2014 年 6 月 27 日 政 府 の 15 事 例 に 関 する 見 解 憲 法 総 合 調 査 会 安 全 保 障 総 合 調 査 会 民 主 党 は 3 月 4 日 に 集 団 的 自 衛 権 をめぐる 憲 法 解 釈 の 変 更 に 関 する 見 解 をとりまとめて 以 降 も 安 保 法 制 懇 の 報 告 やその 後 の 総 理 発 言 政 府 から 与 党 への 15 事 例 の 提 示 等 を 受 け その 対 応 について 党 内 で 丁 寧 に 議 論 を 重 ねてきた 15 事 例 に 対 し 政 府 は 十 分 な 説 明 を 行 っておらず 説 明 そのものも 確 定 して いない それ 以 前 に そもそも 15 事 例 の 位 置 づけ 自 体 が 曖 昧 と 言 わざるをえな い こうした 政 府 の 不 誠 実 な 態 度 は 極 めて 遺 憾 である しかし 与 党 協 議 の 進 展 や 閣 議 決 定 が 強 行 されかねない 情 勢 を 踏 まえ この 問 題 に 関 する 民 主 党 の 基 本 的 な 考 え 方 を 国 民 に 示 すことが 必 要 と 考 え 現 時 点 の 見 解 を 以 下 に 示 すことにした 1. 民 主 党 は 党 綱 領 や 平 成 22 年 12 月 にとりまとめた 防 衛 大 綱 にも 定 めたとお り 平 和 主 義 を 掲 げる 日 本 国 憲 法 の 下 専 守 防 衛 に 徹 し 他 国 に 脅 威 を 与 えるような 軍 事 大 国 とならないとの 基 本 理 念 を 今 後 も 堅 持 する 2. 同 時 に 民 主 党 は 我 が 国 を 取 り 巻 く 諸 情 勢 の 変 化 を 踏 まえ 我 が 国 の 領 土 領 海 領 空 国 民 の 生 命 及 び 財 産 を 守 るという 観 点 や 集 団 安 全 保 障 に 基 づい て 国 際 的 な 責 任 を 果 たすという 視 点 からの 新 たな 要 請 の 有 無 を 不 断 に 検 討 し 必 要 な 対 応 を 取 る 特 に グレーゾーン 事 態 を 含 めた 切 れ 目 のない 日 本 防 衛 のための 態 勢 強 化 や 近 隣 有 事 における 日 米 同 盟 協 力 の 深 化 などについ ては 必 要 な 措 置 をとることを 躊 躇 すべきでないと 考 える 3. 民 主 党 は 内 閣 による 憲 法 解 釈 については 内 閣 みずからが 諸 情 勢 の 変 化 と それから 生 ずる 新 たな 要 請 を 考 慮 し 変 更 する 余 地 があることは 法 令 解 釈 の 基 本 に 照 らし 否 定 しない しかし その 余 地 は いかに 諸 情 勢 の 変 化 とそ れから 生 ずる 新 たな 要 請 があったとしても 従 来 の 解 釈 との 整 合 性 が 図 られ た 論 理 的 に 導 きうる 範 囲 に 限 られ 内 閣 が 便 宜 的 意 図 的 に 変 更 すること は 立 憲 主 義 及 び 法 治 主 義 に 反 し 許 されない 4. 立 憲 主 義 及 び 法 治 主 義 の 基 本 に 照 らし 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 について 憲 法 第 9 条 に 違 反 し 許 されないという 内 閣 の 解 釈 を 正 面 から 否 定 し 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 一 般 を 容 認 する 解 釈 に 変 更 することは 許 されないと 考 える 1
5. 内 閣 が 便 宜 的 意 図 的 な 解 釈 変 更 を 行 うことは 憲 法 第 9 条 において と りわけ 重 大 な 問 題 を 引 き 起 こす 内 閣 の 判 断 次 第 で 我 が 国 の 武 力 行 使 が 許 される 範 囲 が 恣 意 的 に 伸 縮 変 化 し 過 去 に 適 法 であったものが 将 来 違 法 と 評 価 されるといった 状 況 が 起 きることは 国 際 問 題 を 引 き 起 こす 危 険 があるとともに 武 力 の 行 使 にあたる 自 衛 隊 の 現 場 においても 混 乱 が 必 至 である したがって こうした 恐 れを 生 じうるような 法 的 安 定 性 を 損 な う 解 釈 変 更 は 許 されるものではない 6. 