JSTニュース2015年4月号

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

●電力自由化推進法案

m07 北見工業大学 様式①

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

公表表紙

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

18 国立高等専門学校機構

●幼児教育振興法案

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鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

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社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

東京都立産業技術高等専門学校

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16 日本学生支援機構

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自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

文化政策情報システムの運用等

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

一般競争入札について

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学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

スライド 1

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

様式(補助金)

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

育休代替任期付職員制度について

推 進 項 目 15 人 材 育 成 の 強 化 重 要 A 番 号 取 組 事 業 名 151 職 員 の 専 門 性 向 上 作 成 日 H 更 新 日 H 担 当 部 署 32 総 務 部 人 事 課 責 任 者 吉 田 克 夫 担 当 者 人 事 人 材 育 成 担

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入


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Taro-01 議案概要.jtd

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Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt


( 参 考 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 ( 平 成 25 年 法 律 第 107 号 )( 抄 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 及 び 構 造 改 革 特 別 区 域 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 27 年 法 律 第 56 号 ) による 改 正 後 (


道 内 シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー の 現 状 に つ い て は 契 約 金 額 に お い て は 請 負 契 約 で は 減 少 し た も の の シ ル バ ー 派 遣 事 業 の 大 幅 な 伸 び に よ り 5 年 ぶ り に 前 年 実 績 を 上 回 っ た が 会

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2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

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定款  変更

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

2. 当 初 の 目 的 と 現 状 コア 会 議 の 役 割 目 的 現 状 分 析 マネジメント 会 議 の 運 営 や あり 方 問 題 取 り 組 みにつ いての 議 論 会 員 からの 意 見 の 吸 い 上 げ と 内 容 の 各 会 議 への 振 り 分 け 全 体 会 運 営 会 議

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

Microsoft Word 利子補給金交付要綱

70 愛媛大学

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

理化学研究所の役職員への兼業(兼職)依頼について

1 農 地 中 間 管 理 機 構 のねらい (1)24 年 度 から 開 始 した 各 市 町 村 における 人 農 地 プラン ( 地 域 の 農 業 者 の 徹 底 した 話 合 いにより 人 農 地 問 題 の 解 決 方 向 や 地 域 農 業 の 将 来 のあり 方 を 明 確 にしてい

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1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

2 1.ヒアリング 対 象 (1) 対 象 範 囲 分 類 年 金 医 療 保 険 雇 用 保 険 税 備 考 厚 生 年 金 の 資 格 喪 失 国 民 年 金 の 加 入 老 齢 給 付 裁 定 請 求 など 健 康 保 険 の 資 格 喪 失 国 民 健 康 保 険 の 加 入 健 康 保 険

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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企 画 課 企 画 部 満 了 2 55 総 務 部 企 画 室 設 置 認 可 学 部 佐 賀 大 学 附 属 図 書 館 医 学 分 館 設 置 申 請 書 企 画 室 企 画 調 査 係 2004/4/1 30 年 2005/4/1 2035/3/31 ファイル 事 務 室 企 画 部 企 画

学校安全の推進に関する計画の取組事例

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

慶應義塾利益相反対処規程

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

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Microsoft PowerPoint - 基金制度

弁護士報酬規定(抜粋)

