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市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

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住宅税制について

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

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定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

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Transcription:

平 成 26 年 度 税 制 改 正 案 カンタン 解 説 今 年 の 税 制 改 正 大 綱 は 9 月 に 秋 の 税 制 改 正 大 綱 が 発 表 されたという 点 が 特 徴 的 です 秋 の 税 制 改 正 大 綱 は 本 年 4 月 に 控 えた 消 費 税 増 税 を 受 けての 景 気 対 策 のための 税 制 改 正 で 法 人 の 設 備 投 資 を 支 援 する 内 容 が 主 な 内 容 となっています その 上 で 昨 年 12 月 12 日 に 通 常 通 りの 税 制 改 正 大 綱 が 発 表 されました こちらの 方 は 全 体 的 にはやはり 近 年 の 傾 向 通 り 法 人 減 税 個 人 増 税 という 内 容 になっ ております この 傾 向 は 今 後 も 続 くものと 考 えられ 中 小 企 業 の 節 税 対 策 として 役 員 報 酬 等 による 所 得 分 散 よりも 内 部 留 保 の 方 が 有 利 な 傾 向 が 強 く 内 部 留 保 の 重 要 性 がより 高 まるもの と 考 えられます 個 別 の 内 容 については 法 人 課 税 関 係 は 設 備 投 資 関 係 や 所 得 拡 大 税 制 の 拡 充 など 納 税 者 有 利 の 改 正 が 多 く ぜひチェックしておきたいところです また 消 費 税 についても 近 年 重 要 な 改 正 が 続 いており 今 年 も 簡 易 課 税 制 度 の み なし 仕 入 率 の 改 正 など 不 動 産 業 を 営 まれている 方 などは ぜひ 知 っておいていただき たい 内 容 となっています また 個 人 の 所 得 税 に 関 しては 近 年 給 与 所 得 控 除 の 上 限 設 定 や 最 高 税 率 の 引 き 上 げ など 高 所 得 者 に 対 する 増 税 が 目 立 っておりますが 今 年 もその 傾 向 通 り 給 与 所 得 控 除 の 上 限 引 き 下 げなど 増 税 となる 改 正 がありました 相 続 税 などの 資 産 税 関 係 は 昨 年 基 礎 控 除 の 引 き 下 げや 小 規 模 宅 地 等 の 特 例 の 改 正 な ど 大 幅 な 改 正 が 行 われたばかりということもあってか それほど 大 きな 改 正 はありませ んでした 以 上 が 近 年 の 税 制 改 正 の 流 れと 今 年 の 大 綱 の 概 要 ですが 以 下 個 別 の 内 容 について 主 なものをなるべくわかりやすくまとめてみましたので ご 一 読 いただければ 幸 いです 東 京 メトロポリタン 税 理 士 法 人 東 京 都 新 宿 区 西 新 宿 6-5-1 新 宿 アイランドタワー4F TEL:03-3345-8991 FAX:03-3345-8992 1

第 1 部 秋 の 税 制 改 正 大 綱 について 1. 生 産 性 向 上 設 備 投 資 促 進 税 制 の 創 設 1 要 件 青 色 申 告 法 人 が 産 業 競 争 力 強 化 法 施 行 の 日 ( 平 成 26 年 1 月 から 3 月 の 間 には 施 行 か)から 平 成 29 年 3 月 31 日 までの 間 に 次 の 設 備 を 取 得 し 国 内 にあるそ の 法 人 の 事 業 の 用 に 供 すること 2 設 備 の 内 容 イ. 対 象 資 産 の 規 模 機 械 装 置 160 万 円 以 上 のもの 工 具 及 び 器 120 万 円 以 上 のもの または 30 万 円 以 上 で 一 事 業 年 度 中 の 合 計 額 具 備 品 が 120 万 円 以 上 のもの 建 物 建 物 120 万 円 以 上 のもの 附 属 設 備 及 建 物 附 属 設 備 については 60 万 円 以 上 で 一 事 業 年 度 の 合 計 額 が び 構 築 物 120 万 円 以 上 のものを 含 む ソフトウエ 70 万 円 以 上 のもの または 30 万 円 以 上 で 一 事 業 年 度 の 合 計 額 が ア 70 万 円 以 上 のもの ロ. 生 産 性 の 向 上 に 係 る 要 件 投 資 計 画 における 投 資 利 益 率 が 15% 以 上 ( 中 小 企 業 者 等 にあっては 5% 以 上 ) 経 済 産 業 局 の 確 認 を 受 けることが 必 要 です ハ. 先 端 性 に 係 る 設 備 要 件 の 意 義 以 下 の2つの 要 件 のいずれも 満 たすことをいいます 最 新 モデルの 要 件 所 定 の 期 間 内 に 販 売 が 開 始 された 原 則 最 新 モデル 生 産 性 向 上 の 要 件 旧 モデル 比 で 生 産 性 が 年 平 均 1% 以 上 向 上 するもの ただし 中 小 企 業 者 等 については 以 下 のような 特 例 があります 最 新 モデルの 要 件 所 定 の 機 械 装 置 については 10 年 以 内 に 販 売 が 開 始 され たもので 最 新 モデルの 一 つ 前 のモデルでも 可 生 産 性 向 上 の 要 件 ソフトウエアについては この 要 件 は 不 要 2

