6.ビルピット 排 水 の 硫 化 水 素 と 臭 気 に 関 する 実 態 調 査 6.1 調 査 の 目 的 下 水 道 施 設 からの 悪 臭 を 防 止 するためには 発 生 原 因 となっているビルピット 排 水 が 悪 臭 防 止 法 の 規 制 に 違 反 しているかを 調 査 した 上 で, 適 正 に 対 処 する 必 要 がある しかしな がら 下 水 道 管 理 者 は 悪 臭 防 止 法 の 権 限 を 有 さないことがほとんどであり ビル 内 への 立 ち 入 り 検 査 が 困 難 なため 法 違 反 の 確 認 が 困 難 である 前 述 したように 下 水 道 管 理 者 の 権 限 により 可 能 な 調 査 手 法 の 一 つとして 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 から ビルピットの 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 や 臭 気 指 数 を 推 測 し 悪 臭 防 止 法 に 抵 触 する 恐 れの 有 無 を 判 定 その 後 必 要 に 応 じビル 管 理 者 を 指 導 する 手 法 を 提 案 し た 提 案 した 臭 気 苦 情 対 策 では 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 から ビルピットにおける 液 相 中 の 硫 化 水 素 濃 度 や 臭 気 指 数 を 推 測 する 必 要 があるが ビルピットの 液 相 中 硫 化 水 素 や 臭 気 が 汚 水 桝 において 硫 化 水 素 ガスとして 発 生 するまでの 過 程 には ビルピットや 汚 水 桝 の 構 造 や 原 水 の 水 質 滞 留 時 間 ポンプの 仕 様 ( 能 力 形 状 )など 多 くのパラメータが 関 与 しており 単 純 な 生 化 学 反 応 ではその 過 程 を 再 現 すること 困 難 である ここでは 実 際 に 存 在 するビルピットの 実 態 調 査 を 行 うことで 液 相 中 の 硫 化 水 素 濃 度 及 び 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 を 明 らかにした また 加 えて 不 明 確 な 部 分 が 多 いビルピット 排 水 の 水 質 の 実 態 を 把 握 した 6.2 調 査 対 象 施 設 調 査 対 象 とするビルピットは T 市 とK 市 の 20 棟 のビルにおいて 計 25 箇 所 のビルピッ ト(1 つのビルに 複 数 のピットが 存 在 する 場 合 有 り)とした 調 査 対 象 ビルの 選 定 にあたっては 以 下 の 方 針 に 基 づいた 選 定 方 針 ピットの 種 別 が 汚 水 槽 雑 排 水 槽 混 合 槽 のいずれかであること 湧 水 の 侵 入 により 汚 水 等 が 薄 められないこと 常 時 ピットへの 流 入 があること( 地 階 部 の 施 設 利 用 者 が 多 いこと) 硫 化 水 素 の 発 生 しやすい 下 水 であること 既 に 撹 拌 や 曝 気 の 対 策 を 実 施 している 場 合 は 手 動 運 転 が 可 能 なこと 調 査 時 の 異 臭 漏 れや 害 虫 飛 散 によりテナント 営 業 に 影 響 がないこと ビル 管 理 者 の 協 力 が 得 られること 25
6 3 調査方法 調査は 冬季及び夏季,秋季の3シーズンに実施した 調査を実施したピットと調査時 期は表 6.1 に示す通りである 気相中硫化水素 汚水桝 H2Sgas 貯留水の液相中硫化水素 H2Sgas P H2Sgas ビルピット 貯留水の液相中臭気指数 図 6.1 測定概要 測定項目は ビルピットでは貯留水を採取し 悪臭防止法の規制対象である臭気指数及 び 特定悪臭物質としてビルピットに起因して検出される主な物質である硫化水素 液相 中 を測定した また その他に 水質特性を把握するために 水温及びpH ORPを 測定した 図 6.1 汚水桝では ビルピット貯留水が汚水桝に排水された後の気相中における硫化水素濃度 を測定した 試料の採取及び各種分析項目の測定場所は 同一建物のビルピットと汚水桝の 2 箇所で 行った 調査の手順は 図 6.2 に示すとおりであり ①ビルピットの貯留水採取及び補足デー タ測定 ②ビルピット貯留水採取後速やかにビルピット排水ポンプを手動で操作し強制排 水 ③汚水桝での気相中硫化水素濃度測定とした 26
表 6.1 調査箇所及び調査時期 ピット種別 冬季 夏季 公営駐車場 汚水 3 冬季のみ 公営駐車場 雑排水 冬季のみ 官公庁施設A 3 冬季のみ 駅舎 3 冬季のみ ホテルA 汚水 3 冬季のみ 商業系ビルA 汚水 3 冬季のみ 商業系ビルA 3 冬季のみ 商業系ビルA 雑排水 3 冬季のみ 商業系ビルB 雑排水 4 冬季のみ 商業系ビルC 汚水 4 商業系ビルC 雑排水 商業系ビルD 雑排水 4 ホテルB ホテルC 汚水 ホテルC 4 ホテルD 居住系ビル 事務系ビル 汚水 官公庁施設B 汚水 官公庁施設C ホテルE 事務系ビルB 官公庁施設D 商業系ビルE 雑排水 7 4 3 商業系ビルF 調査時期の数値は 調査回数を示す 27 秋季 ビルピット測定項目 臭気指数 硫化水素 ビル種別 4
汚 水 桝 拡 散 式 硫 化 水 素 計 を 設 置 ( 測 定 開 始 ) ビルピット ポンプ 及 び 撹 拌 曝 気 装 置 停 止 ピット 内 水 位 を 確 認 ( 調 査 可 能 水 位 まで 待 機 ) 貯 留 水 採 取 及 び 補 足 データ 測 定 手 動 にて 強 制 排 水 排 水 終 了 排 水 終 了 後 30 分 程 度 まで 測 定 図 -6.2 調 査 手 順 6.4 調 査 機 材 及 び 分 析 方 法 汚 水 桝 及 びビルピット 貯 留 水 における 採 水 方 法 並 びに 測 定 項 目 の 分 析 方 法 は 次 の 通 り である 1ビルピットにおける 分 析 ビルピット 排 水 は 悪 臭 防 止 法 の 3 号 規 制 を 受 ける 規 制 対 象 は 都 道 府 県 により 異 なり 特 定 悪 臭 物 質 (22 物 質 )か 臭 気 指 数 のいずれかである 各 規 制 対 象 の 分 析 は 環 境 省 告 示 第 9 号 に 基 づき 硫 化 水 素 はガスクロマトグラフ 分 析 装 置 による 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 測 定 臭 気 指 数 は 嗅 覚 測 定 法 により 測 定 を 実 施 した なお ビルピット 貯 留 水 