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第4回税制調査会 総4-1


社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

公表表紙

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

●電力自由化推進法案

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18 国立高等専門学校機構

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

m07 北見工業大学 様式①

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文化政策情報システムの運用等

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16 日本学生支援機構

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

定款

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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Microsoft Word - 通達(参考).doc

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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Transcription:

資 料 3-6 平 成 23 年 5 月 社 会 保 障 税 一 体 改 革 における 消 費 税 の 実 務 上 の 論 点 等 に 関 する 研 究 会 消 費 税 の 税 率 構 造 のあり 方 及 び 消 費 税 率 の 段 階 的 引 上 げに 係 る 実 務 上 の 論 点 について 1. 本 ペーパーの 位 置 づけ 本 ペーパーは 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 において 社 会 保 障 税 一 体 改 革 とマクロ 経 済 ミクロ 経 済 との 関 係 具 体 的 実 務 をめぐる 論 点 等 について これまでの 行 政 知 見 や 学 識 経 験 者 の 見 解 を 整 理 し 報 告 を 求 め 議 論 を 深 める とされたことを 踏 まえ 特 に 消 費 税 の 税 率 構 造 のあり 方 及 び 消 費 税 率 の 段 階 的 引 上 げに 関 するこれまでの 行 政 知 見 や 学 識 経 験 者 の 研 究 成 果 を 整 理 し 実 務 面 をはじめとする 具 体 的 な 論 点 を 明 らかにすることを 目 的 としたリサーチ ペーパーである 2. 要 旨 (1) 軽 減 税 率 の 導 入 については 内 外 の 研 究 でも 繰 り 返 し 指 摘 されている とおり 1 単 一 税 率 の 場 合 と 比 べて 税 収 減 をもたらし 消 費 税 の 税 収 調 達 力 を 損 ないかねないこと 2 事 業 者 の 事 務 負 担 や 税 務 当 局 の 執 行 コストを 増 加 させること 3 逆 進 性 対 策 の 観 点 からも 軽 減 税 率 の 効 果 は 高 所 得 者 にも 及 ぶこと から 効 率 的 ではなく 低 所 得 者 向 けの 給 付 措 置 など より 有 効 な 方 策 が 考 えられること などを 踏 まえれば 理 論 的 には 軽 減 税 率 の 導 入 や 非 課 税 範 囲 の 拡 大 よ りは 課 税 ベースの 広 い 単 一 税 率 による 税 制 が 望 ましいと 考 えられる (2) 段 階 的 引 上 げについては マクロ 経 済 に 与 える 影 響 に 加 え 税 率 の 変 更 は 値 札 の 張 替 えやシステム 変 更 など 事 業 者 の 納 税 事 務 コストを 増 加 させることから 引 上 げ 回 数 が 増 えることが 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 にも 留 意 しつつ 検 討 が 行 われるべきである - 1 -

( 本 文 ) 1. 本 ペーパーの 意 義 今 後 の 社 会 保 障 を 支 える 税 制 のあり 方 を 考 えると 1 少 子 高 齢 化 が 急 速 に 進 展 する 中 勤 労 世 代 など 特 定 の 世 代 に 負 担 が 偏 らず 広 く 薄 く 全 世 代 が 負 担 する 財 源 であること 2 景 気 変 動 によって 税 収 が 左 右 されない 安 定 財 源 であること などが 求 められ 消 費 税 の 役 割 は 益 々 重 要 になると 考 えられる また 現 在 消 費 税 ( 国 分 )を 充 当 するとしている 高 齢 者 3 経 費 に 対 して も 約 10 兆 円 の 財 源 が 不 足 しており 将 来 世 代 に 負 担 が 先 送 りされている 状 況 になっている さらに 今 後 も 高 齢 化 の 進 展 などにより 社 会 保 障 関 係 費 が 毎 年 1 兆 円 程 度 増 加 し 更 に 不 足 分 が 拡 大 すると 見 込 まれる このような 状 況 の 下 国 民 の 安 心 を 実 現 するためには 社 会 保 障 の 安 定 強 化 と 財 政 健 全 化 を 同 時 に 達 成 することが 極 めて 重 要 であり 政 府 において も 昨 年 12 月 14 日 に 閣 議 決 定 ( 社 会 保 障 改 革 の 推 進 について )がなされた ところである これらの 事 情 を 勘 案 すれば 消 費 税 を 含 む 税 制 抜 本 改 革 の 実 現 により 安 定 財 源 を 確 保 していくことが 必 要 である 一 方 で 消 費 税 率 の 引 上 げを 実 施 する 場 合 には 1 消 費 税 には 所 得 に 占 める 消 費 税 負 担 の 割 合 で 見 た 場 合 に 低 所 得 者 ほど 負 担 割 合 が 高 いという 逆 進 性 があることから これを 緩 和 する 方 策 の 一 つ として 軽 減 税 率 の 導 入 が 考 えられるのではないか 2 税 率 を 段 階 的 に 引 き 上 げた 場 合 にどのように 影 響 が 生 じるのか といった 指 摘 がなされることがあり これらの 論 点 についてあらかじめ 整 理 を 行 っていくことが 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 の 議 論 を 進 める 上 でも 有 益 で あると 考 えられる ( 注 1) 消 費 税 は 消 費 一 般 に 対 して 広 く 負 担 を 求 めることにより 税 負 担 の 水 平 的 公 平 ( 同 等 の 負 担 能 力 を 持 つ 者 には 同 等 の 税 負 担 を 求 めるべ きとの 考 え 方 )の 確 保 に 資 するものとして 導 入 された - 2 -

消 費 税 負 担 の 状 況 を 見 ると 消 費 税 負 担 の 絶 対 額 は 所 得 が 上 昇 するほ ど 増 加 し 消 費 水 準 に 対 応 した 税 負 担 が 行 われている 実 態 にある 一 方 収 入 に 占 める 税 負 担 割 合 で 見 れば 低 所 得 者 ほど 負 担 割 合 が 高 くなって おり このことを 指 して 消 費 税 には 逆 進 性 があるとの 議 論 が 行 われるこ とがある 1 1 税 制 調 査 会 専 門 家 委 員 会 財 務 省 提 出 資 料 ( 平 成 22 年 11 月 1 日 )によれば 1 年 間 の 消 費 税 負 担 額 は 第 Ⅰ 10 分 位 で 約 9 万 円 第 Ⅹ10 分 位 で 約 23 万 円 ( 消 費 支 出 に 対 する 税 負 担 割 合 を 計 算 すると 第 Ⅰ10 分 位 で 3.62% 第 Ⅹ10 分 位 で 3.77%) 2 収 入 に 占 める 税 負 担 割 合 は 第 Ⅰ10 分 位 で 2.8% 第 Ⅹ10 分 位 で 1.9%とされてい る( 平 成 20 年 分 の 家 計 調 査 ( 勤 労 者 世 帯 )に 基 づく 推 計 ) - 3 -

2. 消 費 税 の 税 率 構 造 のあり 方 について (1)これまでのわが 国 における 税 制 面 からの 検 討 の 状 況 1 税 率 構 造 に 関 する 考 え 方 消 費 税 の 税 率 構 造 のあり 方 すなわち 複 数 税 率 を 採 用 することにつ いては 政 府 税 制 調 査 会 等 において 消 費 税 制 のあり 方 や 所 得 再 分 配 政 策 の 観 点 から 以 下 のように 整 理 されてきたところである イ. 旧 政 府 税 制 調 査 会 においては 累 次 にわたる 整 理 2 が 行 われてきた が 基 本 的 には 以 下 の 考 え 方 が 示 されてきている( 資 料 1 参 照 ) 1) 消 費 税 の 税 率 構 造 は 制 度 の 簡 素 化 経 済 活 動 に 対 する 中 立 性 確 保 事 業 者 の 事 務 負 担 税 務 執 行 コストの 観 点 を 考 慮 すれば 極 力 単 一 税 率 が 望 ましい また わが 国 の 消 費 税 が 従 来 の 物 品 税 を 中 心 とする 個 別 間 接 税 制 度 が 有 していた 物 品 間 の 課 税 のアンバランスなどの 諸 問 題 を 解 消 する 観 点 から 創 設 されたことに 鑑 みれば できる 限 り 中 立 的 な 制 度 を 維 持 すべきである 2) 消 費 税 率 の 水 準 が 欧 州 諸 国 並 みとなった 場 合 には 所 得 に 対 す る 逆 進 性 を 緩 和 する 観 点 から 食 料 品 等 に 対 する 軽 減 税 率 の 採 用 の 是 非 が 検 討 課 題 となる 3) 軽 減 税 率 を 導 入 する 場 合 には 標 準 税 率 の 水 準 をさらに 引 き 上 げる 必 要 が 生 じる 4) 所 得 再 分 配 政 策 の 観 点 からは 社 会 保 障 の 受 益 は 低 所 得 者 で 大 きいため 消 費 税 の 社 会 保 障 財 源 としての 位 置 付 けをより 明 確 に した 場 合 には 消 費 税 の 引 上 げは 受 益 と 負 担 を 通 じた 全 体 で 所 得 再 分 配 に 寄 与 する 一 方 で 軽 減 税 率 は 高 額 所 得 者 にもメリット が 及 ぶことを 踏 まえれば 再 分 配 政 策 としての 効 果 は 乏 しい 2 わが 国 税 制 の 現 状 と 課 題 -21 世 紀 に 向 けた 国 民 の 参 加 と 選 択 - ( 平 成 12 年 7 月 ) あるべき 税 制 の 構 築 に 向 けた 基 本 方 針 ( 平 成 14 年 6 月 ) 少 子 高 齢 社 会 における 税 制 のあり 方 ( 平 成 15 年 6 月 ) 抜 本 的 な 税 制 改 革 に 向 けた 基 本 的 考 え 方 ( 平 成 19 年 11 月 ) - 4 -

