滋賀大学大学院教育学研究科論文集第15号



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3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

Transcription:

滋 賀 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 論 文 集 131 第 15 号,pp. 131-136,2012 原 著 論 文 大 学 生 の 食 生 活 実 態 と 食 育 の 課 題 Dietary Lifestyle and Issues of Dietary Education among University Students Noriyo WAKAMATSU キーワード: 食 育, 大 学 生, 自 炊, 家 庭 科 教 育 1. 緒 言 わが 国 はモンスーンアジアに 位 置 し, 古 来 よ り 豊 かな 水 と 温 暖 な 気 候 に 支 えられ 風 土 に 合 っ た 米 や 大 豆, 野 菜 魚 を 中 心 とした 食 生 活 を 営 み, 豊 かな 食 文 化 を 作 り 上 げてきた 戦 後 は, 伝 統 的 な 食 生 活 の 長 所 を 保 ちつつ, 畜 産 物 や 乳 製 品 などをバランスよく 取 り 込 み, 米 と 多 様 な 副 食 からなるいわゆる 日 本 型 食 生 活 1) を 実 現 し, 昭 和 50 年 代 には 海 外 からも 大 きく 評 価 されてきた ところが, 社 会 経 済 構 造 の 変 化, 国 民 の 価 値 観 の 変 化 等 を 背 景 に, 日 本 型 食 生 活 から, 個 人 の 好 みに 合 わせた 食 生 活 スタイ ルへと 食 の 多 様 化 が 進 展 した その 結 果, 脂 質 の 過 剰 摂 取 や 野 菜 の 摂 取 不 足 等 による 栄 養 の 偏 り, 朝 食 の 欠 食 に 代 表 されるような 食 習 慣 の 乱 れに 起 因 する 肥 満 や 生 活 習 慣 病 の 増 加, 過 度 の 痩 身 等 様 々な 問 題 が 引 き 起 こされてきたのであ る 食 生 活 の 乱 れは, 大 人 だけではなく 人 格 形 成 期 にある 子 供 達 にも 大 きな 影 響 があり, 食 育 家 政 教 育 専 修 教 科 教 育 専 攻 指 導 教 員 : 堀 越 昌 子 の 推 進 が 緊 急 課 題 となった 平 成 17 年 に 食 育 基 本 法 が 制 定 され, 食 育 の 推 進 を 家 庭, 学 校, 保 健 所, 地 域 などを 中 心 に 国 民 運 動 として 取 り 組 むこととされた 前 文 に は, 子 どもたちが 豊 かな 人 間 性 をはぐくみ, 生 きる 力 を 身 に 付 けていくためには, 何 よりも 食 が 重 要 である と 述 べられている 服 部 2) も, 人 を 良 くするのが 食 である どんな 食 べ 物 をどんなふうに 食 べるかということは, けっしておろそかにすることができない 大 切 な 生 きる 力 である と 述 べている 小 学 校 の 学 習 指 導 要 領 3) には, 総 則 に 食 育 の 推 進 が 明 記 され, 体 育 科 の 時 間 はもとより, 家 庭 科, 特 別 活 動 などにおいてもそれぞれの 特 質 に 応 じて 適 切 に 行 うよう 努 めることとする とある 岩 村 4) は, 学 校 教 育 で 習 う 家 庭 科 は, 大 人 に なった 後 まで 影 響 を 及 ぼしていると 述 べている また, 家 庭 でお 母 さんが 子 どもと 一 緒 に 台 所 に 立 ち, 手 伝 わせながら 教 えるような 光 景 がほと んど 見 られなくなってきた 今 日, 家 庭 科 教 育 の 影 響 は 一 層 軽 視 できないものとなっていると 述 べている 確 かに, 筆 者 が 2 年 前 に 5 年 生 の 家 庭 科 を 受 け 持 ったとき, 初 めて 包 丁 を 持 つ 子 が 半 数 以 上 を 越 えており,リンゴの 皮 むきがで

