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中 国 の 一 帯 一 路 戦 略 とその 狙 い 一 帯 一 路 構 想 等 の 背 後 にある 中 国 の 戦 略 的 意 図 と 日 本 の 対 応 矢 野 義 昭 中 国 は 一 帯 一 路 政 策 を 掲 げる 一 方 で 南 シナ 海 や 東 シナ 海 では 国 際 ルールを 無 視 した 一 方 的 な 領 域 拡 張 の 動 きを 強 引 に 進 めている このような 中 国 の 動 きの 背 景 には どのような 安 全 保 障 戦 略 があるのだろうか それを 解 明 する 一 助 として 公 表 された 中 国 側 の 文 献 で 述 べられている 内 容 につ いて 分 析 する ただし 中 国 側 の 秘 密 とされる 内 部 文 書 とは 異 なり 検 閲 を 経 た 内 容 である 何 らかの 事 実 の 歪 曲 や 虚 偽 隠 ぺいが 含 まれているのは 間 違 いない また 中 国 人 民 解 放 軍 がその 通 り 行 動 する あるいは 行 動 できることを 保 証 するも のでもない しかし 公 表 された 資 料 である 以 上 中 国 の 一 般 国 民 にも 周 知 すること を 前 提 としており 真 実 も 含 まれているであろう そのような 前 提 で 分 析 を 進 める 1 中 国 人 民 解 放 軍 の 全 般 戦 略 配 置 と 近 年 の 動 き (1) 中 国 の 全 般 戦 略 配 置 とその 歴 史 的 背 景 中 国 は 歴 史 的 に 大 陸 国 として 騎 馬 隊 を 阻 止 できる 有 力 な 地 形 障 害 の 無 い 北 方 平 原 からの 騎 馬 遊 牧 民 族 の 侵 略 に 絶 えず 曝 されてきた 歴 史 が 下 るほど 遊 牧 民 族 の 王 朝 権 力 が 優 勢 になり 遊 牧 民 王 朝 の 方 が 統 治 能 力 も 高 かった 特 に 清 朝 は 遊 牧 諸 民 族 の 連 合 体 が 漢 族 を 服 属 させ 中 国 史 上 最 大 の 版 図 を 築 くことに 成 功 した 近 現 代 の 中 国 は 辛 亥 革 命 以 降 清 帝 国 を 漢 族 が 支 配 する 国 家 に 逆 転 することに よって 遊 牧 民 族 の 領 土 を 植 民 地 として 支 配 する 漢 族 中 心 の 国 家 となった 現 代 中 国 の 領 土 は 960 万 平 方 km と ほぼ 米 国 と 並 ぶ 中 国 史 上 最 大 の 版 図 となっている しかし 甘 粛 四 川 雲 南 の 一 部 を 含 むチベット 青 海 省 新 疆 ウィグル 自 治 区 内 モ ンゴル 自 治 区 東 北 地 区 など 領 土 の 約 3 分 の 2 は 人 口 の 約 7%しかいない 少 数 民 族 の 土 地 である 少 数 民 族 の 土 地 に 漢 族 の 流 入 が 激 増 し 中 国 政 府 は 同 化 政 策 を 強 行 している このため 満 族 は 同 化 されて 約 1 千 万 人 が 全 土 に 散 在 し 満 語 は 死 語 となった 内 モンゴルではモンゴル 語 は 通 じず 新 疆 ウィグルでは 8 割 近 くが 漢 族 となり チベットのラサでも 青 蔵 鉄 道 開 通 以 降 漢 族 の 流 入 が 急 増 している 半 面 東 トルキスタン 独 立 運 動 のように 現 代 の 人 民 中 国 にとり 少 数 民 族 問 題 特 にテロ 対 策 と 辺 境 国 境 地 帯 の 防 衛 警 備 は 重 要 な 安 全 保 障 上 の 課 題 となっている 辺 境 地 区 に 配 置 された 瀋 陽 蘭 州 成 都 広 州 の 各 軍 区 と 人 民 武 装 警 察 は 特 に 少 数 民 族 地 域 対 策 のため 重 点 配 置 されており 対 テロ 国 境 警 備 は 人 民 武 装 警 察 と 人 民 解 放 軍 にとって 重 要 な 任 務 となっている このことは 2013 年 4 月 に 発 表 された 中 国 の 国 防 白 書 : 中 国 の 武 装 力 の 多 様 な 運 用 でも 3 つの 脅 威 として テロリズム 分 裂 主 義 過 激 主 義 を 挙 げ 陸 軍 や 公 1

安 国 境 警 備 部 隊 の 任 務 として 国 境 警 備 保 安 テロ 組 織 による 破 壊 活 動 防 止 が 列 挙 されていることでもうかがわれる 治 安 維 持 のための 予 算 は 国 防 予 算 よりも 多 いと も 言 われており 国 内 の 治 安 維 持 問 題 の 深 刻 さがうかがわれる 八 路 軍 を 発 祥 とする 人 民 解 放 軍 は 党 の 軍 隊 であり 銃 口 から 政 権 が 生 まれた た め 党 に 対 する 軍 の 地 位 は 伝 統 的 に 高 い 軍 種 内 では 陸 軍 が 中 心 であり 各 軍 区 は 地 上 軍 の 組 織 である 中 国 は 本 質 的 には 大 陸 国 家 だが 近 代 以 降 海 洋 国 家 としての 性 格 がより 重 要 性 を 増 している 地 政 学 的 には 北 アジア 中 央 アジア 南 アジア 東 南 アジア 東 アジ アの 5 つの 戦 略 正 面 がある( 沈 偉 烈 地 縁 政 治 学 概 論 ( 国 防 大 学 出 版 社 二 〇 〇 四 年 ) 388 頁 ) なお 東 アジア 正 面 は 海 洋 に 面 し 対 台 湾 と 対 日 正 面 に 分 かれる 各 戦 略 正 面 に 応 じて 7 つの 軍 区 すなわち1 対 露 朝 鮮 半 島 正 面 に 瀋 陽 軍 区 2 対 イスラム 中 央 アジア 正 面 に 蘭 州 軍 区 3 対 インド チベット 正 面 に 成 都 軍 区 4 対 東 南 アジア 正 面 に 広 州 軍 区 5 対 台 湾 正 面 に 南 京 軍 区 6 対 日 正 面 に 斉 南 軍 区 7 首 都 防 衛 及 び 総 予 備 として 北 京 軍 区 が それぞれ 配 置 されている ただし 今 年 9 月 3 日 の 抗 日 戦 争 反 ファシズム 戦 争 勝 利 70 年 記 念 式 典 の 際 の 習 近 平 中 央 軍 事 委 員 会 主 席 の 重 要 演 説 で 表 明 された 30 万 人 の 兵 力 削 減 に 基 づき 7 個 の 軍 区 が 近 い 将 来 5 個 に 統 合 再 編 される 可 能 性 は 高 い その 場 合 司 令 部 要 員 の 一 部 は 削 減 対 象 になるとみられる 30 万 人 の 兵 力 削 減 の 実 態 は 不 明 だが 補 給 部 隊 など 陸 軍 の 一 部 海 空 軍 の 自 動 化 無 人 化 の 推 進 などにより 削 減 要 員 を 捻 出 し 削 減 された 兵 員 の 主 力 を 人 民 武 装 警 察 海 警 局 などの 警 備 治 安 部 隊 に 転 用 する 可 能 性 もある また 余 った 人 件 費 を 研 究 開 発 に 投 資 し 先 端 的 な 軍 事 技 術 装 備 の 向 上 を 図 るものとみられる なお 陸 軍 は 独 立 した 指 導 組 織 を 持 たず 総 部 ( 総 参 謀 部 総 政 治 部 総 后 勤 部 総 装 備 部 )が 直 接 指 導 する 総 部 は 陸 軍 の 要 員 が 主 であった しかし 近 年 は 海 空 軍 第 二 砲 兵 ( 戦 略 ミサイル 部 隊 戦 略 核 ミサイルと 戦 域 戦 術 通 常 弾 頭 ミサイル 部 隊 を 統 括 )の 地 位 が 向 上 し 総 部 にも 陸 軍 以 外 の 軍 種 の 幹 部 が 増 加 している (2) 近 年 における 各 海 域 の 戦 略 的 価 値 の 変 化 近 代 以 降 中 国 は 西 洋 列 強 による 海 からの 侵 略 に 怯 えるようになる 特 に 首 都 北 京 は 海 に 近 く 脆 弱 である 東 海 は 黄 海 渤 海 東 シナ 海 南 シナ 海 の 3 海 域 から なる それぞれに 北 海 艦 隊 東 海 艦 艇 南 海 艦 隊 が 配 置 されている 従 来 は 地 政 学 的 脆 弱 性 米 韓 軍 在 日 米 軍 が 首 都 の 近 隣 に 展 開 しており 首 都 圏 防 衛 の 観 点 から 黄 海 正 面 の 北 海 艦 隊 と 大 陸 反 攻 を 封 じ 領 土 統 一 を 果 たすため 武 力 行 使 も 辞 さないとしている 台 湾 正 面 の 東 海 艦 隊 を 重 視 してきた 南 海 艦 隊 は 1970 年 頃 までは 近 くに 大 きな 造 船 所 もなく 比 較 的 整 備 は 遅 れていた しかし 1970 年 代 以 降 南 シナ 海 でベトナム その 他 の 東 南 アジア 諸 国 との 島 礁 の 2