ロ. 新 税 制 調 査 会 の 下 でも 税 制 抜 本 改 革 実 現 に 向 けての 具 体 的 ビジ ョンの 策 定 等 に 関 して 助 言 を 行 う 観 点 から 税 目 ごとの 論 点 の 深 掘 り を 行 っている 専 門 家 委 員 会 の 中 間 報 告 において 以 下 の 整 理 が なされているところである( 資 料 2 参 照 ) 1) 軽 減 税 率 の 導 入 については 高 額 所 得 者 にもメリットが 及 ぶた めに 再 分 配 政 策 としての 効 果 が 乏 しいこと 軽 減 税 率 による 減 収 分 だけ 標 準 税 率 を 高 くせざるを 得 ないこと 販 売 管 理 システムの 改 修 など 事 業 者 の 事 務 負 担 や 対 象 品 目 の 線 引 き 等 に 係 る 税 務 執 行 コストが 大 きくなり 簡 素 な 制 度 に 逆 行 すること などを 踏 まえ れば 極 力 単 一 税 率 が 望 ましいと 考 えられる 2)( 軽 減 税 率 の 導 入 のような) 特 別 な 措 置 の 是 非 については 消 費 税 収 を 社 会 保 障 給 付 に 充 当 することや 税 制 全 体 による 所 得 再 分 配 効 果 を 勘 案 してもなお 何 らかの 政 策 的 配 慮 が 必 要 かどうか といった 観 点 や ヨーロッパ 諸 国 並 みに 消 費 税 率 を 引 き 上 げるの かどうかといった 観 点 を 踏 まえて 判 断 すべき 問 題 であると 考 え るべきである 3) 所 得 再 分 配 政 策 に 関 しては 消 費 税 の 負 担 のみに 着 目 するだけ では 不 十 分 であり 所 得 税 をはじめとする 他 の 税 目 や 社 会 保 険 料 の 負 担 更 には 社 会 保 障 給 付 等 の 受 益 全 体 を 考 慮 に 入 れる 必 要 が ある ( 注 2) 逆 進 性 の 問 題 については 社 会 保 障 改 革 に 関 する 有 識 者 検 討 会 においてまとめられた 安 心 と 活 力 への 社 会 保 障 ビジョン においても 消 費 税 負 担 の 逆 進 性 についても 指 摘 があるが 消 費 税 収 を 再 分 配 効 果 の 高 い 社 会 保 障 給 付 に 充 てることによって 逆 進 性 は 解 消 される と 整 理 されている ハ. 昨 年 12 月 16 日 に 閣 議 決 定 された 平 成 23 年 度 税 制 改 正 大 綱 においても 消 費 税 率 が 一 定 の 水 準 に 達 し 税 社 会 保 障 全 体 の 再 分 配 を 見 てもなお 逆 進 性 対 策 が 必 要 となった 場 合 には 制 度 が 複 雑 となり また 政 治 的 な 要 因 が 働 きやすい 複 数 税 率 よりも 制 度 が 簡 素 で 透 明 性 の 高 い 還 付 制 度 を 優 先 的 に 検 討 する - 5 -

とした 民 主 党 税 と 社 会 保 障 の 抜 本 改 革 調 査 会 中 間 整 理 で 指 摘 さ れた 基 本 的 な 考 え 方 などを 尊 重 しつつ 今 後 の 検 討 を 進 めることと されている( 資 料 3 参 照 ) ニ.このように これまでの 税 制 調 査 会 等 での 検 討 においては 消 費 税 の 税 率 構 造 については 単 一 税 率 が 望 ましいという 一 貫 した 考 え 方 が 示 されていると 整 理 することができる 2 消 費 税 制 度 の 設 計 及 び 運 用 の 問 題 について イ. 従 来 の 政 府 税 制 調 査 会 においては 複 数 税 率 について 上 記 の 税 率 構 造 の 問 題 に 加 えて 消 費 税 制 度 の 設 計 や 運 用 上 の 問 題 について も 検 討 が 行 われている 特 に この 点 について 詳 しく 検 討 を 行 った 平 成 12 年 7 月 の わ が 国 税 制 の 現 状 と 課 題 -21 世 紀 に 向 けた 国 民 の 参 加 と 選 択 - を 参 考 にすると 以 下 の 論 点 をあげることができる( 資 料 4 参 照 ) 3 1) 軽 減 税 率 の 適 用 範 囲 を 制 度 上 どのように 明 確 に 設 定 するか 2) 仕 入 税 額 を 税 率 別 に 計 算 するためにインボイスを 導 入 する 必 要 が あるのではないか 3) 適 切 なみなし 仕 入 率 の 設 定 が 困 難 になることから 簡 易 課 税 制 度 をはじめとした 中 小 特 例 制 度 の 見 直 しが 必 要 になるのではないか ロ.こうした 点 を 踏 まえれば 軽 減 税 率 の 導 入 の 是 非 については 単 に 逆 進 性 対 策 等 の 観 点 のみならず 消 費 税 制 度 に 与 える 影 響 や 事 業 者 の 事 務 負 担 税 務 当 局 の 執 行 コストも 視 野 に 入 れて 検 討 を 行 う 必 要 があ ると 考 えられる ( 注 3) 上 記 2)に 関 して 税 制 調 査 会 専 門 家 委 員 会 税 目 ごと の 論 点 の 深 掘 り に 関 する 議 論 の 中 間 報 告 においては イン ボイスの 導 入 について 以 下 のような 整 理 がなされている 1) 仕 入 税 額 控 除 の 適 正 化 に 関 しては ヨーロッパ 諸 国 のよう 3 同 じように 軽 減 税 率 の 論 点 問 題 点 を 簡 潔 に 整 理 したものとして 森 信 (2010)がある( 資 料 5 参 照 ) - 6 -

なインボイス 方 式 の 導 入 が 検 討 課 題 となる この 点 について は 免 税 事 業 者 からの 仕 入 れに 係 る 控 除 の 適 正 化 に 資 する 面 もあるが 免 税 事 業 者 が 取 引 の 中 間 段 階 から 排 除 されかねな いとの 懸 念 や 事 業 者 特 に 中 小 零 細 事 業 者 に 新 たな 事 務 負 担 を 生 じさせるといった 懸 念 もあり 制 度 の 信 頼 性 透 明 性 の 要 請 と 中 小 零 細 事 業 者 の 取 引 実 態 への 配 慮 のバランスを 踏 まえた 検 討 が 必 要 であると 考 えられる 2)なお 仮 に 軽 減 税 率 を 導 入 することとした 場 合 は 適 切 な 仕 入 税 額 控 除 を 確 保 する 観 点 からインボイス 方 式 の 導 入 が 検 討 課 題 になると 考 えられるが 前 述 のとおり 事 業 者 特 に 中 小 零 細 業 者 の 事 務 負 担 が 増 大 するなどの 懸 念 もあり 軽 減 税 率 の 是 非 を 考 える 上 ではこうした 点 も 十 分 勘 案 する 必 要 がある ( 注 4) 上 記 3)に 関 して 一 般 的 には 複 数 税 率 制 度 の 下 で み なし 仕 入 率 を 適 切 に 設 定 しようとすると 単 一 税 率 の 下 での 業 種 区 分 と 比 べて 適 用 税 率 の 状 況 に 応 じて はるかに 細 かな 業 種 区 分 を 行 う 必 要 があると 考 えられる 例 えば ある 業 種 の 平 均 的 な 仕 入 率 が 70%と 仮 定 すると 売 上 げには 標 準 税 率 のみが 適 用 され 仕 入 れには 標 準 税 率 と 軽 減 税 率 が 両 方 適 用 される 場 合 には みなし 仕 入 率 を 70%と 設 定 し てしまうと 仕 入 れに 係 る 税 額 を 過 大 に 推 定 してしまうことに なるため 70%より 低 めのみなし 仕 入 率 を 設 定 しなければなら ない 他 方 売 上 げには 軽 減 税 率 のみが 適 用 され 仕 入 れには 標 準 税 率 と 軽 減 税 率 が 両 方 適 用 されるような 場 合 には 逆 にみ なし 仕 入 率 を 70%よりも 高 く 設 定 する 必 要 が 生 じることになる (2) 諸 外 国 や 国 際 機 関 における 議 論 の 状 況 諸 外 国 や 国 際 機 関 においても 複 数 税 率 のあり 方 に 関 する 多 くの 議 論 が 行 われてきた その 状 況 を 概 観 すると 以 下 に 示 すように 国 際 的 には 資 源 配 分 の 効 率 性 などの 観 点 から 軽 減 税 率 の 採 用 を 支 持 する 見 解 も 一 部 に 見 られる - 7 -

ものの 付 加 価 値 税 ( 消 費 税 )は 単 一 税 率 が 望 ましいということがほぼ 共 通 認 識 といってよいと 整 理 できる 1 単 一 税 率 が 望 ましいとする 研 究 の 代 表 的 なものとしては イギリス において ノーベル 経 済 学 者 ジェームズ マーリーズ 卿 を 座 長 とする 研 究 グループによって 行 われた 税 制 改 革 の 提 言 レポート マーリー ズ レビュー (2010)があげられる マーリーズ レビュー は 軽 減 税 率 等 を 広 く 採 用 しているイギ リスの 付 加 価 値 税 について 1) 軽 減 税 率 ゼロ 税 率 非 課 税 の 範 囲 が 広 いために 税 収 減 を 発 生 さ せており 付 加 価 値 税 の 税 収 調 達 力 を 表 す 指 標 (C-efficiency) の 数 値 も 低 い 2) 食 料 品 等 に 対 するゼロ 税 率 や 軽 減 税 率 の 適 用 は 理 論 的 な 根 拠 が 薄 く また 非 課 税 は 仕 入 税 額 控 除 の 連 鎖 を 分 断 し 税 の 累 積 を 招 き 歪 み( 例 : 非 課 税 の 公 的 機 関 と 課 税 の 民 間 事 業 者 の 間 の 競 争 条 件 の 格 差 )を 生 じさせるほか さらに 仕 入 税 額 を 課 税 売 上 げと 非 課 税 売 上 げに 振 り 分 けるという 新 たな 事 務 コストを 事 業 者 に 生 じさ せる 3) 軽 減 税 率 等 は 一 度 認 められると 見 直 しが 困 難 であるという 弊 害 が 見 られる 4) 所 得 再 分 配 政 策 としての 有 効 性 の 観 点 からも 軽 減 税 率 の 適 用 は 絶 対 額 では 高 所 得 者 に 有 利 になるなど 効 率 が 悪 く 効 果 が 小 さいと いう 問 題 があり 他 の 低 所 得 者 への 所 得 移 転 のツールを 活 用 する 方 が 効 果 的 である といった 様 々な 問 題 点 を 指 摘 している 併 せて ( 最 初 に 付 加 価 値 税 を 導 入 したヨーロッパ 諸 国 に 遅 れて) 近 年 ニュージーランドやオースト ラリアなどにおいて 導 入 された 付 加 価 値 税 はほとんどが 単 一 税 率 であ り 他 国 はEUの 経 験 からEUが 学 ばなかった 教 訓 を 学 んでいると 評 価 している( 資 料 6 参 照 ) また 同 レビューに 対 する Dickson と White のコメンタリーでも 1986 年 に 単 一 税 率 で 導 入 されたニュージーランドの 付 加 価 値 税 (GS T)について 欧 州 型 付 加 価 値 税 の 改 善 版 として 紹 介 されているなど 複 数 税 率 に 否 定 的 な 考 え 方 がとられている - 8 -