3 制 度 の 内 容 次 のいずれかの 選 択 適 用 となります イ. 特 別 償 却 通 常 の 減 価 償 却 費 に 加 え 2の 設 備 の 取 得 価 額 の 50%の 特 別 償 却 が 可 能 です ただし 建 物 構 築 物 については 25%となります 特 別 償 却 は 課 税 が 減 免 されるわけではなく あくまで 繰 延 べの 制 度 と なっています ロ. 特 別 控 除 法 人 税 額 から 2の 設 備 の 取 得 価 額 の 4% 相 当 額 が 税 額 控 除 されます ただし 建 物 構 築 物 については 2%となります 法 人 税 額 の 20% 相 当 額 が 限 度 となります 特 別 控 除 は 課 税 の 減 免 制 度 です 平 成 28 年 3 月 31 日 までに 取 得 した 場 合 の 特 例 上 記 2の 設 備 を 平 成 28 年 3 月 31 日 までに 取 得 した 場 合 には 以 下 の 通 り 拡 充 されます 特 別 償 却 100%の 即 時 償 却 特 別 控 除 取 得 価 額 の 5%( 建 物 構 築 物 は 2.5%) 4 適 用 時 期 平 成 26 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 より 適 用 されます 5 その 他 法 人 事 業 税 法 人 住 民 税 所 得 税 についても 同 様 の 改 正 が 行 われます (2) 解 説 この 制 度 は 上 記 2にもある 通 り 最 新 モデルの 設 備 投 資 を 促 進 するための 制 度 と 考 えられます また 中 小 企 業 者 に 対 しては 最 新 モデルのひとつ 前 のモデルでも 可 能 というこ とから 何 が 対 象 となるのかの 判 断 が 難 しいことが 予 想 されますが これについて は 経 済 産 業 省 が 各 メーカーに 徹 底 した 指 導 を 行 うようですので 実 務 上 は 各 資 産 についての 適 用 の 有 無 は メーカーに 確 認 することとなりそうです 3

2. 研 究 開 発 税 制 の 拡 充 研 究 開 発 税 制 とは 総 額 制 度 特 別 試 験 研 究 制 度 中 小 企 業 技 術 基 盤 強 化 制 度 増 加 型 の 4 つの 制 度 から 構 成 されており 一 定 の 要 件 を 満 たせば 一 定 金 額 を 法 人 税 額 から 控 除 することができるという 制 度 です (2) 改 正 内 容 1 増 加 型 の 改 正 上 記 4 つの 制 度 のうち 増 加 型 について 以 下 の 改 正 がありました 現 行 改 正 後 当 期 試 験 研 究 費 > 比 較 試 験 研 究 費 増 加 試 験 研 究 費 > 比 較 試 験 研 究 費 5% 要 過 去 3 年 間 の 平 均 より 1 円 でも 上 増 加 割 合 が 5% 超 となることが 要 件 回 っていれば 満 たすことができまし 件 となります 1 た 要 件 当 期 試 験 研 究 費 > 基 準 試 験 研 究 費 過 去 2 年 間 の 最 高 額 を 上 回 る 必 要 当 期 試 験 研 究 費 > 基 準 試 験 研 究 費 改 正 はありません 2 があります 控 除 額 増 加 試 験 研 究 費 5% 増 加 試 験 研 究 費 30%( 増 加 割 合 限 度 ) 5%から 30%へ 大 幅 に 拡 充 されま す ( ) 増 加 試 験 研 究 費 = 当 期 試 験 研 究 費 - 比 較 試 験 研 究 費 比 較 試 験 研 究 費 = 過 去 3 年 の 試 験 研 究 費 の 平 均 基 準 試 験 研 究 費 = 過 去 2 年 の 試 験 研 究 費 のうち 最 も 大 きい 金 額 増 加 割 合 = 増 加 試 験 研 究 費 / 比 較 試 験 研 究 費 2 適 用 期 限 の 延 長 す 適 用 期 限 が 平 成 29 年 3 月 31 日 までに 開 始 する 事 業 年 度 まで 3 年 間 延 長 されま 3 その 他 所 得 税 法 人 住 民 税 ( 中 小 企 業 者 等 )についても 同 様 の 措 置 が 設 けられます 4 適 用 時 期 大 綱 には 記 載 されていませんが 平 成 26 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 から 適 用 されるものと 考 えられます 4

(3) 解 説 この 制 度 は 研 究 開 発 を 頑 張 っている 企 業 に 対 して 減 税 をするという 制 度 です が (2)をご 覧 いただくとわかる 通 り 1 円 でも 増 えていればよかったところを 5% 超 の 増 加 を 求 められることとなり 要 件 が 多 少 厳 しいものとなりましたが その 代 わり 控 除 額 が 5%から 30%と 大 幅 に 拡 充 されることとなりました 3. 所 得 拡 大 促 進 税 制 の 拡 充 この 制 度 は 次 の 要 件 を 満 たした 場 合 には 法 人 税 額 の 10%( 中 小 企 業 等 の 場 合 は 20%)の 税 額 控 除 をすることができるという 制 度 です 1 給 与 等 支 給 額 が 基 準 事 業 年 度 の 給 与 等 支 給 額 と 比 較 して 5% 以 上 増 加 すること 2 給 与 等 支 給 額 が 前 期 の 給 与 等 支 給 額 を 超 えること 3 平 均 給 与 等 支 給 額 が 前 期 の 平 均 給 与 等 支 給 額 を 以 上 であること 基 準 年 度 とは 1 年 決 算 の 場 合 は 平 成 25 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 の 直 前 の 事 業 年 度 のことをいいます (3 月 決 算 の 場 合 は 平 成 24 年 4 月 1 日 か ら 平 成 25 年 3 月 31 日 の 事 業 年 度 ということになります ) 平 均 給 与 等 支 給 額 とは 簡 単 に 言 うと 従 業 員 一 人 当 たりの 給 与 の 支 給 額 です (2) 改 正 内 容 1 上 記 1の 要 件 5% 以 上 の 部 分 が 次 の 事 業 年 度 の 区 分 に 応 じて 以 下 の 通 り 緩 和 されます 適 用 年 分 現 行 改 正 後 平 成 27 年 4 月 1 日 前 開 始 年 度 2% 以 上 5% 以 上 平 成 27 年 4 月 1 日 ~ 平 成 28 年 3 月 31 日 の 開 始 年 度 3% 以 上 平 成 28 年 4 月 1 日 ~ 平 成 30 年 3 月 31 日 の 開 始 年 度 適 用 なし 5% 以 上 2 上 記 3の 要 件 が 以 下 の 通 り 改 正 されます 改 正 ポイント 現 行 改 正 後 平 均 給 与 等 支 給 額 の 算 定 対 象 者 ( 誰 の 平 均 か) 国 内 雇 用 者 継 続 雇 用 者 平 均 給 与 等 支 給 額 前 期 以 上 前 期 を 超 える 5

