ニッセイ 基 礎 研 究 所 No.2011-02 Aug 2011 見 直 しによる 家 への 影 響 ~ 高 所 得 者 層 の 可 処 分 所 得 は 大 幅 減 少 に 経 済 調 査 部 門 研 究 員 桑 畠 滋 (くわはた しげる) (03)3512-1838 kuwahata@nli-research.co.jp [ 要 旨 ] 民 主 自 民 公 明 3 党 は を 見 直 し 2012 年 度 以 降 は 児 童 手 当 を 改 正 した 新 た な 制 度 ( 以 下 )へ 移 行 する 方 針 を 固 めた 本 稿 では 導 入 が 家 に 及 ぼす 影 響 について 整 理 することに 加 え 今 後 焦 点 となる 高 所 得 者 層 への 負 担 軽 減 策 の 行 方 についても 考 えてみたい 一 連 の 改 正 が 家 に 与 える 影 響 についてモデル 世 帯 を 用 い 検 証 する モデルの 対 象 とな る 世 帯 は 被 用 者 専 業 主 婦 世 帯 ( 妻 子 ども 2 人 )を 対 象 とし 子 どもの 年 齢 により ケース 1(1 歳 4 歳 ) ケース 2(10 歳 13 歳 )の 2 パターンに 分 け 検 証 する ケース 1 については 支 給 世 帯 と 不 支 給 世 帯 ともに 一 連 の 改 正 を 受 けて 2011 年 から 13 年 にかけて 可 処 分 所 得 が 減 少 するものの 減 少 幅 では 大 きく 異 なり 不 支 給 世 帯 では 可 処 分 所 得 が 37.8 万 円 の 大 幅 減 少 となることが 確 認 できる ケース 2 については 概 ねケース 1 同 様 の 傾 向 がうかがえるが 支 給 世 帯 の 2011 年 から 13 年 にかけての 可 処 分 所 得 減 少 幅 がケース 1 と 比 べ 6 万 円 程 度 拡 大 している ことが 確 認 できる これは 特 別 措 置 法 に 基 づく 及 び の 月 ごとの 支 給 額 がケース 1 に 比 べ 5000 円 少 ないことが 理 由 である 2013 年 の 可 処 分 所 得 と 実 施 前 の 2009 年 の 可 処 分 所 得 を 比 較 すると ケース 1 2 ともに 低 所 得 者 層 で 可 処 分 所 得 が 増 加 する 一 方 高 所 得 者 層 では 大 幅 減 少 となることが 確 認 できた これは 年 少 扶 養 控 除 廃 止 に 伴 う 所 得 税 住 民 税 の 負 担 の 増 加 分 がそのまま 可 処 分 所 得 を 押 し 下 げているためである 高 所 得 者 層 に 対 する 負 担 軽 減 策 として1 年 少 扶 養 控 除 復 活 2 一 定 額 の 支 給 という 二 つの 方 法 が 考 えられるが 1 年 少 扶 養 控 除 復 活 は 税 制 抜 本 改 革 の 流 れに 水 を 差 すこともなり かねないことから 現 実 的 には2 一 定 額 の 支 給 が 採 用 される 可 能 性 が 高 い ただし この 場 合 でも 支 給 額 次 第 では 新 たな 財 源 問 題 が 生 じかねず 政 府 は 非 常 に 難 しい 対 応 を 迫 ら れることとなるだろう 1
はじめに 民 主 自 民 公 明 3 党 は 8 月 4 日 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について を 公 表 し 見 直 しを 行 い 2012 年 度 以 降 は 児 童 手 当 法 を 改 正 した 新 たな 制 度 ( 以 下 本 稿 では 新 児 童 手 当 と 称 する)へ 移 行 する 方 針 を 固 めた ただし は 所 得 制 限 1 ( 年 収 960 万 円 程 度 夫 婦 と 児 童 2 人 世 帯 )が 設 けられる 見 込 みであることから 導 入 されることになれば 高 所 得 者 層 を 中 心 に 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 少 となることが 懸 念 される 本 稿 では 見 直 しに 伴 う の 導 入 が 家 の 可 処 分 所 得 に 及 ぼす 影 響 について 整 理 することに 加 え 今 後 焦 点 となる 高 所 得 者 への 負 担 軽 減 策 の 行 方 についても 考 えてみたい 1. 