( 注 5)ニュージーランドにおいては 付 加 価 値 税 の 導 入 に 際 し 課 税 ベースの 浸 食 が 大 きいイギリスのVAT(Value Added Tax)とは 別 の 税 であるという 面 を 強 調 するため GST(Goods and Services Tax)という 名 称 が 採 用 された(Dickson(2007)) 2 同 様 に OECD(2010)においても 税 体 系 全 体 における 付 加 価 値 税 のあり 方 について 1) 生 活 必 需 品 への 軽 減 税 率 の 適 用 は 低 所 得 者 層 も 利 益 を 受 けるが 富 裕 層 の 方 が 一 層 利 益 を 受 けるため 直 接 的 に 低 所 得 世 帯 を 対 象 に した 移 転 措 置 を 講 じる 方 が 効 率 的 2) 生 活 必 需 品 の 定 義 は 困 難 であり 線 引 きは 執 行 コストや 事 業 者 の コンプライアンスコストを 高 める 傾 向 がある といった 点 を 指 摘 し 単 一 税 率 が 好 ましいとする 報 告 書 がまとめられ ている( 資 料 7 参 照 ) 3 また IMF(2010)においても 軽 減 税 率 やゼロ 税 率 は 富 裕 層 が 生 活 必 需 品 に 対 し 絶 対 額 で 多 く 支 出 するという 点 で 限 界 があり 累 進 的 な 所 得 税 と 歳 出 政 策 の 方 が より 少 ないコストで 低 所 得 者 に 対 象 を 絞 った 支 援 を 与 えることができることから 所 得 配 分 の 問 題 に 応 え るには 高 くつく 上 に 焦 点 がぼけた 方 策 であるとして 複 数 税 率 に 否 定 的 な 見 解 が 示 されている( 資 料 8 参 照 ) 4 さらに 複 数 税 率 が 広 く 実 施 されているEUにおいても 独 立 した 経 済 シンクタンクへの 委 託 調 査 なども 実 施 しつつ その 正 当 性 を 検 証 する 作 業 が 行 われている 欧 州 委 員 会 (2007)では 委 託 調 査 の 結 果 も 踏 まえて 単 一 税 率 が 望 ましいとする 経 済 的 な 要 請 があるとしつつ 政 治 的 な 要 請 から 軽 減 税 率 が 正 当 化 される 面 があることを 指 摘 し 両 者 のバランスについて 議 論 を 深 めていく 必 要 があるとしている( 資 料 9 参 照 ) 5 他 方 で 上 記 委 託 調 査 (コペンハーゲン エコノミクス(2007))に おいては 純 粋 に 経 済 学 の 見 地 からは 単 一 税 率 が 最 善 の 政 策 であると - 9 -

した 上 で 例 えば1 低 所 得 者 層 の 消 費 割 合 が 高 所 得 者 と 比 べて 高 い 財 サービス( 例 : 食 料 品 )に 軽 減 税 率 を 適 用 すれば 所 得 格 差 を 縮 小 することが 可 能 である 2 家 庭 内 において 自 身 でも 作 業 が 可 能 な 財 サービス( 例 :ハウスクリーニングやガーデニング)について 軽 減 税 率 が 適 用 され 価 格 が 低 下 すれば 市 場 からの 調 達 による 分 業 が 促 進 さ れ 効 率 性 が 高 まるといった 理 由 から 対 象 を 絞 った 形 であれば 軽 減 税 率 を 導 入 することは 考 えられるとの 見 解 が 示 されている( 資 料 10 参 照 そのほかOECD(2008)において 軽 減 税 率 が 支 持 される 背 景 が 整 理 されている) (3) 各 論 点 についてのより 詳 細 な 分 析 これまで 見 てきた 政 府 税 制 調 査 会 や 諸 外 国 国 際 機 関 における 分 析 に も 示 されているとおり 軽 減 税 率 の 導 入 については 1 税 収 に 与 える 影 響 2 事 業 者 の 納 税 コストや 税 務 当 局 の 徴 税 コストに 与 える 影 響 3 所 得 再 分 配 政 策 としての 有 効 性 といった 観 点 から 整 理 することが 有 益 と 考 えられる したがって これら3つの 論 点 について より 深 掘 りした 形 で 議 論 の 状 況 を 整 理 していくこととする 1 軽 減 税 率 の 導 入 が 税 収 に 与 える 影 響 イ. 消 費 税 ( 付 加 価 値 税 )については 財 サービスの 譲 渡 等 に 幅 広 く 課 税 を 行 うという 性 格 から 税 収 調 達 力 に 優 れた 税 であると 指 摘 されることが 多 い 一 方 で 軽 減 税 率 の 適 用 は 単 一 の 標 準 税 率 で 課 税 を 行 う 場 合 と 比 べ 税 収 減 を 生 じさせることから 税 収 調 達 力 に 影 響 を 与 えることになる ロ.この 点 に 関 し OECD(2008)では 実 際 の 税 収 を 標 準 税 率 で 一 律 に 課 税 を 行 うと 仮 定 した 場 合 に 見 込 まれる 税 収 と 比 較 する C-efficiency や VRR(VAT Revenue Ratio) といった 指 標 により 諸 外 国 の 付 加 価 値 税 の 税 収 調 達 力 を 比 較 する 取 り 組 みが - 10 -

行 われている( 資 料 11 12 参 照 ) 4 ( 注 6) マーリーズ レビュー では イギリスの 付 加 価 値 税 のC -efficiency の 数 値 が 49%であり OECDの 平 均 (58%)よ りも 低 いことを 問 題 点 として 指 摘 している ただし これらの 指 標 は 統 計 上 の 問 題 や 税 務 当 局 の 徴 収 能 力 等 によって 数 値 が 左 右 されるものであり OECDにおいて も 数 値 の 解 釈 は 慎 重 になされる 必 要 があるとしている 点 に 注 意 が 必 要 である ハ.さらに 一 部 の 国 では 軽 減 税 率 等 によりどの 程 度 の 税 収 減 が 生 じているかに 関 するデータが 公 表 されている それによれば イギ リスではゼロ 税 率 が 食 料 品 などに 広 く 適 用 されていることを 理 由 として 約 40% 弱 の 税 収 減 が 生 じているとされている( 資 料 13 参 照 ) ニ.また マーリーズ レビュー においても 指 摘 されているよう に 軽 減 税 率 等 は 一 度 認 められると 変 更 が 困 難 であると 考 えられ る その 場 合 には 標 準 税 率 を 引 き 上 げたとしても その 効 果 は 軽 減 税 率 等 の 対 象 品 目 に 対 しては 及 ばないことになるため 税 率 の 引 上 げに 伴 う 増 収 効 果 に 着 目 すると 単 一 税 率 であった 場 合 に 得 られ る 増 収 額 と 比 較 して 相 当 な 規 模 の 減 収 となる ( 注 7) 税 収 減 が 生 じれば それを 補 うために 標 準 税 率 を 高 くす る 必 要 が 生 じることになる( 政 府 税 調 (2000) 森 信 (2010)) ホ.このように 軽 減 税 率 の 導 入 は 一 定 規 模 の 税 収 減 を 招 き 消 費 税 の 税 収 調 達 力 を 損 ないかねないといった 点 に 留 意 すべきである 2 軽 減 税 率 の 導 入 が 納 税 徴 税 コストに 与 える 影 響 4 C-efficiency=( 付 加 価 値 税 収 / 消 費 総 額 ) ( 標 準 税 率 ) 100% VRR={ 付 加 価 値 税 収 /( 消 費 総 額 - 付 加 価 値 税 収 )} ( 標 準 税 率 ) 但 し 消 費 総 額 とは 民 間 最 終 消 費 支 出 と 政 府 最 終 消 費 支 出 の 合 計 値 のことであり 必 ずしも 付 加 価 値 税 の 課 税 ベースと 一 致 しているわけではないことに 留 意 が 必 要 - 11 -

