資 料 4-2 ドイツの 地 域 分 散 の 状 況 について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
ドイツの 概 要 ドイツは19 世 紀 末 まで 統 一 国 家 ではなく 小 国 や 都 市 王 国 公 国 が 乱 立 していた そのため 現 在 においても 地 域 分 散 化 しており 世 界 トップクラスの 企 業 が 地 方 にも 多 く 見 られる 一 方 情 報 産 業 や 金 融 については 一 部 の 都 市 への 集 中 が 見 られる 人 口 :8,052 万 人 (2012 年 )( 独 連 邦 統 計 庁 ) 面 積 :35.7 万 平 方 キロメートル( 日 本 の 約 94%) 政 体 : 連 邦 共 和 制 (16 州 : 旧 西 独 10 州, 旧 東 独 5 州 及 び ベルリン 州 ) 首 都 :ベルリン( 約 343 万 人 )(2012 年 連 邦 統 計 庁 ) なお ボンは 東 西 統 一 後 も 連 邦 市 とされ 一 部 の 省 庁 が カールスルーエには 連 邦 憲 法 裁 判 所 ( 日 本 の 最 高 裁 判 所 に 相 当 )が 設 置 されている 略 史 : 378 年 ゲルマン 民 族 ローマ 帝 国 領 内 に 侵 入 911 年 選 挙 王 政 による 初 代 ドイツ 国 王 コンラート 一 世 即 位 962 年 神 聖 ローマ 帝 国 成 立 (~1806 年 ) 1701 年 プロイセン 王 国 成 立 (~1871 年 ) 1871 年 ドイツ 帝 国 成 立 (いわゆる ビスマルク 憲 法 制 定 ) 1918 年 ドイツ 革 命 ワイマール 共 和 国 成 立 1933 年 ヒトラー 首 相 に 就 任 ナチ 党 の 一 党 独 裁 制 確 立 (~1945 年 ) ベルリンには ITやゲーム 関 連 企 業 が 集 積 ウーガ(Wooga) 社 の モンス ターワールド のキャラクター フランクフルトの 高 層 ビル 群 には 金 融 関 連 企 業 が 集 積 19499 年 西 独 基 本 法 の 成 立 西 独 東 独 の 成 立 picture-alliance/dpa 1961 年 ベルリンの 壁 構 築 1989 年 11 月 ベルリンの 壁 崩 壊 1990 年 10 月 3 日 統 一 ( 出 典 ) 外 務 省 HP ドイツ 連 邦 共 和 国 大 使 館 総 領 事 館 HP ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 より 1
ドイツの 中 小 企 業 と 職 業 訓 練 制 度 ドイツ 経 済 を 支 えているのは 輸 出 であり その 立 役 者 は 中 小 企 業 中 でも 隠 れたチャン ピオン(hidden champions) として 知 られるエリート 中 小 企 業 である またドイツの 競 争 力 の 要 因 の 一 つとして 独 自 の 職 業 訓 練 制 度 があげられる これらは それぞれの 地 域 との 結 びつきが 強 く 分 散 型 構 造 を 支 える 基 盤 となっている と 考 えられる ドイツの 中 小 企 業 の 概 要 従 業 者 数 500 人 未 満 の 企 業 の 割 合 中 小 企 業 に 勤 める 従 業 者 の 割 合 中 小 企 業 の 付 加 価 値 額 の 割 合 99.7 % 79.6 % 51.3 % ドイツの 職 業 教 育 制 度 Note: data refer to 2009, *ifm estimation; Source: IfM Bonn 2012 ( 参 考 ) 日 本 の 中 小 企 業 の 概 要 ( 注 ) 中 小 企 業 の 定 義 が 異 なるため ドイツと 単 純 な 比 較 はできない 企 業 数 :99.7% 従 業 者 数 :69.7% 付 加 価 値 額 :( 製 造 業 )36.7% ( 非 製 造 業 )60.2% 二 元 制 システム(デュアルシステム)により 週 に3-4 日 企 業 で 実 践 を 学 び 1-2 日 は 職 業 学 校 で 理 論 的 な 教 育 を 受 ける 教 育 期 間 は2-3 年 半 学 生 にとってのメリット: 現 場 における 実 務 経 験 見 習 い 期 間 は 有 給 卒 業 後 にフルタイムの 触 を 得 る 良 いチャンス 企 業 にとってのメリット: 高 度 な 技 能 を 有 する 従 業 員 の 大 量 予 備 軍 自 社 のニーズにぴったり 合 った 人 材 会 社 外 部 か ら 従 業 員 を 獲 得 するよりも 低 コスト ( 出 典 )ドイツ 連 邦 共 和 国 大 使 館 総 領 事 館 HP ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 中 小 企 業 庁 HPより 2
