175 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 橋 本 千 代 別 所 俊 一 郎 I はじめに 2009 年 の OECD Health Data は, 日 本 は 人 口 100 万 人 あたり 40.1 台 の MRI スキャナを 保 有 して おり,ずば 抜 けて 多 い と 述 べた MRI( 核 磁 気 共 鳴 撮 影 法 )スキャナは 高 額 医 療 機 器 の 代 表 例 で あり, 高 額 医 療 機 器 や 技 術 は 医 療 費 増 加 の 有 力 な 要 因 のひとつとされている Fuchs 1996,Weisbrod 1991 高 額 医 療 機 器 の 導 入 は 医 療 機 関 に とっても 重 大 な 投 資 決 定 であろう 日 本 の 医 療 機 関 はMRIスキャナ 導 入 に 際 してどのようなことを 検 討 しているのか,また, 導 入 されたMRIスキャ ナは 十 分 に 利 用 され, 十 分 な 収 入 をもたらしてい るのだろうか 本 稿 ではこれらのトピックを, 医 療 機 関 の 個 票 を 用 いて 検 討 する MRIは 静 磁 場 と 変 動 磁 場 を 用 いて 生 体 の 任 意 の 方 向 の 断 層 像 を 得 ることのできる 画 像 診 断 法 で, 1970 年 代 後 半 より 医 学 へ 応 用 されはじめ,1980 年 代 以 降 急 速 に 普 及 が 進 んでいる 日 本 で 初 めて MRI が 導 入 されたのは 1982 年 であり Hisashige 1994a,1990 年 代 初 めにはそれほど 多 くなかった ものの,1990 年 代 2000 年 代 を 通 じて 保 有 量 が 順 調 に 増 加 してきた 都 道 府 県 別 にみると, 東 京 愛 知 大 阪 福 岡 といった 都 市 圏 に 多 く 分 布 して いるが, 人 口 当 たりで 見 てみると 北 海 道 九 州 四 国 に 多 く, 西 高 東 低 の 傾 向 が 看 取 される( 図 1) MRIスキャナのような 高 額 医 療 機 器 の 普 及 要 因 については, 国 際 データや, 医 療 機 関 の 個 票 を 用 いた 分 析 が 進 められてきた 医 療 機 器 は 患 者 の 検 査 や 治 療 に 使 われるから, 機 器 の 利 用 が 適 切 であ り,その 対 価 を 支 払 うことのできる 患 者 が 多 けれ ば, 医 療 機 関 は 医 療 機 器 を 導 入 しようとするだろ う すなわち, 高 齢 者 が 多 い 地 域, 所 得 が 高 い 地 域 のほうが 高 額 医 療 機 器 は 早 く 導 入 されやすい Hahm et al. 2007 先 進 国 では 医 療 サービスは なんらかの 医 療 保 険 の 対 象 になるから, 保 険 の 償 還 方 式 も 医 療 機 関 の 投 資 行 動 に 影 響 する Oh et al. 2005,Finkelstein 2007,Chou et al. 2004, Baker 2001,Masm and Seinfeld 2008 償 還 方 式 が 人 件 費 よりも 投 資 的 経 費 に 寛 容 なら, 生 産 要 素 の 投 入 は 労 働 から 資 本 に 代 替 され, 機 器 の 導 入 が 進 む 可 能 性 がある Acemoglu and Finckelstein 2008 医 療 機 関 の 経 営 主 体 Ciliberto 2006 や 財 務 状 況 Calem and Rizzo 1995 も 機 器 導 入 の 決 定 要 因 になりうる 患 者 が 医 療 機 関 を 選 択 する ことができる 状 況 では, 患 者 を 獲 得 するために 医 療 機 関 間 に 戦 略 的 な 依 存 関 係 が 発 生 し, 医 療 機 器 を 導 入 して 患 者 を 惹 き 付 けようとするかもしれな い Schmidt-Dengler 2006 MRIスキャナ 等 の 高 額 医 療 機 器 が 先 進 各 国 に 比 較 し て 多 い 日 本 Hisashige 1994a,b においても, 医 療 機 関 間 競 争 が 影 響 しているといわれている 漆 1998a, 南 部 2006, 河 口 2007 また 同 時 に,これらの MRI スキャナが 必 ずしも 十 分 に 活 用 されていない 可 能 性 も 指 摘 されてきた 二 木 1993, 南 部 2006, 今 中 2007 本 稿 の 目 的 は,これらの 先 行 研 究 を 踏 まえて, 日 本 におけるMRIスキャナの 導 入 の 決 定 要 因 と, その 利 用 状 況 採 算 性 を 医 療 機 関 の 個 票 を 用 いて
176 注 ) 新 医 療 による 図 1 MRIの 都 道 府 県 別 台 数 (2008 年, 人 口 100 万 人 あたり) 分 析 することである 日 本 にはMRIスキャナの 導 入 が 促 進 されやすい 環 境 が 揃 っている 所 得 水 準 は 高 く, 高 齢 化 は 進 展 している 中 心 となる 公 的 医 療 保 険 制 度 の 償 還 方 式 はほぼ 出 来 高 払 いといっ てよい 患 者 は 基 本 的 に 医 療 機 関 選 択 の 自 由 (フ リーアクセス)をもっている 医 療 機 関 は, 届 出 により 原 則 どこでも 自 由 に 開 業 でき, 法 的 には 非 営 利 団 体 とはいえ, 多 くの 民 間 医 療 機 関 の 経 営 者 は 営 利 企 業 の 経 営 者 とほぼ 同 様 の 経 営 責 任 を 負 っ ていると 考 えられる さらに, 資 本 投 資 に 対 する 規 制 は 病 床 のみに 対 して 行 われているため, 医 療 機 器 など 他 の 生 産 要 素 への 代 替 投 資 を 招 く 可 能 性 もある 漆 1998b そのようななかで,MRI ス キャナの 1 台 1 ヶ 月 あたり 平 均 検 査 件 数 は, 採 算 が 確 保 できるといわれる 300 件 を,とくに 小 規 模 医 療 機 関 において, 下 回 っている( 図 2) そこで 本 稿 では,MRIスキャナを 保 有 している 医 療 機 関 に 対 して 行 ったサーベイ 調 査 を 用 いて,MRI ス キャナ 導 入 時 に 医 療 機 関 が 重 視 したことや 意 思 決 定 プロセスが,MRIスキャナの 機 種 選 定 や 導 入 後 の 利 用 状 況 とどのように 相 関 しているかを 検 討 す 注 ) 厚 生 労 働 省 2005 年 医 療 施 設 調 査 による 対 象 は 一 般 病 院 のみ 図 2 病 床 数 と MRI 月 間 検 査 延 数 る 同 時 に, 病 床 数 や 運 営 主 体, 各 医 療 機 関 が 立 地 している 2 次 医 療 圏 の 属 性 がこれらに 与 える 影 響 も 検 証 する 本 稿 の 貢 献 は, 以 下 の 3 点 にまとめられる 第 1 に, 高 額 医 療 機 器 の 導 入 の 詳 細 とその 後 の 利 用
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 177 状 況 を 検 討 している 点 である 先 行 研 究 において は,しばしばMRIスキャナの 有 無 が 検 討 の 対 象 と なっており,その 機 種 の 選 定 は 対 象 外 であった また, 導 入 された 機 器 がどれほど 利 用 されている かについての 直 接 のデータを 検 討 した 研 究 は 多 く はない 第 2 に, 医 療 機 関 の 意 思 決 定 プロセスの 影 響 を 検 討 したことである 医 療 機 関 もまた, 経 営 者 や 専 門 の 異 なる 医 師 等 の 選 好 の 異 なる 主 体 か ら 構 成 されており, 医 療 機 関 内 部 での 社 会 的 意 思 決 定 の 差 が 高 額 医 療 機 器 の 導 入 に 影 響 することが 示 唆 される 第 3 に,MRI スキャナが 国 際 的 に 多 いといわれている 日 本 について, 医 療 機 関 の 個 票 を 用 いて 導 入 の 決 定 要 因 利 用 状 況 を 分 析 したこ とである 医 療 機 関 の 個 票 を 用 いた 分 析 も 存 在 す る e.g., 南 部 2005, 河 口 2007 が, 本 稿 のサンプ ルサイズはこれらと 比 較 しても 十 分 に 大 きい ま た, 日 本 では MRI スキャナ 保 有 施 設 の 約 4 分 の 1 が 診 療 所 であるにもかかわらず,これまであまり 分 析 対 象 とはされなかったが, 本 稿 では 診 療 所 の データも 用 いている 本 稿 の 分 析 の 結 論 は 以 下 の 通 りである 第 1 に, 患 者 ニーズ を 最 重 要 視 して MRI を 導 入 す ると 回 答 した 医 療 機 関 では, 高 機 能 の 機 種 が 導 入 される 確 率 は 低 いものの,MRIを 用 いた 検 査 件 数 は 少 なく, 採 算 も 確 保 できない 確 率 が 高 い 第 2 に, 対 外 イメージ を 最 重 要 視 して MRI を 導 入 した 医 療 機 関 は 高 機 能 の 機 種 を 導 入 する 確 率 が 高 いが, 検 査 件 数 は 少 ない このような 医 療 機 関 は 高 額 医 療 機 器 を 患 者 を 惹 き 付 ける 広 報 手 段 とみて いるのかもしれない 第 3 に, 本 稿 のサンプル 期 間 では, 病 床 数 が20 から199 床 の 病 院 は 高 機 能 の 機 種 を 導 入 する 傾 向 があるが, 検 査 件 数 が 少 な く, 