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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

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頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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18 国立高等専門学校機構

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

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1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

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●電力自由化推進法案

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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2. 予 測 2.1. 予 測 項 目 予 測 項 目 は 以 下 のとおりとした 1 埋 設 廃 棄 物 の 掘 削 除 去 に 伴 う 廃 棄 物 2 造 成 等 の 施 工 の 一 時 的 な 影 響 による 建 設 工 事 に 伴 う 副 産 物 ( 建 設 発 生 土 建 設 廃 棄 物

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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

別紙3

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2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

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( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

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工 事 に 伴 う 伐 採 木 量 を 表 5163 に 示 す 伐 採 木 量 は 340.2tと 予 測 する 発 生 する 木 くずについては 樹 木 の 状 態 により 処 理 が 異 なるため できる 限 り 有 効 利 用 が 図 れる 方 法 で 処 理 を 行 う 区 分 表 516

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平成24年度 業務概況書

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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表紙

(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%

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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

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回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

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の 基 礎 の 欄 にも 記 載 します ア 法 人 税 の 中 間 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場 合 は 中 間 イ 法 人 税 の 確 定 申 告 書 ( 退 職 年 金 等 積 立 金 に 係 るものを 除 きます ) 又 は 連 結 確 定 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場

市街化区域と市街化調整区域との区分

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

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2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

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第4回税制調査会 総4-1

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

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( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

スライド 1

Transcription:

1 土 づくり 関 係 1) 家 畜 ふん 堆 肥 (1) 家 畜 ふん 堆 肥 作 りの 基 本 家 畜 ふん 堆 肥 作 りとは 堆 肥 原 料 中 の 好 気 性 微 生 物 が 活 発 に 活 動 し 原 料 中 の 有 機 物 を 分 解 できる 環 境 を 作 ることである その 環 境 作 りには 以 下 の 6 つの 条 件 が 必 要 である 1 十 分 な 好 気 性 微 生 物 が 存 在 している 2 微 生 物 が 活 動 するための 有 機 物 が 存 在 する 3 空 気 ( 酸 素 )が 十 分 にある 4 適 度 な 水 分 がある 5 発 酵 熱 により 温 度 が 上 昇 する 6 有 機 物 の 分 解 に 必 要 な 時 間 を 確 保 している 12に 関 しては 通 常 特 に 手 を 加 えなくても 満 たされていると 考 えてよい 3の 空 気 ( 酸 素 )については 家 畜 ふんを 堆 積 放 置 しただけでは 短 時 間 のうち に 酸 素 不 足 になるため 堆 肥 化 前 に 水 分 調 整 (55~70% 程 度 に 調 整 )をして 通 気 性 を 改 善 しなければならない また 堆 積 後 も 攪 拌 や 切 返 し もしくは 強 制 通 気 を 行 い 家 畜 ふんにまんべんなく 空 気 ( 酸 素 )を 供 給 し 均 一 な 発 酵 を 促 す 必 要 が ある 4の 水 分 については 過 剰 であると 通 気 性 が 悪 くなり 乾 燥 し 過 ぎても 微 生 物 が 活 動 できなくなるため 注 意 が 必 要 である 5の 発 酵 熱 は 好 気 性 微 生 物 が 有 機 物 を 分 解 することで 発 生 する 堆 肥 原 料 中 の 病 原 菌 や 雑 草 の 種 子 を 死 滅 させるには 60 以 上 を 数 日 間 維 持 しなければなら ないため 温 度 管 理 が 重 要 である 6の 処 理 期 間 は 原 料 ふんの 性 状 や 副 資 材 および 堆 肥 化 方 式 の 違 いによって 有 機 物 の 分 解 の 進 行 度 は 異 なるため その 特 定 は 難 しいが 完 熟 堆 肥 を 生 産 する には 堆 肥 原 料 中 の 易 分 解 性 有 機 物 をすべて 分 解 させるのが 望 ましい このため 数 ヶ 月 程 度 の 期 間 を 確 保 すべきである これらの 条 件 を 踏 まえて 腐 熟 度 の 高 い 良 質 な 家 畜 ふん 堆 肥 を 生 産 すること が 求 められる (2) 具 体 的 な 堆 肥 化 作 業 1 堆 肥 化 を 行 うための 前 処 理 ( 通 気 性 の 確 保 ) 堆 肥 原 料 である 家 畜 ふんは 表 1 に 示 すとおり 水 分 が 高 いため 堆 肥 中 の 空 隙 ( 隙 間 )が 少 なく 通 気 性 が 悪 いことから 好 気 性 微 生 物 が 必 要 な 空 気 ( 酸 素 ) が 確 保 できない 発 酵 を 促 すには 家 畜 ふんの 水 分 を 少 なくして 通 気 性 を 確 保 し 堆 肥 内 に 空 気 ( 酸 素 )を 十 分 供 給 する 必 要 がある 家 畜 ふんの 水 分 を 少 なくする 方 法 は 水 分 の 少 ない 材 料 表 1 家 畜 ふんの 成 分 含 量 (%) ( 水 分 は 原 物 中 その 他 は 乾 物 中 ) 水 分 全 炭 素 全 窒 素 リン 酸 カリ 石 灰 苦 土 牛 80.1 34.6 2.19 1.78 1.76 1.70 0.83 豚 69.4 41.3 3.61 5.54 1.49 4.11 1.56 採 卵 鶏 63.7 34.7 6.18 5.19 3.10 10.90 1.44 ブロイラー 40.4-4.00 2.97 2.97 1.60 0.77-1 -

( 副 資 材 ないし 水 分 調 整 材 という)を 一 緒 に 混 合 する 方 法 や ビニ ールハウス 等 で 予 備 的 に 乾 燥 させる 方 法 がある 副 資 材 は 吸 水 性 保 水 性 に 富 み 原 料 ふんと 混 合 した 場 合 にその 通 気 性 を 高 められることが 必 要 である 表 2 に 代 表 的 な 副 資 材 とその 特 徴 を 示 す また 表 3 に 示 すとおり 副 資 材 の 成 分 は 家 畜 ふん 成 分 ( 表 1)に 比 べて 乾 物 中 の 全 窒 素 やミネラル 含 有 量 が 少 ない 作 物 によ っては 窒 素 分 およびミネラルの 肥 料 成 分 の 少 ない 堆 肥 が 好 まれる 場 合 もあ るので これら 副 資 材 を 混 合 することで 肥 料 成 分 が 少 ない 堆 肥 作 りも 可 能 で ある 表 3 副 資 材 の 成 分 含 量 (%) ( 成 分 は 乾 物 中 ) 水 分 全 炭 素 全 窒 素 C/N 比 リン 酸 カリ 石 灰 苦 土 稲 わら 10.0 38.0 0.49 77 0.17 1.88 0.51 0.14 大 麦 わら 10.0 45.2 0.49 98 0.21 2.18 0.50 0.16 小 麦 わら 10.0 41.2 0.32 129 0.18 1.76 0.36 0.10 モミガラ 10.0 34.6 0.36 96 0.16 0.39 0.04 0.04 オガクズ 30.0 47.1 0.06 785 0.02 0.13 1.70 0.03 通 気 性 の 発 現 する 水 分 含 率 は 表 4 に 示 すとおり 原 料 ふんの 畜 種 や 混 合 する 副 資 材 の 種 類 により 異 なる し かし いずれの 混 合 物 も 比 重 表 2 主 な 副 資 材 の 特 徴 副 資 材 利 点 欠 点 通 気 性 改 善 効 果 大 収 集 時 期 が 限 定 される 稲 わら 麦 わら モミガラ オガクズ バーク 戻 し 堆 肥 分 解 が 比 較 的 容 易 収 集 に 労 力 がかかる 堆 肥 化 施 設 によっては 細 断 が 必 要 通 気 性 改 善 効 果 大 ( 未 粉 砕 ) 分 解 が 比 較 的 困 難 粉 砕 することで 吸 水 性 大 粉 砕 には 機 械 等 の 設 備 が 必 要 未 粉 砕 だと 吸 水 性 が 少 ない 粉 砕 により 通 気 性 改 善 効 果 小 吸 水 効 果 大 入 手 が 次 第 に 困 難 通 気 性 改 善 効 果 あり 分 解 が 困 難 臭 気 の 吸 収 能 力 が 高 い 作 物 の 生 育 阻 害 物 質 を 含 む ものもある 低 水 分 だと 通 気 性 改 善 効 果 大 高 水 分 だと 通 気 性 改 善 効 果 小 低 水 分 だと 吸 水 性 大 堆 肥 成 分 が 濃 縮 される 確 保 が 比 較 的 容 易 表 4 堆 肥 化 発 酵 スタート 時 の 水 分 畜 種 副 資 材 無 使 用 戻 し 堆 肥 混 合 オガクズ 混 合 モミガラ 混 合 牛 豚 鶏 65% 以 下 55% 以 下 68% 以 下 58% 以 下 72% 以 下 62% 以 下 75% 以 下 65% 以 下 注 )1 上 記 水 分 の 容 積 重 は いずれも700kg/m3と 設 定 する 2 畜 種 や 副 資 材 が2 種 以 上 の 場 合 は 混 合 率 を 換 算 し その 水 分 率 を 推 察 して 設 定 する が 0.7( 容 積 重 700kg/m 3 ) 以 下 になることで 活 発 な 堆 肥 化 発 酵 がスタート することから 比 重 調 整 が 堆 肥 化 発 酵 開 始 において 重 要 である この 比 重 調 整 を 現 場 にて 簡 易 に 測 定 する 方 法 として 10L バケツを 用 いた 方 法 がある 具 体 的 には 10L のバケツに 堆 肥 原 料 を 入 れ( 力 を 入 れて 詰 込 まないよう 注 意 ) バケツ 重 量 を 差 し 引 いた 重 さが 6.5kg 程 度 (バケツ 測 定 では 圧 密 が 少 な いため)になるよう 混 合 調 整 する 方 法 を 取 る 2 堆 肥 化 方 式 堆 肥 化 方 式 は 表 5 のように 分 類 でき 大 きく 分 けて 攪 拌 装 置 がない 場 合 ( 堆 積 方 式 ) と 攪 拌 装 置 を 備 えた 場 合 ( 攪 拌 方 式 ) がある 堆 積 方 式 は 施 設 構 造 が 簡 単 で 攪 拌 装 置 がないためショベルローダー 等 を 用 いて 切 返 しを 行 う 必 要 がある 堆 積 方 式 のうち 通 気 装 置 のない 堆 肥 舎 は 施 設 の 設 置 経 費 や 運 転 経 費 が 他 の 方 式 と 比 べて 少 ないが 切 返 しを 繰 - 2 -

り 返 す 必 要 があるため 労 力 が 多 い また 通 気 性 の 確 保 が 切 返 しによるも ののみであるため 堆 肥 化 期 間 が 長 くなるとともに 設 置 施 設 に 広 い 面 積 が 必 要 であるという 短 所 がある 一 方 通 気 装 置 を 設 置 した 堆 肥 舎 は 設 置 経 費 運 転 経 費 が 若 干 かかるが 強 制 通 気 により 通 気 性 が 確 保 され 堆 肥 化 期 間 がやや 短 縮 されるため 通 気 装 置 がない 堆 肥 舎 と 比 べて 小 さい 施 設 面 積 での 処 理 が 可 能 である 攪 拌 方 式 は 上 部 が 開 放 された 発 酵 槽 に 攪 拌 機 が 設 置 されている 開 放 式 と 密 閉 された 発 酵 槽 の 中 に 攪 拌 機 と 通 気 装 置 が 備 えられた 密 閉 式 があり 1 次 処 理 として 堆 肥 を 数 日 ~1 ヶ 月 程 度 攪 拌 処 理 した 後 2 次 処 理 として 堆 肥 舎 で 堆 積 するという 方 法 が 多 くみられる 攪 拌 機 にはスクープ 式 ロータリ ー 式 等 があり 毎 日 1~2 回 運 転 し 堆 肥 の 攪 拌 と 移 送 を 繰 り 返 す 開 放 式 の 長 所 は 堆 積 方 式 と 比 較 して 労 力 が 少 なく 好 気 的 条 件 の 確 保 が 比 較 的 容 易 なため 発 酵 が 安 定 して 早 く 進 行 し 堆 肥 の 品 質 が 均 一 になりやすい しかし 施 設 の 設 置 経 費 運 転 経 費 が 大 きく また 石 等 の 異 物 の 混 入 に よる 機 械 の 破 損 が 生 じやすい 短 所 がある 密 閉 方 式 は 堆 肥 化 に 要 する 労 力 が 少 なく 開 放 式 以 上 に 発 酵 の 進 行 が 早 い そして 必 要 な 施 設 面 積 も 小 さくて 済 むという 長 所 がある しかし 開 放 式 と 同 様 に 設 置 経 費 運 転 経 費 が 大 きく 機 械 の 破 損 が 生 じやすいことに 加 え 装 置 の 負 荷 軽 減 のため に 堆 肥 原 料 の 水 分 量 を 予 め 十 分 低 下 させてから 発 酵 槽 に 投 入 する 必 要 があ る 表 5 主 な 堆 肥 化 施 設 機 械 の 特 徴 と 利 用 状 況 施 設 の 特 徴 経 営 別 の 利 用 状 況 適 用 地 域 労 力 施 設 必 施 設 処 理 畜 種 別 規 模 別 積 雪 寒 その 他 要 面 積 運 転 費 期 間 酪 農 肉 牛 養 豚 養 鶏 大 中 小 冷 地 帯 地 域 通 堆 無 多 大 小 長 堆 積 気 肥 方 式 装 舎 置 有 多 中 中 中 ロータ 攪 拌 方 式 開 放 式 密 閉 式 リー 式 スクープ 式 横 型 縦 型 少 大 大 中 短 少 大 大 中 短 少 小 大 極 短 少 小 大 極 短 注 ) 多 く 利 用 されている 利 用 されている 一 部 で 利 用 されている ほとんど 利 用 されていない 3 温 度 管 理 堆 肥 は 有 機 物 の 分 解 により 発 酵 熱 が 発 生 する この 発 酵 温 度 の 推 移 によ り 発 酵 の 進 行 が 推 測 されることから 堆 肥 化 における 温 度 管 理 は 重 要 である 堆 肥 は 適 切 な 前 処 理 が 行 われていると 堆 肥 管 理 開 始 直 後 から 数 日 で 急 激 に 発 酵 温 度 が 上 がり 60~70 以 上 の 高 温 状 態 が 続 く ( 高 温 分 解 期 ) 温 度 が 下 がってきても 微 生 物 のエサとなる 有 機 物 ( 易 分 解 性 有 機 物 )が 残 ってい る 限 り 攪 拌 切 返 しによる 空 気 ( 酸 素 )の 供 給 や 適 切 な 水 分 管 理 ( 水 分 40% 以 下 になると 微 生 物 の 活 動 が 低 下 するので 注 意 が 必 要 ) によって 再 び 高 温 状 態 になる この 攪 拌 切 返 しによる 温 度 の 低 下 上 昇 を 繰 り 返 しながら 全 体 として 60 以 上 の 高 温 状 態 を 数 日 ~ 数 週 間 続 くのが 一 般 的 である 堆 肥 中 の 病 原 菌 や 寄 生 虫 雑 草 の 種 子 は 60 以 上 の 高 温 が 数 日 続 くと 死 滅 する - 3 -

