小 林 クリニック 外 来 看 護 部
糖 尿 病 糖 尿 病 とは 食 事 で 摂 った 糖 質 をうまくエネルギーとして 活 用 できず 血 液 中 のブドウ 糖 の 濃 度 ( 血 糖 値 )が 慢 性 的 に 高 くなる 状 態 を 言 います ブドウ 糖 を 細 胞 内 に 取 り 込 んでエネルギーに 変 えるには 膵 臓 から 分 泌 されるインスリンが 必 要 ですが その 分 泌 量 が 少 なくなったり 働 きが 悪 くなったりして 起 こります ブド ウ 糖 をエネルギーにできなくなるので 体 はエネルギー 不 足 になり 血 液 中 にブドウ 糖 がたくさん 残 るため 血 糖 値 は 高 い 状 態 が 続 き ます 長 い 間 高 血 糖 状 態 が 続 くと 全 身 に 悪 影 響 を 及 ぼします 糖 尿 病 の 診 断 基 準 ブドウ 糖 負 荷 試 験 を 行 います 空 腹 時 血 糖 値 ブドウ 糖 を 飲 んで2 時 間 後 の 血 糖 値 空 腹 時 血 糖 値 ブドウ 糖 を 飲 んで2 時 間 後 の 血 糖 値 126mg/dl 以 上 200mg/dl 以 上 だと 糖 尿 病 です 110mg/dl 以 下 140mg/dl 以 下 だと 正 常 です その 中 間 の 場 合 は 境 界 型 と 診 断 されています 境 界 型 は 糖 尿 病 になりかかって いると 考 えて 注 意 してください
1 型 糖 尿 病 2 型 糖 尿 病 大 きく 分 けて 生 活 習 慣 とは 無 関 係 の1 型 遺 伝 子 と 生 活 習 慣 による2 型 タイプがあります 日 本 人 のほとんどは2 型 糖 尿 病 です 1 型 (インスリン 依 存 型 糖 尿 病 ) 2 型 (インスリン 非 依 存 型 ) 原 因 ウイルス 感 染 などでランゲルハ ンス 島 が 破 壊 されてインスリン の 分 泌 量 が 減 ってしまい 発 病 す る( 生 活 習 慣 とは 無 関 係 ) 遺 伝 的 要 素 に 食 べ 過 ぎや 肥 満 な ど 生 活 習 慣 が 加 わってインスリ ンの 量 が 少 なくなったり 働 き が 悪 くなって 発 病 する 年 齢 子 供 や 若 い 世 代 に 発 病 する 事 が 多 い 中 高 年 齢 層 に 多 い 進 行 速 度 急 速 に 進 行 する ゆっくり 進 行 する 体 型 やせ 型 に 多 い 肥 満 型 が 多 い 治 療 インスリン 治 療 が 必 要 食 事 療 法 と 運 動 療 法 が 基 本 合 併 症 糖 尿 病 で 一 番 怖 いのは 合 併 症 です 長 い 間 血 糖 値 が 高 いま までいると 様 々な 合 併 症 が 重 なって 現 れます 合 併 症 の 初 期 は 自 覚 症 状 が 無 く ある 日 突 然 現 れ 最 悪 の 場 合 は 命 に 関 わっ たり 生 活 の 質 を 激 しく 低 下 させる 事 になります 血 糖 値 が 長 い 間 高 い 状 態 が 続 く 事 が 原 因 で 毛 細 血 管 が 冒 されます 1 神 経 障 害 手 足 のしびれや 違 和 感 などの 症 状 が 現 れ 進 行 すると 痛 みな どの 感 覚 が 鈍 くなります そのため 足 の 指 などの 傷 に 気 づかず 化 膿 して 壊 疽 が 起 こり 切 断 を 余 儀 なくされる 場 合 もあります
2 網 膜 症 眼 の 底 にある 網 膜 の 毛 細 血 管 が 閉 塞 したり 破 れたりします 進 行 すると 視 力 が 低 下 し 失 明 に 至 ります 3 腎 症 腎 臓 にある 毛 細 血 管 のかたまり 糸 球 体 が 冒 され 腎 臓 の 機 能 が 低 下 してタンパク 尿 が 出 ます 放 置 するとむくみが 現 れ 腎 不 全 へと 移 行 し 最 終 的 には 透 析 治 療 が 必 要 となります 4 太 い 血 管 がダメージを 受 ける 合 併 症 もあります それが 動 脈 硬 化 です 動 脈 硬 化 は 脳 卒 中 や 心 筋 梗 塞 などの 病 気 の 元 凶 となり 肥 満 高 血 糖 高 血 圧 高 脂 血 症 などが 重 なった 状 態 は 脳 卒 中 や 心 筋 梗 塞 になるリスクが 非 常 に 高 くなります 自 覚 症 状 糖 尿 病 の 初 期 にはほとんど 自 覚 症 状 がありません 自 覚 症 状 が 現 れる 頃 は 発 病 から 数 年 を 経 過 しており 危 険 な 状 態 です 症 状 としては 1 目 立 ってやせてきた 2のどが 渇 く 3 尿 の 回 数 が 増 えた 4 手 足 がしびれる 5 便 秘 下 痢 6 立 ちくらみがする 7 甘 い 物 がほしくなる 8 食 欲 が 出 てきた 9 疲 れやすい だるい