採 算 が 確 保 できない 確 率 が 高 いことが 統 計 的 に 看 取 される 第 4 に, 公 的 機 関 医 育 機 関 では MRIを 用 いた 検 査 件 数 が 少 なく, 採 算 が 確 保 でき る 確 率 が 低 い 傾 向 がある 本 稿 の 構 成 は 以 下 のとおりである 続 く 第 2 節 では, 本 稿 で 用 いるアンケート 調 査 について 説 明 する 第 3 節 から 第 5 節 では,それぞれ, 機 種 の 選 定, 利 用 状 況, 採 算 性 がどのような 要 因 によって 左 右 されているかを 回 帰 分 析 を 用 いて 検 討 する 第 6 節 はまとめに 充 てられる II データ 本 稿 では, 独 自 に 行 ったアンケート 調 査 の 結 果 を 公 表 データと 組 み 合 わせて 分 析 する 1) 公 表 データは 医 療 機 関 の 立 地 する 地 域 に 関 するもの で, 人 口 面 積 課 税 対 象 所 得 MRIスキャナ 台 数 2) を 用 いた 地 域 は,2005 年 時 点 での 2 次 医 療 圏 によって 定 義 し 3), 市 区 町 村 ベースのものは2 次 医 療 圏 ごとに 集 計 した ただし, 横 浜 市 と 川 崎 市 は 市 内 に 複 数 の 2 次 医 療 圏 を 含 むため, 課 税 対 象 所 得 の 分 布 は 各 市 内 で 均 質 と 仮 定 した これら は, 医 療 機 関 が 立 地 する 地 域 の 客 観 的 な 状 況 を コントロールするために 用 いられる アンケート 調 査 からは, 医 療 機 関 の 主 観 的 な 態 度 に 関 する 変 数 も 用 いる 1 アンケート 調 査 (1) 調 査 対 象 調 査 対 象 は, 自 動 車 事 故 被 害 者 用 の 療 護 セン ター や 健 康 管 理 センター 医 療 検 診 セン ター を 除 く,2008 年 4 月 1 日 時 点 で MRI スキャ ナを 導 入 している 国 内 の 全 医 療 機 関 である 調 査 対 象 の 名 称 は 月 刊 新 医 療 (2008 年 6 月 号 )か ら, 送 付 先 住 所 は 病 院 情 報, 独 立 行 政 法 人 福 祉 医 療 機 構 が 運 営 するWAMNET,NTT( 日 本 電 信 電 話 )のタウンページから 得 ている 4) 調 査 方 法 は 郵 送 調 査 法 である 調 査 票 の 発 送 は2009 年 6 月 2 日 であり,2009 年 8 月 末 日 到 着 分 までを 分 析 対 象 としている 調 査 票 の 総 配 布 数 は, 病 院 3,363, 診 療 所 1,265, 合 計 4,628 であり, 有 効 な 回 収 数 は 病 院 681( 回 収 率 20.4 %), 診 療 所 251( 回 収 率 19.8%), 合 計 932( 回 収 率 20.1%)である 調 査 対 象 には 精 神 病 院 や 療 養 型 病 院 も 含 まれている が, 病 院 の 特 殊 性 を 考 慮 して 本 稿 では 一 般 病 床 を 有 する 病 院 のみを 対 象 としているため, 分 析 対 象 のサンプルサイズは 病 院 667, 診 療 所 251, 合 計 918 である
178 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 (2) 質 問 項 目 本 稿 で 用 いた 質 問 項 目 は 大 きく 3 つに 分 けられ る 第 1 は, 医 療 機 関 の 基 本 的 な 属 性 5) である 第 2 は, 直 近 の MRI 導 入 時 の 医 療 機 関 の 意 識 につ いてであり, 採 算 性 に 対 する 意 識 6) 他 の 医 療 機 関 に 対 する 意 識 7) 導 入 時 に 最 も 重 視 した 点 8) 導 入 のプロセス 9) の 観 点 から 質 問 してい る 第 3は, 現 在 のMRIスキャナの 保 有 内 容 と 稼 働 状 況 についてである ここでは, 使 用 している MRI スキャナの 導 入 年 テスラ 数 更 新 予 定 時 期, 最 も 利 用 率 の 高 い 機 器 の 週 あたり 稼 動 日 数 1 日 あたり 使 用 時 間 と 平 均 検 査 件 数 を 質 問 してい る テスラ 数 は 磁 場 の 強 さを 表 し, 一 般 にテスラ 数 の 高 いものほど 磁 力 が 強 く, 画 像 も 鮮 明 で 性 能 が 高 いとされる また,アンケートの 主 な 記 入 者 についても 質 問 項 目 を 設 定 した 10) (3) サンプルの 代 表 性 本 稿 の 調 査 の 回 収 率 (20.1%)は 同 種 の 調 査 で ある 南 部 2005 よりは 高 いものの,それほど 高 いともいえまい そこで, 本 稿 で 用 いるサンプル の 特 性 を 確 認 しておこう( 表 1) 本 稿 のサンプルに 含 まれる 医 療 機 関 のうち 公 的 機 関 11) は 23%であり, 月 刊 新 医 療 のリスト 全 体 の 値 17%よりやや 高 い また,サンプルの 平 均 一 般 病 床 数 は 262であるが,これも 月 刊 新 医 療 から 得 られる 平 均 値 208よりやや 大 きい 1 日 あたり 平 均 検 査 件 数 は, 2005 年 医 療 施 設 調 査 から 求 めると8.5 となったが,この 数 値 は 本 稿 のサンプルにおける 平 均 検 査 件 数 14.0 よりも 少 な い テスラ 数 も, 月 刊 新 医 療 から 求 められる 平 均 値 0.98 よりサンプル 平 均 1.09 がやや 大 きい た だし,アンケートでは 稼 働 率 の 最 も 高 い 機 器 に 限 定 して 回 答 を 得 ている このように, 本 稿 のサンプルに 含 まれる 医 療 機 関 は, 公 的 であり, 病 床 数 が 多 く, 平 均 検 査 件 数 が 多 く,テスラ 数 の 高 いMRIスキャナを 保 有 する 傾 向 があることには 留 意 する 必 要 がある 2 データの 概 略 本 稿 で 用 いた 変 数 の 記 述 統 計 量 は 表 2 のとおり である ここで, 導 入 されるMRIスキャナの 機 能 や 利 用 状 況, 採 算 性 といくつかの 変 数 の 関 係 について 概 観 しておこう 導 入 されるMRIの 機 能 はテスラ 数 で 代 理 させ,1.5 テスラ 以 上 の 機 種 の 比 率 を 用 い る 利 用 状 況 には 1 日 あたり 平 均 検 査 件 数 を 用 い る 採 算 性 については, 導 入 時 に 採 算 性 を 検 討 した と 答 えた 比 率 と,アンケート 時 点 で 採 算 が 確 保 できている と 答 えた 比 率 を 用 いる 表 3のパネルAには, 導 入 時 に 最 も 重 要 視 した 点 とのクロス 表 を 示 した この 表 から 分 かるよ うに, 採 算 性 と 他 の 医 療 機 関 の 導 入 状 況 を 選 択 した 医 療 機 関 では 高 機 能 な(テスラ 数 の 高 い) 機 種 を 導 入 する 比 率 が 低 く, 検 査 件 数 は 全 体 の 平 均 に 近 い 患 者 ニーズ や 医 師 の 確 保 を 表 1 アンケート 調 査 と 他 調 査 の 比 較 標 本 平 均 他 調 査 平 均 差 t 値 公 的 機 関 比 率 0.23 (0.01) 病 床 数 262.58 (8.45) 1 日 平 均 検 査 件 数 14.0 (0.48) テスラ 数 1.09 (0.02) 0.17 (0.01) 208.03 (3.34) 8.5 (0.26) 0.98 (0.01) 0.06 4.02 54.55 6.00 5.5 10.09 0.11 4.50 注 ) カッコ 内 は 標 準 偏 差 アンケート 調 査 は2008 年 時 点 の 計 数 病 床 数 公 的 機 関 比 率 テ スラ 数 は 月 刊 新 医 療 と 比 較 し,1 日 平 均 検 査 件 数 は 2005 年 医 療 施 設 調 査 と 比 較
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 179 表 2 標 本 統 計 量 平 均 標 準 偏 差 最 小 値 最 大 値 導 入 した MRI が 1.5 テスラ 以 上 0.559 0.497 0 1 検 査 件 数 14.232 14.626 0 223 採 算 が 確 保 できた 0.641 0.480 0 1 採 算 の 確 保 を 検 討 しない 0.144 0.351 0 1 地 域 変 数 MRI 施 設 数 (>= 1.5T) 12.560 12.194 0 58 MRI 施 設 数 (< 1.5T) 15.420 17.155 0 96 65 歳 以 上 人 口 ( 人 ) 131,704 106,873 8,530 529,692 15 ~ 64 歳 人 口 ( 人 ) 472,041 428,665 13,680 1,749,851 15 歳 未 満 人 口 ( 人 ) 95,179 80,921 2,767 347,334 面 積 (ha) 111,447 123,256 6,352 1,083,120 平 均 課 税 所 得 ( 百 万 円 ) 1.417 0.439 0.718 3.949 医 療 機 関 変 数 最 重 要 : 採 算 性 0.230 0.421 0 1 最 重 要 : 他 の 医 療 機 関 0.030 0.170 0 1 最 重 要 : 患 者 ニーズ 0.212 0.409 0 1 最 重 要 : 医 師 の 確 保 0.015 0.123 0 1 最 重 要 : 院 内 ニーズ 0.098 0.298 