ドイツの 科 学 研 究 拠 点 と 技 術 移 転 ドイツのほとんどの 中 小 企 業 は 外 部 の 能 力 を 取 り 込 むオープンなアプローチを 志 向 し 競 争 力 を 高 め リスクを 低 減 企 業 が 技 術 革 新 プロセスの 課 題 を 克 服 するための 支 援 を 大 学 ( 総 合 大 学 105 校 工 科 大 学 211 校 )を 中 心 とする 地 域 ネットワークが 担 っている ドイツの 高 等 教 育 機 関 の 分 布 状 況 ( 参 考 ) 2011 年 世 界 大 学 学 術 ランキング に39 校 がランキ ング 米 国 に 次 いで2 位 2011 年 IMD 世 界 競 争 力 年 鑑 の 企 業 と 大 学 間 の 知 識 移 転 の 発 達 水 準 において 米 国 に 次 いで2 位 ネットワークによる 共 同 の 例 Optence 光 学 技 術 コンピテンス ネットワーク 技 術 移 転 センターとして 協 同 ベンチャーを 促 進 し 地 域 の 光 学 産 業 を 強 化 することを 目 的 光 学 技 術 のユーザーとサプライヤーが57 機 関 さら に 多 数 の 研 究 機 関 が 参 加 ネットワークは 大 学 に 対 する 特 許 スカウト 共 同 施 設 の 共 有 人 材 交 流 の 促 進 合 同 調 査 プログラムの 策 定 共 同 研 究 の 管 理 スピンオフ 企 業 の 設 立 を 行 う TU9(ドイツの 主 要 技 術 研 究 機 関 ネットワーク) 企 業 と 学 術 研 究 の 間 のギャップを 埋 め アイディアを 商 品 化 できる 技 術 に 変 えることにより 革 新 的 な 製 品 サービスを 開 発 して 顧 客 に 提 供 することを 目 的 プロジェクトの 約 50%は スタンフォード 大 学 や 上 海 大 学 TU9 大 学 のうち5 校 非 大 学 研 究 開 発 機 関 な どのパートナーと 共 同 で 実 施 TU9:ベルリン 工 科 大 学 ブラウンシュヴァイク 工 科 大 学 ゴットフリー ト ヴィルヘルム ライプニッツ 大 学 ハノーファー ドレスデン 工 科 大 学 ダルムシュタット 工 科 大 学 アーヘン 工 科 大 学 カールス ルーエ 工 科 大 学 シュトゥットガルト 大 学 ミュンヘン 工 科 大 学 ( 出 典 )ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 より 3
ドイツにおける 産 業 クラスター ドイツには 数 百 カ 所 に 産 業 クラスター が 存 在 している 外 国 企 業 が 進 出 を 希 望 するのは 技 術 的 経 済 的 インフラ 要 件 が 似 通 り 他 の 国 際 企 業 が 既 に 地 歩 を 固 めている 産 業 クラスター 成 功 している 産 業 クラスターの 特 徴 ミュンヘン 近 郊 マルティンスリートのバイオテク クラス ター パートナー 同 士 が 物 理 的 に 近 くに 存 在 する メンバー 企 業 同 士 で 共 通 の 目 標 を 持 っている 中 部 ドイツのソーラーバレー 革 新 的 な 研 究 環 境 長 年 にわたるメーカーの 経 験 製 品 品 質 の 高 さ ハンブルク 都 市 圏 の 航 空 クラスター ルール 地 方 の 物 流 効 率 化 クラスター 南 西 部 のマイクロテック クラス ター 大 学 やドイツ 有 数 の 研 究 機 関 (フラウンホーファー 研 究 機 構 ベルムホルツ 協 会 マックス プランク 研 究 所 など)の 関 連 施 設 がドイツ 全 域 から 集 結 クラスターに 進 出 した 企 業 は 研 究 機 関 が 提 供 する 経 済 面 や 科 学 面 の 専 門 能 力 を 活 用 することができる ゲームシティ:ハンブルク クラスターの 大 半 を 占 める 若 く 都 会 的 なメンバーか ら 港 町 がかもし 出 す 刺 激 的 でコスモポリタンな 雰 囲 気 が 高 く 評 価 ( 出 典 )ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 より 4
