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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

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(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

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目 次 1.はじめに 1 2. 花 粉 発 生 源 対 策 に 関 する 基 本 方 針 (1) 花 粉 発 生 源 対 策 の 現 状 と 課 題 2 (2) 花 粉 発 生 源 対 策 に 関 する 基 本 的 な 考 え 方 6 3. 花 粉 発 生 源 対 策 区 域 (1) 花 粉 症 対

とする (1) 多 重 債 務 や 過 剰 債 務 を 抱 え 返 済 が 困 難 になっている 人 (2) 債 務 整 理 を 法 律 専 門 家 に 依 頼 した 直 後 や 債 務 整 理 途 上 の 人 (3) 収 入 よりも 生 活 費 が 多 くお 金 が 不 足 がちで 借 金 に 頼

別紙3

経験発表

事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 事 業 税 は 都 道 府 県 が 所 得 ( 利 益 )に 対 して 課 税 します 1. 個 人 事 業 税 業 種 区 分 税 率 ( 標 準 税 率 ) 第 1 種 事 業 ( 物 品 販 売 業 製 造 業 金 銭 貸 付 業 飲 食 店 業 不 動


17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41


回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

Transcription:

水 稲 べんモリ 直 播 マニュアル 2016 年 版 水 稲 湛 水 直 播 の 苗 立 ちの 安 定 化 を 目 的 とした 安 価 で 簡 易 な 種 子 被 覆 法 国 立 研 究 開 発 法 人 農 業 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 九 州 沖 縄 農 業 研 究 センター

水 稲 直 播 の 問 題 苗 作 りを 行 わず 水 田 に 直 接 播 種 する 直 播 は 省 力 で 低 コストな 技 術 として 期 待 されていますが 日 本 の 直 播 の 普 及 面 積 はわずか 数 %しかありません 移 植 と 同 じ 代 かきした 水 田 に 播 種 する 湛 水 直 播 では 播 種 後 に 枯 死 してしまう 苗 立 ち 不 良 が 起 きやすく その 対 策 として 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 を 種 子 に 被 覆 することで 苗 立 ち 向 上 を 図 っています しかし この 被 覆 には 手 間 とコストがかか ります したがって 直 播 の 普 及 にはその 手 間 とコストを 削 減 する 必 要 があります モリブデンの 効 果 代 かきした 水 田 の 土 壌 中 は 酸 素 が 不 足 し その 状 態 が 続 くと 硫 安 などにも 含 まれる 硫 酸 イオンか ら 有 害 な 硫 化 物 が 生 成 し 苗 立 ちを 阻 害 していることがわかりました また その 硫 化 物 の 生 成 はモ リブデン 酸 イオンによって 抑 制 できることがわかりました そこで 硫 化 物 の 生 成 を 抑 制 するために モリブデン 酸 イオンを 放 出 するモリブデン 化 合 物 を 種 子 に 被 覆 する 本 法 を 考 案 しました モリブデン 化 合 物 の 必 要 量 は 少 ないため 資 材 費 が 安 く 種 子 被 覆 も 簡 易 です しかし モリブ デン 化 合 物 は 硫 化 物 の 生 成 を 抑 制 するだけで 種 子 の 生 育 そのものを 促 進 するわけではありませ ん 苗 立 ち 不 良 は 様 々な 要 因 で 起 きますので 酸 素 を 供 給 して 種 子 の 生 育 そのものを 促 進 する 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 を 用 いた 従 来 法 に 比 べると 苗 立 ち 向 上 効 果 は 限 定 的 です 本 法 は 従 来 法 よりも 苗 立 ち 向 上 効 果 が 優 れるのではなく 安 価 で 簡 易 な 方 法 として 位 置 づけられます モリブデンとは 記 号 Mo で 表 される 元 素 で 植 物 の 微 量 必 須 元 素 の 一 つです 要 求 量 が 少 ない 元 素 ですが 酸 性 土 壌 で 欠 乏 しやすく 肥 料 に 添 加 されることもあります 吸 収 した 窒 素 を 同 化 する 硝 酸 還 元 酵 素 やマメ 科 作 物 の 窒 素 固 定 酵 素 の 構 成 元 素 として 生 育 に 重 要 な 窒 素 栄 養 に 関 係 しています ヒトなどの 動 物 の 微 量 必 須 元 素 でもあり 尿 酸 の 生 成 造 血 作 用 体 内 の 銅 の 排 泄 などに 関 わる とされています 要 求 量 は 少 なく 欠 乏 例 はほとんど 報 告 されていません 主 要 な 形 態 であるモリブ デン 酸 イオン(MoO 2-4 )が 水 に 溶 けやすいので 蓄 積 しにくく 過 剰 症 もほとんど 報 告 されていません ただし 鉱 山 下 流 でモリブデンを 多 く 含 む 草 を 食 べた 牛 が 銅 欠 乏 を 発 症 するなど 反 芻 動 物 では モリブデンの 過 剰 摂 取 で 銅 欠 乏 が 助 長 されやすいといわれています ヒトにおいても 銅 欠 乏 を 助 長 するという 可 能 性 と 知 見 の 少 なさから 水 質 の 要 検 討 項 目 に 挙 げられています このため 環 境 への 多 量 放 出 を 行 わないよう 努 める 必 要 があります 産 業 的 には 各 種 合 金 鋼 の 添 加 剤 や 触 媒 として 利 用 されています 摩 擦 係 数 が 低 いことから 工 業 用 の 潤 滑 油 やエンジンオイルの 添 加 剤 としても 用 いられています 本 技 術 の 実 証 試 験 の 一 部 (2014~2015 年 )は 農 業 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 生 物 系 特 定 産 業 技 術 研 究 支 援 センターが 実 施 する 攻 めの 農 林 水 産 業 の 実 現 に 向 けた 革 新 的 技 術 緊 急 展 開 事 業 (うち 産 学 の 英 知 を 結 集 した 革 新 的 な 技 術 体 系 の 確 立 ) で 実 施 した 2

