第 2 章 栄 養 管 理 第 1 栄 養 管 理 のポイント 栄 養 管 理 とは 心 身 の 健 やかな 成 長 発 達 を 目 的 に 適 切 な 栄 養 状 態 を 確 保 することであ り 以 下 に 留 意 して 行 うことが 必 要 です 1 常 に 食 べている 子 どもたちのことを 考 えた 給 食 を 提 供 すること 2 一 人 一 人 に 適 切 な 食 事 を 提 供 する ということを 念 頭 に 置 くこと 3 そのためには 子 どもたちの 一 人 一 人 の 身 体 状 況 や 生 活 状 況 食 事 の 状 況 などをアセ スメントし 提 供 する 給 食 との 調 整 を 図 ること 4 提 供 した 給 食 を 子 どもたちがどのように 食 べたかを 確 認 し 継 続 的 にモニタリングす ること 5 モニタリングした 結 果 を 給 与 栄 養 量 の 基 準 や 献 立 等 に 反 映 させ 適 切 な 給 食 の 提 供 に 努 めること 栄 養 管 理 は 管 理 栄 養 士 栄 養 士 だけではできません 調 理 師 ( 員 ) 保 育 士 看 護 師 保 健 師 等 保 育 所 の 全 職 員 で 連 携 協 力 して 行 いましょう アセスメントとモニタリング アセスメントとは ある 事 象 を 客 観 的 に 評 価 することで この 場 合 一 人 一 人 の 子 どもの 身 体 状 況 や 栄 養 発 育 状 況 の 他 身 体 活 動 や 食 事 の 量 家 庭 での 生 活 状 況 成 育 状 況 などを 把 握 し 総 合 的 に 評 価 を 行 うことです モニタリングとは あらかじめ 設 定 しておいた 計 画 や 目 標 指 示 について その 進 捗 状 況 を 随 時 チェックすることです 定 期 的 に 子 どもたちの 状 況 やその 対 応 について 観 察 記 録 評 価 を 行 います アセスメントとモニタリングを 行 い 効 果 的 に 活 用 するには 保 育 士 管 理 栄 養 士 栄 養 士 調 理 師 看 護 師 等 の 連 携 が 欠 かせません 一 人 一 人 の 子 どもたちをよく 観 て 職 員 間 でよく 話 し 合 い 子 どもへの 対 応 を 共 有 することが 重 要 です 第 2 章 - 1 -
第 2 栄 養 管 理 の 手 順 その1~ステップを 踏 んで 確 実 に~ 第 1ステップ P4 食 事 提 供 のための 目 標 を 設 定 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 設 定 保 保 育 士 看 護 師 等 栄 管 理 栄 養 士 栄 養 士 調 調 理 師 調 理 員 第 2ステップ P9 第 6ステップ P20 一 人 一 人 にとって 適 切 な 給 食 の 提 供 子 どもたちをアセスメント 保 栄 調 推 定 エネルギー 必 要 量 の 分 布 を 確 認 給 与 栄 養 量 の 基 準 の 確 認 修 正 主 食 量 の 把 握 保 育 園 での 給 与 栄 養 量 を 設 定 一 人 一 人 の 成 長 に 合 わせた 対 応 の 検 討 栄 調 栄 調 保 栄 調 栄 調 保 栄 調 家 庭 との 連 携 情 報 の 共 有 保 栄 調 第 3ステップ P17 計 画 から 給 食 の 実 施 献 立 作 成 基 準 品 質 基 準 の 作 成 予 定 献 立 作 成 ( 作 業 指 示 書 作 業 工 程 表 ) 栄 調 栄 調 食 材 料 の 発 注 調 理 給 食 の 実 施 ( 品 質 管 理 衛 生 管 理 ) 栄 調 栄 調 第 4ステップ P19 継 続 的 なモニタリング 第 7ステップ P21 一 人 一 人 の 食 べ 方 を 確 認 一 人 一 人 の 成 長 を 確 認 保 栄 調 保 栄 調 家 庭 への 支 援 保 栄 調 第 8ステップ P21 第 5ステップ P20 給 食 の 評 価 とフィードバック 給 食 の 評 価 と 改 善 保 栄 調 延 長 夜 間 保 育 保 栄 調 職 員 間 での 話 し 合 い 共 有 保 栄 調 第 2 章 - 2 -
第 2 栄 養 管 理 の 手 順 その2~ 食 事 摂 取 基 準 の 活 用 とPDCAサイクル~ 実 際 の 栄 養 管 理 には マネジメントサイクル(PDCAサイクル) Plan( 計 画 ) - Do( 実 施 )- Check( 検 証 ) - Act( 改 善 )に 基 づき 食 事 摂 取 基 準 を 用 います まず 食 事 摂 取 状 況 のアセスメントにより エネルギー 栄 養 素 の 摂 取 量 が 適 切 かどうか を 評 価 します 食 事 評 価 に 基 づき 食 事 改 善 計 画 の 立 案 食 事 改 善 を 実 施 し それらの 検 証 を 行 います 検 証 を 行 う 際 には 食 事 評 価 を 行 います 検 証 結 果 を 踏 まえ 計 画 や 実 施 の 内 容 を 改 善 します ( 下 図 参 照 ) 図 食 事 摂 取 基 準 の 活 用 とPDCAサイクル ( 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 2015 年 版 Ⅰ 総 論 図 5) 図 食 事 摂 取 基 準 の 活 用 と PDCA サイクル ( 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 2015 年 版 Ⅰ 総 論 図 5) 第 2 章 - 3 -
第 1ステップ 食 事 提 供 のための 目 標 を 設 定 すべての 子 どもたちに 対 して 望 ましい 食 事 を 提 供 するためには 一 人 一 人 にとって 適 切 な 栄 養 量 の 許 容 範 囲 内 で 食 事 を 提 供 することが 必 要 です 保 育 所 等 での 給 食 は 昼 食 +おやつ が 基 本 ですが 家 庭 での 食 の 状 況 も 考 慮 することが 重 要 です また 延 長 保 育 や 夜 間 保 育 時 の 給 食 や 間 食 についても 考 慮 が 必 要 です 1 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 設 定 しましょう (1) 乳 児 0 歳 児 は 成 長 発 達 の 個 人 差 が 大 きく また 離 乳 の 進 行 によって 乳 汁 ( 母 乳 や 育 児 用 ミルク)と 離 乳 食 の 配 分 が 変 化 しますが これも 個 人 差 が 大 きいため 個 別 対 応 を 基 本 とします 一 人 一 人 の 成 長 発 達 の 支 援 を 念 頭 において 離 乳 食 の 進 め 方 などの 計 画 を 作 成 し 個 々の 発 達 に 応 じて 見 直 し 修 正 をしながら 進 めます 離 乳 食 の 提 供 にあたっては 幼 児 献 立 の 展 開 などにより 献 立 を 作 成 して 