民 主 党 は アジア 太 平 洋 地 域 の 平 和 と 安 定 に 責 任 を 持 ちながら 外 交 と 安 全 保 障 のバランスのとれた 真 に 現 実 的 な 安 全 保 障 政 策 を 追 求 する これに 対 し 安 倍 内 閣 の 外 交 安 全 保 障 政 策 は 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 容 認 を 主 張 する 一 方 で 隣 国 に 対 し 不 要 な 挑 発 を 行 い 続 けるなど 整 合 性 を 欠 いており 支 離 滅 裂 とさえ 言 ってよい 7. 政 府 は 安 倍 総 理 個 人 が 結 論 先 にありき で 人 選 した 懇 談 会 に 諮 って 報 告 を 出 させ その 後 も 与 党 間 の 密 室 の 取 引 で 調 整 したうえで 閣 議 決 定 するとい う 乱 暴 かつ 不 透 明 そして 何 よりも 立 憲 主 義 を 無 視 したやり 方 を 強 行 しよ うとしている 我 が 国 の 安 全 と 国 民 の 生 命 を 左 右 する 重 大 な 問 題 について 国 民 を 巻 き 込 んだオープンな 議 論 を 国 会 で 行 うことなく 性 急 に 決 定 する 政 府 のやり 方 に 対 しては 強 く 反 対 し 厳 重 に 抗 議 する 以 上 を 前 提 にしつつ 政 府 の 提 示 した 15 事 例 に 対 して 民 主 党 は 以 下 のような 基 本 的 考 え 方 に 立 つ 2
事 例 集 に 関 する 見 解 武 力 攻 撃 に 至 らない 侵 害 への 対 処 事 例 1: 離 島 等 における 不 法 行 為 への 対 処 島 嶼 部 や 海 上 における 不 法 行 為 といった 事 態 については 海 上 保 安 庁 等 の 警 察 力 を 以 て 対 応 することが 基 本 であり 海 上 保 安 庁 等 の 対 処 能 力 の 向 上 を 図 ることを 第 一 とするが 警 察 機 関 では 対 応 できない 場 合 には 自 衛 隊 によ る 対 応 も 含 め 我 が 国 の 防 衛 に 隙 がないようにすべきである 海 上 警 備 行 動 や 治 安 出 動 など 現 行 の 法 制 や 運 用 については 自 衛 隊 によ る 切 れ 目 ない 対 応 を 可 能 にするうえで 1 時 間 2 権 限 3 武 器 使 用 という 3 つの 隙 間 が 指 摘 されている これを 克 服 するため 領 域 警 備 法 制 を 整 備 す べきと 考 える 事 例 2: 公 海 上 で 訓 練 などを 実 施 中 の 自 衛 隊 が 遭 遇 した 不 法 行 為 への 対 処 本 来 訓 練 に 際 しては 防 衛 省 自 衛 隊 で 周 到 な 準 備 を 行 っており 想 定 し づらい 事 例 である そのうえで 述 べれば 島 嶼 部 や 海 上 における 不 法 行 為 といった 事 態 につい ては 海 上 保 安 庁 等 の 警 察 力 を 以 て 対 応 することが 基 本 であり 海 上 保 安 庁 等 の 対 処 能 力 の 向 上 を 図 ることを 第 一 とするが 警 察 機 関 では 対 応 できない 場 合 には 自 衛 隊 による 対 応 も 含 め 我 が 国 の 防 衛 に 隙 がないようにすべき である 海 上 警 備 行 動 や 治 安 出 動 など 現 行 の 法 制 や 運 用 については 自 衛 隊 によ る 切 れ 目 ない 対 応 を 可 能 にするうえで 1 時 間 2 権 限 3 武 器 使 用 という 3 つの 隙 間 が 指 摘 されている これを 克 服 するため 領 域 警 備 法 制 を 整 備 す べきと 考 える 事 例 3: 弾 道 ミサイル 発 射 警 戒 時 の 米 艦 防 護 近 隣 諸 国 による 弾 道 ミサイル 発 射 の 兆 候 がある 場 合 自 衛 隊 に 対 しては 待 機 命 令 が 下 され 日 米 防 衛 ガイドラインに 従 って 一 般 的 な 意 味 での 警 戒 態 勢 が 敷 かれ 日 米 間 の 緊 密 な 連 携 が 図 られることになる かかる 場 合 には 我 が 国 としても 展 開 する 自 衛 隊 艦 艇 の 防 護 態 勢 を 強 化 する 必 要 があり 米 側 か ら 要 請 がなされる 蓋 然 性 は 低 いと 考 えられる また 米 艦 の 能 力 や 米 軍 の 運 用 実 態 からも 切 迫 性 が 高 いとは 考 えにくい 3