ことから 60 以 上 の 発 酵 温 度 を 数 日 間 継 続 して 維 持 することが 望 ましい その 後 堆 肥 全 体 がムラなく 発 酵 し 有 機 物 が 減 少 するとともに 微 生 物 の 数 や 種 類 が 変 化 していくことで 攪 拌 切 返 しや 適 切 な 水 分 管 理 を 行 って も 温 度 の 上 昇 がみられない 状 態 となる この 状 態 になると 易 分 解 性 有 機 物 は 分 解 され 尽 くされ 完 熟 堆 肥 となる 4 空 気 ( 酸 素 )の 供 給 堆 肥 化 は 通 気 性 が 確 保 されている 表 面 部 分 でのみ 進 行 し 内 部 は 空 気 が 届 きにくくなるため 堆 肥 化 は 進 まず その 状 態 が 続 くと 空 気 の 届 かない 内 部 が 嫌 気 発 酵 ( 腐 敗 )し 始 め 悪 臭 やフェノール 類 ( 生 育 阻 害 物 質 )が 発 生 す るため 攪 拌 や 切 返 しによる 空 気 ( 酸 素 )の 供 給 が 必 要 である 攪 拌 切 返 しは 堆 肥 原 料 をまんべんなく 混 ぜ 合 わせ 破 砕 することによ って 堆 肥 内 部 を 空 気 ( 酸 素 )に 触 れる 表 面 部 分 へと 作 り 直 し これを 繰 り 返 すことで 堆 肥 原 料 がまんべんなく 発 酵 堆 肥 化 する 強 制 通 気 は 運 転 経 費 が 必 要 となるが 空 気 ( 酸 素 )にふれる 表 面 部 分 が 増 すことから 発 酵 促 進 効 果 は 高 く 堆 肥 化 期 間 の 短 縮 に 有 効 な 手 段 である 適 切 な 通 気 量 は 堆 肥 舎 や 開 放 型 攪 拌 方 式 では 50~100L/ 分 m 3 ( 原 則 と して 24 時 間 連 続 通 気 ) で 静 圧 200mm 水 柱 程 度 の 風 量 密 閉 型 攪 拌 方 式 で は 200~300L/ 分 m 3 程 度 で 静 圧 1,000mm 水 柱 程 度 の 風 量 が 必 要 とされ ている また 通 気 している 場 合 でも 攪 拌 切 返 しによって 堆 肥 全 体 を 空 気 に 接 触 させなければ 堆 肥 内 部 の 堆 肥 化 が 進 まないので 攪 拌 切 返 しは 必 要 である 5 堆 肥 化 期 間 堆 肥 の 発 酵 熱 が 常 温 より 高 い 場 合 は 微 生 物 がまだ 有 機 物 を 分 解 している 証 拠 であることから 少 なくとも 切 返 し 等 を 行 っても 発 酵 熱 の 上 昇 がみられ なくなるまで 堆 肥 化 をする 必 要 がある また 単 に 堆 肥 化 期 間 を 長 くすれば 品 質 が 向 上 するともいえない 適 切 な 比 重 調 整 切 返 し 攪 拌 等 の 堆 肥 化 処 理 を 行 い 発 酵 熱 を 確 認 することで 腐 熟 度 の 高 い 堆 肥 生 産 が 可 能 となる 堆 肥 化 期 間 が 長 引 くことで 施 設 の 容 量 に 問 題 が 起 きて 非 効 率 的 な 運 営 や 生 産 コストの 上 昇 を 招 く 恐 れもあるこ とから 各 々の 堆 肥 原 料 の 性 状 に 合 った 適 切 な 処 理 が 大 事 である (3) 腐 熟 度 と 障 害 安 全 性 腐 熟 とは 有 機 資 材 中 の 易 分 解 性 有 機 物 を 好 気 性 微 生 物 の 働 きによって 発 酵 熱 を 伴 って 分 解 し 施 用 しても 土 壌 および 作 物 に 悪 影 響 を 及 ぼすことがなくなるよ うにすることをいう その 到 達 目 標 に 合 致 した 時 点 を 完 熟 と 呼 び この 完 熟 に 到 達 するまでの 腐 熟 の 程 度 を 腐 熟 度 という 未 熟 な 堆 肥 の 施 用 に 伴 う 作 物 に 対 する 障 害 は 混 合 する 副 資 材 の 有 無 や 種 類 その 割 合 によって 大 別 して 考 えられる( 表 6) また これらの 他 にも 畜 種 の 飼 料 の 影 響 によるミネラルの 過 剰 や 土 壌 物 理 性 の 悪 化 低 い 発 酵 温 度 による 安 全 性 の 問 題 等 がみられる また 戻 し 堆 肥 や 乾 燥 ふんを 用 いた 水 分 調 整 や 堆 肥 への 尿 汚 水 の 散 布 によっ て 堆 肥 中 の 塩 類 濃 度 が 高 まり 他 の 施 肥 肥 料 とのバランスが 崩 れて 生 育 阻 害 - 4 -

を 起 こす 可 能 性 も 高 まるので 注 意 が 必 要 である 表 6 家 畜 ふん 堆 肥 施 用 による 障 害 と 腐 熟 原 料 資 材 副 資 材 の 混 合 比 未 熟 による 障 害 の 原 因 腐 熟 の 目 的 家 畜 ふんのみ なし 高 濃 度 の 無 機 態 窒 素 土 壌 の 異 常 還 元 高 濃 度 の 無 機 態 窒 素 主 土 壌 の 異 常 還 元 少 家 畜 ふん 作 物 収 穫 残 渣 中 の 生 育 副 生 育 阻 害 物 質 の 分 解 + 阻 害 物 質 作 物 収 穫 残 窒 素 飢 餓 (C/N 比 が 高 い) C/N 比 の 低 下 渣 作 物 収 穫 残 渣 中 の 生 育 阻 害 生 育 阻 害 物 質 の 分 解 多 物 質 家 畜 ふん + 木 質 物 少 多 土 壌 の 異 常 還 元 高 濃 度 の 無 機 態 窒 素 ふん 中 の 易 分 解 性 有 機 物 の 主 土 壌 の 異 常 還 元 分 解 副 木 質 物 中 の 生 育 阻 害 物 質 生 育 阻 害 物 質 の 分 解 主 木 質 物 中 の 生 育 阻 害 物 質 生 育 阻 害 物 質 の 分 解 窒 素 飢 餓 (C/N 比 が 高 い) C/N 比 の 低 下 副 木 質 物 および 家 畜 ふん 中 の 土 壌 の 異 常 還 元 易 分 解 性 有 機 物 の 分 解 1 家 畜 ふん 堆 肥 施 用 による 障 害 ア. 土 壌 の 異 常 還 元 易 分 解 性 有 機 物 が 土 壌 中 に 大 量 に 入 ることにより 微 生 物 が 急 激 に 増 殖 し 土 壌 中 の 酸 素 を 消 費 して 極 度 の 還 元 ( 酸 欠 ) 状 態 になる この 結 果 根 に 障 害 が 起 こり また 嫌 気 性 微 生 物 の 働 きによって 生 育 阻 害 物 質 が 生 成 され 作 物 に 障 害 を 与 える イ. 窒 素 過 剰 C/N 比 ( 全 炭 素 と 全 窒 素 の 比 で 有 機 物 の 分 解 性 を 示 す 指 標 のひとつ) の 低 い 堆 肥 を 過 剰 施 用 した 時 に 起 きる 土 壌 中 で 急 激 に 分 解 されること により 無 機 態 窒 素 ( 特 にアンモニウム 態 窒 素 ) 濃 度 が 高 まり 作 物 根 が 濃 度 障 害 を 起 こす また 土 壌 中 のアンモニウム 態 窒 素 は 硝 酸 態 窒 素 に 変 化 し 雨 水 によって 容 易 に 流 されて 地 下 水 を 汚 染 する ウ. 窒 素 飢 餓 C/N 比 の 高 い 堆 肥 を 施 用 することで 微 生 物 が 増 殖 し 分 解 によって 出 てくる 窒 素 のほとんどを 菌 体 成 分 が 合 成 するために 取 り 込 んでしま い 作 物 は 窒 素 を 吸 収 できず 窒 素 欠 乏 症 を 起 こす エ. 生 育 阻 害 物 質 副 資 材 として 用 いられる 稲 わらや 麦 稈 には フェノール 酸 が 含 まれて おり オガクズやバークの 木 質 物 には フェノール 酸 の 他 にタンニンや 精 油 等 の 生 育 阻 害 物 質 が 含 まれている また 堆 肥 化 が 適 切 に 管 理 され ずに 嫌 気 発 酵 した 場 合 フェノール 酸 や 低 級 脂 肪 酸 が 多 量 に 生 成 される これらの 物 質 により 作 物 の 生 育 が 阻 害 されることがある オ.ミネラルの 過 剰 による 影 響 豚 や 鶏 の 飼 料 には 成 長 促 進 等 を 目 的 に 銅 や 亜 鉛 が 添 加 されており それらの 堆 肥 の 銅 や 亜 鉛 濃 度 が 高 くなる 傾 向 がある 銅 や 亜 鉛 は 作 物 に - 5 - ふん 中 の 易 分 解 性 有 機 物 の 分 解 ふん 中 の 易 分 解 性 有 機 物 の 分 解 作 物 収 穫 残 渣 およびふん 中 の 易 分 解 性 有 機 物 の 分 解

とって 必 須 ミネラルであるが 土 壌 に 多 量 蓄 積 することで 土 壌 汚 染 が 心 配 される このため 肥 料 取 締 法 により 原 物 1kg あたり 銅 300mg 以 上 含 む 豚 ふん 堆 肥 および 亜 鉛 900mg 以 上 含 む 豚 ふんや 鶏 ふん 堆 肥 につい ては 含 有 量 の 表 示 が 義 務 付 けられているが 現 在 はあまり 問 題 とはなっ ていない カ. 土 壌 物 理 性 の 悪 化 水 分 の 高 い 未 熟 堆 肥 を 多 量 に 施 用 した 上 から トラクター 等 の 大 型 機 械 を 運 行 させると 土 壌 の 圧 密 化 が 促 進 され 通 気 や 排 水 が 不 良 になる また オガクズを 多 用 した 堆 肥 を 多 量 に 施 用 した 場 合 土 壌 中 の 水 分 が 上 方 に 移 動 する 作 用 により 干 ばつの 被 害 を 受 けやすくなる キ. 低 い 発 酵 温 度 による 影 響 堆 肥 の 原 料 ふん 中 には 病 原 菌 寄 生 虫 の 卵 や 雑 草 の 種 子 が 含 まれてお り 注 意 が 必 要 である これらを 死 滅 させるためには 発 酵 温 度 が 60~70 程 度 を 数 日 以 上 維 持 することが 必 要 であるため 発 酵 温 度 の 管 理 により 60 以 上 の 高 温 状 態 の 維 持 期 間 を 把 握 することが 望 まれる ク. 塩 類 濃 度 の 影 響 堆 肥 の 原 料 ふんには 窒 素 リン 酸 カリ 苦 土 等 の 肥 料 成 分 となる 無 機 塩 類 が 含 まれており 副 資 材 として 戻 し 堆 肥 や 乾 燥 糞 を 繰 り 返 し 混 合 することや 尿 汚 水 を 堆 肥 に 散 布 することにより 堆 肥 の 塩 類 濃 度 が 高 まる これら 無 機 塩 類 は 良 質 な 肥 料 であるが 施 肥 の 際 に 化 学 肥 料 中 の 無 機 塩 類 とのバランスが 崩 れることで 土 壌 に 無 機 塩 類 が 集 積 し 作 物 の 生 育 阻 害 を 起 こす 可 能 性 があるので 注 意 が 必 要 である また 塩 類 濃 度 を 抑 えた 堆 肥 作 りを 目 指 すのであれば 副 資 材 に 作 物 収 穫 残 渣 や 木 質 物 等 を 用 いることで 塩 類 濃 度 が 希 釈 される (4) 腐 熟 度 の 評 価 法 堆 肥 の 腐 熟 度 の 評 価 法 は これまで 様 々な 手 法 が 提 案 されているが 時 間 や 技 表 7 腐 熟 度 評 価 基 準 術 を 要 するものが 多 い そこで 項 目 状 態 区 分 点 数 現 場 で 判 断 するための 評 価 基 準 原 物 の 形 状 をとどめる 2 について 表 7 に 示 した しかし 形 状 かなり 崩 れる 7 ほとんど 認 めない 15 今 日 の 堆 肥 化 の 手 法 は 副 資 材 の ふん 尿 臭 強 い 2 種 類 や 混 合 比 堆 肥 化 方 式 等 が 多 臭 気 ふん 尿 臭 弱 い 10 堆 肥 臭 ( 土 の 香 り) 20 様 になっており 外 観 のみからの 強 く 握 ると 指 の 間 から 滴 る(70% 前 後 ) 2 判 定 は 困 難 となっている 例 えば 水 分 強 く 握 ると 手 の 平 にかなりつく(60% 前 後 ) 7 形 状 については 副 資 材 の 種 類 に 強 く 握 っても 手 の 平 にあまりつかない(50% 前 後 ) 15 50 以 下 2 よってその 判 断 は 異 なってくる 堆 積 中 の 50~60 10 以 上 の 理 由 から 外 観 のみによる 最 高 温 度 60~70 15 70 以 上 20 判 定 は 困 難 であるが 堆 積 中 の 最 高 温 度 切 返 し 回 数 強 制 通 気 の 有 無 等 の 堆 肥 化 条 件 を 加 えて 総 合 判 断 することで ある 程 度 の 評 価 は 可 能 となる 2 回 以 下 2 切 返 し 回 数 3~6 回 10 7 回 以 上 20 強 制 通 気 なし 0 あり 10 注 ) 点 数 を 合 計 し 未 熟 (30 点 以 下 ) 中 熟 (31~80 点 ) 完 熟 (81 点 以 上 )とする - 6 -