の 採 水 は ハイロート 式 採 水 器 ( 写 真 -6.1)を 使 用 した 採 水 の 深 度 は 水 面 から 0.5~1mとし 水 位 が 採 水 深 度 より 低 い 場 合 は 採 水 が 可 能 な 水 位 による 採 水 を 行 った 2 汚 水 桝 における 分 析 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 の 計 測 は 拡 散 式 硫 化 水 素 計 ( 写 真 -6.2)を 使 用 した この 機 器 は データロガーを 搭 載 したポータブルサイズの 計 測 器 であり 設 置 が 容 易 (マ ンホール 開 閉 を 含 め 設 置 時 間 は1 分 程 度 )な 上 長 期 間 の 連 続 測 定 が 可 能 である また 計 測 のタイミングは ビルピットにおける 採 水 ( 手 動 によるポンプ 作 動 及 び 強 制 排 水 )の 前 後 各 30 分 程 度 の 連 続 測 定 とし 強 制 排 水 後 の 最 大 濃 度 を 得 た ただし 冬 季 データに 28
ついては硫化水素農が極めて低濃度であったことから ガスクロマトグラフによる分析を 行った なお 連続測定時間 約時間 については 本調査に要した時間であり 実際の現場 では いつポンプが稼働するか予測できないため もう少し長い時間の連続測定が必要と 考える 写真 6.1 写真 6.2 ハイロート式採水器 拡散式硫化水素計 29
6.5 調 査 結 果 実 態 調 査 の 結 果 一 覧 を 表 -6.2 に 示 す 表 -6.2 実 態 調 査 結 果 一 覧 (1) 硫 化 水 素 濃 度 臭 気 指 数 調 査 日 都 市 調 査 対 象 施 設 対 象 水 水 温 ph ORP 汚 水 桝 ( 気 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 14.1 8.04 69 N.D N.D 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 14.1 7.53 77 N.D 5 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 17.1 7.56 157 N.D 26 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 17 6.85-75 0.3 34 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 17.5 6.87-16 1.1 34 2008/1/29 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 18.3 6.44-66 0.8 30 2008/1/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 汚 水 14.5 8.85 51 2.8 13 2008/1/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 汚 水 14.2 9.06-20 2.4 21 2008/1/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 汚 水 14.3 8.99 8 1.2 20 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 14.9 6.63 103 0.3 19 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 14.8 6.38 110 1.6 26 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 14.9 6.18 21 2.2 26 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 16.6 7.67-149 1.3 24 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 15.4 7.59 30 3.7 34 2008/2/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 16 7.56-13 1.1 21 2008/2/5 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 13.4 7.4 91 0.1 8 2008/2/5 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 13.4 7.67 93 0.2 18 2008/2/5 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 13.8 7.61 89 N.D 15 2008/2/12 K 市 ホテルA 汚 水 15 7.77-90 6.1 30 2008/2/12 K 市 ホテルA 汚 水 17.4 8.79-151 2.2 13 2008/2/12 K 市 ホテルA 汚 水 16 8.65 77 N.D 14 2008/2/12 K 市 商 業 系 ビルD 汚 水 14 9.04-126 1.3 29 2008/2/12 K 市 商 業 系 ビルD 汚 水 14.7 8.75 19 0.4 30 2008/2/12 K 市 商 業 系 ビルD 汚 水 13.6 8.79-83 0.5 29 2008/2/12 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 15 7.77-90 1.7 19 2008/2/12 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 14.7 7.69 106 N.D 20 2008/2/12 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 14.4 7.68 46 N.D 23 2008/9/23 T 市 ホテルC 汚 水 32 7.43-252 26.8 43 2008/9/23 T 市 ホテルC 混 合 水 32 7.12-241 7.1 34 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 24 7.48-140 19 N.D 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 25 