 母 体 に 影 響 などの 関 し 検 討 している この 中 から 本 稿 では 妊 婦 の 非 妊 娠 時 の BMI 区 分 を 基 にし て 妊 娠 期 間 初 期 各 期 間 の 妊 婦 の 食 事 を 詳 細 に 分 析 し 栄 養 素 別 に 検 討 したものにつき 報 告 する 2. 研 究 方 法 1) 調 査 対 象 (1) 対 象 妊 婦 : 多 胎 妊 娠 在 胎 週 数 37 週 未 満 の 早 産 内 科 的 ( 現 病 歴 に 内 分 泌 疾 患 など) 妊 娠 に 伴 う 合 併 症 ( 妊 娠 性 糖 尿 病 妊 娠 高 血 圧 症 候 群 重 度 の 妊 娠 性 貧 血 など)に 該 当 しない 健 常 妊 婦 (100 事 例 ) 妊 婦 のBMIの 数 値 をもとに25 以 上 を 肥 満 25~18.5 以 上 を 標 準 18.5 未 満 をやせとして 分 類 する (2) 調 査 場 所 :H 大 学 病 院 産 科 外 来 調 査 アプローチの 方 法 : 妊 婦 外 来 において 対 象 条 件 にあてはまる 妊 婦 に 対 し 調 査 依 頼 書 および 口 頭 で 説 明 し 同 意 書 を 交 わす 対 象 施 設 に 対 して は 研 究 依 頼 を 挨 拶 文 と 口 頭 で 説 明 し 協 力 を 得 る 2) 調 査 期 間 : 平 成 20 年 4 月 から 平 成 22 年 3 月 まで 3) 調 査 方 法 (1) 食 事 調 査 : 初 期 の 各 妊 娠 週 数 の 期 間 に 連 続 3 日 間 の 食 事 摂 取 内 容 をデジタルカメラまたはカメラ 付 き 携 帯 電 話 にて 撮 影 する 1)2)3) 写 真 撮 影 時 には 配 給 したサイズの 明 確 な 用 紙 に 氏 名 週 数 を 記 載 してから 食 器 等 の 中 央 に 置 き 撮 影 する 1 具 体 的 内 容 食 事 調 査 については 妊 娠 初 期 (14~16 週 ) 妊 娠 (25~27 週 ) 妊 娠 末 期 (32~34 週 ) それぞれ 週 の 連 続 3 日 間 の 食 事 ( 間 食 も 含 む)の 喫 食 前 後 を デジタルカメラまたはカメラ 付 き 携 帯 電 話 で 撮 影 し 外 来 受 診 時 にメモ リーカードを 研 究 者 に 渡 す その 内 容 をパソコンにインストールする その 後 食 事 からの 読 み 取 りに 精 通 した 管 理 栄 養 士 が 写 真 から 献 立 の 食 材 およ

3 びその 重 量 を 読 み 取 り その 後 食 事 分 析 ソフトを 用 いて 栄 養 素 量 を 数 値 化 し 栄 養 バランス 等 を 検 討 する なお 市 販 食 品 に 関 しては 包 装 容 器 等 に 記 載 さ れている 栄 養 価 表 示 を 用 いた 3) データ 収 集 分 析 2 食 事 調 査 の 分 析 は 分 担 研 究 者 の 内 藤 を 中 心 に 管 理 栄 養 士 の 資 格 を 有 する 者 を 雇 用 する 栄 養 計 算 ソフト ヘルシーメーカー432 (マッシュルームソフト)を 使 用 し 栄 養 素 別 摂 取 量 を 算 出 し その 後 2010 年 版 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 に 基 づき 妊 婦 の 年 齢 生 活 活 動 指 数 別 に 示 された 推 奨 量 目 標 量 等 の 基 準 値 を 元 に 栄 養 素 別 エネルギー 比 率 等 を 求 める 同 時 に 3 大 栄 養 素 のPF Cバランスも 求 める 3. 