(5) 堆 肥 の 品 質 基 準 平 成 6 年 に 全 国 農 業 協 同 組 合 中 央 会 を 事 業 主 体 として 家 畜 ふん 堆 肥 について 品 質 保 全 のための 推 奨 基 準 が 作 成 されてい る( 表 8) ここでいう 家 畜 ふん 堆 肥 とは 牛 ふんと 豚 ふんを 主 原 料 とするもので 鶏 ふん 堆 肥 は 除 かれている また この 基 準 は 家 畜 ふん 堆 肥 を 有 機 質 肥 料 とみなす 場 合 のもので 窒 素 リン 酸 カリの 三 要 素 の 含 有 率 は 1% 以 上 と 設 定 されている しかし 1% 以 下 のものは 有 機 質 肥 料 というより 土 壌 改 良 材 として 捉 えられ 決 して 品 質 が 悪 いというわけではな い また 平 成 12 年 より 堆 肥 等 の 品 質 表 示 が 表 8 家 畜 ふん 堆 肥 の 品 質 基 準 1. 品 質 表 示 を 要 する 基 準 項 目 基 準 項 目 基 準 値 ( 乾 物 あたり) 有 機 物 60% 以 上 炭 素 - 窒 素 比 (C/N 比 ) 30 以 下 窒 素 (N) 全 量 1% 以 上 リン 酸 (P 2 O 5 ) 全 量 1% 以 上 カリ(K 2 O) 全 量 1% 以 上 2. 品 質 表 示 を 要 しない 基 準 項 目 基 準 項 目 基 準 値 ( 乾 物 あたり) 水 分 70% 以 下 電 気 伝 導 率 (EC) 5mS/cm 以 下 付 記 : 本 肥 料 の 製 造 には 3ヶ 月 以 上 数 回 の 切 返 しを 伴 う 堆 肥 化 を 行 うことが 望 ましい 義 務 付 けられ 表 示 事 項 は 肥 料 の 種 類 名 称 成 分 の 含 有 量 ( 窒 素 リン 酸 カリ 等 ) 原 料 の 種 類 ( 牛 ふん 稲 わら 等 )などとなっている - 7 -

(6) 畜 種 別 堆 肥 の 特 徴 畜 種 乳 用 牛 肉 用 牛 豚 副 資 材 ( 試 料 数 ) 水 分 ph EC 全 窒 素 (N) 全 炭 素 (C) C/N 比 リン 酸 (P 2 O 5 ) カリ(K 2 O) なし(10) 戻 し 堆 肥 (2) モミガラ オガクズ わら 類 (28) バーク(59) なし(17) 戻 し 堆 肥 (0) モミガラ オガクズ わら 類 (15) バーク(102) 8 8 なし(36) 戻 し 堆 肥 (4) モミガラ オガクズ わら 類 (11) バーク(15) (%) 56.3 32.4 54.0 53.6 56.7-47.0 52.9 28.3 28.7 28.7 41.3 8.5 9.1 8.6 8.6 8.2-8.3 8.0 8.8 8.0 8.5 8.6 ms/cm 6.8 9.0 5.6 5.5 6.7-5.8 5.9 7.6 6.5 6.4 6.9 (%) 2.8 3.9 2.1 2.2 2.8-2.2 2.2 4.4 4.4 3.5 3.2 (%) 31.1 37.3 33.3 35.9 39.0-35.1 41.1 35.6 37.3 35.5 37.4 10.8 9.8 17.0 17.0 14.6-16.3 19.6 8.7 8.9 11.1 12.6 (%) 1.8 4.2 2.1 1.8 2.6-3.0 2.7 6.3 6.3 5.6 5.3 (%) 3.0 5.5 2.7 2.8 2.7-3.1 2.8 2.9 2.3 3.2 2.9 (%) 1.5 3.1 1.5 1.7 1.4-1.5 1.3 2.8 2.9 2.3 2.2 (ppm) 38 117 44 51 40-22 29 282 376 205 218 (ppm) 173 552 163 172 169-157 151 699 1,156 546 576 N (%) 0.3 0.4 0.1 0.1 0.3-0.2 0.2 0.7 0.6 0.6 0.4 P 2 O 5 (%) 1.5 3.3 1.6 1.4 2.1-2.4 2.2 5.0 5.1 4.5 4.2 K 2 O (%) 2.7 4.9 2.5 2.5 2.4-2.8 2.5 2.6 2.1 2.8 2.7 (%) 6.7 8.9 5.1 5.5 13.0-9.8 11.3 13.3 14.9 17.8 13.6 マグネシウム(MgO) 銅 亜 鉛 養 可 分 給 含 態 量 培 養 無 機 態 窒 素 畜 種 副 資 材 ( 試 料 数 ) 水 分 ph EC 全 窒 素 (N) 全 炭 素 (C) C/N 比 リン 酸 (P 2 O 5 ) カリ(K 2 O) 養 可 分 給 含 態 量 なし(77) 戻 し 堆 肥 (20) 採 卵 鶏 モミガラ オガクズ わら 類 (6) バーク(6) なし(5) 戻 し 堆 肥 (1) ブロイラー モミガラ わら 類 (4) オガクズ バーク(11) (%) 19.9 18.2 34.9 30.0 35.6 29.9 37.2 29.8 9.0 8.9 8.9 9.3 7.7 6.1 8.9 8.1 ms/cm 8.1 8.0 6.5 8.4 9.5 11.8 8.2 8.4 (%) 3.1 3.0 2.2 2.4 4.2 5.0 3.3 3.9 (%) 25.6 25.6 25.3 26.7 35.9 40.1 30.9 39.7 8.5 8.9 12.2 11.6 9.3 8.0 9.6 10.4 (%) 6.4 6.6 5.3 7.0 4.1 3.6 6.2 3.9 (%) 3.7 3.9 3.3 3.8 3.4 4.1 4.3 3.8 (%) 2.2 2.5 1.8 2.5 2.3 2.0 2.4 1.7 (ppm) 60 58 62 63 72 65 96 63 (ppm) 446 493 383 451 295 278 495 373 N (%) 0.8 0.6 0.4 0.4 0.6 1.0 0.1 0.7 P 2 O 5 (%) 5.1 5.2 4.2 5.6 3.3 2.8 4.9 3.1 K 2 O (%) 3.4 3.5 3.0 3.4 3.1 3.7 3.9 3.4 (%) 21.6 18.3 20.0 16.1 10.5 19.7 0.8 16.4 マグネシウム(MgO) 銅 亜 鉛 培 養 無 機 態 窒 素 注 1) 水 分 は 原 物 中 それ 以 外 は 乾 物 中 注 2) 可 給 態 養 分 含 量 のNは 全 窒 素 と 培 養 無 機 態 窒 素 率 から 算 出 P 2 O 5 とK 2 Oは それぞれ80% 90%とする 文 献 値 を 用 いて 算 出

(7) 家 畜 ふん 堆 肥 の 施 用 量 の 算 出 法 一 般 に 堆 肥 の 施 用 量 は 農 地 10a もしくは 1ha 当 りに 施 用 される 原 物 重 量 で 示 されて 図 1 堆 肥 施 用 量 算 出 の 手 順 A: 必 要 養 分 量 E = A 代 替 率 / 100 施 肥 基 準 代 替 率 (%) いるが 堆 肥 の 水 分 量 や 養 分 含 有 率 は 大 きくばらついてい C + E る そのため 図 1 に 示 す 手 順 で 施 用 量 を 計 算 する 必 要 が ある C = A-E C: 他 の 肥 料 の 養 分 全 量 D = E 100 / 肥 効 率 D: 堆 肥 の 養 分 全 量 肥 効 率 (%) 1 必 要 養 分 量 を 求 める(A) 各 作 物 の 三 要 素 ( 窒 素 リ B: 堆 肥 施 肥 量 = D 100 / 養 分 含 量 養 分 含 量 (%) ン 酸 カリ)の 必 要 量 を 作 物 別 施 肥 基 準 に 準 じて 求 める また 土 壌 診 断 等 により 施 肥 量 増 減 の 指 示 がある 場 合 にはそれに 従 う 2 必 要 な 養 分 量 のうち 窒 素 について 算 出 する(E) ふん 尿 の 代 替 可 能 率 ( 牛 ふん 堆 肥 30% 豚 ふん 堆 肥 鶏 ふん 堆 肥 60%)に 準 じ 堆 肥 で 施 用 する 窒 素 量 を 算 出 する 3 窒 素 量 を 基 に 施 肥 量 を 算 出 する(D) 化 学 肥 料 の 肥 効 を 100 とした 場 合 の 堆 肥 肥 料 成 分 の 肥 効 率 ( 表 9)から 堆 肥 で 施 用 する 窒 素 量 を 算 出 し 使 用 する 堆 肥 の 現 物 あたり 窒 素 含 有 率 から 施 用 堆 肥 量 を 算 出 する 4 リン 酸 やカリ 量 の 過 不 足 を 求 め 補 正 する(D C) 3で 求 めた 施 肥 量 で 表 9 を 基 にリン 酸 カリ 量 について 施 肥 基 準 を 超 え ないか 確 認 する 施 肥 基 準 を 超 えた 場 合 には 超 過 が 大 きい 要 素 を 基 に 施 肥 基 準 量 の 水 準 になるまで 堆 肥 の 量 を 削 減 する その 結 果 不 足 するようになる 成 分 については 他 の 肥 料 で 補 い 最 終 的 に 施 肥 基 準 に 示 されている 三 要 素 の 量 と バランスを 維 持 する 例 : 愛 媛 県 における 春 まきホウレンソウ 目 標 収 量 1,500kg/10a の 場 合 施 肥 基 準 は 窒 素 20kg リン 酸 16kg カリ 18kg/10a 使 用 する 堆 肥 は 牛 ふん 堆 肥 とし 水 分 50% 乾 物 あたりの 三 要 素 含 有 率 を 窒 素 2.2% リン 酸 1.8% カリ 2.8%とする 窒 素 代 替 率 は 20kg 0.3=6kg 堆 肥 で 施 用 する 窒 素 量 は 窒 素 濃 度 2.2%のため 6kg 0.3=20kg 窒 素 含 有 率 からの 施 用 堆 肥 量 は 窒 素 の 現 物 あたり 量 2.2% (1-0.5)=1.1% 20kg 0.011 1,818kg/10a リン 酸 カリ 量 と 施 肥 基 準 を 確 認 すると 9 表 9 家 畜 ふん 堆 肥 に 含 まれる 各 肥 料 成 分 の 肥 効 率 (%) 畜 種 全 窒 素 濃 度 窒 素 リン 酸 カ リ 牛 豚 ふん 堆 肥 鶏 ふん 堆 肥 0~2% 未 満 10 80 90 2~4% 未 満 30 80 90 4% 以 上 40 80 90 0~2% 未 満 20 80 90 2~4% 未 満 50 80 90 4% 以 上 60 80 90 注 ) 堆 肥 の 全 窒 素 濃 度 は 乾 物 あたり%

リン 酸 の 現 物 あたり 量 1.8% (1-0.5)=0.9% 1,818kg 0.009 0.8 13.1kg < 16kg 施 肥 基 準 量 内 カリの 現 物 あたり 量 2.8% (1-0.5)=1.4% 1,818kg 0.014 0.9 22.9kg >18kg 施 肥 基 準 量 を 超 過 カリで 堆 肥 施 用 量 を 算 出 し 直 すと 18kg 0.9 0.014 1,429kg/10a カリで 求 めた 堆 肥 施 用 量 より 窒 素 とリン 酸 の 施 用 肥 効 量 を 求 めると 堆 肥 による 施 用 窒 素 の 肥 効 量 1,429kg 0.011 0.3 4.72kg 堆 肥 による 施 用 リン 酸 の 肥 効 量 1,429kg 0.009 0.8 10.29kg 化 学 肥 料 で 施 用 する 窒 素 とカリ 量 を 求 めると 化 学 肥 料 で 施 用 する 窒 素 量 20kg-4.72kg=15.28kg/10a 化 学 肥 料 で 施 用 するリン 酸 量 16kg-10.29kg=5.71kg/10a 3 その 他 の 配 慮 事 項 堆 肥 等 の 施 用 量 が 決 まった 後 全 窒 素 の 合 計 量 ( 総 窒 素 量 )を 算 出 し その 総 窒 素 量 を 施 用 した 場 合 浸 透 水 中 の 硝 酸 態 窒 素 濃 度 が 基 準 値 10mg/L を 超 え るかどうか 作 物 によって 窒 素 吸 収 量 が 異 なるので 作 物 別 に 検 討 することが 必 要 である また 長 期 にわたり 堆 肥 を 連 用 した 場 合 銅 亜 鉛 等 の 重 金 属 の 還 元 量 が 土 壌 の 環 境 基 準 や 管 理 基 準 の 指 標 値 を 超 える 恐 れがないか 検 討 し 必 要 な 対 策 を とるべきである (8) 家 畜 ふん 堆 肥 中 の 窒 素 の 肥 効 と 連 用 堆 肥 中 の 窒 素 はその 大 部 分 が 有 機 態 成 分 として 存 在 し 土 壌 中 の 微 生 物 による 分 解 に 伴 い 無 機 態 窒 素 となり それが 作 物 に 利 用 される 有 機 態 成 分 の 無 機 化 は 温 度 水 分 等 の 環 境 条 件 に 影 響 されるとともに 堆 肥 の 成 分 組 成 によって 大 きく 異 なり この 無 機 化 の 速 さや 有 機 態 成 分 の 特 性 を 知 る 目 安 として C/N 比 がある( 表 10) C/N 比 が 30 以 上 の 堆 肥 では 土 壌 中 に 存 在 する 無 機 態 窒 素 を 微 生 物 が 取 り 込 む 有 機 化 が 優 先 して 起 こり その 結 果 窒 素 飢 餓 を 生 ずる 恐 れがある 一 方 C/N 比 が 10 以 下 では 施 用 当 初 から 窒 素 の 無 機 化 が 多 いとされる 家 畜 ふん 堆 肥 を 施 用 した 年 に 分 解 されずに 残 った 窒 素 は 翌 年 以 降 に 無 機 化 す る 残 効 となる そして 同 じ 量 の 堆 肥 を 毎 年 連 用 すると 残 効 が 蓄 積 される 表 表 10 堆 肥 等 有 機 物 の 分 解 特 性 と 施 用 効 果 初 年 目 の 分 解 特 徴 施 用 効 果 連 用 による C/N 比 主 な 有 機 物 区 分 C Nの 分 解 速 度 肥 料 的 肥 沃 度 増 有 機 物 集 積 N 吸 収 増 加 N 放 出 群 N 取 込 群 速 やか ( 年 60~80%) 10 前 後 乾 燥 鶏 ふん 野 菜 残 渣 など 大 小 小 小 中 速 ( 年 40~60%) 10~20 乾 燥 牛 ふん 豚 ふんなど 中 中 中 大 ゆっくり ( 年 20~40%) 10~20 通 常 の 中 ~ 完 熟 堆 肥 中 ~ 小 大 大 中 非 常 にゆっくり ( 年 0~20%) 20~30 バーク 堆 肥 など 小 中 大 小 C 速 やか ( 年 60~80%) N 取 込 み C 中 速 ~ゆっくり ( 年 20~60%) N ±0または 取 込 み C 非 常 にゆっくり( 年 0~20%) N 取 込 み 50~120 わら 類 20~140 未 熟 堆 肥 水 稲 根 など 10 初 マイナス 後 中 大 中 中 初 小 後 中 中 中 小 ~ 中 200 以 上 オガクズなど マイナス 小 中 マイナス~ 小