0 1 最 重 要 : 対 外 イメージ 0.033 0.179 0 1 最 重 要 : 医 療 機 能 他 0.382 0.486 0 1 他 機 関 への 意 識 0.627 0.484 0 1 導 入 形 態 ( 購 入 ) 0.656 0.475 0 1 委 員 会 0.437 0.496 0 1 意 見 反 映 : 院 長 0.473 0.500 0 1 意 見 反 映 : 放 射 線 科 医 技 師 0.312 0.464 0 1 主 な 記 入 者 : 院 長 副 院 長 0.329 0.470 0 1 診 療 所 0.280 0.449 0 1 病 床 数 20 ~ 99 0.116 0.320 0 1 病 床 数 100 ~ 199 0.210 0.408 0 1 病 床 数 200 ~ 299 0.095 0.293 0 1 病 床 数 300 ~ 399 0.108 0.311 0 1 病 床 数 400 ~ 499 0.069 0.254 0 1 病 床 数 500 以 上 0.119 0.324 0 1 DPC 0.176 0.381 0 1 公 立 0.233 0.423 0 1 医 育 0.043 0.204 0 1 2005 年 以 降 に 導 入 0.480 0.500 0 1 注 ) 2 次 医 療 圏 内 の MRI 数 は 2008 年, 人 口 所 得 は 2005 年 の 値 医 療 機 関 変 数 のうち 最 重 要 は, 導 入 時 に 最 も 重 視 した 点 に 関 するダミー 変 数 選 択 した 医 療 機 関 では, 低 機 能 な 機 種 を 導 入 する 比 率 が 高 いものの, 検 査 件 数 は 多 くない とくに 医 師 の 確 保 を 重 視 した 医 療 機 関 で 採 算 を 確 保 できている 比 率 は 他 に 比 べて 低 い 院 内 ニー ズ と 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 では 高 機 能 な 機 種 を 導 入 する 比 率 が 高 いが,ともに 採 算 を 検 討 したり, 採 算 を 確 保 できたりしている 比 率 は 低 い ただし, 検 査 件 数 は, 院 内 ニーズ を
180 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 表 3 病 院 属 性 と 導 入 機 種, 検 査 件 数, 採 算 性 A. 導 入 のときに 最 も 重 要 視 した 点 高 テスラ 検 査 件 数 採 算 検 討 採 算 確 保 採 算 性 0.409 13.543 0.970 0.724 他 の 医 療 機 関 0.391 16.000 0.840 0.632 患 者 ニーズ 0.321 9.326 0.856 0.631 医 師 の 確 保 0.250 7.231 0.769 0.100 院 内 ニーズ 0.768 16.286 0.735 0.579 対 外 イメージ 0.643 9.448 0.815 0.429 医 療 機 能 他 0.720 15.856 0.841 0.611 全 体 0.549 13.619 0.862 0.631 B. 病 床 数 高 テスラ 検 査 件 数 採 算 検 討 採 算 確 保 診 療 所 0.212 10.415 0.856 0.713 病 床 数 20 ~ 99 0.409 9.623 0.890 0.567 病 床 数 100 ~ 199 0.528 10.762 0.861 0.557 病 床 数 200 ~ 299 0.796 16.286 0.819 0.553 病 床 数 300 ~ 399 0.843 19.345 0.821 0.688 病 床 数 400 ~ 499 0.980 18.962 0.824 0.590 病 床 数 500 以 上 0.938 25.911 0.896 0.706 全 体 0.541 13.957 0.859 0.633 C. 公 立 医 育 医 療 機 関 高 テスラ 検 査 件 数 採 算 検 討 採 算 確 保 医 育 0.897 21.872 0.816 0.500 公 立 0.761 14.686 0.812 0.500 その 他 0.453 13.269 0.875 0.675 全 体 0.541 13.957 0.859 0.633 注 ) 高 テスラ は 導 入 した MRI のテスラ 数 が 1.5 以 上 の 比 率, 検 査 件 数 は1 日 1 台 あたり, 採 算 検 討 は 導 入 にあたって 採 算 性 を 検 討 した 比 率, 採 算 確 保 は 導 入 にあたって 採 算 を 検 討 したうちで 実 際 に 採 算 が 確 保 できている 比 率 選 択 した 医 療 機 関 で 比 較 的 多 いのに 比 べ, 対 外 イメージ を 選 択 したところでは 少 ない 傾 向 が 見 られる 病 床 数 との 関 係 は 表 3 のパネル B に 示 されてい る テスラ 数 と 病 床 数 には 正 の 関 係 が 看 取 され, 病 床 数 が 多 いほど 高 機 能 の 機 種 を 導 入 している 比 率 が 高 い 1 台 あたりの 検 査 件 数 もまた 病 床 数 が 多 いほど 多 い 傾 向 が 見 られるものの, 病 床 数 が20 ~ 99 床 の 小 病 院 では 診 療 所 よりも 検 査 件 数 が 少 ない 採 算 性 については 単 調 な 関 係 は 見 られない ものの, 採 算 性 を 検 討 したり, 実 際 に 採 算 が 確 保 されたりしているのは, 最 も 小 規 模 な 診 療 所 と, 最 も 大 規 模 な 病 院 に 多 くみられる 表 3 のパネル C は 開 設 者 との 関 係 を 示 してい る 医 育 機 関 や 公 的 機 関 とその 他 の 医 療 機 関 は 対 照 的 であるといってよいだろう 医 育 機 関 や 公 的 機 関 では, 高 機 能 の 機 種 を 導 入 する 比 率 が 高 く, 検 査 件 数 もそれ 以 外 の 医 療 機 関 より 多 いものの,
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 181 導 入 にあたって 採 算 性 を 検 討 する 比 率 は 低 く,ま た 採 算 が 確 保 されている 比 率 も 低 い これはこれ らの 病 院 の 行 動 原 理 が,その 他 の 病 院 とは 異 なる ことを 示 唆 しているのかもしれない III 機 種 選 定 本 節 では,MRIスキャナ 導 入 を 決 定 した 医 療 機 関 がどのような 機 種 を 選 ぶのかを,テスラ 数 では かった 機 能 に 着 目 して 検 討 する 1 推 定 式 本 節 の 推 定 式 は, 導 入 したMRIスキャナのテス ラ 数 T ij を 被 説 明 変 数 とする T ij = β x1 X 1ij +β z1 Z 1i +u 1ij (1) である X 1ij は 医 療 機 関 j の 属 性 ベクトル,Z 1i は 2 次 医 療 圏 i の 属 性 ベクトルであり,β x1,β z1 はそれ ぞれ 対 応 する 係 数 ベクトルである u 1ij は 誤 差 項 を 表 す 2 変 数 と 推 定 方 法 2 次 医 療 圏 内 で MRI スキャナを 導 入 している 医 療 機 関 数 の 情 報 が 入 手 可 能 なのが1999 年 以 降 なの で,2000 年 以 降 にMRIを 新 規 に 導 入 もしくは 更 新 した 医 療 機 関 にサンプルを 限 定 する その 結 果, サンプルサイズは 574 となった また, 画 像 診 断 を 専 門 に 行 う 画 像 診 断 センターや 公 的 機 関 および 医 育 機 関 は, 行 動 原 理 が 異 なると 考 えられるた め,それらをサンプルから 除 外 した 場 合 の 推 定 も 行 った ただし, 主 な 推 定 結 果 は 変 わらなかった ため, 結 果 は 報 告 していない 被 説 明 変 数 はテスラ 数 が1.5 以 上 の 場 合 を1,1.5 未 満 の 場 合 を 0 とするダミー 変 数 である 一 般 的 に 1.5 以 上 の 機 種 が 高 機 能 といわれ,1.5 以 上 の 場 合 と 1.5 未 満 の 場 合 とで 診 療 報 酬 点 数 も 異 なるか らである 12) なお,MRIスキャナを 複 数 台 保 有 す る 医 療 機 関 に 対 しては, 本 分 析 で 着 目 する 医 療 機 関 の 意 識 が, 直 近 のMRIスキャナ 導 入 時 につ いてのものであることから, 導 入 年 の 最 も 新 しい 機 種 のみを 対 象 としている 医 療 機 関 の 属 性 X 1ij として, 公 的 病 院 ダミー, 医 育 機 関 ダミー, 病 床 数 13) のほか, 採 算 性 を 検 討 したか 否 かのダミー 変 数, 他 の 医 療 機 関 を 意 識 し たかどうかのダミー 変 数 14), 導 入 時 に 最 も 重 視 し た 点 についてのダミー 変 数, 導 入 検 討 委 員 会 設 置 の 有 無 についてのダミー 変 数, 最 も 意 見 の 反 映 さ れた 部 局 についてのダミー 変 数 15) を 採 用 した ま た, 技 術 進 歩 によって 最 近 の 機 種 ほどテスラ 数 が 高 くなることを 考 慮 するために2005 年 以 降 の 導 入 を 示 すダミー 変 数 も 用 いた 立 地 している 2 次 医 療 圏 の 属 性 Z 1i として, 人 口 面 積 所 得 に 加 えて, 導 入 1 年 前 のMRIスキャ ナ 保 有 施 設 数 を,1.5テスラ 以 上 のスキャナを 保 有 しているかどうかで 区 分 