見 直 しが 家 に 及 ぼす 影 響 ( 見 直 しの 概 要 ) 民 主 自 民 公 明 3 党 は 8 月 4 日 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について を 公 表 し 2009 年 衆 院 選 の 目 玉 政 策 であった を 見 直 し 2012 年 度 以 降 は へ 移 行 する 方 針 を 固 めた また 3 月 末 に 成 立 した つなぎ 法 が 9 月 末 に 切 れることから 2012 年 度 ま での 移 行 措 置 として 10 月 から 2012 年 3 月 にかけて 2011 年 度 における の 支 給 等 に 関 する 特 別 措 置 法 案 に 基 づき 支 給 することとした( 図 1) 2012 年 4 月 以 降 新 たに 導 入 される を 現 行 実 施 されている と 比 較 すると 支 給 額 所 得 制 限 の 有 無 の 2 点 で 大 きく 異 なることが 確 認 できる 支 給 額 については 3 歳 未 満 で 子 ども 手 当 と 比 べ 月 額 2 千 円 の 増 額 (1.3 万 円 から 1.5 万 円 )となる 一 方 3 歳 以 上 では 3 千 円 の 減 額 (1.3 万 円 から 1 万 円 )となる また 導 入 に 際 し にはなかった 所 得 制 限 ( 年 収 960 万 円 程 度 )が 導 入 される 見 込 みとなっている 一 方 導 入 に 伴 い 2010 年 度 税 制 改 正 で 年 少 扶 養 控 除 が 廃 止 されたことを 受 けて 所 得 税 住 民 税 負 担 が 増 加 することから 2012 年 以 降 は 高 所 得 者 層 を 中 心 に 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 少 と なることが 懸 念 されている 図 1 児 童 手 当 及 び を 巡 る 動 き( 時 系 列 表 ) 種 子 手 ど 当 も 制 に 度 関 す る 各 児 童 手 当 支 給 額 3 歳 未 満 3~12 歳 ( 第 3 子 以 降 ):1 万 円 3 歳 ~ 小 学 生 ( 第 1 子 第 2 子 ):5 千 円 年 収 860 万 円 程 度 支 給 額 一 律 1.3 万 円 なし ( 特 措 法 に 基 づく) 支 給 額 3 歳 未 満 3~12 歳 ( 第 3 子 以 降 ):1.5 万 円 3 歳 ~ 小 学 生 ( 第 1 子 第 2 子 ) 中 学 生 :1 万 円 なし 年 収 960 万 円 程 度 2010 年 4 月 2011 年 1 月 2011 年 10 月 2012 年 4 月 2012 年 6 月 年 少 扶 養 控 除 廃 止 所 得 税 住 民 税 ( 資 料 ) 政 府 公 表 資 料 等 を 基 に 筆 者 作 成 1 所 得 制 限 については 被 用 者 か 非 被 用 者 であるか または 扶 養 親 族 の 数 により 所 得 制 限 の 対 象 となる 年 収 は 異 なる 2
( 検 証 の 前 提 ) 廃 止 に 伴 う の 導 入 は 家 に 実 際 にどのような 影 響 を 与 えるのだろうか モデル 世 帯 を 用 いて 検 証 することとする モデル 世 帯 については 今 回 の 改 正 により 影 響 を 受 ける と 考 えられる 被 用 者 専 業 主 婦 世 帯 ( 公 務 員 を 除 く 妻 子 ども 2 人 )を 想 定 し その 上 で 子 ども の 年 齢 により 13 歳 未 満 の 子 どもがいる 世 帯 (1 歳 4 歳 ) 2 中 学 生 の 子 どもがいる 世 帯 (13 歳 10 歳 )の 2 パターンに 分 け 検 証 した また 検 証 にあたっては 現 金 ベースを 採 用 し 2 つのパ ターンそれぞれについて 支 給 世 帯 不 支 給 世 帯 ( 所 得 制 限 の 対 象 世 帯 )ごとの 可 処 分 所 得 に 与 える 影 響 について 検 証 している なお 可 処 分 所 得 に 与 える 影 響 としては 見 直 しに 伴 う 導 入 及 び 年 少 扶 養 控 除 廃 止 に 伴 う 所 得 税 住 民 税 の 増 加 のみを 対 象 として おり 社 会 保 険 料 の 増 加 等 その 他 の 影 響 は 加 味 していない (3 歳 未 満 の 子 どもがいる 世 帯 (1 歳 4 歳 )に 与 える 影 響 ) はじめにケース 1 の 3 歳 未 満 の 子 どもがいる 世 帯 への 影 響 についてみると 支 給 世 帯 と 不 支 給 世 帯 ともに 今 回 の 改 正 を 受 けて 2011 年 から 13 年 にかけて 可 処 分 所 得 が 減 少 するものの 減 少 幅 では 大 きく 異 なることが 確 認 できる( 図 2) 支 給 世 帯 では 2011 年 から 13 年 にかけての 減 少 額 が 7.8 万 円 にとどまる 一 方 不 支 給 世 帯 では 37.8 万 円 の 大 幅 減 少 となり 金 額 にして 30 万 円 もの 差 が 生 じている また この 差 は 2012 年 から 13 年 にかけて 20 万 円 と 特 に 大 きくなっており