食 品 中 化 学 物 質 による 事 件 事 故 とそのリスク 国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 安 全 情 報 部 畝 山 智 香 子
要 旨 これまでどのような 事 例 が 食 の 安 全 が 脅 かさ れている と 報 道 されてきたか それらの 事 件 のリスクの 大 きさを 比 較 してみると どうなるのか
報 道 の 例 1: 残 留 農 薬 の 基 準 値 超 過 や 食 品 添 加 物 の 使 用 基 準 違 反 2002-3 年 には 指 定 外 香 料 が 使 用 されたとして 大 量 の 清 涼 飲 料 水 の 回 収 が 行 われた 問 題 とされた 香 料 の 一 つ アセトアルデヒドは 当 時 既 に 海 外 では 香 料 への 使 用 が 認 められていて 日 本 では 指 定 されていなかったというもので その 後 日 本 でも 指 定 されて 使 用 できるようになった 2007 年 には 横 浜 市 でキクラゲから0.02 ppmのフェンプロパトリンが 検 出 され 基 準 値 ( 一 律 基 準 の0.01 ppm)を 上 回 るため 廃 棄 された フェンプロパトリン の 残 留 基 準 値 は 例 えばリンゴなら5ppmで 廃 棄 されたキクラゲの250 倍 であ る 2008 年 アフラトキシンやメタミドホスが 検 出 された 事 故 米 が 食 用 に 転 売 され ていたことが 発 覚 検 出 された 濃 度 はメタミドホスはもち 米 に 最 高 0.06 ppm アセタミプリドは 最 高 0.03ppm 事 故 米 を 使 用 して 製 造 された 可 能 性 のある 酒 類 からメタミドホス アセタミプリド アフラトキシンは 検 出 されなかった
例 2: 賞 味 期 限 の 書 き 換 えや 産 地 偽 装 など 表 示 に 関 するもの 2007 年 に 石 屋 製 菓 が 白 い 恋 人 の 賞 味 期 限 を 延 ばし ていたことが 発 覚 して 問 題 になった 中 国 産 タケノコやウナギ ゴボウ 山 菜 などが 国 産 と 表 示 するなど 産 地 を 偽 装 して 販 売 されていた 食 品 安 全 上 の 品 質 に 問 題 はないとされている ただしアレルギー 表 示 の 不 備 についてはそれと 知 らずに アレルギー 患 者 が 食 べてしまうとアナフィラキシーショ ックなどのアレルギー 反 応 を 誘 発 する 可 能 性 がある 産 地 偽 装 では 健 康 被 害 はなくても 経 済 的 被 害 はある
例 3:いわゆる 健 康 食 品 や それらから 検 出 されている 違 法 薬 物 や 有 害 物 質 アマメシバ 加 工 品 ( 粉 末 )による 閉 塞 性 細 気 管 支 炎 ( 日 本 の 事 例 ) コンフリーによる 肝 静 脈 閉 塞 性 疾 患 ( 海 外 事 例 )のような 健 康 食 品 による 健 康 被 害 事 例 が 報 告 さ れている 無 承 認 無 許 可 医 薬 品 に 分 類 されるいわゆる 健 康 食 品 による 死 者 を 含 む 多 数 の 被 害 事 例 が 報 告 されている 厚 生 労 働 省 の 集 計 によれば 平 成 14 年 以 降 肝 機 能 障 害 や 甲 状 腺 障 害 などの 健 康 被 害 事 例 が796 人 死 者 は4 人 原 因 と 考 えられる 物 質 は 医 薬 品 成 分 やその 類 似 物 質 使 用 禁 止 となった 医 薬 品 成 分 天 然 有 毒 物 質 な ど 多 岐 にわたる
各 事 例 の 背 景 食 品 添 加 物 や 残 留 農 薬 安 全 性 を 評 価 して 使 用 基 準 を 定 めている 基 準 があるため 違 反 がニ ュースになる 表 示 安 全 性 と 関 係 のある 項 目 と 関 係 のない 項 目 があり 複 雑 で 理 解 が 難 しい 消 費 期 限 と 賞 味 期 限 など しばしば 誤 解 されている いわゆる 健 康 食 品 一 般 に 安 全 性 評 価 は 行 わ れていない 利 益 が 大 きいため 世 界 的 に 詐 欺 的 商 品 が 多 数 存 在 する