資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

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世 界 トップ 水 準 の 国 立 研 究 開 発 法 人 スタート イノベーション 時 代 に 合 わせた 国 の 新 しい 法 人 制 度 が12 年 ぶりに 発 足 する 科 学 技 術 振 興 機 構 (JST)や 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA)など30の 公 的 研 究 機 関 が4 月 1 日 から 国 立 研 究 開 発 法 人 として 衣 替 えし 日 本 医 療 研 究 開 発 機 構 (AMED)が 新 設 された 日 本 の 強 みを 生 かした 制 度 で 大 学 の 若 手 研 究 者 や 企 業 からの 期 待 も 大 きい わが 国 の 科 学 技 術 戦 略 を 実 施 推 進 する 中 核 的 な 組 織 であるJSTの 道 治 理 事 長 に 新 制 度 にか ける 思 いと 覚 悟 を 語 ってもらった さらに この 制 度 の 政 策 立 案 に 数 年 がかりで 取 り 組 んできた 定 之 文 部 科 学 審 議 官 にはその 真 の 狙 いを 森 本 浩 一 内 閣 府 政 策 統 括 官 には 科 学 技 術 政 策 の 舵 取 りの 立 場 から それ ぞれの 期 待 や 要 望 を 聞 いた ( 聞 き 手 科 学 ジャーナリスト 浅 羽 雅 晴 ) 文 化 としての 科 学 の 上 にイノベーションを 実 現 道 治 科 学 技 術 振 興 機 構 理 事 長 まず 現 場 からの 斬 新 な 提 言 を 挙 げよう 国 立 研 究 開 発 法 人 に 衣 替 えしました まず どのような 気 持 ちで 臨 みますか うですね 2 年 ほど 前 に 国 内 の ファンディ ング 機 関 会 合 を 呼 びかけ 先 月 はJAXA との 連 携 協 定 を 結 びました 縁 組 や つなぎ 役 が 見 えてきます これは 何 を 目 指 していますか JSTはわが 国 の 科 学 技 術 イノベー いつも 将 来 の 課 題 を 考 えて 先 手 ション 政 策 の 中 枢 的 な 推 進 機 関 として 科 学 技 術 イノベ ーションの 創 生 や イノ ベーション 基 盤 の 形 成 科 学 技 術 政 策 の 提 言 活 動 などに 取 り 組 んで きました 新 法 人 になったのを 機 に この 総 合 性 を さらに 鮮 明 にしながら インパクトの 大 き いイノベーションを 実 現 し 持 続 的 な 成 長 に 寄 与 したいのです 独 立 行 政 法 人 ができて 以 来 12 年 ぶ りの 制 度 改 革 です 職 員 にはどんな 呼 び かけをしますか 先 手 で 対 応 するようにしています JSTは 大 学 研 究 機 関 企 業 などといず れも 近 い 関 係 にあり まず 第 一 に 注 力 すべきは これらを つなぐ ことです 日 本 の 科 学 技 術 システムや 組 織 はブツ 切 り 状 態 で 一 貫 性 や 関 連 性 に 乏 しいのが 欠 点 です 国 全 体 として 最 もうまくいくようにそれぞ れ が 連 携 して 努 力 すべきだと 考 え 私 が 理 事 長 に 就 任 以 来 特 にこの 点 に 力 を 入 れ バー チャル ネットワーク 型 研 究 所 の 進 化 を 通 じて 国 としての 総 合 力 の 発 技 術 基 本 計 画 でも 強 調 される 見 込 みで す が J S Tは 今 年 から 先 行 して 制 度 改 革 日 本 の 浮 沈 がかかっています ま 揮 を 目 指 してきました に 取 り 組 むつもりです ずJST 職 員 自 らが 新 制 度 の 中 核 的 な 実 施 推 進 者 であることを 強 く 認 識 してほ しい 熱 い 意 欲 を 持 ち 常 に 現 場 に 立 脚 また 他 のファンディング 機 関 との 連 携 プログラムも 実 現 して き ました さら に 世 界 的 な 科 学 コミュニティのコアメンバーの 若 手 を 支 援 し 活 用 する 具 体 的 にはどんなことを した 具 体 的 な 戦 略 を 編 み 出 し 創 意 工 夫 一 員 としての 活 動 にも 取 り 組 んでいます 次 世 代 のリーダーになる 優 れた 若 で 斬 新 な 提 言 を 打 ち 出 し 粘 り 強 く 取 り 組 んでほしいのです 高 い 使 命 感 と 自 信 を 持 って 思 索 し 行 動 すれば 何 事 かをなし 得 るはずです たと え 失 敗 したとしても また 一 段 高 いレベル で 再 挑 戦 するくらいの 心 意 気 が 必 要 です 早 くも 幾 つかの 先 手 を 打 っているよ 海 外 とのパイプも 太 くしてきたために ど の 国 がどんな 将 来 像 を 描 き 何 を 期 待 し てい るかが 見 えてきました 政 府 は 現 在 科 学 技 術 外 交 に 力 を 入 れており 私 たちも 日 本 のプレゼンス 向 上 に 貢 献 します 次 に 取 り 組 む べきテ ーマ は 人 づくり です 2016 年 度 から 始 まる 第 5 期 科 学 手 が 高 い 目 標 に 向 かってのびのびと 研 究 に 打 ち 込 めるような 環 境 作 りが 今 回 の 制 度 改 革 の 大 き な ポイントで す J ST の 事 業 には 個 人 型 研 究 の さきがけ や A-STEP ( 研 究 成 果 最 適 展 開 支 援 プ ログラム)などがありますが 大 学 の 若 手 研 究 者 がもっと 参 画 しやすくなるよう 3