継 続 雇 用 者 給 与 雇 用 保 険 法 の 一 般 被 保 険 者 に 対 する 給 与 等 をいいます ただし 高 年 齢 者 等 の 雇 用 の 安 定 等 に 関 する 法 律 の 継 続 雇 用 制 度 に 基 づき 雇 用 される 者 に 対 する 給 与 等 は 除 かれます 3 適 用 期 限 の 延 長 適 用 期 限 が 平 成 30 年 3 月 31 日 までに 開 始 する 事 業 年 度 までに 2 年 間 延 長 され ます 4 その 他 所 得 税 法 人 住 民 税 ( 中 小 企 業 者 等 )についても 同 様 の 措 置 が 設 けられます 5 適 用 時 期 平 成 26 年 4 月 1 日 以 降 に 終 了 する 事 業 年 度 から 適 用 されます (3) 解 説 この 所 得 拡 大 促 進 税 制 は 雇 用 促 進 税 制 との 選 択 で 適 用 できる 制 度 です この 2 つの 制 度 は 景 気 対 策 として 従 業 員 の 給 与 を 増 やすという 目 的 は 同 じも のですが 雇 用 促 進 税 制 は 雇 用 者 数 の 増 加 を 目 的 にするものであるのに 対 し こ の 所 得 拡 大 促 進 税 制 は 1 人 ひとりの 従 業 員 の 給 与 を 上 げることを 目 的 とする 点 で 異 なります しかしながら 改 正 前 の 制 度 では 給 与 の 増 減 の 判 定 を その 事 業 年 度 ごとに 在 籍 する 従 業 員 で 判 定 していたため 中 途 入 社 や 退 職 などがあった 場 合 には 本 当 に 在 籍 している 従 業 員 の 給 与 が 上 がったのかどうかがわからない という 問 題 点 があ りました その 点 を 解 消 しようとするのが 上 記 (2)2の 改 正 です 難 しい 用 語 が 並 んで いますが 要 するに 前 期 と 当 期 の 両 方 に 在 籍 していた 従 業 員 のみで 判 定 しようと する 改 正 ということです また 1の 改 正 は 適 用 年 度 の 延 長 に 伴 い 従 来 からあった 期 間 ( 平 成 28 年 3 月 31 日 開 始 年 度 )について 要 件 を 緩 和 したものです 6

4. 中 小 企 業 等 投 資 促 進 税 制 の 拡 大 この 制 度 は 中 小 企 業 者 等 ( 資 本 金 1 億 円 以 下 の 青 色 申 告 法 人 のうち 一 定 のもの) が 新 品 の 機 械 等 に 設 備 投 資 をした 場 合 特 別 償 却 や 特 別 控 除 ( 税 額 控 除 )が 受 け られるという 制 度 です (2) 改 正 内 容 1 特 別 償 却 特 別 控 除 の 拡 充 上 記 1. 生 産 性 向 上 設 備 投 資 促 進 税 制 の2の 設 備 に 該 当 するものについては 特 別 償 却 特 別 控 除 が 以 下 の 通 り 拡 充 されます 対 象 者 現 行 改 正 後 資 本 金 1 億 円 以 下 等 の 中 小 企 業 者 等 資 本 金 3,000 万 円 以 下 等 の 特 定 中 小 企 業 者 等 取 得 価 額 30%の 特 別 償 却 特 別 控 除 はなし 取 得 価 額 30%の 特 別 償 却 か 7%の 特 別 控 除 即 時 償 却 か 7%の 特 別 控 除 即 時 償 却 か 10%の 特 別 控 除 特 別 償 却 減 価 償 却 費 に 上 乗 せして 計 上 できるもので 課 税 の 繰 延 に 過 ぎま せん 即 時 償 却 減 価 償 却 により 数 年 に 分 けて 費 用 計 上 することなく 一 度 に 全 額 損 金 算 入 することができるもので 課 税 の 繰 延 に 過 ぎません 特 別 控 除 法 人 税 額 から 税 額 控 除 できるもので 課 税 の 減 免 制 度 です 2 適 用 期 限 の 延 長 平 成 29 年 3 月 31 日 までに 取 得 した 資 産 に 対 して 適 用 されます 3 その 他 所 得 税 についても 同 様 の 改 正 が 行 われます (3) 解 説 この 制 度 は 従 前 から 存 在 する 制 度 ですが 現 行 では 上 記 (2)1の 通 り 特 別 償 却 については 30% 特 別 控 除 は 中 小 企 業 者 等 であり かつ 資 本 金 が 3,000 万 円 以 下 である 法 人 についてしか 認 められていませんでした これが 特 別 償 却 については 即 時 償 却 (100% 償 却 )が 可 能 となり 資 本 金 3,000 万 円 超 の 中 小 企 業 者 にも 特 別 控 除 が 認 められることになります 7