領 有 をめぐり 紛 争 が 起 こるようになると 南 海 艦 隊 も 重 視 されるようになった 特 に 近 年 経 済 力 が 増 大 するとともに 海 岸 地 域 の 都 市 部 の 防 衛 と 経 済 発 展 を 支 える 貿 易 特 に 原 油 輸 入 のためのシーレーン 防 衛 の 重 要 性 が 高 まり マラッカ 海 峡 に 通 ずる 南 シナ 海 の 防 衛 の 重 要 性 が 相 対 的 に 高 まっている また 海 空 軍 力 の 増 強 近 代 化 が 進 展 し 海 空 軍 第 二 砲 兵 主 体 にシーレーン 防 衛 態 勢 も 強 化 されている その 表 れとして 米 軍 が 見 ている 中 国 の 戦 略 が 米 空 母 打 撃 群 に 対 し 中 国 沿 岸 から 約 3 千 キロ 以 内 で 領 域 支 配 能 力 を 低 下 させてその 接 近 を 遅 らせ 約 1 千 カイリ 以 内 の 東 シナ 海 南 シナ 海 への 進 出 を 阻 止 しようとする 接 近 阻 止 領 域 拒 否 (A2/AD) 戦 略 である 中 国 自 らは 近 海 防 御 戦 略 と 称 して ミサイルと 地 上 配 備 の 戦 闘 爆 撃 機 などの 威 力 圏 を 沿 岸 部 に 拡 大 し その 援 護 下 で 水 上 艦 艇 潜 水 艦 などのシーレーン 防 衛 態 勢 を 強 化 しようとしている このように 中 国 の 海 洋 戦 略 は 受 動 的 な 沿 岸 防 御 戦 略 か ら 積 極 防 御 思 想 に 基 づく 近 海 防 御 戦 略 に 転 換 しようとしている 近 海 防 御 戦 略 では 3 海 洋 正 面 の 中 で 中 国 の 海 上 交 易 路 シーレーンが 集 中 し かつ 水 深 が 深 く 原 潜 の 展 開 が 可 能 で 敵 対 国 が 数 多 くの 小 国 に 分 断 された 南 海 正 面 南 海 艦 隊 を 重 視 している 模 様 である また 習 近 平 政 権 は 一 帯 一 路 政 策 を 掲 げており その 海 のシルクロードを 守 る 南 シナ 海 正 面 は 重 要 性 を 増 している それ が 中 国 が 国 連 海 洋 法 条 約 に 違 反 して 南 沙 諸 島 での 岩 礁 埋 め 立 て 滑 走 路 増 設 な どの 強 硬 策 に 出 た 背 景 とみられる 海 域 としてその 次 に 重 視 されているとみられるのは 東 シナ 海 正 面 と 見 られる そ の 理 由 は 1 一 帯 一 路 の 出 発 点 となる 後 述 する 港 湾 群 都 市 群 の 翼 側 を 在 日 米 軍 から 守 るため 及 び2 将 来 の 台 湾 統 一 のための 武 力 行 使 に 際 しての 武 力 による 威 嚇 台 湾 海 峡 の 海 上 優 勢 確 保 着 上 陸 作 戦 支 援 米 空 母 の 介 入 阻 止 などの 目 的 の ために 東 シナ 海 が 戦 略 的 に 重 要 正 面 であることにある 尖 閣 諸 島 周 辺 空 域 での 対 日 対 米 航 空 先 制 を 容 易 にするためとみられる 防 空 識 別 圏 の 一 方 的 な 設 定 日 中 中 間 線 付 近 での 海 底 ガス 田 開 発 のための 洋 上 施 設 の 増 設 など 一 連 の 中 国 の 東 シナ 海 支 配 拡 大 への 動 きが 活 発 になっているのも 東 シナ 海 重 視 の 表 れと 言 える 海 底 ガス 田 の 洋 上 施 設 には 対 潜 用 ソナー 対 空 レーダ ヘリと 無 人 機 の 離 発 着 場 通 信 傍 受 施 設 などの 軍 事 諜 報 関 連 の 施 設 を 設 置 している 可 能 性 もある 黄 海 正 面 は 朝 鮮 半 島 との 連 携 が 不 可 欠 である 北 朝 鮮 の 反 中 姿 勢 と 対 露 関 係 の 強 化 への 対 応 北 朝 鮮 内 部 の 混 乱 などに 備 え 瀋 陽 軍 区 の 地 上 軍 の 近 代 化 特 に 統 合 機 動 作 戦 能 力 を 強 化 し 緊 急 時 の 迅 速 な 対 応 海 空 軍 と 連 携 した 長 距 離 機 動 作 戦 に 備 えている また 瀋 陽 軍 区 は 対 露 正 面 の 抑 止 力 としても 依 然 重 要 である 2 一 帯 一 路 政 策 の 隠 された 狙 い 3

(1) 一 帯 一 路 政 策 の 概 要 と 中 国 の 狙 い 馮 并 著 一 帯 一 路 グローバルな 発 展 のための 中 国 の 論 理 中 国 出 版 集 団 年 によれば 初 めて 一 帯 一 路 の 概 念 が 提 唱 されたのは 年 月 の 習 近 平 主 席 のカザフスタン 訪 問 時 である 習 近 平 主 席 は 欧 州 とアジアを 東 西 に 連 接 し シルクロードを 創 ることを 提 唱 した その 協 力 内 容 として 挙 げられたのは 物 流 貿 易 と 投 資 金 融 エネルギー 食 糧 安 全 保 障 などの 分 野 である 同 年 月 のインドネシ ア 訪 問 時 には 習 近 平 は 世 紀 の 海 上 のシルクロードの 建 設 を 提 唱 し 中 国 は 諸 国 と 中 国 が 協 力 し 合 い 緊 密 な 運 命 共 同 体 を 建 設 すること を 望 んでいる として アジアインフラ 投 資 銀 行 の 創 設 を 提 唱 している 年 初 めの 習 近 平 の 欧 州 訪 問 時 には アジアと 欧 州 の 間 で 一 大 市 場 を 建 設 す ることを 目 標 として 人 企 業 資 金 技 術 の 交 流 を 深 め 中 国 と 欧 州 が 世 界 経 済 の けん 引 役 となることを 提 唱 し 同 年 月 には 中 国 国 内 で 中 国 対 外 友 好 協 会 に 対 し 陸 と 海 のシルクロードの 建 設 への 協 力 を 呼 び 掛 けている このように 一 帯 一 路 は 表 向 きには 旅 行 貿 易 金 融 エネルギー 食 糧 など 主 に 経 済 面 での 協 力 関 係 の 強 化 が 謳 われている その 沿 線 の 50 カ 国 以 上 が 参 加 に 応 じており 中 国 と 沿 線 の 諸 国 と 地 区 が 共 に 共 通 の 地 政 学 的 な 経 済 的 富 裕 の 発 展 と 経 済 のグローバル 化 の 推 進 に 向 けて 未 だかつてない 重 大 な 理 論 が 創 造 された としている また 当 面 の 経 済 のグローバル 化 と 地 域 経 済 の 一 体 化 が 新 たな 段 階 に 入 り 中 国 の 発 展 も 経 済 が 典 型 的 な 新 常 態 に 入 っており 一 帯 一 路 をめぐり 中 国 のすべての 新 たな 視 点 に 立 つシルクロード 発 展 戦 略 学 が 現 れ 始 め 様 々の 国 内 外 の 発 展 戦 略 の 中 心 的 な 戦 略 となったと その 意 義 を 述 べている このように 一 帯 一 路 が 今 後 の 習 近 平 体 制 下 における 発 展 戦 略 の 基 本 になることが 明 確 にされている 中 国 国 内 では 一 帯 一 路 の 経 路 について いくつも 候 補 が 挙 げられているが 最 も 重 視 されているのは 西 部 地 区 中 でも 新 疆 である 中 国 国 内 では 2013 年 末 に 国 家 発 展 改 革 委 員 会 と 外 交 部 が 共 同 で シルクロード 経 済 帯 と 21 世 紀 の 海 上 シルクロードについて 座 談 会 を 開 催 し その 戦 略 構 想 に 含 まれる 重 大 な 意 義 について 学 習 した その 際 に 西 部 の 9 省 市 と 国 家 の 12 部 門 の 責 任 者 が 出 席 し 戦 略 構 想 の 全 般 計 画 と 枠 組 みの 制 定 等 の 推 進 について 研 究 を 進 め ることが 定 義 されている 2014 年 には 甘 粛 省 と 外 交 部 が 共 同 で シルクロード 共 同 事 業 についてのアジア 共 同 フォーラムを 開 催 し 2012 年 創 設 時 の 参 加 国 33 カ 国 のうち 28 カ 国 が 参 加 した 2014 年 6 月 には シルクロード 国 際 帯 検 討 会 が 新 疆 のウルムチ 市 で 開 催 され そ の 中 で 特 に 新 疆 が 持 つ 欧 亜 を 結 ぶ 陸 橋 の 核 心 地 帯 四 大 文 明 の 交 流 点 資 源 の 豊 富 さ 経 済 社 会 の 発 展 の 黄 金 期 の 利 用 という 4 つの 優 位 性 を 発 揮 して 新 疆 をシ ルクロード 経 済 帯 の 地 域 内 の 交 通 商 業 物 流 金 融 文 化 と 科 学 技 術 医 療 サービ 4