に 工 夫 します 大 型 研 究 ERATO や CREST などのリーダーやメンバーも 若 返 りを 図 りたい 国 際 関 連 で は 予 算 を 獲 得 してから 取 り 組 むという 融 通 のきかないやり 方 でし た が これ からはJSTの 事 業 の 全 てを 国 際 化 します 例 えばCRESTの 関 係 者 が ドイツやフランスのチームと 一 緒 になっ て 将 来 のコンピューター 技 術 を 開 発 した いとなれば 現 在 のCRESTメンバーがそ のまま 海 外 と 共 同 研 究 ができるように 工 夫 したい 人 材 育 成 はあれこれと 議 論 す る 前 に 今 すぐにでもできることがたくさ んあります 研 究 管 理 者 の 実 践 教 育 や 派 遣 も ポスドクなどの 若 手 が 不 遇 をかこっ てきました 3 0 代 半 ばを 過 ぎ ても 数 年 単 位 の 短 期 プロジェクトを 渡 り 歩 き 不 安 定 で 不 満 が 鬱 積 して いま す J STの 協 力 で 抜 本 的 な 対 策 は 可 能 でしょうか 非 常 に 重 要 な 点 です 若 手 のキャ リアパ スは 大 学 内 だ け で 苦 労 してやり 繰 りするのではなく もっと 世 の 中 全 体 で 幅 広 く 考 えれば 解 決 できるはずです 既 存 の 概 念 を 打 破 し 革 新 的 なイノベー ションを 創 出 するためにJSTが 進 めてい るCOI 各 拠 点 には 大 学 や 企 業 から 数 十 人 規 模 で 集 まって 活 動 するようになりま した また 研 究 開 発 法 人 を 中 核 に イ ノベーションハブ を 作 り 統 合 型 の 研 究 を 進 めて 世 の 中 にモノ コトを 出 せるよ うな 事 業 を 始 めます 若 手 研 究 者 がこの ような 拠 点 活 動 に 参 加 して 知 識 や 経 験 の 幅 を 広 げることを 期 待 しています また 今 月 から 始 める PM 研 修 制 度 は 将 来 の 研 究 管 理 者 (PM)としての 人 材 育 成 をします 若 手 研 究 者 が 将 来 研 究 管 理 やマネージャーを 目 指 そうとするなら ぜひともここで 知 識 や 実 務 を 身 に 付 けて ください キャリアパスの 閉 塞 感 を 解 消 するには 幅 広 い 専 門 教 育 が 役 立 ちます こうした 実 践 教 育 はJSTが 得 意 とす るところですか 確 かにJSTがやりやすいといえま すが さらに 充 実 させます 産 業 技 術 総 合 研 究 所 の 中 には 吉 川 弘 之 元 理 事 長 が 作 っ た ドクターズイノベーション があり 研 究 に 没 入 しているドクターにも 社 会 的 な 課 題 を 考 えてもらい あるいは 産 業 界 か らの 要 請 を 学 んでもらえるような 研 修 制 度 があります これもロールモデルの1つ になるでしょう 大 学 には 研 究 活 動 の 企 画 マネジ メントや 研 究 成 果 活 用 促 進 を 行 う 新 た な 人 材 のリサーチアドミニストレーター (URA)が 必 要 だといわれています 大 学 でできることはお 任 せしたい ので すが 人 材 育 成 や 頭 脳 の 流 動 化 を 加 速 することはJSTで も 可 能 で す 大 学 か らURAの 人 材 を 送 ってほしいとの 要 請 は たくさんきて います す で に 何 人 か の 優 れたスタッフを 派 遣 しましたが 評 判 が 良 くて 求 めに 応 じきれ な い 状 態 で 常 に10 大 学 以 上 が 派 遣 を 待 ち 望 んでいます 社 会 との 関 係 をさらに 深 化 させる イノベーションを 標 榜 する 新 制 度 だ けに 社 会 と 科 学 技 術 との 関 係 は 一 層 重 要 になりますね もはや 科 学 者 たちの 努 力 だけでは 20 世 紀 のような 大 きな 進 歩 は 望 めず 複 雑 で 多 様 な 社 会 と 科 学 技 術 との 摩 擦 にも 対 処 