倫 理 的 配 慮 1) 研 究 対 象 者 には 口 頭 にて 調 査 内 容 を 説 明 し 同 意 を 得 た 2) 研 究 への 参 加 不 参 加 は 対 象 者 の 自 由 意 思 により 決 定 することができ る 拒 否 した 場 合 でも 不 利 益 を 被 ることはない 3) 途 中 の 離 脱 も 可 能 である その 場 合 においても 不 利 益 を 被 ることはない ことを 説 明 した 4) 回 答 用 紙 は 回 答 者 の 匿 名 性 を 保 持 した 5)データは 無 記 人 とし 匿 名 性 を 保 持 した 6) 調 査 結 果 は 本 研 究 の 目 的 以 外 には 使 用 しない 4. 結 果 1) 妊 婦 の BMI 別 分 布 今 回 の 研 究 に 参 加 した 妊 婦 で 全 期 間 の 食 事 摂 取 写 真 が 揃 った 者 の 人 数 は 125 名 であ る これを BMI 別 に 分 類 した 結 果 を 図 1 に 示 した やせは 22% で 平 成 21 年 度 国 民 健 康 栄 養 調 査 による 20 30 歳 代 女 性 のや せの 割 合 と 同 程 度 と 高 い 比 率 を 示 しており BMI 値 に 関 しては 妊 婦 の 栄 養 指 導 を 行 う 際 留 意 しなければならない 項 目 の 一 つ であることを 確 認 した 2) 各 栄 養 素 の 摂 取 比 率 10% 22% 68% 図 1 妊 婦 の BMI 別 分 布 やせ 標 準 肥 満

4 調 査 対 象 となる 栄 養 素 を 21 種 類 とした この 中 から 妊 娠 期 に 特 に 配 慮 を 要 す るものを 選 択 し 13 項 目 (エネルギー 関 連 として 総 エネルギー 量 たんぱく 質 脂 質 糖 質 を ミネラル 関 連 として Ca Fe 食 塩 (Nacl) ビタミン 関 連 として VB 1 VB 2 VB 6 VC 葉 酸 さらに 炭 水 化 物 の 中 の 食 物 繊 維 など)について 検 討 を 行 った 2)エネルギー 関 連 の 栄 養 摂 取 状 況 (1) 推 定 エネルギー 必 要 量 からみたエネルギー 摂 取 比 率 妊 娠 中 は 初 期 胎 児 の 発 育 に 合 わせて エネルギー 摂 取 量 に は 付 加 量 が 設 定 されており 特 に 後 半 にかけて 妊 婦 の 食 事 は 質 とともに 量 的 に も 多 めに 摂 取 していかなければならない 9) 今 回 の 結 果 では 妊 娠 当 初 からネル ギー 摂 取 比 率 は 80% 程 度 と 低 く さらに 妊 娠 後 半 になるほど 摂 取 比 率 の 低 下 が 顕 著 となり は 程 度 まで 減 少 しており 付 加 量 に 対 してほとんど 対 応 していないことが 判 明 した( 図 2) このことから 多 くの 妊 婦 は 妊 娠 中 であっても 非 妊 娠 時 の 食 事 習 慣 が 大 きく 変 初 期 わることも 意 識 90% 的 に 変 えること 80% も 可 能 性 として 少 ない 状 況 にあ ることを 把 握 で 70% 50% 40% きた これを BMI 30% 区 分 別 に 調 べる 20% と いずれの 群 も 類 似 した 動 きが 10% 0% 見 られ わずかで あるが やせ 群 の 摂 取 比 率 は 各 期 全 体 やせ 標 準 肥 満 間 とも 他 の 群 と 比 較 して 低 い 図 2 妊 娠 各 期 のエネルギー 摂 取 比 率 傾 向 があり また 肥 満 群 ではやや 高 い 傾 向 があった いずれにせよ 妊 娠 期 間 中 を 通 しこのよう な 低 いエネルギー 摂 取 比 率 の 状 況 下 にあることは 胎 児 の 発 育 において 不 適 切 な 環 境 要 因 の 一 つとなることが 推 察 され 妊 娠 期 の 早 期 に 食 事 に 関 する 専 門 家 の 的 確 な 指 導 介 入 が 必 要 であることを 確 認 した (2) 摂 取 エネルギー 量 からみた 三 大 栄 養 素 のエネルギー 摂 取 比 率