7.89-122 5 1 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 C 汚 水 23 7.79-264 185.6 4.7 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 23 5.08-57 220 5.5 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 28 6.98-83 10 0.015 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 25.5 5.99 25 66.8 4.6 2008/9/29 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 28 6.6-10 53.2 0.18 2008/9/30 K 市 商 業 系 ビルD 汚 水 25.5 7.75-148 16.4 0.37 2008/9/30 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 25 6.34-22 14.4 0.29 2008/9/30 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 26 6.64 138 12.7 0.14 2008/9/30 K 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 24.5 7.5 202 11.9 N.D 2008/9/30 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 24 7.3-34 8.3 1 2008/9/30 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 26.5 7.91-158 11.4 0.15 2008/10/11 T 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 23 7.1-194 619 40 2008/10/11 T 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 31.5 8-18 6.7 35 2008/10/11 T 市 居 住 系 ビル 混 合 水 30 6.9-200 233.5 38 2008/10/11 T 市 官 公 庁 施 設 B 汚 水 26.5 8.7-189 19.3 31 2008/10/11 T 市 官 公 庁 施 設 A 汚 水 23.4 6.8-140 20 24 2008/10/11 T 市 事 務 系 ビル 汚 水 23.1 8.1-260 40.1 40 30
表 -6.2 実 態 調 査 結 果 一 覧 (2) 硫 化 水 素 濃 度 臭 気 指 数 調 査 日 都 市 調 査 対 象 施 設 対 象 水 水 温 ph ORP 汚 水 桝 ( 気 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) 2008/10/11 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 28 7.2-212 134.1 38 2008/10/11 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 25.6 7.8-142 28 44 2008/10/17 T 市 商 業 系 ビルC 汚 水 23.4 9.1-200 27 28 2008/10/17 T 市 商 業 系 ビルC 雑 排 水 27.3 6-78 164 35 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 23.5 8.3-380 29.7 6.8 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 26.1 5.9-167 78.9 5.3 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 26.6 6.3-108 68.8 2.8 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 C 汚 水 25.3 7.0-284 176.8 6 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 23.4 6.7-112 72.5 1.4 2008/10/21 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 27.6 7.2 48 5 N.D 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 27.4 7.5-183 2.4 1.7 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 24.2 6.6-101 326 0.84 2008/10/22 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 25.9 6.5-91 14.4 1.4 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 25.9 6.6-160 83.6 3.6 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 26.2 6.9 92 16.7 0.32 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 24.7 7.4-135 17.8 0.68 2008/10/22 K 市 官 公 庁 施 設 C 汚 水 22.8 8.9-242 11.1 2.2 2008/10/22 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 24.7 7.9-105 11.1 1.3 2008/11/26 T 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 21 7.3-237 251.6 34 2008/11/26 T 市 ホテルC 汚 水 28.5 8.5-50 9.4 31 2008/11/26 T 市 ホテルC 混 合 水 30 8 26 4 25 2008/11/27 T 