残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 のADI 設 定 方 法 よく 使 われる 概 念 図 生 体 影 響 無 毒 性 量 1/100 (ADI) 無 毒 性 量 (NOAEL) 実 際 の 暴 露 量 暴 露 量 ( 投 与 量 )
実 際 に 使 われるデータ 生 体 影 響 実 際 の 無 毒 性 量 は 無 毒 性 量 以 上 最 小 毒 性 量 以 下 のどこか A ** 無 毒 性 量 最 小 毒 性 量 * B 無 毒 性 量 用 量
毒 性 の 指 標 となる 生 体 影 響 死 亡 ではない 観 察 された 病 変 のうち 最 も 低 濃 度 でみられるも のを 選 ぶ 結 果 的 に 比 較 的 軽 いもの( 例 えばが んの 場 合 通 常 悪 性 腫 瘍 になる 前 に 前 がん 病 変 として 検 出 される) 雌 雄 や 種 で 差 がある 場 合 は 最 も 低 濃 度 で 影 響 が 出 ている 場 合 を 選 ぶ フェンプロパトリンの 場 合 は 妊 娠 ラットにおける 体 重 の 増 加 抑 制
フェンプロパトリンの 毒 性 試 験 データ 変 異 原 性 試 験 : 陰 性 染 色 体 異 常 誘 発 試 験 : 陰 性 催 奇 形 性 試 験 : 陰 性 慢 性 毒 性 試 験 動 物 種 NOAEL (mg/kg 体 重 / 日 ) LOAEL (mg/kg 体 重 / 日 ) 有 害 影 響 マウス 56 (がん 原 性 試 験 ) 最 高 用 量 のため 無 し ラット 7(がん 原 性 試 験 ) 21 3( 生 殖 毒 性 試 験 ) 9 3( 催 奇 形 性 試 験 ) 6 母 獣 の 体 重 増 加 抑 制 ウサギ 4 12 イヌ 3 7.5 体 重 増 加 抑 制 嘔 吐 これらのデータの 最 小 値 3mg/kgを 選 び さらに 安 全 係 数 100を 用 いてADIは0.03 mg/kg
もしジャガイモに 天 然 に 含 まれる 配 糖 体 が 残 留 農 薬 だったら? ジャガイモに 含 まれるソラニンやチャコニンなどには 強 い 毒 性 が ある ヒトで 多 数 の 中 毒 例 や 死 亡 例 があり 症 状 は 消 化 管 及 び 神 経 症 状 ヒトでの 致 死 量 は3-6 mg/kg 体 重 毒 性 量 は>1-3 mg/kg 体 重 と される 発 がん 性 についてのデータはない 子 どもは 感 受 性 が 高 い 1mg/kg 体 重 を 無 毒 性 量 と 仮 定 すると 安 全 係 数 10の 場 合 ARfDが 01mg/kg 0.1 体 重 子 どもの 体 重 20kgとしてジャガイモを200g 食 べるとするとARfD の80%に 相 当 するのは 0.08mg/kg x20=1.6 mgで そのためのジ ャガイモの 含 有 量 の 基 準 値 は 1.6/0.2=8 mg/kg 日 本 で 市 販 されているジャガイモ(メークイーンと 男 爵 )に 含 まれ るソラニンとチャコニンの ンの 量 は 皮 で190-320 mg/kg g 皮 をむい た 中 身 で2.7-12 m/kg 残 留 農 薬 検 査 は 皮 ごとなのでほぼ 全 部 が 基 準 値 違 反 で 回 収 となるレベル
もし 玉 ネギが 食 品 添 加 物 だったら? イヌ ネコ ヒツジ ウシなどで 中 毒 事 例 が 多 数 ある ラットで 経 口 投 与 実 験 の 論 文 がある 最 も 低 い 投 与 量 で 毒 性 が 出 ているデータを 採 用 すると LOAEL 500mg/kg NOAEL 50 mg/kg エンドポイントは 肝 臓 の 病 理 組 織 学 的 変 化 デフォルトの 安 全 係 数 100を 採 用 すると ADI=0.5 mg/kg 体 重 50 kgのヒトだと1 日 25mgまで さらにADIの80%を 超 えない 程 度 に 食 品 毎 に 割 りつけ 例 えば 煮 物 に16mg サラダに4mgとする サラダの 玉 ネギ 基 準 値 4mgをオーバーしたら 店 長 がテレビカメ ラの 前 で 謝 罪 し メディアが またもや 食 の 安 全 が 脅 かされまし た と 深 刻 な 顔 で 糾 弾 する?