食 事 を 提 供 します 乳 児 の 栄 養 素 等 の 摂 取 量 は 乳 汁 と 離 乳 食 の 合 計 であり 乳 汁 は 自 立 授 乳 が 基 本 であることから 摂 取 量 ( 摂 取 状 況 )の 最 終 的 な 評 価 は 個 々の 成 長 曲 線 で 判 断 します ( 第 3 章 : 授 乳 離 乳 の 進 め 方 参 照 ) 成 長 発 達 に 問 題 のある 乳 児 については 個 々の 推 定 エネルギー 必 要 量 及 びたん ぱく 質 の 目 標 とすべき 給 与 量 を 算 定 し 児 の 摂 取 量 と 照 らし 合 わせて 不 足 や 過 剰 のリスクを 判 定 し 離 乳 食 などの 食 事 計 画 に 反 映 させることが 必 要 です (2) 幼 児 給 与 栄 養 量 の 基 準 は 1~2 歳 児 3~5 歳 児 の 区 分 で 設 定 します (ただし 必 要 に 応 じてさらに 細 かい 区 分 をしても 構 いません ) 年 度 当 初 は 4 月 の 入 所 状 況 を 把 握 する 前 に 献 立 作 成 が 必 要 であるため 不 足 の ないよう 以 下 を 参 考 に 設 定 します ア 1 日 あたりの 各 栄 養 素 等 の 基 準 量 を 設 定 各 栄 養 素 等 の 基 準 量 の 設 定 には 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 に 示 された 栄 養 学 的 な 理 論 や 基 準 値 を 活 用 します また たんぱく 質 脂 質 炭 水 化 物 の 総 エネルギーに 占 める 割 合 については エネルギー 並 びに 他 の 栄 養 素 の 摂 取 量 に 配 慮 し それぞれの 状 況 に 応 じた 構 成 比 率 を 考 えることが 必 要 です 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2015 年 版 ) では たん ぱく 質 については13% 以 上 20% 未 満 脂 質 については20% 以 上 30% 未 満 炭 水 化 物 については50% 以 上 65% 未 満 の 範 囲 内 を 目 安 とする とされていま す 第 2 章 - 4 -
エネルギー 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER)には 男 女 差 があります 成 長 期 であることか ら 不 足 のないよう 最 大 値 ( 男 児 )で 設 定 することが 望 ましいです たんぱく 質 エネルギーに 占 める 割 合 が13~20%の 幅 を 目 指 します 推 奨 量 (RDA)を 充 たして 摂 取 できていれば たんぱく 質 が 不 足 しているこ とはほとんどありませんが たんぱく 質 と 同 時 に 摂 取 する 他 の 栄 養 素 の 不 足 の リスクを 抑 え 食 事 としておいしく 食 べるための 現 実 的 な 食 品 構 成 を 設 定 する ことが 求 められます 脂 質 エネルギーに 占 める 割 合 が20~30%の 幅 を 目 指 します その 他 の 栄 養 素 ビタミン A ビタミンB1 ビタミンB 2 ビタミンC カルシウム 鉄 につい てそれぞれの 推 奨 量 (RDA)の 最 も 大 きい 値 を 目 指 します 食 物 繊 維 1~5 歳 は 具 体 的 な 食 事 摂 取 基 準 は 示 されていませんが 小 児 期 における 食 物 繊 維 摂 取 の 重 要 性 は 示 唆 されています 日 本 人 の 食 物 繊 維 摂 取 状 況 が 少 ない ことを 考 慮 し できるだけ 多 めに 給 与 できるように 努 めます ナトリウム( 食 塩 ) 目 標 量 (DG)を 大 きく 逸 脱 せず かつ 子 どもがおいしいと 感 じられる 味 で なるべく 薄 味 を 目 指 します 薄 味 に 慣 れるようにしていきます * 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 推 定 エネルギー 必 要 量 推 奨 量 目 標 量 は P22 ~23 を 参 照 たんぱく 質 の 給 与 目 標 量 たんぱく 質 の 推 定 平 均 必 要 量 (EAR) 及 び 推 奨 量 (RDA)は 不 足 に 陥 るリスクを 低 く するための 摂 取 量 を 示 したものであり この 値 に 合 わせなければいけないということではあり ません むしろ たんぱく 質 の 主 要 な 供 給 源 である 肉 類 魚 介 類 卵 類 大 豆 製 品 などは 各 種 ビタ ミンやミネラルも 豊 富 に 含 むことから 他 の 栄 養 素 の 不 足 のリスクを 抑 え しかも 食 事 として おいしく 食 べられることについても 考 慮 する 必 要 があります したがって 実 質 的 には 推 奨 量 (RDA) 以 上 であって 考 慮 すべきビタミンやミネラルの 摂 取 が 実 質 的 に 可 能 な 食 事 計 画 となるように 配 慮 すればよいのです なお 乳 幼 児 期 は 個 人 差 も 大 きいことから 推 奨 量 (RDA) 以 上 であって どの 程 度 の 値 ま でが 対 象 者 にとって 真 に 望 ましい 値 であるのかを 明 確 に 示 すことは 現 時 点 では 困 難 である と 考 えられます 実 際 には 対 象 者 の 身 体 状 況 身 体 活 動 レベル 食 嗜 好 等 を 確 認 しながら 食 事 計 画 を 立 案 することが 望 ましいと 考 えられます 乳 幼 児 期 は 成 長 期 であることから エネルギーに 占 める 割 合 (13~20%)を 優 先 して 設 定 しても 実 質 的 に 差 し 支 えないと 考 えられます 第 2 章 - 5 -
小 児 の 推 定 エネルギー 必 要 量 ( 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 2015 年 版 ) 推 定 エネルキ ー 必 要 量 (kcal/ 日 ) 1~2 歳 児 3~5 歳 児 男 女 男 女 950 900 1,300 1,250 小 児 の 食 事 摂 取 基 準 ( 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2015 年 版 )) 年 齢 1~2 歳 児 3~5 歳 児 指 標 推 定 平 均 必 要 量 (EAR) 推 奨 量 (RDA) 目 標 量 (DG) 推 定 平 均 必 要 量 (EAR) 推 奨 量 (RDA) 目 標 量 (DG) 性 別 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 たんぱく 質 (g/ 日 ) 15 15 20 20 13 以 上 20 未 満 (%エネルギー) 20 20 25 25 13 以 上 