5 妊 娠 各 期 間 の 1 日 のエ ネルギー 摂 取 量 は 食 事 やせ 群 摂 取 基 準 の 推 定 エネルギ 60 標 準 群 肥 満 群 ー 量 と 比 較 して 少 ない 傾 50 向 がみられたが 図 3 に 40 は 三 大 栄 養 素 (PFC) % 30 のエネルギー 摂 取 比 率 を 示 した バランスの 良 い 20 PFC 比 は たんぱく 質 10 15% 脂 質 25% 炭 水 化 0 物 であるが 今 回 たんぱく 質 脂 質 糖 質 の 結 果 では たんぱく 質 の 摂 取 比 率 は BMI の 区 分 図 3 三 大 栄 養 素 のエネルギー 比 率 に 関 わらず 全 期 間 を 通 して 概 ね 15% 程 度 となり 良 好 なバランスを 示 していた しかし 脂 質 のエネルギー 比 率 に 関 しては 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果 の 20 歳 代 女 性 28.3% 30 歳 代 女 性 27.3% の 高 値 と 同 様 BMI の 区 分 に 関 わらず 全 期 間 を 通 して 概 ね 32% 程 度 と 非 常 に 高 い 値 を 示 し 全 体 的 にエネルギー 摂 取 量 が 少 ない 摂 取 状 況 であるにもかかわら ず 脂 質 に 限 っては 習 慣 的 過 剰 摂 取 の 傾 向 があることが 把 握 できた 一 方 糖 質 に 関 しては BMI の 区 分 に 関 わらず 全 期 間 を 通 して 概 ね 50% 程 度 と 低 い 値 を 示 し 若 干 ではあるが になるほど 糖 質 の 摂 取 比 率 は 低 くなる 傾 向 がみられ た これらの 結 果 から 三 大 栄 養 素 のエネルギー 摂 取 比 率 では 高 脂 質 比 とこれ に 相 対 する 低 糖 質 比 が 明 らかとなり バランスの 悪 いエネルギー 摂 取 比 率 とな った このことから BMI の 区 分 に 関 わらず 全 期 間 を 通 して 総 エネルギー 量 が 少 なかった 主 要 因 が 糖 質 摂 取 不 足 によるものであることが 明 かとなった 糖 質 摂 取 状 況 に 関 して 注 目 したいのは 妊 娠 初 期 の 摂 取 比 率 は 各 BMI の 区 分 の 平 均 値 は 50.78% は 49.46%であり 若 干 の 減 少 傾 向 を 示 していた こ の 結 果 を 具 体 的 な 食 事 内 容 から 見 ると 白 飯 パン 麺 などの 主 食 の 摂 取 が 少 なく なかでも 白 飯 に 関 しては 1 回 に 摂 取 する 白 飯 量 が 茶 碗 半 分 程 度 あるいは 食 べないなど 意 図 的 に 白 飯 を 控 える 傾 向 が 見 られた 胎 児 の 成 長 は 妊 娠 中 に 急 激 に 高 まり 必 要 とされるエネルギーを 十 分 供 給 することが 必 須 であ り この 時 期 に 主 食 を 初 めとする 十 分 な 食 事 量 を 摂 ることは 大 変 重 要 なことで ある 同 時 に 過 食 に 伴 う 母 体 の 過 体 重 も 見 逃 すことのできない 状 況 の 中 妊 娠 期 間 に 増 加 する 母 体 体 重 との 関 係 にも 十 分 考 慮 しなければならない 妊 娠 期 間 中 妊 婦 は 自 分 の 体 重 の 増 加 をこまめに 把 握 しながら 主 食 を 中 心 とした 食 事 量 を 増 やすことに 心 がけていかなければならない また 妊 婦 に 食 事 指 導 する 側