132 きる 子 は 学 級 に 一 人 二 人, 家 庭 で 食 事 作 りに 参 加 している 子 供 は 二, 三 人 程 度 であった 家 で は 親 に 勉 強 をしなさい こそ 言 われても 食 事 作 りを 手 伝 いなさい とは 言 われたりし ないのが 現 状 である そこで, 本 研 究 ではそういった 子 ども 達 が 大 学 生 に 成 長 したときどんな 食 生 活 を 送 っている のかを 調 査 し, 問 題 点 を 明 らかにする 大 学 生 になると 日 常 の 食 事 を 主 体 的 に 決 めていくこと が 多 くなる 一 人 暮 らしを 始 めた 自 宅 外 通 学 生 は, 毎 日 の 食 事 を 自 分 で 決 めて 用 意 しなければ ならない 何 を 食 べるか, 作 るか 買 ってくるか, 材 料 はどうするか, 外 食 にするかなど, 自 分 で 判 断 し 行 動 する 自 宅 から 大 学 に 通 う 学 生 でも, 家 族 以 外 との 食 事 の 機 会 が 増 える こういった ことから, 高 野 5) は 青 年 期 から 成 人 期 にかけて は 食 生 活 の 分 岐 点 と 述 べている 本 研 究 では,この 分 岐 点 にある 大 学 生 の 食 生 活 実 態 と 今 までの 食 育 歴 を 調 べることによって, 子 供 時 代 の 食 育 の 重 要 点 を 明 らかにし, 小 学 校 教 育 の 食 育 の 指 導 に 活 かせる 知 見 を 得 ることが できると 考 えた 明 らかにしたいことは, 大 学 生 で 自 炊 が 行 えている 学 生 は, 今 までに 家 庭 や 学 校 でどういった 食 育 を 受 けてきたのか で ある また,このような 要 因 分 析 的 な 先 行 研 究 は 見 あたらない 2. 質 問 紙 調 査 の 方 法 調 査 は 質 問 紙 を 用 いて, 滋 賀 大 学 の 教 育 学 部 と 経 済 学 部 に 在 籍 する 全 学 生 を 対 象 に 行 った 調 査 時 期 は 2011 年 4 月 の 健 康 診 断 の 際 に 行 い, 1,933 名 の 回 答 を 得 た 質 問 項 目 は, 自 分 の 食 生 活 を 具 体 的 に 振 り 返 る 設 問 10 項 目 と 食 生 活 リズムや 食 意 識, 食 生 活 に 関 連 のある 項 目 10 項 目 である 調 査 の 主 な 内 容 は, 食 事 摂 取 頻 度 と 調 理 頻 度 で, 数 量 化 Ⅲ 類 による 分 析 を 行 った 以 下 が, 設 問 の 概 要 である まず, 自 分 の 食 生 活 を 具 体 的 に 振 り 返 ることのできる 設 問 を 10 項 目 作 成 した 設 問 内 容 は,どのくらい 食 べているか,どのくらい 自 分 で 調 理 しているか を 問 う 形 にした 回 答 者 がイメージしやすいよ うに 1.ほぼ 毎 日 2. 週 2 回 以 上 3. 月 数 回 程 度 4.まれ 5.なし という 5 つの 選 択 肢 を 作 り, 欄 に をつける 形 にした 1. 朝 食 を 食 べていますか 2. 朝 食 に 主 食 (ご 飯,パン, 麺 など) を 食 べていますか 3. 朝 食 にご 飯 を 食 べる 頻 度 はどのくらいで すか 4.ご 飯 を ( 炊 飯 器 等 を 利 用 して) 自 分 で 炊 きますか 5.みそ 汁 を 食 べる 頻 度 はどのくらいですか 6.みそ 汁 を 自 分 で 作 りますか 7. 一 日 に 野 菜 ( 両 手 椀 約 3 杯 )を 食 べてい ますか 8. 野 菜 料 理 を 自 分 で 作 りますか 9. 魚 を 食 べる 頻 度 はどのくらいですか 10. 