これは 支 給 世 帯 の 可 処 分 所 得 減 少 幅 が 住 民 税 増 分 の 2.8 万 円 に とどまる 一 方 不 支 給 世 帯 では 2012 年 に 支 給 された 特 別 措 置 法 に 基 づく 15 万 円 と 5 万 円 2 の 反 動 が 表 れた 結 果 22.8 万 円 と 可 処 分 所 得 が 大 きく 減 少 すること が 理 由 である 図 2 見 直 しが 家 に 与 える 影 響 (ケース 1) 支 給 世 帯 ( 特 措 法 に 基 づく) 31.2 0 0 0 15 0 0 15 30 31.2 30 30 増 減 - 1.2 0 住 民 税 増 不 支 給 の 世 帯 ( 所 得 制 限 の 対 象 世 帯 ) - 3.8 2.8-5.0 2.8 0 5 0 31.2 20 0 増 減 - 11.2 20-15.0 22.8 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について ( 注 意 ) 増 減 は 暦 年 現 金 ベース 2 に 所 得 制 限 が 導 入 されるのは 2012 年 10 月 支 給 (6 月 分 ~9 月 分 ) 以 降 であり 2012 年 6 月 に 支 給 され る 4 月 5 月 分 については 所 得 制 限 の 対 象 とならない 3
( 中 学 生 の 子 どもがいる 世 帯 (13 歳 10 歳 )に 与 える 影 響 ) 次 にケース 2 の 中 学 生 の 子 どもがいる 世 帯 への 影 響 についてみると 支 給 世 帯 不 支 給 世 帯 ともに 可 処 分 所 得 が 減 少 し 減 少 幅 では 支 給 世 帯 と 不 支 給 世 帯 で 大 きく 異 なるな ど ケース 1 同 様 の 傾 向 が 見 られる( 図 3) ただし ケース 1 と 比 べると 支 給 世 帯 の 2011 年 から 13 年 にかけての 可 処 分 所 得 減 少 幅 が 6 万 円 程 度 拡 大 していることが 確 認 できる これは 3 歳 未 満 の 子 どもがいるケース 1 と 比 べ 特 別 措 置 法 に 基 づく 及 び の 月 ごとの 支 給 額 が 5000 円 少 ないこと が 理 由 である( 図 1) また 特 別 措 置 法 に 基 づく 及 び の 月 ごとの 支 給 額 がケース 1 と 比 べ 少 ないことから 不 支 給 世 帯 では 2011 年 から 12 年 にかけての 可 処 分 所 得 の 減 少 幅 が 4 万 円 拡 大 する 一 方 2012 年 から 13 年 にかけては 4 万 円 縮 小 している 図 3 見 直 しが 家 に 与 える 影 響 (ケース 2) 支 給 世 帯 ( 特 措 法 に 基 づく) 31.2 0 0 0 12 0 0 12 24 31.2 24 24 増 減 - 7.2 0 住 民 税 増 - 3.8 2.8-11.0 2.8 不 支 給 の 世 帯 ( 所 得 制 限 の 対 象 世 帯 ) 0 4 0 31.2 16 0 増 減 - 15.2 16-19.0 18.8 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について ( 注 意 ) 増 減 は 暦 年 現 金 ベース 2. 高 所 得 者 層 に 対 する 負 担 軽 減 策 の 行 方 (2009 年 の 可 処 分 所 得 との 比 較 ) これまで 廃 止 に 伴 う の 導 入 が 2012 年 13 年 の 家 の 可 処 分 所 得 に 与 える 影 響 について 見 てきたが 結 果 所 得 制 限 (960 万 円 程 度 )が 設 けられることを 主 因 として 新 児 童 手 当 不 支 給 世 帯 となる 高 所 得 者 層 で 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 少 となることが 確 認 できた 前 述 の 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について の 中 では 所 得 制 限 の 対 象 となる 世 帯 について 税 制 上 財 政 上 の 措 置 を 検 討 し 対 応 することとしているが 現 時 点 で 具 体 的 な 措 置 については 示 せてい ない そこで 以 下 では 今 後 の 焦 点 となる 高 所 得 者 層 に 対 する 負 担 軽 減 措 置 の 行 方 について 考 えてみ 4