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 21 7.5-204 127.3 33 2008/11/27 T 市 ホテルC 汚 水 28.5 8.5-75 76.6 28 2008/11/27 T 市 ホテルC 混 合 水 29.5 8.1-67 17.5 25 2008/11/27 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 24.5 7.1-254 589.6 39 2008/11/27 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 22.5 7.6-224 62.8 35 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 19.4 7.85-342 21.4 4.5 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 19.4 7.49-36 44.6 3.7 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 C 汚 水 17.9 7.31-255 213.8 4.3 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 19.5 4.9-250 124.6 1.1 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 C 汚 水 16.3 7.35 106 4 N.D 2008/12/3 K 市 商 業 系 ビルB 雑 排 水 21.3 5.56-64 19.5 0.86 2008/12/3 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 20.6 7.21 45 4.8 0.001 2008/12/4 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 18.6 5.91-39 97 0.003 2008/12/4 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 22.3 5.91-43 30.5 1.5 2008/12/4 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 23.7 6.19-147 48.6 0.99 2008/12/4 K 市 官 公 庁 施 設 C 混 合 水 20.1 7.26-9 4.6 0.5 2008/12/4 K 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 19.2 7.25-45 4.8 0.33 2008/12/4 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 26.6 5.53-86 21 1 2008/12/5 K 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 19.3 5.96-22 70.4 0.013 2008/12/5 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 24 5.81-48 75.6 2.1 2008/12/5 K 市 官 公 庁 施 設 A 雑 排 水 23.4 5.84-132 101.7 1.3 2008/12/5 K 市 官 公 庁 施 設 C 雑 排 水 20.1 5.03 28 61.5 1.4 2008/12/1 T 市 商 業 系 ビルC 汚 水 18.5 9.1-255 54.3 34 2008/12/1 T 市 商 業 系 ビルC 雑 排 水 26 5.6-330 193.2 31 2008/12/1 T 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 20.5 7.1-209 223.2 35 2008/12/1 T 市 ホテルC 汚 水 27 8.4 25 7 30 2008/12/1 T 市 ホテルC 混 合 水 29 8.1-88 6 31 2008/12/1 T 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 30.5 7.8 56 10.1 31 2008/12/1 T 市 居 住 系 ビル 混 合 水 25.5 6.8-187 18.9 45 2008/10/11 T 市 事 務 系 ビル 汚 水 23.1 8.1-260 40.1 40 31
表 -6.2 実 態 調 査 結 果 一 覧 (3) 硫 化 水 素 濃 度 臭 気 指 数 調 査 日 都 市 調 査 対 象 施 設 対 象 水 水 温 ph ORP 汚 水 桝 ( 気 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) ビルピット ( 液 相 部 ) 2008/12/1 T 市 事 務 系 ビル 汚 水 19.2 8-258 48.7 40 2008/12/2 T 市 商 業 系 ビルC 汚 水 18.5 9.2-213 34.4 35 2008/12/2 T 市 商 業 系 ビルC 雑 排 水 25 5.9-208 212.3 39 2008/12/2 T 市 商 業 系 ビルD 雑 排 水 21 7.1-153 203.4 36 2008/12/2 T 市 ホテルC 汚 水 29 8.4-36 6 29 2008/12/2 T 市 ホテルC 混 合 水 28.2 8.3-5 4.3 34 2008/12/2 T 市 官 公 庁 施 設 A 混 合 水 30.8 8 18 36.5 33 2008/12/2 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 21 7.8-299 470.7 45 2008/12/2 T 市 商 業 系 ビルD 混 合 水 24.5 7.2-257 189.4 38 32