魚 料 理 を 自 分 で 作 りますか 次 に, 食 生 活 リズムや 食 生 活 に 関 連 のある 項 目 を10 項 目 作 成 した 回 答 者 が 答 えやすいよ うに 設 問 に 合 わせて 選 択 肢 を 2 つから 6 つまで 変 えていき, をつける 形 にした 11. 自 分 の 食 生 活 を 評 価 すると 次 のどれです か 12. 食 に 関 する 知 識 を 増 やしたいですか 13. 朝, 起 きる 時 間 は 何 時 が 多 いですか 14. 夜, 寝 る 時 間 は 何 時 が 多 いですか 15. 便 通 の 調 子 はどうですか 16. 毎 日 適 度 な 運 動 をしていますか 17. 自 分 は 健 康 だと 思 いますか 18. 三 度 の 食 事 に 十 分 なお 金 をかけています か 19.アルバイトをしていますか 20.アルバイトをしている 理 由 は 次 のどれで すか 21.アルバイトは 週 に 合 計 何 時 間 ですか 22.アルバイトをしている 時 間 帯 は 次 のうち どれに 多 くあてはまりますか 23.アルバイトが 原 因 で 食 事 リズムが 崩 れる ことがありますか 3. 質 問 紙 調 査 結 果 と 考 察 図 1は, 調 査 用 紙 の 質 問 項 目 1から10まで の10 項 目 の 分 布 をグラフにまとめたもの である 朝 食 を 毎 日 食 べている 人 ( 項 目 1) は 約 70 パーセントで, 朝 食 に 主 食 を 摂 取 するこ

大 学 生 の 食 生 活 実 態 と 食 育 の 課 題 133 図 1 食 事 摂 取 と 調 理 頻 度 とができている 人 ( 項 目 2) は70パーセント を 下 回 る つまり,3 割 強 の 人 が 朝 食 を 毎 日 食 べることができていない 状 況 にある この 結 果 は, 厚 生 労 働 省 が 出 している 平 成 21 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果 とほぼ 同 じ 水 準 であった しか し, 住 居 別 に 調 べていくと, 自 宅 外 通 学 生 で 朝 食 を 毎 日 食 べている 人 は 57 パーセントとなり, 自 宅 通 学 生 の 82 パーセントに 比 べて 大 きく 下 がる 結 果 となった また, 自 宅 外 通 学 生 の 男 性 は 44 パーセントと 内 閣 府 の 統 計 調 査 6) より 低 い 結 果 となった 朝 の 米 飯 摂 取 率 ( 項 目 3)を 見 ると, 毎 食 の 人 は 40 パーセントを 割 ってい る また, 味 噌 汁 の 摂 取 頻 度 ( 項 目 5) も, 毎 日 の 人 は 20 パーセントを 割 っており, 和 食 離 れが 進 んでいると 考 えられる 米 飯 調 理 ( 項 目 4) については, 毎 日 の 人 は 約 30 パーセントで, 週 に 2 回 以 上 の 人 になる と 約 50 パーセントとなっている また, 味 噌 汁 の 調 理 頻 度 ( 項 目 6) はさらに 少 なく, 週 2 回 以 上 の 人 を 含 めても 約 20 パーセントにとど まった 味 噌 汁 に 入 っている 野 菜 類 や 芋 類, 海 草 類,キノコ 類, 大 豆 等 の 摂 取 不 足 が 懸 念 され る 野 菜 摂 取 量 ( 項 目 7) については, 毎 日 一 定 量 摂 取 できている 人 は 20 パーセント 強 で, 週 に 2 回 以 上 となると 60 パーセント 近 くまで 増 える しかし, 残 り 40 パーセント 以 上 の 人 は, 深 刻 な 野 菜 不 足 となっている 野 菜 の 調 理 図 2 食 事 摂 取 頻 度 頻 度 ( 項 目 8) になるとさらに 下 がり, 週 2 回 以 上 の 人 を 含 めても 約 30 パーセントとなって いる 魚 の 摂 取 ( 項 目 9) については, 毎 日 と 答 えた 人 はほんの 数 %で, 週 に 2 回 以 上 と 答 えた 人 も 含 めて 