技 術 の 構 成 以 下 の 3 つの 資 材 (べんがら 三 酸 化 モリブデン ポリビニルアルコール)を 混 合 し 種 子 に 被 覆 します この 種 子 被 覆 を べんがらモリブデン 被 覆 略 して べんモリ 被 覆 と 呼 びます この 被 覆 し た 種 子 を 播 種 する 直 播 を べんがらモリブデン 直 播 略 して べんモリ 直 播 と 呼 びます 1. べんがら( 酸 化 鉄 Fe 2 O 3 )= 沈 みやすく 種 子 重 の 0.1 倍 重 または 0.3 倍 重 を 混 合 します 被 覆 によって 種 子 の 重 量 を 高 めるだけ ではなく 種 子 の 表 面 をべんがらで 覆 うことによって 水 に 馴 染 みませ 沈 みやすくします こ れによって 種 子 は 土 壌 に 密 着 し 露 出 した 際 も 流 亡 しにくくなります べんがらの 量 を 種 子 重 の 0.1 倍 重 とすると 資 材 量 が 少 ないので 被 覆 が 容 易 で 資 材 費 が 安 く 済 みます 一 方 べんがらの 量 を 種 子 重 の 0.3 倍 重 とすると 被 覆 の 手 間 や 資 材 費 が かかりますが 種 子 の 重 量 が 増 すため 播 種 しやすく より 流 亡 しにくい 条 件 となります 基 本 的 に 土 壌 中 に 播 種 するならば 0.1 倍 重 で 良 いと 思 います 種 子 を 土 壌 に 埋 没 させ ることが 難 しい 播 種 機 や 軽 い 乾 燥 した 種 子 を 用 いる 場 合 は 0.3 倍 重 をお 試 しください 2. 三 酸 化 モリブデン(MoO 3 )= 硫 化 物 害 を 抑 制 種 子 重 の 0.5% 重 を 混 合 します 土 壌 中 での 有 害 な 硫 化 物 イオンの 生 成 を 抑 制 します 多 くの 難 溶 性 のモリブデン 化 合 物 が 利 用 できますが 安 価 な 三 酸 化 モリブデンを 用 います 3. ポリビニルアルコール( 以 下 PVA)= 資 材 の 接 着 べんがら 重 の 1% 重 を 混 合 します 種 子 表 面 に 資 材 を 接 着 します 被 覆 種 子 を 水 に 入 れて も 崩 壊 しにくいよう 比 較 的 溶 けにくい 種 類 の PVA を 用 います 0.1 倍 重 で 被 覆 0.3 倍 重 で 被 覆 写 真 べんモリ 被 覆 種 子 3