しきれなくなっています 社 会 と 科 学 の 関 係 を 見 直 す ブダペスト 宣 言 が 転 機 となり 大 きく 変 わりました 優 れ た 成 果 を 生 み 出 すだけではなく むしろ 科 学 と 社 会 あ るい は 市 民 と 共 に 未 来 の 新 し い 価 値 を 共 創 する 時 代 に 入 ったのです 自 然 科 学 系 と 人 文 科 学 系 とがどう 協 力 し 連 携 して 取 り 組 む か も 問 わ れて いま す そ の 意 味 で も 科 学 と 社 会 の 真 ん 中 にJSTを 位 置 付 け 問 題 解 決 に 取 り 組 み た い と 思 い ま す J S Tに は 社 会 技 術 研 究 開 発 センター (RISTEX)という 多 方 面 の 人 文 社 会 学 系 研 究 者 と 十 分 に 議 論 で きる 場 があり 成 果 も 挙 げてきました こ れをもっともっと 推 進 していきたいのです 社 会 科 学 系 のどんな 知 見 が 必 要 に なりますか 科 学 技 術 が 将 来 の 社 会 経 済 にどん なインパクトを 与 えるかを 予 測 し 戦 略 を 描 くにあたって 社 会 科 学 系 のデータや 解 析 手 法 をベースにした 協 業 が 必 須 です 今 後 ELSI( 倫 理 的 法 的 社 会 的 問 題 )も 重 要 なテーマに なります このような 議 論 や 対 話 ができる 場 を 作 ろうと 思 います 科 学 を 社 会 に 定 着 させ 社 会 とどう 連 携 させるか が 重 要 で す どん な 活 動 を していますか アメリカ 科 学 振 興 協 会 (AAAS) や 欧 州 のユーロサイエンスなど 各 国 の NPO( 非 営 利 組 織 )との 付 き 合 いが 増 え ています 毎 年 11 月 に 日 本 科 学 未 来 館 周 辺 で 開 かれる 科 学 と 社 会 のコミュニケー ションの 場 サイエンスアゴラ は 徐 々に 認 知 度 が 高 まり いまや 世 界 中 に 知 られ るようになりました わが 国 の 近 代 化 政 策 は150 年 かけてこ こまで きました が 科 学 や 学 術 知 識 を もっと 受 け 入 れられるような 社 会 になっ てほしいものです 英 国 王 立 科 学 研 究 所 の ファラデーの 金 曜 講 話 を 見 ると い かに 長 い 歴 史 と 伝 統 に 支 えられているか がわかります 科 学 が 文 化 としてあたり 前 に 受 け 入 れられるような 国 の 姿 を 描 いて いきたいものです その 上 で 科 学 技 術 イノ ベーションが 大 事 なのだということを 共 有 する 世 の 中 になればと 思 います イノベーション 国 立 国 語 研 究 所 による 外 来 語 の 言 い 換 え 提 案 では イノベーションは 技 術 革 新 経 営 革 新 事 業 革 新 革 新 と 訳 され 新 聞 などもこの 意 味 で 使 うことが 多 い しかし 科 学 技 術 政 策 で 使 われるときには 物 ごとの 新 結 合 新 機 軸 新 しい 切 り 口 によって 新 たな 価 値 を 創 造 し 社 会 的 に 大 きな 変 革 をもたらすことを 指 す オーストリア 出 身 の 経 済 学 者 ヨーゼ フ シュンペーターによって 初 めて 定 義 された 単 なる 技 術 的 な 革 新 で はなく 世 の 中 に 普 及 して 新 しい 富 を 生 み 出 す 新 たな 概 念 のことをいう 国 立 研 究 開 発 法 人 で 変 わる 主 なポイント 1) 目 的 = 研 究 開 発 の 最 大 限 の 成 果 を 確 保 する 2 ) 目 標 期 限 = 5 ~ 7 年 3) 目 標 記 載 内 容 = 研 究 成 果 の 成 果 の 最 大 化 その 他 業 務 の 質 の 向 上 4 ) 評 価 主 体 = 主 務 大 臣 5) 総 合 科 学 技 術 イノベーション 会 議 が 目 標 策 定 評 価 の 指 針 に 関 与 する 4 April 2015