スの 中 心 とすることが 提 案 されている この 検 討 会 には 中 露 インド カザフスタン キルギスタン アフガン トルコ 米 国 など 20 カ 国 が 参 加 した 中 国 国 内 の 一 帯 一 路 研 究 拠 点 として 中 国 科 学 院 は 海 上 シルクロード 研 究 基 地 を 北 京 に 設 立 している その 研 究 者 の 間 では 以 下 のような 見 解 が 出 されている 1 一 帯 一 路 の 構 築 に 当 たっては 経 済 協 力 と 人 文 交 流 を 主 とし 相 互 交 流 と 貿 易 投 資 の 促 進 を 優 先 して 利 益 共 同 体 にすることを 目 標 とする そのため 平 等 の 協 力 関 係 のもと 順 を 追 い 漸 進 的 に 基 礎 を 築 き 沿 線 国 と 共 に 通 商 し 共 に 建 設 し 共 に 成 果 を 分 かち 合 い 共 に 勝 利 するべきである 2アジアは 複 雑 多 様 であり 各 国 が 積 極 的 に 参 加 する 貿 易 自 由 化 と 地 区 経 済 の 一 体 化 の 建 設 のためには 新 しい 協 力 の 方 法 を 創 造 的 に 推 進 する 必 要 がある 3 今 後 の 一 帯 一 路 の 建 設 には アジア 開 発 投 資 銀 行 という 基 盤 の 上 に アジア 太 平 洋 と 欧 州 を 相 互 に 結 合 し 中 国 とシルクロード 沿 線 国 の 積 極 的 参 加 および 欧 亜 の 相 互 交 流 を 推 進 し 海 上 の 相 互 交 通 と 汎 用 エネルギー 源 のネットワークを 構 築 する 必 要 がある そのため 中 国 の 新 たな 工 業 化 と 農 業 現 代 化 が 形 成 する 経 済 力 を 最 大 限 に 発 揮 し 対 外 開 放 戦 略 と 沿 線 国 家 との 隣 接 拡 散 効 果 を 拡 大 し 陸 と 海 のシルク ロードを 共 に 建 設 するべきである (2) 関 係 国 の 対 応 このような 中 国 の 積 極 姿 勢 に 対 し 関 係 国 はどのように 対 応 しているのであろうか 中 国 は 陸 上 では 各 正 面 の 諸 国 と 共 同 博 覧 会 を 開 催 し 貿 易 投 資 などの 促 進 を 図 っている アラブ 諸 国 とは 2013 年 に 中 国 アラブ 博 覧 会 が 開 催 された 31 個 の 案 件 664.1 億 元 が 成 約 した 中 国 も 30 億 元 の 観 光 協 力 を 締 結 した 投 資 問 題 解 決 コンサルタン ト 委 員 会 と 投 資 基 金 の 設 立 も 合 意 された これは 中 国 にとり 初 の 大 規 模 な 金 融 協 力 であった 同 年 には 中 国 東 北 アジア 博 覧 会 が 開 催 され 331 件 の 投 資 契 約 が 成 立 し そ のうち 10 億 元 以 上 が 75 件 に 上 った 中 国 欧 州 博 覧 会 も 開 催 され 2013 年 に 成 約 したのは 対 外 貿 易 額 56 億 ドル 対 外 経 済 技 術 協 力 10 億 ドルに 上 ったが 2014 年 は 成 約 額 は 2000 億 ドルを 超 えた 中 国 と 東 南 アジアの 間 では 2012 年 に 雲 南 省 と ASEAN 諸 国 との 双 方 の 貿 易 額 は 66.8 億 ドルに 達 していたが 2014 年 6 月 には 中 国 と ASEAN 諸 国 との 双 方 の 投 資 額 は 1200 億 ドルを 超 えている 中 国 ASEAN 博 覧 会 では 南 寧 湛 江 海 口 などと の 一 体 化 が 進 められ ますます 活 気 づいているとしている ただし 中 国 南 アジア 博 覧 会 については 具 体 的 な 成 果 は 紹 介 されていない こ れら 5 大 博 覧 会 の 多 国 間 貿 易 拠 点 は 中 国 の 西 部 と 東 北 地 区 に 分 布 し 全 国 土 の 80% 以 上 全 人 口 の 62&%を 占 めている シルクロード 経 済 帯 は 多 くの 路 線 が 伸 び 扇 面 状 に 拡 大 し 国 内 外 の 経 済 協 力 のための 縦 横 に 通 ずる 一 つの 幅 広 い 陸 路 帯 を 形 5

成 している これらの 陸 路 と 中 国 東 部 の 海 のシルクロードの 沿 海 都 市 とは 連 接 され さらに 完 全 な 経 済 影 響 圏 を 形 成 しており 一 帯 一 路 構 想 全 体 の 中 で それぞれの 機 能 を 発 揮 し 中 国 の 西 北 東 南 の 全 方 位 において 新 しく 発 展 する 地 政 学 的 な 経 済 的 原 動 力 を もたらしているとしている 国 際 的 な 一 帯 一 路 に 対 する 反 響 も 大 きいと 前 掲 書 一 帯 一 路 グローバルな 発 展 のための 中 国 の 論 理 はその 成 果 を 称 賛 している また 多 くの 国 も 共 通 の 認 識 に 立 ち ますます 多 くの 国 と 地 区 が 吸 い 寄 せられ 発 展 の 効 果 が 強 まっているとしてい る ロシアのプーチン 大 統 領 は 2014 年 2 月 この 中 国 の 提 案 に 積 極 的 に 対 応 すると の 意 向 を 示 し 欧 州 とアジアを 結 ぶ 鉄 道 と 一 帯 一 路 はさらなる 利 益 をもたらすであろ う との 期 待 感 を 示 した 中 国 は ロシアの 極 東 地 区 と 西 シベリアの 鉄 道 は 北 方 草 原 のシルクロードに 造 られるとしている また キルギスタンでの 中 国 ロシア モンゴル 3 首 脳 の 会 議 では 中 国 のシルクロ ードとロシアの 欧 亜 大 陸 橋 とモンゴルの 草 原 の 道 を 互 いに 連 接 し 以 下 の 3 本 の 経 済 回 廊 を 造 ることが 提 起 された すなわち 中 国 と 中 央 アジアと 西 欧 を 結 ぶ 経 済 回 廊 新 欧 亜 大 陸 橋 の 経 済 回 廊 及 び 中 国 モンゴル ロシアを 結 ぶ 経 済 回 廊 である その 際 に 重 点 とされたのは 道 路 輸 送 の 利 便 性 向 上 路 線 開 放 の 確 保 貿 易 と 投 資 の 一 本 化 融 資 保 障 機 構 の 設 立 エネルギー 保 有 国 クラブとしての 機 能 の 発 揮 構 成 国 のエネルギー 政 策 の 調 和 と 協 力 の 強 化 であった (2) 一 帯 一 路 の 具 体 的 なルート 2015 年 3 月 に 習 近 平 は 運 命 共 同 体 に 向 かい 進 み アジアの 新 未 来 を 創 る こと を 呼 びかけた その 中 で シルクロードの 経 済 帯 として その 重 点 を 1 中 国 から 中 央 アジア ロシアを 経 て 欧 州 に 至 るルート 2 中 国 から 中 央 アジアを 経 て ペルシア 湾 から 地 中 海 に 至 るルート 3 中 国 から 東 南 アジア 南 アジア インド 洋 を 通 過 するル ートに 置 くことを 表 明 している また 21 世 紀 の 海 上 のシルクロードの 重 点 方 向 として 1 中 国 沿 海 部 の 港 湾 から 南 シナ 海 を 経 てインドに 至 る 航 路 を 欧 州 に 延 伸 する 航 路 と 2 中 国 沿 海 部 の 港 湾 か ら 南 シナ 海 を 経 て 南 太 平 洋 に 至 る 航 路 を 挙 げている 陸 上 においては 国 際 的 な 幹 線 道 路 を 利 用 して 1 新 しいアジアと 欧 州 を 結 ぶ 大 陸 橋 2 中 国 モンゴル ロシアを 結 ぶ 経 済 回 廊 3 中 国 と 中 央 アジアと 西 アジアを 結 ぶ 経 済 回 廊 4 中 国 と 中 央 アジアからインド 半 島 を 結 ぶ 経 済 回 廊 を 共 同 で 建 設 する ことを 呼 びかけた さらに 5 中 国 とパキスタンを 結 ぶ 経 済 回 廊 6バングラディシュ 中 国 インド ビルマを 結 ぶ 経 済 回 廊 の 建 設 も 呼 びかけている また 海 上 では 重 点 港 湾 を 安 全 で 高 効 率 な 輸 送 の 大 回 廊 の 結 節 点 として 建 設 するとしている 積 極 的 に 同 じ 沿 線 の 諸 国 が 共 同 し 共 に 自 国 の 貿 易 区 を 建 設 し 国 境 を 越 えてネッ 6