ドイツと 日 本 の 比 較 ( 国 内 インフラネットワーク) ドイツは 日 本 と 比 べ 高 規 格 道 路 が 早 い 段 階 で 整 備 され 自 動 車 の 輸 送 力 が 高 い 日 本 ドイツ 比 率 ( 日 本 :ドイツ) 人 口 ( 百 万 人 ) 127.3 82.7 1.53 面 積 ( 可 住 地 面 積 )(km 2 ) 37.8 (10.4) 35.7 (23.8) 1.06 (0.44) 高 規 格 道 路 延 長 10,492 12,845 0.82 ( 全 道 路 )(km) (1,206,867) (643,782) (1.87) 自 動 車 輸 送 量 (10 億 台 キロ) 492 701 0.70 高 速 鉄 道 営 業 キロ 2,620 1,334 1.96 ( 全 鉄 道 )(km) (27,182) (41,981) (0.65) 鉄 道 輸 送 量 ( 新 幹 線 ) (100 万 人 キロ) 404,394 (81,429) ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 総 合 政 策 局 作 成 資 料 より 高 速 道 路 の 車 線 数 別 延 長 の 構 成 79,228 5.10 0% 20% 40% 60% 80% 100% 高 規 格 幹 線 道 路 10,492km(2012 年 ) 0 100 200km 日 本 は 車 線 数 の 少 ない 高 速 道 路 の 割 合 が 高 い(3 車 線 以 下 が 約 3 割 ) また 法 定 最 高 速 度 は ドイツと 比 較 して 低 い( 日 :70~100km/h ドイツ:80~100km/h+ 無 制 限 ) ケルン ブレーメン フランクフルト キール ハンブルク ハノーファー シュツットガルト ミュンヘン Bundesautobahn 12,845km(2011 年 ) ライプツィヒ ベルリン 0 100 200km 日 本 33.1% 60.5% 6.4% ドイツ 1.1% 77.0% 21.2% 0.7% 3 車 線 以 下 4~5 車 線 6~7 車 線 8 車 線 以 上 データ 出 典 : 日 本 : 国 土 交 通 省 資 料 (2010 末 時 点 ) ドイツ:Straßenverkehrszählungen 2005 (BAsT) 新 幹 線 2,620km(2012 年 ) 0 100 200km ICE 0 100 200km 1,334km(2012 年 ) ICEは 在 来 線 ( 改 良 区 間 )への 乗 り 入 れが 実 施 されているうえ フランス オランダ スイス 等 へ 直 通 運 転 がなされている ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 総 合 政 策 局 作 成 資 料 より 5
ドイツと 日 本 の 地 政 学 的 比 較 ドイツは 小 さなEUの 中 心 に 位 置 を 占 めている また EUによって 通 貨 が 統 一 されてい るため 為 替 リスクがない EUの 中 のドイツの 輸 出 量 が 相 対 的 に 伸 びており 製 造 業 の 国 内 維 持 ひいては 分 散 構 造 の 維 持 に 寄 与 していると 考 えられる 一 方 日 本 は 広 大 なアジアの 端 にあって 円 高 リスクにさらされている アジアの 発 展 に 伴 って 日 本 国 内 から 製 造 業 が 流 出 し 地 域 経 済 の 停 滞 を 招 いており 相 対 的 に 一 極 集 中 構 造 を 加 速 しているものと 考 えられる ドイツのEUにおける 位 置 3 h Helsinki 1.5 h Stockholm Copenhagen Riga Moscow London Berlin 12 h Brussels Warsaw 24 h Paris Prague Vienna Budapest 24 h Madrid Rome Athens 48 h 東 アジア 一 日 圏 は フライト 時 間 約 7~10 時 間 日 帰 りビジ ネス 圏 は フライト 時 間 約 4 時 間 の 範 囲 にある 地 域 本 図 は 形 成 可 能 性 のある 地 域 を 示 したもの 関 西 圏 から フライト 10 時 間 圏 カラチ ニューデリー ムンバイ 貨 物 翌 日 配 達 圏 コロンボ 日 帰 りヒ シ ネス 圏 日 帰 ヒ シ ネス 圏 構 成 航 路 インド 洋 関 西 圏 から フライト 7 時 間 圏 カトマンズ 日 本 のアジアにおける 位 置 チェンマイ バンコク 関 西 圏 から フライト 4 時 間 圏 成 都 ハノイ ホーチミン プーケット クアラルンプール シンガポール 西 安 重 慶 広 州 ウランバートル 香 港 コタキナバル 北 京 天 津 南 京 南 シナ 海 青 島 上 海 杭 州 廈 門 高 雄 瀋 陽 長 春 大 連 済 州 ハバロフスク ユジノサハリンスク ソウル 釜 山 台 北 マニラ ウラジオストック 東 シナ 海 セブ 欧 州 航 路 日 本 海 北 米 航 路 太 平 洋 サイパン グアム 6 ( 出 典 )ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 より ( 出 典 )JTB 時 刻 表 (H22.8)より 国 土 交 通 省 国 土 政 策 局 作 成