6 もこの 点 に 配 慮 した 指 導 介 入 が 重 要 である 3) 各 種 ミネラルの 摂 取 比 率 1 140% 120% 前 期 100% 80% 40% 20% 0% 全 体 やせ 標 準 肥 満 全 体 やせ 標 準 肥 満 全 体 やせ 標 準 肥 満 Ca Fe 食 塩 図 4 各 種 ミネラルの 摂 取 率 妊 娠 中 においては Ca は 無 論 微 量 ミネラルの 不 足 に 注 意 しなければならな い ここでは Ca,Fe など 不 足 し 易 いミネラルと 過 剰 傾 向 が 見 られる 食 塩 (Nacl) の 3 種 類 について 検 討 した( 図 4) 今 回 分 析 した 13 種 類 の 栄 養 素 の 中 で 最 も 摂 取 率 が 低 かったものは Fe で 最 も 摂 取 率 が 高 かったものは 食 塩 (Nacl)であっ た これらの 結 果 は 国 民 健 康 栄 養 調 査 の 結 果 と 同 様 の 傾 向 であった また Ca では BMI の 区 分 妊 娠 期 間 に 関 わらず 推 奨 量 650mgに 対 し 平 均 414.1mg で 概 ね 63.7%と 少 ない 結 果 を 示 した 食 事 内 容 からは 牛 乳 あるいはヨーグル トなどの 乳 製 品 を 摂 る 習 慣 ができていない 妊 婦 がかなり 見 られ 毎 日 しっかり っている 妊 婦 と 全 く 摂 らない 妊 婦 の 二 極 化 が 明 かとなった Ca は 牛 乳 を 初 め として 比 較 的 摂 取 易 い 栄 養 素 であり 妊 娠 初 期 からの 指 導 介 入 を 行 えば 十 分 改 善 できる 栄 養 素 であることから 初 期 の 介 入 の 重 要 性 を 再 確 認 した 次 に Fe については 妊 娠 中 Fe の 需 要 は 増 加 するが 非 妊 娠 時 からしっかり Fe を 摂 る 習 慣 ができていない 場 合 は 極 度 の 貧 血 に 陥 ることも 稀 ではない 今 回 の 結 果 からも BMI の 区 分 妊 娠 期 間 に 関 わらず 推 奨 量 に 対 し 平 均 6.01mgと 少 ない 結 果 を 示 した Feは 中 の 付 加 量 が 15mgと 大 幅 に 増 加 するが 妊 娠 後 半 に 入 るほど 少 ない 摂 取 状 況 が 顕 著 となっていた なお 国 民 健 康 栄 養 調 査 でも 若 い 女 性 の 40% 程 度 に Fe 欠 乏 が 見 られ そのうち 10% 程 度 は 鉄 欠 乏 性 貧 血 といわれており 妊 孕 世 代 を 中 心 として 様 々な 機 会 に Fe の 重 要 性 および

7 効 率 よい 摂 取 方 法 などを 紹 介 すべく 具 体 的 な 対 応 策 を 考 えていかなければなら ない 食 塩 (Nacl)については BMIの 区 分 妊 娠 期 間 に 関 わらず7.5g 未 満 の 目 標 値 に 対 し 平 均 9.29gと 過 剰 摂 取 を 示 し100%を 超 えていた 食 塩 に 関 してもCa 同 様 個 人 差 が 大 きく 過 剰 摂 取 している 者 と 極 端 にすくない 者 の 二 極 化 が 明 ら かとなった なお 注 目 したいのは 食 塩 の 摂 取 に 関 しては 食 塩 摂 取 7.5g 以 下 / 日 と 少 ない 摂 取 量 の 妊 婦 の 