20 未 満 (%エネルギー) 脂 質 (%エネルキ ー) 炭 水 化 物 (%エネルキ ー) カルシウム (mg/ 日 ) 20 以 上 30 未 満 20 以 上 30 未 満 50 以 上 65 未 満 50 以 上 65 未 満 350 350 450 400 500 450 600 550 鉄 (mg/ 日 ) 3.0 3.0 4.5 4.5 4.0 3.5 5.5 5.0 ビタミンA (μgrae/ 日 ) 300 250 400 350 350 300 500 400 ビタミン B1 (mg/ 日 ) 0.4 0.4 0.5 0.5 0.6 0.6 0.7 0.7 ビタミン B2 (mg/ 日 ) ビタミンC (mg/ 日 ) 食 塩 相 当 量 (g/ 日 ) 0.5 0.5 0.6 0.5 0.7 0.6 0.8 0.8 35 30 35 35 35 35 40 40 3.0 未 満 3.5 未 満 4.0 未 満 4.5 未 満 %エネルギー 全 体 のエネルギー 量 に 占 める 脂 質 や 炭 水 化 物 などから 摂 取 するエネルギー 量 の 割 合 ( 例 )1,300kcal の 脂 質 (%エネルギー)25%と 言 われた 時 の 脂 質 の 量 (g) 1,300(kcal) 0.25 9(kcal/g)=36.1g 36g 脂 質 は1gあたり9kcal たんぱく 質 炭 水 化 物 は1gあたり4kcal 第 2 章 - 6 -
イ 食 事 計 画 をたてる 昼 食 +おやつ を 提 供 する 場 合 昼 食 は 1 日 全 体 の 概 ね1/3を おやつは 発 育 発 達 状 況 や 生 活 状 況 等 に 応 じて1 日 のエネルギーの10~20% 程 度 の 量 を 目 安 として 設 定 します 例 えば 1~2 歳 児 は 昼 食 + 午 前 午 後 のおやつで1 日 の50% 3~5 歳 児 は 昼 食 + 午 後 のおやつで1 日 の40~50% 朝 食 夕 食 その 他 の 提 供 を 行 う 場 合 は それぞれの 保 育 所 や 家 庭 等 の 状 況 を 考 慮 し 配 分 等 を 設 定 します ウ 給 与 栄 養 量 の 基 準 の 設 定 1 日 あたりの 各 栄 養 素 等 の 基 準 量 に 昼 食 +おやつ での 給 与 比 率 ( 例 50%) を 乗 じて 給 食 での 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 設 定 します エ 主 食 を 考 慮 年 度 当 初 には 実 現 可 能 な 望 ましい 量 (おおよそ 80g~120g)を 設 定 します オ 副 食 +おやつ の 給 与 栄 養 量 を 設 定 ウで 算 定 した 給 与 栄 養 量 からエで 設 定 した 主 食 から 摂 取 する 栄 養 素 等 を 減 じて 副 食 +おやつ の 給 与 栄 養 量 を 設 定 します これを 管 理 しやすいようにある 程 度 数 値 をまるめます 第 2 章 - 7 -
給 食 における 給 与 栄 養 量 の 基 準 算 出 表 ( 例 ) Ⅰ 1~2 歳 児 の 給 与 栄 養 目 標 量 エネルギー (kcal) たんぱく 質 (g) 脂 質 (g) カルシウム 鉄 ビタミンA (μgrae) ビタミンB 1 ビタミンB 2 ビタミンC 食 事 摂 取 基 準 (A) (1 日 当 たり) 950 (13~20%)*1 31~48 (20~30%)*1 21~32 450 4.5 400 0.5 0.6 35 昼 食 +おやつの 比 率 (B)*2 50 50 50 50 50 50 50 50 50 昼 食 +おやつの 給 与 栄 養 目 標 量 (C=A B/100) 475 16~24 11~16 225 2.3 200 0.25 0.3 18 保 育 所 における 給 与 栄 養 目 標 量 (Cをまるめた 値 ) 480 16~24 11~16 230 2.3 200 0.25 0.3 18 *1 たんぱく 質 及 び 脂 質 については %エネルギーとして 幅 を 考 える *2 昼 食 は1 日 全 体 の 概 ね1/3 おやつは1 日 全 体 の10~20%を 目 安 とする Ⅱ 3~5 歳 児 の 給 与 栄 養 目 標 量 エネルギー (kcal) 食 事 摂 取 基 準 (A) (1 日 当 たり) 1,300 たんぱく 質 (g) (13~20%)*1 42~65 脂 質 (g) カルシウム 鉄 ビタミンA (μgrae) ビタミンB 1 ビタミンB 2 ビタミンC (20~30%)*1 29~43 600 5.5 500 0.7 0.8 40 昼 食 +おやつの 比 率 (B)*2 40 40 40 50 50 50 40 50 40 昼 食 +おやつの 給 与 栄 養 目 標 量 (C=A B/100) 520 17~26 12~17 300 2.8 250 0.28 0.4 16 家 庭 から 持 参 する 米 飯 ( 例 100)g の 栄 養 量 (D)*3 168 2.5 0.3 3 0.1 0 0.02 0.01 0 E=C-D 352 15~24 12~17 297 2.7 250 0.26 0.39 16 保 育 所 における 給 与 栄 養 目 標 量 (Eをまるめた 値 ) 400 15~24 12~17 300 2.7 250 0.26 0.39 16 *1 たんぱく 質 及 び 脂 質 については %エネルギーとして 幅 を 考 える *2 昼 食 は1 日 全 体 の 概 ね1/3 おやつは1 日 全 体 の10~20%を 目 安 とする *3 家 庭 から 持 参 する 主 食 量 は 実 際 持 参 する 量 を 参 考 にしながら 実 現 可 能 な 望 ましい 量 として 設 定 する これで 年 度 当 初 の 給 与 栄 養 量 の 基 準 ができました 第 2 章 - 8 -
第 2ステップ 一 人 一 人 にとって 適 切 な 食 事 の 提 供 1 子 どもたちをアセスメントしましょう( 個 々の 総 合 的 な 評 価 を 行 います) 個 々の 適 切 な 許 容 範 囲 の 根 拠 を 得 るため 身 体 状 況 栄 養 状 態 等 を 把 握 し その 背 景 や 要 因 となる 家 庭 での 生 活 状 況 や 環 境 生 育 状 況 等 を 踏 まえて 保 育 所 等 での 支 援 につなげま す (1) 給 食 を 利 用 する 子 どもたち 個 々の 性 別 年 齢 ( 月 齢 ) 身 長 体 重 を 把 握 します (2) 出 生 時 からこれまでの 成 長 の 動 きを 成 長 曲 線 で 見 ていきます カーブのしかたやその 推 移 を 一 時 点 でなく 動 きで 見 ていくことが 重 要 です 子 ど もの 成 長 発 達 が 順 調 なのか 心 配 があればその 要 因 は 何 かなどあわせてアセスメ ントします (3) 個 別 の 身 長 と 体 重 