して 用 いている もし MRIスキャナ 導 入 の 意 思 決 定 が 他 の 医 療 機 関 の 状 況 に 影 響 を 受 けていれば,この 係 数 はゼロと 異 な ると 考 えられる 被 説 明 変 数 がダミー 変 数 であるので, 推 定 方 法 はProbit 推 定 である 3 推 定 結 果 推 定 結 果 は 表 4のとおりである 第 1 列 にはサン プル 全 体 を 用 いた 結 果 を 示 している まず, 導 入 時 に 最 重 要 視 した 点 に 着 目 すると, 医 療 機 能 を 選 択 した 医 療 機 関 に 比 べて, 採 算 性 医 師 の 確 保 患 者 のニーズ を 選 択 した 医 療 機 関 は,テスラ 数 の 高 い 機 種 を 選 択 する 確 率 が 統 計 的 に 有 意 に 低 いが, 対 外 イメージ を 選 択 し た 施 設 では,この 確 率 は 高 くなっている 採 算 性 が 負 の 相 関 を 持 つのは, 低 機 能 な 機 種 ほど 安 価 に 導 入 できるからであろう 医 師 の 確 保 と テスラ 数 の 負 の 相 関 は, 医 師 にとって 魅 力 的 な 職 場 にするため,あるいは 医 師 を 確 保 して 地 域 での 医 療 機 能 を 果 たすためにMRIスキャナを 導 入 する ものの, 医 師 にかかる 人 件 費 のために 高 機 能 機 種 への 投 資 を 抑 制 するという 事 情 を 反 映 しているの かもしれない 患 者 のニーズ と 対 外 イメージ を 選 択 した 施 設 は,ともに 患 者 の 獲 得 という 観 点 では 共 通 し ていると 考 えられるが, 高 機 能 機 種 の 選 択 に 与 え
182 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 表 4 機 種 の 選 定 (1)Probit (2)Probit ( 新 規 導 入 のみ) (3)Probit ( 新 規 導 入 以 外 ) ME s.e. ME s.e. ME s.e. 地 域 変 数 MRI 施 設 数 (>= 1.5T) 0.008 (0.00) ** 0.002 (0.01) 0.008 (0.00) * MRI 施 設 数 (< 1.5T) - 0.007 (0.00) *** - 0.003 (0.00) - 0.008 (0.00) *** 65 歳 以 上 人 口 - 0.091 (0.09) - 0.098 (0.15) 0.044 (0.09) 15 ~ 64 歳 人 口 0.273 (0.24) 0.923 (0.40) ** - 0.292 (0.26) 15 歳 未 満 人 口 - 0.134 (0.21) - 0.789 (0.33) ** 0.317 (0.23) 面 積 - 0.005 (0.02) - 0.023 (0.03) 0.014 (0.02) 平 均 課 税 所 得 - 0.130 (0.10) - 0.234 (0.15) - 0.003 (0.10) 医 療 機 関 変 数 最 重 要 : 採 算 性 - 0.123 (0.04) *** - 0.171 (0.06) *** - 0.073 (0.05) 最 重 要 : 他 の 医 療 機 関 - 0.085 (0.12) - 0.012 (0.14) - 0.062 (0.18) 最 重 要 : 患 者 ニーズ - 0.094 (0.05) ** - 0.142 (0.07) ** - 0.057 (0.07) 最 重 要 : 医 師 の 確 保 - 0.217 (0.08) *** - 0.255 (0.08) *** 最 重 要 : 院 内 ニーズ - 0.053 (0.06) 0.017 (0.13) - 0.018 (0.06) 最 重 要 : 対 外 イメージ 0.157 (0.06) ** 0.171 (0.11) 他 機 関 への 意 識 0.014 (0.03) - 0.079 (0.05) * 0.079 (0.04) ** 採 算 不 検 討 0.024 (0.05) 0.096 (0.08) - 0.002 (0.05) 委 員 会 0.087 (0.04) ** 0.127 (0.07) * 0.075 (0.04) ** 意 見 反 映 : 院 長 - 0.132 (0.05) ** - 0.156 (0.09) * - 0.115 (0.06) * 意 見 反 映 : 放 射 線 科 医 - 0.004 (0.05) 0.082 (0.09) - 0.003 (0.04) 病 床 数 20 ~ 99 0.125 (0.04) *** 0.012 (0.09) 0.084 (0.04) * 病 床 数 100 ~ 199 0.187 (0.04) *** 0.149 (0.07) ** 0.071 (0.05) 病 床 数 200 ~ 299 0.302 (0.04) *** 0.386 (0.11) *** 0.093 (0.05) * 病 床 数 300 ~ 399 0.325 (0.04) *** 0.221 (0.15) 0.146 (0.04) *** 病 床 数 400 ~ 499 0.359 (0.03) *** 0.111 (0.06) ** 病 床 数 500 以 上 0.363 (0.04) *** 0.113 (0.06) * 公 立 - 0.078 (0.05) * 0.013 (0.08) - 0.066 (0.05) 医 育 - 0.094 (0.10) 0.241 (0.17) - 0.251 (0.14) * 2005 年 以 降 に 導 入 0.118 (0.03) *** 0.163 (0.05) *** 0.081 (0.04) ** 既 存 機 が 1.5 テスラ 以 下 - 0.148 (0.04) *** Pseudo R2 0.409 0.322 0.391 Log likelihood - 219.8-131.0-72.7 Obs 574 281 286 注 ) 被 説 明 変 数 は, 導 入 した MRI が 1.5 テスラ 以 上 かどうかの2 値 変 数 カッコ 内 は 標 準 誤 差 ***,**,*は 係 数 推 定 値 がそれぞれ 有 意 水 準 1%,5%,10%で 統 計 的 に 有 意 にゼロと 異 なることを 示 す 人 口 面 積 は 対 数 変 換 している 病 院 変 数 はすべてダミー 変 数 る 効 果 は 逆 方 向 となっている これは, 患 者 の ニーズ を 選 択 した 医 療 機 関 はMRIスキャナを 導 入 することそのものを 重 視 しているのに 対 し, 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 は 高 性 能 な MRIスキャナを 他 の 医 療 機 関 との 差 別 化 の 手 段 と して 用 いようとしているためかもしれない ただ
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 183 し, 医 療 機 関 選 択 の 際 に 患 者 が 機 器 の 性 能 まで 考 慮 するとは 一 般 的 には 考 えにくいため,この 対 外 イメージ とは 他 の 医 療 機 関 や 医 師 に 向 けたも のであるかもしれない 意 思 決 定 プロセスの 影 響 をみると, 院 長 理 事 長 の 意 見 が 導 入 にあたって 最 も 強 く 反 映 された 医 療 機 関 では, 高 テスラの 機 種 を 選 択 する 確 率 が 統 計 的 に 有 意 に 低 くなる これらの 医 療 機 関 の 院 長 や 理 事 長 は 経 営 者 を 兼 ねていて, 採 算 性 への 意 識 が 高 く, 高 機 能 で 高 価 な 機 器 の 導 入 により 慎 重 で あることを 反 映 していると 考 えられる また, 病 床 数 の 多 い 施 設 ほど 高 テスラ 数 の 機 種 を 導 入 する 確 率 が 高 い 大 規 模 病 院 ほど, 高 機 能 なMRIが 必 要 となる 患 者 を 診 察 する 確 率 が 高 く, しばしば 高 次 医 療 機 能 を 担 っているためであろ う 他 方 で, 公 的 機 関 では, 高 テスラの 機 種 を 選 択 する 確 率 が 統 計 的 に 低 い 公 的 機 関 は, 不 採 算 医 療 や 行 政 医 療 を 担 うことが 多 いため,より 安 価 な 機 種 を 選 定 し, 経 営 の 健 全 性 を 保 持 しようとす るからかもしれない 表 4の 第 2 列 には 新 規 導 入 のケースのみの, 第 3 列 にはそれ 以 外 のサンプルを 用 いた 推 定 結 果 を 示 している ここまで 述 べてきたような 医 療 機 関 属 性 と 機 種 との 関 係 はおおむね 新 規 導 入 のケースで もそれ 以 外 にも 当 てはまっている ただし, 最 重 要 視 した 点 との 関 係 は, 新 規 導 入 の 医 療 機 関 のほ うが 強 い 相 関 を 示 している 他 方, 新 規 導 入 以 外 のケースについては, 既 存 機 種 に1.5テスラ 以 上 の 機 種 がない 医 療 機 関 では 導 入 機 種 のテスラ 数 も 下 がる 傾 向 が 見 て 取 れる 地 域 変 数 では,1 年 前 の 2 次 医 療 圏 内 の MRI ス キャナ 導 入 施 設 数 について,1.5テスラ 以 上 のMRI スキャナを 導 入 している 施 設 数 は 統 計 的 に 有 意 に 正 の 影 響 を 持 つ 一 方 で,それ 以 外 のMRIスキャナ を 導 入 している 施 設 数 は 統 計 的 に 有 意 に 負 の 影 響 を 持 つ これは, 導 入 の 意 思 決 定 に 既 存 のMRIス キャナ 数 