5. 中 小 企 業 者 等 の 少 額 減 価 償 却 資 産 の 即 時 償 却 の 延 長 30 万 円 未 満 の 資 産 を 取 得 した 場 合 には その 取 得 価 額 の 合 計 額 が 300 万 円 に 達 する までは 一 括 して 損 金 算 入 ができるという 制 度 です この 制 度 は 平 成 26 年 3 月 31 日 で 期 限 が 切 れてしまうのですが 今 回 の 改 正 で 2 年 間 延 長 され 平 成 28 年 3 月 31 日 までとなりました 6.その 他 その 他 詳 細 な 解 説 は 省 略 させていただきますが 秋 の 税 制 改 正 大 綱 では ベンチ ャー 企 業 に 対 する 投 資 についてのリスクヘッジや 資 本 関 係 のない 企 業 との 組 織 再 編 ( 合 併 など)によるイノベーションを 促 進 する 目 的 で 一 定 の 準 備 金 の 損 金 算 入 が 認 め られる 制 度 も 創 設 されています 第 2 部 冬 の 税 制 改 正 大 綱 について 個 人 課 税 に 関 する 改 正 1. 給 与 所 得 控 除 の 上 限 引 き 下 げ (1) 改 正 内 容 個 人 の 給 与 所 得 については 給 与 収 入 から 一 定 の 金 額 を 給 与 所 得 控 除 として 控 除 することができますが この 控 除 額 の 上 限 が 下 記 の 通 り 引 き 下 げられることにな ります 現 行 平 成 28 年 分 平 成 29 年 分 以 後 ( 注 1) ( 注 2) 給 与 収 入 金 額 1,500 万 円 1,200 万 円 1,000 万 円 上 限 額 245 万 円 230 万 円 220 万 円 ( 注 1) 個 人 住 民 税 については 平 成 29 年 度 分 について 適 用 されます ( 注 2) 個 人 住 民 税 については 平 成 30 年 度 分 から 適 用 されます (2) 解 説 この 給 与 所 得 控 除 については 従 来 は 給 与 収 入 の 金 額 に 比 例 して 控 除 額 も 上 限 なく 増 加 していたのですが まず 第 一 段 階 として 平 成 24 年 度 の 税 制 改 正 で 現 行 8

の 通 り 上 限 が 設 けられることとなりました これにより 給 与 収 入 1,500 万 円 以 上 の 方 は 給 与 収 入 がいくら 増 えても 給 与 所 得 控 除 は 245 万 円 で 頭 打 ちとなりました 今 回 の 税 制 改 正 は さらに これを 段 階 的 に 引 き 下 げていくという 内 容 です ただし この 引 き 下 げによる 税 負 担 の 増 加 は 数 万 円 程 度 となっておりますのであ まり 敏 感 に 反 応 する 必 要 もないのではないかと 思 われます しかしながら 今 回 の 大 綱 では 見 送 られましたが 法 人 の 役 員 の 給 与 所 得 控 除 を さらに 引 き 下 げる 案 もあり 今 後 の 動 向 には 目 が 離 せないと 共 に 法 人 減 税 個 人 増 税 の 流 れを 考 えると 今 後 は 役 員 報 酬 をとって 所 得 税 を 支 払 うよりも 法 人 に 内 部 留 保 し 法 人 税 を 支 払 った 方 が 有 利 という 状 況 が 多 くなることが 予 想 されます 2.NISA.NISA( 少 額 投 資 非 課 税 制 度 )の 改 定 かねてより 大 々 的 に 報 じられていたNISAが 本 年 1 月 1 日 よりついにスター トとなりました この 制 度 は ニュースなどでご 存 知 の 方 も 多 いかと 思 われますが 株 式 などに 投 資 する 際 金 融 機 関 に 専 用 の 口 座 を 開 設 し その 口 座 に 対 する 毎 年 100 万 円 ずつ(5 年 間 で 500 万 円 が 上 限 )までの 投 資 については 売 却 益 や 配 当 に 税 金 がかからない ものとする 制 度 です (2) 制 度 の 問 題 点 と 改 正 内 容 この 制 度 は 以 前 から 以 下 のような 使 い 勝 手 の 悪 さが 指 摘 されていました 1 一 つの 金 融 機 関 にしか 口 座 が 開 設 できない 2 一 度 口 座 を 開 設 すると 最 短 でも 5 年 間 は 他 の 金 融 機 関 に 変 更 すること ができない 3 一 度 口 座 を 廃 止 すると 最 短 でも 5 年 間 は 新 しく 口 座 を 開 設 することが できない 現 在 NISAについては 各 金 融 機 関 が 様 々な 内 容 のキャンペーンを 展 開 して いる 中 で 上 記 の 内 容 は より 問 題 視 されるようになりました そこで このうち2と3については 今 回 の 税 制 改 正 大 綱 で 以 下 のように 改 正 されることとなりました 9