10 に 示 すとおり 鶏 ふんは 分 解 が 速 やかで 1 年 目 に 施 肥 量 の 80% 近 くの 窒 素 が 無 機 化 される しかし C/N 比 のやや 大 きい 牛 ふんは 1 年 目 では 40% 前 後 しか 無 機 化 されず 2 年 目 以 降 に 残 りの 窒 素 が 徐 々に 無 機 化 し 持 続 的 に 窒 素 の 効 果 が 現 れる この 無 機 化 は 原 料 ふんより 堆 肥 にすることによって 穏 やかに 進 み また 堆 肥 の 種 類 によって 連 用 初 期 には 分 解 の 速 さに 大 きな 差 があるが 年 数 が 経 過 するとともにその 差 が 次 第 に 小 さくなり 50 年 を 経 過 するといずれの 堆 肥 においても 毎 年 添 加 する 窒 素 の 80~90% 程 度 に 相 当 する 窒 素 が 無 機 化 される ただし 表 10 で 示 した 値 は 堆 肥 原 料 副 資 材 の 質 とその 組 合 せ 堆 肥 化 条 件 によりばらつく 値 であるので 留 意 が 必 要 である このように 堆 肥 を 用 いた 土 づくりにおいては 堆 肥 の 連 用 による 残 効 の 影 響 も 考 慮 して 施 肥 する 必 要 がある 参 考 文 献 等 1) 農 林 水 産 技 術 会 議 事 務 局 (2004): 家 畜 ふん 堆 肥 の 品 質 評 価 利 用 マニュアル 2) 財 団 法 人 畜 産 環 境 整 備 機 構 (2005):たい 肥 作 りの 手 引 き 3) 畜 産 環 境 整 備 機 構 など(2001):たい 肥 施 用 コーディネータ 養 成 研 修 テキスト (2) 4) 財 団 法 人 日 本 緑 化 センター(2002): 家 畜 ふん 堆 肥 利 活 用 促 進 マニュアル 5) 財 団 法 人 畜 産 環 境 整 備 機 構 (2007): 家 畜 ふん 堆 肥 の 肥 効 を 取 り 入 れた 堆 肥 成 分 表 と 利 用 法 6) 財 団 法 人 畜 産 環 境 整 備 機 構 (2010): 畜 産 環 境 アドバイザー 研 修 基 礎 技 術 コース( 堆 肥 化 処 理 利 用 技 術 ) 11

2) 緑 肥 レンゲなどの 植 物 を 堆 肥 化 することなく 圃 場 に 施 用 して 土 壌 の 肥 沃 化 を 図 る 方 法 は 化 学 肥 料 の 入 手 困 難 であった 戦 前 当 時 から 広 く 行 われていた 肥 料 としての 効 果 が 高 く 化 学 肥 料 や 有 機 質 肥 料 の 代 替 となるため 緑 肥 (りょくひ)と 称 され ている 今 日 緑 肥 として 用 いられている 作 物 ( 緑 肥 作 物 )の 数 類 は 多 く その 効 果 も 様 々である これらを 列 挙 すると 次 のとおりである 土 壌 の 肥 沃 化 ( 肥 料 効 果 の 高 いマメ 科 植 物 ) 土 壌 の 物 理 性 改 善 ( 土 壌 団 粒 化 促 進 効 果 の 高 いイネ 科 植 物 ) 土 壌 の 生 物 性 改 善 (センチュウ 被 害 防 止 効 果 等 の 高 い 植 物 ) 雑 草 抑 制 ( 果 樹 園 の 草 生 栽 培 )および 花 の 咲 く 景 観 植 物 等 である また 山 野 草 も 緑 肥 となる 野 菜 くず も 緑 肥 となるが 病 害 虫 の 発 生 を 抑 える 観 点 からは 堆 肥 化 して 用 いる 方 がよい 緑 肥 作 物 の 栽 培 期 間 は 表 1のとおりである 一 般 的 にはロータリー 耕 の 後 所 定 量 の 種 子 を 圃 場 全 体 に 散 播 する 播 種 量 が 少 ない 場 合 は 乾 いた 砂 や 肥 料 と 混 ぜて 散 粒 器 や 手 蒔 きによって 実 施 する 播 種 後 種 子 と 土 壌 を 軽 く( 浅 く) 攪 拌 し 覆 土 すると 発 芽 率 が 良 くなる 本 稿 では 水 田 において 肥 料 代 替 効 果 の 高 い レンゲす き 込 みについて 詳 解 する 1 レンゲの 栽 培 方 法 愛 媛 県 におけるレンゲの 播 種 適 期 は 9~10 月 である 10a 当 たり 3 kgの 種 子 を 水 稲 収 穫 前 の 落 水 期 に 水 田 全 面 に 散 播 するか 収 穫 後 に 耕 起 した 後 に 播 種 し 軽 く 上 土 を 攪 拌 するとよい 水 稲 収 穫 後 に 発 芽 したレンゲは 晩 秋 期 の 温 度 低 下 に 伴 って 生 育 が 停 止 するが 翌 年 春 季 の 温 度 上 昇 によって 旺 盛 に 生 育 し 4 月 に 開 花 5 月 に 種 子 が 充 実 するとともに 茎 葉 が 徐 々に 枯 死 してくる レンゲはマメ 科 植 物 であり 根 と 共 生 している 根 粒 菌 の 働 き( 空 中 窒 素 の 固 定 )により 窒 素 肥 料 の 施 用 を 必 要 としない 根 粒 菌 はリンを 固 定 できないため リン 酸 肥 料 を 施 用 するとレンゲの 収 穫 量 は 増 すが 通 常 の 水 田 においてはリン 酸 が 不 足 していることは 少 ないので リ ン 酸 を 無 施 肥 としても 10a 当 たり 生 草 重 で 4~5t 程 度 の 生 育 が 見 込 める レンゲ の 種 子 は 自 然 発 芽 が 旺 盛 であり 播 種 翌 年 の 水 稲 収 穫 前 の 落 水 時 から 再 び 発 芽 して くる したがって レンゲのすき 込 み 時 期 や 水 稲 の 水 管 理 の 工 夫 により 次 年 度 以 降 の 播 種 を 省 略 できるが 秋 季 に 発 芽 量 が 少 な 過 ぎる 場 合 は 再 度 播 種 する 必 要 があ る -12-12

2 レンゲの 利 用 方 法 レンゲの 利 用 は 乾 田 において 実 施 する 湿 田 ではレンゲの 分 解 が 順 調 に 進 まない ばかりか 土 壌 の 異 常 な 還 元 状 態 等 により 水 稲 の 根 に 障 害 を 与 える 危 険 性 が 高 い レンゲのすき 込 み 適 期 は 従 来 からレンゲの 開 花 期 と 言 われてきた レンゲの 窒 素 含 量 が 最 も 多 く 施 肥 窒 素 量 が 多 くなるためである しかし レンゲのすき 込 み 時 期 は 種 々の 要 因 で 制 約 される レンゲのすき 込 み 量 は 10a 当 たり 3~4t 程 度 でよい と 考 えられるが 水 稲 の 品 種 や 水 田 の 透 水 性 地 温 の 推 移 状 態 等 によって 異 なる 水 稲 は 品 種 や 栽 培 方 法 によって 田 植 時 期 が 大 きく 異 なる また 温 度 はレンゲの 生 育 の 早 晩 を 決 定 する レンゲの 収 量 もこれらの 条 件 により 地 域 差 や 年 度 間 差 が 生 じ る したがって 実 際 のレンゲ 施 用 に 際 しては 田 植 え 時 期 とすき 込 み 量 により すき 込 み 時 期 を 決 定 するのがよい また レンゲすき 込 みにおいて 重 要 なことは すき 込 み 量 により すき 込 みから 入 水 までの 間 隔 を 調 節 しなければならないことで ある 10a 当 たり 3~4t のレンゲを 施 用 する 場 合 は すき 込 み 3 週 間 後 に 入 水 する これよりレンゲの 量 が 多 い 場 合 は 余 分 なレンゲを 田 外 に 持 ち 出 し 他 の 水 田 に 施 用 するとよい 施 用 できる 田 や 労 力 上 の 制 約 があり レンゲをそのまま 元 の 水 田 に すき 込 む 場 合 は 入 水 までの 間 隔 を 長 くし 4 週 間 程 度 の 間 隔 を 取 る 必 要 がある すき 込 み 量 が 少 ない 場 合 (10a 当 たり 3t 以 下 )は 入 水 までの 間 隔 を2 週 間 程 度 と するのがよい レンゲすき 込 みから 入 水 までの 適 正 な 期 間 は ほかの 条 件 ( 稲 の 倒 伏 性 水 田 の 透 水 性 地 温 )もある 程 度 絡 んでくるので 農 家 自 ら 自 分 の 水 田 にあ った 最 適 期 間 を 見 つけ 出 していく 心 構 えが 必 要 である 6 月 上 中 旬 に 田 植 えを 行 う 場 合 は レンゲの 種 子 が 充 実 した 時 期 にすき 込 みができる レンゲ 栽 培 における 中 干 しの 効 果 は 報 告 によって 異 なり 功 罪 相 半 ばである 中 干 しを 行 うとレンゲの 自 然 発 芽 が 生 じるが その 後 の 入 水 により 枯 死 してしまう 種 子 の 充 実 を 待 ってレ ンゲをすき 込 み 中 干 しを 軽 めか 廃 止 した 場 合 は 水 稲 の 収 穫 期 にレンゲが 自 然 発 芽 してくるため 次 年 度 からレンゲを 播 種 する 必 要 がなくなる 経 費 削 減 の 観 点 か らは レンゲ 栽 培 に 労 力 と 金 をかけずに レンゲの 生 産 費 をゼロにしたいものであ る 水 稲 栽 培 においてレンゲを 利 用 する 場 合 基 肥 の 施 用 は 行 わないが 穂 肥 は 本 県 施 肥 基 準 並 に 施 用 するのが 原 則 である 過 去 においては レンゲすき 込 みに 関 する 報 告 の 中 に 基 肥 に 化 学 肥 料 あるいは 有 機 質 肥 料 の 施 用 を 行 うものもあった しか し 今 日 のレンゲすき 込 み 技 術 は 発 展 しており 基 肥 無 施 用 はもとより 穂 肥 の 削 減 あるいは 省 略 が 可 能 と 考 えられる 3 レンゲの 肥 効 レンゲは 乾 物 量 で 3% 程 度 の 窒 素 を 含 有 している 10a 当 たりレンゲの 茎 葉 重 ( 生 草 重 )で 3~4t すき 込 んだ 場 合 水 田 にすき 込 まれる 窒 素 量 は 10~15kg 程 度 とな る 西 南 暖 地 においては 地 上 部 の 30% 程 度 の 根 量 がある したがって レンゲによ って 持 ち 込 まれる 窒 素 量 はもっと 多 くなる 愛 媛 県 施 肥 基 準 による 水 稲 の 窒 素 施 用 -13-