が 影 響 を 及 ぼすことを 示 唆 している す なわち, 周 囲 にすでに 高 機 能 なMRIスキャナがあ れば, 高 機 能 なMRIスキャナを 導 入 しなければ 患 者 を 惹 き 付 けることが 難 しく, 周 囲 に 高 機 能 な MRIスキャナが 少 なければ 高 価 な 高 機 能 機 種 は 有 効 な 投 資 先 ではないと 考 えているのかもしれな い このような 傾 向 はとくに 新 規 導 入 以 外 のケー スで 検 出 されており,このケースでは 他 の 医 療 機 関 を 意 識 した というダミー 変 数 も 統 計 的 に 有 意 に 正 の 影 響 を 持 っている すなわち,スキャナ の 更 新 あるいは 追 加 投 資 の 際 にとくに, 周 囲 の 保 有 状 況 に 配 慮 しているものと 思 われる これは, 更 新 や 追 加 投 資 が 他 の 医 療 機 関 との 競 争 の 結 果 の 1 つとして 行 われやすいためかもしれない IV MRIスキャナの 利 用 : 検 査 件 数 本 節 および 次 節 では, 導 入 されたMRIスキャナ の 利 用 稼 働 状 況 を 分 析 する 本 節 では MRI の 1 日 平 均 検 査 件 数 を 扱 い, 次 節 では 医 療 機 関 による 採 算 性 の 評 価 を 分 析 する 1 推 定 式 本 節 の 推 定 式 は,MRIスキャナの 稼 働 状 況 を 表 す1 日 あたり 平 均 検 査 件 数 ( 以 下 平 均 検 査 件 数 ) を 被 説 明 変 数 C ij とする 以 下 の 式 C ij =β x2 X 2ij +β z2 Z 2i +u 2ij (2) である 前 節 と 同 じく,X 2ij は 医 療 機 関 j の 属 性 ベ クトル,Z 2i は2 次 医 療 圏 i の 属 性 ベクトルであり, β x2,β z2 はそれぞれ 対 応 する 係 数 ベクトルである u 2ij は 誤 差 項 を 表 す 2 変 数 と 推 定 方 法 被 説 明 変 数 となっている 平 均 検 査 件 数 はアン ケート 回 収 時 での 評 価 である また, 機 器 を 複 数 台 保 有 する 医 療 機 関 には, 最 も 稼 働 率 の 高 い 機 器 についての 検 査 件 数 のみを 尋 ねているから, 医 療 機 関 の 保 有 するすべてのMRIスキャナが 対 象 では ない また, 画 像 診 断 を 専 門 に 行 う 画 像 診 断 セン ターや 公 的 機 関 および 医 育 機 関 は, 行 動 原 理 が 異 なると 考 えられるため,それらをサンプルから 除 外 した 場 合 の 推 定 も 行 った ただし, 主 な 推 定 結 果 は 変 わらなかったため, 結 果 は 報 告 していない 説 明 変 数 は 前 節 とほぼ 同 じであるが, 被 説 明 変
184 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 数 が 2008 年 時 点 での 平 均 検 査 件 数 であることか ら, 地 域 のMRIスキャナ 導 入 施 設 数 も2008 年 時 点 のものを 用 い, 導 入 年 次 を 除 外 した また, 前 節 で 被 説 明 変 数 として 用 いた 高 テスラダミー, 導 入 形 態 ダミー 16) も 追 加 している さらに,DPC を 導 入 している 場 合 を 1 とするダミー 変 数 も 追 加 し た なお, 医 療 機 関 のMRIスキャナ 導 入 時 の 意 識 やプロセスも 説 明 変 数 として 用 いているが,これ らは 直 近 の MRIスキャナ 導 入 時 についての 質 問 に 対 する 回 答 から 得 られているから, 本 稿 で は, 最 も 稼 働 率 の 良 い 機 器 の 検 査 件 数 が 導 入 年 の 最 も 新 しい 機 種 の 検 査 件 数 であると 仮 定 するこ とになる 推 定 方 法 は 2 段 階 最 小 2 乗 推 定 を 用 いる MRI スキャナのテスラ 数 は 平 均 検 査 件 数 に 影 響 すると 考 えられるが, 同 時 に, 平 均 検 査 件 数 を 予 測 して 機 種 を 選 定 したり,より 高 い 診 療 報 酬 を 得 るため 高 機 能 な 機 種 を 選 定 したりする 場 合 は,テスラ 数 が 内 生 変 数 になる 可 能 性 があるからである 除 外 される 操 作 変 数 として, 導 入 1 年 前 の2 次 医 療 圏 内 の 1.5 テスラ 以 上 の MRI を 導 入 している 施 設 数 と 導 入 していない 施 設 数 (ともに 対 数 変 換 値 ),2005 年 以 後 の 導 入 を 表 すダミー 変 数 を 用 いた これ は, 現 在 の 利 用 状 況 は 現 在 の 周 囲 の 状 況 に 依 存 す ると 考 えられる 一 方 で, 機 種 の 選 定 は 当 時 の 状 況 に 依 存 すると 考 えられるからである 3 推 定 結 果 推 定 結 果 は 表 5 に 示 されている (1) 列 は 説 明 変 数 にテスラ 数 を 含 まず,(2) 列 は 含 んでいる (2)を 2 段 階 最 小 2 乗 推 定 した 結 果 が(3)に 示 さ れている 地 域 変 数 のうち,2 次 医 療 圏 内 の 他 の 高 機 能 MRIスキャナ 保 有 施 設 数 は 統 計 的 に 有 意 に 負 の 影 響 を 持 つ これは, 周 囲 に 高 機 能 MRIスキャナを 保 有 している 施 設 がある 場 合, 検 査 がそちらで 行 われるという 効 果 を 検 出 していると 考 えられる 人 口 所 得 の 係 数 は 通 常 の 有 意 水 準 で 統 計 的 にゼ ロと 異 ならない これは,MRIによる 検 査 を 多 く 必 要 とするような 地 域 にもすでにMRIスキャナが 普 及 していることを 示 唆 するのかもしれない 導 入 時 に 最 重 要 視 した 点 をみると,とくに 患 者 ニーズ と 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 では 平 均 検 査 件 数 が 少 ない 傾 向 が 見 られる 患 者 ニーズ を 選 択 した 医 療 機 関 は,MRIスキャ ナによる 検 査 を 必 要 とする 患 者 がいることを 重 視 しており,そのような 患 者 の 多 寡 はそれほど 気 に していないのかもしれない 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 では, 前 節 でも 述 べたように, MRIスキャナは 他 の 医 療 機 関 や 医 師 に 対 しての 広 告 宣 伝 の 道 具 となっており, 実 際 の 利 用 はそれほ ど 重 視 されていないあらわれかもしれない この 負 の 係 数 は,MRIスキャナの 存 在 が 当 該 医 療 機 関 に 患 者 を 集 めたことまでも 否 定 しているわけでは ないことには 注 意 する 必 要 があろう 他 の 医 療 機 関 を 意 識 して MRI スキャナを 導 入 した 医 療 機 関 では, 平 均 検 査 件 数 が 少 なくなっ ている これは, 周 囲 の 医 療 機 関 に 対 する 競 争 意 識 から 導 入 したものの, 十 分 な 検 査 需 要 が 確 保 で きない 結 果 と 解 釈 されよう また, 病 床 数 をみると, 診 療 所 に 比 べて, 病 床 数 200 床 未 満 の 病 院 で 平 均 検 査 件 数 が 少 ない 傾 向 が 看 取 される 逆 に, 統 計 的 に 有 意 に 検 出 されて いないケースもあるが, 病 床 数 の 多 い 病 院 では 平 均 検 査 件 数 が 多 くなる 傾 向 も 認 められる 公 的 機 関 や 医 育 機 関 では 平 均 検 査 件 数 が 少 ない 傾 向 が 見 られる このことは 逆 に, 公 的 医 育 機 関 以 外 の 病 院 で 平 均 検 査 件 数 が 多 くなりがちであることを 示 している これらの 病 院 は 公 的 医 育 機 関 に 比 べて 医 業 の 収 益 性 を 気 にしているのかもしれず, そうだとすればこの 結 果 は 医 師 誘 発 需 要 や 防 衛 診 療 に 起 因 しているのかもしれない V 採 算 性 前 節 ではMRIスキャナが 用 いられる 平 均 検 査 件 数 を 被 説 明 変 数 とする 回 帰 分 析 を 行 ったが, 本 節 では, 医 療 機 関 の 主 観 的 な 採 算 性 を 被 説 明 変 数 と して 採 用 する 平 均 検 査 件 数 はMRIスキャナの 採 算 性 と 密 接 に 連 関 するものの 費 用 面 を 考 慮 してい ないから, 本 節 の 分 析 は 前 節 と 補 完 的 な 関 係 に ある