食 事 が 必 ずしも 良 好 な 食 事 内 容 であるとはいえな いケースも 見 られた 点 である このようなケースでは 欠 食 や 一 回 の 食 事 量 が 著 しく 少 ないことから 塩 分 摂 取 量 も 少 なくなったという 悪 い 食 事 内 容 のもので 20% 程 度 の 妊 婦 に 確 認 された 一 方 塩 分 摂 取 量 が 過 剰 摂 取 を 示 した 妊 婦 の 食 事 内 容 では 献 立 の 種 類 も 多 くしかも 比 較 的 栄 養 素 摂 取 バランスも 充 実 している が しょうゆ 味 噌 塩 などを 調 味 料 とする 和 食 系 が 多 く その 結 果 食 塩 摂 取 量 が 多 くなる 傾 向 が 推 察 された このようなケースの 食 事 指 導 介 入 を 実 施 する 際 には 全 体 としての 良 好 な 食 事 内 容 は 大 幅 に 変 更 せず 日 ごろから 薄 味 に 慣 れてもらうよう 減 塩 指 導 を 実 施 する 必 要 があるが このような 指 導 は 妊 娠 高 血 圧 症 候 群 予 防 のためにも 効 果 的 である 4)ビタミンの 摂 取 比 率 ビタミンの 中 には 胎 児 の 臓 器 形 成 や 母 体 に 影 響 を 及 ぼすものがたくさんあ り 食 事 摂 取 基 準 では12 種 類 のビタミンに 付 加 量 が 設 けられている 本 研 究 で は VA VD VE VB 1 前 期 VB 2 VB 6 VB 12 葉 酸 90% VCの9 種 類 を 分 析 したが 80% 特 に 妊 孕 世 代 において 日 70% 頃 から 意 識 して 摂 取 する ことが 望 ましいVB 1 VB 2 50% VB 6 および 葉 酸 に 関 して 40% 報 告 する 30% (1)VB 1 VB 2 の 摂 取 比 率 20% エネルギー 代 謝 に 関 連 10% 深 いビタミンである 0% 全 体 やせ 標 準 肥 満 全 体 やせ 標 準 肥 満 VB 1 VB 2 について 図 5に 結 VB1 VB2 果 を 示 す いずれのビタ ミンとも 妊 娠 から 付 加 図 5 VB 1 およびVB 2 の 摂 取 率 量 が 加 わることから 摂 取 比 率 は 徐 々に 低 くなっていた のVB 1 摂 取 量 は0.71mgで 50% 程 度 であった 次 にVB 2 に 関 しても 妊 娠 から 徐 々に 摂 取 比 率 は 低 くなり のVB 2 摂 取 量

8 は88mgで 程 度 まで 減 少 していった なおVB 2 ではBMIの 区 分 による 摂 取 率 の 違 いは 特 に 見 られなかった (2)VB 6 および 葉 酸 の 摂 取 比 率 ホモシスチン- 前 期 メチオニン 代 謝 に 70% 重 要 なビタミンで あるVB 6 および 葉 50% 酸 の 食 事 摂 取 基 準 40% については 妊 婦 の 推 奨 量 はVB 6 は 1.9mgである 摂 取 30% 20% 10% 比 率 については 0% 全 体 やせ 標 準 肥 満 全 体 やせ 標 準 肥 満 VB 6 摂 取 比 率 は 全 体 平 均 では0.89mg VB6 葉 酸 概 ね40% 程 度 であった 図 6 VB 6 および 葉 酸 の 摂 取 率 BMIの 区 分 では 肥 満 群 で 全 期 間 を 通 し50%を 超 えていたが いずれの 群 も 摂 取 率 としては 明 らかに 不 足 していた また 葉 酸 の 食 事 摂 取 基 準 の 妊 婦 の 推 奨 量 は480mgであるが 妊 娠 期 間 BMIの 区 分 に 関 わらず50% 程 度 と 少 ない 結 果 を 示 した (3)VCの 摂 取 比 率 VCは 食 習 慣 として 毎 日 野 菜 や 果 物 を 十 分 摂 取 する 家 庭 とほとんど 摂 らない 家 庭 で 摂 取 量 に 明 瞭 に 差 がで るビタミンの 一 つで 食 事 摂 取 基 準 の 妊 婦 の 推 奨 量 は 110mgである 本 研 究 結 果 か ら 全 般 を 通 して 食 事 内 容 が 良 好 である 場 合 は VC 摂 取 比 率 が 高 い 傾 向 を 示 した BMIの 区 分 からは 前 期 80% 70% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 全 体 やせ 標 準 肥 満 Vc やせ 群 標 準 群 では 概 ね55% 図 7 VCの 摂 取 率 程 度 肥 満 群 では70% 近 い 摂 取 率 となった ( 図 7)

9 5) 食 物 繊 維 の 摂 取 比 率 妊 婦 に 常 習 的 に 見 られ 80% る 便 秘 解 消 のためにも 食 70% 事 摂 取 基 準 の 目 標 量 であ る17g 程 度 の 摂 取 が 望 ま 50% れる 栄 養 素 である ( 図 8) 40% 結 果 から 肥 満 群 の 初 期 で 30% 70% 程 度 と 若 干 高 率 を 示 20% し やせ 群 では 概 ね50% 10% 0% 程 度 と 少 ない 傾 向 を 示 し 全 体 やせ 標 準 肥 満 た VCの 摂 取 比 率 と 比 較 食 物 繊 維 するとBMIの 区 分 妊 娠 期 間 いずれにおいても 図 8 食 物 繊 維 の 摂 取 率 同 様 の 摂 取 率 を 示 し 野 菜 果 物 の 摂 取 状 況 がVC, 食 物 繊 維 の 双 方 に 影 響 していることが 把 握 できた 6. 考 察 福 岡 秀 興 (2003)はやせ 型 (smell thin or short disproportional)の 体 形 を 示 す 発 育 の 阻 害 された 新 生 児 は 特 に 成 人 病 発 症 に 対 するリスクが 高 く また 注 意 すべき 対 象 妊 婦 として やせた 妊 婦 の 場 合 妊 娠 中 の 体 重 増 加 量 は 少 な い 傾 向 があり 早 期 産 や 低 出 生 体 重 児 を 発 症 する 率 は 最 も 高 く 十 分 な 栄 養 指 導 や 栄 養 補 給 がなされなければならないと 述 べている 3) そこで 本 研 究 では BMI の 区 分 別 に 妊 娠 期 に 準 じて13 種 類 の 栄 養 素 の 摂 取 比 率 を 比 較 したところ 食 事 2) 摂 取 基 準 の 目 標 量 を 超 えた 栄 養 素 は 脂 質 と 食 塩 で 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果 でも 過 剰 摂 取 に 対 し 警 鐘 を 鳴 らしている 栄 養 素 である いずれも 食 習 慣 として 過 剰 摂 取 が 常 習 化 しやすい 栄 養 素 であることから 妊 娠 初 期 の 早 期 から 問 診 な どを 通 して 摂 取 状 況 をアセスメントし 妊 婦 に 対 し 留 意 すべき 栄 養 素 である ことを 指 導 する 必 要 がある 一 方 食 事 摂 取 基 準 の 推 奨 量 に 対 し 最 も 摂 取 率 が 低 いFeに 関 しては 全 期 間 を 通 して 平 均 5.82 mg で 妊 娠 期 の 付 加 量 を 加 える と30% 程 度 の 充 足 率 となっていた 若 い 女 性 のFeの 不 足 に 伴 う 貧 血 の 問 題 は 妊 娠 前 できれば 高 校 生 の 