今 後 日 米 間 で 具 体 的 協 力 を 深 化 させる 可 能 性 もあるが 上 記 に 鑑 みた 時 現 時 点 で 現 行 法 上 の 対 応 を 大 きく 超 える 措 置 を 検 討 する 必 要 はない なお 我 が 国 に 向 かう 可 能 性 もある 弾 道 ミサイルの 警 戒 を 行 う 米 艦 に 対 す る 攻 撃 については ケースによっては 我 が 国 に 対 する 武 力 攻 撃 の 着 手 に 当 たる 場 合 もあり 得 ようが 武 力 の 行 使 を 前 提 とした 自 衛 隊 の 派 遣 はそうし た 場 合 に 限 定 されるべきである 国 連 PKOを 含 む 国 際 協 力 等 事 例 4: 侵 略 行 為 に 対 抗 するための 国 際 協 力 としての 支 援 国 際 貢 献 の 観 点 から 国 連 安 保 理 決 議 に 基 づく 集 団 安 全 保 障 措 置 について は 厳 に 戦 闘 行 為 に 携 わらず 且 つ 従 来 の 解 釈 と 整 合 性 のとれた 範 囲 で 可 能 な 貢 献 について 積 極 的 な 検 討 を 進 めるべきである 事 例 5: 駆 けつけ 警 護 PKO 部 隊 等 による 駆 け 付 け 警 護 に 際 しての 武 器 使 用 については 本 来 は 接 受 国 の 警 察 等 が 実 施 すべき 任 務 ではあるが PKO 五 原 則 に 則 り 国 もし くは 国 に 準 ずる 主 体 が 活 動 する 地 域 に 存 在 しないことを 常 に 確 認 している ことを 前 提 に 緊 急 で 他 に 代 替 手 段 がなく 最 小 限 度 にとどまり 且 つそれ がその 緊 急 時 を 終 えても 継 続 的 に 実 施 されるものでない 限 りにおいて 容 認 されるべきと 考 える ただし その 場 合 であっても 中 立 性 を 維 持 し 事 後 の 国 会 の 関 与 を 万 全 なものとすべきである 本 件 は 集 団 的 自 衛 権 行 使 に 係 る 事 例 ではない 事 例 6: 任 務 遂 行 のための 武 器 使 用 PKO 部 隊 等 による 任 務 遂 行 型 の 武 器 使 用 については 本 来 は 接 受 国 の 警 察 等 が 実 施 すべき 任 務 ではあるが PKO 五 原 則 に 則 り 国 もしくは 国 に 準 ずる 主 体 が 活 動 する 地 域 に 存 在 しないことを 常 に 確 認 していることを 前 提 に 緊 急 で 他 に 代 替 手 段 がなく 最 小 限 度 にとどまり 且 つそれがその 緊 急 時 を 終 えても 継 続 的 に 実 施 されるものでない 限 りにおいて 容 認 されるべき と 考 える ただし その 場 合 であっても 中 立 性 を 維 持 し 事 後 の 国 会 の 関 与 を 万 全 なものとすべきである 本 件 は 集 団 的 自 衛 権 行 使 に 係 る 事 例 ではない 4
事 例 7: 領 域 国 の 同 意 に 基 づく 邦 人 救 出 領 域 国 の 協 力 が 欠 かせず 平 素 の 外 交 的 努 力 が 前 提 となる 邦 人 救 出 を 妨 害 する 相 手 方 が 事 例 で 想 定 するように 国 又 は 国 に 準 ずる 組 織 でないことが 担 保 されれば 現 行 の 武 器 使 用 権 限 を 拡 大 する 余 地 がな いわけではない 武 力 の 行 使 に 当 たり 得 る 活 動 事 例 8: 邦 人 輸 送 中 の 米 輸 送 艦 の 防 護 関 係 国 の 協 力 が 欠 かせず 外 交 的 努 力 が 前 提 となる 周 辺 事 態 等 で 退 避 する 我 が 国 国 民 が 乗 船 する 船 舶 等 に 対 する 警 護 の 必 要 については 特 定 の 密 接 な 関 係 にある 国 の 軍 艦 艇 等 に 限 ることなく その 必 要 性 に 鑑 み 公 海 において 取 るべき 措 置 