東 日 本 大 震 災 く ら し と 協 同 東 日 た つき 田 附 水 産 業 の 被 害 と 対 策 りか 本 大 震 災 東 日 本 大 震 災 は 日 本 の 水 産 業 世 界 三 大 漁 場 のひとつに 数 えられ る 常 磐 三 陸 沖 に 甚 大 な 被 害 を 与 えた 巨 大 な 津 波 が 被 災 地 の 水 産 業 を 一 瞬 で 根 こそぎ 奪 い 去 った 魚 価 安 漁 業 者 の 高 齢 化 燃 油 価 格 高 騰 といった 恒 常 的 な 難 題 に 喘 いでいた 水 産 業 界 に 震 災 が 追 い 打 ちをかけた 形 だ 消 費 者 への 食 料 安 定 供 給 という 重 要 な 責 任 を 担 う 水 産 業 が いかにこの 危 機 を 乗 り 越 え 未 来 につながる 新 たなス タートを 切 るためには 何 が 必 要 な のかを 本 稿 で 述 べる 東 日 本 大 震 災 の 主 な 被 害 は 地 震 直 後 に 襲 ってきた 大 津 波 による ものだと 言 われている そのため 沿 岸 域 に 多 く 集 まる 漁 業 水 産 関 連 企 業 が 大 きな 打 撃 を 受 けた 水 産 業 を 基 幹 産 業 とする 石 巻 気 仙 沼 大 船 渡 小 名 浜 といった 全 国 でも 有 数 の 水 産 都 市 からリアス 式 海 岸 の 入 江 の 奥 にある 小 さな 集 落 まで ほとんどが 壊 滅 的 な 被 害 を 受 けた 三 陸 北 関 東 地 方 の 沖 合 は 北 からは 親 潮 南 からは 黒 潮 という 寒 流 と 暖 流 がぶつかりあうため 32
2010 資源がとても豊かで 漁業者にと 三陸 北関東地方は 日本全国か ってかけがえのない重要な漁場で ら漁船が集まる漁業基地でもある ある また リアス式海岸が続く 漁網など資機材の製造 燃料 運 特徴ある沿岸地域は 採介採藻 輸 倉庫 造船等幅広い関連産業 定置網漁業 大小の漁船漁業 魚 を抱えているため 漁業は被災地 類 藻類の養殖などさまざまな漁 域の基幹産業として重要な位置を 法があり ここに住む人々は 古 占めてきた 来 豊かな資源をあらゆる知恵を そういったさまざまな漁業と水 持って管理しながら 各種の漁業 産関連産業が 巨大津波によって を営んできた 一瞬のうちに流失してしまった 水産業は 魚を獲ってくるだけ 過去最大級の大地震だったが 地 ではない 水揚げから販売まで製 震そのものによる被害は少なかっ 氷 冷蔵 冷凍 加工 流通と多 たという 津波がすべてを破壊し くの関連産業が関わって成り立っ 尽くしたのだ ている 伝統的な漁業が存在する 東日本大震災 の被害は 死 漁業と水産関連産業が 巨大津波によって 一瞬のうちに流失してしまった 経営実務 11 増刊号 33
者 1 万 5,628 人 行 方 不 明 者 4,823 人 ( 警 察 庁 発 表 7 月 25 日 現 在 ) 水 産 庁 による 水 産 関 係 被 害 は 流 失 破 損 した 漁 船 2 万 1,589 隻 漁 港 施 設 319 漁 港 など 総 額 1 兆 2,298 億 円 にも 上 る( 下 表 参 照 ) このほ か 出 漁 できないことによる 損 失 個 人 企 業 の 所 有 の 加 工 施 設 の 被 害 加 工 生 産 能 力 の 損 失 などを 合 わせると 水 産 関 係 の 被 害 額 はこ れを 大 幅 に 上 回 るものと 見 込 まれ ている 岩 手 宮 城 福 島 3 県 の 主 要 水 産 物 では 養 殖 ワカメが 全 国 生 産 量 の 約 8 割 養 殖 カキ サ ンマは 約 3 割 を 占 めていることか らも 漁 業 被 害 が 市 場 へ 与 える 影 響 の 大 きさがうかがえる 震 災 発 生 から1カ 月 後 の4 月 11 日 菅 直 人 首 相 は 私 的 諮 問 機 関 復 興 構 想 会 議 を 発 足 させ 復 興 に 向 けた 作 業 に 着 手 した 構 成 メン バーは 研 究 者 や 県 知 事 などといっ 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に 伴 う 津 波 により 北 海 道 から 千 葉 県 にかけて 大 きな 被 害 