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 185 表 5 1 日 あたり 平 均 検 査 件 数 : 推 定 結 果 (1)OLS (2)OLS (3)2SLS 地 域 変 数 MRI 施 設 数 (>= 1.5T) - 0.112 (0.06) * - 0.122 (0.06) ** - 0.149 (0.08) ** MRI 施 設 数 (< 1.5T) - 0.125 (0.05) ** - 0.073 (0.05) 0.028 (0.07) 65 歳 以 上 人 口 0.261 (0.19) 0.300 (0.19) 0.289 (0.24) 15 ~ 64 歳 人 口 0.306 (0.42) 0.172 (0.40) 0.059 (0.49) 15 歳 未 満 人 口 - 0.209 (0.34) - 0.155 (0.32) - 0.141 (0.39) 面 積 0.001 (0.03) 0.013 (0.03) 0.019 (0.04) 平 均 課 税 所 得 - 0.079 (0.11) - 0.060 (0.10) - 0.013 (0.12) 医 療 機 関 変 数 最 重 要 : 採 算 性 - 0.175 (0.07) ** - 0.093 (0.07) 0.054 (0.10) 最 重 要 : 他 の 医 療 機 関 - 0.034 (0.19) 0.080 (0.20) - 0.073 (0.23) 最 重 要 : 患 者 ニーズ - 0.376 (0.08) *** - 0.286 (0.08) *** - 0.138 (0.10) 最 重 要 : 医 師 の 確 保 - 0.444 (0.11) *** - 0.219 (0.11) * 0.060 (0.28) 最 重 要 : 院 内 ニーズ - 0.066 (0.07) - 0.062 (0.07) - 0.024 (0.11) 最 重 要 : 対 外 イメージ - 0.275 (0.15) * - 0.416 (0.14) *** - 0.670 (0.19) *** 採 算 不 検 討 - 0.116 (0.06) ** - 0.148 (0.06) *** - 0.158 (0.06) ** 他 機 関 への 意 識 - 0.098 (0.08) - 0.129 (0.07) * - 0.127 (0.10) 導 入 形 態 ( 購 入 ) - 0.167 (0.06) *** - 0.102 (0.06) * 0.078 (0.08) 委 員 会 0.131 (0.06) ** 0.097 (0.06) * - 0.033 (0.09) 意 見 反 映 : 院 長 - 0.056 (0.07) 0.012 (0.07) 0.141 (0.10) 意 見 反 映 : 放 射 線 科 医 技 師 0.042 (0.06) 0.016 (0.06) - 0.019 (0.09) テスラ 数 0.587 (0.06) *** 1.524 (0.36) *** 病 床 数 20 ~ 99-0.068 (0.11) - 0.152 (0.11) - 0.317 (0.14) ** 病 床 数 100 ~ 199-0.126 (0.09) - 0.241 (0.09) *** - 0.499 (0.14) *** 病 床 数 200 ~ 299 0.352 (0.11) *** 0.094 (0.10) - 0.317 (0.22) 病 床 数 300 ~ 399 0.490 (0.10) *** 0.194 (0.10) * - 0.311 (0.22) 病 床 数 400 ~ 499 0.578 (0.10) *** 0.302 (0.10) *** - 0.189 (0.24) 病 床 数 500 以 上 0.764 (0.10) *** 0.454 (0.10) *** 0.008 (0.23) DPC 0.172 (0.06) *** 0.177 (0.06) *** 0.145 (0.09) 公 立 - 0.254 (0.06) *** - 0.251 (0.06) *** - 0.257 (0.09) *** 医 育 - 0.284 (0.11) *** - 0.322 (0.10) *** - 0.362 (0.16) ** 定 数 - 1.446 (1.02) - 1.300 (1.00) - 0.675 (1.21) 1 段 階 目 の F 統 計 量 13.64 Sargan 統 計 量 0.005 R2 0.317 0.396 0.179 観 測 値 数 722 689 558 注 ) カッコ 内 は 標 準 誤 差 ***,**,*は 係 数 推 定 値 がそれぞれ 有 意 水 準 1%,5%,10%で 統 計 的 に 有 意 にゼロと 異 なる ことを 示 す 人 口 面 積 は 対 数 変 換 している 病 院 変 数 はテスラ 数 以 外 すべてダミー 変 数 (3)で 除 外 された 操 作 変 数 は 導 入 時 の 1 年 前 の 周 囲 の MRI 保 有 施 設 数 ( 対 数 変 換 )と2005 年 以 降 に 導 入 ダミー
186 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 1 推 定 式 3 節 で 述 べたように, 本 稿 で 用 いているアン ケート 調 査 では, 調 査 時 点 でのMRIスキャナの 採 算 性 の 評 価 を 質 問 している ただし, 導 入 時 点 で 採 算 性 を 検 討 していない 医 療 機 関 に 対 しては 調 査 時 点 での 採 算 性 の 評 価 を 質 問 していない それゆ え, 本 節 での 推 定 式 は 以 下 のとおりである S ij = β x3 X 3ij +β z3 Z 3i +u 3ij (3) R ij = β x4 X 4ij +β z4 Z 4i +u 4ij (4) 推 定 式 (3)の 左 辺 S ij は, 実 際 に 機 器 の 採 算 がと れていると 回 答 したとき 1,とれていないと 回 答 したとき 0 となるダミー 変 数 である 導 入 時 点 で 採 算 性 を 検 討 していないと 回 答 した 医 療 機 関 につ いての S ij は 観 測 されない したがって,(3) 式 の 推 定 には 標 本 選 択 バイアスが 発 生 する 恐 れがあ る このバイアスを 除 去 するため, 導 入 時 点 で 採 算 性 を 検 討 したかどうかのダミー 変 数 R ij を 被 説 明 変 数 とする 選 択 方 程 式 を(4) 式 として,バイア ス を 除 去 す る た め に Heckman の 2 段 階 推 定 (Heckit)と,そのプロビットへの 応 用 であるvan de Ven and van Praag 1981 の 手 法 を 用 いる これまでと 同 じく,X 3ij,X 4ij は 医 療 機 関 jの 属 性 ベ クトル,Z 3i,Z 4i は 2 次 医 療 圏 i の 属 性 ベクトルで あり,β x3,β x4,β z3,β z4 は 対 応 する 係 数 ベクトルで ある u 3ij,u 4ij は 誤 差 項 である 2 変 数 と 識 別 アンケートに 回 答 した 医 療 機 関 が 採 算 性 を 評 価 しているのは, 直 近 に 導 入 したMRIスキャナにつ いてであり, 評 価 はアンケート 回 答 時 のものであ る サンプルサイズは 531 である 説 明 変 数 は 前 節 とほぼ 同 じである ただし, 採 算 性 に 対 する 評 価 は 主 なアンケート 回 答 者 の 属 性 にも 影 響 されるため, 主 なアンケート 回 答 者 が 院 長 または 副 院 長 の 場 合 を1とするダミー 変 数 を 追 加 した 標 本 選 択 モデルの 推 定 では, 選 択 方 程 式 (4)の 説 明 変 数 に,(3) 式 で 用 いられる 説 明 変 数 以 外 の 外 生 変 数 が 少 なくとも 1 つ 必 要 となる そこで, 対 象 となっている MRI の 導 入 1 年 前 の 2 次 医 療 圏 内 のMRI 施 設 数 と2005 年 以 降 導 入 ダミーを 選 択 方 程 式 の 追 加 的 な 説 明 変 数 として 採 用 した 3 推 定 結 果 表 6 には(3) 式 の 推 定 結 果 ( 限 界 効 果 )を 掲 げ た 1 列 目 にはHeckit,2 列 目 にはvan de Ven and van Praag 1981 の 手 法,3 列 目 には 公 的 機 関 お よび 医 育 機 関 を 除 いたときのvan de Ven and van Praag 1981 の 手 法 による 推 定 結 果 を 示 してい る Heckit は(3) 式 の 被 説 明 変 数 が 連 続 変 数 で あることを 想 定 した 推 定 手 法 であるが, 限 界 効 果 で 評 価 するとvan de Ven and van Praag 1981 の 手 法 を 用 いた 結 果 と, 効 果 の 大 きさにも 統 計 的 有 意 性 にも 大 きな 差 は 認 められないように 思 わ れる 立 地 する 2 次 医 療 圏 に 関 する 係 数 は, 多 くは 統 計 的 にゼロと 有 意 に 異 ならず,MRIスキャナを 導 入 した 医 療 機 関 の 採 算 性 への 評 価 は 地 域 要 因 には 依 存 していないことが 示 唆 される 導 入 時 に 最 重 要 視 した 点 について, 医 師 の 確 保 と 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 では 採 算 性 の 評 価 が 低 くなりやすい 前 節 までに 検 討 したように, 医 師 の 確 保 を 選 択 した 医 療 機 関 で は 低 機 能 なMRIスキャナを 導 入 する 傾 向 があり, また 平 均 検 査 件 数 も 少 なくなりがちである すな わち,このような 医 療 機 関 では 比 較 的 低 価 格 な 機 種 を 導 入 しているにもかかわらず 検 査 件 数 は 少 な く, 採 算 も 確 保 できていない 状 況 が 示 唆 される 他 方, 対 外 イメージ を 選 択 した 医 療 機 関 では 比 較 的 高 価 格 な 高 機 能 機 種 を 導 入 したものの, 検 査 件 数 が 伸 び 悩 んだために 採 算 を 確 保 しにくくなっ ていると 考 えられよう 病 床 数 との 関 係 をみると, 診 療 所 に 比 べて, 病 床 数 が 100 ~ 199 床 の 病 院 で 採 算 性 の 評 価 が 統 計 的 に 有 意 に 下 がっている 診 療 所 と 比 較 すると, これらの 比 較 的 小 規 模 な 病 院 では, 高 額 の 高 機 能 機 種 を 導 入 したものの 検 査 件 数 を 確 保 できていな いことが 採 算 性 悪 化 の 原 因 かもしれない また, サンプルから 公 的 機 関 医 育 機 関 を 除 外 した 場 合