いわゆる 納 税 徴 税 コストは 事 業 者 が 負 担 するコストである 納 税 事 務 コスト(コンプライアンスコスト)と 税 務 当 局 が 負 担 するコスト である 税 務 行 政 コストに 分 けられる この 点 については 定 性 的 な 整 理 は 多 く 存 在 しているところである が 定 量 的 な 分 析 については 必 ずしも 多 くない こうした 制 約 を 踏 ま えつつ 諸 外 国 の 分 析 例 も 含 めて 整 理 すると 以 下 のとおりである イ. 納 税 事 務 コストについては 税 率 の 変 更 に 伴 い 消 費 者 取 引 全 般 の 値 札 の 変 更 や 商 品 管 理 システムの 変 更 などの 事 務 負 担 が 必 要 に なるうえ 複 数 税 率 とされた 場 合 には わが 国 においては 新 たに インボイスの 導 入 が 必 要 となり 仕 入 物 品 を 適 用 税 率 毎 に 仕 分 けて 仕 入 税 額 を 計 算 するといった 事 務 負 担 が 生 ずることになると 考 え られる ( 注 8) 旧 政 府 税 制 調 査 会 で 取 りまとめられた わが 国 税 制 の 現 状 と 課 題 -21 世 紀 に 向 けた 国 民 の 参 加 と 選 択 - ( 平 成 12 年 7 月 ) において 財 貨 サービスの 品 目 によって 異 なる 税 率 が 設 け られていると 事 業 者 は 売 上 げと 仕 入 れを 異 なる 税 率 ごとに 区 分 して 記 帳 する 必 要 がありますので 事 務 負 担 の 増 加 が 避 け られなくなります と 指 摘 されている ( 注 9)わが 国 では 複 数 税 率 の 導 入 に 伴 うコストに 係 る 実 証 デー タは 存 在 しないものの 税 率 変 更 に 伴 い 事 業 者 に 発 生 するコス トに 関 しては 平 成 9 年 度 に 消 費 税 率 が 引 き 上 げられた 際 に JR 各 社 で1 億 円 から 33 億 円 に 及 ぶ 券 売 機 等 の 設 備 投 資 が 必 要 になったとされ 5 平 成 16 年 度 に 総 額 表 示 方 式 が 導 入 された 際 には スーパー 量 販 店 などで1 社 平 均 約 5,900 万 円 程 度 の コストが 必 要 になったとされている 6 ロ.さらに 複 数 税 率 を 導 入 すると 納 税 事 務 コストが 高 まる 傾 向 があ るとの 分 析 結 果 が 示 されている 例 えば Cnossen(1994)におい 5 産 経 新 聞 ( 平 成 9 年 2 月 19 日 ) 6 日 本 チェーンストア 協 会 調 査 による - 12 -

ては イギリスでは 複 数 税 率 が 存 在 することにより 税 務 当 局 へ 還 付 請 求 する 事 業 者 が 増 大 していることが 紹 介 されている また マーリーズ レビュー に 対 する Dickson と White のコ メンタリーでは ニュージーランドのGSTが 幅 広 い 課 税 ベースと 単 一 税 率 を 特 徴 としており 事 業 者 にとってのコストが 他 の 税 制 等 と 比 べて 相 対 的 に 少 ないことが 指 摘 されている( 資 料 14 参 照 ) ハ. 加 えて 納 税 事 務 コストは 中 小 企 業 ほど 相 対 的 に 負 担 が 大 きいこ とが Cnossen(1994)などの 分 析 で 示 されている( 資 料 15 参 照 ) 実 際 わが 国 においても 中 小 企 業 者 から 複 数 税 率 の 導 入 を 懸 念 する 見 解 が 示 されている 点 に 注 意 が 必 要 である 7 ニ. 税 務 行 政 コストについては 付 加 価 値 税 を 導 入 するとした 場 合 の コスト 等 に 関 する 研 究 を 行 ったアメリカGAO(1993)のレポート において 複 数 税 率 の 下 では 税 務 調 査 に 要 する 期 間 が 長 期 化 する ほか 納 税 者 向 けのサービスを 充 実 しなければならなくなるなど 単 純 な 税 制 を 採 用 した 場 合 と 比 較 して 執 行 コストが 高 くなりやす い 旨 の 分 析 がなされている( 資 料 16 参 照 ) また マーリーズ レビュー に 対 する Dickson と White のコ メンタリーでは ニュージーランドのGSTが メインテナンスの かからない 税 であるとして 評 価 されている 8 ホ.さらに 優 遇 税 率 ( 軽 減 税 率 ゼロ 税 率 )の 適 用 範 囲 については 合 理 的 に 設 定 することが 困 難 であるうえに 実 際 の 適 用 を 巡 って 紛 争 が 生 じやすいという 実 務 的 な 課 題 がある 諸 外 国 では 例 えば ドイツでは ハンバーガーが 店 内 飲 食 用 ( 標 準 税 率 )か 持 ち 帰 り 用 ( 軽 減 税 率 )かで 税 率 を 区 分 する カナダではドーナツが5 個 以 下 ( 標 準 税 率 )か6 個 以 上 ( 軽 減 税 率 )かで 税 率 を 区 分 する など 適 用 税 率 に 関 する 複 雑 なルールが 存 在 しており 線 引 きに 苦 労 して いることが 伺 われる( 適 用 例 の 詳 細 について 資 料 17 参 照 ) また 西 山 (2011)において イギリスの 付 加 価 値 税 に 関 して 7 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 二 回 ) 日 本 商 工 会 議 所 提 出 資 料 参 照 8 資 料 14 参 照 - 13 -

小 売 業 大 手 のマークス アンド スペンサーが 提 供 するティーケー キは ケーキ( 軽 減 税 率 )に 該 当 するか ビスケット( 標 準 税 率 ) に 該 当 するかが 法 的 に 紛 争 になった 事 例 など 様 々な 訴 訟 案 件 が 紹 介 されている( 資 料 18 参 照 ) こうした 点 は 店 舗 によってモノとサービスが 一 体 的 に 提 供 され るなど サービスの 多 様 化 が 進 んだわが 国 の 場 合 には 一 層 複 雑 な 問 題 を 生 じさせかねないと 考 えられる ヘ.このように 税 務 行 政 コストについては 複 数 税 率 を 導 入 すれば 対 象 品 目 の 線 引 きについて 様 々な 問 題 が 生 じる 可 能 性 があるうえ 税 務 当 局 による 調 査 などに 関 してもコスト 増 の 要 因 になる といっ た 整 理 が 可 能 である この 点 に 関 し わが 国 において 複 数 税 率 を 導 入 した 場 合 に 税 務 行 政 コストにどのような 影 響 が 生 じるかについては 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 の 範 囲 等 により 変 動 することになるため 正 確 に 見 通 すこと は 困 難 であるが 恒 常 的 には 以 下 のような 影 響 が 見 込 まれるところ である 1) 国 税 庁 複 数 税 率 の 導 入 に 伴 う 事 務 の 増 加 (a) 対 象 範 囲 等 についての 納 税 者 等 からの 照 会 への 対 応 (b) 適 用 対 象 品 目 を 生 産 販 売 する 事 業 者 等 ( 例 えば 農 業 者 ) からの 還 付 申 告 の 増 加 に 伴 う 申 告 書 の 処 理 審 査 等 (c) 複 数 税 率 適 用 の 適 否 等 の 観 点 からの 調 査 等 インボイス 制 度 の 導 入 に 伴 う 事 務 の 増 加 (a) 新 たに 課 税 事 業 者 等 となる 事 業 者 等 に 対 する 課 税 事 業 者 番 号 の 適 正 管 理 ( 付 番 又 は 抹 消 等 ) (b) 取 引 排 除 を 回 避 するため 課 税 選 択 する 事 業 者 の 増 加 によ る 申 告 書 の 処 理 審 査 滞 納 整 理 の 件 数 の 増 加 等 (c) 不 正 インボイスの 有 無 等 の 観 点 からの 調 査 等 - 14 -

2) 税 関 (a) 対 象 範 囲 等 についての 輸 入 者 からの 照 会 への 対 応 (b) 旅 具 通 関 ( 空 港 等 における 旅 客 に 対 する 通 関 )における 簡 易 税 率 ( 関 税 酒 税 タバコ 税 及 び 消 費 税 をまとめた 簡 易 な 税 率 )の 見 直 し (c) 外 国 人 入 国 者 等 への 広 報 周 知 (d) 輸 入 申 告 貨 物 について 軽 減 税 率 の 適 用 対 象 品 目 か 否 か の 審 査 及 び 税 率 決 定 (e) 郵 便 貨 物 について 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 か 否 かの 審 査 及 び 賦 課 決 定 等 ( 注 10) 食 料 品 等 に 軽 減 税 率 が 導 入 され 併 せてインボイス 制 度 の 導 入 に 伴 い 現 在 の 免 税 事 業 者 の 大 半 が 課 税 選 択 するよ うになると 仮 定 し 機 械 的 に 上 記 の 事 務 量 を 試 算 し 人 員 換 算 すれば 国 税 庁 で 約 2,000 名 程 度 税 関 で 約 600 名 程 度 となる(なお 導 入 時 には 事 前 の 問 い 合 わせへの 対 応 各 種 取 扱 いの 策 定 広 報 周 知 等 の 事 務 のため その 倍 以 上 の 事 務 量 が 発 生 すると 見 込 まれる) 3 軽 減 税 率 の 導 入 が 家 計 負 担 に 与 える 影 響 付 加 価 値 税 については 所 得 に 対 して 逆 進 的 であるとの 批 判 がある すなわち 比 較 的 所 得 の 低 い 家 計 においては 収 入 の 大 部 分 を 消 費 に 充 てるため 所 得 の 高 い 家 計 と 比 べ 所 得 に 対 する 付 加 価 値 税 負 担 の 比 率 が 高 くなるというものである この 問 題 に 対 処 する 方 策 の 一 つと して 食 料 品 等 の 生 活 必 需 品 をはじめ 一 定 の 財 サービスに 対 し 軽 減 税 率 あるいはゼロ 税 率 を 適 用 する 複 数 税 率 の 採 用 が 主 張 されるこ とがある しかしながら 逆 進 性 対 策 としての 複 数 税 率 の 導 入 に 対 しては 近 年 の 研 究 分 析 において 以 下 のような 批 判 的 な 見 解 が 示 されてきて いる - 15 -