が 発 生 被 害 は 震 源 地 に 近 い 岩 手 県 宮 城 県 福 島 県 で 大 きく ほぼ 全 域 にわたり 壊 滅 的 な 状 況 区 分 主 な 被 害 被 害 数 被 害 額 ( 億 円 ) 主 な 被 害 地 域 水 産 関 係 漁 船 21,589 隻 1,608 北 海 道 青 森 県 漁 港 施 設 319 漁 港 8,151 養 殖 施 設 737 養 殖 物 575 共 同 利 用 施 設 1,625 施 設 1,228 岩 手 県 宮 城 県 福 島 県 茨 城 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 新 潟 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 和 歌 山 県 徳 島 県 高 知 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 沖 縄 県 ( 富 山 県 石 川 県 鳥 取 県 の 漁 船 が 被 災 地 で 係 留 中 に 被 害 ) 合 計 12,298 注 : 被 害 数 及 び 被 害 額 は 現 時 点 において 各 県 から 報 告 のあったもの ( 農 林 水 産 省 ホームページより) 34
2010 た 有 識 者 が 並 んだ 12 回 の 会 議 を 経 て6 月 25 日 第 一 次 提 言 復 興 への 提 言 ~ 悲 惨 の 中 の 希 望 ~ を 取 りまとめ 菅 首 相 に 答 申 した 答 申 は 漁 業 の 再 生 には 民 間 の 資 金 と 知 恵 を 活 用 することが 不 可 欠 であるとし 特 区 手 法 の 活 用 により 漁 業 権 の 免 許 対 象 者 と して 地 元 漁 協 (JF)が 他 に 優 先 す るという 漁 業 法 の 適 用 を 止 め 地 元 漁 業 者 が 主 体 となった 法 人 が JF に 劣 後 しないで 漁 業 権 を 取 得 できる 仕 組 みを 採 用 することなど を 提 言 している 特 区 構 想 は 漁 業 者 が 主 体 とは いえ JF による 管 理 に 従 わない 法 人 が 新 たに 漁 業 をしたいと 県 知 事 に 申 請 すれば 直 接 漁 業 権 を 得 ることができるというものだ 従 来 JF が 漁 業 権 を 免 許 される ことで 沿 岸 域 の 漁 場 管 理 を 一 括 して 行 ってきたところへ 知 事 か ら 直 接 免 許 を 受 けた 法 人 が 参 入 す るということは 漁 場 管 理 主 体 が 複 数 になることを 意 味 している そもそも 一 括 管 理 する 意 味 は 漁 場 を 利 用 する 多 くの 漁 業 者 が 秩 序 を 保 ち 水 産 資 源 や 環 境 に 配 慮 しながら 効 率 的 かつ 安 定 的 に 漁 場 を 使 うことにある それによって 浜 に 紛 争 やいさかいを 起 こさず 持 続 的 で 安 定 した 生 産 がはじめて 可 能 となる このような 調 整 管 理 は 漁 村 集 落 の 大 方 の 漁 業 者 で 組 織 する JF でしか 担 えないとして 行 政 が JF に 優 先 的 に 免 許 を 与 え てきた 背 景 と 歴 史 がある 宮 城 県 の 村 井 嘉 浩 知 事 が 地 元 の 漁 業 者 に 相 談 せずに 特 区 構 想 を 打 ち 出 したことにも 問 題 がある 漁 業 において 震 災 から 復 興 する 主 役 は 漁 業 者 と 漁 業 関 係 者 たち だ 家 や 漁 船 だけでなく 大 切 な 家 族 をも 失 い 避 難 所 で 暮 らしている 漁 業 者 たちが 漁 の 再 開 を 目 指 し ガレキの 撤 去 などを 黙 々と 続 けて いる その 主 役 と 議 論 もせずに 特 区 構 想 を 打 ち 出 した 脈 々と 受 け 継 がれてきた 漁 業 を 根 底 から 覆 すような 特 区 構 想 に 地 元 の 宮 城 県 漁 協 (JF みやぎ)は 反 対 を 表 明 した 地 元 の 意 見 を 無 視 した 形 で 復 興 など 成 り 立 つか と 漁 業 者 からも 反 発 が 噴 出 し JF み や ぎ は 5 月 21 日 約 1 万 4,000 人 分 の 反 対 署 名 を 県 知 事 に 提 出 した JF が 漁 業 権 を 独 占 し 企 業 の 参 入 を 阻 んでいる とは 大 きな 誤 解 だ 漁 業 権 は 実 際 に 海 で 漁 をする 35