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 187 表 6 採 算 が 確 保 できたか: 推 定 結 果 (1)Heckman 2-step (2)Heckman Probit (3)Heckman Probit ( 大 学 病 院 等 除 く) 地 域 変 数 MRI 施 設 数 (>= 1.5T) - 0.081 (0.06) - 0.077 (0.05) - 0.078 (0.05) MRI 施 設 数 (< 1.5T) - 0.034 (0.05) - 0.029 (0.04) - 0.038 (0.05) 65 歳 以 上 人 口 0.119 (0.17) 0.146 (0.15) 0.025 (0.18) 15 ~ 64 歳 人 口 0.261 (0.36) 0.148 (0.32) 0.603 (0.36) * 15 歳 未 満 人 口 - 0.238 (0.30) - 0.155 (0.26) - 0.497 (0.29) * 面 積 - 0.043 (0.03) - 0.041 (0.02) * - 0.035 (0.03) 平 均 課 税 所 得 - 0.053 (0.09) - 0.039 (0.08) - 0.113 (0.08) 医 療 機 関 変 数 最 重 要 : 採 算 性 - 0.024 (0.10) - 0.024 (0.05) - 0.012 (0.06) 最 重 要 : 他 の 医 療 機 関 0.015 (0.17) 0.006 (0.15) 0.070 (0.14) 最 重 要 : 患 者 ニーズ - 0.052 (0.08) - 0.061 (0.06) - 0.049 (0.06) 最 重 要 : 医 師 の 確 保 - 0.484 (0.18) *** - 0.430 (0.19) ** - 0.223 (0.26) 最 重 要 : 院 内 ニーズ - 0.084 (0.09) - 0.060 (0.08) - 0.028 (0.11) 最 重 要 : 対 外 イメージ - 0.279 (0.15) * - 0.233 (0.14) * - 0.166 (0.15) 他 機 関 への 意 識 - 0.078 (0.06) - 0.084 (0.04) ** - 0.098 (0.04) ** 導 入 形 態 ( 購 入 ) - 0.012 (0.06) - 0.006 (0.04) - 0.019 (0.04) 委 員 会 - 0.044 (0.06) - 0.044 (0.05) - 0.022 (0.06) 意 見 反 映 : 院 長 0.007 (0.07) 0.002 (0.06) - 0.029 (0.07) 意 見 反 映 : 放 射 線 科 医 技 師 0.033 (0.06) 0.016 (0.05) - 0.043 (0.07) 主 な 記 入 者 : 院 長 副 院 長 - 0.007 (0.06) - 0.002 (0.05) 0.000 (0.05) 病 床 数 20 ~ 99-0.003 (0.09) - 0.005 (0.08) 0.055 (0.07) 病 床 数 100 ~ 199-0.147 (0.07) ** - 0.139 (0.07) * - 0.129 (0.07) * 病 床 数 200 ~ 299-0.099 (0.10) - 0.090 (0.09) - 0.122 (0.11) 病 床 数 300 ~ 399 0.001 (0.11) 0.030 (0.09) - 0.011 (0.11) 病 床 数 400 ~ 499-0.172 (0.11) - 0.116 (0.11) - 0.372 (0.14) *** 病 床 数 500 以 上 0.148 (0.11) 0.137 (0.08) * 0.104 (0.09) DPC - 0.096 (0.07) - 0.101 (0.06) - 0.059 (0.08) 公 立 - 0.209 (0.07) *** - 0.185 (0.07) *** 医 育 - 0.315 (0.11) *** - 0.308 (0.11) *** 逆 ミルズ 比 - 0.177 (0.30) rho - 0.999-0.999 Log likelihood - 424.5-289.3 観 測 値 数 531 531 387 うち,censored 65 65 43 注 ) カッコ 内 は 標 準 誤 差 ***,**,*は 係 数 推 定 値 がそれぞれ 有 意 水 準 1%,5%,10%で 統 計 的 に 有 意 にゼロと 異 なる ことを 示 す 人 口 面 積 は 対 数 変 換 病 院 変 数 はすべてダミー 変 数
188 季 刊 社 会 保 障 研 究 Vol. 47 No. 2 には, 病 床 数 が 400 ~ 499 床 の 病 院 でも 採 算 性 の 評 価 が 統 計 的 に 有 意 に 下 がっている 民 間 医 療 機 関 では, 比 較 的 大 規 模 な 病 院 でも 検 査 件 数 が 少 な い 傾 向 にあるため, 採 算 性 に 対 する 評 価 が 下 がっ たのかもしれない 公 的 機 関 医 育 機 関 もその 他 の 医 療 機 関 に 比 べ て 採 算 性 が 低 くなりがちである この 結 果 は 平 均 検 査 件 数 が 少 ないという 前 節 の 結 果 と 整 合 的 であ るが, 公 的 機 関 医 育 機 関 は 民 間 医 療 機 関 に 比 べ て MRI スキャナを 高 額 で 購 入 している 南 部 2005 ことに 起 因 する 可 能 性 もある なのか,あるいは 稼 働 状 況 が 非 効 率 なのかに ついては 検 討 の 対 象 となっていない 日 本 の 医 療 機 器 が 過 剰 なのではなく, 他 の 先 進 各 国 で 機 器 が 過 少 である 可 能 性 も 完 全 には 否 定 できな い また,もし 医 療 機 関 の 機 種 選 定 が 周 囲 の 状 況 に 影 響 されるとすれば, 高 機 能 の 機 種 が 集 中 する 地 域 と,それほどでもない 機 種 が 集 中 する 地 域 が 生 じる 可 能 性 もあろう 望 ましい 医 療 政 策 の 立 案 にはなんらかの 基 準 に 照 らした 過 剰 過 少 の 評 価 が 必 要 となろう これらもまた, 将 来 の 課 題 で ある VI おわりに 日 本 の 人 口 あたりMRIスキャナ 設 置 台 数 の 多 さ は 国 際 的 に 抜 きんでている 本 稿 では,MRI ス キャナを 保 有 している 日 本 国 内 の 医 療 機 関 を 対 象 としたサーベイ 調 査 の 個 票 を 用 い, 医 療 機 関 の 属 性, 立 地 している 地 域 の 属 性,MRIスキャナ 導 入 時 に 重 視 した 点 や 導 入 プロセスが, 機 器 の 機 種 選 定 や 稼 働 状 況 とどのようにかかわるかを 検 討 し た その 結 果,MRIスキャナの 機 種 選 定 や 機 器 の 稼 働 状 況 は, 機 器 導 入 時 の 医 療 機 関 の 意 識, 施 設 の 規 模 などの 属 性 に 影 響 されていることが 確 認 さ れた 本 稿 の 分 析 は 病 院 と 診 療 所 の 双 方 をサンプルに 含 み, 十 分 な 大 きさのサンプルサイズを 持 ってい るが,いくつかの 問 題 点 がある 第 1 に, 調 査 の 回 答 率 は 必 ずしも 高 くなく, 回 答 の 有 無 による サンプル セレクションバイアスを 十 分 に 制 御 で きていないかもしれない 第 2 に, 導 入 時 に 最 重 要 視 した 点 は 医 療 機 関 のサーベイ 調 査 に 対 する 回 答 であるから, 真 の 選 好 とは 異 なる 可 能 性 を 否 定 できない 第 3 に, 導 入 プロセスと 導 入 機 種 稼 働 状 況 は 逆 の 因 果 をもっているかもしれないが, 計 量 経 済 学 的 な 内 生 性 の 問 題 に 十 分 対 処 できてい ないかもしれない 本 稿 の 分 析 は, 医 療 機 関 のMRIスキャナ 機 種 選 定 やその 後 の 機 器 の 稼 働 状 況 と, 医 療 機 関 や 地 域 の 属 性 との 関 連 を 検 討 したものではあるが, 国 際 的 に 見 て 非 常 に 多 い MRIスキャナ 台 数 が 過 剰 付 記 本 稿 の 作 成 に 当 たっては, 川 渕 孝 一 山 重 慎 二 林 正 義 佐 藤 主 光 高 橋 陽 子 野 口 晴 子 泉 田 信 行 の 各 先 生 から,また 匿 名 の 査 読 者 から, 貴 重 なコメントをいただいた またデータ 作 成 に 当 たっては 株 式 会 社 フリールの 協 力 を 得 た 通 常 の 留 意 を 持 って 感 謝 したい なお, 本 稿 の 内 容 はす べて 筆 者 らの 個 人 的 見 解 であり, 日 本 医 師 会 ある いは 日 本 医 師 会 総 合 政 策 研 究 機 構,フリールの 公 式 見 解 を 示 すものではない 注 1) 調 査 票 は 筆 者 より 利 用 可 能 である 2) 人 口 は 国 勢 調 査, 面 積 は 国 勢 調 査, 課 税 対 象 所 得 は 市 町 村 税 課 税 状 況 等 の 調 査,MRI スキャナ 台 数 は 月 刊 新 医 療 各 号 から 得 てい る 人 口 面 積 課 税 対 象 所 得 については,3 節 では2000 年 のもの,4 節 5 節 では2005 年 のもの を 用 いている 3) 後 述 するように, 本 稿 のアンケート 調 査 データ は2009 年 6 ~ 8 月 時 点 のものである しかし, 医 療 機 関 が 立 地 している 地 域 のデータとして2005 年 国 勢 調 査 の 情 報 を 用 いるため,その 整 合 性 を 考 慮 して 地 域 は 2005 年 の 2 次 医 療 圏 で 定 義 して いる 4) 住 所 を 特 定 できなかった 医 療 機 関 は 除 外 され ている 5) 所 在 地, 病 床 数, 標 榜 診 療 科 数, 放 射 線 科 の 有 無, 平 均 在 院 日 数, 病 床 稼 働 率, 医 業 利 益 率, 経 営 主 体 をたずねている 診 療 所 に 対 しては, 病 床 数 は19 床 以 下 であり, 規 模 も 小 さいと 考 えられ ることから 一 般 病 床 数 と 病 床 稼 働 率 は 質 問 して いない また, 病 院 の 経 営 主 体 は 病 院 情 報 か ら 入 手 できるため, 病 院 に 対 しては 経 営 主 体 を 質