これらを 混 合 した 資 材 を べんがらモリブデン 資 材 略 して べんモリ 資 材 と 呼 びます 混 合 済 ですぐに 利 用 できるべんモリ 資 材 が 下 記 から 購 入 できます 被 覆 資 材 量 を 種 子 の 0.1 倍 重 とした 0.1 倍 重 用 ( 被 覆 が 容 易 )と 少 し 重 くするために 0.3 倍 重 とした 0.3 倍 重 用 ( 三 酸 化 モ リブデンは 前 者 の 1/3 量 )があります 被 覆 する 量 に 合 わせた 資 材 を 選 択 してください べんモリ 0.1 倍 重 用, 10kg( 種 子 100kg 分 ) べんモリ 0.3 倍 重 用, 10kg( 種 子 33kg 分 ) 本 法 は 農 研 機 構 が 所 有 する 特 許 ( 第 5477753 号 )を 利 用 しています 実 施 には この 特 許 の 利 用 許 諾 が 必 要 です ただし 製 造 する 森 下 弁 柄 工 業 株 式 会 社 (0595-21-2636)はこの 利 用 許 諾 を 得 ており ここで 製 造 した 資 材 を 使 用 する 場 合 改 めて 利 用 許 諾 を 取 る 必 要 はありません この 資 材 の 購 入 は 下 記 にお 問 い 合 わせください 小 泉 商 事 株 式 会 社 (0229-26-2838 東 北 6 県 で 対 応 ) 井 関 農 機 株 式 会 社 ( 夢 ある 農 業 総 合 研 究 所 0297-38-7010 全 国 販 売 店 で 対 応 ) 株 式 会 社 クボタ(アグリソリューション 推 進 部 06-6648-3809 全 国 販 売 店 で 対 応 ) 現 在 他 でも 取 り 扱 いを 検 討 中 ( 電 話 番 号 順 に 記 載 ) この 資 材 を 催 芽 種 子 に 被 覆 し 土 中 播 種 します それによって べんがらによって 種 子 が 流 され にくく 三 酸 化 モリブデンによって 有 害 な 硫 化 物 の 生 成 が 抑 制 されることが 期 待 されます 従 来 法 に 比 べて 被 覆 する 資 材 量 が 種 子 の 0.1~0.3 倍 重 と 少 ない( 例 えば 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 では 種 子 の 1 倍 重 )ため 被 覆 が 容 易 で 資 材 費 が 安 価 ( 流 通 費 用 を 別 として 種 子 1kg あ たり 0.1 倍 重 では 70 円 程 度 0.3 倍 重 では 200 円 程 度 )です 硫 化 物 以 外 の 苗 立 ち 阻 害 要 因 には 効 果 がありません 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 のように 種 子 の 生 育 そのものを 促 進 するわけではなく 苗 立 ち 向 上 効 果 は 限 定 的 です また 鉄 コーティング ( 還 元 鉄 を 種 子 に 被 覆 し 錆 びさせて 固 める 方 法 )とは 異 なり スズメの 食 害 を 抑 制 する 効 果 はあり ません さらに 他 の 方 法 と 同 様 に スクミリンゴガイの 食 害 が 生 じる 水 田 での 実 施 は 困 難 です したがって 本 法 は 従 来 法 よりも 苗 立 ち 向 上 効 果 が 優 れる 方 法 ではなく 従 来 法 に 比 べて 被 覆 が 容 易 であり より 安 価 に 苗 立 ちを 確 保 するための 種 子 被 覆 法 といえます 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 と 比 較 して 資 材 量 が 少 ない( 被 覆 が 容 易 で 剥 離 が 少 なく 資 材 費 が 安 価 ) 生 育 促 進 効 果 が 無 い( 農 薬 に 該 当 しない)( 播 種 深 度 が 深 いと 生 育 が 遅 い) 鉄 コーティングと 比 較 して 土 中 播 種 ( 鉄 コーティングでは 表 面 播 種 ) 被 覆 後 に 発 熱 しない( 放 熱 管 理 が 不 要 で 催 芽 した 種 子 を 利 用 できる) スズメの 食 害 には 効 果 なし(スズメが 多 く 観 察 される 水 田 では 実 施 しない) 4