イ. マーリーズ レビュー (2010)においては 優 遇 税 率 は 低 所 得 者 の 負 担 に 配 慮 するという 目 的 のために 導 入 されているが 同 じ 目 的 を 持 つ 他 の 政 策 手 段 に 比 べて 効 率 が 悪 く 効 果 が 小 さいとい う 問 題 がある との 指 摘 がなされている 特 に イギリスにおける 優 遇 税 率 による 逆 進 性 緩 和 の 政 策 効 果 については 所 得 に 対 する 税 負 担 の 割 合 ではなく 税 負 担 の 絶 対 額 で 考 えることも 重 要 であると し 仮 に 付 加 価 値 税 率 について 優 遇 税 率 をなくし 17.5%の 単 一 税 率 とした 場 合 における 税 負 担 額 を 現 状 の 税 負 担 額 と 比 較 した 場 合 そ の 負 担 軽 減 額 の 水 準 は 高 所 得 者 の 方 が 多 くなっており より 優 遇 さ れている 姿 を 示 している( 下 図 参 照 ) これは 税 制 調 査 会 専 門 家 委 員 会 税 目 ごとの 論 点 の 深 掘 り に 関 する 議 論 の 中 間 整 理 における 軽 減 税 率 の 導 入 については 高 額 所 得 者 にもメリットが 及 ぶために 再 分 配 政 策 としての 効 果 が 乏 しい との 指 摘 とも 整 合 的 である マーリーズ レビューにおいては 軽 減 税 率 等 の 負 担 軽 減 効 果 に ついて 所 得 に 占 める 負 担 軽 減 割 合 は 低 所 得 者 ほど 大 きくなる 一 方 絶 対 額 では 高 所 得 者 ほど 大 きいことが 示 されている 軽 減 税 率 等 廃 止 の 影 響 割 合 軽 減 税 率 等 廃 止 の 影 響 額 ロ.さらに 先 述 したとおり OECD(2010)やIMF(2010)に おいても 生 活 必 需 品 への 軽 減 税 率 の 適 用 は 富 裕 層 の 方 が 一 層 利 益 を 受 けることから 逆 進 性 対 策 としての 有 効 性 には 限 界 がある 旨 - 16 -

を 指 摘 している 9 ハ.わが 国 においても いくつかの 関 連 する 分 析 があるが その 概 要 は 以 下 のとおりである 1)わが 国 家 計 における 消 費 税 負 担 の 実 態 高 山 白 石 (2010)において 全 国 消 費 実 態 調 査 のミクロデー タを 用 いて 日 本 の 世 帯 における 消 費 税 の 負 担 水 準 について 分 析 を 行 っている その 分 析 結 果 によると (a) わが 国 世 帯 における 消 費 税 の 負 担 水 準 は 第 Ⅰ10 分 位 では 年 間 8.0 万 円 (うち 食 料 品 は 2.6 万 円 ) (b) 全 世 帯 平 均 では 食 料 品 に 係 る 消 費 税 負 担 は 全 消 費 税 負 担 の4 分 の1 程 度 (c) 食 料 品 に 係 る 消 費 税 負 担 率 ( 消 費 税 額 年 間 収 入 )は 所 得 が 低 いほど 負 担 割 合 が 高 くなっており いわゆる 逆 進 性 が 存 在 しているが 消 費 税 負 担 額 ( 絶 対 額 )に 着 目 すると 低 所 得 階 層 ( 第 Ⅰ10 分 位 )が 2.6 万 円 であるのに 対 し 高 所 得 階 層 ( 第 X10 分 位 )では 7.8 万 円 となり 3 倍 の 税 負 担 とされている このことは 仮 に 食 料 品 に 軽 減 税 率 が 適 用 された 場 合 には 高 所 得 者 層 は 実 額 ベースで 低 所 得 者 層 の3 倍 の 額 の 負 担 軽 減 を 受 けることを 意 味 しており マーリーズ レビュー に おける 指 摘 のとおり 高 所 得 者 層 ほどより 優 遇 された 姿 を 示 して いる( 資 料 19 参 照 ) 2) 食 料 品 等 に 対 する 軽 減 税 率 適 用 の 効 果 八 塩 長 谷 川 (2008 2009)において 国 民 生 活 基 礎 調 査 の 個 票 データに 基 づくマイクロシミュレーション 手 法 により 消 費 税 率 の 引 上 げと 食 料 品 に 係 る 軽 減 税 率 の 導 入 等 が 家 計 に 与 える 影 響 について 分 析 を 行 っている その 分 析 結 果 によると (a) 仮 に 食 料 品 に 適 用 される 税 率 を5%に 据 え 置 いた 場 合 単 一 9 資 料 7 8 参 照 - 17 -

税 率 による 10%への 税 率 引 上 げと 同 等 の 歳 入 増 を 確 保 するた めには 食 料 品 以 外 にかかる 税 率 ( 標 準 税 率 )は 12%に 引 き 上 げることが 必 要 (b) これを 前 提 として 消 費 税 率 を 10%の 単 一 税 率 にするケース と 複 数 税 率 ( 標 準 税 率 12% 軽 減 税 率 ( 食 料 )5%)を 導 入 するケースを 比 較 すると 複 数 税 率 導 入 のケースの 方 が 低 所 得 階 層 ( 第 Ⅰ10 分 位 )の 税 負 担 率 ( 収 入 に 対 する 比 率 )が 減 少 するものの その 減 少 幅 は 0.6%( 年 額 5 千 円 )にとどまり 高 所 得 階 層 ( 第 Ⅹ10 分 位 )の 税 負 担 率 は 0.1%( 年 額 1.9 万 円 ) 増 加 する (c) 低 所 得 階 層 への 負 担 軽 減 効 果 が 年 間 約 5 千 円 にとどまること 軽 減 税 率 の 導 入 が 行 政 コストを 増 大 させること 等 も 併 せて 考 えると より 低 所 得 世 帯 に 的 を 絞 った 直 接 的 な 方 法 が 望 ましい とされている すなわち 食 料 品 等 に 対 する 軽 減 税 率 を 導 入 した 場 合 必 要 な 増 収 規 模 を 確 保 するためには 標 準 税 率 を 引 き 上 げる 必 要 が 生 じるため 低 所 得 階 層 の 税 負 担 は 軽 減 税 率 の 適 用 により 軽 減 される 一 方 で 標 準 税 率 が 適 用 される 財 サービスにかかる 税 負 担 はより 重 くなり トータルとしての 負 担 軽 減 効 果 は 減 殺 さ れることが 示 唆 されている( 資 料 20 参 照 ) ( 万 円 ) 軽 減 税 率 を 導 入 した 場 合 の 税 負 担 軽 減 効 果 軽 減 税 率 を 導 入 した 効 果 は 年 間 で 0.5 万 円 程 度 八 塩 長 谷 川 (2008 2009)より 作 成 また 大 和 (2010)においては 家 計 調 査 のデータに 基 づき 日 本 の 消 費 税 率 を 10%あるいは 15%に 引 き 上 げた 状 況 下 において 外 食 を 除 く 食 糧 及 び 水 道 の 税 率 をゼロあるいは5%に 据 - 18 -

え 置 いた 場 合 と 低 所 得 者 層 ( 第 Ⅰ5 分 位 第 Ⅱ5 分 位 )に 対 し て 負 担 増 分 の 全 額 あるいは 一 部 を 還 付 ( 給 付 )( 第 Ⅰ5 分 位 には 全 額 第 Ⅱ5 分 位 は 逓 減 )した 場 合 のどちらが 逆 進 性 緩 和 効 果 を 有 するかについて 検 証 を 行 っている その 分 析 結 果 によると (a) 消 費 税 率 引 上 げ 前 後 において 所 得 額 に 関 するジニ 計 数 は 還 付 ( 給 付 )の 場 合 にはほとんど 変 化 せず 軽 減 税 率 よりも 逆 進 性 を 緩 和 する 効 果 が 高 い (b) いずれの 方 式 によっても 低 所 得 者 対 策 は 税 収 の 減 少 とい う 形 で 財 政 再 建 に 対 してはマイナスの 影 響 となるが その 規 模 は 軽 減 税 率 5%で 2.8 兆 円 ゼロ 税 率 で 5.6 兆 円 に 対 し 還 付 ( 給 付 ) 方 式 の 場 合 は 1.5 兆 円 と 税 収 の 減 少 幅 が 相 対 的 に 小 さくなる(いずれも 標 準 税 率 を 10%とした 場 合 ) (c) このような 還 付 ( 給 付 ) 方 式 の 留 意 点 として 低 所 得 者 に 対 して 一 律 に 還 付 ( 給 付 )を 実 施 した 場 合 資 産 を 多 く 保 有 するが 所 得 の 少 ない 高 齢 者 にも 還 付 ( 給 付 )されることにな り 消 費 税 増 税 のメリットの 一 つである 世 代 間 の 受 益 と 負 担 の 不 均 衡 を 是 正 する 効 果 が 薄 れる とされている( 資 料 21 参 照 ) 軽 減 税 率 よりも 低 所 得 者 に 対 象 を 絞 った 還 付 ( 給 付 ) 措 置 の 方 が ジニ 係 数 の 改 善 効 果 が 大 きい 低 所 得 者 に 対 象 を 絞 った 還 付 ( 給 付 ) 措 置 と 比 較 して 軽 減 税 率 は 高 所 得 者 層 にも 負 担 軽 減 効 果 が 及 ぶ 高 所 得 者 に も 0.4(=3.6-3.2) 万 円 の 軽 減 効 果 - 19 -