もし 玉 ネギが 食 品 添 加 物 だったら? - 厳 しすぎる 基 準 値 は 安 全 性 には 寄 与 せず 不 安 を 増 強 する- 玉 ネギの 長 期 健 康 影 響 は 不 明 玉 ネギの 長 期 健 康 影 響 は 不 明 安 全 だという 証 明 はありません
その 他 一 般 食 品 の 安 全 性 水 : 急 性 毒 性 の 出 る 量 は5L 程 度 なので 通 常 摂 取 量 の せいぜい10 倍 お 茶 : 長 期 大 量 摂 取 は 骨 フッ 素 症 などの 有 害 影 響 が 出 る 事 例 が 報 告 されている 食 事 由 来 のカロリー: 慢 性 的 に2 倍 でも 健 康 に 悪 影 響 フグ ワラビ ヒジキ ゼンマイ 毒 キノコなど 伝 統 的 食 品 として 特 定 の 地 域 では 食 べられているものが 別 の 国 では 危 険 な 食 品 として 食 べないよう 定 められていること もある
リスクを 比 較 するための 方 法 MOE 暴 露 マージン:どれだけ 安 全 側 に 余 裕 が あるか DALY 障 害 調 整 余 命 年 数 :どれだけ 負 担 になっ ているか
MOE(Margin of Exposure: 暴 露 マージン) MOE = NOAELやBMDLなどの 毒 性 の 指 標 となる 量 / 暴 露 量 遺 伝 毒 性 発 がん 物 質 のリスク 管 理 の 優 先 順 位 付 けのためにも 使 われる リスクコミュニケーションにも 推 奨 英 国 毒 性 に 関 する 科 学 委 員 会 (COT)の 案 では 遺 伝 毒 性 発 がん 物 質 については MOEの 値 言 葉 で 言 うと <10,000 懸 念 がある 可 能 性 がある 10,000-1,000,000 懸 念 はありそうにない >1,000,000 懸 念 は 全 くありそうにない
先 に 取 り 上 げた 事 例 のMOEを 試 算 してみる キクラゲのフェンプロパトリン NOAELが3mg/kg 検 出 されたのは0.02 mg/kgで 体 重 20kgの 子 どもがキクラゲを 食 べる 量 が10gとすると MOEは 3x20( 影 響 のない 摂 取 量 mg)/0.02x0.01( 02x0 01( 食 べる 量 mg)=300,000000 LOAELを 使 うとMOEは 6x20/0.02x0.01=600,000 ( 遺 伝 毒 性 ではないのでMOEの 値 は100あれば 安 全 と 言 える) 玉 ネギ NOAELが50mg/kg 体 重 20kgの 子 どもが 食 べる 量 が20gとすると MOEは 50x20 ( 影 響 のない 摂 取 量 mg) /20000 ( 食 べる 量 mg) =0.05 LOAELを 使 うと 500x20/20000=0. 5 玉 ネギのほうがキクラゲの 残 留 フェンプロパトリンより120-600 万 倍 も 危 険?
遺 伝 毒 性 発 がん 物 質 のMOE 値 物 質 MOE 条 件 機 関 年 度 ベンゾ(a)ピレン 130,000-7,000,000 食 品 由 来 COT, 2007 6 価 クロム 9,100-90,000 食 品 由 来 COT, 2007 クロム 770,000-5,500,000 飲 料 水 COT, 2007 1,2-ジクロロエタン 4,000,000-192,000,000 飲 料 水 COT, 2007 ベンゾ(a)ピレン 17,000,000-1,600,000,000 1 飲 料 水 COT, 2007 1,2-ジクロロエタン 355,000-48,000,000 室 内 空 気 COT, 2007 ベンゾ(a)ピレン 17,900 平 均 的 摂 取 群 EFSA, 2008 ベンゾ(a)ピレン 10,800 高 摂 取 群 EFSA, 2008 PAH2 15,900 平 均 的 摂 取 群 EFSA, 2008 PAH4 17,500 平 均 的 摂 取 群 EFSA, 2008 PAH8 17,000 平 均 的 摂 取 群 EFSA, 2008 カルバミン 酸 エチル 18,000 アルコール ル 以 外 EFSA, 2007 カルバミン 酸 エチル >600 ブランデーとテキーラを 飲 む 人 EFSA, 2007 アクリルアミド 300 ラット 乳 腺 腫 瘍 を 指 標 平 均 的 摂 取 群 JECFA, 2005 アクリルアミド 75 ラット 乳 腺 腫 瘍 を 指 標 高 摂 取 群 JECFA, 2005 アクリルアミド 200 非 発 がん 影 響 ( 神 経 形 態 ) 高 摂 取 群 JECFA, 2005 アクリルアミド 50 非 発 がん 影 響 ( 神 経 形 態 ) 平 均 的 摂 取 群 JECFA, 2005 カルバミン 酸 エチル 20,000 平 均 的 摂 取 群 JECFA, 2005 カルバミン 酸 エチル 3800 3,800 高 摂 取 群 JECFA, 2005 PAH8:ベンゾ(a)ピレン ベンズ[a]アントラ セン ベンゾ [b]フルオラ ンテン ベンゾ[k] フルオラ ンテン ベンゾ[ghi]ペリレン クリセン ジベン ズ [a,h]アン トラ セン 及 びイ ン デノ [1,2,3-cd]ピ レン