50パーセントに 満 たないとい う 結 果 が 出 た 魚 を 調 理 する 頻 度 ( 項 目 10) はさらに 低 く, 週 2 回 以 上 と 答 えた 人 を 含 めて 約 10 パーセントである また, 魚 を 全 く 調 理 しないという 人 は, 約 半 数 の50パーセントと なっている 図 2は, 住 居 と 学 年 の 作 用 によって 食 事 摂 取 頻 度 が 変 わってくる 様 子 をグラフ 化 したもので ある 縦 軸 の 数 値 は, 図 1の10 項 目 に 対 して 数 量 化 Ⅲ 類 を 行 って 得 た 食 事 摂 取 頻 度 の 成 分 得 点 である 自 宅 通 学 生 よりも 自 宅 外 通 学 生 の 方 が 食 事 摂 取 頻 度 が 大 きく 減 少 しているのがわか る 自 宅 通 学 生 は,1 回 生 から 2 回 生 にかけて 食 事 摂 取 頻 度 がやや 下 回 るがその 後 は 大 きな 変

134 化 はない ところが, 自 宅 外 通 学 生 は,1 回 生 から 2 回 生 にかけて 食 事 摂 取 頻 度 が 大 きく 減 少 し,その 後 3 回 生 でもさらに 下 がり,4 回 生 は 3 回 生 とほぼ 同 じで 食 事 摂 取 頻 度 は 下 がりきっ たままである 自 宅 外 通 学 生 は 学 年 が 上 がるに つれて 食 事 摂 取 頻 度 が 大 きく 減 少 する いろい ろなデータを 比 較 する 中 で, 食 事 摂 取 頻 度 の 減 少 の 要 因 は, 朝 食 欠 食 と 関 連 があることがわ かった また, 朝 食 欠 食 は, 起 床 時 間 と 関 連 が あることもわかっている とわずかである 自 宅 外 通 学 生 の 男 性 は, 大 学 に 入 ってから 食 事 摂 取 頻 度 も 減 少 し, 自 分 の 食 生 活 に 問 題 を 感 じながら 過 ごしていることがわ かる 健 康 を 害 する 学 生 も 少 なくないのではな いかと 考 える 図 4 調 理 頻 度 図 3 自 宅 外 生 の 食 事 摂 取 頻 度 図 3は, 自 宅 外 通 学 生 の 食 事 摂 取 頻 度 につい て 性 別 と 学 年 の 交 互 作 用 をグラフ 化 したもので ある 男 性 も 女 性 も1 回 生 から 3 回 生 にかけて 食 事 摂 取 頻 度 が 下 がっており,その 減 少 の 幅 は 女 性 より 男 性 の 方 が 大 きい 男 性 は 2 回 生 から 3 回 生 にかけての 減 少 が 顕 著 であり, 女 性 は1 回 生 から 2 回 生 にかけて 大 きく 下 がっている 学 年 間 の 差 を 多 重 比 較 で 調 べると,それぞれ 有 意 確 率 が0.001 未 満 と 有 意 である 表 1 は, 食 生 活 自 己 評 価 ( 項 目 11) を 性 別 居 住 形 態 別 で 分 けたクロス 集 計 表 である この 表 を 見 ると, 自 宅 外 通 学 生 は 自 宅 通 学 生 よりも 自 分 の 食 生 活 をよいと 思 っている 人 の 割 合 がか なり 低 く, 特 に 自 宅 外 通 学 生 の 男 性 は,13.1% 図 4は 性 別 学 年 住 居 別 に 調 理 頻 度 を 比 較 した 図 である 縦 軸 の 数 値 は, 図 1の10 項 目 に 対 して 数 量 化 Ⅲ 類 を 行 って 得 た 調 理 頻 度 の 成 分 得 点 である 自 宅 外 通 学 生 は, 自 宅 通 学 生 に 比 べて 調 理 頻 度 が 高 いことがわかる これは, 自 宅 外 通 学 生 の 方 が, 自 分 で 食 事 を 用 意 しなけ ればならない 状 況 に 置 かれているためと 考 えら れる また, 男 性 より 女 性 の 方 が 調 理 頻 度 がや や 高 めで, 居 住 別 に 関 わらず 学 年 が 上 がるにつ れて 調 理 頻 度 もわずかに 増 える 傾 向 にある そ の 他 に 特 徴 的 なこととして, 食 知 識 を 増 やした い ( 質 問 項 目 12) と 答 えた 人 は 居 住 別 に 関 係 なく 82% にものぼった つまり, 調 理 頻 度 が 高 い 人 も 低 い 人 も, 食 知 識 を 増 やしたいと 思 っ ていることがわかる 4. 