(1)ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 について 検 討 した 結 果 を 示 す. 図 -6.3 より,ビルピット 臭 気 指 数 が 高 くなるにしたがい, 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 も 高 くなる 傾 向 にあることが 分 かった.ただし, 臭 気 指 数 が 高 くなると, 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 のバラツキも 大 きくなった.なお, 図 中 の 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 につい て, 冬 季 データの 内, 定 量 下 限 値 (0.1ppm) 未 満 のデータは 0.1ppm として 整 理 した. ビルピットに 流 入 する 排 水 の 種 別 ( 以 下 ピット 種 別 ),すなわち, 汚 水 (トイレ 排 水 ), 雑 排 水 ( 厨 房 浴 室 排 水 ), 及 び 混 合 水 ( 汚 水 + 雑 排 水 )の 種 別 に 着 目 して, 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 とビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 との 関 係 について 見 ると,3 種 のピットの 内, 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 最 も 高 い 傾 向 にあったのは 雑 排 水 で, 次 いで 混 合 水 であった. 汚 水 は, 臭 気 が 激 しくても, 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 は 80ppm 以 下 と 比 較 的 低 かった. 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 0 10 1 混 合 水 雑 排 水 汚 水 0 10 20 30 40 50 0.1 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 図 -6.3 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 33
(2)ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 について 検 討 した 結 果 を 示 す 図 -6.4 より データのバラツキが 大 きいものの ビルピット 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 高 くなるにしたがい 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 も 高 くなる 傾 向 にあった ピット 種 別 による 傾 向 を 見 ると 3 種 のピットの 内, 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 最 も 高 い 傾 向 にあったのは 汚 水 で 次 いで 雑 排 水 であった データのバラツキが 大 き いため 一 概 には 言 えないが 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 はビルピットの 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 20~30 倍 程 度 になっている なお このピット 種 別 による 傾 向 は 3.1に 示 したビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 と 若 干 異 なる これは, 臭 気 指 数 の 測 定 方 法 が 複 合 臭 に 対 応 したものであることに 関 係 していると 推 察 される つまり 例 えば 汚 水 はアンモニ ア 由 来 の 臭 気 が 逸 出 しているために 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 との 関 係 が 比 較 的 表 れ にくい 傾 向 にあると 考 えられる 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 350 300 250 200 150 50 0 混 合 水 雑 排 水 汚 水 0 2 4 6 8 ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (mg/l) 図 -6.4 ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 34
(3) 硫 化 水 素 発 生 要 因 前 述 の 通 り ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 及 び 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 高 いと 汚 水 桝 に おいて 硫 化 水 素 が 発 生 しやすい 傾 向 にあることが 分 かった ここでは 硫 化 水 素 を 発 生 し やすくする 要 因 について 検 討 する 1) 水 温 の 影 響 本 調 査 は 冬 季 (1~2 月 ) 夏 季 (9~10 月 ) 秋 季 (11~12 月 )の3シーズンに 実 施 した シーズン 毎 にビルピット 貯 留 水 の 水 温 に 差 があることから 水 温 と 汚 水 桝 におけ る 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 発 生 傾 向 について 図 -6.5 に 整 理 した 図 より 明 らかなように 水 温 が 概 ね 18 を 境 にして 汚 水 桝 において 発 生 する 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 に 大 きな 差 が 生 じた 水 温 が 18 以 下 の 場 合 汚 水 桝 に おける 硫 化 水 素 濃 度 は 極 低 濃 度 で あるのに 対 し 18 以 上 になると 硫 化 水 素 の 発 生 が 顕 著 になっている ここで ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 及 び 液 相 中 硫 化 水 素 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 を 水 温 の 視 点 から 見 てみる( 図 -6.6 図 -6.7) ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 については 水 温 が 低 い(18 以 下 ) 場 合 にその 値 が 低 く なっており 臭 気 そのものの 発 生 が 抑 制 されていると 考 えられた また 同 時 に 汚 水 桝 