漁の再開を目指して黙々と作業を進めている 者に与えられる権利で JF は漁 業者や JF が企業の参入を拒んで 業と漁場を管理する立場として県 いるわけではない 震災で資産を 知事から漁業権の免許を受けてい 失ってしまった漁業者にとって る JF みやぎが付与されている 企業のノウハウや資本導入は復興 のは 漁業を組合自ら営まないと のための力となる いう 組合管理漁業権 だ 法人 企業が漁業に参入することは 格を持たない零細な漁業者らの権 現在の法制度でも可能である 長 利を守るために漁業権の免許を受 崎県などで行われているマグロ養 け 漁業と漁場を管理しているのだ 殖は有名だが 地元漁業者と企業 特区構想は JF の関与できな の交流は10年以上も前から行われ い漁業権漁場を設定することによ 多くの企業が漁業に参入している って 各種の漁業種類の並存 入 水産庁が2007年から3年間実施し 会操業を調整していた JF の漁場 た漁業 異業種連携ビジネスプラ 秩序維持機能をマヒさせることが ン助成事業 注1 では73件の成功 懸念される だからといって 漁 例が生まれている 愛知県の乳業 36 経営実務 11 増刊号
2010 メーカーは 地 元 の 漁 業 者 と 連 携 し チリメンの 賞 味 期 限 を 延 長 さ せる 技 術 を 開 発 した シラスの 釜 揚 げは 菌 が 発 生 しやすく 日 持 ちし なかったが 乳 業 メーカーが 技 術 協 力 することで 倍 近 く 日 持 ちする ようになった 企 業 の 持 つ 効 率 化 や 技 術 のノウハウと 漁 業 者 の 知 恵 を 共 有 することで 相 乗 効 果 を 出 し たいい 例 だ ( 注 1) 漁 業 異 業 種 連 携 ビジネスプラ ン 事 業 = 水 産 物 の 付 加 価 値 を 向 上 さ せ 漁 業 と 漁 村 の 活 性 化 を 目 指 すビ ジネスプランを 支 援 する 事 業 JF や 漁 業 者 と 企 業 が 連 携 して 取 り 組 む 新 たなビジネスプランの 事 業 化 を 国 が 支 援 する 農 林 水 産 省 は6 月 28 日 水 産 復 興 マスタープラン を 発 表 した 復 興 に 当 たっての 基 本 理 念 の 一 番 目 に 地 元 の 意 向 を 踏 まえて 復 興 を 推 進 する と 書 き 込 んだものの 水 産 特 区 構 想 について 必 要 な 地 域 では 地 元 漁 業 者 が 主 体 となった 法 人 が JF に 劣 後 しないで 漁 業 権 を 取 得 できる 取 り 組 みを 具 体 化 と 明 記 した 復 興 構 想 会 議 の 第 一 次 提 言 を 受 け 入 れた 形 となった マスタープランのビジョンは 水 産 を 構 成 する 各 分 野 を 総 合 的 一 体 的 に 復 興 するというもの 漁 港 養 殖 JF といった8 分 野 に 原 発 事 故 への 対 応 を 加 え9 分 野 に 分 けて それぞれの 復 興 対 策 を 講 ずることとしている 8,000 億 円 以 上 もの 被 害 を 出 した 漁 港 につい ては 拠 点 漁 港 や 地 域 水 産 業 の 拠 点 となる 漁 港 から 着 手 する 海 底 に 沈 んだガレキが 問 題 となってい る 漁 場 は 早 期 再 開 可 能 好 漁 場 主 漁 場 などを 優 先 的 に 支 援 し 併 せて 被 災 した 沿 岸 漁 場 や 藻 場 干 潟 の 環 境 調 査 を 継 続 して 行 う 漁 業 者 の 生 活 基 盤 である 漁 船 につい ては 早 期 再 建 が 重 要 と 位 置 付 け 漁 船 船 団 の 近 代 化 合 理 化 共 同 利 用 を 進 めて 経 営 の 効 率 化 を 図 る 沿 岸 漁 業 の 漁 船 隻 数 は 3 年 以 内 に 震 災 前 の 半 数 程 度 の 水 準 まで 回 復 することを 目 標 に 掲 げた 養 殖 栽 培 漁 業 は 利 用 可 能 な 漁 場 から 生 産 を 早 期 に 再 開 するととも に 未 利 用 の 沖 合 海 域 への 展 開 も 検 討 する 1 年 で 収 穫 できるワカ メやコンブは 可 能 な 限 り 早 期 回 復 を 目 標 とした 水 産 加 工 流 通 では 仮 施 設 や 共 同 利 用 施 設 の 整 備 による 早 期 復 37