面 接 調 査 の 方 法 質 問 紙 調 査 の 結 果 から, 食 事 摂 取 頻 度 や 朝 食 摂 取 頻 度 が 大 きく 下 がっている 属 性 自 宅 外 通 男 性 女 性 自 宅 生 自 宅 生 表 1 自 宅 外 生 自 宅 外 生 食 生 活 自 己 評 価 と 性 別 居 住 形 態 のクロス 集 計 表 よい やや 問 題 問 題 162 (44.88) 44 (13.10) 269 (49.54) 86 (25.15) 171 (47.37) 197 (58.63) 249 (45.86) 198 (57.89) 28 (7.76) 95 (28.27) 25 (4.60) 58 (16.96) χ 2 (2)=105.2*** χ 2 (2)=71.3*** ***p<0.001

大 学 生 の 食 生 活 実 態 と 食 育 の 課 題 135 学 の 男 子 学 生 の 食 生 活 実 態 をさらに 具 体 的 に 詳 しく 調 べることにし, 個 別 の 面 接 調 査 (30 分 程 度 ) を 行 った 調 査 時 期 は 2011 年 10 月 で, 10 名 の 協 力 者 を 得 た 調 査 の 主 な 内 容 は, 食 育 歴 と 現 在 の 食 生 活 実 態 である 面 接 調 査 では, 質 問 紙 への 回 答 とその 回 答 に 対 する 補 足 や 追 加 質 問 を 中 心 に 半 構 造 的 に 尋 ねた 面 接 の 最 後 に は, 包 丁 の 扱 い 慣 れをみるためりんごの 皮 むき をしてもらった ただし, 本 人 があまり 乗 り 気 でない 場 合 には 辞 退 してもらった 5. 面 接 調 査 結 果 と 考 察 (1) 自 炊 を 実 践 している 背 景 : 自 炊 を 実 践 し ている 学 生 は 10 名 中 4 名 である 幼 少 期 か ら 調 理 のお 手 伝 いをしていたり, 自 分 一 人 の 力 で 簡 単 な 料 理 を 作 ってみたりしている また,そのことを 家 族 に 誉 めてもらう 形 で 認 めてもらうという 経 験 が, 現 在 の 自 炊 行 動 に 結 びついていることがわかった 4 名 とも 誉 めてもらって 嬉 しかった 記 憶 を 話 し てくれた (2) 自 炊 を 実 践 していない 背 景 : 現 在 自 炊 を 行 っていない,もしくはたまに 行 っている と 答 えた 学 生 は 10 名 中 6 名 である 日 常 的 に 調 理 に 関 わる 経 験 が 少 なかったり, 調 理 を 通 して 家 族 から 誉 められた 経 験 がなかっ たりすることが, 現 在 の 自 炊 を 行 わない 状 況 につながっていると 考 える (3) 体 調 不 良 と 自 炊 行 動 との 関 係 : 大 学 に 入 ってから 体 調 不 良 を 感 じている 学 生 は 10 名 中 7 名 である 7 名 のうち 6 名 は 自 炊 を 実 践 できていない 者 で,6 名 のうち 3 名 は 10 キロ 以 上 の 体 重 の 増 減 や 肺 炎 にかかって いる 体 調 の 悪 化 に 気 づいて 改 善 できたの は, 自 炊 を 実 践 している 学 生 1 名 だけであ る 調 理 技 術 の 有 無 は, 自 分 の 健 康 管 理 を 大 きく 左 右 する (4) 包 丁 の 技 術 と 自 炊 行 動 の 関 係 : 包 丁 を 扱 う 技 術 については 手 先 の 器 用 さも 関 係 して くるので, 技 術 = 自 炊 の 実 行 とは 言 い 切 れない しかし, 自 炊 を 実 行 している 4 名 のうち 3 名 は, 