に おける 気 相 中 硫 化 水 素 の 発 生 も 抑 制 されていると 考 えられた ビルピットの 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 についても 同 様 で 水 温 が 低 い 場 合 ビルピット 貯 留 水 及 び 汚 水 桝 における 硫 化 水 素 の 発 生 は 抑 制 されているものと 考 えられた 以 上 のことから 水 温 が ビルピット 及 び 汚 水 桝 における 硫 化 水 素 の 発 生 要 因 に 大 きく 関 わっていることが 示 された 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 700 600 500 400 300 200 0 水 温 18 硫 化 水 素 発 生 し 易 い 硫 化 水 素 発 生 しにくい 0 10 20 30 水 温 図 -6.5 水 温 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 35
汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 0 10 1 水 温 18 以 上 水 温 18 未 満 0 10 20 30 40 50 0.1 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 図 -6.6 水 温 とビルピット 臭 気 指 数 及 び 汚 水 桝 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 350 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 300 250 200 150 50 0 水 温 18 以 上 水 温 18 未 満 0 2 4 6 8 ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (mg/l) 図 -6.7 水 温 とビルピット 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 及 び 汚 水 桝 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 36
2)ORPの 影 響 硫 化 水 素 の 生 成 とORPには 密 接 な 関 係 があり 筆 者 らの 過 去 の 調 査 では ORP>- 120mVであれば 溶 解 性 硫 化 物 の 生 成 が 抑 制 されると 報 告 している 2 ) 図 -6.8 に 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 とORPの 関 係 ( 水 温 18 以 上 のデータを 抽 出 )を 示 す 今 回 の 調 査 では ORPが 30mVを 下 回 ると 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 高 くなり ORPが 低 くなるにしたがい 硫 化 水 素 濃 度 が 高 くなる 傾 向 にあった 次 に ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 を ORPの 視 点 から 見 てみる ORP30mV 以 下 かつ 水 温 18 以 上 の 条 件 に 該 当 するデータのみを 抽 出 すると 図 -6.9 に 示 すとおりとなる 臭 気 指 数 が 増 加 するにしたがい 汚 水 桝 にお ける 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 も 顕 著 に 増 加 していることが 分 かる ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 において も 同 様 の 傾 向 が 見 られた( 図 -6.10) 700 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 600 500 400 300 200 水 温 18 0-400 -300-200 - 0 200 ORP 図 -6.8 ORPと 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 37
汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 0 10 1 0.1 ORP30 未 満 かつ 水 温 18 以 上 0 10 20 30 40 50 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 図 -6.9 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 350 300 250 200 150 50 0 ORP30mV 以 下 かつ 水 温 18 以 上 0 2 4 6 8 ビルピット 貯 留 水 の 硫 化 水 素 濃 度 (mg/l) 図 -6.10 ビルピット 貯 留 水 の 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 38
3)pHの 影 響 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 とpHの 関 係 について ORP30mV 以 下 かつ 水 温 18 以 上 のデータを 抽 出 し 整 理 したものを 図 -6.11 に 示 す 図 より 雑 排 水 が 酸 性 域 混 合 水 が 中 性 ~ 酸 性 域 汚 水 がアルカリ~ 中 性 域 と ピット 種 別 により 異 なる 傾 向 を 示 した また phが 酸 性 域 (ph<7.5)の 場 合 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 の 発 生 が 顕 著 になり アルカリ 性 (ph 8)の 場 合 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 は 著 しく 低 濃 度 となる 結 果 となった 一 般 に 下 水 による 臭 気 や 腐 食 の 問 題 は 嫌 気 条 件 下 において 硫 酸 塩 が H 2 S に 還 元 さ れることにより 生 じる 水 に 溶 け 込 んだ 分 子 態 の H 2 S は 可 逆 的 なイオン 反 応 により 解 離 を 示 し 気 相 への H 2 S 放 散 の 程 度 はpH 及 び 水 温 に 大 きく 左 右 されることが 知 られて いる 3 ) 例 えば ph=8 程 度 における H 2 S HS - S 2- の 存 在 比 はおおよそ1:9:0であり 気 相 への H 2 S 放 散 は 極 めて 少 なくなると 考 えられる 今 回 の 調 査 結 果 は この 知 見 と 一 致 するものであった 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 700 600 500 400 300 200 雑 排 水 混 合 水 汚 水 汚 水 混 合 水 雑 排 水 0 5 6 7 8 9 10 ph 図 -6.11 phと 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 39