予 防 糖 尿 病 の 場 合 遺 伝 はなりやすい 体 質 であり 病 気 そのものでは ありません 生 活 習 慣 の 改 善 により 発 病 を 防 ぐ 事 ができます 肥 満 の 人 はインスリンの 働 きが 悪 くなり 高 血 糖 になりがちです 肥 満 を 解 消 して 糖 尿 病 を 防 ぎましょう 適 正 体 重 を 調 べて 肥 満 を 予 防 しましょう BMI(ボディ マス インデックス)という 体 格 指 数 を 紹 介 します BMIの 求 め 方 BMI= 体 重 (Kg) { 身 長 (m) 身 長 (m)} 例 えば 身 長 160Cm 体 重 55Kgの 場 合 55 (1.6 1.6)= 約 21.5 B M I <18.5 18.5 ~<25 25 ~<30 30 ~<35 35 ~<40 40 ~ 判 定 基 準 やせ 普 通 肥 満 1 度 肥 満 2 度 肥 満 3 度 肥 満 4 度 BMI 25 以 上 が 肥 満 です 標 準 である20~24を 目 指 しましょう 標 準 体 重 身 長 (m) 身 長 (m) 22 1 日 に 必 要 なカロリーの 求 め 方 軽 い 仕 事 の 人 25~30 標 準 体 重 中 等 度 の 仕 事 の 人 30~35 = 1 日 に 必 要 なカロリー 量 重 い 仕 事 の 人 35~40
歩 いて 運 動 不 足 を 解 消 しましょう 体 内 の 脂 肪 を 減 らすには 体 を 動 かす 事 が 大 切 です 筋 肉 な どの 細 胞 が 血 液 中 のブドウ 糖 を 利 用 するので 血 糖 値 が 下 が る 効 果 もあります 始 めやすく 続 けやすいウォーキングが 最 適 です 1000 歩 は 時 間 にして10 分 です 20 分 以 上 歩 く 事 が 効 果 的 です
食 事 療 法 正 しい 食 生 活 の 基 本 は 過 食 せずバランスよく 食 べる 事 です カロリーの 摂 り 過 ぎは 血 糖 値 が 高 くなり インスリンの 負 担 が 大 きくなります 食 事 を 抜 くと 次 の 食 事 で 過 食 しがちで 血 糖 値 のリズムも 狂 ってしまうので 3 食 規 則 正 しくとりましょ う 基 本 的 なカロリー 計 算 がわからない 場 合 は 当 院 にて 栄 養 指 導 も 行 っています また 食 品 交 換 表 を 利 用 するのも 良 い 方 法 です
外 食 の 時 の 工 夫 外 食 はカロリーが 高 く 主 食 や 油 の 量 が 多 く 野 菜 が 少 なく 塩 分 が 高 いなどの 特 徴 があります 外 食 をする 時 は 主 食 と 主 菜 を 兼 ねる 丼 物 や 一 皿 料 理 より 主 食 主 菜 副 菜 汁 物 がそろ った 和 定 食 がお 勧 めです ご 飯 はあらかじめ 少 し 減 らしてもら うか 少 し 残 しましょう 油 を 多 く 使 った 料 理 や 高 カロリーの 料 理 は 食 べる 頻 度 を 減 らすか 残 すようにしましょう 糖 尿 病 の 検 査 尿 糖 検 査 基 準 値 (-) 尿 に 糖 が 出 ているか 検 査 します 食 後 2 時 間 後 の 尿 が 最 適 です 定 量 検 査 基 準 値 1 日 40~85mg 24 時 間 の 尿 をためて ブドウ 糖 の 量 を 検 査 します 血 液 検 査 基 準 値 70~110mg/dl 要 注 意 120mg/dl 以 上 50mg/dl 以 下 血 糖 は 食 後 2~3 時 間 後 に 食 前 値 に 戻 ります 糖 尿 病 の 人 は 空 腹 時 でも 高 く 食 後 上 がりやすく また 戻 りにくくなります ブドウ 糖 負 荷 試 験 基 準 値 空 腹 時 110mg/dl 未 満 120 分 後 140mg/dl 未 満 75gのブドウ 糖 を 飲 み 血 糖 値 の 変 化 を 調 べます ヘモグロビン 検 査 (HbA1C) 基 準 値 5.6% 以 下 過 去 1~2ヶ 月 前 までさかのぼっての 血 糖 の 状 態 をみる 事 が できます 糖 尿 病 と 診 断 されたら 定 期 的 に 血 液 検 査 を 受 けましょう 境 界 型 と 診 断 されても 徐 々に 悪 化 するだけでなく 動 脈 硬 化 を 起 こ しやすい 事 がわかってきました 境 界 型 は 糖 尿 病 の 進 む 途 中 の 状 態 であると 認 識 し 生 活 習 慣 を 改 善 すると 共 に 3~6ヶ 月 毎 に 検 査 を 受 けましょう