ト 事 業 などの 新 しい 業 態 を 発 展 させ 旅 行 者 を 増 やすために 協 力 することも 呼 びかけ ている さらに 以 下 の 中 国 国 内 の 重 点 も 省 区 と 都 市 にわたり 明 確 に 位 置 が 示 された 1 西 北 6 省 区 と 新 疆 はシルクロードの 経 済 帯 の 核 心 地 区 に 2 陝 西 省 西 安 市 は 内 陸 型 の 改 革 開 放 の 新 高 地 になり 3 蘭 州 と 西 寧 は 開 発 と 開 放 を 進 め 4 寧 夏 では 内 陸 の 開 放 型 試 験 区 建 設 を 推 進 し 5 内 モンゴルはロシアとモンゴルに 通 ずるという 立 地 の 優 位 性 を 発 揮 しなければならないとしている 6 東 北 3 省 は 北 への 開 放 の 重 要 な 窓 口 となり 黒 竜 江 省 のロシアとの 間 の 鉄 道 と 区 域 内 の 鉄 道 網 を 完 成 し 黒 竜 江 省 吉 林 省 遼 寧 省 とロシアの 極 東 地 区 との 陸 海 路 を 連 接 しなければならない 7 西 南 地 区 広 西 は 一 帯 一 路 につながった 重 要 な 門 戸 とし 大 メコン 河 区 域 に 次 ぐ 経 済 協 力 の 新 高 地 にし 南 アジア 東 南 アジアに 対 する 経 済 的 影 響 力 発 散 の 中 心 と なり チベットは 国 家 的 な 国 境 貿 易 と 旅 行 文 化 の 協 力 を 進 めねばならない 重 慶 市 の 西 部 開 発 については 成 都 武 漢 長 沙 南 昌 合 肥 等 の 内 陸 の 開 放 型 経 済 の 高 地 となり 欧 州 に 並 ぶブランド 品 を 作 らねばならない 沿 海 部 の 5 省 市 は 福 建 の 21 世 紀 の 海 のシルクロードの 中 核 区 建 設 を 支 持 し 上 海 天 津 寧 波 舟 山 広 州 深 圳 湛 江 汕 頭 青 島 烟 台 大 連 福 州 厦 門 泉 州 海 口 三 亜 等 の 沿 海 都 市 の 港 湾 建 設 を 強 化 しなければならない 海 外 同 胞 華 僑 の 香 港 澳 門 特 別 行 政 区 の 独 特 の 優 位 性 の 発 揮 と 併 せて 台 湾 の 一 帯 一 路 への 参 加 を 生 み 出 すように 適 切 に 配 慮 しなければならない (3) 一 帯 一 路 の 狙 い 以 上 が 一 帯 一 路 の 中 国 国 内 との 連 接 に 明 確 に 言 及 した 前 掲 書 の 記 述 である そ の 中 で 特 に 注 意 を 要 するのは 最 後 に 挙 げられた 沿 海 部 の 港 湾 の 多 くが 海 軍 の 軍 港 と 重 なり 内 陸 の 中 心 都 市 とされた 地 区 も 少 数 民 族 の 中 心 都 市 が 多 く 治 安 維 持 の 要 としての 軍 都 公 安 の 拠 点 が 多 いことである 対 外 的 には 経 済 面 を 主 にした 協 力 を 表 に 出 しているが 国 内 的 には 少 数 民 族 の 土 地 を 再 開 発 して 漢 族 と 外 資 で 支 配 し 治 安 を 改 善 するとともに 国 境 警 備 や 辺 境 防 衛 の 態 勢 を 有 利 にしようとする 意 図 が 垣 間 見 られる 内 陸 部 の 都 市 についても 蘭 州 西 寧 は 新 疆 ウィグル 正 面 成 都 はチベット 正 面 武 漢 長 沙 南 昌 合 肥 はいずれも 長 江 流 域 の 戦 略 的 要 衝 である 長 江 流 域 からは 台 湾 チベット 雲 南 いずれの 正 面 にも 進 出 が 容 易 である 東 北 3 省 は 瀋 陽 などロシ アと 朝 鮮 半 島 に 対 する 軍 事 的 要 衝 でもある これらの 戦 略 的 要 衝 は 前 述 した7 個 軍 区 の5 個 への 再 編 に 当 たっても 軍 事 地 政 学 の 見 地 からも 十 分 に 検 討 され 一 帯 一 路 戦 略 との 整 合 が 図 られることになるであろ う また 海 上 の 一 帯 一 路 の 出 発 点 とも 言 える 上 海 天 津 寧 波 舟 山 青 島 烟 台 大 連 はいずれも 東 海 艦 隊 や 北 海 艦 隊 の 軍 港 地 帯 でもあり しかも 在 韓 在 日 米 軍 7

自 衛 隊 などから 海 空 戦 力 による 脅 威 を 受 けやすい 戦 略 要 域 でもある 東 シナ 海 での 一 方 的 な 日 中 中 間 線 付 近 での 海 底 油 田 の 掘 削 施 設 の 増 設 も 防 空 識 別 圏 の 設 定 も これら 港 湾 都 市 群 に 対 する 日 米 の 海 空 脅 威 に できるだけ 前 方 で 対 処 するための 措 置 とみられる 広 州 深 圳 湛 江 三 亜 海 口 などにも 南 海 艦 隊 の 根 拠 地 となる 海 軍 基 地 群 が 所 在 する 海 のシルクロードはこれらの 港 湾 の 重 点 港 湾 としての 機 能 強 化 をうたってお り 軍 港 の 機 能 もそれに 伴 い 強 化 されるであろう またシーレーンの 航 行 船 舶 を 多 国 籍 化 することにより 中 国 沿 岸 部 の 脆 弱 なシーレーンへの 攻 撃 に 対 する 抑 止 力 を 間 接 的 に 強 化 しようとする 狙 いもあるとみられる 前 掲 書 一 帯 一 路 グローバルな 発 展 のための 中 国 の 論 理 によれば ロシア モ ンゴル アフガニスタン 韓 国 シンガポール タイ マレーシア インド サウジアラビ ア フランスなどが 賛 意 を 示 したとされ 中 国 国 内 でも 国 際 的 にも 巨 大 な 反 響 を 呼 んだ と 自 賛 している しかし 中 国 が 提 示 した 各 経 済 回 廊 も 見 方 を 変 えれば 敵 対 関 係 になれば 軍 事 的 侵 略 路 にもなりかねない 対 中 警 戒 心 を 崩 していないとみられる ロシア インド モ ンゴル 東 南 アジアなどの 周 辺 国 が 中 国 との 開 放 的 な 政 策 を 歓 迎 し 大 規 模 な 輸 送 網 建 設 へのインフラ 投 資 に 簡 単 に 乗 り 出 すとは 思 われない 国 内 でも 少 数 民 族 は むしろ 新 たな 漢 族 による 支 配 拡 大 の 企 みとして 警 戒 を 強 めるのではないかと 思 われ る ロシアは 中 央 アジア 諸 国 とは 旧 ソ 連 時 代 から 武 器 輸 出 エネルギー 確 保 などで 緊 密 な 関 係 を 築 いてきた 一 帯 一 路 戦 略 が 重 視 する 新 疆 から 中 央 アジア 諸 国 への 陸 のシルクロード 沿 いの 中 国 の 進 出 は ロシアの 影 響 圏 である 中 央 アジアへの 中 国 の 影 響 力 拡 大 を 意 味 する また 中 央 アジアは 印 露 間 の 武 器 エネルギーなどの 交 易 の 中 継 地 域 としても 戦 略 上 重 要 な 意 義 を 持 っている そのため 中 央 アジアへの 中 国 の 進 出 に 印 露 両 国 は 警 戒 を 強 めているに 違 いない 南 アジア 正 面 には 地 域 大 国 のインドが 控 え 東 南 アジア 正 面 では 南 シナ 海 で 厳 し い 対 立 関 係 にあるベトナムが 存 在 する このように 中 国 の 一 帯 一 路 の 陸 上 正 面 の 進 出 は どの 正 面 をとっても 周 辺 大 陸 国 との 軋 轢 を 招 きかねない 陸 のシルクロードの 発 展 には 膨 大 な 資 金 と 高 度 の 技 術 が 必 要 だが それ 以 前 に 周 辺 諸 国 の 対 中 警 戒 を 解 き 領 土 問 題 などを 再 燃 させることなく 安 定 的 な 関 係 を 築 く 必 要 がある しかし そのような 安 定 的 関 係 の 構 築 は どの 正 面 でも 容 易 ではない 陸 のシルクロードの 発 展 があまり 期 待 できないのであれば それを 補 うために 安 価 に 大 量 一 括 輸 送 が 可 能 な 海 上 貿 易 への 依 存 度 はいっそう 増 大 することになる そ の 結 果 中 国 の 沿 岸 部 に 通 じるシーレーンの 翼 側 を 守 る 東 シナ 海 と 南 シナ 海 の 防 衛 警 備 は ますます 重 要 になるであろう 日 本 や 東 南 アジア 諸 国 に 対 する 中 国 の 海 洋 正 面 での 力 を 背 景 とする 現 状 変 更 の 8