ニ.このように いわゆる 逆 進 性 対 策 が 求 められる 場 合 には 複 数 税 率 よりも 低 所 得 者 層 にターゲットを 絞 った 給 付 等 の 措 置 の 方 が 効 果 的 であるとの 分 析 が 多 い と 整 理 することができる ( 注 11) マーリーズ レビュー (2010)においても VATの 税 率 について 軽 減 税 率 をなくして 一 律 にする 一 方 で 失 業 者 手 当 などの 所 得 支 援 措 置 を 組 み 合 わせることにより 低 所 得 層 が 正 の 移 転 を 受 けられる 一 方 税 収 面 では 現 行 制 度 より 増 収 になる といった 指 摘 がされている( 下 図 参 照 ) そのほか 複 数 税 率 以 外 の 方 法 による 対 応 が 好 ましいとする ものとして 佐 藤 (2010) 三 菱 総 研 (2010)がある( 資 料 22 23 参 照 ) 軽 減 税 率 の 廃 止 と 低 所 得 者 向 け 給 付 を 組 み 合 わせることにより 適 切 な 所 得 再 分 配 が 可 能 となる 適 切 な 給 付 を 組 み 合 わせる ことで 低 所 得 者 のマイナス の 効 果 は 相 殺 ( 注 12) 村 澤 湯 田 岩 本 (2004)においては 増 税 規 模 が 大 きいほ ど 逆 進 性 が 強 まることによる 社 会 的 厚 生 の 悪 化 よりも 軽 減 税 率 導 入 による 消 費 財 選 択 の 撹 乱 効 果 の 方 が 大 きな 影 響 を 持 つよう になるとの 分 析 結 果 が 示 されている( 資 料 24 参 照 ) ( 注 13) 八 塩 長 谷 川 (2009)においては 年 金 世 帯 の 中 には 現 在 の 所 得 は 多 くなくても かつて 多 くの 所 得 を 稼 ぎそれを 資 産 で 保 有 する 豊 かな 世 帯 が 多 数 含 まれると 考 えられる との 指 摘 が - 20 -

されており 年 金 世 帯 と 勤 労 世 帯 との 所 得 に 対 する 税 負 担 率 の 違 いは 逆 進 性 ではなく 両 者 のライフ サイクルの 違 いを 反 映 したものであり 今 後 高 齢 化 の 進 行 でそうした 引 退 世 帯 の 数 が 増 えるに 従 い 経 済 全 体 として 所 得 が 担 税 力 を 反 映 しなくなる 傾 向 が 強 くなるとの 考 えが 示 されている( 資 料 25 参 照 ) ( 注 14) 高 齢 者 の 負 担 に 関 連 して 税 率 引 上 げの 影 響 を 年 金 の 物 価 ス ライドに 反 映 した 場 合 には 年 金 世 帯 の 負 担 が 軽 減 されることに なり その 分 現 役 世 代 に 負 担 が 偏 る 結 果 になることに 十 分 留 意 が 必 要 である この 点 に 関 しては 低 所 得 世 帯 への 配 慮 は 別 途 必 要 であるもの の 消 費 税 率 引 上 げの 影 響 を 年 金 の 物 価 スライドに 反 映 すること は 行 うべきでないとの 提 言 がなされていることを 指 摘 しておき たい 10 ホ. 他 の 低 所 得 者 への 所 得 移 転 のツールとしては 政 府 税 制 調 査 会 の 累 次 の 答 申 等 でも 指 摘 されているとおり 所 得 課 税 による 所 得 の 移 転 社 会 保 障 給 付 カナダのGSTクレジットに 類 する 仕 組 みなど がありうる この 点 に 関 しては 税 社 会 保 障 全 体 の 再 分 配 効 果 を 見 てもなお 逆 進 性 対 策 が 求 められる 場 合 には 1)アメリカやイギリスにおける 給 付 付 き 税 額 控 除 制 度 ( 勤 労 所 得 税 額 控 除 や 児 童 税 額 控 除 など)については 過 誤 支 給 や 不 正 受 給 が 課 題 とされている 一 方 で カナダのGSTクレジット( 資 料 26 参 照 )は 低 所 得 者 に 対 する 定 額 給 付 が 原 則 という 簡 便 な 仕 組 み で 実 施 されていることから 不 正 受 給 の 割 合 も 少 ないとされてい る(2009 年 の 政 府 税 制 調 査 会 海 外 調 査 では 98%は 適 正 な 給 付 で あったと 報 告 されている)こと 2)ニュージーランドでは GSTは 軽 減 税 率 がなく 課 税 ベースが 極 めて 広 いのに 対 し 低 所 得 者 に 対 しては 様 々な 支 援 措 置 があ り その 一 つである Family Tax Credit は 子 どもの 数 世 帯 収 10 大 和 総 研 経 済 社 会 研 究 班 レポート(2010 年 12 月 29 日 ) 八 塩 長 谷 川 (2009) 土 居 丈 朗 消 費 税 の 社 会 保 障 目 的 税 化 という 財 政 規 律 (2005 年 11 月 ) - 21 -

入 勤 労 の 状 況 等 により 支 給 額 が 決 定 される 給 付 制 度 として 実 施 されていること(ニュージーランド 政 府 の 発 表 によれば 本 措 置 は 主 に 18 歳 以 下 の 子 どもがいる 世 帯 の 生 計 費 を 補 助 すること を 目 的 としており GSTの 負 担 の 緩 和 を 直 接 の 目 的 としたもの ではない 資 料 27 参 照 ) 等 を 参 考 として 簡 便 な 仕 組 みによる 給 付 措 置 を 検 討 していくこと が 考 えられる(わが 国 において GSTクレジットに 類 する 給 付 措 置 を 導 入 したとした 場 合 のシミュレーション 分 析 を 行 ったものと して 高 山 白 石 (2011)がある 資 料 28 参 照 ) (4)まとめ 軽 減 税 率 の 導 入 については 内 外 の 研 究 でも 繰 り 返 し 指 摘 されている とおり 1 単 一 税 率 の 場 合 と 比 べて 税 収 減 をもたらし 消 費 税 の 税 収 調 達 力 を 損 ないかねないこと 2 事 業 者 の 事 務 負 担 や 税 務 当 局 の 執 行 コストを 増 加 させること 3 逆 進 性 対 策 の 観 点 からも 軽 減 税 率 の 効 果 は 高 所 得 者 にも 及 ぶこと から 効 率 的 ではなく 低 所 得 者 向 けの 給 付 措 置 など より 有 効 な 方 策 が 考 えられること などを 踏 まえれば 理 論 的 には 軽 減 税 率 の 導 入 や 非 課 税 範 囲 の 拡 大 よ りは 課 税 ベースの 広 い 単 一 税 率 による 税 制 が 望 ましいと 考 えられる - 22 -

3. 消 費 税 率 の 段 階 的 引 上 げについて (1) 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 消 費 税 率 の 段 階 的 引 上 げについては 実 務 面 では 以 下 のように 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 に 留 意 が 必 要 である 1 先 述 したとおり 税 率 の 変 更 は 事 業 者 にとって 納 税 事 務 コストを 発 生 させる 税 率 の 引 上 げ 回 数 が 増 えれば 増 えるほど 費 用 が 膨 らむこ とになる 2 諸 外 国 においても 1)2007 年 に 税 率 を3% 引 き 上 げたドイツにおいては 1%ずつ 引 き 上 げることが 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 が 考 慮 された( 政 府 税 調 (2007)) 2)2011 年 に 税 率 を 2.5% 引 き 上 げたイギリスにおいては 事 業 者 の 事 務 負 担 を 最 小 化 するため 1 回 での 引 上 げを 選 択 した(HM Revenue & Customs (2010)) とされており 税 率 の 引 上 げ 回 数 が 増 えないような 配 慮 が 行 われてい るところである( 資 料 29 参 照 ) ( 注 15)イギリスでは 本 年 1 月 に 実 施 された 付 加 価 値 税 率 の 引 上 げ (17.5% 20%)に 際 して 事 業 者 に 発 生 するコストの 推 計 が 行 わ れている(HM Revenue & Customs(2010)) この 推 計 によれば コストは 1 税 率 変 更 についての 習 熟 ( Familiarisation ) 2 値 札 の 張 替 え インボイスの 変 更 (Re-pricing and invoicing changes) 3 会 計 帳 簿 上 の 負 担 (Accounting and book-keeping checks) 4システムの 変 更 (System changes)に 関 して 発 生 し 総 額 3 億 ポンドに 達 するとされている ( 資 料 30 参 照 ) (2)マクロ 経 済 との 関 係 - 23 -

ヨーロッパ 主 要 国 において あらかじめ 税 率 の 引 上 げスケジュールを 確 定 させたうえで 段 階 的 に 引 上 げを 行 ったという 過 去 の 事 例 は 存 在 しない ことから 段 階 的 な 引 上 げが 予 定 されている 場 合 に 取 引 価 格 にどのよう に 影 響 を 及 ぼすかなどの 論 点 に 関 する 実 証 的 な 分 析 は 行 われていない 一 方 で 定 性 的 には マクロ 経 済 政 策 上 の 要 請 から 消 費 税 率 の 段 階 的 引 上 げに 関 して 以 下 のように 様 々な 指 摘 がなされており 段 階 的 引 上 げを 検 討 する 際 には これらの 観 点 を 総 合 的 に 勘 案 する 必 要 があると 考 えられ る( 資 料 31 32 33 34 参 照 ) 1 税 率 を 早 期 に 引 き 上 げ 不 変 にするときの 方 が 増 税 を 先 送 りして 最 終 的 に 引 き 上 げなければならない 税 率 が 高 くなるときよりも 現 在 か ら 将 来 にかけての 超 過 負 担 をより 小 さくすることができ 望 ましい( 最 適 課 税 理 論 においては 超 過 負 担 は 限 界 税 率 の2 乗 に 比 例 することが 知 られている) 増 税 に 伴 う 景 況 悪 化 を 懸 念 するよりも むしろ 必 要 な 財 源 を 適 切 に 税 制 改 革 によって 確 保 することを 優 先 するほうが 重 要 で あるといえる( 土 居 (2010)) 2 今 後 の 中 長 期 的 な 社 会 保 障 の 見 通 しや 財 政 状 況 を 踏 まえれば 相 当 程 度 の 消 費 税 率 の 引 上 げを 行 わざるを 得 ないことから 段 階 的 に 税 率 を 引 き 上 げていくことにならざるを 得 ない ( 注 16)IMF 年 次 審 査 報 告 書 (2010)においては 財 政 健 全 化 を 図 るため 消 費 税 率 は 今 後 10 年 間 で 10%の 引 上 げが 必 要 であり そうした 取 組 みを 進 める 中 で 段 階 的 引 上 げを 行 っていく 必 要 が あるとしている また OECD 対 日 審 査 報 告 書 (2011)においては 基 礎 的 財 政 収 支 を 均 衡 させるために 消 費 税 率 を5~9% 程 度 引 き 上 げる 必 要 があり さらに 債 務 残 高 比 率 の 安 定 に 必 要 となる 対 GDP 比 3%の 基 礎 的 財 政 収 支 黒 字 の 達 成 のためには 更 に6% 程 度 の 税 率 の 引 上 げが 必 要 となり 消 費 税 率 は 20%に 向 かっていくこと になるであろうことから 消 費 税 率 を 10%と 倍 にすることは 持 続 可 能 な 財 政 状 況 を 実 現 させるための 第 一 歩 に 過 ぎないとしてい る - 24 -