旧を支援し 被災地産の水産物に の調整が必要なことは変わらない ついて 食べて被災地の復興を支 との意見も出ているという える プロジェクトを支援し消費 拡大を図る 漁業経営の項目で 水産特区について触れている こ 復興の主体は地域住民 JF 全漁連の方針 れについては鹿野道彦農水相が 全国漁業協同組合連合会 JF 特区をやりたいところも なし 全漁連 は 東日本大震災からの でやるところもあるだろう と言 復興 再生の目指すべき方向性を 葉をぼやかした 検討するため 漁業 漁村の復興 水産庁は6月 水産会社や商社 再生に向けた検討委員会 を設置 量販店など55社を対象に 岩手 し7月8日 中間報告書を服部郁 宮城 福島の被災3県の漁業への 弘 JF 全漁連会長に手渡した 第 参入希望調査を実施した それに 2次補正以降の国庫予算および5 よると 14社が参加を希望してい 年 10年先を見据えた被災漁業 るが 特区ができても 地元と 漁村の目指すべき方向性について 漁港の被害額は8,000億円以上にのぼる 38 経営実務 11 増刊号
2010 取 りまとめている 中 間 報 告 書 は 第 一 現 状 認 識 第 二 復 興 の 基 本 的 考 え 方 第 三 第 2 次 補 正 予 算 以 降 で 実 施 さ れるべき 具 体 的 復 興 策 の3 項 目 で 構 成 されている 現 状 認 識 では 1 次 補 正 予 算 の 事 業 効 果 がまだ 実 感 されていない 状 況 であることを 指 摘 福 島 原 発 被 害 については さらに 被 害 が 進 行 中 と 触 れたうえで より 根 本 的 な 対 応 策 を 検 討 することが 可 能 になった 時 点 で 踏 み 込 んだ 対 応 を と 要 望 している 復 興 の 基 本 的 考 え 方 は 復 興 の 主 体 は 地 域 住 民 であり JF が 復 興 事 業 推 進 の 中 核 として 役 割 を 果 たすことを 明 記 した また 当 面 の 操 業 を 立 ち 上 げる 短 期 的 復 興 策 漁 船 養 殖 施 設 等 の 共 同 利 用 などで 経 営 を 維 持 する 中 期 的 復 興 策 関 連 業 界 の 整 備 と 漁 業 水 産 業 の 在 り 方 の 抜 本 的 見 直 しを 行 う 長 期 的 復 興 策 を それぞれ 各 2 年 間 計 6 年 間 で 復 興 を 完 成 させることが 望 ましいと した 第 2 次 補 正 予 算 以 降 で 実 施 さ れるべき 具 体 的 復 興 策 では 共 同 経 営 方 式 の 導 入 水 産 関 連 施 設 の 一 体 的 整 備 JF の 基 盤 強 化 機 能 維 持 支 援 効 率 的 かつ 安 全 な 漁 村 整 備 まちづくりの 在 り 方 当 面 の 収 入 確 保 策 の 項 目 を 立 て た 漁 業 水 産 業 は 関 連 産 業 や 施 設 のひとつでも 欠 けると 全 体 が 順 調 に 動 かない 構 造 であることか ら 一 体 的 な 整 備 が 重 要 であるこ とを 強 調 した 被 災 地 の 漁 村 では 漁 港 が 産 業 の 中 心 であり 漁 港 と 住 居 との 動 線 が 長 くなる 漁 港 集 約 化 は 不 適 切 と 否 定 地 域 住 民 の 意 向 を 尊 重 した 漁 村 復 興 を 図 ること を 大 原 則 とし 地 域 の 自 主 的 復 興 プロジェクトを 支 援 していく 施 策 39
