www.pwc.com/jp/advisory Case Study; Strategic Product Development
半 導 体 露 光 装 置 の 分 野 で 世 界 をリードする の 少 人 数 のキーパーソンによるマネジメントと 性 能 追 求 型 の 製 品 開 発 で 躍 進 を 遂 げて きた 同 カンパニーは 成 長 とともに 人 依 存 技 術 依 存 型 のマネジメントに 限 界 を 感 じるようになった さらにグローバル 化 に 伴 う 顧 客 ニーズの 変 化 や 海 外 競 合 企 業 の 台 頭 にも 直 面 する そこで プライスウォーターハウスクーパース( 以 下 PwC)の 協 力 を 得 て 製 品 ライ フサイクルマネジメントにおけるPDCAプロセスの 大 改 革 に 踏 み 切 った この 取 り 組 みが 社 内 の 意 識 改 革 の 契 機 となり 競 争 力 強 化 に 向 けて 大 きな 一 歩 を 踏 み 出 している
過 去 の 成 功 体 験 に 基 づいた 製 品 開 発 プロジェクト 遂 行 の 限 界 ニコンの が 世 界 市 場 をリードしてきた 半 導 体 露 光 装 置 の 開 発 スタート は 1970 年 代 後 半 に 遡 る 当 初 はわずか 数 人 のエンジニアを 核 に 構 成 される 小 さな 組 織 だったが 強 力 なリーダーシップのもと 1980 年 代 から 急 激 な 成 長 を 遂 げ 成 功 体 験 を 重 ねてきた プロジェクトがエンジニア 中 心 かつ 性 能 追 求 型 になる 背 景 には 各 顧 客 向 けの 仕 様 に 基 づいて 長 期 的 に 開 発 を 行 う 製 品 の 特 性 があった 半 導 体 の 性 能 を 大 きく 左 右 する 露 光 装 置 は 数 十 億 円 という 非 常 に 高 額 な 製 品 です 3 ~ 5 年 後 の 市 場 予 測 に 基 づいて 国 家 プロジェクトにも 相 当 する 額 の 製 品 を 当 社 の 責 任 において 開 発 するため 技 術 者 は 高 い 自 負 と 責 任 感 行 動 力 でこの 仕 事 を 担 って きました と 同 社 の 取 締 役 兼 専 務 執 行 役 員 で プレジデントの 牛 田 一 雄 氏 は 語 る しかし このようにして 高 いスキルを 備 えたキーパーソンが 主 体 となってマネジメント が 行 われてきた 事 業 も 急 激 な 成 長 に 伴 う 組 織 の 拡 大 によって 新 たな 課 題 が 顕 在 化 するようになる 顧 客 に 特 化 した 高 額 製 品 を 開 発 する 中 では 品 質 / 性 能 が 優 先 さ れる 傾 向 が 特 に 強 く コストも 含 めた 競 争 力 確 保 という 意 識 をあらためて 徹 底 する 必 要 があった 外 的 環 境 においても 微 細 化 の 進 行 やウエハサイズの 変 更 などの 技 術 革 新 半 導 体 生 産 拠 点 のグローバル 化 に 伴 う 顧 客 要 求 といった 変 化 があり 製 品 競 争 力 をつけた 海 外 競 合 企 業 の 台 頭 に 圧 され ついに 市 場 シェアの 低 下 に 直 面 する この 状 況 を 打 開 するため 過 去 の 成 功 体 験 に 基 づいた 人 依 存 かつプロダクトアウト 的 思 考 による 製 品 開 発 の 見 直 しを 図 る 必 要 があった 少 人 数 のキーパーソンに 依 存 するマネジメントから 脱 却 するべき 時 期 が 来 ていました 経 験 を 頼 りに 少 人 数 で 大 きな 組 織 を 動 かそうとすると コミュニケーション 不 足 によ る 判 断 ミスや 市 場 ニーズ 対 応 の 遅 延 が 発 生 し 最 終 的 には 製 品 の 出 荷 時 期 に 影 響 し ます このようなリスクを 排 除 し いつ 誰 が 何 を 判 断 する というポイントが 明 確 に 見 える 化 されたPDCAサイクルを 実 現 したいと 考 えました ( 牛 田 氏 ) 取 締 役 兼 専 務 執 行 役 員 プレジデント 企 画 部 ゼネラルマネジャー 企 画 部 プロジェクト 事 務 局 長 企 画 部 マーケティング 課 主 幹 牛 田 一 雄 氏 小 田 島 匠 氏 根 来 克 彦 氏 湯 澤 康 氏 Case Study Strategic Product Development 1