量 は 10a 当 たり 10kg 前 後 であり,この 量 を 基 肥 と 穂 肥 としてほぼ 半 々に 分 けて 施 用 している レンゲすき 込 みにより 供 給 される 窒 素 量 は 十 分 である 田 植 え 後 から 中 干 し 期 直 前 までの 作 土 の 水 の 無 機 態 窒 素 含 量 (アンモニア 態 窒 素 )の 推 移 状 況 を 見 ると レンゲすき 込 み 区 の 方 が 化 学 肥 料 を 用 いた 区 より 高 くなる しかも レン ゲすき 込 み 区 のほうが 化 学 肥 料 区 より 1 週 間 程 度 長 く 無 機 態 窒 素 が 水 の 中 に 残 っ ている( 平 成 7~8 年 度 愛 媛 農 試 調 査 データ 省 略 ) レンゲを 土 壌 中 にすき 込 むと 微 生 物 による 分 解 が 速 やかに 進 む 畑 状 態 におい ては レンゲに 含 まれる 有 機 体 窒 素 が 分 解 され アンモニア 態 窒 素 を 経 て 硝 酸 態 窒 素 となる 硝 酸 態 窒 素 は 水 に 溶 けやすく 土 壌 の 保 持 力 も 弱 いため 入 水 にともな う 地 下 浸 透 によって 失 われる 従 来 レンゲすき 込 み 後 1か 月 で 入 水 していたが これでは 窒 素 の 損 失 が 大 きすぎる 一 方 入 水 までの 期 間 が 短 すぎると 未 分 解 の レンゲが 多 くなり 田 植 え 後 の 急 激 な 分 解 により 水 稲 の 根 に 障 害 を 与 える 危 険 性 が 高 くなる すき 込 み 量 によって 入 水 までの 期 間 が 変 わるのはこのためである 平 成 6~8 年 ( 愛 媛 農 試 )にかけて 実 施 した 試 験 においては レンゲすき 込 みだ けで 慣 行 栽 培 と 同 等 の 収 量 を 得 た また レンゲすき 込 み 区 においては 穂 肥 を 施 用 しないため 玄 米 の 窒 素 含 量 が 慣 行 栽 培 ( 化 学 肥 料 区 )よりも 少 なくなった 食 味 向 上 の 観 点 からは 玄 米 タンパク 含 量 が 少 ないことが 良 いとされており レンゲ 栽 培 米 のメリットになるものと 考 えられる レンゲを 緑 肥 として 利 用 する 場 合 は レン ゲによって 水 田 に 持 ち 込 まれる 窒 素 量 とその 持 続 時 間 ( 長 くすること)が 重 要 と 考 え レンゲ 種 子 が 充 実 する 時 期 を 待 ってすき 込 んだ レンゲの 播 種 は 初 年 度 のみと し それ 以 降 レンゲにかかる 経 費 はなかった レンゲの 導 入 に 際 しては 水 稲 の 生 育 状 況 をよく 観 察 し 経 験 を 積 み 重 ねることが 大 切 と 考 えられる なお レンゲを 連 年 すき 込 んでいると 土 壌 が 肥 えてくるので 水 稲 の 生 育 状 況 によっては 土 壌 診 断 を 活 用 しながら 3 年 目 からすき 込 み 量 を 減 じていくのが 得 策 である 3)その 他 の 堆 肥 動 植 物 質 の 有 機 質 物 を 腐 熟 させることなく そのまま 作 物 に 施 用 する 場 合 それ らの 資 材 は 有 機 質 肥 料 あるいは 緑 肥 と 呼 ばれる 窒 素 を 多 く 含 む 魚 かすや 植 物 油 かす 類 およびマメ 科 植 物 はそのまま 肥 料 として 用 いられることも 多 い しかし 窒 素 含 量 が 少 なく 炭 素 含 量 の 多 い 粗 大 有 機 物 等 をそのまま 大 量 に 施 用 すると 土 壌 微 生 物 の 繁 殖 のため 土 壌 中 の 無 機 態 窒 素 (アンモニア 態 窒 素 および 硝 酸 態 窒 素 ) が 使 われ 農 作 物 に 利 用 できない 有 機 体 窒 素 に 変 えられる そのため 施 肥 してい るにもかかわらず 作 物 は 窒 素 不 足 となる いわゆる 窒 素 飢 餓 を 生 じることとなる この 弊 害 をなくすために 炭 素 率 ( 炭 素 含 量 / 窒 素 含 量 )が 20 を 超 える 素 材 は 堆 肥 化 して 施 用 する 堆 肥 の 素 材 としては 稲 わら 麦 わら 籾 殻 ダイズ 殻 落 ち 葉 山 野 草 樹 木 の 剪 定 くず 等 身 近 にあるものが 使 える 完 熟 した 堆 肥 は 炭 素 率 が20 以 下 となっており 土 壌 中 に 大 量 に 施 用 しても 窒 素 飢 餓 を 生 じる 危 険 性 がない( 未 熟 堆 肥 は 危 険 ) 1 堆 肥 の 作 り 方 14

風 乾 物 の 窒 素 含 量 は 稲 わら 0.6% 麦 わら 0.5% 程 度 である 両 者 ともに 炭 素 率 が 高 く 稲 わら 50~60 麦 わら 60~80 くらいである ダイズ 殻 ( 茎 葉 )は 窒 素 含 有 率 1% 炭 素 率 も50 程 度 であるため わら -14- 類 に 比 べて 優 良 な 堆 肥 が 生 産 でき る 落 ち 葉 は 炭 素 率 50 ~ 70 である これらの 有 機 質 資 材 は 炭 素 率 が 高 いため 単 独 で 堆 肥 にするには 長 い 期 間 を 必 要 とする 半 年 程 度 で 堆 肥 化 を 完 了 するには 堆 肥 作 りにおける 原 則 がある 炭 素 率 の 高 い 資 材 には 窒 素 を 添 加 してやり 炭 素 率 を40 程 度 に 調 整 する このことにより 資 材 を 分 解 する 微 生 物 の 繁 殖 を 促 進 できる 堆 肥 化 に 関 わる 微 生 物 は 数 多 くあり これらの 微 生 物 の 繁 殖 を 促 進 するために 水 分 の 補 給 と 空 気 量 の 調 節 (ふみ 込 み)は 重 要 な 作 業 である また 均 質 な 堆 肥 の 作 成 と 適 正 な 温 度 管 理 による 堆 肥 の 腐 熟 促 進 のため 切 り 返 し 作 業 を 実 施 する これら の 事 柄 に 配 慮 しながら 身 近 な 所 にある 有 機 質 資 材 を 用 いた 堆 肥 作 りが 可 能 である 今 日 においては 堆 肥 化 に 際 して 窒 素 供 給 源 として 硫 安 石 灰 窒 素 尿 素 等 の 化 学 肥 料 が 用 いられる 有 機 農 法 の 観 点 からは 化 学 肥 料 を 用 いることができないため 昔 から 行 われている 窒 素 供 給 源 として 家 畜 糞 尿 を 添 加 する 方 法 を 記 述 する (わら 類 ) 仮 積 み: 収 穫 後 の 稲 わらを 同 量 の 牛 ふんと 混 ぜて1か 月 程 度 積 んでおく 本 積 み: 木 枠 を 利 用 し 稲 わらと 牛 糞 を 交 互 に 積 んでゆく 方 法 である 枠 内 の 最 下 層 は 厚 さ 20cm 程 度 に 土 を 盛 り 堆 肥 からしみ 出 る 汁 液 を 吸 い 取 らせる その 上 に 仮 積 み 堆 積 物 と 新 鮮 な 牛 糞 ( 半 々)を 10~15cm の 厚 さに 積 み さらに その 上 に 稲 わらを30cmくらい 積 み 込 む この 作 業 を2mくらいまで 繰 り 返 してゆく 一 層 毎 に 資 材 から 少 ししみ 出 る 程 度 に 水 をかけて 踏 み 込 む 最 上 部 はムシロなどで 覆 っ ておく 切 り 返 し:1 週 間 程 度 で 発 熱 してくる 水 をかけて 温 度 の 上 がりすぎを 抑 えて 窒 素 の 揮 発 による 損 失 を 防 ぐ 1 週 間 くらい 発 熱 が 続 き その 後 に 温 度 が 低 下 して きた 所 で 切 り 返 しを 行 う 切 り 返 しによって 好 気 性 菌 の 働 きがふたたび 活 発 になる 1 週 間 後 に 発 熱 してくるので 堆 積 物 からしみ 出 る 程 度 に 水 をかける 発 熱 後 1 週 間 ほどで 温 度 が 下 がり 安 定 する 3~4か 月 後 に 完 熟 堆 肥 ができあがる 本 県 においては1950 年 代 まで 使 役 用 に 牛 を1 頭 飼 う 農 家 が 多 かった 稲 わらは 畜 舎 内 で 敷 材 として 用 いられ 数 週 間 に 一 度 搬 出 された 畜 舎 から 搬 出 された 稲 わ ら( 麦 わら)と 糞 尿 の 混 和 物 と 籾 がらを 交 互 に 層 状 に 堆 積 して 行 くと 優 良 な 堆 肥 ができあがった 堆 積 物 は 木 枠 を 用 ることは 少 なかったが 崩 れることはなかった 堆 肥 の 作 成 要 領 は 稲 わら 堆 肥 に 順 していた 麦 わらは 稲 わらより 炭 素 率 が 高 く 稲 わらに 比 べて 堆 肥 化 に 時 間 を 要 するが 稲 わらに 準 じた 方 法 で 堆 肥 化 できる 一 方 ダイズ 殻 は 稲 わらより 炭 素 率 が 低 く 堆 肥 化 が 容 易 であり 稲 わらより 窒 素 成 分 の 観 点 から 優 良 な 堆 肥 が 作 れると 言 われている わら 類 に 乾 燥 鶏 糞 (N3~4%)や 米 ぬか(N0.5%)を 添 加 し 炭 素 率 を40にす ることができる 緑 肥 は 炭 素 率 が15くらいであり 稲 わらに 半 々に 混 ぜるとこれ 以 外 に 窒 素 源 を 加 える 必 要 がなくなる 山 野 草 はわら 類 に 比 べて 窒 素 含 量 が 多 く 堆 -15-

積 しておくだけで 半 年 程 度 で 堆 肥 化 できる 庭 木 や 街 路 樹 の 剪 定 くずは 窒 素 源 を 添 加 すると 容 易 に 堆 肥 化 する また 枝 葉 のみの 堆 積 で 堆 肥 化 が 可 能 であるとの 試 験 報 告 もある 2 堆 肥 作 りの 場 所 堆 肥 作 りは 野 積 みで 行 わない 堆 積 物 を 降 雨 に 当 てると 堆 肥 中 の 養 分 損 失 を 招 く ばかりか 流 失 成 分 による 環 境 負 荷 が 懸 念 される 良 質 堆 肥 を 作 るためには 堆 肥 舎 か 簡 易 な 雨 よけ 施 設 ( 農 舎 ビニルハウス 等 )を 用 いる 屋 外 で 堆 肥 を 作 る 場 合 は 地 面 をコンクリートで 舗 装 し 堆 肥 から 流 れ 出 す 汁 液 を 収 集 する 構 造 にするとと もに 堆 肥 を 防 水 シートで 覆 い 雨 水 の 浸 入 を 防 ぐ 必 要 がある このような 条 件 下 において 養 分 含 量 の 高 い 優 良 堆 肥 が 生 産 できる 3 堆 肥 の 利 用 方 法 窒 素 の 大 部 分 は 有 機 体 であるため 速 効 性 は 期 待 できない 初 年 度 には 約 30%しか 作 物 に 利 用 されないが 肥 効 は 長 続 きする リン 酸 含 量 は 少 ないが 作 物 に 利 用 され やすく リン 酸 が 欠 乏 している 圃 場 では 効 果 が 高 い 加 里 は 大 部 分 が 可 溶 性 であり 速 効 性 がある ケイ 酸 を 多 く 含 むため 水 稲 に 対 する 施 用 効 果 が 高 い 乾 田 では 多 量 に 施 用 できるが 湿 田 では 還 元 状 態 が 強 いため 少 ない 施 用 量 にとどめる 畑 地 では 作 物 の 種 類 や 土 性 によって 施 用 量 を 加 減 する 増 収 と 品 質 向 上 ( 特 に 糖 度 を 重 要 視 する 温 州 ミカン 等 の 果 実 類 )の 観 点 からは 適 正 施 用 量 が 異 なる 速 効 性 の 高 い 化 学 肥 料 と 異 なり 堆 肥 類 は 窒 素 量 のコントロールが 難 しいためである また 堆 肥 と いえども 過 剰 投 入 は 環 境 負 荷 の 原 因 となる 堆 肥 類 の 施 用 に 際 しては 多 くの 要 因 が 働 くために 各 県 によって 堆 肥 の 施 用 基 準 量 に 差 がみられる これらの 施 肥 基 準 は 多 くの 場 合 化 学 肥 料 と 堆 肥 の 併 用 を 前 提 としている 有 機 栽 培 においては 有 機 質 -16-

肥 料 と 堆 肥 の 併 用 が 合 理 的 と 考 えられる したがって 本 県 施 肥 基 準 における 堆 肥 の 適 正 施 用 量 が 有 機 栽 培 においても 参 考 になると 考 えられる 水 田 は 半 年 近 く 水 を 張 っており 畑 地 に 比 べて 酸 素 の 供 給 量 が 少 なく 土 壌 有 機 物 ( 腐 植 )の 消 耗 は 少 ない しかし 化 学 肥 料 だけで 水 稲 を 栽 培 していると 地 力 の 消 耗 は 明 らかである 特 に 化 学 肥 料 による 多 肥 栽 培 を 行 った 場 合 に 地 力 の 消 耗 が 大 きくなる 土 壌 の 理 化 学 性 や 生 物 性 によって 消 耗 する 腐 植 量 は 異 なるが 平 均 と して 年 間 2%の 消 耗 が 見 込 める 作 物 の 生 育 にとって 好 適 な 腐 植 含 量 は5% 程 度 と いわれている 仮 比 重 を1として 地 表 から10cmの 土 壌 の 重 量 は10a 当 たり100t 腐 植 含 量 は5tとなる その2%は100kgとなり 稲 わら 堆 肥 に 換 算 して1t 程 度 とな る 愛 媛 県 は 西 南 暖 地 にあり 腐 植 の 消 耗 は 大 きいと 考 えられる したがって 地 力 増 進 あるいは 維 持 の 観 点 から 有 機 質 肥 料 と 併 用 して 10a 当 たり 1t 以 上 の 稲 わ ら 堆 肥 を 施 用 するがよいと 考 えられる なお 水 田 における 堆 肥 の 施 用 適 期 は 春 季 の 耕 起 時 である 堆 肥 は 肥 料 に 比 べて 施 用 量 が 多 く 人 力 による 堆 肥 散 布 は 重 労 働 である 今 日 労 働 強 度 の 軽 減 をねらいとしたペレット 堆 肥 が 開 発 されている 今 後 の 試 験 研 究 結 果 が 待 たれるが ペレット 堆 肥 の 特 長 は 平 坦 地 はもとより 傾 斜 地 においても 機 械 化 散 布 が 可 能 と 見 込 まれている 家 畜 糞 尿 等 をベースに 窒 素 その 他 の 養 分 含 量 の 高 い 原 料 を 配 合 しペレット 化 したものを 利 用 し 施 肥 と 堆 肥 散 布 を 兼 ねあわせた 省 力 施 肥 が 注 目 されている 4 堆 肥 の 肥 効 土 壌 の 肥 沃 度 の 向 上 : 原 料 や 堆 肥 の 作 り 方 が 異 なるため 庭 先 で 作 った 堆 肥 は 農 家 によって 養 分 含 量 が 異 なる 稲 わら 堆 肥 は 通 常 窒 素 0.3% リン 酸 0.2% 加 里 0.7 %を 含 有 している 堆 肥 は 窒 素 リン 酸 加 里 等 の3 大 要 素 をはじめ 各 種 の 微 量 要 素 を 含 んでおり 完 全 肥 料 といわれている 化 学 肥 料 はこのように 多 数 の 成 分 を 含 んだものは 開 発 されていない 化 学 肥 料 や 有 機 質 肥 料 に 比 べて 堆 肥 類 の 養 分 含 有 率 は 少 ないが 分 解 が 穏 やかで 徐 々に 養 分 を 放 出 するため 多 量 に 施 用 すること ができる したがって 長 期 に 渡 り 優 れた 肥 料 効 果 が 期 待 できる 堆 肥 を 施 用 する と 土 壌 腐 植 含 量 が 高 まる 砂 質 土 に 比 べて 粘 土 は 保 肥 力 が 強 いが 土 壌 腐 植 は 粘 土 よりさらに 保 肥 力 が 強 い したがって 砂 質 土 においては 堆 肥 施 用 により 保 肥 力 が 向 上 し 水 稲 はもとより 野 菜 や 果 樹 への 好 影 響 が 期 待 できる また 堆 肥 自 体 は 硫 酸 根 等 の 酸 性 物 質 を 含 まず 土 壌 を 酸 性 化 することが 少 ないうえに 土 壌 の 緩 衝 能 を 高 めるため 土 壌 の 酸 性 化 を 抑 えることができる 土 壌 ph は 根 による 土 壌 養 分 の 吸 収 を 考 える 時 非 常 に 大 切 なものであり 土 壌 ph( 水 浸 出 )は 通 常 6ぐらい がよい 土 壌 の 物 理 性 改 善 : 堆 肥 を 施 用 すると 土 壌 の 腐 植 含 量 が 高 まる 収 量 の 観 点 から は5% 程 度 の 腐 植 含 量 が 好 ましいと 考 えられるが 愛 媛 県 下 において 腐 植 含 量 5% を 満 たしている 圃 場 は 少 ない 土 壌 腐 植 は 土 壌 の 粒 子 をつなぎ 合 わせて 団 粒 構 造 とする 働 きがある 土 壌 が 団 粒 構 造 となると 養 水 分 の 補 給 と 過 剰 な 水 の 排 出 ( 酸 17