被 覆 方 法 1. 被 覆 の 時 期 = 直 播 に 近 い 時 期 被 覆 は 直 播 に 近 い 時 期 が 適 します 被 覆 から 直 播 までに 日 数 があると カビと 芽 の 伸 長 を 防 ぐ 必 要 があります 被 覆 後 種 子 の 表 面 を 乾 かし 通 気 性 の 良 い 袋 に 入 れ 米 貯 蔵 庫 などの 冷 暗 所 に 置 けば 2 週 間 程 度 保 管 できます 常 温 でも 通 気 が 良 い 暗 所 なら 1 週 間 ほど 保 管 できます 被 覆 後 に 種 子 を 薄 く 広 げて 3 日 以 上 通 風 すると 種 子 の 内 部 まで 乾 燥 します この 状 態 では 数 ヶ 月 保 管 できます(できるだけ 通 気 を 良 くし 冷 暗 所 で 保 管 ) ただし この 条 件 では 種 子 が 乾 燥 して 軽 いので 流 されやすく 種 子 は 吸 水 が 必 要 なので 生 育 が 遅 れるという 問 題 が 生 じます 2. 種 子 の 準 備 = 種 子 消 毒 して 浸 種 種 子 の 準 備 は 基 本 的 に 従 来 法 の 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 と 同 じです 播 種 量 も 従 来 法 と 同 程 度 です 種 子 消 毒 は 必 要 です 本 田 における 出 芽 を 速 めるため 浸 種 および 催 芽 を 行 い わずか に 芽 が 出 た 種 子 が 観 察 される 程 度 としてください ただし 被 覆 時 に 擦 れるほど 芽 が 伸 び 過 ぎると 苗 立 ちが 悪 くなる 可 能 性 があります 温 度 が 低 いと PVA が 溶 けにくく 被 覆 層 の 接 着 が 弱 くなるの で 種 子 を 冷 蔵 していた 場 合 は 水 に 浸 けて 常 温 に 戻 してください 3. 資 材 の 被 覆 = 従 来 法 と 同 じ 資 材 の 被 覆 方 法 は 従 来 法 の 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 とほとんど 同 じです 水 に 浸 けた 種 子 を 脱 水 し コーティングマシーンに 入 れます 直 径 90cm のマシーンでは 傾 斜 を 53 程 度 とし 一 度 に 10~15kg の 種 子 を 被 覆 できます 0.1 倍 重 ではコンクリートミキサーでも 容 易 に 被 覆 できます 種 子 に 資 材 を 少 しずつ 加 えて 回 転 させながら 霧 吹 きで 水 を 添 加 して 資 材 を 被 覆 します 水 は 種 子 が 高 速 で 落 下 する 部 分 にかけてください 従 来 法 に 比 べて 資 材 量 が 少 ないため 水 のかけ 過 ぎに 注 意 ください 被 覆 されない 部 分 ができると 播 種 時 に 空 気 を 抱 き 浮 かびやすくなりますので 被 覆 の 最 初 は 資 材 に 対 してやや 水 分 を 多 めとし 種 子 全 体 を 資 材 で 覆 います その 後 は 資 材 を 足 して 少 し 粉 が 残 る 水 分 条 件 とし 霧 吹 きで 少 し 水 を 添 加 して 粉 がなくなる 水 分 条 件 ( 鮮 やかな 赤 色 となる)とします 適 した 水 分 条 件 を 把 握 するまでは 資 材 を 少 しずつ 被 覆 すると 水 をかけす ぎた 場 合 も 修 正 できます 0.1 倍 重 では 資 材 量 が 少 ないので 被 覆 はとても 簡 単 ですが 0.3 倍 重 で は 資 材 量 が 多 く おこし のような 塊 となりやすいので 資 材 を 数 回 に 分 けて 被 覆 してください ま た 特 に 0.3 倍 重 では 仕 上 がりの 水 分 が 少 ないと 剥 離 しやすいので 十 分 湿 らせてください 被 覆 ができたら シート 上 に 種 子 を 広 げて 種 子 の 表 面 を 乾 かします ブルーシートでも 良 いです が 通 気 性 が 良 い むしろ を 用 いるとより 速 く 乾 きます また 途 中 熊 手 などで 種 子 を 混 ぜると 乾 燥 が 速 くなります 晴 天 では 30 分 程 曇 りでは 数 時 間 で 種 子 の 表 面 が 乾 きます 種 子 の 表 面 が 乾 いたら 通 気 性 が 良 い 袋 ( 通 気 性 が 悪 いと 結 露 し 腐 敗 の 原 因 になる)に 入 れ て 播 種 まで 保 管 します なお 種 子 の 内 部 まで 乾 かさない 方 が 播 種 後 の 生 育 が 速 く 水 分 による 加 重 で 流 亡 しにくいという 効 果 も 期 待 できます 5

コーティングマシーンを 用 いた 被 覆 1コーティングマシーンに 脱 水 した 催 芽 籾 を 入 れ さらに 0.05 倍 重 程 度 の 資 材 を 入 れ る 資 材 に 塊 があれば ヘラ(プラスティックの フライ 返 し)などで 潰 しておく 2コーティングマシーンを 回 して 種 子 が 速 く 落 ちる 部 分 にときどき 噴 霧 器 で 散 水 する 3 粉 状 の 資 材 が 無 くなったら 散 水 と 回 転 を 止 める 4 被 覆 した 種 子 の 上 に さらに 0.05 倍 重 程 度 ずつ 資 材 をかけて 同 様 に 付 着 させる(12 3の 繰 り 返 し) 5 被 覆 が 終 わった 種 子 を 薄 く 広 げて 乾 か す 数 時 間 から 一 晩 で 被 覆 層 が 乾 く 6 表 面 が 乾 いたら 通 気 性 のある 袋 に 入 れ て 冷 暗 所 で 播 種 まで 保 管 する 6