について 検 討 し 周 辺 事 態 法 の 改 正 を 含 め 別 途 必 要 な 法 制 度 を 整 備 すべきと 考 える 事 例 9: 武 力 攻 撃 を 受 けている 米 艦 の 防 護 今 後 日 米 間 で 協 力 を 深 化 させる 可 能 性 はあるが 米 軍 の 運 用 実 態 や 日 米 間 の 役 割 分 担 の 観 点 から 蓋 然 性 切 迫 性 が 高 いとは 考 えにくく 今 後 の 検 討 課 題 とすべきである 事 例 10: 強 制 的 な 停 船 検 査 周 辺 事 態 等 における 旗 国 の 同 意 なしの 強 制 的 な 臨 検 は 武 力 行 使 に 当 たるた め 我 が 国 として 行 うことは 基 本 的 にできない 周 辺 事 態 における 船 舶 検 査 法 の 運 用 改 善 や 武 力 攻 撃 事 態 における 海 上 輸 送 規 制 法 の 適 用 を 含 め 我 が 国 に 実 行 可 能 なことを 最 大 限 実 行 すべきである 事 例 11: 米 国 に 向 け 我 が 国 上 空 を 横 切 る 弾 道 ミサイルの 迎 撃 本 事 例 にあるような 長 距 離 ミサイルを 迎 撃 する 能 力 を 日 本 は 現 段 階 で 保 有 しておらず 少 なくとも 当 面 の 間 保 有 しないと 思 われるほか 現 在 の 日 米 の 役 割 分 担 ミサイル 防 衛 能 力 の 差 迎 撃 に 必 要 な 地 理 的 要 件 等 からも 日 本 のイージス 艦 は 日 本 を 守 るべきである ミサイル 防 衛 については 日 米 同 盟 の 中 で 今 後 深 化 させるべき 重 要 なテー マと 考 える ただし 本 事 例 は 上 述 のとおり 蓋 然 性 切 迫 性 が 高 いとは 言 5
いがたいことに 鑑 み 日 米 間 の 新 たな 役 割 分 担 やそのために 必 要 となる 権 限 については 今 後 さらに 検 討 すべき 課 題 であると 考 える 事 例 12: 弾 道 ミサイル 発 射 警 戒 時 の 米 艦 防 護 事 例 13: 米 本 土 が 武 力 攻 撃 を 受 け 我 が 国 近 隣 で 作 戦 を 行 う 時 の 米 艦 防 護 今 後 日 米 間 で 協 力 を 深 化 させる 可 能 性 はあるが 米 軍 の 運 用 実 態 や 日 米 間 の 役 割 分 担 の 観 点 から 蓋 然 性 切 迫 性 が 高 いとは 考 えにくく 今 後 の 検 討 課 題 とすべきである 事 例 14: 国 際 的 な 機 雷 掃 海 活 動 への 参 加 本 事 例 が 該 当 するのはホルムズ 海 峡 であろうが 戦 闘 継 続 時 に 集 団 的 自 衛 権 を 行 使 して 掃 海 するケースはおよそ 考 えにくい 機 雷 が 周 辺 国 等 を 混 乱 させるために 敷 設 されたなど 武 力 攻 撃 の 一 環 とし て 敷 設 されたものでない 場 合 や 武 力 攻 撃 の 一 環 として 敷 設 されたが 停 戦 等 により 遺 棄 機 雷 となった 場 合 には 警 察 権 行 使 ( 危 険 物 除 去 )として 処 理 することは 可 能 である 事 例 15: 民 間 船 舶 の 国 際 共 同 護 衛 具 体 的 にどのようなケースでかかる 事 態 が 起 きるのか 疑 問 がある 仮 に 対 応 するとすれば 民 間 船 舶 の 航 行 の 安 全 のための 活 動 は 我 が 国 船 舶 の 護 衛 については 警 察 権 の 行 使 として 可 能 と 整 理 できる 護 衛 対 象 に 外 国 船 舶 も 含 まれる 場 合 は 我 が 国 が 護 衛 を 行 う 場 合 には 旗 国 の 同 意 が 必 要 と なるが 国 際 共 同 護 衛 活 動 を 受 けることについて 旗 国 の 了 解 があればよい と 考 えられる 以 上 ( 参 考 ) 専 守 防 衛 とは 相 手 から 攻 撃 を 受 けたときに 初 めて 防 衛 力 を 行 使 し その 態 様 も 自 衛 のため の 必 要 最 小 限 にとどめ また 保 持 する 防 衛 力 も 自 衛 のための 必 要 最 小 限 度 のものに 限 るな ど 憲 法 の 精 神 にのっとった 防 衛 戦 略 の 姿 勢 をいう 6