研 究 成 果 を 確 実 に 社 会 に 実 装 する 定 之 文 部 科 学 審 議 官 研 究 の 特 殊 性 に 合 わせた 大 きな 改 革 国 立 研 究 開 発 法 人 制 度 の 立 案 に 長 年 携 わってこられました と 理 化 学 研 究 所 ( 理 研 ) の2つを 指 定 することを 考 えています 理 事 長 に 大 幅 な 裁 量 権 が 与 えられた 日 本 経 済 の 再 生 成 長 の 要 としてイ 研 究 開 発 法 人 の 花 はなんでしょうか ノベーションを 生 み 出 す 体 制 を 作 るのが 最 も 大 きいのは 人 件 費 を 含 めて 理 目 的 です わが 国 の 研 究 開 発 システムは 大 学 で の 研 究 企 業 で の 研 究 開 発 国 家 自 らが 行 う3つ のタイプがあります 新 し い 研 究 開 発 法 人 は3つ 目 にあたります 独 立 行 政 法 人 下 の 研 究 開 発 は 効 率 重 視 の 厳 しい 規 則 に 縛 られて 世 界 標 準 の 研 究 環 境 を 整 備 確 保 できなくなっていまし た 例 えば 必 要 な 実 験 装 置 を 買 うにも 一 般 の 行 政 機 関 と 同 じ 調 達 ルールなどが 適 用 されていました 研 究 活 動 は 一 般 的 な 事 務 と 違 って 必 ずしも 成 功 するわけではなく 実 際 にやっ てみないとわからないことが 多 いのです 成 果 がすぐに 得 られるとも 限 りません 予 算 も 計 画 通 り 執 行 できないことがよく 事 長 の 裁 量 権 が 大 幅 に 認 められたことで す 世 界 の 先 進 国 と 戦 うた めで す 研 究 チ ームをどう 構 成 するかなど は 理 事 長 独 自 の 経 営 の 色 合 いが 出 るでしょうから 研 究 所 ごとに 優 れた 特 長 が 出 てくるもの と 期 待 しています 研 究 評 価 の 内 容 も 大 きく 変 わるので しょうね 目 的 が 変 われば 当 然 評 価 も 変 わり ます 研 究 成 果 の 最 大 化 が 新 制 度 の 眼 目 ですから そのためにチャレンジがなさ れているかどうかがポイントになるでしょ う これまでのように 論 文 や 特 許 が 何 本 出 た かだ け で は なく 投 資 に 値 する 挑 戦 がどのようになされ どんな 成 果 が 生 ま 定 之 つちや さだゆき 文 部 科 学 審 議 官 1979 年 北 大 院 修 了 旧 科 学 技 術 庁 入 庁 文 部 科 学 省 基 盤 政 策 課 長 総 務 課 長 大 臣 官 房 長 科 学 技 術 学 術 政 策 局 長 等 を 経 て 2014 年 より 現 職 の 商 習 慣 を 基 準 にされていては 流 動 化 頭 脳 循 環 は 起 こせません あり 想 定 できな い ので す 今 回 こうし れたかが 新 たに 評 価 されるはずです で も 社 会 経 済 文 化 の 地 球 規 模 た 研 究 開 発 の 特 殊 事 情 に 合 わせてルール を 変 えることで 世 界 の 最 先 端 の 研 究 活 動 と 競 争 し 成 果 を 挙 げられ るように 環 境 整 備 することになったのです 運 営 方 法 が 世 界 標 準 になれば あとは 研 究 者 の 皆 さんの 能 力 と やり 遂 げると いうパッション( 情 熱 )で 目 標 を 達 成 でき るはずです 目 的 は 研 究 環 境 を 世 界 標 準 にすることに 尽 きるのです 欧 米 の 先 進 国 にはすでに 予 算 や 人 事 が 柔 軟 にできる 制 度 が 整 っており 研 究 所 の 運 営 を 迅 速 若 手 人 材 の 流 動 化 は 社 会 制 度 が 変 わらない 限 り 難 しいのではないでしょう か 銀 行 に 資 金 提 供 を 申 し 込 んでも クレ ジットカードの 申 請 でも 在 職 歴 など 旧 来 化 は 急 速 に 進 んでいますから 日 本 だけ の 特 殊 事 情 がいつまでも 続 くわけではあ りません あ る 日 突 然 に 変 化 するか もし れ ませ ん 国 際 協 力 で の 仕 事 とは 諸 外 かつスムーズに 進 めています 従 来 の 独 立 行 政 法 人 と 新 たな 研 究 開 発 法 人 の 位 置 付 けはどうなのですか 簡 単 にいえば この 制 度 は2 階 建 てです 独 立 行 政 法 人 という 土 地 の 上 に 国 立 研 究 開 発 法 人 を 建 て 一 部 2 階 建 てとして 特 定 国 立 研 究 開 発 法 人 を セットで 考 えていました 後 者 は 特 にイノ ベーションを 担 う 世 界 でもトップクラスの 特 別 な 法 人 として 産 業 技 術 総 合 研 究 所 5