1プロセス:PDCAプロセスの 構 築 と 重 要 意 思 決 定 会 議 の 定 義 実 施 製 品 企 画 から 量 産 サポートに 至 るまでの プロセスとチェックすべきタイミング 内 容 を 定 義 PDCAプロセスに 則 って 実 施 すべ き 会 議 体 を 定 義 2ルール: 社 内 規 程 の 改 定 と 商 品 企 画 項 目 定 義 / 項 目 別 管 理 方 法 の 整 備 4 種 類 の 社 内 規 程 を 改 定 12 種 類 の 社 内 規 程 を 新 規 作 成 各 重 要 意 思 決 定 会 議 にて 報 告 すべき 事 項 を 定 義 各 項 目 ごとに 計 画 立 案 プロセスおよ びモニタリングプロセスを 可 視 化 3 組 織 :プロダクトチーム(PT)/ライフサ イクル 管 理 チーム(LCT)の 組 成 開 発 生 産 企 画 営 業 マーケティング 調 達 品 質 等 各 部 門 からメンバーを 選 抜 し 約 90 人 規 模 (PT70 人 強 LCT10 数 人 )の チームを 編 成 ライフサイクルPDCAプロセスの 構 築 プロセス ルール 組 織 の 面 からPDCAサイクルの 基 盤 を 確 立 そこで は ビジネスの 根 幹 に 関 わる 製 品 ライフサイクルPDCAマネジ メント の 変 革 に 着 手 コンサルティング パートナーに 採 用 されたのが 既 に 映 像 カ ンパニーにおいてプロジェクト 実 績 を 持 つPwCだった プロジェクトは2008 年 4 月 に 開 始 され PwCの 協 力 のもと 左 記 3つの 領 域 で 業 務 改 革 が 実 施 された 最 初 に 状 況 把 握 にあたる 現 状 マネジメントモデル 診 断 を 実 施 この 結 果 製 品 ライフサイクルで 起 こる 問 題 について 必 要 となる 部 署 や 人 への 情 報 共 有 や 影 響 度 や 対 処 に 関 する 優 先 度 の 評 価 が 不 十 分 であるという 課 題 が 明 らかになった これ に 対 応 する 形 で 問 題 の 早 期 発 見 や 組 織 間 での 共 有 ( 見 える 化 ) 適 切 な 対 応 策 の 検 討 とリソース 配 分 初 期 段 階 での 問 題 把 握 による 早 期 解 決 など 目 指 すべきゴールを 定 義 していった また 組 織 づくりもプロジェクトの 重 要 なテーマの1つだった 製 品 ライフサイクルの 運 営 および 管 理 組 織 として プロダクトチーム(PT)およびライフサイクル 管 理 チーム (LCT)が 連 携 しながら 意 思 決 定 機 関 であるカンパニー 経 営 会 議 に 対 し 必 要 に 応 じたエスカレーションを 行 った 実 質 的 なリーダーとしてプロジェクトを 取 りまとめた 企 画 部 ゼネラルマ ネジャーの 小 田 島 匠 氏 は プロジェクト 開 始 当 時 を 次 のように 振 り 返 る 属 人 化 の 解 消 にあたって はじめは 当 然 現 場 からの 抵 抗 がありました そこで 教 科 書 的 な あ るべき 論 だけでなく 逆 に 現 場 のキーパーソンたちを 取 り 込 んでいく 姿 勢 で 臨 みまし た 力 で 変 える のではなく 仕 組 みやルールで 変 える ことが 重 要 だったと 思 います プロジェクトの 事 務 局 長 としての 役 割 を 担 った 企 画 部 の 根 来 克 彦 氏 は 社 内 での 風 向 きが 変 わったきっかけとして プロジェクトにおける 責 任 の 所 在 の 明 確 化 を 挙 げる 企 画 部 がプロジェクトを 一 元 管 理 するということで 筋 を 通 しました すると トップダウンで 決 まったことだから という 消 極 的 雰 囲 気 が 企 画 部 が 責 任 を 持 つのであれば 前 向 きに 参 画 してみよう という 姿 勢 に 変 わりました こうして 日 々 現 場 で 起 きている 問 題 を 早 期 に 洗 い 出 し カンパニー 全 体 で 共 有 重 大 な 問 題 に 関 しては 組 織 として 対 応 できる 仕 組 みづくりが 推 進 された 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 製 品 ライフサイクルに 合 わせ どの 時 点 で 何 を 決 定 すべきか を 決 定 さらに この 決 定 に 基 づき どのプロセスを 実 行 すべきか が 定 義 された 2 Case Study Strategic Product Development