2について 口 座 を 開 設 した 翌 年 からは 金 融 機 関 を 変 更 することができる 3について 一 度 口 座 を 廃 止 しても 再 び 新 しく 口 座 を 開 設 することができる いずれも 事 前 に 金 融 機 関 を 通 して 一 定 の 手 続 きが 必 要 です 1の 問 題 点 については いまだ 改 善 されていませんが これは 複 数 の 金 融 機 関 に 口 座 を 開 設 してしまうと 事 務 手 続 きのミスなどにより 一 人 当 たりの 非 課 税 枠 ( 最 大 500 万 円 まで)が 適 正 に 管 理 できないことも 考 えられるため ある 程 度 仕 方 の ないことなのではないかと 思 われます 4. 相 続 税 の 取 得 費 加 算 の 改 正 資 産 を 売 却 した 場 合 譲 渡 所 得 税 が 課 税 されることとなりますが この 制 度 は 相 続 により 取 得 した 財 産 であれば 相 続 開 始 ( 亡 くなられた 日 )から 3 年 10 ヶ 月 以 内 に 売 却 すれば 相 続 税 額 のうち 一 定 額 を 譲 渡 所 得 の 計 算 の 際 取 得 費 に 加 算 す ることができ 譲 渡 所 得 税 が 軽 減 される という 制 度 です ちなみに 譲 渡 所 得 は 以 下 の 通 り 計 算 されます 売 却 金 額 -( 取 得 費 + 譲 渡 費 用 )= 譲 渡 所 得 つまり 取 得 費 に 加 算 できるということは 譲 渡 所 得 から 控 除 される 金 額 が 大 き くなり 税 額 が 軽 減 されるということです (2) 改 正 内 容 1 土 地 等 の 特 例 の 廃 止 売 却 した 財 産 が 土 地 や 借 地 権 など( 土 地 等 )の 場 合 には 一 部 の 土 地 等 を 売 却 した 場 合 であっても 土 地 等 全 体 に 対 する 相 続 税 を 取 得 費 に 加 算 できるという 特 例 がありました これが 廃 止 され 土 地 等 が 優 遇 されなくなります 2 更 正 の 請 求 の 法 定 化 この 制 度 は 相 続 税 の 申 告 前 に 売 却 した 場 合 には 適 用 することができず 相 続 税 の 申 告 書 を 提 出 した 後 改 めて 適 用 を 受 けることになります その 方 法 が 従 来 は 税 務 署 に 嘆 願 をするという いわば 法 律 に 基 づかない 非 公 式 な 手 続 きにより 行 われていました これが 更 正 の 請 求 という 法 律 に 基 づく 正 式 な 手 続 きに 10

より 行 なうことになりました 3 適 用 時 期 この 改 正 は 平 成 27 年 1 月 1 日 以 降 の 相 続 により 取 得 した 資 産 について 適 用 さ れます (3) 解 説 この 制 度 で 取 得 費 に 加 算 できる 相 続 税 額 は 以 下 の 通 り 計 算 されます 相 続 税 額 売 却 した 財 産 の 金 額 すべての 相 続 財 産 の 金 額 = 取 得 費 加 算 額 つまり 相 続 税 額 のうち 売 却 した 財 産 に 対 応 する 相 続 税 を 取 得 費 に 加 算 でき るというものです ところが 相 続 財 産 が 土 地 等 の 場 合 には 相 続 税 の 納 税 資 金 を 捻 出 することが 困 難 であり 土 地 を 売 却 せざるを 得 ないケースが 多 くなります そこで このような 場 合 の 救 済 措 置 として 制 定 されたのが 上 記 (2)1にある 土 地 等 の 特 例 です この 場 合 取 得 費 に 加 算 できる 金 額 がより 大 きくなるよう 以 下 の 算 式 で 計 算 さ れます 相 続 税 額 すべての 土 地 等 の 金 額 すべての 相 続 財 産 の 金 額 = 取 得 費 加 算 額 つまり 他 の 財 産 のように 譲 渡 したものに 限 らず 相 続 財 産 に 含 まれるすべて の 土 地 等 に 対 応 する 相 続 税 額 を 加 算 できる ということです しかしながら この 特 例 は バブルの 時 期 に 制 定 されたもので 当 時 は 地 価 が 今 よりも 高 騰 しており 土 地 保 有 者 に 対 する 救 済 措 置 がより 重 要 な 時 代 でした これに 対 し 現 在 は 当 時 に 比 べると 土 地 の 価 格 も 下 落 しており 重 要 性 が 落 ちて いることが 会 計 検 査 院 より 指 摘 されており 今 回 の 改 正 でこの 特 例 が 廃 止 されるこ とになりました 11

5.ゴルフ 会 員 権 等 の 損 益 通 算 の 廃 止 所 得 税 では 不 動 産 所 得 事 業 所 得 給 与 所 得 譲 渡 所 得 など 10 種 類 の 所 得 があ り それぞれ 別 々に 計 算 されますが ある 一 定 の 所 得 どうしは 所 得 と 損 失 を 相 殺 できる 損 益 通 算 という 制 度 があります 現 行 では ゴルフ 会 員 権 の 譲 渡 損 失 についても この 損 益 通 算 が 可 能 となってお ります (2) 改 正 内 容 1 ゴルフ 会 員 権 等 の 譲 渡 損 失 の 損 益 通 算 適 用 除 外 ゴルフ 会 員 権 等 の 譲 渡 損 失 が 損 益 通 算 の 対 象 から 除 外 されます 2 適 用 時 期 平 成 26 年 4 月 1 日 以 降 に 行 う 譲 渡 について 適 用 されます (3) 解 説 この 損 益 通 算 という 制 度 は 生 活 に 通 常 必 要 でない 資 産 については 対 象 外 と なっています ところが ゴルフ 会 員 権 については なぜかこの 範 囲 に 含 まれず 損 益 通 算 が 可 能 でした すなわち ゴルフ 会 員 権 を 売 却 して 損 失 を 出 した 場 合 には 給 与 所 得 などと 損 益 通 算 して 多 額 の 所 得 税 の 還 付 を 受 けることが 可 能 だったのです このような 取 扱 いには 当 然 のことながら 合 理 性 はありませんので 以 前 から 問 題 視 されていましたが 関 係 団 体 の 反 対 などもあり 長 い 間 放 置 されていました これが ついに 今 回 の 税 制 改 正 で 適 用 できないことになります なお ゴルフ 会 員 権 だけでなく リゾートホテルの 会 員 権 なども 同 様 です なお 適 用 時 期 は 平 成 26 年 4 月 1 日 以 降 となっていますので 3 月 末 までの 売 却 であれば 損 益 通 算 が 可 能 となります 多 額 の 含 み 損 があるゴルフ 会 員 権 等 をお 持 ちで あまり 使 用 していないようであ れば それまでに 売 却 することをお 勧 めいたします 12