国 と 同 じ 価 値 観 同 じ 仕 組 みで 取 り 組 む ことです 遠 からず 変 わらざるをえないで しょう 人 材 問 題 には 高 い 関 心 が 向 けられて います ポスドク 問 題 や 若 手 研 究 者 の 待 遇 改 善 の 見 通 しはどうなるのでしょうか それはむしろ 運 用 の 問 題 になるで しょう 若 い 研 究 者 が 自 立 して 研 究 がで きるように どうチャンスを 与 えていくか は 理 事 長 の 裁 量 であり 成 果 も 挙 がるで しょう 時 代 の 追 い 風 を 受 け 輝 く 存 在 に 新 制 度 を 作 るにあたってどんな 苦 労 がありましたか 新 たな 制 度 が 現 行 のものより 良 く なるのだと 関 連 省 庁 に 理 解 して いた だ かなくてはいけません とにかく 国 際 化 の 激 しい 競 争 下 で 戦 わざるをえなくなっ た 研 究 活 動 を 元 気 にし 世 界 標 準 の 優 れ た 環 境 でできるようにしたいとの 思 いで 作 りました そこがポイントです JSTの 看 板 に 新 たに 研 究 開 発 が つくことで 前 向 きの 意 識 が 生 ま れて い るようです 研 究 活 動 にはいろいろなパターン が 必 要 とされています イノベーションは 単 なる 技 術 的 対 応 ではなく 社 会 的 な 対 応 と 合 わせて 初 めて 新 たな 価 値 創 造 ができるわけです JSTはベストチーム を 組 むことで 研 究 開 発 力 を 高 め その 橋 渡 しや 面 倒 見 をしてきました 研 究 開 発 力 強 化 法 によってベンチャー 発 足 の 初 期 段 階 から 出 資 ができるようになりまし た このように 時 代 の 追 い 風 を 受 けて い まやJSTは 誰 からも 必 要 な 法 人 として 認 められるようになり 輝 く 存 在 へと 成 長 し ています がんばってください この 出 資 機 能 が 持 てるようになったの は 大 きなことです 昔 は 研 究 開 発 で 育 成 してきても 社 会 実 装 の 段 階 で 手 放 さざ るをえませんでした ベンチャーを 作 って スタートアップ 資 金 を 出 せるようになった のは 大 きな 進 歩 です 確 実 に 社 会 実 装 ま で 道 筋 をつ けられ るように なりました イ ノベーションは 社 会 にその 成 果 を 還 元 し なければいけません 会 社 作 りでCEO ( 最 高 経 営 責 任 者 )が 必 要 です そのため の 事 業 化 に 必 要 な 人 材 供 給 やアドバイス ができる 仕 組 みをJSTに 作 ってほしいの です 生 態 系 のように 進 化 し イノベーションを 簡 単 にいえば 経 済 と 社 会 のさまざま な 要 素 が 自 然 の 生 態 系 のように 多 面 的 で 継 続 的 な 相 互 関 係 によって 成 り 立 つも のをイノベーション エコシステムと 呼 ん で います 産 業 と 大 学 官 庁 が 生 態 系 の ように 時 代 にあわせて 進 化 しながら 有 機 的 に 結 びつき うまく 動 き 出 すと 日 本 全 体 が 変 わり 新 製 品 新 マー ケットを 世 界 に 打 って 出 せるようになるでしょう コーディネーターやマネージャーな どの 新 しい 役 割 も 計 画 的 に 育 成 するこ とによって 社 会 的 なポジションも 獲 得 す ることができるでしょうね 社 会 がそういう 能 力 評 価 をするよ うになると 思 います もう 一 つは 独 創 的 で 挑 戦 的 な 研 究 テーマや 研 究 者 を 見 出 す JSTの 目 利 き のような 方 が 次 々に 生 ま れることが 大 事 なのです 事 業 化 にあたっ て 誰 が 適 切 かを 見 極 めるのは 難 しい 会 社 内 部 の 人 か 証 券 会 社 の 人 かと 迷 いま す これ からはそうした 人 たちが 活 躍 で きるようになり 将 来 は 人 材 マー ケットも 生 まれることでしょう 科 学 の 人 材 づくりこそ 国 力 の 源 森 本 浩 一 内 閣 府 政 策 統 括 官 成 長 戦 略 の 重 要 な 役 割 を 担 う 国 の 科 学 技 術 政 策 の 司 令 塔 の 立 場 か らの 期 待 や 要 望 はありますか 森 本 日 本 の 国 際 競 争 力 をどう 強 化 する のか 基 礎 研 究 の 成 果 を 実 用 化 事 業 化 にいかにつなげるかが 求 められています イノベーションに 最 も 適 した 国 になる 上 で 国 立 研 究 開 発 法 人 の 役 割 に 大 きな 期 待 が 寄 せられて います 安 倍 内 閣 の3 本 の 矢 の1つ 成 長 戦 略 の 重 要 な 役 割 をこ の 研 究 開 発 法 人 が 担 っているともいえる でしょう 新 しい 研 究 開 発 法 人 はどんなイメー ジに 例 えればよいでしょうか 森 本 激 しい 国 際 競 争 を 戦 うにあたり 独 法 時 代 の 手 枷 足 枷 を 外 し 研 究 開 発 の 長 期 性 不 確 実 性 専 門 性 という 特 性 に 合 わせた 新 しい 制 度 に 変 えました 大 学 と 企 業 をつなぐ 橋 渡 しの 役 割 も 強 く 求 め られています つまり 滞 っていた 成 果 や 技 術 の 移 転 を 一 気 に 実 用 化 事 業 化 につ なぐ 新 幹 線 の 役 割 ですね これまでも 在 来 線 で 大 学 と 企 業 を 結 んではいましたが 今 度 は 新 幹 線 で 輸 送 力 とスピードを 大 幅 にパワーアップ しようというわけですね 森 本 そんなイメージかと 思 います JST は 研 究 資 金 配 分 だけ で は なく 大 学 や ベ ンチャー 企 業 を 先 導 するプレーヤーの 役 目 を 担 ってほしいのです 現 場 に 足 を 踏 み 入 れ 研 究 者 と 一 体 に なって 支 援 策 を 考 え 仕 組 みや 制 度 の 問 題 点 研 究 者 の 悩 みを 一 緒 に 解 決 してほしいのです 成 果 の 最 大 化 と 効 率 化 実 現 するには 人 も 金 も 要 りますが 森 本 同 じ 資 金 でも 最 大 の 効 果 が 生 まれ るようにパフォーマンスを 上 げないと 競 争 力 は 高 まりません 生 み 出 す 成 果 の 最 大 化 だ け で なく いか にして 最 大 の 効 率 化 を 図 るかという 両 面 の 意 味 があります 質 の 向 上 と 言 い 換 えることもできます 研 究 開 発 法 人 にはどこで 関 わってき ましたか 森 本 私 は 海 洋 研 究 開 発 機 構 や 原 子 力 機 構 などを 担 当 した 経 験 があります で すから 研 究 開 発 法 人 の 組 織 力 や 機 動 力 に は 信 頼 を 置 いています 一 人 でなんでもこ なす 個 人 プレー 型 の 大 学 の 教 員 と 違 って 6 April 2015