動 きは 一 帯 一 路 という 美 名 の 陰 に 隠 された 戦 略 的 意 図 を 受 けた 計 算 づくの 行 動 と 言 える 東 シナ 海 南 シナ 海 における 中 国 の 強 硬 姿 勢 は 戦 術 的 な 一 時 的 緊 張 緩 和 はあっても 今 後 も 根 本 的 に 緩 和 されることはないとみるべきであろう 4 習 近 平 指 導 部 の 意 図 と 中 国 の 国 防 白 書 に 示 された 離 島 作 戦 に 対 する 国 防 戦 略 (1) 習 近 平 指 導 部 の 意 図 中 国 は 習 近 平 体 制 に 入 り 南 シナ 海 と 東 シナ 海 における 領 域 拡 張 を 既 成 事 実 化 す るなどの 強 引 な 措 置 が 目 立 っている このような 行 動 は 明 らかに 国 連 海 洋 法 条 約 に 違 反 するか その 恐 れのある 行 動 であり 日 本 との 取 り 決 めにも 反 している 既 存 の 国 際 秩 序 に 対 するあからさまな 挑 戦 と 言 える 中 国 のこのような 行 動 の 背 景 には どの ような 軍 事 的 原 理 原 則 があるのかを 中 国 側 から 公 表 された 文 献 に 基 づき 分 析 する 習 近 平 総 書 記 は 光 明 日 報 の 2013 年 7 月 22 日 第 1 版 に 党 の 軍 事 指 導 理 論 の 新 たな 創 造 の 成 果 と 題 して 軍 事 政 策 の 基 本 方 針 を 表 明 している その 中 で 中 華 民 族 の 偉 大 なる 復 興 は 中 国 人 民 の 偉 大 な 夢 であり 国 防 と 軍 隊 の 建 設 はこの 最 高 の 利 益 のための 職 務 に 必 ず 服 従 しなければならない との 方 針 を 示 している また 強 軍 という 目 標 を 提 示 し そのために 軍 隊 の 現 代 的 な 戦 略 配 置 と 路 線 計 画 を 実 現 すること が 党 の 方 針 として 明 確 にされたとしている さらに 強 軍 の 魂 を 堅 持 し 党 の 軍 隊 に 対 する 絶 対 的 な 指 導 を 堅 持 しつつ 国 家 の 主 権 と 領 土 の 無 欠 を 守 り 抜 き 部 隊 の 情 報 化 条 件 下 での 抑 止 力 と 実 戦 能 力 を 絶 えず 向 上 すること を 要 求 し ている なお 2010 年 3 月 以 来 何 度 か 伝 えられた 非 公 式 発 言 に 続 き 2013 年 4 月 中 国 外 務 省 の 副 報 道 局 長 は 記 者 会 見 で 釣 魚 島 ( 尖 閣 諸 島 の 中 国 名 )は 中 国 の 領 土 主 権 に 関 する 問 題 であり 当 然 中 国 の 核 心 的 利 益 に 属 する と 表 明 している このことは 中 国 の 公 式 的 方 針 に 基 づき 領 土 の 無 欠 を 守 るためには 核 心 的 利 益 である 尖 閣 諸 島 が 日 本 の 施 政 下 にある 現 状 は 軍 の 任 務 の 一 環 として 力 をもってしても 変 更 しなければならないことを 意 味 している (2) 国 防 戦 略 に 見 る 中 国 の 国 防 戦 略 とその 狙 い このような 習 近 平 指 導 部 の 方 針 のもと 今 年 4 月 17 日 に 中 国 国 務 院 新 聞 弁 公 室 は 国 防 白 書 : 中 国 の 武 装 力 の 多 様 な 運 用 ( 中 国 的 軍 事 戦 略 (2015 年 5 月 ) ) を 発 表 した その 中 では 国 際 的 なパワーバランスは 世 界 の 平 和 維 持 に 有 利 な 方 向 に 向 かい 国 際 情 勢 は 平 和 安 定 という 基 本 的 な 態 勢 を 保 っている と 同 時 に 局 地 的 な 情 勢 不 安 定 やホットスポットをめぐる 衝 突 が 絶 えない との 認 識 を 示 している また 一 部 の 国 はアジア 太 平 洋 地 域 での 軍 事 同 盟 を 深 化 し 軍 事 プレゼンスを 拡 大 し しばしば 緊 張 状 態 をつくり 出 している 一 部 の 隣 国 は 中 国 の 領 土 主 権 や 海 洋 権 益 にかかわる 問 題 で それを 複 雑 化 拡 大 する 動 きに 出 ており 日 本 は 釣 魚 島 問 9

題 で 紛 争 を 引 き 起 こしている として 暗 にアジア 太 平 洋 へのリバランシング 戦 略 をと る 米 国 に 対 する 警 戒 感 を 示 すとともに 尖 閣 問 題 を 持 ち 出 し 日 本 を 名 指 しで 非 難 し ている 軍 事 戦 略 の 基 本 方 針 としては 積 極 防 御 のゆるぎない 実 行 をあげ 侵 略 への 備 えと 反 撃 の 態 勢 を 固 め 分 裂 主 義 勢 力 を 抑 え 込 み 国 境 防 衛 領 海 防 衛 領 空 防 衛 を 固 め 国 家 の 海 洋 権 益 と 宇 宙 空 間 サイバー 空 間 の 安 全 と 利 益 を 守 る としてい る また 国 家 主 権 の 護 持 と 領 土 保 全 のために 断 固 としてあらゆる 必 要 な 措 置 とを とる とも 表 明 している ここでも 領 域 護 持 のためには あらゆる 措 置 をとる との 決 意 を 強 調 し 威 嚇 を 加 えている あらゆる 措 置 には 核 威 嚇 軍 事 力 の 行 使 も 含 まれ るとみるべきであろう 領 域 確 保 に 関 連 した 各 軍 種 の 運 用 については 陸 軍 では 全 域 機 動 型 への 転 換 海 上 の 島 嶼 に 駐 屯 し 島 嶼 を 守 る 国 境 警 備 海 上 防 衛 部 隊 などの 機 動 作 戦 陸 軍 航 空 部 隊 特 殊 作 戦 能 力 の 向 上 などがうたわれている 海 軍 では 遠 洋 での 機 動 作 戦 能 力 遠 洋 での 非 伝 統 的 脅 威 に 協 力 して 対 応 する 能 力 の 向 上 戦 略 的 抑 止 と 反 撃 の 能 力 強 化 をうたっている 空 軍 では 攻 防 兼 備 偵 察 早 期 警 戒 指 揮 通 信 ネットワーク の 整 備 空 中 攻 撃 戦 略 的 投 下 輸 送 の 構 築 遠 隔 空 中 攻 撃 能 力 の 向 上 を 重 視 して いる このように 陸 海 空 軍 共 に 遠 洋 での 離 島 に 対 する 統 合 作 戦 の 実 行 能 力 向 上 に 注 力 している 公 安 国 境 警 備 部 隊 は 国 境 沿 海 地 域 と 海 上 の 安 全 や 安 定 の 維 持 犯 罪 の 取 り 締 まり 緊 急 救 援 国 境 警 備 保 安 などの 多 様 な 任 務 を 担 任 している 海 の 国 境 を 越 え る 漁 業 活 動 にメスを 入 れ 海 上 の 治 安 を 保 つためのパトロールや 法 執 行 を 強 化 し 海 上 の 違 法 犯 罪 活 動 を 厳 しく 取 り 締 まっているとしている また 民 兵 は 国 境 警 備 海 上 防 衛 地 域 の 軍 隊 警 察 民 間 による 合 同 防 衛 国 境 の 防 衛 警 備 に 積 極 的 に 参 加 し 年 間 を 通 じて 国 境 線 や 海 上 境 界 線 でパトロールしているとしている なお 公 安 国 境 警 備 の 部 隊 は 武 装 警 察 の 系 列 に 組 み 込 まれており 戦 時 には 人 民 解 放 軍 に 協 力 して 防 衛 作 戦 を 行 うと 規 定 されている また 国 境 警 備 海 上 防 衛 防 空 面 のパトロ ール 勤 務 を 綿 密 に 計 画 実 施 し 常 に 怠 りなく 戦 闘 準 備 状 態 を 維 持 する ことを 各 軍 種 を 通 じて 強 調 している 以 上 から 明 らかなように 今 回 の 中 国 の 防 衛 白 書 は 中 国 が 尖 閣 諸 島 等 に 対 す る 奇 襲 的 な 島 嶼 占 領 作 戦 を 可 能 にする 総 合 的 な 軍 事 力 警 備 力 を 整 備 する 方 針 を 国 際 社 会 に 明 示 したものと 解 釈 できる 5 中 国 国 防 白 書 に 見 る 第 二 砲 兵 を 中 核 とする A2/AD 戦 略 実 効 態 勢 作 り (1) A2/AD の 中 核 戦 力 第 二 砲 兵 の 軍 事 戦 略 特 に A2/AD( 接 近 阻 止 領 域 拒 否 ) 戦 略 を 担 う 中 核 戦 力 の 第 二 砲 兵 について は 注 目 が 必 要 である 第 二 砲 兵 の 装 備 体 系 としては 東 風 シリーズの 弾 道 ミサイ 10