4) 曝 気 撹 拌 の 影 響 ここでは ビルピットにおける 硫 化 水 素 の 抑 制 対 策 として 一 般 的 に 実 施 されている 曝 気 攪 拌 の 有 無 の 効 果 を 検 証 する 図 -6.12に 曝 気 撹 拌 の 有 無 によるビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 について 示 す 図 より 曝 気 攪 拌 を 実 施 しているビルピットでは 総 じて 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 は 低 くなっているが 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が76.6ppmを 観 測 した 箇 所 (ホテル 汚 水 秋 季 )もあった 図 -6.13に 曝 気 撹 拌 の 有 無 とORPの 関 係 図 -6.14に 曝 気 撹 拌 の 有 無 とpHの 関 係 を 示 す 図 より 曝 気 撹 拌 を 行 うことで ORP 及 びpHとも 硫 化 水 素 の 発 生 しにくい 環 境 に 改 善 されていることが 窺 える 以 上 のことより 曝 気 撹 拌 により 硫 化 水 素 の 生 成 を 完 全 に 抑 制 することはできないもの の ある 程 度 の 抑 制 効 果 は 期 待 できるものと 考 えられた 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 (ppm) 0 10 1 20 未 満 n=29 20 以 上 n=33 曝 気 攪 拌 あり n=12 0 10 20 30 40 50 0.1 ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 図 -6.12 曝 気 撹 拌 によるピット 貯 留 水 臭 気 指 数 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 40
汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 700 600 500 400 300 200 0-400 -300-200 - 0 200 ORP 水 温 18 曝 気 撹 拌 あり 図 -6.13 曝 気 撹 拌 によるORPと 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 (ppm) 700 600 500 400 300 200 0 5 6 7 8 9 10 ph 曝 気 撹 拌 あり 曝 気 撹 拌 なし 図 -6.14 曝 気 撹 拌 によるpHと 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 41
以 上 の 調 査 の 結 果 より 明 らかになった 知 見 を 下 記 にまとめる 1) データのバラツキが 大 きい ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 及 び 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 と 汚 水 桝 の 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 の 関 係 は 共 にデータのバラツキが 大 きい これは 原 水 の 水 質 ビルピット ポンプ 汚 水 桝 の 構 造 や 仕 様 貯 留 時 間 清 掃 の 頻 度 等 の 様 々な 因 子 による 複 合 的 作 用 の 結 果 によ るものと 考 えられる 2) 硫 化 水 素 の 発 生 しやすい 条 件 今 回 の 調 査 では 水 温 が 概 ね 18 以 下 となる 場 合 汚 水 桝 における 硫 化 水 素 濃 度 は 極 低 濃 度 となった 高 濃 度 の 硫 化 水 素 発 生 の1つの 目 安 として 水 温 を 指 標 にすることも 可 能 であると 考 えられた 汚 水 桝 における 硫 化 水 素 の 発 生 とORPの 関 係 では ORPが 30mV 付 近 から 硫 化 水 素 の 発 生 が 顕 著 になり ORPが 減 少 するにしたがい 硫 化 水 素 濃 度 が 上 昇 する 傾 向 が 確 認 された phについては 酸 性 域 (ph<7.5)の 場 合 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 の 発 生 が 顕 著 になり ph 8の 場 合 には 硫 化 水 素 の 発 生 が 抑 制 されている 傾 向 にあった また ピットの 種 別 毎 に 硫 化 水 素 の 発 生 傾 向 が 異 なることが 確 認 され ビルピット 貯 留 水 の 臭 気 指 数 を 指 標 にした 場 合 には 汚 水 混 合 水 雑 排 水 の 順 で 汚 水 桝 における 気 相 中 硫 化 水 素 濃 度 が 高 くなる 傾 向 に 液 相 中 硫 化 水 素 濃 度 を 指 標 にした 場 合 には 雑 排 水 混 合 水 汚 水 の 順 となった 3) 曝 気 撹 拌 の 効 果 曝 気 撹 拌 を 行 っているビルピットについては 他 の 無 対 策 ピットと 比 較 して 汚 水 桝 にお ける 硫 化 水 素 濃 度 は 低 かった また ORPやpHの 値 は 硫 化 水 素 が 発 生 しにくい 環 境 条 件 に 近 い 値 を 示 しており 曝 気 撹 拌 の 効 果 が 現 れていると 考 えられた しかしながら 一 部 のビルピットでは 比 較 的 高 い 硫 化 水 素 が 発 生 しており ピットから 汚 水 桝 に 至 る 配 管 での 下 水 腐 敗 や 曝 気 不 足 等 が 原 因 として 考 えられる 42