6.その 他 個 人 課 税 (1) 臨 時 福 祉 給 付 金 の 非 課 税 目 安 として 年 収 200 万 円 以 下 の 低 所 得 者 への 消 費 税 増 税 対 策 として 年 間 1 万 円 ~1 万 5,000 円 程 度 の 給 付 金 が 支 給 される 臨 時 福 祉 給 付 金 という 制 度 が 創 設 されま したが この 給 付 金 に 対 して 所 得 税 や 住 民 税 を 課 税 しないこととしました (2) 居 住 用 財 産 の 買 換 え 特 例 の 要 件 の 改 正 1 制 度 の 概 要 この 制 度 は マイホームを 買 換 えた 場 合 に 買 替 え 資 金 が 不 足 しないよう 売 却 にかかる 譲 渡 所 得 税 の 課 税 を 繰 延 べるという 制 度 です ただし あくまで 繰 延 べの 制 度 ですので 新 しいマイホームを 将 来 再 び 売 却 し た 際 には 繰 延 べられた 分 が 上 乗 せして 課 税 されることとなります 2 改 正 の 内 容 イ. 適 用 要 件 の 一 つである 譲 渡 対 価 が 1 億 5,000 万 円 以 下 であること が 1 億 円 以 下 であること に 引 き 下 げられました ロ. 適 用 期 限 が 2 年 間 延 長 され 平 成 27 年 12 月 31 日 までの 譲 渡 に 対 して 適 用 さ れます 3 適 用 時 期 上 記 イの 改 正 は 平 成 26 年 1 月 1 日 以 降 に 行 った 譲 渡 について 適 用 されます 資 産 課 税 に 関 する 改 正 1. 医 業 継 続 に 係 る 相 続 税 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 の 創 設 医 業 の 継 続 をするために 一 定 の 医 療 法 人 について 持 分 の 定 めのない 医 療 法 人 へ の 移 行 計 画 を 後 押 しすることを 目 的 とした 相 続 税 および 贈 与 税 の 納 税 猶 予 の 制 度 が 創 設 されます 13

1 相 続 税 の 納 税 猶 予 適 用 要 件 猶 予 税 額 等 相 続 人 が 持 分 の 定 めのある 医 療 法 人 の 持 分 を 相 続 又 は 遺 贈 に より 取 得 すること その 医 療 法 人 が 相 続 税 の 申 告 期 限 において 認 定 医 療 法 人 ( 仮 称 )であること 担 保 の 提 供 を 行 うこと. 持 分 を 取 得 した 相 続 人 が 仮 にその 持 分 のみを 取 得 したものと 仮 定 して 計 算 した 相 続 税 額 の 納 税 が 猶 予 されます 猶 予 期 限 免 除 事 由 全 部 確 定 事 由 一 部 確 定 事 由 と 納 付 税 額 持 分 の 定 めのない 医 療 法 人 への 移 行 計 画 ( 仮 称 )の 期 間 満 了 まで 移 行 期 間 内 にその 相 続 人 が 持 分 の 全 てを 放 棄 した 場 合 は 猶 予 され た 相 続 税 が 免 除 されます 次 の 場 合 には 納 税 猶 予 分 の 相 続 税 を 全 額 納 付 し さらに 申 告 期 限 からの 利 子 税 を 併 せて 納 付 しなければなりません 移 行 期 間 内 に 持 分 の 定 めのない 医 療 法 人 に 移 行 しなかった 場 合 認 定 の 取 消 し 持 分 の 払 戻 し 等 の 事 由 が 生 じた 場 合 基 金 拠 出 型 医 療 法 人 ( 仮 称 )に 移 行 した 場 合 には 納 税 猶 予 額 の 一 部 を 納 付 し さらに 利 子 税 を 納 付 しなければなりません 2 贈 与 税 の 納 税 猶 予 贈 与 税 についても 上 記 相 続 税 と 同 様 の 制 度 があります (2) 解 説 医 療 法 人 の 非 営 利 性 を 徹 底 させるという 見 地 から 医 療 法 改 正 によって 平 成 19 年 4 月 1 日 以 後 は 出 資 持 分 のない 医 療 法 人 しか 設 立 できないこととなっていま す この 点 医 療 法 改 正 前 からある 出 資 持 分 のある 医 療 法 人 については 特 例 と して 当 分 の 間 存 続 してよいこととなっていますが 国 としては 出 資 持 分 のある 医 療 法 人 を 早 期 に 撤 廃 したい という 考 えがあります これは 要 するに 医 療 法 人 の 出 資 というのは 株 式 会 社 でいう 株 式 にあたり これがあると 営 利 性 という 側 面 が 排 除 できないという 考 え 方 によるものです この 制 度 は 持 分 の 定 めのない 医 療 法 人 への 移 行 の 過 程 で 出 資 持 ち 分 の 放 棄 に より 贈 与 税 や 相 続 税 の 課 税 が 発 生 すると 移 行 がスムーズにいかないため 納 税 猶 予 制 度 を 創 設 することにより 移 行 の 障 害 にならないようにするという 趣 旨 で 設 け られたものです 14