素 補 給 )が 速 やかとなる 団 粒 構 造 の 土 は 土 壌 が 膨 軟 となり 植 物 根 の 伸 張 が 容 易 と なる この 働 きは 粘 質 土 の 改 善 において -17- 重 要 である また 腐 植 の 増 加 に 伴 って 土 壌 が 黒 色 を 帯 びてくるため 太 陽 熱 の 吸 収 が 容 易 となる 春 先 の 地 温 上 昇 が 速 やか となり 春 作 野 菜 の 基 肥 やカンキツ 類 の 春 肥 の 吸 収 率 が 高 まる 土 壌 の 生 物 性 改 善 : 堆 肥 を 施 用 すると 土 壌 の 有 益 な 微 生 物 やミミズなどの 小 動 物 が 多 くなる 化 学 肥 料 はもとより 有 機 質 肥 料 や 緑 肥 も 微 生 物 の 働 きによって 分 解 が 進 行 する 有 機 体 窒 素 は 作 土 層 が 還 元 状 態 に 保 たれる 水 田 ではアンモニア 態 窒 素 酸 素 の 供 給 される 畑 地 や 果 樹 園 では 硝 酸 態 窒 素 となる これらの 働 きに 関 与 する 細 菌 はアンモニア 化 成 菌 や 硝 酸 菌 である 土 壌 の 酸 性 化 が 進 行 するとこれらの 細 菌 数 は 減 少 し 働 かなくなる 堆 肥 の 効 果 はこれまで 述 べてきたとおりであるが それぞれの 項 目 が 絡 み 合 って 総 合 的 に 作 用 する 場 合 が 多 い 化 学 肥 料 が 普 及 する 以 前 は 下 肥 や 一 部 の 有 機 質 肥 料 とともに 堆 肥 が 水 稲 その 他 の 農 作 物 の 生 産 をになっていた 事 実 がある 今 後 と も 身 近 にある 有 機 質 資 材 を 用 い 堆 肥 化 を 図 り 安 全 な 農 業 を 実 践 したいものである 4) ぼかし 肥 料 有 機 質 肥 料 を 多 量 に 土 壌 に 施 用 すると 急 激 な 分 解 に 伴 う 酸 素 欠 乏 ( 植 物 根 の 障 害 )や 有 害 物 質 の 発 生 ( 発 芽 阻 害 ) 施 設 栽 培 に 置 けるアンモニアガス 発 生 (ガス 障 害 ) の 危 険 性 がある 有 機 質 肥 料 の 分 解 は 地 温 や 土 壌 水 分 含 量 の 影 響 を 受 けやす く ハエなどの 害 虫 発 生 の 恐 れもある ぼかし 肥 料 はこのよう 弊 害 を 回 避 するため に 有 機 資 材 を 熟 成 させた 肥 料 であり 以 前 から 農 家 によって 作 られていた 今 日 ぼ かし は 各 肥 料 メーカーから 市 販 されている 菜 種 油 かすや 米 ぬか 等 を 他 の 資 材 と 混 和 し 適 切 な 水 分 管 理 のもとで 堆 積 し 乳 酸 菌 や 酵 母 菌 の 働 きによって 発 酵 させ たものである ぼかしに 用 いられる 材 料 は 下 表 のとおりである これらの 有 機 質 肥 料 に 等 量 の 土 や 木 炭 を 加 え 混 和 しながら 水 をかける この 作 業 を 繰 り 返 して 堆 積 してゆく 水 分 含 量 は 50~55% が 適 当 であり 手 で 資 材 を 握 り 固 めて 割 れるくらいがよい 防 水 シ トかむしろをかけて 堆 積 物 の 表 面 を 覆 う 資 材 を 40~50 で 発 酵 させ 温 度 が 50 を 超 えた 時 に 切 り 返 しを 行 い 温 度 を 下 げる 温 度 が 上 がりすぎると 有 用 な 微 生 物 が 死 滅 して 窒 素 の 気 散 を 生 じて 肥 料 価 値 を 損 なう 資 材 の 温 度 を 把 握 す るため 表 面 から 10cm の 深 さに 温 度 計 を 差 し 込 んで 堆 積 物 の 温 度 を 計 ると 便 利 で ある 化 学 肥 料 を 用 いると ぼかし 肥 料 や 有 機 質 肥 料 に 比 べて 比 較 的 安 価 に 窒 素 成 分 を 土 壌 に 供 給 できる しかし 施 肥 窒 素 量 が 多 過 ぎる 場 合 は 環 境 負 荷 の 要 因 となり やすい 化 学 肥 料 の 中 には 副 成 分 として 硫 酸 根 を 含 んでいたり 土 壌 のカルシウム やマグネシウムの 流 亡 を 促 進 するものがある その 結 果 土 壌 の 酸 性 化 が 生 じ 作 物 の 生 育 に 悪 影 響 を 与 えることがある 石 灰 類 を 施 用 して 酸 度 改 良 を 行 うが 土 壌 ph を 適 正 に 維 持 するには 技 術 を 要 する ぼかし 肥 料 は 堆 肥 類 に 似 た 効 果 ( 化 学 性 物 理 性 および 生 物 性 )があり 植 物 の 根 や 環 境 に 優 しい 肥 料 である 材 料 が 有 機 質 肥 18

料 であり 粗 大 有 機 物 を 利 用 した 堆 肥 に -18- 比 べ 窒 素 含 量 が 多 く 肥 効 が 高 い 堆 肥 類 に 比 べ 速 効 性 であり 肥 効 は 100 日 程 度 とされている ぼかし 肥 料 は 有 機 質 肥 料 の もつ 生 育 阻 害 物 質 の 分 解 とガス 発 生 量 の 削 減 養 分 のある 程 度 の 可 溶 化 ( 初 期 の 肥 効 を 高 める) 有 機 質 肥 料 の 分 解 に 伴 う 中 間 生 成 物 や 微 生 物 が 分 泌 するアミノ 酸 核 酸 ビタミンおよびホルモンによる 生 理 的 効 果 が 期 待 される また 有 機 物 の 分 解 過 程 で 増 殖 する 有 用 微 生 物 による 生 育 促 進 や 病 害 抑 制 効 果 があると 考 えられる ぼかし 肥 料 は 経 費 的 には 高 価 な 肥 料 であり 基 肥 や 追 肥 として 使 用 できるが 基 肥 では 溝 施 用 追 肥 では 局 所 施 用 として 効 率 よく 肥 料 成 分 を 作 物 に 吸 収 させることが 重 要 である 各 農 作 物 に 対 する 施 肥 量 ( 施 肥 成 分 量 )は 本 県 施 肥 基 準 を 参 照 する 5) 有 機 質 肥 料 の 特 徴 有 機 質 肥 料 は 動 植 物 の 一 部 あるいは 処 理 かすである 先 述 のとおり 有 機 質 肥 料 の 欠 点 を 改 善 したぼかし 肥 料 の 原 料 になる 場 合 もあるが 大 部 分 はそのまま 利 用 される 有 機 質 肥 料 は5 大 要 素 (N P₂O₅ K₂0 CaO MgO) 以 外 に 微 量 要 素 を 含 んでおり 肥 効 は 比 較 的 速 効 性 のものから 遅 効 性 のものまで 幅 が 広 い 化 学 肥 料 に 比 べて 根 に 穏 やかに 働 き 濃 度 障 害 が 起 きにくい 土 壌 の 化 学 性 物 理 性 および 生 物 性 改 善 効 果 がぼかし 肥 料 と 同 様 に 期 待 できる また 肥 効 はぼかしに 準 じたものと 考 えられ るが 有 機 質 肥 料 の 種 類 は 多 く 肥 料 成 分 量 も 産 地 や 肥 培 管 理 処 理 方 法 によって 様 々である 窒 素 の 無 機 加 速 度 も 材 料 の 種 類 とともに 地 温 や 水 分 含 量 の 影 響 を 受 けて 変 わる したがって 栽 培 する 作 物 や 栽 培 体 系 および 圃 場 条 件 等 を 考 慮 して 施 用 する 必 要 がある 植 物 質 肥 料 としては 多 くは 植 物 油 かす 類 であり 動 物 質 肥 料 としては 魚 かす 類 が 多 いが 肉 骨 粉 等 もある 本 稿 では 入 手 しやすい 油 かす 類 と 魚 かすについて 説 明 する 1 油 かす 類 種 子 から 油 をしぼった 後 の 残 渣 を 総 称 して 油 かすと 言 う 菜 種 油 かす 米 ぬか 油 -19-

かす 大 豆 油 かす ワタ 実 油 かす ヒマ 子 油 かす ラッカセイ 油 かす ゴマ 油 かす 等 である 太 平 洋 戦 争 以 前 は 魚 かすとともに 販 売 肥 料 の 主 要 なものであった 窒 素 が 主 要 な 成 分 であり その 形 態 は 主 としてタンパク 態 である リン 酸 はフィチンの 形 態 をしており 加 里 の 大 部 分 は 水 溶 性 である 油 かす 類 の 肥 効 発 現 の 早 さは 種 類 の 違 いによる 差 が 少 なく 一 般 的 に 魚 かす 類 より 肥 効 の 発 現 が 遅 い 条 件 が 良 けれ ば 窒 素 の 無 機 化 は1か 月 で 終 了 し 即 効 的 な 肥 効 の 発 現 が 期 待 できる 硫 安 の70 %の 窒 素 利 用 率 と 考 えられる リン 酸 は 遅 効 性 であり リン 酸 含 量 そのものが 少 な いのでリン 酸 肥 料 としての 効 果 は 低 い 加 里 は 水 溶 性 であり 速 効 性 であるが 含 量 がリン 酸 よりも 少 ない したがって リン 酸 および 加 里 については 両 成 分 含 量 の 高 い 家 畜 糞 尿 や 有 機 質 肥 料 との 併 用 が 必 要 である 油 かす 類 はわずかではあるがカ ルシウム マグネシウムおよび 微 量 要 素 を 含 んでおり 作 物 に 好 影 響 を 与 える 分 解 が 比 較 的 緩 やかなので 施 肥 量 を 多 く 必 要 とする 施 設 栽 培 にも 向 いている 有 機 栽 培 によって 収 穫 された 農 作 物 は 食 味 や 外 観 品 質 ( 着 色 や 日 持 ち)がよいと いわれる この 事 に 関 し 森 は 低 窒 素 濃 度 と 低 水 分 が 相 まって 収 穫 物 の 糖 度 やビタ ミン 含 有 量 を 増 すとしている 土 壌 の 低 窒 素 濃 度 は 環 境 保 全 上 有 利 なことと 考 え られるが 収 量 確 保 の 観 点 からは 減 収 に 注 意 する 必 要 がある 油 かす 類 の 施 用 にお いて 野 菜 の 外 観 と 収 量 に 与 える 影 響 に 関 する 事 例 を 紹 介 すると 下 表 のとおりであ る -20-