袋 を 用 いた 被 覆 べんモリ 被 覆 は 資 材 量 が 少 ないため 袋 の 中 で 被 覆 することも 可 能 です 種 子 と 資 材 を 入 れて 攪 拌 するために 空 気 で 膨 らませた 状 態 で 袋 を 閉 じ 手 で 上 下 に 振 盪 する 必 要 があります 重 いと 振 盪 できませんので 種 子 1kg ぐらいずつ 被 覆 してください 1. まず 種 子 表 面 の 水 分 を 調 整 します 水 に 浸 けた 種 子 を 脱 水 し 種 子 の 容 積 の 倍 ぐらいの ビニール 袋 ( 中 が 見 える 透 明 が 良 い)に 入 れます 空 気 を 入 れて 袋 を 閉 じて 袋 を 膨 らまし 種 子 を 上 下 に 振 盪 します 袋 に 水 分 が 残 らない 場 合 は 袋 に 水 分 がわずかに 付 着 する 程 度 まで 霧 吹 きで 加 水 し 再 び 振 盪 して 種 子 表 面 の 水 分 を 均 一 にしておきます 2. 次 に 種 子 全 面 が 濡 れたかを 確 認 するため 種 子 が 入 った 袋 に 種 子 が 染 まる 程 度 の 少 量 の 資 材 を 入 れて 振 盪 します 種 子 の 凹 状 の 部 分 が 染 まっていないようであれば 少 し 加 水 して 資 材 を 液 状 にし 振 盪 して 種 子 の 全 面 が 赤 色 に 染 まるようにします 3. それから 本 格 的 に 被 覆 します 資 材 を 0.05 倍 重 程 度 ずつ( 慣 れるまでは 少 量 ずつ) 加 え て 振 盪 し 被 覆 層 に 少 し 粉 が 残 る 条 件 とします そして 霧 吹 きで 加 水 して 振 盪 し 粉 がなく なる 水 分 条 件 ( 鮮 やかな 赤 色 となる)とします このように 被 覆 層 が 可 塑 的 となる 水 分 で 推 移 させながら 資 材 と 水 を 追 加 することを 繰 り 返 し 資 材 全 量 を 被 覆 します 4. 被 覆 後 の 保 管 = 蒸 れないように 集 めた 種 子 の 表 面 は 乾 いていますが 中 は 湿 っていますので カビと 芽 の 伸 長 に 注 意 ください 通 気 性 の 良 い 網 袋 で 蒸 れないように 保 管 し 被 覆 後 1 週 間 ぐらいを 目 安 に 早 めに 播 種 してください 米 貯 蔵 庫 などの 10 程 度 の 冷 暗 所 で 保 管 すれば 3 週 間 程 度 保 管 できます 長 期 間 保 管 する 場 合 は 被 覆 後 薄 く 広 げたまま 3 日 ほど 通 風 し 種 子 の 内 部 まで 乾 燥 させ 通 気 性 の 良 い 袋 に 入 れて 冷 暗 所 で 保 管 してください 冷 蔵 で 数 ヶ 月 常 温 でも 1 ヶ 月 ほどは 保 管 でき ます ただし 種 子 内 部 まで 乾 かすと 播 種 後 の 生 育 が 遅 くなるので お 薦 めできません 被 覆 自 体 に 起 因 すると 思 われる 生 育 不 良 はこれまで 確 認 していません したがって 正 常 な 発 芽 を 示 す 種 子 に 被 覆 した 場 合 被 覆 種 子 の 生 育 を 確 かめる 必 要 はないと 考 えています しかし 保 管 条 件 が 悪 いために 苗 立 ちが 悪 かったと 推 察 された 状 況 がありますので 保 管 には 注 意 を 払 って ください 保 管 条 件 に 不 安 がある 場 合 は 十 分 な 量 の 水 に 種 子 を 播 種 して 生 育 をご 確 認 ください また 直 播 で 残 った 種 子 の 一 部 を 冷 暗 所 で 保 管 しておくと 水 田 に 播 種 して 苗 立 ちが 悪 かった 場 合 には その 種 子 の 水 中 での 発 芽 を 確 認 し 種 子 に 原 因 があったかを 判 断 できます なお 資 材 に 含 まれる 三 酸 化 モリブデンは 湛 水 土 壌 中 で 種 子 周 辺 に 拡 散 して 効 果 を 発 揮 す ることを 想 定 した 量 を 配 合 しています したがって 水 分 が 少 ない 条 件 では 生 育 抑 制 を 示 します 小 さい 容 器 に 播 種 すると 特 に 根 の 伸 長 が 抑 制 される 症 状 がみられますが 異 常 ではありません 7