をおのおの 成 長 曲 線 で 判 定 します 3パーセンタイル 値 未 満 及 び97パーセンタイル 値 を 超 えるものは 成 長 の 偏 りと とらえます 10パーセンタイル 値 未 満 90パーセンタイル 値 を 超 えるものは 成 長 の 偏 りの 疑 いとして 経 過 を 見 ながら 対 応 を 検 討 します (4) 遊 びの 様 子 や 身 体 の 動 かし 方 など 活 動 量 も 参 考 にします (5) 家 庭 での 食 事 内 容 や 生 活 時 間 生 育 歴 アレルギー 等 疾 病 の 有 無 や 子 どもの 特 性 に ついても 把 握 しておきます (6)これらの 情 報 を 照 らし 合 わせて 職 員 間 で 共 有 し 一 人 一 人 の 保 育 の 目 標 計 画 と 合 わせて 食 事 での 支 援 目 標 計 画 を 作 成 します 成 長 曲 線 乳 児 や 幼 児 の 身 長 体 重 等 の 発 育 の 経 過 を 確 認 するためのグラフで 横 軸 を 年 齢 縦 軸 を 調 べ たいデータ( 身 長 や 体 重 )とした 曲 線 です 具 体 的 には 乳 幼 児 身 体 発 育 曲 線 ( 身 長 体 重 ) ( 第 9 章 P19~20)があります この 曲 線 は10 年 ごとに 行 われる 乳 幼 児 身 体 発 育 調 査 によって 得 られたデータで 作 成 され ます パーセンタイル パーセンタイルとは 計 測 値 を 小 さいものから 大 きいものへと 順 番 に 並 べ 全 体 を 百 として 何 番 目 であるかをあらわしたものです 例 えば 100 個 の 値 があったとすると 10パーセンタイル 値 というのは 小 さい 方 から 数 え て10 番 目 50パーセンタイルとは 小 さい 順 に 数 えて50 番 目 の 値 ということです 乳 幼 児 身 体 発 育 パーセンタイル 曲 線 では 通 常 3~97パーセンタイルがその 年 齢 における 正 常 範 囲 とされています 50パーセンタイルは 別 名 中 央 値 とも 呼 ばれています 第 2 章 - 9 -
2 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 の 分 布 を 確 認 しましょう 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER)を 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 とし 以 下 のように 算 出 します ここで 使 用 する 体 重 は 実 際 の 体 重 ではなく 乳 幼 児 身 体 発 育 調 査 結 果 における 身 長 から 求 めた 体 重 標 準 値 を 用 いることにより 体 格 に 影 響 されない 必 要 な 給 与 エネルギ ー 量 の 目 安 を 求 めます 乳 児 : 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER)(kcal/ 日 ) = 総 エネルギー 消 費 量 (kcal/ 日 )+エネルギー 蓄 積 量 (kcal/ 日 ) * 総 エネルギー 消 費 量 (kcal/ 日 )=92.8 体 重 -152.0 幼 児 : 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER)(kcal/ 日 ) =( 基 礎 代 謝 量 (kcal/ 日 ) 身 体 活 動 レベル)+エネルギー 蓄 積 量 (kcal/ 日 ) * 基 礎 代 謝 量 (kcal/ 日 )= 基 礎 代 謝 基 準 値 (kcal/kg 体 重 / 日 ) 体 重 基 礎 代 謝 基 準 値 (kcal/kg 体 重 / 日 ) :1 日 あたりの 体 重 1kg あたりの 基 礎 代 謝 量 男 児 女 児 1~2 歳 61.0 59.7 3~5 歳 54.8 52.2 身 体 活 動 レベル ( 男 女 共 通 ): 身 体 活 動 量 の 指 標 身 体 活 動 レベルⅡ(ふつう) 1~2 歳 1.35 3~5 歳 1.45 エネルギー 蓄 積 量 (kcal/ 日 ) : 成 長 に 伴 う 組 織 増 加 分 のエネルギー 男 児 女 児 1~2 歳 20 15 3~5 歳 10 10 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2015 年 版 ) 第 2 章 - 10 -
(1) 体 重 標 準 値 を 確 認 します 幼 児 の 身 長 体 重 曲 線 ( 第 9 章 P21)の 近 似 式 を 用 いて 実 際 の 身 長 から 体 重 の 標 準 値 を 確 認 します なお 第 9 章 P24の 早 見 表 で 確 認 することができます 近 似 式 男 児 : 体 重 標 準 値 =0.002226 身 長 (cm) 身 長 (cm)-0.1471 身 長 (cm)+7.8033 女 児 : 体 重 標 準 値 =0.002091 身 長 (cm) 身 長 (cm)-0.1139 身 長 (cm)+5.7453 (2) 確 認 した 体 重 をもとにして 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 を 求 めます 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 = 基 礎 代 謝 基 準 値 体 重 の 標 準 値 (kg) 身 体 活 動 レベル+エネルギー 蓄 積 量 (kcal/ 日 ) 算 出 された 値 は 50kcal 刻 みで 丸 めます なお 第 9 章 P24の 早 見 表 で 確 認 することができます < 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 の 算 出 例 > 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 (4 歳 男 児 体 重 標 準 値 16 kgの 場 合 ) = 基 礎 代 謝 基 準 値 (54.8) 体 重 の 基 準 値 (16kg) 身 体 活 動 レベル(1.45)+エネルギー 蓄 積 量 (10kcal/ 日 )=1,281kcal 1,300kcal(まるめる) (3) 算 出 した 目 安 となる 給 与 エネルギー 量 の 分 布 状 況 を 確 認 します(P12, 第 9 章 P25) 個 別 の 給 与 エネルギー 量 の 分 布 状 況 を 確 認 し 何 種 類 の 食 種 を 設 定 すればよいかを 確 認 します この 際 成 長 に 偏 りがある 子 ども( 肥 満 やせ 基 準 体 位 を 大 きく 外 れ ている 子 ども)については 個 別 対 応 とするのか 否 かについて 判 断 します (4) 給 与 エネルギーを 設 定 します 1~2 歳 児 3~5 歳 児 それぞれに 最 も 多 くの 子 どもに 対 応 できる 値 若 しくはも っとも 多 くの 子 どもが 不 足 しない 値 を 給 与 エネルギー 量 として 設 定 します 許 容 される 幅 は 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER)の 概 ね±10% 程 度 子 どもたちは 日 々 成 長 するので 少 なくとも6ヶ 月 に1 回 以 上 は 確 認 が 必 要 です 第 2 章 - 11 -