時 期 までに 貧 血 改 善 の 重 要 性 を 教 育 の 場 あるいは 調 理 実 習 などを 設 けるなどの 対 策 を 立 て 簡 単 にFeの 摂 取 ができる 具 体 的 方 法 な どを 提 示 して 啓 蒙 することが 急 務 である Fe 剤 の 活 用 も 一 つの 方 法 ではあるが 基 本 は 食 事 の 改 善 が 第 一 であることも 徹 底 していくべきであろう Feと 同 様 摂 取 率 が 低 いエネルギー 量 に 関 しては 主 食 の 少 なさによる 糖 質 摂 取 率 低 下 が 大 きな 課 題 であり 胎 児 の 成 長 は 妊 娠 中 に 急 激 に 高 まり 必 要 とされるエ ネルギーを 十 分 供 給 することが 必 須 であり この 時 期 に 主 食 を 初 めとする 十 分 前 期

10 な 食 事 量 を 摂 ることは 大 変 重 要 なことである 妊 娠 期 間 に 増 加 する 母 体 体 重 と の 関 係 もあり 過 体 重 にならないよう 配 慮 しなければならない また 妊 婦 に 食 事 指 導 する 側 もこの 点 に 配 慮 した 指 導 介 入 が 重 要 で 若 い 女 性 のやせ 志 向 から くるダイエットの 大 きな 誤 りを 様 々な 機 会 に 是 正 していくことが 求 められる またVB 1 は 糖 質 代 謝 に 不 可 欠 のビタミンであるが 今 回 の 糖 質 摂 取 率 が 程 度 であったことを 考 慮 すれば このようにVB 1 摂 取 率 が50% 程 度 と 少 なく ても いわゆるVB 1 欠 乏 症 などは 見 られなかった ただしVB 1 欠 乏 症 が 見 られなか ったことを 良 しとせず 妊 婦 の 糖 質 摂 取 に 関 しては 今 後 しっかり 摂 取 できる 具 体 的 な 指 導 方 法 を 考 えていかなければならない 同 時 に 糖 質 摂 取 時 にはVB 1 の 摂 取 を 増 やすよう 指 導 していくことも 必 要 である 葉 酸 は 初 期 に 不 足 すると 神 経 形 成 障 害 を 起 こすといわれるビタミンで 本 来 妊 娠 前 から 十 分 な 摂 取 が 望 ま れる 母 性 衛 生 の 分 野 では 確 実 な 葉 酸 摂 取 を 促 すため 妊 娠 を 希 望 する 対 象 者 にサプリメントの 葉 酸 服 用 を 勧 めている 今 回 の 調 査 でも7% 程 度 の 妊 婦 が 葉 酸 を 服 用 していたが その 割 合 は 非 常 に 低 かった 栄 養 指 導 の 立 場 からもサプリ メントの 葉 酸 の 意 義 を 十 分 理 解 し 指 導 に 向 けて 紹 介 していくことが 大 切 であ る VCに 関 しても 日 常 果 物 を 摂 る 習 慣 なども 確 認 されているが 今 後 妊 婦 の 食 事 内 容 を 具 体 的 に 精 査 する 必 要 がある ところで 全 体 的 に 肥 満 群 では 他 の 群 と 比 較 して 食 事 摂 取 状 況 が 充 実 してい るケースが 多 く あたかも 妊 娠 期 の 付 加 量 に 沿 った 食 事 内 容 の 妊 婦 が 見 受 けら れた しかしこれは 付 加 量 に 配 慮 した 食 事 摂 取 をしていたというよりも お そらく 非 妊 娠 時 から 食 事 摂 取 量 を 多 目 に 摂 るような 食 習 慣 が 形 成 されており 妊 娠 中 も 従 来 どおり 食 事 摂 取 量 を 多 目 に 摂 っていたものと 推 論 され この 場 合 は 出 産 後 過 剰 摂 取 の 食 習 慣 に 対 し 正 しい 食 事 習 慣 を 指 導 する 必 