湛 水 直 播 1. 水 田 スズメやカモやスクミリンゴガイなどによる 食 害 を 回 避 する 効 果 はありませんので これらの 被 害 が みられない 水 田 で 実 施 してください 移 植 以 上 に 直 播 では 水 田 の 均 平 が 重 要 となります 均 平 がと れる 水 田 で 実 施 してください なお 水 田 の 減 水 深 が 大 きいほど 苗 立 ちが 良 い 傾 向 があります 減 水 深 は 2cm 程 度 を 目 安 とし 水 が 溜 まる 水 田 であれば 代 かきをしすぎないようにしてください 2. 播 種 = 浅 い 土 中 播 種 湛 水 直 播 では 土 中 に 播 種 した 方 が 鳥 害 を 受 けにくく 倒 伏 しにくく 除 草 剤 の 薬 害 も 起 きにく いなど 好 ましい 点 が 多 いのですが 肝 心 の 苗 立 ちが 良 くありません べんモリ 被 覆 種 子 は 土 壌 が 還 元 した 時 に 生 成 する 有 毒 な 硫 化 物 イオンの 生 成 を 抑 制 する 効 果 がありますが それ 以 外 の 苗 立 ち 阻 害 要 因 には 効 きません また 生 育 促 進 作 用 を 持 つ 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 に 比 べて 出 芽 が 遅 くなる 懸 念 があります そこで 出 芽 を 速 めるため 露 出 する 種 子 が 多 少 観 察 される 程 度 の 浅 めの 土 中 播 種 が 望 ましいと 考 えています 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 被 覆 種 子 用 の 土 中 播 種 機 であれば 0.5~1cm 程 度 に 浅 く 播 種 することが 望 まれます 佐 賀 県 上 峰 町 ( 灰 色 低 地 土 )では 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 被 覆 種 子 用 の 代 かき 同 時 打 ち 込 み 点 播 機 (ショットガン 播 種 機 )で べんモリ 被 覆 種 子 (0.1 倍 重 )を 直 播 しています この 方 法 は 播 種 時 に 代 かきして 土 壌 を 柔 らかくしながら その 部 分 に 種 子 を 高 速 で 打 ち 込 みます 安 定 的 に 浅 く 播 種 できるため べんモリ 被 覆 種 子 に 適 した 方 法 です 写 真 代 かき 同 時 打 ち 込 み 点 播 8

福 岡 県 筑 後 市 ( 灰 色 低 地 土 )では 鉄 コーティング 用 の 播 種 機 の 各 条 に 作 溝 器 を 付 けて でき た 1cm 程 の 溝 の 中 にべんモリ 被 覆 種 子 (0.1 倍 重 )を 播 種 し 積 極 的 な 覆 土 をしません( 以 下 作 溝 非 覆 土 播 種 と 呼 びます) ここでは 播 種 の 3 日 前 に 荒 代 2 日 前 に 植 代 をかき 播 種 前 日 の 水 を 落 とす 前 に 乗 用 溝 切 り 機 で 水 田 に 梯 子 状 に 溝 を 切 ります この 溝 によって 播 種 前 に 素 早 く 水 が 落 とせ 播 種 時 は 土 壌 を 柔 らかく 保 てるので 播 種 後 の 湛 水 で 種 子 を 埋 没 させることができます 強 制 的 に 覆 土 するよりも 均 一 に 浅 く 覆 土 できます 播 種 前 日 に 溝 切 り 溝 によって 播 種 前 に 素 早 く 水 を 落 とせる 作 溝 器 写 真 作 溝 非 覆 土 播 種 ( 溝 の 中 に 播 種 し 覆 土 しない) 9

3. 水 管 理 = 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 被 覆 種 子 と 同 じ 直 播 では 苗 立 ち 確 保 と 雑 草 抑 制 を 両 立 しなければなりません 気 候 や 作 付 けや 圃 場 の 条 件 が 多 様 であるため それぞれ 条 件 に 適 した 水 管 理 とする 必 要 があります したがって その 地 域 で 先 行 している 同 じ 土 中 播 種 である 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 被 覆 種 子 と 同 じ 水 管 理 としてください 大 まかには 寒 い 条 件 や 水 はけが 悪 い 水 田 では 苗 立 ち 確 保 を 優 先 する 必 要 があり 播 種 後 に 水 を 落 とす 落 水 出 芽 法 が 適 すると 考 えられます 一 方 暖 かい 条 件 や 水 はけが 良 い 水 田 では 雑 草 抑 制 を 優 先 する 必 要 があり 播 種 後 湛 水 し 初 期 除 草 剤 を 効 かせる 方 法 が 適 すると 考 えられます 先 に 紹 介 した 2 地 域 で 実 施 している 直 播 では 雑 草 の 抑 制 を 優 先 し 播 種 同 時 に 初 期 除 草 剤 を 散 布 して 5 日 ほどで 自 然 に 水 がなくなるような 管 理 としています 出 芽 は 4 日 ~1 週 間 ほどで 観 察 されます もしも 降 雨 によって 自 然 に 水 が 無 くならない 場 合 は 苗 立 ち 不 良 のおそれがあるので 強 制 落 水 が 必 要 です 一 方 土 壌 が 乾 いたら 一 時 的 に 水 を 流 す 間 断 灌 水 をしてください 1 葉 期 になったら 湛 水 して 水 位 が 安 定 したら 次 の 除 草 剤 を 散 布 します 除 草 剤 の 使 用 は 基 本 的 にこの 2 回 で 済 んでいますが さらに 草 が 残 った 場 合 は 茎 葉 処 理 剤 を 散 布 します 溝 に 播 種 除 草 剤 散 布 湛 水 自 然 落 水 間 断 灌 水 湛 水 除 草 剤 散 布 代 かき 数 日 後 表 面 が 柔 らかい 状 態 の 水 田 に 1cm 深 程 の 溝 を 作 って 播 種 し 湛 水 し て 除 草 剤 を 散 布 します その 後 自 然 に 落 水 させます 土 壌 が 乾 いたら 間 断 灌 水 を 行 い ます 1 葉 期 になったら 湛 水 して 除 草 剤 を 散 布 します 図 作 溝 非 覆 土 播 種 における 管 理 の 例 スクミリンゴガイが 生 息 する 水 田 では 芽 が 食 べられるため 湛 水 直 播 は 困 難 です ただし 前 年 が 大 豆 作 であった 水 田 では 個 体 数 が 少 なくなるため 実 施 できる 可 能 性 があります 水 があるとス クミリンゴガイが 活 発 に 活 動 しますので なるべく 落 水 条 件 で 出 芽 させるようにしてください スズメが 多 い 水 田 では 食 害 が 発 生 します スズメが 見 られた 場 合 水 を 浅 く 張 ることで 回 避 できる 場 合 があります ただし 水 を 張 ることで 生 育 が 遅 れたり 苗 立 ちが 不 良 となる 場 合 があります 圃 場 の 一 部 が 苗 立 ち 不 良 となった 場 合 その 回 復 を 待 って 落 水 期 間 を 長 くすると 除 草 剤 の 散 布 が 遅 れて 雑 草 による 収 量 低 下 が 起 きる 可 能 性 があります また 落 水 期 間 が 長 くなると 肥 料 成 分 が 流 亡 し 収 量 が 低 下 する 可 能 性 があります 分 げつが 旺 盛 な 暖 地 では 少 々の 苗 立 ち 不 良 はあまり 気 にすることなく 雑 草 害 や 肥 料 流 亡 を 起 こさないように 適 期 に 湛 水 してください 10