2 魚 かす イワシ ニシン タラ 雑 魚 等 を 原 料 としており 窒 素 7~10% 全 リン 酸 4~9 % 加 里 1% 前 後 を 含 んだ 物 が 多 い 魚 かすの 分 解 は 比 較 的 速 やかで 速 効 性 の 化 学 肥 料 に 近 い 肥 効 を 現 し 基 肥 および 追 肥 としても 適 している 畑 作 物 は 通 常 硝 酸 態 窒 素 を 好 んで 吸 収 する 魚 かすから 無 機 化 したアンモニア 態 窒 素 の90%は2 週 間 後 に 硝 酸 態 窒 素 となるが 施 用 量 が 多 すぎた 場 合 は 硝 化 速 度 が 遅 くなり 農 作 物 の 品 質 低 下 を 招 くので 施 肥 基 準 量 を 守 る 必 要 がある 魚 かすは 化 学 肥 料 に 比 べ 団 粒 を 形 成 する 働 きが 強 く 透 水 性 の 改 善 効 果 もある また 魚 かすを 毎 年 連 用 して いると 土 壌 が 肥 沃 になってくる 水 稲 や 小 麦 にいわしかすを 施 用 すると 収 量 にお いて 数 年 間 は 化 学 肥 料 ( 硫 安 )にやや 劣 たが その 後 増 収 傾 向 となった カンキツ 類 の 夏 肥 に 魚 かすを 施 用 する 場 合 は 施 用 時 期 を 化 学 肥 料 より1 週 間 程 度 早 くすると ともに 施 用 過 多 を 避 け 窒 素 の 遅 効 きを 防 止 する 水 田 では 魚 かすの 分 解 が 畑 状 態 より 遅 く 施 肥 過 多 や 追 肥 時 期 により 倒 伏 が 生 じ 易 くなる 魚 かすは 種 子 の 発 芽 抑 制 物 質 は 含 まれていないようであるが 一 度 に 多 量 施 用 すると 分 解 によっ て 発 生 する 有 機 酸 による 発 芽 や 初 期 生 育 の 阻 害 があると 言 われている 魚 かすは 保 管 時 や 表 面 施 用 に 際 してはカラスやネズミ 等 の 鳥 獣 害 に 注 意 する 必 要 がある 肥 料 養 分 の 観 点 からは 加 里 成 分 が 少 ないため 家 畜 糞 尿 の 施 用 や 他 の 有 機 質 肥 料 による 加 里 の 補 給 を 考 える 必 要 がある -21-

6) 果 樹 の 土 づくり 果 樹 が 健 全 な 樹 勢 と 生 産 性 を 維 持 するためには 土 づくり が 必 要 である 土 づ くり とは 根 が 伸 びやすく 養 水 分 を 吸 収 しやすいように 土 壌 の 化 学 性 や 物 理 性 を 改 善 することである 本 項 では 果 樹 園 の 土 壌 改 良 について 解 説 する (1) 化 学 性 の 改 善 1 土 壌 phと 樹 体 の 反 応 果 樹 に 限 らず 作 物 の 生 育 は 土 壌 の ph( 酸 ア ルカリの 程 度 )の 影 響 を 大 きく 受 ける 土 壌 が 酸 性 化 するとカルシウム マグネシウム カリウム などの 塩 基 が 少 なくなり 逆 に 水 溶 性 のマンガンが 増 加 する このため カンキツ 樹 ではマグネシウム の 欠 乏 症 やマンガンの 過 剰 症 ( 図 1)が 発 生 するこ とがあり 症 状 が 進 むと 著 しい 落 葉 を 引 き 起 こす 場 合 がある 土 壌 の 酸 性 化 は 根 群 の 伸 長 にも 影 響 を 及 ぼし 酸 性 化 が 進 むとともに 細 根 量 が 減 少 する( 図 2) また ph が 5 以 下 になるとアルミニウムイオン が 急 激 に 増 えてリン 酸 を 固 定 ( 根 が 吸 収 できない 状 態 )してしまうため リンの 肥 効 が 低 下 することも 知 られている このように 土 壌 の 酸 性 化 は 根 群 の 発 達 を 妨 げ 樹 体 内 の 栄 養 分 の 過 不 足 を 引 き 起 こす 要 因 となる 図 1 マグネシウム 欠 乏 症 ( 左 )とマンガン 過 剰 症 ( 右 )( 山 田 原 図 ) 図 2 土 壌 ph とミカンの 細 根 量 表 1 樹 種 別 好 適 ph 2pHの 矯 正 方 法 化 学 性 の 改 善 とは 土 壌 のpHを 表 1に 示 す 各 樹 種 の 好 適 値 内 に 入 るように 矯 正 することである そのために は 土 壌 分 析 を 行 って 自 園 の 土 壌 phの 状 態 を 把 握 する ことが 必 要 になる 一 般 的 な 露 地 栽 培 の 果 樹 園 では 土 壌 がアルカリ 化 (ph7 以 上 )していることは 極 めて 稀 であり 多 くは 酸 性 化 傾 向 を 示 している 酸 性 化 した 土 壌 を 改 善 するには 石 灰 質 資 材 を 施 用 する 資 材 の 施 用 量 を 正 確 に 求 めるためには 緩 衝 曲 線 ( 愛 媛 県 施 肥 基 準 ) 法 を 用 いる これは 対 象 となる 土 壌 にアルカリ 剤 ( 水 酸 化 ナトリウムなど)を 数 段 階 に 分 けて 添 加 し その phを 測 定 して 中 和 曲 線 を 求 め 矯 正 したい 値 までpHを 上 げるのに 必 要 な 石 灰 質 資 材 の 量 を 算 出 する 方 法 である この 方 法 は 土 壌 条 件 に 応 じた 資 材 の 施 用 量 が 得 られるが 22-

操 作 が 煩 雑 である 表 2 矯 正 苦 土 石 灰 量 大 まかな 資 材 施 用 量 の 目 安 は 表 2 のとおりであ る これは 苦 土 石 灰 の 施 用 量 を 示 したものである ため 実 際 に 施 用 する 資 材 に 記 載 されているアル カリ 分 ( 度 )に 応 じて 量 を 加 減 する 必 要 がある 表 中 の 低 CEC 土 壌 とは 花 崗 岩 和 泉 砂 岩 などを 母 材 とする 地 力 の 低 い 土 壌 高 CEC 土 壌 は 結 晶 片 岩 などを 母 材 にする 地 力 の 高 い 土 壌 を 示 している ( 愛 媛 県 施 肥 基 準 ) なお 石 灰 質 資 材 は 土 壌 の 下 層 への 移 行 が 悪 いため 施 用 後 に 土 壌 と 混 和 することが 望 ましい (2) 物 理 性 の 改 善 1 有 機 物 の 投 入 物 理 性 の 改 善 とは 土 壌 の 通 気 性 透 水 性 さらに 保 水 性 を 良 好 にして 根 が 伸 びやすい 土 壌 に 改 良 することである そのためには 土 壌 に 堆 肥 などの 有 機 物 を 入 れて 腐 植 を 増 やす ことが 基 本 となる 腐 植 は 有 機 物 が 微 生 物 な どによって 分 解 される 過 程 で 作 られる 物 質 で 土 壌 の 微 細 な 粒 子 同 士 をくっ 付 ける 糊 の 役 割 を 果 たす このため 土 壌 の 団 粒 化 が 進 み 通 気 性 や 保 水 性 が 良 くなって 土 壌 が 膨 軟 になる また 腐 植 は 肥 料 成 分 を 保 持 する 力 が 強 いため 土 の 保 肥 力 が 向 上 する など 化 学 性 にも 好 影 響 を 及 ぼす 作 用 がある 労 働 性 の 悪 い 傾 斜 地 果 樹 園 における 堆 肥 の 施 用 は 地 表 面 施 用 が 精 一 杯 で 土 壌 との 混 和 作 業 を 行 うこと は 容 易 ではない しかし 地 表 面 への 施 用 だけでも 長 年 連 用 することによって カンキツ 樹 の 主 根 域 層 であ る 25 cm 層 ( 細 根 は 大 部 分 が 0~30 cm 以 内 に 分 布 )まで C EC( 保 肥 力 の 目 安 )の 増 大 がみられ( 図 3) 細 根 量 の 増 加 が 認 められる( 図 4) 2 有 機 物 の 施 用 量 土 壌 改 良 を 目 的 と して 堆 肥 類 を 施 用 す る 場 合 の 投 入 量 は 表 3を 目 安 にする 例 えば 温 州 ミカン 園 を 対 象 にオガクズ 牛 ふん 堆 肥 を 施 用 する 際 は2~3t/10a 程 表 3 堆 肥 類 の 施 用 量 図 3 堆 肥 の 地 表 面 施 用 と CEC ( 施 用 9 年 度 岩 本 より 作 図 ) TEKIYOU 図 4 有 機 物 施 用 と 細 根 分 布 ( 処 理 9 年 度 赤 松 ら) TEKIYOU ( 愛 媛 県 施 肥 基 準 ) 23-

度 に 止 める 落 葉 果 樹 の 施 用 量 は 中 晩 生 カンキツに 準 ずる 施 用 時 期 は 収 穫 直 後 から 春 先 までが 望 ましい 3 軽 量 な 堆 肥 本 県 で 流 通 している 一 般 の 堆 肥 は 水 分 率 が 50% 前 後 あり 重 量 の 割 に 体 積 が 大 き い 急 傾 斜 地 の 多 い 本 県 では かさばる 堆 肥 の 園 内 への 搬 入 や 施 用 に 多 大 な 労 力 を 要 している このような 状 況 の 中 数 年 前 から 県 内 ではペレット 化 された 堆 肥 が 販 売 され 始 め 徐 々に 注 目 を 集 めている 堆 肥 ペレットは 重 量 約 0.5g FW/ 個 直 径 6 mm 程 度 の 円 柱 形 であ り 水 分 率 が 約 15% と 少 ない このため 堆 肥 ペレットは 一 般 堆 肥 より 現 物 投 入 量 を 約 40% 削 減 しても 一 般 堆 肥 と 同 程 度 の 乾 物 投 入 量 を 得 ること 図 5 堆 肥 ペレット( 左 )とペレットの 機 械 散 布 状 況 ( 右 ) ができる また ペレット 状 のため1~3 樹 列 毎 に 園 内 作 業 道 が 整 備 されている 園 で は 機 械 散 布 も 可 能 である( 図 5) 4 堆 肥 類 の 投 入 と 施 肥 量 削 減 堆 肥 類 は 肥 料 成 分 の 含 有 率 こそ 低 いものの 土 壌 改 良 を 目 的 として 施 用 された 場 合 は その 量 が 数 t/10a と 多 いだけに 園 内 に 多 量 の 堆 肥 由 来 の 肥 料 成 分 が 投 入 される ことになる このため 堆 表 4 堆 肥 等 1t 当 たりの 減 肥 量 肥 類 を 施 用 した 状 態 で 通 常 量 の 施 肥 を 行 うと 園 内 に は 必 要 以 上 の 肥 料 成 分 が 投 入 されることになる そこ で 堆 肥 類 を 施 用 した 場 合 は 表 4を 参 考 に 施 肥 量 を 削 愛 媛 県 原 油 資 材 高 騰 対 策 推 進 班 編 肥 料 高 騰 対 策 マニュアル 減 することが 可 能 である 本 表 は 堆 肥 を1t 施 用 した 場 合 における 施 肥 成 分 の 削 減 可 能 量 の 目 安 を 示 している 5 改 植 ( 新 植 ) 時 の 土 壌 改 良 深 耕 は 機 械 を 利 用 できない 場 合 多 大 な 時 間 と 労 力 を 要 し しかもカンキツ 類 など の 密 生 した 成 木 園 ではかなり 実 施 しにくい 作 業 である また 植 栽 樹 の 真 下 の 土 壌 改 良 を 行 うことは 不 可 能 で ある このため 下 層 土 の 土 壌 改 良 は 実 施 しやすい 改 植 時 に 行 う 方 が 効 率 的 である 植 穴 は 図 6の 例 のよう に 40~50cm 程 度 掘 り 下 層 にせん 定 クズやワラ 刈 草 等 の 粗 大 有 機 物 を 入 れ 堆 肥 類 や 石 灰 などの 土 壌 改 良 材 と 土 壌 をよく 混 和 してから 定 植 する 植 穴 の 直 径 は 広 い 程 よい 定 植 前 に 一 度 深 耕 と 深 い 土 層 への 有 機 物 投 入 を 行 えば その 効 果 は 長 期 間 継 続 し 樹 体 生 育 が 良 好 になって 収 量 も 増 加 することが 知 られている 24- 図 6 植 穴 の 例

(3) 草 の 利 用 図 7はマメ 科 のウマゴヤシ 草 生 を 始 めてから10 年 後 に 調 査 した 土 壌 の 塩 基 置 換 容 量 (CEC) を 示 している 草 生 区 の 土 壌 は 裸 地 区 に 比 べて 著 しく 保 肥 力 が 高 まってい ることが 理 解 できる 草 生 栽 培 は 園 外 から 堆 肥 などの 有 機 物 を 投 入 できない 場 合 で も 園 内 で 勝 手 に 有 機 物 を 作 り それを 再 び 土 壌 に 還 元 することができる そして 草 生 を 長 年 続 けると 園 内 への 有 機 物 の 補 給 が 続 き 土 壌 は 腐 植 に 富 み 深 い 層 まで 腐 植 を 含 有 するようになる このような 腐 植 の 増 加 が 土 壌 の 保 肥 力 を 高 める 原 因 となっ ている また 草 生 園 の 土 壌 は 窒 素 や 各 種 の 塩 基 も 増 えて 土 が 肥 沃 化 するとともに phも 高 くなることが 知 られている 草 による 土 壌 改 良 効 果 はマメ 科 草 種 に 限 ったこと ではなく ナギナタガヤ( 図 8)のようなイネ 科 の 草 の 場 合 でも 十 分 に 期 待 できる ただし 草 は 生 き 物 なので その 生 育 が 旺 盛 になる 時 期 は 土 壌 中 の 養 水 分 を 収 奪 す ることがあるため 草 種 によって 樹 体 や 収 量 品 質 あるいは 作 業 性 等 に 様 々な 影 響 を 及 ぼすことがある このため 草 生 栽 培 を 実 施 する 場 合 は 栽 培 している 樹 種 の 特 性 を 把 握 するとともに 導 入 する 草 の 利 点 や 欠 点 をよく 理 解 する 必 要 がある 図 7 土 壌 管 理 法 の 違 いと 塩 基 置 換 容 量 図 8 現 地 ナギナタガヤ 草 生 園 の 状 況 25-25