幼 少 期 から 日 常 的 に 包 丁 を 持 って 調 理 をしているので,この 経 験 は 食 育 には 必 須 である (5) 食 に 対 する 意 識 と 自 炊 行 動 との 関 係 : 自 炊 を 実 践 している 者 ほど 食 に 対 する 意 識 が 高 いが, 自 炊 を 実 践 していなくても,ふだ んから 食 に 関 するゼミや 実 習 等 に 参 加 して いる 学 生 は, 食 に 対 する 意 識 が 比 較 的 高 い ことがわかった (6) 朝 食 摂 取 と 自 炊 行 動 との 関 係 : 毎 日 朝 食 を 食 べているのは, 自 炊 を 実 践 している 学 生 で 1 名 だけであった 他 は 自 炊 の 有 無 に 関 わらず, 週 に 2,3 回 中 食 や 外 食 を 利 用 し ている また, 高 校 時 代 から 朝 食 欠 食 の 習 慣 が 多 少 でもあるものは, 自 炊 をしていて も 朝 食 は 欠 食 となりがちである 自 分 で 朝 食 を 用 意 して 食 べるといことは, 大 学 生 に とってハードルが 高 いことがわかった (7) 現 在 の 生 活 環 境 の 影 響 と 自 炊 行 動 との 関 係 : 下 宿 や 寮 の 住 宅 環 境 については, 全 員 が 同 じ 不 満 を 持 っており,さまざまな 問 題 点 がある ( 台 所 のスペース 火 力 衛 生 ) しかし, 自 炊 行 動 に 影 響 するのは 設 備 面 よ りも 身 近 な 人 間 関 係 であり, 側 にいる 友 達 の 自 炊 行 動 の 有 無 が, 周 りの 学 生 の 食 生 活 に 影 響 してくるのではないかと 考 える 5. 結 論 面 接 調 査 の 協 力 者 がすべて 男 性 という 偏 りに は 注 意 しなければならないが, 自 炊 を 行 ってい ない 者 は, 一 人 暮 らしを 始 めてから 体 調 が 不 調 になるケースが 多 かった 量 的 調 査 の 健 康 度 自 己 評 価 でも, 自 宅 外 通 学 生 は 自 宅 通 学 生 よりも 健 康 と 答 えた 人 は 少 なく, 食 生 活 自 己 評 価 で よい と 答 えた 人 も 非 常 に 少 なかった 特 に, 自 宅 外 通 学 生 の 男 性 は 食 事 摂 取 頻 度 の 減 少 が 大 きく, 栄 養 不 足 から 体 調 を 崩 している 人 が 少 なくない 現 状 が 見 えてきた しかし, 自 炊 を 行 う 力 量 がなければ, 自 分 の 食 生 活 を 改 善 する ことはできない そのため, 大 学 生 の 食 育 を 行 うには, 従 来 から 行 われている 食 生 活 を 見 直 す 学 習 だけではなく, 調 理 技 術 を 身 につける 調 理 実 習 を 定 期 的 に 行 うことが 効 果 的 であると 考 え る また, 現 在 側 にいる 友 人 が 自 炊 を 実 践 してい

136 るか 否 かも 自 炊 の 行 動 に 影 響 している 傾 向 が 面 接 調 査 から 見 られた 量 的 調 査 からは, 食 知 識 を 増 やしたいと 思 っている 学 生 は 8 割 を 越 える ことがわかった 食 知 識 の 向 上 心 は, 自 炊 を 行 っている 自 宅 外 通 学 生 はもちろんのこと, 調 理 をしていない 者 や 自 宅 通 学 生 にも 同 様 に 存 在 することもわかった そのため, 調 理 実 習 をす る 際 には, 自 炊 を 行 っている 者 の 影 響 を 受 ける ような 学 習 グループを 作 る 方 がより 効 果 的 であ ると 考 える 次 に, 食 事 摂 取 頻 度 が 大 きく 下 がるのは,1 回 生,2 回 生 であることが 量 的 調 査 からはっき りしている 面 接 調 査 でも, 食 生 活 リズムが 1 回 生 の 夏 から 秋 頃 にかけて 崩 れ 始 めてきている ことがわかった また, 食 事 