国 内 製 造 業 の 事 業 環 境 円 安 や 中 国 等 アジア 諸 国 の 賃 金 上 昇 により 国 内 製 造 業 の 事 業 環 境 は 改 善 日 本 国 内 への 製 造 業 の 回 帰 が 期 待 される 単 位 : 円 140 120 100 80 60 40 20 0 2005 年 01 月 2005 年 07 月 2006 年 01 月 2006 年 07 月 2007 年 01 月 外 国 為 替 相 場 (ドル 円 )の 動 向 2007 年 07 月 2008 年 01 月 2008 年 07 月 2009 年 01 月 2009 年 07 月 2010 年 01 月 2010 年 07 月 2011 年 01 月 2011 年 07 月 2012 年 01 月 2012 年 07 月 2013 年 01 月 2013 年 07 月 2014 年 01 月 東 京 市 場 ドル 円 スポット 17 時 時 点 / 月 中 平 均 出 典 : 日 本 銀 行 HPより 国 土 交 通 省 国 土 政 策 局 作 成 単 位 : 元 50000 40000 30000 20000 10000 中 国 の 年 間 平 均 賃 金 の 推 移 0 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 出 典 :CHINA STATISTICAL YEARBOOK 2013( 中 華 人 民 共 和 国 国 家 統 計 局 編 )より 国 土 交 通 省 国 土 政 策 局 作 成 中 国 の 都 市 別 最 低 賃 金 額 ( 注 ) ( 元 / 月 ) 1800 1600 1400 北 京 市 1200 上 海 市 1000 天 津 市 800 600 深 セン 市 400 ( 注 ) 北 京 市 上 海 200 市 は 社 会 保 険 0 料 住 宅 積 立 金 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 を 含 まない 金 資 料 出 所 : 各 地 方 政 府 額 深 セン 市 出 典 :( 独 ) 労 働 政 策 研 究 研 修 機 構 HP 天 津 市 は 含 む 7
ドイツの 産 業 政 策 (インダストリー4.0) ドイツでは ハイテク 産 業 戦 略 2020 の 一 環 として インターネットをベースとした 先 進 的 な 工 業 生 産 技 術 の 主 導 的 市 場 となることを 目 標 に インダストリー4.0 が 推 進 されている インダストリー4.0 とは 先 端 情 報 テクノロジーを 電 子 機 器 やエンジニアリング 等 の 従 来 型 の 産 業 に 適 用 しようという ドイ ツ 政 府 の 新 しいハイテク 戦 略 の 名 称 組 み 込 みシステムからサイバーフィジカルシステムへの 技 術 的 進 化 形 モノ データ サービスを シームレスにつなげるインターネットの 実 現 に 向 けて 進 められている サイバーフィジカルシステム(CPS)とは バーチャル 空 間 と 物 理 的 な 実 世 界 を 結 びつけ インテリジェントオブジェクトのコミュニケー ションおよび 相 互 作 用 を 可 能 にする 真 のネットワークで 構 築 された 世 界 の 創 造 を 可 能 にする テクノロジー モノのインターネット 構 築 の 基 礎 を 提 供 するとともに サービスのインターネット と 一 体 化 してインダストリー4 4.0を 可 能 にしている スマートファクトリー 生 産 システムにサイバーフィジカルシステムを 配 備 メリット CPSにより 最 適 化 された 生 産 プロセス 個 々の 顧 客 のために 最 適 化 した 製 品 の 製 造 資 源 効 率 の 高 い 生 産 方 法 人 的 労 働 力 へのオーダーメイド 調 整 機 能 The smart factory/ DFKI ( 出 典 )ドイツ 貿 易 投 資 振 興 機 関 資 料 より 8