< 例 >ある 園 の 園 児 の 推 定 エネルギー 必 要 量 の 分 布 3 歳 未 満 児 最 大 値 :1,299kcal 最 小 値 :821kcal 中 央 値 :1,002kcal 平 均 値 :1,023kcal 3 パーセンタイル:858 10 パーセンタイル:873 50 パーセンタイル:1,002 90 パーセンタイル:1,187 97 パーセンタイル:1,203 700 750 800 850 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 1250 1300 (kcal) 3 歳 以 上 児 950 1000 1050 1100 1150 1200 1250 1300 1350 1400 1450 1500 1550 1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950 2000 2050 (kcal) 最 大 値 :2,013kcal 中 央 値 :1,388kcal 最 小 値 :949kcal 平 均 値 :1,391kcal 3 パーセンタイル:1,065 10 パーセンタイル:1,149 50 パーセンタイル:1,388 90 パーセンタイル:1,643 97 パーセンタイル:1,675 第 2 章 - 12 -
< 給 与 エネルギー 量 の 設 定 例 > ある 園 の3 歳 以 上 児 の 目 安 とする 給 与 エネルギー 量 の 分 布 状 況 を 見 ると 最 小 949kcal 最 大 2,013kcal となっています 平 均 値 は 1,391kcal で 中 央 値 は 1,388kcal です 許 容 の 幅 (±10%)を 考 えると 1,400kcal なら 1,250 から 1,550kcal の 範 囲 で 適 用 可 能 であり もっとも 多 くの 子 どもに 適 用 できる 値 となるので 給 与 エネルギー 量 を 1,400kcal に 設 定 します 許 容 範 囲 から 外 れる 子 どもに 対 しては 次 のような 対 応 をし 定 期 的 にモニタリングを 行 います 1,250kcal より 少 ない 子 どもについては この 基 準 で 給 食 を 提 供 すれば 栄 養 素 等 の 不 足 のリスクは 少 ないと 考 えられるため 給 食 はこの 基 準 を 適 用 しますが 個 々の 摂 取 量 をみ ながら 盛 り 付 ける 量 を 調 整 します 1,550kacl より 多 い 子 どもについては 盛 り 付 け 量 を 増 やす おかわりをする 持 参 す るご 飯 の 量 を 増 やすなどして 不 足 のないよう 配 慮 します 第 2 章 - 13 -
3 設 定 した 給 与 エネルギー 量 をもとに 栄 養 素 の 基 準 を 見 直 し 設 定 しましょう 第 1 ステップで 設 定 した 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 見 直 します 個 々の 栄 養 素 について 同 一 集 団 の 中 で 最 も 推 奨 量 もしくは 目 安 量 が 高 い 児 の 値 を 目 指 すようにします ただし 個 別 対 応 の 児 が 存 在 する 場 合 は その 部 分 は 除 外 して 考 えます なお ビタミン B1 ビタミン B2 は エネルギー 代 謝 に 関 与 するため 1,000kcal あたり の 推 奨 量 (RDA)を 用 いて 推 定 エネルギー 必 要 量 より 算 出 します ビタミンA ビタミン B1 ビタミン B2 以 外 は 基 本 的 に 示 されている 該 当 年 齢 の 推 奨 量 (RDA)を 参 照 します <ビタミン A ビタミンB 1 ビタミンB 2 の 設 定 例 > ビタミン A については 体 重 の 標 準 値 ビタミン B 1 ビタミン B 2 については 体 重 の 標 準 値 から 算 出 した 目 安 となる 給 与 エネルギー 量 を 基 に 個 々の 推 奨 量 を 算 出 し もっとも 高 い 子 どもの 値 を 給 与 量 として 設 定 します ビタミン A 推 奨 量 (3~5 歳 ) =18.7μg/ 体 重 / 日 体 重 の 標 準 値 ( 例 えば 16kg) (1+ 成 長 因 子 (0.15*1)) 1.4 * 1~2 歳 児 では 成 長 因 子 が 0.30 となる ビタミン B 1 推 奨 量 ( 成 人 小 児 ) =0.54mg/1,000kcal 目 安 となる 給 与 エネルギー 量 /1,000( 例 えば 1,400kcal/1,000) =0.76 ビタミン B 2 推 奨 量 ( 成 人 小 児 ) =0.60mg/1,000kcal 目 安 となる 給 与 エネルギー 量 /1,000( 例 えば 1,400kcal/1,000) =0.84 4 主 食 の 量 を 把 握 しましょう (1) 主 食 を 個 々の 家 庭 から 持 参 する 場 合 は その 量 を 把 握 します 園 で 主 食 を 提 供 する 場 合 は 個 々の 摂 取 量 を 把 握 します ( 主 食 量 調 査 表 : 第 9 章 P26) (2)エネルギー 比 食 品 構 成 等 を 考 慮 し 実 際 に 持 参 している 量 を 参 照 して 基 準 とす る 主 食 量 を 調 整 します (3) 個 々の 喫 食 状 況 等 や 成 長 曲 線 等 を 確 認 しながら 必 要 に 応 じて 家 庭 との 調 整 を 行 い 主 食 の 量 が 適 正 になるように 支 援 します 設 定 した 主 食 の 量 を 一 律 に 要 求 するのではなく 個 々の 成 長 を 見 て 調 整 することが 重 要 です 第 2 章 - 14 -