( 注 17) 岩 本 福 井 (2007)においては 2100 年 までの 医 療 介 護 費 用 の 推 計 を 行 い 毎 年 の 給 付 費 をその 年 の 税 と 保 険 料 で 賄 う 均 衡 財 政 方 式 ( 賦 課 方 式 )の 下 では 保 険 料 と 公 費 負 担 のための 税 収 を 合 計 した 負 担 率 が 医 療 保 険 では 2059 年 介 護 保 険 では 2066 年 にピークに 達 し 現 行 の2 倍 以 上 の 水 準 となる としている 3 消 費 税 率 の 引 上 げが 終 われば 駆 け 込 み 需 要 の 反 動 減 が 生 じるが そ の 反 動 を 先 送 りするプラスの 効 果 を 期 待 する 観 点 から 段 階 的 引 上 げ が 望 ましい( 井 堀 (2010)) 4 消 費 税 率 を 段 階 的 に 引 き 上 げると 将 来 になればなるほど 消 費 税 率 が 高 くなるので 将 来 になるほどインフレ 圧 力 も 大 きくなる イン フレ 期 待 が 形 成 されれば 消 費 を 先 延 ばしすることが 現 在 と 将 来 と の 相 対 価 格 の 面 で 損 になるから 今 から 購 入 意 欲 が 刺 激 される この ように 段 階 的 引 上 げには インフレ 期 待 を 醸 成 する 効 果 が 認 められ る( 井 堀 (2001)) 5 消 費 税 率 の 引 上 げはマクロ 経 済 にマイナスのインパクトを 与 える ことから 一 回 当 たりの 引 上 げ 幅 は 一 定 程 度 に 留 める 必 要 がある( 山 本 (2010) 白 石 東 (2010)) ( 注 18)この 点 に 関 しては 増 税 だけを 取 り 上 げて 負 担 というべきで はなく 増 税 とその 税 収 が 増 えたことが 何 に 使 われているかを セットで 考 えることが 必 要 であるうえ 現 時 点 での 増 税 が 将 来 の 減 税 要 因 となるプラスの 効 果 を 家 計 がどの 程 度 評 価 するかに より 増 税 の 影 響 も 変 わってくるとの 指 摘 がなされている( 井 堀 (2010) 資 料 35 参 照 ) (3)まとめ 中 長 期 的 な 社 会 保 障 の 見 通 し 等 を 見 越 して 相 当 程 度 の 消 費 税 率 の 引 上 げが 必 要 になることを 考 えれば 段 階 的 に 税 率 を 引 き 上 げていくことが 必 - 25 -

要 になる 具 体 的 な 引 上 げのあり 方 については マクロ 経 済 に 与 える 影 響 のみなら ず 税 率 の 変 更 は 値 札 の 張 替 えやシステム 変 更 など 事 業 者 の 納 税 事 務 コス トを 増 加 させることから 引 上 げ 回 数 が 増 えることが 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 にも 留 意 しつつ 検 討 が 行 われるべきである その 際 事 業 者 の 事 務 負 担 に 与 える 影 響 や 取 引 価 格 の 設 定 に 及 ぼす 影 響 に 関 わる 論 点 については 具 体 案 の 検 討 に 際 して 実 際 に 事 業 者 等 の 現 状 をよく 把 握 した 上 で 判 断 していくことが 必 要 である - 26 -

( 補 論 1)ヨーロッパの 付 加 価 値 税 における 軽 減 税 率 の 導 入 経 緯 実 態 (1) 軽 減 税 率 を 支 持 する 見 解 の 一 つの 根 拠 として ヨーロッパの 付 加 価 値 税 において 軽 減 税 率 が 広 く 採 用 されていることが 指 摘 されることがあ るが 以 下 の 点 に 注 意 が 必 要 である( 資 料 36 37 参 照 ) 1 EEC( 欧 州 経 済 共 同 体 ) 第 1 次 指 令 に 基 づいて 初 期 に 付 加 価 値 税 の 導 入 を 進 めたフランス ドイツ イタリア ベルギー オランダ ルクセンブルクにおいては 移 行 前 の 取 引 高 税 や 旧 付 加 価 値 税 の 段 階 から 複 数 税 率 が 採 用 されていたこと 2 付 加 価 値 税 先 発 国 (OECD 分 類 による)12 か 国 においては 1 国 を 除 いて 付 加 価 値 税 導 入 時 の 標 準 税 率 が 10% 以 上 であったこと 3 標 準 税 率 を 引 き 上 げていく 過 程 で 食 料 品 に 対 する 軽 減 税 率 を 導 入 したノルウェー スウェーデンのような 国 もあるが 導 入 時 点 の 標 準 税 率 は 20%を 上 回 っていたこと ( 注 19)ノルウェーは 1970 年 に 付 加 価 値 税 ( 標 準 税 率 20%)を 導 入 し 段 階 的 に 標 準 税 率 を 引 き 上 げた 後 2001 年 の 標 準 税 率 引 上 げ (23% 24%)に 併 せて 食 料 品 について 軽 減 税 率 (12%)を 導 入 し た また スウェーデンは 1969 年 に 付 加 価 値 税 ( 標 準 税 率 11.11%) を 導 入 後 段 階 的 に 標 準 税 率 を 引 き 上 げ 1990 年 には 25%に 到 達 その 後 標 準 税 率 は 25%に 維 持 する 一 方 1992 年 に 食 料 品 につい て 軽 減 税 率 (18%)を 導 入 した 4 先 述 のとおり 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 の 線 引 きには 各 国 とも 苦 労 して おり 訴 訟 等 に 至 っている 事 例 も 見 られること (2) 現 在 は 各 国 の 付 加 価 値 税 体 系 の 統 一 を 図 る 取 組 みが 進 められており その 枠 組 みを 定 めるEC 指 令 においては 原 則 標 準 税 率 は 15% 以 上 と され 軽 減 税 率 については 5%を 下 回 る 税 率 の 設 定 は 認 めない(ゼロ - 27 -

税 率 も 否 定 )という 考 え 方 が 取 られているところである( 資 料 38 参 照 ) ( 注 20)わが 国 では 消 費 税 が 個 別 間 接 税 を 含 んだ 価 格 に 対 して 課 され ることを 指 して タックス オン タックス として 説 明 される ことがある しかしながら 税 制 上 の 概 念 としての タックス オン タッ クス とは ヨーロッパにおいて 付 加 価 値 税 に 先 立 って 導 入 され ていた 取 引 高 税 において 取 引 の 各 段 階 で 課 税 されるために 生 じ た 課 税 の 累 積 を 意 味 するものであり こうした 問 題 を 解 決 するた め 前 段 階 でかかった 税 額 を 控 除 するという 付 加 価 値 税 が 導 入 され た 経 緯 がある なお 個 別 間 接 税 を 含 んだ 価 格 に 対 して 付 加 価 値 税 が 課 される ことについては 諸 外 国 では 当 然 のこととされており 現 在 のEC 指 令 でも 付 加 価 値 税 の 課 税 標 準 には 個 別 間 接 税 が 含 まれること とされているところである( 資 料 39 40 参 照 ) - 28 -

( 補 論 2) 各 国 における 軽 減 税 率 等 の 適 用 状 況 やその 政 策 効 果 諸 外 国 の 付 加 価 値 税 では 国 により 軽 減 税 率 やゼロ 税 率 ( 以 下 軽 減 税 率 等 )が 適 用 される 範 囲 や 適 用 される 税 率 が 異 なっており その 適 用 状 況 や 政 策 効 果 を 比 較 することは 困 難 となっている ここでは 日 本 における 全 国 消 費 実 態 調 査 のデータ( 総 世 帯 年 収 階 級 別 消 費 支 出 統 計 表 )を 活 用 し 日 本 におけるモデル 世 帯 の 消 費 支 出 パターンを 設 定 し それに 各 国 (イギリス ドイツ フランス ニュージーランド)に おける 付 加 価 値 税 率 を 仮 想 的 に 適 用 し 各 国 の 軽 減 税 率 等 の 適 用 状 況 や 政 策 効 果 の 分 析 を 試 みることとする( 資 料 41 参 照 ) ただし 全 国 消 費 実 態 調 査 における 消 費 支 出 の 内 訳 については 分 類 上 の 限 界 があることから 一 定 の 仮 定 を 置 いたうえで 比 較 を 行 っており ある 程 度 の 幅 をもって 見 る 必 要 がある (1) 所 得 階 級 別 の 軽 減 税 率 等 の 適 用 状 況 例 えば イギリスの 付 加 価 値 税 率 を 日 本 の 家 計 に 適 用 した 場 合 で 見 ると 非 課 税 軽 減 税 率 等 の 適 用 割 合 は 所 得 が 高 くなるにつれ 徐 々に 低 下 してお り 一 定 の 低 所 得 者 対 策 となっているものの その 低 下 幅 は 限 定 的 となっ ている これは 少 なくともわが 国 の 家 計 においては 消 費 の 構 造 が 所 得 階 級 を 通 じて 似 通 っており 低 所 得 者 に 特 有 の 消 費 財 サービスを 見 出 すことは 困 難 であることを 伺 わせる これを 消 費 水 準 ( 額 )で 見 ると 非 課 税 軽 減 税 率 等 が 適 用 される 財 サービスへの 支 出 額 は 所 得 が 上 がるにつれ 増 大 し 高 所 得 者 層 は 低 所 得 者 層 の 約 2.5 倍 の 額 を 消 費 していることが 分 かる これらの 傾 向 はフラン スやドイツの 税 率 を 適 用 した 場 合 にも 同 様 に 見 受 けられる 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 年 収 階 級 別 の 適 用 税 率 ごとの 消 費 支 出 割 合 (イギリスの 付 加 価 値 税 率 を 適 用 した 場 合 ) 52.0% 55.0% 56.0% 56.7% 58.8% 6.4% 5.7% 5.3% 5.0% 4.5% 21.9% 22.1% 21.4% 20.9% 20.1% 19.7% 17.2% 17.4% 17.5% 16.6% Ⅱ Ⅳ Ⅵ Ⅷ Ⅹ (174~252) (322~390) (460~547) (651~795) (1009~) 年 間 収 入 ( 十 分 位 万 円 ) 標 準 軽 減 ゼロ 税 率 非 課 税 - 29 - 支 出 金 額 ( 万 円 / 月 ) 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 標 準 軽 減 ゼロ 税 率 非 課 税 年 収 階 級 別 の 適 用 税 率 ごとの 消 費 支 出 金 額 (イギリスの 付 加 価 値 税 率 を 適 用 した 場 合 ) 26.8 18.2 14.7 2.0 12.1 8.4 1.6 9.2 1.3 1.4 1.0 5.6 6.7 3.6 4.9 3.8 4.6 5.6 7.6 3.2 Ⅱ Ⅳ Ⅵ Ⅷ Ⅹ (174~252) (322~390) (460~547) (651~795) (1009~) 年 間 収 入 ( 十 分 位 万 円 )