法 人 課 税 に 関 する 改 正 1. 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 この 制 度 は 東 日 本 大 震 災 の 復 興 財 源 確 保 のため 平 成 24 年 度 から 3 年 間 法 人 税 額 の 10%を 課 税 するという 制 度 です また 預 金 利 息 などから 徴 収 されている 復 興 特 別 所 得 税 については この 復 興 特 別 法 人 税 から 控 除 することとなっています (2) 改 正 の 内 容 1 前 倒 し 廃 止 この 復 興 特 別 法 人 税 が 1 年 前 倒 しで 廃 止 されます 2 復 興 特 別 所 得 税 について 復 興 特 別 法 人 税 の 廃 止 後 は 通 常 の 法 人 税 額 から 控 除 できることとなります (3) 解 説 この 改 正 も 法 人 減 税 個 人 増 税 の 流 れどおりの 改 正 となります ニュースなど でも 話 題 になっていましたが 法 人 税 率 引 き 下 げの 一 環 として この 復 興 特 別 法 人 税 が 前 倒 しで 廃 止 となりました 2. 地 方 法 人 税 制 の 改 正 (1) 改 正 の 内 容 ( 主 なもの) 1 法 人 住 民 税 の 法 人 税 割 の 税 率 が 次 の 通 り 改 正 されます 現 行 改 正 後 標 準 税 率 制 限 税 率 標 準 税 率 制 限 税 率 道 府 県 民 税 法 人 税 割 5.0% 6.0% 3.2% 4.2% 市 町 村 民 税 法 人 税 割 12.3% 14.7% 9.7% 12.1% 2 1により 減 税 された 法 人 住 民 税 法 人 税 割 の 代 わりに 以 下 の 通 り 国 税 とされ る 地 方 法 人 税 ( 仮 称 )が 新 しく 創 設 されます 15

納 税 義 務 者 法 人 税 を 納 める 義 務 がある 法 人 課 税 標 準 法 人 税 額 ( 所 得 税 額 控 除 等 を 適 用 しないで 計 算 ) 税 率 4.4% 3 地 方 法 人 特 別 税 の 税 率 が 下 記 の 通 り 改 正 されます 納 税 義 務 者 現 行 改 正 後 外 形 基 準 が 適 用 される 法 人 ( 株 式 会 社 の 場 合 は 資 本 金 1 億 円 超 ) 148% 67.4% 外 形 基 準 が 適 用 されない 法 人 ( 株 式 会 社 の 場 合 は 資 本 金 1 億 円 以 下 ) 81% 43.2% 4 法 人 事 業 税 の 税 率 が 以 下 の 通 り 改 正 されます イ. 資 本 金 1 億 円 超 の 普 通 法 人 等 の 所 得 割 の 標 準 税 率 所 得 等 の 区 分 現 行 改 正 後 年 400 万 円 以 下 の 所 得 1.5% 2.2% 年 400 万 円 ~ 年 800 万 円 以 下 の 所 得 2.2% 3.2% 年 800 万 円 超 の 所 得 2.9% 4.3% ロ. 資 本 金 1 億 円 以 下 の 普 通 法 人 等 の 所 得 割 の 標 準 税 率 所 得 等 の 区 分 現 行 改 正 後 年 400 万 円 以 下 の 所 得 2.7% 3.4% 年 400 万 円 ~ 年 800 万 円 以 下 の 所 得 4% 5.1% 年 800 万 円 超 の 所 得 5.3% 6.7% 5 適 用 時 期 平 成 26 年 10 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 から 適 用 されます (2) 解 説 地 方 自 治 体 の 財 源 である 地 方 税 については 人 口 の 偏 りなどにより 税 収 の 偏 在 性 が 問 題 となっています この 調 整 を 行 っているものが 上 記 の 税 制 ですが ちょ っと 複 雑 でわかりにくくなっています 消 費 税 が 10%になる 時 には 再 度 全 体 的 な 調 整 がされると 思 われ 上 記 は 当 面 の 間 の 税 制 と 思 われます 16

3. 交 際 費 課 税 の 改 正 (1) 制 度 の 内 容 皆 様 もご 存 じのとおり 交 際 費 については 法 人 税 額 の 計 算 上 一 定 金 額 は 損 金 の 額 に 算 入 することができません < 現 行 > 大 法 人 ( 資 本 金 1 億 円 超 )の 場 合 全 額 損 金 不 算 入 となります 中 小 法 人 の 場 合 年 間 800 万 円 までは 損 金 算 入 ができます (2) 改 正 内 容 1 飲 食 費 の 損 金 算 入 大 法 人 の 場 合 交 際 費 のうち 飲 食 費 に 限 り 50%を 損 金 算 入 するこ とができるようになります 中 小 法 人 の 場 合 現 行 の 年 間 800 万 円 までの 損 金 算 入 よりも 飲 食 費 の 50%の 方 が 大 きい 場 合 は その 金 額 を 損 金 算 入 す ることができるようになります ここでいう 飲 食 費 からは 社 内 の 役 員 従 業 員 その 家 族 のみの 飲 食 は 除 かれます 2 適 用 期 限 の 延 長 適 用 期 限 が 2 年 間 延 長 されて 平 成 28 年 3 月 31 日 までに 開 始 する 事 業 年 度 となります 3 適 用 時 期 大 綱 には 記 載 がありませんが 平 成 26 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 に おいて 適 用 されると 考 えられます (3) 解 説 この 改 正 は 景 気 対 策 の 一 環 として 行 われるものです つまり 特 に 大 法 人 に 飲 食 による 接 待 を 積 極 的 に 行 ってもらい 景 気 を 良 くしていこうという 趣 旨 です また とりわけ 中 小 法 人 については すでに 800 万 円 までは 損 金 算 入 が 認 められ ていますが この 新 しい 取 り 扱 いのほうが 有 利 になる 場 合 は そちらを 適 用 するこ とができるようにするという 改 正 です とはいっても 飲 食 費 として 1,600 万 円 以 上 支 出 しないと 有 利 にはなりません ので 中 小 法 人 にとっては あまり 影 響 のない 改 正 といえます 17