摂 取 頻 度 と 食 知 識 向 上 心 は 正 の 関 連 があることがわかった つま り, 食 事 摂 取 頻 度 が 下 がりきってしまっている 3 回 生 や 4 回 生 に 食 育 を 行 うよりも, 食 生 活 リ ズムが 崩 れ 出 す1 回 生,2 回 生 に 食 育 を 行 った 方 がより 効 果 的 であると 考 える 朝 食 摂 取 については,かなりきびしい 現 実 が 見 えてきた 量 的 調 査 からも, 自 宅 外 通 学 生 の 朝 食 摂 取 頻 度 の 低 さは 目 立 っていたが, 朝 食 を 自 分 で 準 備 して 食 べるということは, 自 炊 を 行 っている 学 生 にとってもかなりハードルが 高 いという 実 態 が 明 らかになった これは, 大 学 生 に 食 育 を 行 うだけで 改 善 できる 問 題 ではなく, 大 学 構 内 で 朝 食 を 買 ったり, 食 べたりできるよ うなしくみを 作 るなど, 大 学 側 の 環 境 面 での 後 押 しが 必 要 となる また, 大 学 生 に 食 育 を 行 っ て 改 善 するのであれば, 簡 単 な 朝 食 メニューの 作 り 方 や 食 品 の 保 存 の 仕 方 を 季 節 ごとに 教 える など, 細 かいサポートが 必 要 である さらには, 夜 型 から 朝 型 へと 生 活 リズムを 立 て 直 す 取 り 組 みも 考 えなければならない 自 宅 外 通 学 生 で 自 炊 を 行 っている 者 は, 幼 少 期 から 日 常 的 に 調 理 の 手 伝 いをしたり, 簡 単 な 料 理 を 自 分 一 人 で 作 ったりしていて, 家 族 に 誉 められて 嬉 しかったという 経 験 があるというこ とが 面 接 調 査 から 見 えてきた 幼 少 期 に 調 理 を 通 して 家 族 に 認 めてもらう 経 験 が, 現 在 の 自 炊 の 行 動 に 大 きく 影 響 していると 言 える また, 包 丁 を 幼 少 期 から 持 つことや 家 庭 内 で 父 親 が 調 理 に 関 わっていることも, 本 人 の 自 炊 実 践 に 関 係 がある そういったことから 考 え 合 わせると, 小 学 生 までの 家 庭 や 学 校, 地 域 における 食 育 は かなり 重 要 であると 言 える 今 回 の 面 接 調 査 で は, 自 炊 行 動 に 結 びつくのは 家 庭 内 での 食 育 が 大 きく 影 響 していることがわかったが, 小 学 校 などの 調 理 実 習 や 食 物 の 授 業 が 直 接 的 なきっか けだという 話 は 残 念 ながら 一 つも 出 てこなかっ た しかし, 自 炊 を 行 っている 者 もそうでない 者 もほとんどが, 他 教 科 のどの 学 習 より 家 庭 科 の 調 理 実 習 が 楽 しい 授 業 だったと 話 している そういったことからも, 食 育 の 中 心 を 家 庭 科 の 調 理 実 習 に 据 え, 各 家 庭 や 地 域 との 連 携 を 図 っ た 学 習 開 発 を 行 うことで,さらに 食 育 の 効 果 を 高 めていきたい 引 用 文 献 1) 早 渕 仁 美 (2008).だれでもわかる だれでも 使 える 食 事 バランスガイド 農 山 漁 文 化 協 会, pp. 38-44 2 ) 服 部 津 貴 子 (2005).だれにもわかる 食 育 の テーマ 50 学 事 出 版 3 ) 文 部 科 学 省 (2008). 小 学 校 学 習 指 導 要 領 ( 平 成 20 年 3 月 告 示 ) 4 ) 岩 村 暢 子 (2003). 変 わる 家 族 変 わる 食 卓 頸 草 書 房,pp. 240-241 5) 高 野 裕 治 (2012). 大 学 生 の 食 生 活 スタイル 心 理 学 ワールド 56 日 本 心 理 学 会 pp. 17 6 ) 内 閣 府 (2010). 平 成 22 年 度 食 育 の 現 状 と 意 識 に 関 する 調 査