ルと 長 剣 巡 航 ミサイルを 配 備 しており 核 兵 器 通 常 兵 器 を 兼 ね 備 えた 戦 力 体 系 を 整 え 迅 速 な 反 応 効 果 的 な 防 御 兵 器 ピンポイント 攻 撃 総 合 的 な 破 壊 と 生 存 防 衛 能 力 の 強 化 を 重 視 しても 整 備 している 特 に 戦 略 的 抑 止 と 核 反 撃 能 力 通 常 兵 力 によるピンポイント 攻 撃 能 力 は 着 実 に 向 上 している との 自 信 を 示 している ここ で ピンポイント 攻 撃 の 最 大 の 目 標 としているのは 米 空 母 打 撃 群 とみられる このように 成 熟 技 術 を 利 用 して 重 点 的 選 択 的 に 現 有 装 備 を 改 善 し ミサイル 兵 器 の 安 全 性 信 頼 性 有 効 性 を 高 め A2/AD 戦 略 を 実 効 あるものにするための 各 種 ミサイル 戦 力 の 整 備 が 進 展 している また 第 二 砲 兵 の 傘 下 に 大 学 研 究 所 が 含 まれており 核 通 常 弾 頭 の 各 種 の 弾 道 ミサイル 巡 航 ミサイルの 開 発 のためのイノ ベーションの 担 い 手 として 理 系 の 頭 脳 集 団 を 全 面 的 に 動 員 する 体 制 がとられている ことを 示 唆 している 第 二 砲 兵 については 随 時 作 戦 可 能 という 原 則 を 踏 まえて 国 が 核 の 脅 威 を 受 けた 際 は 中 央 軍 事 委 員 会 の 命 令 によって 警 戒 レベルを 高 め 核 による 反 撃 の 準 備 を 整 え 敵 を 威 嚇 し 中 国 に 対 する 核 兵 器 の 使 用 を 抑 止 する また 通 常 ミサイ ル 部 隊 は 平 時 と 戦 時 の 転 換 を 速 やかに 完 成 し 通 常 の 中 長 距 離 ピンポイント 攻 撃 の 任 務 を 遂 行 することができる と 述 べている 訓 練 面 では 第 二 砲 兵 は 核 生 物 化 学 兵 器 による 威 嚇 を 受 けた 場 合 の 安 全 防 護 と 操 作 技 能 の 訓 練 に 力 を 入 れ 毎 年 多 種 類 のミサイル 部 隊 が 実 弾 発 射 任 務 を 遂 行 するよう 計 画 しているとしている また 偵 察 と 対 偵 察 妨 害 と 妨 害 対 抗 ピンポイント 攻 撃 と 防 護 反 撃 という 対 抗 訓 練 も 行 っている これらの 記 述 は 核 抑 止 態 勢 が 常 に 機 能 しており 核 恫 喝 に 屈 しないこと また 通 常 弾 頭 による 中 距 離 ピンポイント 攻 撃 任 務 への 戦 時 態 勢 への 切 り 替 え 言 い 換 えれば A2/AD 戦 略 の 発 動 が 随 時 可 能 であ ること 示 唆 している また 米 側 の 反 撃 ピンポイント 攻 撃 等 に 対 する 防 護 力 生 存 力 の 強 化 も 図 っている これらの 文 言 は 第 二 砲 兵 の 即 応 態 勢 と 残 存 性 の 維 持 強 化 が 米 国 のアジア 太 平 洋 域 内 への 介 入 と 核 恫 喝 に 対 する 抑 止 力 及 び 阻 止 力 の 骨 幹 戦 力 であることを 中 国 が 十 分 に 認 識 していることを 示 している このような 全 般 的 な 戦 略 態 勢 を 前 提 とし て 陸 海 空 その 他 の 軍 事 戦 略 が 組 み 立 てられていると 言 えよう 逆 に 言 えば この 点 にどう 対 処 するかが 対 中 戦 略 の 最 大 の 課 題 であると 言 える (2) A2/AD 戦 略 を 実 効 あるものにするため 高 まる 実 戦 力 今 回 の 白 書 では 三. 国 の 主 権 安 全 独 立 を 守 る の 項 目 で 国 の 主 権 安 全 領 土 保 全 に 危 害 を 加 えるすべての 挑 発 行 為 に 随 時 対 応 し 断 固 として 食 い 止 め 国 の 核 心 的 利 益 を 断 固 として 守 る としている 先 に 述 べたように 中 国 は 尖 閣 諸 島 を 核 心 的 利 益 であると 公 式 に 表 明 しており 今 回 の 白 書 の 言 明 に 従 えば 軍 は 尖 閣 諸 島 を 断 固 として 守 らねばならない この 任 務 は 習 近 平 総 書 記 から 示 された 上 記 の 国 家 戦 略 を 国 防 戦 略 として 具 現 化 したものであり 軍 にとり 至 上 命 令 に 等 しい 11

と 解 すべきであろう この 任 務 を 果 たすために 現 実 に 中 国 軍 は 上 に 述 べた A2/AD 戦 略 の 傘 の 下 で 尖 閣 諸 島 などの 遠 洋 の 島 嶼 に 対 する 奇 襲 的 な 統 合 上 陸 作 戦 能 力 を 発 動 できる 能 力 を 高 めている 国 防 白 書 でも 述 べているように 平 時 から 海 上 国 境 地 帯 では 海 上 民 兵 や 国 境 警 備 を 担 当 する 公 安 国 境 部 隊 がパトロールや 取 り 締 まりを 行 ってい る 尖 閣 諸 島 周 辺 のわが 国 領 海 領 空 への 中 国 公 船 等 の 侵 犯 事 案 が 急 増 している のも その 表 れである この 態 勢 をそのまま 利 用 して 尖 閣 諸 島 占 拠 といった 既 成 事 実 を 創 ることは 可 能 であろう 訓 練 では 情 報 主 導 システム 対 抗 ピンポイント 作 戦 インテグレーション 共 同 で 勝 ちを 制 するといった 情 報 化 条 件 下 での 作 戦 理 念 を 訓 練 の 実 践 に 融 け 込 ませるこ とを 重 視 している 陸 軍 は 地 区 にまたがる 機 動 演 習 を 行 い 海 軍 は 遠 海 における 侵 入 阻 止 長 距 離 急 襲 外 洋 における 対 潜 哨 戒 遠 洋 での 航 行 護 衛 などの 訓 練 を 行 っ ている 遠 海 訓 練 を 通 じ 島 嶼 岩 礁 への 急 襲 撃 破 などの 実 兵 による 対 抗 訓 練 も 行 っ ている 特 に 2007 年 以 来 西 太 平 洋 において 20 回 近 く 延 べ 90 隻 以 上 にのぼる 遠 海 訓 練 を 行 ったとされている 空 軍 も 複 雑 な 訓 練 環 境 下 での 対 抗 演 習 に 取 り 組 んで いる これらの 中 国 国 防 白 書 が 述 べている 訓 練 の 実 態 は わが 国 防 衛 省 が 把 握 してい る 中 国 軍 の 活 動 状 況 とも 符 合 しており 中 国 軍 の 今 回 の 発 表 は 訓 練 の 実 態 をむし ろ 誇 示 して A2/AD 戦 略 実 行 のための 実 戦 力 を 高 めつつあることを 示 すことに 狙 い があるとみるべきであろう 6 中 国 側 文 献 に 見 る 島 嶼 作 戦 の 軍 事 戦 略 (1) 島 嶼 作 戦 の 軍 事 戦 略 東 シナ 海 南 シナ 海 での 紛 争 は 島 嶼 をめぐる 作 戦 になる 島 嶼 作 戦 の 軍 事 戦 略 については 今 年 北 京 の 国 防 大 学 出 版 社 から 出 された 肖 天 亮 主 編 集 戦 略 学 で は 以 下 の 諸 点 が 指 摘 されている 島 嶼 作 戦 は 各 種 の 精 強 な 戦 力 を 総 合 的 に 運 用 して 行 われる 大 型 の 海 島 又 は 島 嶼 岩 礁 区 域 に 対 して 行 われる 作 戦 であり その 目 的 は 重 要 な 島 嶼 を 支 配 下 に 置 き 国 家 の 統 一 と 領 土 の 無 欠 性 を 実 現 し 関 連 する 海 域 に 対 する 有 効 な 支 配 権 を 実 現 することにあるとされている なお 島 嶼 作 戦 の 特 徴 としては 以 下 の 諸 点 が 挙 げられている 1 陸 海 空 軍 第 二 砲 兵 を 含 む 多 軍 種 の 精 鋭 な 戦 力 と 人 民 武 装 警 察 民 兵 予 備 役 部 隊 及 び 地 方 のそれら 戦 力 を 含 んだ 連 合 作 戦 となること 2 戦 場 環 境 が 複 雑 であること 渡 海 作 戦 になるが 天 然 の 障 害 を 克 服 しなければ ならないだけではなく 敵 の 連 続 的 な 海 空 軍 と 島 嶼 防 衛 部 隊 の 襲 撃 阻 止 にも 対 処 し なければならない また 大 量 の 装 備 が 必 要 なだけではなく 高 度 の 技 術 装 備 が 必 要 12