7) 米 の 土 づくり (1) 土 づくりの 考 え 方 水 稲 の 有 機 栽 培 では 地 力 窒 素 を 主 体 にして 稲 体 の 健 全 な 生 育 を 図 る 必 要 が あることから 土 づくりは 極 めて 重 要 な 役 割 をもつ 水 稲 の 生 育 に 必 要 な 窒 素 は 地 力 窒 素 に 依 存 する 割 合 が 高 く 基 肥 窒 素 の 利 用 率 はほぼ 30~40%の 範 囲 に とどまっていると 言 われている その 点 からも 有 機 稲 作 で 一 定 水 準 の 収 量 を 上 げるには 従 来 の 土 づくり 以 上 の 地 力 が 求 められ 生 物 性 の 改 善 及 び 耕 種 管 理 手 法 や 透 排 水 性 の 改 善 も 含 め 水 稲 の 生 育 に 望 ましい 生 態 系 づくりを 進 め る 必 要 がある 土 づくり 効 果 を 実 現 するため 稲 わら 冬 季 雑 草 等 の 有 機 物 をすき 込 むとともに 堆 肥 を 投 入 する 根 の 健 全 な 生 育 を 促 すため 透 排 水 性 を 良 好 にする レンゲ 等 の 緑 肥 作 物 を 積 極 的 に 活 用 する 田 植 え 時 期 の 土 の 硬 さは 活 着 に 大 きく 影 響 するため 砕 土 に 配 慮 する 表 10a 当 たり 収 量 の 高 い 有 機 稲 作 農 家 と 低 い 農 家 の 収 量 と 窒 素 肥 沃 度 区 分 農 家 土 壌 の 種 類 収 量 の 高 い 農 家 (2) 最 近 の 課 題 - 地 力 の 低 下 や 作 土 層 が 浅 くなり 高 温 障 害 を 受 けやすくなっている- 近 年 米 生 産 については 食 味 の 良 い 米 を 生 産 することが 求 められており 食 味 に 最 も 影 響 する 窒 素 の 過 剰 施 用 を 控 えるようになっている 水 稲 に 対 する 施 肥 は 基 肥 のほか 追 肥 として 穂 肥 実 肥 が 施 用 されてきたが 米 の 食 味 に 悪 影 響 を 及 ぼす 恐 れの 大 きい 実 肥 は 現 在 ほとんど 施 用 されなくなっている 一 方 近 年 散 布 労 力 やコストの 問 題 から 従 来 土 づくり 資 材 として 投 入 され てきた 堆 肥 等 も 施 用 されなくなってきて 地 力 が 低 下 してきているとともに 水 田 の 作 土 が 浅 くなっているところが 多 い こうした 水 田 土 壌 環 境 の 変 化 は 近 年 問 題 となっている 高 温 障 害 を 受 けやす くしている 水 稲 の 高 温 障 害 の 影 響 は 米 の 品 質 低 下 となって 現 れている 特 に 玄 米 の 胚 乳 部 に 白 濁 を 生 じる 白 未 熟 粒 の 発 生 が 大 きな 要 因 となって 玄 米 の 一 等 米 比 率 が 低 下 している 腐 植 含 量 (%) 全 窒 素 (%) こうした 高 温 による 影 響 の 受 けやすさは 土 壌 環 境 によって 大 きく 異 なり 窒 素 供 給 の 少 ない 水 田 については 水 稲 の 登 熟 期 の 窒 素 栄 養 不 足 が 原 因 となって 26 可 給 態 窒 素 量 (mg) 10a 収 量 (kg) ( 平 成 19 年 ) 備 考 A 厚 層 黒 ボク 土 16.1 0.77 27.3 470 堆 肥 施 用 B 黒 ボク 土 12.6 0.64 36.2 420 堆 肥 施 用 C 灰 色 低 地 土 5.9 0.32 25.2 600 堆 肥 施 用 D 黒 ボク 土 2.9 0.17 12.8 230 基 肥 米 糠 のみ E 黒 ボク 土 3.7 0.19 12.8 360 米 糠 ぼかしのみ 収 量 の 低 い 農 家 注 )( 財 ) 日 本 農 業 研 究 所 2010を 一 部 改 変

1 等 米 比 率 (%) 平 年 との 差 ( ) 白 未 熟 粒 が 発 生 している したがって 有 機 栽 培 においても 堆 肥 投 入 や 作 土 を 深 くすること 等 により 地 力 を 向 上 させ 登 熟 期 後 半 まで 窒 素 栄 養 を 持 続 させることが 重 要 である 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0-0.5-1.0-1.5-2.0-2.5 1986 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 1992 1990 1988 注 ) 平 年 は 過 去 30 年 平 均 図 9 月 の 平 均 気 温 の 平 年 差 ( 松 山 市 ) 年 90 [ 登 熟 初 中 期 ] [ 登 熟 後 期 ] 80 70 60 50 40 30 20 10 0 23 24 25 26 27 9 月 の 平 均 気 温 注 )1997-2015のテ ータで 台 風 等 の 特 異 年 を 除 く 図 9 月 の 平 均 気 温 と1 等 米 比 率 ( 愛 媛 県 産 ヒノヒカリ) 写 真 : 九 州 沖 縄 農 業 研 究 センター デンプンの 蓄 積 異 常 のあった 時 期 により 白 未 熟 粒 のタイプは 異 なる 図 高 温 で 発 生 する 白 未 熟 粒 参 考 文 献 等 1) 財 団 法 人 日 本 土 壌 協 会 (2011): 有 機 栽 培 技 術 の 手 引 ( 水 稲 大 豆 等 編 ) 2) 財 団 法 人 日 本 土 壌 協 会 (2015): 有 機 農 業 の 基 礎 知 識 [ 土 づくりと 施 肥 管 理 ] 27

8) 野 菜 の 土 づくり (1) 土 づくりとは 有 機 農 業 は 地 力 に 依 存 した 生 産 方 式 であり 野 菜 の 生 育 を 支 える 土 壌 肥 沃 度 の 向 上 と 良 好 な 生 育 環 境 を 支 える 土 壌 の 物 理 性 や 生 物 性 の 向 上 など いわゆる 土 づくり が 最 も 重 要 視 されてい る バランスの 良 い 土 づくりによって 野 菜 が 健 全 に 生 育 すると 有 機 栽 培 でしばしば 問 題 視 され る 病 害 虫 や 雑 草 が 発 生 しにくく これらからの 被 圧 が 相 対 的 に 軽 微 となる 環 境 が 育 まれることに なる このため 有 機 栽 培 では 堆 肥 等 の 有 機 質 資 材 や 植 物 の 機 能 を 活 用 して 土 壌 の 生 態 系 の 富 化 と 活 性 化 を 図 りながら 作 物 を 持 続 的 に 栽 培 することが 大 切 である (2) 地 力 の 向 上 と 養 分 バランスの 適 正 管 理 ( 化 学 性 の 改 善 ) 有 機 農 業 を 新 たに 開 始 する 農 家 は 長 年 耕 作 放 棄 された 農 地 を 利 用 することが 多 く こうした ほ 場 では 一 般 に 地 力 の 低 下 が 懸 念 されることから 耕 作 開 始 時 には 堆 肥 や 有 機 質 肥 料 の 積 極 的 な 投 入 が 必 要 となるが 短 期 間 で 生 産 の 安 定 化 を 図 るためには その 投 入 量 とともに 窒 素 成 分 を 考 慮 した 施 用 が 重 要 である また 堆 肥 の 品 質 特 に 腐 熟 度 にも 留 意 する 必 要 があり 未 熟 な 堆 肥 投 入 は 生 育 阻 害 や 病 害 虫 の 発 生 を 促 すことになる 一 方 野 菜 の 有 機 栽 培 では 他 の 農 作 物 に 比 べ 集 約 的 に 短 期 間 で 多 収 高 収 益 を 実 現 するため に 過 剰 な 有 機 物 の 投 入 がしばしば 繰 り 返 されることがあり これは 土 壌 の 養 分 過 多 や 養 分 バラ ンスの 不 均 衡 化 を 起 こす 原 因 になることがある さらには 有 機 農 業 の 重 要 な 役 割 である 環 境 負 荷 軽 減 に 反 すること 例 えば 地 下 水 汚 染 や 温 室 効 果 ガス 増 大 に 繋 がることにもなる したがって 有 機 栽 培 では 投 入 する 有 機 物 資 材 の 特 性 を 十 分 把 握 し その 種 類 や 量 組 み 合 わせなどを 考 慮 し たうえで 計 画 的 に 施 用 することが 重 要 で 土 壌 の 適 正 な 維 持 管 理 には 定 期 的 に 土 壌 診 断 を 実 施 す る 必 要 がある 表 1 窒 素 成 分 の 異 なる 堆 肥 連 用 年 数 とキャベツの 収 量 施 用 堆 肥 の 成 分 含 量 (%) 1 個 体 平 均 調 整 重 (kg) 化 成 肥 料 区 を100とし た 時 の 指 数 全 窒 素 量 全 燐 酸 量 加 里 全 量 C/N 比 1 年 2 年 3 年 1 年 2 年 3 年 食 品 堆 肥 M4t/10a 1.8 1.4 3.0 20.8 0.9 0.9 1.1 42 46 58 牛 糞 堆 肥 O4t/11a 4.4 1.7 2.5 9.9 1.8 1.2 2.6 90 61 137 牛 糞 堆 肥 K4t/12a 2.3 2.6 4.7 15.8 1.2 1.5 1.7 59 76 89 化 成 肥 料 ( 窒 素 20kg/10a) - - - - 2.0 1.9 1.9 100 100 100 資 料 : 有 機 栽 培 技 術 の 手 引 ( 葉 菜 類 等 編 ) ( 財 ) 日 本 土 壌 協 会 を 一 部 加 筆 (3) 土 壌 の 物 理 性 の 改 善 有 機 物 の 土 壌 施 用 は 土 壌 微 生 物 の 活 性 化 等 により 土 壌 の 団 粒 化 を 促 すため 野 菜 にとって 好 適 な 土 壌 三 相 バランス( 固 相 40% 液 相 気 相 各 30%)が 保 たれ 保 水 性 通 気 性 が 良 好 で 保 肥 力 の 高 い 土 づくりが 可 能 になる また 一 般 に 土 壌 硬 度 ( 山 中 式 )が 20~22 になると 根 の 伸 長 は 抑 制 されるが 有 機 物 の 施 用 により 作 土 層 の 膨 軟 化 が 進 むことで 根 張 りは 良 好 になる なお 野 菜 類 の 栽 培 では 根 域 確 保 のための 作 土 の 厚 さは 20~25cm 以 上 ダイコン ニンジンなどの 根 菜 類 では 30cm 以 上 ゴボウでは 60cm 以 上 が 望 ましく その 品 目 に 適 した 農 地 の 選 定 や 耕 起 砕 土 畝 づくりに 留 意 する 必 要 がある 28

表 2 堆 肥 連 用 年 数 の 異 なる 露 地 野 菜 ほ 場 の 土 壌 硬 度 ( 中 山 式 硬 度 計 ) 表 3 堆 肥 連 用 年 数 の 異 なるほ 場 での 土 壌 の 三 相 分 布 土 壌 の 深 さ 硬 度 (mm) (cm) 堆 肥 1 年 施 用 堆 肥 3 年 連 用 5 20 14 10 22 15 15 22 16 20 21 18 25 23 19 30 24 20 資 料 :( 財 ) 日 本 土 壌 協 会 堆 肥 3 年 連 用 堆 肥 1 年 連 用 資 料 :( 財 ) 日 本 土 壌 協 会 三 相 分 布 (%) 易 有 効 固 相 液 相 気 相 水 分 (%) 仮 比 重 38.5 39.1 22.4 7.1 0.83 54.3 36.8 8.9 2.6 1.04 (4) 土 壌 生 物 性 の 改 善 野 菜 類 では 同 じ 種 類 の 品 目 を 同 一 ほ 場 で 連 作 することが 多 く これに 伴 って 収 量 品 質 が 低 下 する 現 象 を 連 作 障 害 と 呼 ぶ その 主 要 因 には 土 壌 病 害 やセンチュウ 害 によるものが 明 らかにさ れ 連 作 による 病 原 菌 の 経 年 集 積 が 問 題 となる しかし 根 圏 土 壌 の 微 生 物 層 が 多 様 になると 土 壌 病 原 微 生 物 の 増 殖 が 抑 制 されることが 知 られており 良 質 な 堆 肥 等 有 機 物 施 用 により 多 様 な 微 生 物 環 境 へと 整 えていくことが 有 機 栽 培 では 重 要 となる さらに 種 類 の 異 なる 作 物 を 組 み 合 せた 輪 作 体 系 での 栽 培 や 防 除 効 果 を 有 する 植 物 との 混 作 も 連 作 障 害 回 避 の 有 効 な 手 段 になる (5) 緑 肥 等 作 物 の 利 用 緑 肥 作 物 やクリーニングクロップは 土 壌 の 物 理 性 の 改 善 化 学 性 の 改 善 生 物 性 の 改 善 効 果 のほかに 雑 草 抑 制 や 景 観 美 化 等 の 効 果 があり 有 機 栽 培 ではその 目 的 に 応 じて 輪 作 体 系 の 中 に 取 り 入 れて 利 用 されている 表 4 緑 肥 作 物 クリーニングクロップの 効 果 と 主 な 該 当 作 物 効 果 内 容 1 物 理 性 の 改 善 通 気 性 透 水 性 等 2 化 学 性 の 改 善 土 壌 の 肥 沃 化 クリーニングクロップ 3 生 物 性 の 改 善 ネコブセンチュウ ネグサレセンチュウ 4 雑 草 抑 制 雑 草 抑 制 敷 料 5 景 観 美 化 等 景 観 土 壌 保 全 資 料 :( 財 ) 日 本 土 壌 協 会 該 当 作 物 ソルゴー 青 刈 トウモロコシ ギニアグラス 等 クロタラリア レンゲ クローバー 類 ヘアリーベッチ セスバニア 等 ソルゴー 青 刈 トウモロコシ ギニアグラス 等 クロタラリア ギニアグラス エンバク マリーゴールド 等 マリーゴールド クロタラリア ギニアグラス 等 ヘアリーベッチ マルチムギ 等 レンゲ クリムソンクローバー シロカラシ マリーゴールド 等 参 考 文 献 等 1) 財 団 法 人 日 本 土 壌 協 会 (2011): 有 機 栽 培 技 術 の 手 引 ( 葉 菜 類 等 編 ) 2) 財 団 法 人 日 本 土 壌 協 会 (2015): 有 機 農 業 の 基 礎 知 識 ( 土 づくりと 施 肥 管 理 ) 3) 財 団 法 人 日 本 土 壌 協 会 (2014): 土 肥 料 のきほん 誠 文 堂 新 光 社 4) 関 東 土 壌 肥 料 専 技 会 (1996): 現 場 の 土 づくり 施 肥 Q&A JA 全 東 京 支 所 肥 料 農 薬 部 29 29