服 薬 治 療 食 事 と 運 動 の 努 力 をしているにもかかわらず 血 糖 値 が 十 分 にコントロールできない 場 合 薬 を 併 用 していきます ヘモグ ロビン 値 6.5% 以 上 が 薬 を 使 い 始 める 目 安 となります 薬 は 大 きく 分 けて 飲 み 薬 とインスリン 注 射 の2 種 類 です どちらも 血 糖 値 を 下 げるもので 糖 尿 病 そのものを 治 す 薬 ではありません 食 事 療 法 と 運 動 療 法 をきちんと 行 ってこそ 薬 の 効 果 も 高 まりま す 症 状 にあった 作 用 の 薬 が 処 方 されます 1インスリンの 分 泌 を 促 す 薬 膵 臓 のランゲルハンス 島 を 刺 激 してインスリンの 分 泌 を 促 す もので 分 泌 が 悪 い 人 に 使 われます 効 き 目 が 強 い 物 は 低 血 糖 を 起 こしやすいという 特 徴 があります 2インスリンの 働 きをよくする 薬 低 下 しているインスリンの 働 きをよくして ブドウ 糖 を 組 織 内 に 吸 収 しやすくします 3 糖 質 の 吸 収 を 遅 らせる 薬 糖 質 の 分 解 を 抑 えて 血 糖 値 の 上 昇 をゆるやかにします 食 後 の 血 糖 値 が 高 い 人 に 使 われます この 他 合 併 症 がある 場 合 は その 症 状 を 改 善 する 薬 が 使 わ れます 服 薬 の 注 意 1 服 用 の 時 間 ( 食 前 食 後 )を 守 る 2 自 分 で 調 節 しない 3 飲 み 忘 れを 防 ぐ 4 飲 み 忘 れた 時 いつもの2 倍 飲 んだり 間 隔 をあけずに 飲 んだりしない 5 飲 み 忘 れが 多 い 時 は 主 治 医 に 相 談 する 6 主 治 医 薬 剤 師 の 指 示 に 従 う
インスリン 注 射 を 始 める 時 は 飲 み 薬 を 使 っても 十 分 に 血 糖 値 がコントロールできない 場 合 インスリン 注 射 が 必 要 になります 体 の 外 からインスリンを 補 う 事 で 血 糖 値 を 下 げるものです 継 続 的 にインスリン 注 射 が 必 要 な 人 飲 み 薬 を 使 っても 血 糖 値 が 高 い 人 重 い 肝 障 害 や 腎 障 害 があり 飲 み 薬 を 使 う 事 ができない 人 低 血 糖 とは 薬 が 効 きすぎて 血 糖 値 が 下 がりすぎ 長 く 続 くとけいれんを 起 こしたり 意 識 を 失 う 事 があります もし 起 こったら 軽 い うちに 対 処 する 事 が 大 切 です 症 状 1 強 い 空 腹 感 2けだるくなる 3 発 汗 4 手 足 のふるえ 5めまい 6 手 足 のけいれん 7 頭 痛 8 動 機 9 頭 がぼんやりする 10 意 識 を 失 う 低 血 糖 が 起 きたら 軽 いうちは 糖 分 を 摂 ると 治 まります 砂 糖 飴 チョコレー ト ジュースなど 糖 分 を 含 んだものを 摂 り 10~15 分 安 静 にします それでも 良 くならない 時 はすぐに 病 院 へ 行 きましょ う 低 血 糖 が 起 こるのはこんな 時 です 1 食 事 を 抜 いたり 減 らしたりしたのに 薬 は 通 常 の 量 を 服 用 した 2 薬 の 量 や 飲 む 時 間 を 守 らなかった 3 激 しい 運 動 をした 4 食 事 の 間 隔 があきすぎて 空 腹 の 状 態 が 続 いた
治 療 の 継 続 が 大 切 せっかく 治 療 を 始 めても 悪 くないから 大 丈 夫 自 覚 症 状 がないから と 中 断 してしまう 人 が 少 なくありません また 自 分 の 判 断 で 薬 の 服 用 をやめたり 注 射 をしなかったりする 人 もいます 糖 尿 病 の 治 療 は 守 らなければいけない 事 が 多 く 続 けるには 根 気 がいります しかし 合 併 症 が 現 れてからでは 症 状 を 改 善 する 事 は 難 しくなります 根 気 よく 治 療 を 続 けて 合 併 症 を 防 ぎましょう 治 療 期 間 が 長 い 病 気 ですから 気 になる 事 はお 気 軽 にご 相 談 下 さい お 大 事 にしてください