となり 作 戦 中 指 揮 システムにはたいへんな 負 担 がかかりかつ 電 磁 環 境 も 複 雑 にな る 3 作 戦 空 間 が 多 様 になること 単 に 地 上 海 面 空 中 だけではなく インターネット 電 磁 空 間 情 報 支 配 にもわたり 制 空 権 制 海 権 への 依 存 度 も 大 きくなる 4 作 戦 方 式 も 多 様 である 地 上 海 上 空 中 での 大 規 模 な 正 規 軍 の 交 戦 だけでは なく 様 々な 規 模 の 非 正 規 作 戦 も 生 ずる 島 嶼 作 戦 には 市 街 地 への 侵 攻 山 地 へ の 侵 攻 機 動 作 戦 等 様 々の 作 戦 様 式 が 含 まれる 5 後 方 保 障 ( 兵 站 人 事 支 援 )への 負 担 も 大 きい 島 嶼 作 戦 には 多 種 類 の 戦 力 が 必 要 とされ 各 種 の 作 戦 物 資 を 大 量 に 消 費 し 各 種 の 後 方 保 障 に 対 する 要 求 度 も 高 い 作 戦 の 様 相 としては 以 下 のように その 特 色 が 述 べられている 島 嶼 の 封 鎖 作 戦 は 通 常 連 合 した 戦 力 火 力 障 害 物 による 立 体 的 な 封 鎖 作 戦 により 行 われる 上 陸 作 戦 では 敵 が 占 拠 する 島 に 対 し 渡 海 侵 攻 行 動 を 実 施 することになる その 戦 闘 空 間 は 島 嶼 への 上 陸 作 戦 と 珊 瑚 礁 に 対 する 上 陸 作 戦 に 区 分 される 装 備 の 技 術 的 発 展 に 伴 い 島 嶼 作 戦 の 空 間 と 規 模 は 拡 大 しており 作 戦 様 式 も 多 次 元 の 空 間 にわた り 発 展 している さらに 作 戦 上 の 要 求 として 以 下 の 事 項 が 挙 げられている 情 報 化 装 備 の 不 断 の 発 展 と 戦 場 での 使 用 に 伴 い 戦 争 形 態 に 重 大 な 変 化 が 生 じ 島 嶼 作 戦 にも 新 たな 挑 戦 をもたらしている 島 嶼 作 戦 の 指 導 上 以 下 の 事 項 を 把 握 しなければならない 1 十 分 な 準 備 を 行 い 周 到 な 計 画 を 立 てること 島 嶼 作 戦 は 困 難 な 任 務 を 複 雑 な 状 況 下 で 多 くの 制 約 要 因 の 下 で 行 い 敵 の 抵 抗 は 激 烈 で リスクが 高 く 準 備 作 業 により 勝 敗 は 決 する このため 十 分 に 推 移 を 予 想 し 行 動 中 に 予 想 される 各 種 の 状 況 にあらかじめ 備 え 数 多 くの 計 画 を 策 定 すること 柔 軟 性 を 発 揮 して 戦 場 で 出 現 する 各 種 の 状 況 に 応 じ 適 時 に 柔 軟 に 対 処 すること 2 精 鋭 部 隊 を 集 中 し その 優 れた 点 を 総 合 すること 島 嶼 作 戦 では その 主 目 標 と なる 島 嶼 の 方 向 に 勝 利 をもたらすに 足 る 優 れた 部 隊 と 装 備 特 に 海 空 軍 と 第 二 砲 兵 の 精 鋭 戦 力 を 集 中 し 量 と 質 両 面 の 総 合 的 な 優 位 を 追 求 し 戦 勝 を 確 保 すること 3 重 点 指 向 し 保 障 を 有 効 にすること 島 嶼 作 戦 は 彼 我 の 激 烈 な 戦 闘 となり 大 量 の 物 資 が 消 耗 され 保 障 を 実 施 することは 常 に 困 難 になる 各 種 の 保 障 能 力 を 統 一 規 格 にし 各 軍 種 兵 種 の 総 合 的 な 保 障 効 果 を 発 揮 させ 地 方 の 人 的 物 的 な 戦 力 を 動 員 利 用 し 軍 民 が 一 体 となった 統 一 性 のある 保 証 を 実 現 しなければならない 島 嶼 作 戦 の 各 段 階 各 作 戦 方 向 作 戦 地 域 作 戦 集 団 においては 全 面 的 な 保 障 の 基 礎 の 上 に 立 ち 主 要 な 攻 撃 方 向 主 な 攻 撃 戦 力 主 要 な 作 戦 行 動 を 重 点 的 に 保 障 する と 同 時 自 らの 防 衛 にも 保 障 力 を 強 化 し 主 要 な 作 戦 任 務 の 完 遂 を 確 保 しなければ ならない 以 上 の 記 述 では 島 嶼 作 戦 の 困 難 さを 十 分 に 認 識 し 国 家 総 力 を 挙 げて 周 到 な 準 備 と 計 画 の 下 に 一 撃 で 目 標 とする 島 嶼 を 占 領 奪 取 しようとする 中 国 の 軍 事 的 意 図 13

とそのための 能 力 整 備 の 意 思 が 露 わにされている 特 に 台 湾 のような 大 規 模 な 島 だけではなく 島 嶼 岩 礁 区 域 も 目 標 とされている 点 は 看 過 できない わが 国 の 尖 閣 諸 島 や 南 シナ 海 の 南 沙 諸 島 では すでに 実 力 による 支 配 の 既 成 事 実 化 が 進 められ ている その 背 景 には このような 軍 事 戦 略 があることを 認 識 しなければならない (2) 辺 境 地 域 の 作 戦 における 火 力 突 撃 作 戦 の 教 義 東 シナ 海 南 シナ 海 での 紛 争 は 国 境 海 域 における 辺 境 作 戦 の 一 種 であり 迅 速 に 指 向 できる 火 力 の 集 中 が 作 戦 成 功 のカギとなる 遠 距 離 火 力 の 統 一 発 揮 のため の 作 戦 教 義 面 について 孫 建 軍 鄭 衛 国 編 集 現 代 辺 境 作 戦 概 論 ( 北 京 藍 天 出 版 2012 年 )は 火 力 突 撃 作 戦 という 教 義 を 提 唱 している 火 力 突 撃 作 戦 とは 部 隊 自 らの 総 合 火 力 を 統 一 指 揮 するとともに 上 級 部 隊 がそ の 火 力 部 隊 を 増 強 配 属 して 火 力 指 揮 システムの 統 一 と 調 整 の 下 に 一 体 化 し 敵 に 対 して 一 連 の 火 力 打 撃 を 行 うという 作 戦 行 動 を 指 す ここでも 遠 距 離 ピンポイント 攻 撃 重 視 の 傾 向 が 見 られる 現 代 の 辺 境 における 火 力 突 撃 作 戦 では 危 機 を 抑 止 し 局 地 的 な 戦 局 を 支 配 する ことが 極 めて 重 要 であり 局 地 の 支 配 力 の 喪 失 が 全 般 の 戦 局 に 直 接 影 響 を 与 えると している 特 に 現 代 の 火 力 突 撃 作 戦 では 遠 距 離 からの 精 度 が 高 く 威 力 の 大 き い 多 様 な 手 段 による 即 応 力 のある 有 効 な 高 度 の 優 位 性 を 保 持 することが 最 も 重 要 であるとしている また 火 力 突 撃 作 戦 の 成 功 は 作 戦 目 的 全 般 の 達 成 に 直 接 つながり 主 要 な 戦 略 目 標 となる 軍 事 闘 争 にとり 有 利 な 戦 場 環 境 を 創 りだすことが できると その 意 義 を 高 く 評 価 している 遠 洋 での 敵 空 母 に 対 する 火 力 打 撃 や 離 島 への 上 陸 作 戦 は このような 火 力 突 撃 作 戦 として 実 施 される 可 能 性 が 高 い 短 期 の 局 地 戦 であっても その 及 ぼす 戦 略 的 な 影 響 は 甚 大 であり 戦 略 態 勢 全 般 に 直 接 影 響 を 及 ぼすと 言 える そのために 必 要 な 戦 力 は 即 応 性 の 高 い 威 力 のある 多 様 な 手 段 による 遠 距 離 からのピンポイント 攻 撃 力 である 正 に 上 に 述 べた A2/AD のピンポイント 作 戦 あるいは 尖 閣 諸 島 奪 取 のための 離 島 作 戦 に 適 合 した 戦 力 整 備 と 訓 練 に 応 ずる 作 戦 教 義 と 言 える まとめ: 侵 攻 シナリオの 一 例 と 我 が 国 のとるべき 対 応 作 戦 戦 略 の 上 では これらの 戦 力 整 備 訓 練 作 戦 教 義 を 踏 まえれば 中 国 軍 は 一 例 として 以 下 のようなシナリオで 尖 閣 諸 島 の 占 領 という 任 務 を 達 成 することを 追 求 していると 言 えるかもしれない すなわち 1 平 時 からの 各 種 ミサイル 戦 力 と 地 上 配 備 爆 撃 機 などの 傘 の 下 で ま ず 2 民 兵 などが 日 本 側 の 警 備 態 勢 のすきを 突 き 尖 閣 諸 島 などに 上 陸 して 既 成 事 実 を 作 る それに 対 し 3 日 本 側 の 海 上 保 安 庁 などが 逮 捕 その 他 の 対 応 をとった 場 合 漁 民 保 護 又 は 日 本 側 の 違 法 行 動 取 り 締 まりの 名 目 で 公 安 が 進 出 し 海 上 保 安 庁 の 保 安 官 や 艦 船 を 排 除 する 14