チームワークが 大 事 だということをそれ ぞ れ の 現 場 から 学 びました 成 果 の 最 大 化 のためには 日 本 の 得 意 とするチーム 力 をどう 発 揮 するかにかかっています どこか 先 進 国 でモデルにしたところ はありましたか 森 本 ドイツでいえばマックスプランク 研 究 所 やフラウンホーファー 研 究 機 構 な どの 大 きな 研 究 所 です さまざまな 分 野 の 融 合 や 連 携 によってイノベーションを 生 み 出 して い る 実 例 があり こ れらが 参 考 になりました この2つの 研 究 所 はそれぞれ 傘 下 に 数 十 の 研 究 所 を 持 ち 研 究 所 長 が 大 学 の 教 授 職 も 兼 ねています 日 本 にもこの 方 式 は 有 効 ですか 森 本 人 材 の 流 動 化 が 日 本 では 乏 しく て 企 業 と 大 学 間 企 業 と 独 法 や 大 学 と 独 法 の 間 も 固 定 化 されていました これ からは 頭 脳 循 環 がイノベーションを 生 み 出 す 原 動 力 として 重 要 視 されます 新 し いアイデアや 経 験 をどのように 取 り 入 れ 融 合 していくかでイノベーションの 質 が 決 まってきます ただ 旗 振 りをするだけでなく 企 業 人 が 大 学 の 教 授 と 兼 務 でき 大 学 人 が 研 究 開 発 法 人 で 兼 務 してもらうクロスアポイ ントメント( 二 重 役 職 制 )を 昨 年 から 始 め ました 成 長 戦 略 の 議 論 でも 年 金 制 度 や 社 会 保 険 退 職 金 など 雇 用 労 働 に 関 する 仕 組 みが 追 いついていないとの 指 摘 があ りました 研 究 者 にとっても 自 由 度 が 増 し ますので 大 いに 普 及 させたいのです リニアモデルから 螺 旋 的 に 進 化 するモデルへ 研 究 開 発 法 人 になると 基 礎 研 究 の 入 口 より 実 用 化 や 事 業 化 の 出 口 に 重 心 が 置 かれるようになりそうです 森 本 従 来 のような 基 礎 研 究 から 応 用 開 発 へ 次 に 実 用 化 へと 段 階 的 に 進 むい わゆるリニアモデルが 通 用 しない 時 代 に 入 ったので す 基 礎 が 応 用 に 直 結 したり 応 用 からまた 基 礎 に 逆 戻 りして 原 理 から 考 え 直 したりして 螺 旋 的 に 進 化 するモデ ルに 変 化 してきています 出 口 を 見 据 えて 基 礎 研 究 を 一 気 通 貫 で 強 力 に 推 進 するこ ともあれば 逆 に 出 口 から 現 在 やるべき 研 究 を 設 定 するバックキャスト 型 のやり 方 もあります 研 究 プロセスの 多 様 性 や 分 野 などに 応 じて 最 もふさわしいやり 方 でのマネジメントが 必 要 なのです すると 大 学 の 研 究 体 質 も 変 わらざる をえないでしょうね 森 本 イノベ ーション は 経 済 学 者 シュ ンペーターが 言 うように 新 結 合 が 元 々 の 語 源 で す 今 まで 全 く 別 のものと 思 わ れていたものをつなぎ 合 わせて 新 しい 価 値 を 生 み 出 すのです もちろん 基 礎 研 究 にも 応 用 研 究 の 分 野 にもあります あ らゆる 局 面 でイノベーションを 起 こすこと なので す その 道 筋 をネットワークで つな ぎ バリューチェーン( 価 値 連 鎖 )を 生 み 出 すことが 必 要 でしょう 内 閣 府 は 革 新 的 研 究 開 発 推 進 プログ ラム (ImPACT インパクト)の 事 務 局 を JSTに お 願 いして