(2) 軽 減 税 率 等 の 効 果 効 率 性 上 記 の 結 果 は 低 所 得 者 対 策 としての 軽 減 税 率 等 の 導 入 により 高 所 得 者 ほど 負 担 軽 減 額 が 大 きくなる 可 能 性 を 示 唆 している そこで 仮 に 全 て の 財 サービスに 標 準 税 率 (イギリスの 場 合 20%)を 適 用 した 場 合 の 税 負 担 額 と 現 行 の 複 数 税 率 下 での 負 担 額 の 比 較 を 行 うと 低 所 得 階 層 ( 第 Ⅰ 10 分 位 )では 月 額 6,000 円 程 度 の 負 担 軽 減 であるのに 対 し 高 所 得 階 層 ( 第 Ⅹ10 分 位 )では 月 額 18,000 円 程 度 の 軽 減 となっていることが 分 かる すなわち イギリスと 同 様 の 税 制 措 置 を 採 用 して 低 所 得 者 対 策 を 行 うこ とは 低 所 得 者 の3 倍 もの 給 付 金 を 高 所 得 者 にも 支 給 するのと 同 値 である ことになり 低 所 得 者 対 策 としての 効 率 性 は 低 いと 考 えられる 20,000 ( 円 / 月 ) 軽 減 税 率 等 による 受 益 額 の 推 移 (イギリスの 付 加 価 値 税 率 を 適 用 した 場 合 ) 17,698 15,000 10,000 5,000 5,976 7,157 8,357 9,597 10,015 11,057 11,749 13,066 14,508 0 (~174) ( 万 円 ) (174 ~252) (252 ~322) (322 ~390) (390 ~460) (460 ~547) (547 ~651) (651 ~795) (795 (1009~ ) ~1009) Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ Ⅹ 年 間 収 入 ( 十 分 位 : 万 円 ) - 30 -

参 考 文 献 政 府 税 制 調 査 会 わが 国 税 制 の 現 状 と 課 題 -21 世 紀 に 向 けた 国 民 の 参 加 と 選 択 - (2000 年 7 月 ) あるべき 税 制 の 構 築 に 向 けた 基 本 方 針 (2002 年 6 月 ) 少 子 高 齢 社 会 における 税 制 のあり 方 (2003 年 6 月 ) 抜 本 的 な 税 制 改 革 に 向 けた 基 本 的 考 え 方 (2007 年 11 月 ) 平 成 23 年 度 税 制 改 正 大 綱 (2010 年 12 月 ) 政 府 税 制 調 査 会 専 門 家 委 員 会 税 目 ごとの 論 点 の 深 掘 り に 関 する 議 論 の 中 間 報 告 (2010 年 12 月 ) 社 会 保 障 改 革 に 関 する 有 識 者 検 討 会 安 心 と 活 力 への 社 会 保 障 ビジョン (2010 年 12 月 ) 政 府 税 調 (2007) 企 画 会 合 提 出 資 料 ( 企 画 7-2 調 査 2-2)( 平 成 19 年 4 月 13 日 ) 井 堀 利 宏 (2001) 財 政 再 建 は 先 送 りできない ( 岩 波 書 店 ) 井 堀 利 宏 (2010) 財 政 制 度 等 審 議 会 財 政 制 度 分 科 会 ( 平 成 22 年 5 月 18 日 ) 岩 本 康 志 福 井 唯 嗣 (2007) 医 療 介 護 保 険 への 積 立 方 式 の 導 入 ( 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 フィナンシャル レビュー87 号 所 収 ) 佐 藤 主 光 (2010) 消 費 税 と 給 付 付 き 税 額 控 除 ( 東 京 財 団 政 策 研 究 給 付 付 き 税 額 控 除 具 体 案 の 提 言 (2010 年 8 月 ) 所 収 ) 白 石 浩 介 東 暁 子 (2010) 消 費 税 引 上 げの 影 響 と 課 題 ( 税 務 弘 報 (2010 年 11 月 )) 鈴 木 将 覚 (2010) マーリーズ レビューの 税 制 改 革 案 (みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト) 高 山 憲 之 白 石 浩 介 (2010) わが 国 世 帯 における 消 費 税 の 負 担 水 準 ( 一 橋 大 学 経 済 研 究 所 世 代 間 問 題 研 究 機 構 ディ スカッション ペーパー491 号 ) 高 山 憲 之 白 石 浩 介 (2011) 給 付 付 き 税 額 控 除 による 消 費 税 負 担 の 軽 減 ( 一 橋 大 学 経 済 研 究 所 世 代 間 問 題 研 究 機 構 ディスカッション ペーパー503 号 ) 土 居 丈 朗 (2010) いま なぜ 税 制 抜 本 改 革 か ( 日 本 の 税 をどう 見 直 すか ( 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 ) 所 収 ) 西 山 由 美 (2011) EU 付 加 価 値 税 の 現 状 と 課 題 ( 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 フィナンシャル レビュ ー102 号 所 収 ) 消 費 税 における 複 数 税 率 構 造 の 問 題 点 ( 東 海 法 学 第 44 号 所 収 ) 三 菱 総 研 (2010) 消 費 税 引 き 上 げの 課 題 ( 三 菱 総 合 研 究 所 MRI Policy Briefing) 村 澤 知 宏 湯 田 道 生 岩 本 康 志 (2004) 消 費 税 の 軽 減 税 率 適 用 による 効 率 と 公 平 のトレードオフ ( 内 閣 府 経 済 社 会 総 合 研 究 所 経 済 分 析 182 号 所 収 ) - 31 -

森 信 茂 樹 (2010) 日 本 の 税 制 何 が 問 題 か ( 岩 波 書 店 ) 八 塩 裕 之 長 谷 川 裕 一 (2008) わが 国 税 と 社 会 保 険 料 負 担 と 給 付 に 関 する 討 議 資 料 ( 財 務 総 合 政 策 研 究 所 我 が 国 の 経 済 格 差 の 実 態 とその 政 策 対 応 に 関 する 研 究 会 討 議 資 料 ) 八 塩 裕 之 長 谷 川 裕 一 (2009) わが 国 家 計 の 消 費 税 負 担 の 実 態 について ( 内 閣 府 経 済 社 会 総 合 研 究 所 経 済 分 析 182 号 所 収 ) 大 和 香 織 (2010) 消 費 税 増 税 に 伴 う 低 所 得 者 対 策 の 検 討 (みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 日 本 経 済 インサイト) 山 本 康 雄 (2010) 消 費 税 増 税 スケジュールを 考 える (みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 日 本 経 済 インサイト) 欧 州 委 員 会 (2007) EU Commission Communication from the Commission to the Council and the European Parliament on VAT rates other than standard VAT rates コペンハーゲン エコノミクス(2007) Copenhagen Economics Study on reduced VAT applied to good and services in the Member States of the European Union マーリーズ レビュー(2010) Dimensions of Tax Design: the Mirrlees Review by J. Mirrlees, S. Adam, T. Besley, R. Blundell, S. Bond, R. Chote, M. Gammie, P. Johnson, G. Myles and J. Poterba (eds) Cnossen(1994) Administrative and Compliance Costs of the VAT: A review of the Evidence by Sijbren Cnossen(Tax Notes International June 20,1994) Dickson (2007) The NZ GST Policy Choice: an Historical Perspective GAO(1993) Value-added Tax: Administrative Costs Vary With Complexity and Number of Business HM Revenue & Customs(2010) Impact Assessment of change to the standard rate of VAT IMF(2010) Fiscal Exit : From Strategy to Implementation (World Economic and Financial Surveys) OECD(2008) Consumption Tax Trends 2008 OECD(2010) Choosing a Broad Base Low Rate Approach to Taxation - 32 -

社 会 保 障 税 一 体 改 革 における 消 費 税 の 実 務 上 の 論 点 等 に 関 す る 研 究 会 名 簿 ( 五 十 音 順 ) 白 石 浩 介 鈴 木 将 覚 田 近 栄 治 中 里 実 森 信 茂 樹 八 塩 裕 之 三 菱 総 合 研 究 所 主 席 研 究 員 みずほ 総 合 研 究 所 主 任 研 究 員 一 橋 大 学 大 学 院 教 授 東 京 大 学 大 学 院 教 授 中 央 大 学 法 科 大 学 院 教 授 京 都 産 業 大 学 准 教 授 は 共 同 座 長 ( 注 ) 西 山 由 美 東 海 大 学 教 授 には 本 ペーパーの 作 成 にあたり 関 連 資 料 の 提 供 助 言 など 各 種 のサポートをいただいた - 33 -