たい 負 担 軽 減 策 を 考 える 前 提 として まず 2013 年 の 各 年 収 層 における 可 処 分 所 得 が 実 施 前 の 2009 年 からどのように 変 化 しているか 確 認 してみたい ケース 1 2 それぞれについて 年 収 300 万 円 から 1800 万 円 までの 世 帯 を 対 象 に 年 収 1200 万 円 までを 100 万 円 刻 み それ 以 上 を 300 万 円 刻 みの 12 区 分 に 分 け 2009 年 から 13 年 までの 各 年 収 層 の について 検 証 する 2013 年 と 2009 年 の 可 処 分 所 得 を 比 較 すると 両 ケースともに 2013 年 では 2009 年 と 比 べ 概 ね 低 所 得 者 層 で 可 処 分 所 得 がやや 増 加 する 一 方 年 収 1000 万 円 以 上 の 高 所 得 者 層 で 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 少 となることが 見 て 取 れる また 年 収 900 万 円 層 では 両 ケースともに 可 処 分 所 得 が 増 加 しており 全 体 の 流 れからやや 歪 な 動 きとなっていることも 確 認 できる( 図 4) 図 4 子 どもに 対 する 各 種 手 当 制 度 がもたらす 可 処 分 所 得 変 動 の 推 移 ケース1 ( 前 年 比 万 円 ) 年 収 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 対 2009 年 比 300 6.6 2.8 5.1 2.8 1.6 400 6.6 2.8 5.1 2.8 1.6 500 6.6 2.2 5.1 2.8 1.1 600 6.6 1.0 5.1 2.8 2.2 700 6.6 2.6 5.1 2.8 3.8 800 6.6 8.6 5.1 2.8 9.8 900 15.6 0.4 5.1 2.8 8.2 1,000 15.6 0.4 15.1 22.8 21.8 1,100 15.6 0.4 15.1 22.8 21.8 1,200 15.6 1.6 15.1 22.8 23.8 1,500 15.6 9.5 15.1 22.8 31.6 1,800 15.6 9.5 15.1 22.8 31.6 ケース2 ( 前 年 比 万 円 ) 年 収 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 対 2009 年 比 300 12.6 8.8 11.1 2.8 7.6 400 12.6 8.8 11.1 2.8 7.6 500 12.6 8.3 11.1 2.8 7.1 600 12.6 5.0 11.1 2.8 3.8 700 12.6 3.5 11.1 2.8 2.3 800 12.6 2.6 11.1 2.8 3.8 900 15.6 0.4 11.1 2.8 2.2 1,000 15.6 0.4 19.1 18.8 21.8 1,100 15.6 0.4 19.1 18.8 21.8 1,200 15.6 1.5 19.1 18.8 23.8 1,500 15.6 9.5 19.1 18.8 31.6 1,800 15.6 9.5 19.1 18.8 31.6 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 HP 政 府 公 表 資 料 を 基 に 筆 者 作 成 ( 備 考 ) 社 会 保 険 料 や 2009 年 に 支 給 された 定 額 給 付 金 の 影 響 等 については 加 味 していない 可 処 分 所 得 の 変 動 が 上 記 のような 結 果 となる 理 由 は 2009 年 から 2013 年 にかけての 可 処 分 所 得 の 変 動 を 要 因 別 にみると 理 解 しやすい 図 5 6 はケース 1 及 びケース 2 について 2009 年 から 2013 年 にかけての 可 処 分 所 得 の 変 動 を 要 因 分 解 したものであるが これを 見 ると 2009 年 から 2013 5
年 にかけての 可 処 分 所 得 の 変 動 は の 影 響 が 剥 落 し 子 どもに 対 する 手 当 要 因 ( 新 児 童 手 当 - 児 童 手 当 )と 年 少 扶 養 控 除 廃 止 要 因 ( 所 得 税 住 民 税 の 増 加 )の 2 つに 分 けて 捉 えることがで きる 年 収 900 万 円 以 下 の 層 では 押 し 上 げ 要 因 である 子 どもに 対 する 手 当 要 因 と 押 し 下 げ 要 因 で ある 年 少 扶 養 控 除 廃 止 要 因 の 大 小 により 決 まり 年 収 1000 万 円 以 上 の 層 では 年 少 扶 養 控 除 廃 止 要 因 のみにより 決 まることが 分 かる ( 万 円 ) 40 30 20 10 0 10 20 図 5 年 収 別 家 への 影 響 ( 子 ども2 人 4 歳 1 歳 )(2009 年 2013 年 ) 30 年 少 扶 養 控 除 廃 止 ( 所 得 税 住 民 