現 場 を 巻 き 込 む 意 識 改 革 によりプロジェクトの 効 果 が 浸 透 現 状 把 握 のための 準 備 期 間 を 経 て 2009 年 2 月 からプロジェクトが 本 格 稼 働 した 当 初 は 各 人 が 業 務 に 必 要 なことはすべて 自 分 の 頭 の 中 に 入 っている という 状 態 であっ たが 業 務 の 現 場 で 効 果 を 目 の 当 たりにしたことで 少 しずつ 受 け 入 れられはじめ カ ンパニー 全 体 にプロジェクトの 価 値 が 認 められるようになった 現 場 が 変 わった 要 因 の1つとして 根 来 氏 はPwCのスキルと 姿 勢 を 高 く 評 価 する PwCは 多 くの 実 績 に 基 づく 幅 広 い 経 験 とノウハウを 持 っています 視 野 が 狭 くなり がちな 私 たちの 状 況 にも 適 宜 客 観 的 なアドバイスを 得 ることができました また コンサルタントが 実 際 に 現 場 に 入 り 信 頼 を 得 た 上 で 現 場 の 目 線 でのボトムアップに 貢 献 してくれた 点 が 非 常 に 特 徴 的 といえます カンパニープレジデントの 立 場 から 継 続 的 にプロジェクトの 意 義 を 発 信 し 続 けた 牛 田 氏 と プロジェクトチームおよびPwCによる 地 道 な 活 動 が 実 を 結 び 製 品 ライフサイ クルPDCAの 取 り 組 みは 社 内 に 根 付 き 始 めた 早 期 の 問 題 把 握 と 迅 速 な 対 応 が 競 争 力 強 化 への 布 石 に 牛 田 氏 は 以 前 であれば 問 題 提 起 が 遅 れ しばらく 経 ってから 大 騒 ぎになる 状 況 で あったものが かなり 早 期 の 時 点 つまり 問 題 が 大 きくならないうちに 把 握 できるよう になり 早 期 解 決 が 図 れる 体 制 に 変 わりました と 語 る 定 期 的 な 重 要 意 思 決 定 会 議 で 明 確 に 定 義 されたチェックポイントの 評 価 が 実 施 されるため 予 定 外 の 事 象 にも 迅 速 に 対 処 し その 状 況 を 関 係 者 全 員 が 共 有 できる この 積 み 重 ねにより PDCAサ イクルが 定 着 しつつある かつて 技 術 立 国 日 本 とよばれ 日 本 の 技 術 が 世 界 を 席 捲 した 時 代 は 多 くの 企 業 は 技 術 開 発 を 最 優 先 課 題 とし 商 品 開 発 の 意 思 決 定 プロセスにおいて コストに 比 して 品 質 を 重 視 する 傾 向 にありました その 結 果 として 日 本 企 業 の 収 益 性 は 総 じ て 低 い 傾 向 にあります 製 品 ライフサイクルPDCA 管 理 は QCDの バランスの 取 れたマネジメント 意 思 決 定 プ ロセスの 構 築 を 目 指 しますが 多 くの 日 本 企 業 では 縦 割 り 文 化 の 中 で なかなか 実 現 出 来 ていないのが 現 状 です 今 回 ニコン 様 がこの 仕 組 みを 実 現 できた のは トップマネジメントの 強 い 想 いの 下 組 織 を 上 げて 粘 り 強 く 取 り 組 んだ 成 果 だ と 思 います 今 後 ニコン 様 はこの 仕 組 みを 元 に より 競 争 力 を 強 化 されるものと 思 います プライスウォーターハウスクーパース 株 式 会 社 マネージング ディレクター 澤 井 康 明 ライフサイクル 管 理 チームのリーダーである 企 画 部 マーケティング 課 主 幹 の 湯 澤 康 氏 は 特 定 の 人 が 引 っ 張 って 仕 事 を 進 めるという 形 から 部 門 横 断 的 に 各 担 当 者 の 役 割 を 活 かせるようになった 点 が 大 きなメリットだと 感 じます 情 報 の 見 える 化 と 共 有 化 決 定 / 管 理 フローの 明 確 化 によって 社 内 の 上 から 下 まで 共 通 意 識 を 持 って 仕 事 に 取 り 組 めるようになりました と 語 る 最 後 に 小 田 島 氏 は 今 回 のプロジェクトについて カンパニー 全 体 の 風 土 を 一 新 する 非 常 に 重 要 な 改 革 でした と 締 めくくった 半 導 体 露 光 装 置 事 業 の 歴 史 の 中 で これ だけ 大 きな 業 務 系 の 改 革 は 初 めての 経 験 でした 企 業 の 憲 法 とも 言 える 業 務 規 程 の 書 き 換 え そして 企 画 開 発 生 産 営 業 などすべての 組 織 を 巻 き 込 むという 規 模 の 大 きさも 過 去 に 例 を 見 ないものでした この 取 り 組 みが 完 全 に 定 着 すれば 企 業 風 土 の 大 改 革 となり 組 織 力 や 製 品 の 品 質 などさまざまな 面 で 大 きな 効 果 が 発 揮 され ると 確 信 しています の が 一 丸 となって 取 り 組 んだ 製 品 ライフサイクル PDCAプロセス 改 革 は 日 々の 業 務 の 中 で 実 践 され 新 たな 価 値 を 創 出 している 同 社 では 次 のステップとして さらに 上 流 段 階 の 原 価 企 画 プロセスについても 引 き 続 きPwCの 協 力 を 得 て 改 善 に 取 り 組 んでいる とPwCの 主 要 プロジェクトメンバー Case Study Strategic Product Development 3
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