各 種 発 がん 物 質 のMOE ( 米 国 ) LTD10/ヒト 暴 露 量 0.01から1000 万 超 まで 対 数 目 盛 青 職 業 暴 露 赤 治 療 量 の 医 薬 品 緑 食 品 中 の 天 然 物 黒 大 気 汚 染 (カリフォルニア) 水 色 食 品 添 加 物 橙 残 留 農 薬 や 汚 染 物 質 Carcinogenic Potency Projectより
被 害 の 程 度 で 比 較 する 食 品 添 加 物 や 残 留 農 薬 は 事 実 上 ゼロリスクで 管 理 されている 実 際 に 被 害 者 がいるようなものについては 被 害 の 大 きさで 比 較 した 方 が 有 用
DALYs(Disability Adjusted Life Years: 障 害 調 整 余 命 年 数 ) 疾 病 や 障 害 による 時 間 の 損 失 を 単 位 として 早 い 死 や 身 体 障 害 について 年 齢 による 損 失 の 重 み 付 けや 標 準 平 均 余 命 を 考 慮 して 計 算 される 1 DALY= 完 全 に 健 康 な 一 年 の 寿 命 損 失 DALYs=YLL(Years of Life Lost; 早 世 による 生 命 損 失 年 数 )+YLD(Years Lived with Disability; 障 害 を 抱 え て 生 きる 年 数 ) たとえば 平 均 寿 命 80 才 として 交 通 事 故 で75 才 で 死 亡 した 場 合 は5 DALY 病 気 で4 年 不 自 由 な 生 活 をして75 才 で 死 亡 した 場 合 には5+4*05=7 DALYと 計 算 食 中 毒 で1 日 トイレから 離 れられな かったというような 場 合 1/365 DALYというように 計 算 する( 実 際 には 重 み 付 け 係 数 が 多 数 ある)
DALYを 用 いた 食 品 の 定 量 的 リスク 評 価 の 例 RIVM(オランダ 国 立 公 衆 衛 生 環 境 研 究 所 ) Dutch National Institute for Public Health and the Environment Our Food, Our Health: Healthy diet and safe food in The Netherlands 2006 年 発 表 参 考 :オランダの 人 口 1620 万 人 平 均 寿 命 は 男 性 76.9 才 女 性 81.4 才 (2004 年 ) 成 人 の 約 10%が 肥 満 死 因 は 心 血 管 系 疾 患 が 最 も 多 く 次 いでがん 呼 吸 器 系 疾 患
健 康 の 損 失 ランキング 失 われるDALY 原 因 >300,000 全 体 として 不 健 康 な 食 事 喫 煙 プラス 運 動 不 足 プラスアルコール ル 過 剰 摂 取 100,000-300,000 食 事 要 因 5つ( 飽 和 脂 肪 トランス 脂 肪 魚 果 物 野 菜 ) 運 動 不 足 30,000-100,000 トランス 脂 肪 の 摂 りすぎ 魚 や 野 菜 の 不 足 アルコール 交 通 事 故 10,000-30,000000 飽 和 脂 肪 の 摂 りすぎ 大 気 中 微 粒 子 インフルエンザ 3,000-10,000 微 生 物 による 胃 腸 炎 受 動 喫 煙 1,000-3,000, 室 内 ラドン 300-1,000 食 品 中 カンピロバクター アレルギー 物 質 アクリルアミド <300 O157 PAH 各 種 環 境 汚 染 物 質
人 口 10 万 人 あたりの 国 別 原 因 別 推 定 DALY 2004 日 本 オランダ 米 国 フランス 英 国 人 口 ('000) (e) 127,798 16,264 296,844 60,624 59,965 全 原 因 10,170 11,486 13,937 12,262 12,871 I. 伝 染 性 周 産 期 栄 養 633 578 851 579 674 A. 感 染 症 や 寄 生 虫 186 176 347 233 181 4 下 痢 性 疾 患 28 28 33 32 32 B. 呼 吸 器 感 染 251 143 114 88 216 D. 周 産 期 48 143 251 133 173 E. 