税 の 負 担 増 ) 子 どもに 対 する 手 当 ( - 児 童 手 当 ) 可 処 分 所 得 増 減 40 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,500 1,800 ( 万 円 ) 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について を 基 に 筆 者 作 成 ( 万 円 ) 30 図 6 年 収 別 家 への 影 響 ( 子 ども2 人 13 歳 10 歳 )(2009 年 2013 年 ) 20 10 0 10 20 30 年 少 扶 養 控 除 廃 止 ( 所 得 税 住 民 税 の 負 担 増 ) 子 どもに 対 する 手 当 ( - 児 童 手 当 ) 可 処 分 所 得 増 減 40 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,500 1,800 ( 万 円 ) 子 どもに 対 する 手 当 の 制 度 のあり 方 について を 基 に 筆 者 作 成 つまり 年 収 1000 万 円 を 越 える 高 所 得 者 層 で 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 収 となる 理 由 は 可 処 分 所 得 の 押 し 上 げ 要 因 が 存 在 せず 年 少 扶 養 控 除 廃 止 に 伴 う 所 得 税 住 民 税 負 担 の 増 加 分 がそのまま 可 処 分 所 得 を 押 し 下 げているためであることが 分 かる 加 えて 所 得 税 は 累 進 課 税 であるため 限 界 税 率 が 高 い 高 所 得 者 層 ほど 負 担 額 は 増 大 していく また 年 収 900 万 円 層 の 可 処 分 所 得 が 全 体 と 比 べて 歪 な 動 きを 示 している 理 由 は 所 得 制 限 の 対 象 が 児 童 手 当 (860 万 円 程 度 )と ( 年 収 960 万 円 程 度 )で 異 なる 結 果 がそのまま 可 処 分 所 得 の 押 し 上 げ 要 因 として 寄 与 しているこ とが 理 由 である 6
( 高 所 得 者 層 に 対 する 負 担 軽 減 策 の 行 方 ) 今 後 焦 点 となる 高 所 得 者 層 への 負 担 軽 減 措 置 としては 基 本 的 には1 高 所 得 者 層 の 年 少 扶 養 控 除 を 復 活 させる 方 法 2 高 所 得 者 層 に 一 定 額 を 支 給 する 方 法 の 2 通 りが 考 えられるが 上 記 試 算 結 果 から も 明 らかなように 高 所 得 者 層 の 可 処 分 所 得 が 大 幅 減 少 となる 理 由 は 年 少 扶 養 控 除 廃 止 に 伴 う 所 得 税 住 民 税 の 負 担 が 増 加 するためである 年 少 扶 養 控 除 は の 導 入 と 相 俟 って 廃 止 された 経 緯 があることから が 廃 止 され に 所 得 制 限 が 導 入 されるのであれば 1 の 高 所 得 者 層 の 年 少 扶 養 控 除 を 復 活 させ 高 所 得 者 層 の 可 処 分 所 得 を 2009 年 度 の 水 準 に 戻 すべき であるという 主 張 は 分 かりやすく 国 民 の 納 得 感 が 得 られやすい ただし その 一 方 で 高 所 得 者 層 に 対 する 年 少 扶 養 控 除 を 復 活 させることは 個 人 所 得 課 税 におい て 各 種 所 得 控 除 の 見 直 しや 税 率 構 造 の 改 革 を 行 い 格 差 是 正 や 所 得 再 分 配 機 能 の 回 復 を 図 っていく という 税 制 抜 本 改 革 の 流 れに 水 を 差 すことにもなりかねないことから 政 府 として 受 け 入 れること は 困 難 であろう したがって 現 実 的 には 2の 高 所 得 者 層 に 一 定 額 を 支 給 する 方 法 が 採 用 される 可 能 性 が 高 いものと 考 えられる ただし その 場 合 においても 税 制 が 一 層 複 雑 で 分 かりにくくとなることに 加 え 支 給 額 次 第 では 新 たな 財 源 問 題 が 生 じる 懸 念 があるなど 課 題 は 山 積 しており 負 担 軽 減 措 置 の 具 体 化 に おいて 政 府 は 難 しい 決 断 を 迫 られることとなろう (お 願 い) 本 誌 記 載 のデータは 各 種 の 情 報 源 から 入 手 加 工 したものであり その 正 確 性 と 安 全 性 を 保 証 するものではありません また 本 誌 は 情 報 提 供 が 目 的 であり 記 載 の 意 見 や 予 測 は いかなる 契 約 の 締 結 や 解 約 を 勧 誘 するものでもありません 7