失 敗 しないために 基 本 技 術 湛 水 直 播 では 水 田 の 均 平 を 高 め 一 定 の 深 さに 精 度 よく 播 種 し 細 やかな 水 管 理 が 必 要 で す 本 技 術 は 従 来 法 ( 過 酸 化 カルシウム 粉 粒 剤 ) 以 上 の 苗 立 ち 向 上 効 果 を 持 ちませんので 基 本 的 な 技 術 は 必 須 です 湛 水 直 播 の 経 験 がない 場 合 は 経 験 者 の 指 導 を 受 けてください 食 害 湛 水 直 播 全 般 にいえることですが 鳥 害 ( 播 種 後 種 子 をスズメやカモなどに 食 べられる)が 起 きることがあります( 鉄 コーティングはスズメに 比 較 的 強 いとされる) 基 本 的 に 鳥 害 を 受 ける 可 能 性 を 無 くすことは 難 しいです 鳥 害 が 発 生 する 水 田 は 一 部 ですが 著 しい 被 害 となることがあ ります できるだけ 鳥 害 を 受 けにくい 水 田 で 実 施 し 播 種 後 は 異 変 がないか 注 意 してください 土 壌 中 に 播 種 しても 田 面 に 水 が 無 いと スズメは 幼 植 物 を 抜 いて 種 子 を 食 べる 場 合 があり ます スズメは 人 家 に 近 い 水 田 で 多 く 寒 くて 食 べ 物 が 少 ない 時 期 に 被 害 が 出 やすいです ス ズメの 食 害 は 水 田 の 湛 水 で 回 避 できますが 湛 水 で 出 芽 が 遅 れ 悪 くなる 傾 向 があります より 大 きい 鳥 の 食 害 を 回 避 することは 困 難 です カモの 食 害 は 水 深 が 深 いと 発 生 しやすいで す 湛 水 は 水 を 浅 めに 張 るとともに カモを 見 掛 けた 場 合 はすぐに 水 を 落 としてください スクミリンゴガイが 生 息 する 水 田 では 出 芽 時 に 湛 水 となると 食 害 が 発 生 します 前 年 大 豆 作 とした 水 田 は 生 息 数 が 少 なく 実 施 できる 可 能 性 があります 出 芽 時 の 落 水 を 徹 底 ください 種 子 わずかに 発 芽 がみられる 程 度 まで 十 分 に 催 芽 してください これによって 出 芽 が 速 まり 苗 立 ちが 安 定 します その 結 果 除 草 剤 を 早 く 散 布 でき 雑 草 害 も 抑 えられます 一 方 催 芽 した 種 子 は 質 が 低 下 しやすいので 早 く 播 種 してください 保 管 中 は 蒸 れないよ うにして できるだけ(1 週 間 を 超 える 場 合 は 必 ず) 米 貯 蔵 庫 などの 低 温 庫 に 入 れてください 原 因 不 明 の 苗 立 ち 不 良 は 種 子 の 劣 化 による 可 能 性 が 高 いと 思 われます 苗 立 ち 不 良 が 起 きた 場 合 は 種 子 の 劣 化 が 起 きていないか 残 った 種 子 の 発 芽 を 確 認 してください 被 覆 資 材 の 付 着 が 弱 く 粉 が 剥 離 すると 播 種 器 のロールに 詰 まり 知 らぬ 間 に 播 種 量 が 減 少 することがあります 被 覆 時 に 十 分 な 水 を 加 えて 資 材 をしっかり 種 子 に 付 着 させてください 水 田 本 法 では 出 芽 までに 田 面 の 水 が 無 くなることを 想 定 しています 雨 が 続 いて 水 が 溜 まる 場 合 は 強 制 的 に 排 水 してください 水 溜 まりが 残 った 場 合 苗 立 ちが 不 良 となる 傾 向 があります 事 前 にレベラーをかけたり 凹 状 にならないように 代 かきをして 田 面 を 均 平 にしてください 水 が 抜 けにくい 水 田 は 苗 立 ちが 不 良 となる 傾 向 があるので 過 度 に 代 かきしないでください 除 草 剤 が 効 く 範 囲 で 日 減 水 深 は 大 きい 方 が 良 く 2cm 程 が 好 ましいと 思 います スズメの 食 害 の 回 避 などの 理 由 で 湛 水 のままで 経 過 した 場 合 根 が 表 面 に 出 て 幼 植 物 が 倒 れやすくなります その 場 合 食 害 を 受 けない 段 階 で 水 を 落 とせば 幼 植 物 は 活 着 します 局 所 的 に 苗 立 ち 不 良 となった 場 合 苗 立 ち 向 上 を 待 って 長 く 水 を 落 とすと 雑 草 害 や 肥 料 流 亡 によって 収 量 が 低 下 することが 考 えられます 全 体 を 考 慮 し 適 切 に 水 管 理 してください 11