Autumn 11 MRI の 導 入 と 利 用 :アンケート 調 査 による 検 証 189 問 していない 6) 質 問 文 は 導 入 ( 更 新 ) 時 に, 機 器 の 採 算 性 を 検 討 しましたか その 結 果, 採 算 の 確 保 は 見 込 めましたか であり, 選 択 肢 は, 1. 機 器 の 採 算 性 を 検 討 して, 採 算 の 確 保 が 見 込 めた 2. 機 器 の 採 算 性 を 検 討 したが, 採 算 の 確 保 が 見 込 め なかった 3. 機 器 の 採 算 性 は 検 討 していない 4.その 他 の4つである 採 算 を 検 討 した と 回 答 した 医 療 機 関 に 対 しては, 実 際 の 採 算 性 に ついても 質 問 した そのときの 選 択 肢 は, 1. 確 保 できている 2. 確 保 できていない 3. 不 明 4.その 他 の4つである 7) 質 問 文 は 導 入 ( 更 新 ) 時, 他 の 医 療 機 関 の MRI 導 入 状 況 を 参 考 にされましたか であり, 選 択 肢 は, 1. 参 考 にした 2.やや 参 考 にし た 3.あまり 参 考 にしていない 4. 参 考 にし ていない の4つである 8) 選 択 肢 は, 1. 採 算 性 2. 他 の 医 療 機 関 の 導 入 状 況 3. 患 者 のニーズ 4. 医 師 の 確 保 5. 院 内 スタッフの 要 望 6. 病 院 の 対 外 イメー ジ 7. 医 療 機 能 ( 高 度 医 療 を 担 っているなど) 8.その 他 の8つである ただし, 診 療 所 の 医 療 機 能 は 限 定 されていると 考 えられるため, 診 療 所 に 対 しては 選 択 肢 7を 提 示 していない ここか ら 順 位 をつけて2つを 選 ぶものとした 9) 導 入 検 討 委 員 会 設 置 の 有 無 と 最 も 意 見 の 反 映 された 部 局 をたずねた 後 者 についての 選 択 肢 は, 1. 病 院 長 理 事 長 2. 放 射 線 科 の 医 師 3. 放 射 線 科 以 外 の 医 師 4. 診 療 放 射 線 技 師 5. 検 査 科 技 師 6. 理 事 会 7. 導 入 検 討 委 員 会 8. 事 務 部 門 9.その 他 の9つである ただし, 診 療 所 は 規 模 が 小 さいため, 選 択 肢 5と 8は 提 示 していない 10) 選 択 肢 は, 1. 院 長 2. 副 院 長 3. 診 療 部 長 4. 放 射 線 科 医 5. 診 療 放 射 線 技 師 長 6. 事 務 長 7.6 以 外 の 事 務 員 8.その 他 の8つである ただし, 診 療 所 は 規 模 が 小 さいた め, 選 択 肢 3は 提 示 せず, 選 択 肢 6と7に 代 わり 事 務 部 門 の 選 択 肢 を 提 示 した 11) 本 稿 では 国 地 方 やその 連 合 体, 国 立 病 院 機 構 が 開 設 者 である 病 院 を 公 的 機 関 と 呼 ぶ 12) 医 療 機 関 が 持 つMRIスキャナのテスラ 数 は0.12 (2 台 ),0.2(741 台 ),0.3(756 台 ),0.35(88 台 ), 0.4(294 台 ),0.5(550 台 ),0.7(1 台 ),1(633 台 ),1.5(2,568 台 ),3(100 台 )の10 個 のうちの いずれかの 値 を 取 る(2008 年 時 点 ) テスラ 数 に よるMRIスキャナの 分 布 の 形 状 も 考 慮 して,ここ では 順 序 プロビットは 採 用 していない 13) 病 床 数 は2008 年 時 点 のもの( 九 州 地 方 は2007 年 )を 用 いており,MRIスキャナ 導 入 時 点 と 変 化 がある 可 能 性 は 否 定 できない 14) 導 入 時 に 他 の 医 療 機 関 を 参 考 にした もしく は やや 参 考 にした と 回 答 した 施 設 が1, あま り 参 考 にしなかった もしくは 参 考 にしなかっ た と 回 答 した 施 設 が0をとる 15) ( 病 ) 院 長 理 事 長 を 選 択 した 施 設, 放 射 線 科 の 医 師 もしくは 診 療 放 射 線 技 師 を 選 択 した 施 設 について,それぞれダミー 変 数 を 作 成 した 16) 購 入 ( 共 同 購 入 も 含 む)の 場 合 は1,リースの 場 合 は0となる 参 考 文 献 Acemoglu, Daron, Amy Finkelstein (2008) Input and technology choices in regulated industries: Evidence from the health care sector. Journal of Political Economy 116(5), pp.837-880. Baker, Laurence C. (2001) Managed care and technology adoption in health care: evidence from magnetic resonance imaging. Journal of Health Economics 20, pp.395-421. Calem, Paul S., John A. Rizzo. (1995) Financing constraints and investment: New evidence from hospital industry data. Journal of Money, Credit and Banking 27(4), pp.1002-1014. Chou, Shin-Yi, Jin-Tan Liu, James K. Hammitt. (2004) National health insurance and technology adoption: Evidence from Taiwan. Contemporary Economic Policy 22(1), pp.26-38. Ciliberto, Federico. (2006) Does organizational form affect investment decisions? Journal of Industrial Economics 54(1), pp.63-93. Finkelstein, Amy (2007) The aggregate effects of health insurance: Evidence from the introduction of Medicare. Quarterly Journal of Economics 122(1), pp.1-37. Fuchs, Victor R. (1996) Economics, values, and health care reform. American Economic Review 86(1), pp.1-24. Hahm, Myung-Il, Eun-Cheol Park, Sun-Hee Lee, Chung Mo Nam, Hye-Young Kang, Hoo-Yeon Lee, Woo-Hyun Cho. (2007) Pattern and factors leading to the diffusion of magnetic resonance imaging in Korean hospitals. International Journal of Technology Assessment in Health Care 23, pp.292-298. Hisashige, Akinori. (1994a) The introduction and evaluation of MRI in Japan. International Journal of Technology Assessment in Health Care 10(3), pp.392-405. (1994b) MR imaging in Japan and the United States: Analysis of utilization and economics. American Journal of Roentgenology 162, pp.507-510. Masm, Núria. Janice Seinfeld. (2008) Is managed care restraining the adoption of technology by hospitals?
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