4. 特 別 控 除 の 上 限 設 定 (1) 制 度 の 内 容 今 回 の 大 綱 でも 生 産 性 向 上 設 備 投 資 促 進 税 制 の 特 別 控 除 中 小 企 業 等 投 資 促 進 税 制 の 特 別 控 除 研 究 開 発 税 制 所 得 拡 大 促 進 税 制 雇 用 促 進 税 制 など 法 人 税 額 から 直 接 控 除 することができる 制 度 をいくつかご 紹 介 しました この 他 にも 法 人 税 法 では 国 の 政 策 に 合 致 する 取 引 などを 後 押 しするため 様 々 な 控 除 の 制 度 があります これら 一 つ 一 つの 制 度 については 法 人 税 額 の 20%を 限 度 とする などの 制 限 が 設 けられているものもありますが 同 時 に 複 数 の 制 度 の 適 用 を 受 けた 場 合 には 上 限 なく 控 除 を 受 けることができ 法 人 税 額 を 0 円 にすることも 可 能 となっています これに 上 限 を 設 けようという 改 正 です (2) 改 正 の 内 容 同 時 に 複 数 の 制 度 の 適 用 を 受 けた 場 合 には 控 除 額 は 法 人 税 額 の 90%を 上 限 と することとなりました なお 税 制 改 正 大 綱 には 明 確 な 適 用 時 期 の 記 載 はありませんでしたが 平 成 26 年 4 月 1 日 以 降 に 開 始 する 事 業 年 度 より 適 用 されるものと 考 えられます 消 費 課 税 に 関 する 改 正 1.みなし 仕 入 れ 率 の 改 正 消 費 税 は 売 上 に 係 る 消 費 税 から 仕 入 に 係 る 消 費 税 を 差 し 引 いて その 差 額 を 納 税 するという 計 算 をします ただし 課 税 売 上 高 が 年 間 5,000 万 円 以 下 ( 実 際 は 2 年 前 の 金 額 で 判 定 します ) の 小 規 模 な 事 業 者 に 関 しては 簡 便 的 な 計 算 方 法 が 用 意 されています これは 簡 易 課 税 制 度 と 呼 ばれ 仕 入 にかかる 消 費 税 の 集 計 は 一 切 行 わず 売 上 だけを 集 計 し これに 業 種 ごとに 定 められた みなし 仕 入 れ 率 をかけることで 簡 便 的 に 仕 入 れに 係 る 消 費 税 額 を 計 算 しようとするものです この みなし 仕 入 れ 率 は 業 種 ごとに 第 1 種 事 業 から 第 5 種 事 業 に 分 類 され それぞれ 以 下 のようになっています 18

第 1 種 事 業 90%( 卸 売 業 など) 第 2 種 事 業 80%( 小 売 業 など) 第 3 種 事 業 70%( 製 造 業 建 設 業 など) 第 4 種 事 業 60%( 金 融 保 険 業 その 他 の 事 業 など) 第 5 種 事 業 50%( 不 動 産 業 など) (2) 改 正 内 容 1 みなし 仕 入 れ 率 の 改 定 上 記 みなし 仕 入 れ 率 が 次 のように 改 正 されます 業 種 現 行 の 率 改 正 後 の 率 金 融 業 及 び 保 険 業 第 4 種 事 業 第 5 種 事 業 (60%) (50%) 不 動 産 業 第 5 種 事 業 第 6 種 事 業 (50%) (40%) 2 適 用 時 期 平 成 27 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 課 税 期 間 から 適 用 されます (3) 解 説 簡 易 課 税 の 場 合 実 際 の 仕 入 額 ではなく みなし 仕 入 れ 率 を 使 いますので 本 来 の 消 費 税 額 とは 差 額 が 生 じることとなり 実 際 には 少 なく 計 算 される 傾 向 にありま す すなわち 消 費 者 から 預 かった 消 費 税 の 一 部 が 事 業 者 のものとなってしまう 益 税 の 問 題 が 指 摘 されています そこで 以 前 から 実 際 の 仕 入 れ 率 とみなし 仕 入 れ 率 の 乖 離 が 大 きいものとして 指 摘 されていた 金 融 保 険 業 や 不 動 産 業 の 仕 入 れ 率 を 引 き 下 げることとなりまし た 不 動 産 業 については 今 まではなかった 第 6 種 事 業 (40%)が 設 定 されること になりました なお 与 党 税 制 調 査 会 の 資 料 によると 会 計 検 査 院 の 見 解 として 今 後 財 務 省 において 簡 易 課 税 制 度 の 在 り 方 いついて 引 き 続 き 様 々な 視 点 から 有 効 性 およ び 公 平 性 を 高 めるよう 不 断 の 検 討 を 行 っていくことが 肝 要 と 記 されていますので 今 後 さらなる 改 正 が 行 なわれていく 可 能 性 があります 以 上 平 成 26 年 度 税 制 改 正 案 の 主 なものを 紹 介 させていただきました 19