留 意 事 項 モリブデンによる 苗 立 ち 改 善 効 果 は 土 壌 の 化 学 的 性 質 の 改 善 に 起 因 し 農 薬 取 締 法 で 定 義 されている 農 産 物 等 の 生 理 機 能 の 増 進 に 該 当 せず 農 薬 取 締 法 の 適 用 を 受 けません べんがら 三 酸 化 モリブデン(0.1 倍 重 の 場 合 )は 労 働 安 全 衛 生 法 において 名 称 等 を 通 知 しな ければならない 対 象 物 質 となります 資 材 に 添 付 された 危 険 有 害 性 等 の 情 報 をよく 読 み 取 り 扱 いにおいては 防 じんマスクなどの 保 護 具 を 着 用 してください モリブデンは 生 物 に 必 要 な 必 須 元 素 ですが 過 剰 害 が 生 じることも 知 られています このため 不 要 となった 資 材 や 被 覆 した 種 子 は 環 境 に 廃 棄 せず 廃 棄 物 として 処 分 ください モリブデンは 作 物 に 必 要 な 微 量 要 素 で 肥 料 としても 施 用 されます 作 物 でモリブデン 欠 乏 が 生 じた 際 は モリブデン 酸 アンモニウムやモリブデン 酸 ナトリウムが 50g/10a 程 度 ( 三 酸 化 モリブ デンで 30~40g/10a 相 当 ) 施 用 されます 一 方 で 作 物 がモリブデンを 過 剰 に 吸 収 し 収 穫 物 のモリブデン 含 量 が 上 昇 すると 特 に 牛 などの 反 芻 動 物 が 収 穫 物 を 食 べたときに 銅 欠 乏 を 引 き 起 こす 過 剰 症 が 起 きることが 知 られています 本 法 におけるモリブデンの 使 用 量 は 播 種 量 を 3kg/10a とすると 三 酸 化 モリブデンで 15g/10a となり 欠 乏 の 対 策 で 施 用 する 量 よりは 少 なくな っています また 本 法 の 実 施 で 得 られた 収 穫 物 ( 玄 米 やわら)のモリブデン 含 量 は 十 分 に 低 く 本 法 の 実 施 で 有 意 に 上 昇 した 結 果 は 得 られていません したがって モリブデンの 過 剰 症 が 生 じる 可 能 性 は 低 いと 考 えられます しかし 長 期 的 な 連 用 による 影 響 はまだ 十 分 に 調 べることが できていません このため 今 後 連 用 時 の 収 穫 物 を 調 査 していきたいと 思 います 執 筆 者 国 立 研 究 開 発 法 人 農 業 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 九 州 沖 縄 農 業 研 究 センター 水 田 作 研 究 領 域 原 嘉 隆 (2016 年 2 月 24 日 ) ( 本 資 料 に 関 するお 問 い 合 わせ 先 ) 農 研 機 構 九 州 沖 縄 農 業 研 究 センター 広 報 普 及 室 861-1192 熊 本 県 合 志 市 須 屋 2421 TEL:096-242-7682 FAX:096-242-7543 E-mail : q_info@ml.affrc.go.jp ホームページ : www.naro.affrc.go.jp/karc 12