や 緊 急 対 策 として 国 の 予 算 措 置 で 生 活 費 を 確 保 できる 機 会 を 設 ける 必 要 性 を 示 唆 した 水 産 特 区 構 想 については 漁 場 管 理 をめぐる 対 立 を 招 き 漁 業 の 復 興 を 妨 げ 遅 らせる 要 因 と 言 及 委 員 長 を 務 めた 加 瀬 和 俊 東 京 大 学 教 授 は 特 区 は 漁 業 を 復 興 さ せられるかもしれない けれど 漁 村 は 崩 壊 する と 警 鐘 を 鳴 らす 被 害 の 全 容 が 見 えない 福 島 原 発 事 故 風 評 被 害 などに 加 え 燃 油 価 格 高 騰 魚 価 安 など 恒 常 的 な 課 題 は 多 く 本 委 員 会 は 今 後 も 適 宜 必 要 な 意 見 を 述 べていくため 中 間 報 告 書 と 位 置 付 けた JF 全 漁 連 は7 月 6 日 都 内 で 漁 業 者 が 一 体 となった 復 興 を 目 指 す 緊 急 全 国 漁 業 代 表 者 集 会 を 開 き 国 に 対 して 漁 業 者 の 絆 を 分 断 させることなく 一 体 となって 未 曾 有 の 困 難 を 乗 り 越 え 復 興 に 取 り 組 めるよう 関 係 者 間 の 調 整 仲 介 に 最 大 限 の 努 力 を 行 うことを 求 めた これには 企 業 参 入 と 漁 業 権 の 取 得 問 題 を 混 同 してしまっ た 水 産 特 区 構 想 に 対 する 意 見 が 含 められている これだけの 被 害 から 立 ち 上 がるためには まず 被 災 者 への 応 急 措 置 的 な 支 援 が 行 われるべきで 漁 業 法 を 議 論 する 時 期 は 尚 早 ではないだろうか 抜 本 的 な 見 直 しや 検 討 は 血 が 止 まってからでも 遅 くはない JF 職 員 は 協 同 組 合 の 精 神 相 互 扶 助 のもと 自 ら 被 災 しなが らも 漁 業 者 のために 日 々 奔 走 し ている ある 県 漁 連 職 員 は 母 親 と 実 家 を 失 った それでも 最 初 に 向 かったのは 浜 だった 外 国 のメディアに 日 本 人 はす べて 失 くしたけれど 尊 厳 だけは 失 くしていない と 言 わしめた 日 本 人 被 災 した 人 々が お 互 いに 助 け 合 っている 姿 を 称 えたものだ 漁 業 農 業 に 携 わる 人 は 周 りの 人 が 困 っていたら 必 ず 助 け 合 う 文 化 がある 2008 年 に 起 こった 海 上 自 衛 隊 の イージス 艦 あたごと 千 葉 県 JF 勝 浦 市 所 属 漁 船 清 徳 丸 の 衝 突 事 故 は まだ 記 憶 に 新 しい この 時 も JF の 組 合 員 らは 漁 船 で 海 に 繰 り 出 し 捜 索 を 続 けた 2008 年 とい えば 原 油 価 格 の 異 常 高 騰 で 漁 船 用 の 燃 油 価 格 が 跳 ね 上 がったとき だ 彼 らは 操 業 もせず 高 い 燃 油 を 使 って 仲 間 を 探 した 漁 業 者 は 40
2010 一 匹 オオカミと 思 われがちだが 仲 間 を 助 けることは 何 よりも 優 先 する そんな 漁 業 者 でも 狭 い 漁 場 に 何 人 も 入 れば 少 なからずトラブ ルは 起 こる 陸 地 と 違 って 海 に 境 界 線 は 引 けないからだ 漁 業 者 が 納 得 できるようルールを 作 り 漁 業 者 を 守 るのが 漁 業 協 同 組 合 (JF) だ JF グループ 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 漁 業 漁 村 災 害 復 興 対 策 本 部 が 行 っている がんばれ 漁 業 募 金 は 目 標 金 額 の2 倍 以 上 とな る20 億 円 を 超 えた JF グループ の 県 域 関 係 者 からの 協 力 が 大 きか った どこも 経 営 は 楽 ではない それでも 仲 間 が 非 常 事 態 に 陥 っ たのを 黙 って 見 過 ごすことができ なかったのだ 日 本 は 豊 饒 の 海 に 囲 まれ 自 然 の 恩 恵 を 受 けてきた それゆえに これまでも 自 然 災 害 が 多 く 大 き な 被 害 が 発 生 してきた しかし 必 ず 立 ち 直 ってきた 困 っている 仲 間 を 助 け 合 う 精 神 は 日 本 の 風 土 から 生 まれてきたものかもしれな い 今 まさに 必 要 なことは 地 元 に 根 付 いている 絆 を 壊 さず 助 け 合 う 協 同 精 神 ではないだろうか 気 仙 沼 港 41