5 副 食 +おやつ の 給 与 栄 養 量 を 設 定 しましょう 第 1ステップのオ(P7)の 手 順 に 沿 って 給 与 栄 養 量 を 設 定 します < 保 育 園 での 給 与 栄 養 量 の 設 定 例 > 1 昼 食 +おやつ での 給 与 比 率 を 設 定 ( 食 事 計 画 ) 家 庭 での 食 事 状 況 を 考 えると 朝 食 での 摂 取 量 は 少 なめであることが 予 想 される 1~2 歳 児 は 園 の 昼 食 で1 日 の1/3 強 40% 程 度 とし おやつで10%を 想 定 して 昼 食 +おやつで50%を 目 標 に 設 定 します 3~5 歳 児 は 園 の 給 食 ( 家 庭 から 持 参 した 主 食 を 含 む)とおやつで1 日 の40%とします が 日 常 不 足 しやすいカルシウム 鉄 ビタミン A ビタミンB 2 は50%を 目 標 とします 2 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 設 定 給 与 栄 養 量 に 昼 食 +おやつの 比 率 (%)を 乗 じて 給 食 での 給 与 栄 養 量 の 基 準 として 設 定 します 3 主 食 を 考 慮 給 与 栄 養 量 の 昼 食 分 (35%)のエネルギーのうち 約 1/2 を 主 食 から 摂 取 するとすれば ごはんの 量 は 228kcal 分 で 136g 130g 主 食 の 量 には 個 人 差 が 大 きいので 不 足 のリスクを 少 なくするため 少 なめに 見 積 もってご はんを 100g に 設 定 します 4 副 食 +おやつ の 給 与 栄 養 量 を 設 定 2で 設 定 した 給 与 栄 養 量 から3の 主 食 から 摂 る 栄 養 素 等 を 減 じ その 数 値 を 管 理 しやすい ようにある 程 度 まるめます 例 :エネルギー 1,400kcal 0.4-168kcal(ごはん 100g のエネルギー)=392kcal 400kcal ビタミンC {40mg/ 日 -0(ご 飯 のビタミン C 推 定 値 )} 0.4=16mg 第 2 章 - 15 -
見 直 し 後 給 食 における 給 与 栄 養 量 の 基 準 算 出 表 (P12 記 載 のある 園 での 例 ) Ⅰ 1~2 歳 児 の 給 与 栄 養 目 標 量 エネルギー (kcal) たんぱく 質 (g) 脂 質 (g) カルシウム 鉄 ビタミンA*3 (μgrae) ビタミンB 1 ビタミンB 2 ビタミンC 食 事 摂 取 基 準 (A) (13~20%)*1 (20~30%)*1 (1 日 当 たり) 1,000 33~50 22~33 450 4.5 408 0.54 0.6 35 昼 食 +おやつの 比 率 (B)*2 50 50 50 50 50 50 50 50 50 昼 食 +おやつの 給 与 栄 養 目 標 量 (C=A B/100) 500 17~25 11~17 225 2.3 204 0.27 0.3 18 保 育 所 における 給 与 栄 養 目 標 量 (Cをまるめた 値 ) 500 17~25 11~17 230 2.3 200 0.27 0.3 18 *1 たんぱく 質 及 び 脂 質 については %エネルギーとして 幅 を 考 える *2 昼 食 は1 日 全 体 の 概 ね1/3 おやつは1 日 全 体 の10~20%を 目 安 とする *3 ビタミンA ビタミンB 1 ビタミンB 2 それぞれの 値 は 体 重 12kgを 用 いて 推 定 エネルギー 必 要 量 より 算 出 した Ⅱ 3~5 歳 児 の 給 与 栄 養 目 標 量 エネルギー (kcal) たんぱく 質 (g) 脂 質 (g) カルシウム 鉄 ビタミンA (μgrae) ビタミンB 1 ビタミンB 2 ビタミンC 食 事 摂 取 基 準 (A) (1 日 当 たり) 1,400 (13~20%)*1 46~70 (20~30%)*1 31~47 600 5.5 482 0.76 0.84 40 昼 食 +おやつの 比 率 (B)*2 40 40 40 50 50 50 40 50 40 昼 食 +おやつの 給 与 栄 養 目 標 量 (C=A B/100) 560 18~28 12~19 300 2.8 241 0.3 0.42 16 家 庭 から 持 参 する 米 飯 ( 例 100)g の 栄 養 量 (D)*3 168 2.5 0.3 3 0.1 0 0.02 0.01 0 E=C-D 392 15~25 12~19 297 2.7 241 0.28 0.41 16 保 育 所 における 給 与 栄 養 目 標 量 (Eをまるめた 値 ) 400 15~25 12~19 300 2.7 240 0.28 0.41 16 家 庭 から 持 参 する 米 飯 (120)gの 栄 養 量 (D2) 202 3 0.4 4 0.1 0 0.02 0.01 0 *1 たんぱく 質 及 び 脂 質 については %エネルギーとして 幅 を 考 える *2 昼 食 は1 日 全 体 の 概 ね1/3 おやつは1 日 全 体 の10~20%を 目 安 とする *3 家 庭 から 持 参 する 主 食 量 は 実 際 持 参 する 量 を 参 考 にしながら 実 現 可 能 な 望 ましい 量 として 設 定 する 6 個 別 に 対 応 を 検 討 しましょう 成 長 に 偏 りがある 子 ども( 肥 満 やせ 等 )については 成 長 曲 線 の 変 化 に 留 意 しつつ 主 食 量 や 給 食 以 外 の 摂 取 状 況 等 を 把 握 し 給 食 での 対 応 を 検 討 します 家 庭 との 連 携 を 図 り 持 参 する 主 食 の 量 や 家 庭 での 生 活 及 び 食 事 等 について 家 庭 への 指 導 支 援 を 行 いま す アレルギーや 離 乳 食 なども 含 めて 個 別 対 応 となるように 留 意 します 個 別 対 応 のための 情 報 を 全 職 員 が 共 有 したうえで 保 育 と 給 食 担 当 が 確 実 に 情 報 交 換 できるようにすることが 必 要 です このようにして 一 人 一 人 にとって 適 切 な 給 食 の 提 供 を 目 指 しましょう 第 2 章 - 16 -
第 3ステップ 計 画 から 給 食 の 実 施 第 2 章 栄 養 管 理 1 献 立 作 成 基 準 食 品 構 成 を 作 成 しましょう 給 与 栄 養 量 の 基 準 と 保 育 所 として 目 指 す 食 事 内 容 施 設 の 食 事 提 供 の 状 況 から 献 立 作 成 にあたっての 基 準 を 作 成 するとともに 料 理 区 分 ごとのおよその 量 ( 一 人 当 たりの 盛 り 付 け 予 定 量 )や 調 味 割 合 ( 塩 分 %など) 料 理 の 形 状 (なめらかにすりつぶした 状 態 歯 ぐき でつぶせる 固 さなど) 等 を 設 定 します 食 品 構 成 作 成 時 の 留 意 点 食 品 群 によっては 毎 日 給 与 すべきものと 一 定 期 間 の 平 均 値 が 食 品 構 成 を 充 足 して いればよいものとに 分 けられます 毎 日 給 与 すべき 食 品 群 穀 類 1 品 以 上 魚 肉 類 卵 類 大 豆 製 品 いずれか1~2 品 緑 黄 色 野 菜 その 他 の 野 菜 いずれか1~2 品 乳 類 1 品 以 上 * 食 品 構 成 ( 第 9 章 P27,28) * 荷 重 平 均 食 品 成 