います これ は 今 まで と 違 う 競 争 的 資 金 のやり 方 で プログラ ム マネージャー(PM)がプロデューサー としての 役 割 を 果 たし 研 究 開 発 をリー ドしていきます それをJSTにしっかりサ ポートしてもらい 非 連 続 のイノベーショ ンを 起 こしてほしいのです イノベーションには2つのタイプがあっ て 改 善 に 改 善 を 積 み 重 ねる 連 続 的 な ものと ある 日 突 然 に 思 いもかけないよ うなアイデアの 刺 激 を 受 けて 飛 躍 的 に 変 化 する 革 新 的 な 非 連 続 なものがあり ます 後 者 を 狙 って 内 閣 府 はImPACTを 始 めました この 手 法 を 他 の 分 野 や 仕 組 みの 中 にも 導 入 したいと 考 えています ImPACTに 大 学 の 若 手 研 究 者 を 積 極 的 に 送 り 込 んで JSTや 企 業 関 係 者 と 一 緒 に 取 り 組 み 数 年 後 には 大 学 に 戻 って 活 躍 してもらうような 試 みはできないもの でしょうか 森 本 いいですね JSTのPD(プログラ ムディレクター)やPMには 企 業 から 来 て もらって いま す が もっと 若 い 人 に 就 い ていただきたいのです 例 えばあるPM は 豊 かで 柔 軟 な 発 想 力 を 持 ち バ イタリ ティーもある45 歳 以 下 のチームを 作 り うまくコーディネートしています 若 手 のポスドク 問 題 については 森 本 ポスドクの 雇 用 が 不 安 定 で 恒 久 的 なポストが 不 足 しているとの 現 場 の 悩 森 本 浩 一 もりもと こういち 内 閣 府 政 策 統 括 官 19 8 2 年 東 大 院 修 了 旧 科 学 技 術 庁 入 庁 文 部 科 学 省 大 臣 官 房 審 議 官 筑 波 大 学 副 学 長 理 事 内 閣 府 大 臣 官 房 審 議 官 等 を 経 て 2015 年 より 現 職 みを 早 く 解 決 したいのです 大 学 の 運 営 費 交 付 金 が 毎 年 1%ずつ 減 らされている 中 で 基 盤 的 経 費 と 競 争 的 資 金 の 両 方 で 支 えていますが 両 方 一 体 的 な 改 革 を 進 めないといけません 若 手 でも 優 秀 な 人 にはテニュアへの 道 が 開 けることを 十 分 アピールしていかないと 優 秀 な 人 材 が 集 められません 安 心 して 研 究 に 専 念 でき る 環 境 作 りが 必 要 です 最 後 に 大 学 の 技 術 支 援 者 や 技 術 者 の 扱 いが 重 要 で す ね 昔 と 違 って 大 学 院 卒 や 博 士 号 を 持 つなど 高 度 化 しているも のの 社 会 的 地 位 や 評 価 が 不 十 分 との 不 満 があります ここに 光 を 当 てることはで きないものでしょうか 森 本 研 究 活 動 をスムーズに 進 めるには 研 究 者 一 人 でできることには 限 りがあり ます 高 度 なサポートができる 支 援 者 技 術 者 なしにはいい 成 果 は 見 込 めません 知 財 の 専 門 家 や データベース 作 りの 専 門 家 細 胞 培 養 の 得 意 な 技 術 者 電 子 回 路 の 設 計 者 などです こういう 支 援 者 た ちのキャリアパスを 職 種 として 確 立 する 必 要 があり 社 会 的 な 地 位 を 確 保 する 必 要 があります それを 放 置 しておくと 日 本 のもの 作 りも 先 端 研 究 も 立 ち 行 かなく なるでしょう それには 社 会 全 体 の 意 識 改 革 が 必 要 なのです PHOTO: 浅 賀 俊 一 7