要 がある 本 来 妊 娠 期 間 はバランスの 良 い 食 事 であると 共 に 時 期 に 応 じて 量 も 増 やし ていかなければならないが 今 回 の 結 果 からは 全 期 間 を 通 して 付 加 量 に 配 慮 した 食 事 摂 取 内 容 ができている 者 は 非 常 に 少 なく これに 関 しても 妊 娠 初 期 か らの 的 確 な 食 事 指 導 の 必 要 性 を 実 感 した ただ 本 研 究 でテーマとしている や せの 妊 婦 の 食 事 摂 取 量 は 標 準 肥 満 の 各 群 と 比 較 して 少 ないであろう とい う 仮 定 は 現 時 点 の 結 果 からは 立 証 できなかった この 結 果 は 河 野 らの 一 般 に 母 体 の 低 栄 養 では 出 生 体 重 は 小 さくなると 考 えられているが 母 体 の 栄 養 状 態 とは 必 ずしも 直 線 的 な 関 係 ではない 11) とする 結 果 と 同 様 であった いずれ にせよ 今 回 の 結 果 で 警 鐘 すべきは やせ 群 だけでなくすべての 群 で 食 事 内 容 が 貧 弱 な 傾 向 にある 点 である 今 回 は 妊 婦 の 食 事 内 容 に 限 定 して 報 告 したが 今 後 出 生 児 の 体 重 や 具 体 的 な 食 事 内 容 の 解 析 なども 検 討 し 妊 婦 の 食 事 に 関 し 問 題 点 を 提 示 し 改 善 方 法 を 模 索 していく 予 定 である

11 引 用 文 献 1) 福 岡 秀 興 : 現 代 の 妊 産 婦 の 栄 養 問 題 妊 産 婦 のための 食 生 活 指 針 策 定 の 意 義 と 背 景, 臨 床 栄 養,109(2),150-153,2006. 2) 平 成 21 年 度 国 民 健 康 栄 養 調 査 3) 福 岡 秀 興 : 妊 娠 中 体 重 増 加 を 考 える 胎 児 期 低 栄 養 と 成 人 病 発 症 について (Barker 説 ) 臨 床 栄 養 Vol.102 No.3 2003.3 4)Barker,D.J.:Fetal origins of coronary heart disease,bmj,311,171-174,1995 5) 津 田 淑 江 他 : 妊 娠 前 の 母 親 の 食 生 活 栄 養 状 態 と 低 体 重 出 産 との 関 連, 日 本 家 政 学 会 誌,53 (10),1009-1020,2002. 6) 坂 本 裕 子 : 妊 娠 期 の 食 品 摂 取 状 況 と 栄 養 指 導 のあり 方 について, 栄 養 学 雑, 61(3),171-182,2003.7 7) 上 田 惠 子 吉 田 昭 三 森 川 肇 : 非 妊 時 の 体 格 別 にみた 妊 娠 母 体 の 至 適 体 重 増 加 に 関 する 研 究, 母 性 衛 生,48(1),122-131,2007 8) 中 林 正 雄 他 : 妊 婦 の 体 重 増 加 最 近 の 傾 向, 臨 床 婦 人 科 産 科,60(3),252-255, 2006 9)2010 年 度 食 事 摂 取 基 準 10)Godfrey,K.,Robinson,s.,Barker,D.J.: Maternal nutrition in early and late pregna ncy in relation to placental and fetal growth. BMJ, 312, 410-414, 1996 11) 河 野 由 美 三 科 潤 : 周 産 期 の 栄 養 と 身 体 発 育, 周 産 期 医 学,35 増 刊 号,509-513, 2005. (2012 年 2 月 13 日 受 理 )