分 表 ( 第 9 章 P29) * 荷 重 平 均 成 分 表 の 食 品 群 別 使 用 食 品 の 使 用 頻 度 ( 第 9 章 P30) 2 予 定 献 立 ( 作 業 指 示 書 作 業 工 程 表 )を 作 成 しましょう 給 与 栄 養 量 の 基 準 や 献 立 作 成 基 準 に 沿 って 献 立 を 作 成 します 献 立 は 離 乳 食 1~2 歳 児 食 3~5 歳 児 食 及 びアレルギー 食 について 実 際 に 行 う 調 理 の 効 率 や 作 業 手 順 動 線 安 全 衛 生 を 考 慮 し 作 成 します 給 食 を 誰 が 作 っても 同 じ 品 質 に 調 理 できるような 作 業 の 標 準 化 や 品 質 の 標 準 化 を 目 指 し ます 調 理 工 程 や 作 業 工 程 は 設 備 や 機 器 などによっても 異 なることから 施 設 に 応 じた 指 示 書 は 品 質 管 理 の 点 から 重 要 です 季 節 の 食 材 や 地 元 食 材 伝 承 料 理 行 事 食 等 を 取 り 入 れ 子 どもたちが 豊 かな 食 を 体 験 できるよう 配 慮 します 第 2 章 - 17 -
献 立 作 成 のポイント 1 予 定 献 立 は 職 員 の 意 見 等 も 踏 まえ 保 育 所 として 決 定 することが 重 要 です ( 給 食 運 営 会 議 等 ) 2 行 事 なども 考 慮 しながら 一 定 期 間 (2 週 間 や 1 ヶ 月 単 位 など)の 献 立 を 立 てましょう ( 予 定 献 立 の 作 成 ) 3 給 食 実 施 後 は 実 施 献 立 表 として 実 施 内 容 を 整 理 検 討 して 保 管 します 提 供 した 献 立 はすべて 記 載 します (アレルギー 等 個 別 対 応 した 場 合 ) 4 食 材 料 の 変 更 や 出 席 人 数 に 大 幅 な 変 更 を 生 じた 場 合 には 予 定 献 立 を 朱 書 き 訂 正 し 実 施 献 立 とします 3 食 材 料 を 発 注 使 用 する 食 材 料 を 食 品 業 者 に 注 文 ( 発 注 )します 食 品 の 種 類 規 格 量 品 質 を 示 し あらかじめ 費 用 の 見 積 りをとるなど 予 算 も 考 慮 した 発 注 を 行 います また 在 庫 食 品 については 在 庫 量 を 定 期 的 に 管 理 し なるべく 無 駄 の 出 ないように 調 整 管 理 します 4 調 理 ( 品 質 管 理 衛 生 管 理 ) 予 定 した 献 立 を 予 定 した 質 と 量 決 められた 時 間 までに 調 理 を 行 い 盛 り 付 け 配 膳 し ます 予 定 の 変 更 が 起 きた 場 合 ( 食 品 の 変 更 食 数 の 変 更 担 当 者 の 変 更 など)に 対 応 で きるよう 日 頃 から 対 応 方 法 を 検 討 しておくことが 必 要 です 食 器 食 具 や 調 理 器 具 等 についても 日 々の 管 理 と 定 期 的 なチェックを 行 い 更 新 する ことが 必 要 です 管 理 簿 や 台 帳 などで 確 実 な 管 理 に 努 めます また 衛 生 的 に 作 業 が 進 められるよう 衛 生 標 準 作 業 手 順 を 決 め 点 検 を 行 います リ スクの 高 い 作 業 に 関 する 取 り 扱 い 事 項 をあらかじめ 決 めておき( 衛 生 管 理 マニュアル) そ の 手 順 を 守 って 作 業 ができるようにします 5 給 食 の 記 録 給 食 日 誌 は 実 施 した 給 食 について 食 数 や 喫 食 時 間 給 食 内 容 等 の 他 給 食 関 係 職 員 の 出 勤 状 況 など 給 食 部 門 の1 日 の 状 況 を 記 録 するものです 献 立 表 を 兼 ねるなど 効 果 的 効 率 的 に 記 録 を 残 します 第 2 章 - 18 -
第 4ステップ 継 続 的 なモニタリング 第 2 章 栄 養 管 理 1 一 人 一 人 の 食 べ 方 を 確 認 しましょう 主 食 主 菜 副 菜 汁 物 おやつなど 料 理 ごとに それぞれの 全 体 量 を10とする などして 実 際 に 食 べた 量 をおおまかな 数 値 として 把 握 し そこから 推 定 摂 取 量 を 算 出 します ( 喫 食 状 況 個 別 集 計 表 : 第 9 章 P35) 必 要 に 応 じて1ヶ 月 間 の 平 均 推 定 摂 取 量 を 把 握 するなどして 摂 取 量 の 評 価 を 行 い ます 一 人 一 人 の 食 べ 方 の 傾 向 や 特 徴 を 把 握 するとともに 変 化 などを 観 察 します 問 題 がある 場 合 は その 原 因 となっている 要 因 ( 献 立 食 材 調 理 法 味 付 け 提 供 等 )について 検 討 し 改 善 について 話 し 合 い 食 事 計 画 に 反 映 させます 2 一 人 一 人 の 成 長 を 確 認 しましょう 子 どもたちの 成 長 は 著 しいので 定 期 的 ( 月 1 回 )に 身 長 体 重 を 把 握 し 身 長 体 重 曲 線 で 体 格 を 把 握 します 身 長 体 重 を 成 長 曲 線 に 照 らし 合 わせて 個 々の 曲 線 の 伸 びを 確 認 しながら 観 察 評 価 を 行 います ( 成 長 曲 線 身 長 体 重 曲 線 : 第 9 章 P19~P21) 年 度 当 初 に 設 定 した 基 準 では 適 切 な 提 供 ができないと 判 断 した 場 合 には 適 宜 給 食 基 準 を 見 直 し 速 やかに 献 立 に 反 映 させることが 必 要 です 肥 満 やせが 気 になる 子 どもについては 家 庭 との 連 携 をとり 継 続 した 指 導 支 援 を 行 います 施 設 内 の 他 職 種 とも 連 携 を 図 り 生 活 状 況 ( 運 動 や 休 息 の 状 況 )など 関 連 する 情 報 を 収 集 するとともに 給 食 に 反 映 させます 一 人 一 人 の 成 長 の 記 録 と 給 食 での 個 々への 対 応 の 記 録 を 行 い 経 年 変 化 が 把 握 できる こと 職 員 間 で 共 有 することが 重 要 です また 保 護 者 等 へ 指 導 した 場 合 の 栄 養 食 事 指 導 等 の 記 録 も 合 わせて 保 管 し 総 合 的 に 把 握 できるようにします 第 2 章 - 19 -