日 本 側 の4 航 空 自 衛 隊 機 の 動 きに 対 しては 防 空 識 別 圏 を 利 用 して 先 制 をとり 5 海 上 自 衛 隊 派 遣 に 対 しては 機 先 を 制 して 中 国 の 海 空 軍 を 増 派 して 尖 閣 周 辺 海 空 域 の 優 勢 を 確 保 して 尖 閣 諸 島 周 辺 を 封 鎖 する その 間 に 6 大 型 の 輸 送 機 ヘリも 併 用 して 地 上 軍 の 増 援 兵 力 を 尖 閣 諸 島 に 送 り 込 み 短 時 間 で 島 嶼 に 各 種 のレーダ ミサイルを 展 開 し それらを 掩 護 する 防 御 陣 地 を 構 築 日 本 側 の 奪 還 を 困 難 にする 7 日 本 側 の 本 格 的 な 奪 還 作 戦 発 動 前 に 外 交 的 な 調 停 に 持 ち 込 み 尖 閣 諸 島 占 領 の 既 成 事 実 を 日 本 側 に 受 け 入 れさせる 8 日 本 側 が 応 じなければ ミサイル 発 射 に より 恫 喝 をかけるといった 手 法 である 中 国 軍 にとり 島 嶼 の 占 領 作 戦 は 国 家 的 な 意 思 に 基 づいて 発 動 される 何 としても 達 成 すべき 任 務 である ひとたび 実 行 を 命 じられれば 周 到 な 計 画 と 準 備 の 下 に あ らゆる 国 家 資 源 を 動 員 し 一 挙 に 島 嶼 を 占 領 する 態 勢 で 臨 んでくるものと 予 想 され る その 侵 攻 様 相 は 極 めて 複 雑 で 多 段 階 にわたるが ひとたび 行 動 に 出 れば 迅 速 主 導 的 に 行 動 しようとするであろう 国 家 戦 略 の 面 では 1まず 平 時 からの 三 戦 ( 心 理 戦 輿 論 戦 法 律 戦 ) サイバー 攻 撃 特 殊 部 隊 工 作 員 の 浸 透 から 始 まり 日 本 国 内 の 世 論 工 作 政 治 工 作 を 周 到 に 行 うとともに 外 交 経 済 面 から2 米 国 の 対 日 介 入 意 志 の 低 下 日 米 の 離 間 を 画 策 するであろう 3これらの 準 備 工 作 が 効 を 奏 し 侵 攻 の 好 機 が 来 たと 判 断 すれば 例 えば 上 に 述 べたようなシナリオの 作 戦 を 発 動 し 日 本 側 が 判 断 と 決 断 に 迷 い 自 衛 力 行 使 を 発 令 する 理 由 と 時 間 的 余 裕 を 与 えないように 巧 みな 偽 装 欺 瞞 をともなう 奇 襲 侵 攻 と 軍 事 的 な 迅 速 な 既 成 事 実 化 を 図 るであろう 4 最 終 的 には 日 本 側 の 本 格 反 攻 作 戦 米 国 の 介 入 に 対 して 核 を 含 む 各 種 ミサ イルの 発 射 による 恫 喝 攻 撃 など A2/AD 戦 略 の 発 動 まで 予 期 して 中 国 は 行 動 す ると 思 われる A2/AD 戦 略 の 前 段 階 とも 言 える 相 手 国 近 海 に 対 するミサイル 発 射 試 験 による 恫 喝 という 手 法 は 1995 年 から 96 年 にかけて 台 湾 総 統 選 挙 前 に 中 国 がすでに 行 使 している 日 本 としては 次 の 島 嶼 侵 攻 作 戦 でもミサイル 発 射 による 恫 喝 が 行 使 されることを 予 期 して 備 えなければならない 日 本 の 核 抑 止 力 とミサイル 防 衛 態 勢 の 信 頼 性 が 真 に 問 われる 事 態 が 生 ずるであろう 中 国 のミサイル 脅 威 は 北 朝 鮮 のそれの 比 で はない それに 耐 えられる 備 えと 覚 悟 が 日 本 には 求 められている 作 戦 上 も 離 島 奪 還 作 戦 の 実 施 は 海 空 優 勢 確 保 の 段 階 から 困 難 が 予 想 される 奇 襲 的 な 中 国 側 の 弾 道 巡 航 ミサイルによる 海 空 基 地 への 攻 撃 特 殊 部 隊 による 襲 撃 かく 乱 心 理 戦 サイバー 戦 電 磁 波 攻 撃 の 併 用 に 対 し まず 残 存 し 秩 序 と 防 衛 警 備 政 経 機 能 を 維 持 しなければならない そのためには 1 基 地 その 他 関 連 施 設 の 抗 堪 化 分 散 地 下 化 が 必 要 であり 2 航 空 機 用 ハンガーも 増 設 しなければならな い 3 住 民 の 退 避 用 シェルターも 必 要 である 尖 閣 諸 島 の 占 領 とその 既 成 事 実 化 を 阻 止 するには 4 洋 上 だけではなく 中 国 沿 岸 15

部 から 内 陸 に 至 る 情 報 収 集 のできる ISR 網 の 整 備 5 尖 閣 を 射 程 内 に 入 れた 即 時 対 応 可 能 な 精 密 な 長 射 程 ミサイル 火 力 の 配 備 6 離 島 奪 還 部 隊 の 洋 上 機 動 間 の 対 空 掩 護 弾 道 巡 航 ミサイル 防 衛 対 潜 作 戦 能 力 などが 不 可 欠 になる 上 陸 後 も 支 援 を 継 続 するには 7 長 射 程 ミサイル 火 力 密 度 の 高 い 対 地 航 空 支 援 海 域 に 接 近 する 艦 艇 に 対 する 洋 上 封 鎖 8 洋 上 航 空 輸 送 能 力 の 確 保 など 大 規 模 な 支 援 態 勢 の 維 持 が 数 週 間 程 度 は 必 要 になるとみられる 以 上 の 作 戦 を 可 能 にする 人 的 物 的 基 盤 を 確 保 するには 9 必 要 な 装 備 品 ミサ イル 弾 薬 類 燃 料 などを 備 蓄 追 送 現 地 調 達 など あらゆる 方 法 により 確 保 しな ければならない しかし 現 在 の 法 制 では 強 制 的 な 徴 発 徴 用 の 権 限 は 与 えられてい ない 10 装 備 品 の 整 備 部 品 ミサイル 等 の 緊 急 増 産 も 必 要 になるであろう 11その ための 予 算 措 置 12 即 応 予 備 自 衛 官 予 備 自 衛 官 の 防 衛 招 集 自 衛 官 の 緊 急 募 集 などの 人 事 的 措 置 も 迅 速 にとらねばならない 13 法 制 上 の 不 備 があれば それも 緊 急 に 立 法 化 する 必 要 が 出 てくるであろう しかし これらの 措 置 を 短 時 間 でとるための 体 制 が 日 本 に 自 治 体 や 民 間 も 含 め 国 家 の 総 力 を 挙 げてできているかといえば 未 だに 極 めて 不 十 分 と 言 わざるをえな い 中 国 側 が 進 めている 国 家 総 力 を 挙 げた 体 制 整 備 と 比 較 した 場 合 日 本 も これら の 措 置 を 緊 急 時 に 迅 速 にとれる 体 制 を 創 らなければ 尖 閣 諸 島 の 防 衛 警 備 任 務 は 達 成 できないとみるべきであろう 米 国 の 支 援 は 期 待 できないとは 言 えないが 紛 争 が 奇 襲 的 に 生 じ 中 国 軍 によ る 尖 閣 先 取 といった 事 態 が 生 じれば 軍 事 面 では 現 在 の 米 国 のドクトリンなどから 見 て 装 備 品 弾 薬 ミサイル 等 の 供 与 情 報 の 提 供 訓 練 支 援 作 戦 に 対 する 助 言 等 外 交 面 では 日 中 紛 争 の 早 期 仲 裁 国 際 社 会 国 連 での 停 戦 決 議 などの 外 交 面 での 支 援 程 度 に 留 まる 可 能 性 が 高 い 中 国 軍 との 戦 闘 に 巻 き 込 まれる 恐 れのある 第 一 線 戦 闘 部 隊 特 に 地 上 兵 力 による 直 接 の 軍 事 介 入 は 期 待 できないとみるべきで あろう 最 大 限 の 米 側 の 支 援 を いかに 適 時 にひきだすかは 大 きな 課 題 であるが 時 の 米 国 側 の 意 思 に 依 存 する 問 題 であり 米 国 民 や 議 会 の 意 向 により 大 きく 左 右 され 不 確 定 な 要 素 が 多 い そのため 最 悪 の 事 態 も 予 期 して 日 本 側 としては 特 に 防 衛 面 では 態 勢 を 整 えるべきであろう 特 に 重 要 な 点 は 陸 上 兵 力 を 敵 に 先 んじて 尖 閣 諸 島 に 上 陸 させることである そう すれば 中 国 側 は 日 本 の 兵 力 を 排 除 することを 余 儀 なくされ 戦 争 を 覚 悟 しなければ ならなくなり サラミ 戦 術 や 三 戦 は 通 じなくなる 米 国 も 日 本 側 の 施 政 下 にある 領 域 に 対 する 侵 略 となり 日 米 安 保 条 約 第 五 条 の 対 象 事 態 として 軍 事 的 に 支 援 しなけ ればならなくなる 事 態 をエスカレートさせず しかも 敵 に 先 んじて 安 全 迅 速 に いつ 陸 上 兵 力 を 尖 閣 諸 島 に 派 遣 するかが 最 も 重 要 な 対 処 上 の 決 心 事 項 になる その 際 の 派 遣 のタ 16

イミングの 見 極 め そのための 情 報 収 集 分 析 及 びオスプレイその 他 確 実 な 輸 送 手 段 と 航 空 掩 護 態 勢 を 確 保 することが 死 活 的 に 重 要 である 17