栄 養 欠 乏 114 78 45 68 49 II. 非 伝 染 性 疾 患 8,577 10,294 11,673 10,517 11,489 A. 悪 性 新 生 物 1,883 2,112 1,713 2,234 2,007 3. 胃 がん 274 78 36 72 71 5. 肝 がん 188 28 46 95 34 8. 悪 性 黒 色 腫 とその 他 の 皮 膚 がん 6 53 41 40 40 9. 乳 がん 123 262 206 242 245 13. 前 立 腺 がん 40 91 76 97 104 C. 糖 尿 病 239 275 449 263 232 E. 精 神 神 経 疾 患 2,102 3,013 3,945 3,439 3,432 G. 心 血 管 系 疾 患 1,548 1,707 1,972 1,415 2,083 2. 高 血 圧 心 疾 患 19 32 107 54 33 3. 虚 血 性 心 疾 患 469 619 950 437 1,063 4. 脳 血 管 疾 患 694 429 418 365 552 III. けが 960 614 1,413 1,167 708 A. 故 意 でない 怪 我 506 388 953 794 482 B. 意 図 的 怪 我 454 226 461 373 226 1. 自 傷 437 190 241 343 168 2. 暴 力 16 34 202 29 55 3. 戦 争 - 2 14 2 3 WHO MORTALITY AND BURDEN OF DISEASE ESTIMATES FOR WHO MEMBER STATES IN 2004より 抜 粋 赤 は 数 値 が 高 い 青 は 低 いことを 示 す
リスクの 大 きさから 食 品 の 安 全 性 を 考 えると 食 品 添 加 物 や 残 留 農 薬 の 基 準 値 は 安 全 側 に 大 きく 幅 をとってあるので 少 々 超 過 しても 健 康 影 響 はない 天 然 汚 染 物 質 (カビ 毒 や 重 金 属 )については 食 品 添 加 物 などに 比 べると 安 全 性 マージンは 少 ない 食 品 そのものについては 安 全 性 マージンはあっても 一 桁 で それほど 大 きな 余 裕 はない 濃 縮 物 やエキスなどの 形 態 で 普 通 では 食 べられない ような 量 を 長 期 間 摂 るのはリスクが 大 きい
リスクの 大 きさを 並 べてみると? リスクの 大 きさ ( 健 康 被 害 が 出 る 可 能 性 ) 極 めて 大 きい 大 きい 普 通 小 さい 極 めて 小 さい 食 品 関 連 物 質 いわゆる 健 康 食 品 ( 効 果 をうたったもの) いわゆる 健 康 食 品 ( 普 通 の 食 品 からは 摂 れない 量 を 含 むもの) 一 般 的 食 品 食 品 添 加 物 や 残 留 農 薬 の 基 準 値 超 過 基 準 以 内 の 食 品 添 加 物 や 残 留 農 薬 MOEでもDALYでも も 他 のどのような 手 法 を 用 いても 残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 より 一 般 的 食 品 のほうがはるかにリスクが 大 きい 一 般 的 食 品 のリスクはゼロではない 安 全 性 マージンの 値 が10 程 度 の 一 般 的 食 品 に 安 全 性 マージ ンの 値 が 数 千 や 数 万 の 残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 のリスクが 加 わ ったとしても 全 体 のリスクの 大 きさには 全 く 影 響 がない
まとめ 食 品 安 全 上 の 事 件 や 事 故 として 報 道 されていることは 必 ずしもリスクの 大 きさと 関 係 しない メディア 報 道 を 頼 りにリスク 回 避 を 行 っても 実 質 的 には リスク 削 減 効 果 はない 効 果 のないリスク 削 減 対 策 は 無 駄 であるだけでなく その 資 源 を 使 って 救 済 できたはずの 被 害 を 与 えたのと 同 等 である 限 られた 資 金 時 間 人 を 有 効 に 活 用 して 公 衆 衛 生 上 のリスクを 管 理 するためには 定 量 的 リスク 評 価 が 必 須
さらなる 情 報 が 必 要 な 方 のために 食 品 安 全 情 報 blog(http://d.hatena.ne.jp/uneyama/)にて 最 新 情 報 を 提 供 中 FoodScience(http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/index.jsp)でnikkeibp co jsp)で 連 載 中 ネットでお 会 いしましょう!