第 5ステップ 給 食 の 評 価 とフィードバック~よりよい 給 食 のために~ 1 給 食 の 評 価 と 改 善 をしましょう (1) 提 供 した 給 食 については 1ヶ 月 程 度 ( 概 ね4 週 間 )ごと もしくは 献 立 サイクル ごとに 実 施 した 給 食 の 給 与 栄 養 量 を 確 認 し エネルギーや 各 栄 養 素 が 設 定 した 給 与 栄 養 量 の 基 準 に 対 して 適 切 であったのかなどを 検 討 します また 1 日 の 献 立 の 場 合 であっても 推 定 平 均 必 要 量 を 下 回 ったり 耐 容 上 限 量 を 超 えていないか 合 わせて 確 認 します (2) 評 価 の 結 果 問 題 があれば 適 切 な 内 容 となるよう 早 急 に 食 事 計 画 ( 献 立 作 成 )を 修 正 調 整 します また 食 事 計 画 や 給 与 栄 養 量 の 基 準 献 立 作 成 基 準 等 の 見 直 しが 必 要 であれば 速 やかに 改 善 します (3) 特 に 残 食 等 に 問 題 があった 場 合 には 食 品 群 別 給 与 栄 養 量 などを 確 認 し 残 食 がな く 栄 養 量 が 確 保 できる 献 立 を 目 指 します 子 どもがそれぞれの 必 要 量 を 摂 取 してこそ 給 食 の 意 味 があります 1 週 間 1ヶ 月 という 期 間 で 目 標 量 を 大 体 満 たしていることが 大 切 です 2 職 員 間 で 共 有 しよう 各 ステップにおける 情 報 共 有 を 綿 密 に 行 うことが 重 要 です 問 題 がある 場 合 の 解 決 策 等 について 保 育 所 の 対 応 家 庭 や 子 どもへの 関 わりを 職 員 間 で 十 分 に 検 討 し 共 有 することが 必 要 です 第 6ステップ 子 どもの 途 中 入 所 の 対 応 ~ 一 人 一 人 に 適 切 な 給 食 を~ 入 所 した 子 どものアセスメントを 行 い 提 供 している 給 食 の 基 準 に 適 合 するかどうかを 把 握 します 適 合 する 場 合 は 基 準 の 給 食 を 提 供 し 適 合 しない 場 合 は 第 2ステップ6(P16)に 準 じて 個 別 の 対 応 を 検 討 します 一 人 一 人 の 対 応 を 行 っていれば 子 どもが 入 れ 替 わるたびに 給 与 栄 養 量 の 基 準 を 見 直 す 必 要 はありません 第 2 章 - 20 -
第 7ステップ 家 庭 へも 積 極 的 にアプローチ~ 指 導 でなく 支 援 を~ 子 育 て 中 の 保 護 者 は 様 々なことで 悩 みを 抱 えています 子 どもの 食 事 について 指 導 が 必 要 な 場 合 は その 家 庭 の 食 や 生 活 そのものに 問 題 を 抱 えている 場 合 もあります 一 律 に こ うしましょう と 指 導 するのでなく 家 庭 との 信 頼 関 係 を 築 きながら 様 々な 要 因 を 把 握 し 改 善 に 向 けて 一 緒 に 考 え 指 導 でなく 支 援 するという 意 識 で 関 わります 子 どもを 支 援 するには 保 護 者 との 信 頼 関 係 が 不 可 欠 です 第 8ステップ 延 長 夜 間 保 育 での 間 食 給 食 延 長 夜 間 保 育 において 給 食 や 間 食 の 対 応 が 必 要 となる 場 合 があります いずれも 個 々 の 子 どもの 生 活 リズムと 家 庭 での 生 活 状 況 を 考 慮 して 対 応 し 第 4ステップでモニタリング するとともに 家 庭 との 連 携 を 密 にし 家 族 への 支 援 を 行 います 間 食 : 家 庭 での 基 本 となる 食 事 に 影 響 せず 食 事 までの 補 完 となる 間 食 の 提 供 を 心 がけ ましょう 給 食 : 提 供 する 栄 養 量 等 を 調 整 するとともに その 情 報 を 保 護 者 に 提 供 し 家 庭 での 食 事 との 調 整 が 図 れるように 支 援 します 第 2 章 - 21 -
資 料 1 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 を 活 用 しましょう 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 とは 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 は 国 民 の 健 康 の 増 進 エネルギー 及 び 栄 養 素 欠 乏 症 の 予 防 生 活 習 慣 病 の 予 防 過 剰 摂 取 による 健 康 障 害 の 予 防 を 目 的 として 定 められたものです 食 事 摂 取 基 準 では エネルギー たんぱく 質 脂 質 炭 水 化 物 各 種 ビタミン 及 びミネ ラルといった 栄 養 素 を 性 別 年 齢 別 でどのくらい 摂 取 したらよいかについて 定 められており 児 童 福 祉 施 設 における 食 事 の 提 供 に 際 しても 必 要 な 栄 養 量 の 食 事 を 提 供 するためのよりどこ ろとなるものです ( 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2015) 年 版 は 平 成 27 年 度 から 平 成 31 年 度 の 5 年 間 使 用 ) 給 食 管 理 を 目 的 として 食 事 摂 取 基 準 を 用 いる 場 合 に 大 切 な 点 集 団 特 性 を 把 握 し それに 見 合 った 食 事 計 画 を 決 定 する 献 立 の 作 成 及 び 品 質 管 理 を 行 った 食 事 の 提 供 を 行 う 一 定 期 間 ごとに 摂 取 量 調 査 や 対 象 者 の 特 性 の 再 調 査 を 行 い 必 要 に 応 じて 食 事 計 画 の 見 直 しをする 食 事 摂 取 基 準 の 指 標 指 標 説 明 推 定 エネルギー 必 要 量 (EER) エネルギー 消 費 量 から 接 近 する 方 法 で 算 出 された 値 個 人 レ ベルのエネルギー 必 要 量 を 推 定 するのは 困 難 なことから 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 2015 年 版 では 参 考 表 として 示 されている 推 定 平 均 必 要 量 (EAR) 集 団 に 属 する 50%の 人 が 必 要 量 を 満 たすとされる 摂 取 量 推 奨 量 (RDA) 母 集 団 に 属 するほとんどの 人 (97~98%)が 充 足 している 量 目 安 量 (AI) 不 足 の 状 態 を 示 す 人 がほとんど 観 察 されない 量 十 分 な 科 学 的 根 拠 が 得 られず 推 定 平 均 必 要 量 が 算 定 で きない 場 合 に 算 定 される 耐 容 上 限 量 (UL) 健 康 障 害 をもたらすリスクがないとみなされる 習 慣 的 な 摂 取 量 の 上 限 を 与 える 量 目 標 量 (DG) 生 活 習 慣 病 の 一 次 予 防 を 目 的 として 特 定 の 集 団 においてそ の 疾 患 のリスクや その 代 理 指 標 となる 値 が 低 くなると 考 え られる 栄 養 状 態 が 達 成 できる 量 第 2 章 - 22 -
第 2 章 - 23 -