平 成 21 年 5 月 8 日 9-23 号 カレント トピックス 独 立 行 政 法 人 石 油 天 然 ガス 金 属 鉱 物 資 源 機 構 金 属 資 源 情 報 センター 電 話 :44-52-859 FAX:44-52-875 E-mail:mric@jogmec.go.jp 中 国 の 非 鉄 金 属 需 要 と 備 蓄 の 現 況 < 北 京 事 務 所 所 長 土 屋 春 明 企 画 調 査 部 技 術 嘱 託 渡 邉 美 和 担 当 審 議 役 神 谷 夏 実 調 査 課 長 上 木 隆 司 報 告 > 世 界 有 数 の 資 源 保 有 生 産 消 費 国 である 中 国 は 急 激 な 世 界 景 気 後 退 の 端 緒 となった 28 年 9 月 15 日 のリーマンショック 以 降 それまでの 走 出 去 ( 海 外 展 開 の 指 導 ) と 並 行 して 資 源 政 策 の 機 軸 の 一 つとして 金 属 備 蓄 を 強 化 実 施 しつつある その 金 属 備 蓄 が 29 年 明 け 以 降 の 金 属 価 格 回 復 傾 向 の 要 因 の 一 つ と 見 られている 本 稿 では これまでに 報 道 された 中 国 における 金 属 備 蓄 の 現 況 についてまとめ ると 共 に 中 国 の 主 要 金 属 の 実 需 状 況 について 検 証 を 試 みる 1. 中 国 の 備 蓄 制 度 中 国 の 国 家 備 蓄 制 度 は 当 初 国 防 上 の 必 要 性 から 1953 年 に 開 始 されたが 時 代 の 変 化 に 応 じて 修 正 され 25 年 には 国 家 エネルギー 安 全 保 障 政 策 の 重 点 施 策 の 一 つと 指 定 された 当 時 より 経 済 発 展 による 原 材 料 の 不 足 が 顕 在 化 し マク ロ 経 済 のコントロールのため 重 要 性 が 高 まり 国 務 院 においても 再 認 識 された 国 家 備 蓄 対 象 は 物 資 食 料 綿 砂 糖 薬 品 茶 肉 化 学 肥 料 救 済 物 資 の 1 種 類 からなり 金 属 は 物 資 に 該 当 している 物 資 には 金 属 以 外 にも ダイヤモンド 天 然 ゴム パルプ 石 油 及 び 石 油 製 品 (ガソリン 航 空 機 燃 料 )が 含 まれる 中 国 の 金 属 備 蓄 制 度 の 概 要 は 表 1 のとおりである 表 1. 中 国 の 金 属 備 蓄 制 度 の 概 要 制 度 創 設 年 1953 年 ( 備 蓄 目 標 実 績 は 未 公 表 ) 銅 アルミ ニッケル 鉛 亜 鉛 マンガン クロム 水 銀 錫 バナジウム 白 金 ( 現 在 銀 アンチモン インジウム ガリウム チタン タングステン ビスマス レアアー 備 蓄 対 象 金 属 種 ス コバルト ウランが 追 加 され マンガン クロム 水 銀 バナジウム 白 金 を 対 象 とした 備 蓄 は 報 じられていない なお ウランは, 能 源 (エネルギー) 局 が 所 管 すると 報 道 されている ) 国 務 院 : 備 蓄 政 策 購 入 売 却 等 の 重 要 事 項 を 決 定 する 国 家 発 展 改 革 委 員 会 国 家 物 資 備 蓄 局 (SRB:State Reserves Bureau) : 備 蓄 政 策 の 所 管 省 庁 立 案 管 理 組 織 運 営 国 務 院 への 具 申 等 を 行 う 地 方 備 蓄 処 : 全 省 ( 江 蘇 省 とチベット 自 治 区 以 外 )に 2 箇 所 の 備 蓄 倉 庫 を 管 理 する 1
現 在 中 国 における 金 属 備 蓄 は 中 央 政 府 のみならず 地 方 政 府 も 実 施 している 上 述 のとおり 中 央 政 府 の 所 管 機 関 は 国 家 発 展 改 革 委 員 会 の 下 部 機 関 である SRB であるが その 備 蓄 目 的 は 市 場 の 安 定 及 び 戦 略 的 備 蓄 で 対 象 は 金 属 に 限 らず 石 油 食 料 など 多 岐 に 亘 る 地 方 政 府 による 金 属 備 蓄 については 北 から 陜 西 省 河 南 省 湖 南 省 及 び 郴 州 市 江 西 省 及 び 赣 州 市 雲 南 省 広 西 壮 族 自 治 区 が 報 道 されている これらは 省 内 あるいは 市 内 の 地 場 産 業 支 援 や 雇 用 の 確 保 を 目 的 としているとさ れる 湖 南 有 色 金 属 集 団 公 司 のように 傘 下 の 企 業 が 生 産 した 地 金 を 買 い 付 ける 民 間 備 蓄 も 報 じられているが このような 企 業 による 備 蓄 資 金 については 銀 行 が 備 蓄 金 属 を 担 保 に 融 資 し 地 方 政 府 がその 利 子 補 填 を 行 うことで 支 援 している 模 様 である(29 年 4 月 2 日 付 有 色 金 属 新 聞 が 証 券 時 報 記 事 としてネット 配 信 ) ま た 湖 南 省 郴 州 市 や 江 西 省 赣 州 市 についても 省 政 府 と 連 携 して 実 施 され ているものと 予 想 される 国 土 資 源 部 は 28 年 末 に 全 国 鉱 産 資 源 計 画 (28~215 年 ) を 作 成 し 29 年 1 月 7 日 に 公 布 した 鉱 産 資 源 の 探 査 開 発 保 護 及 び 備 蓄 等 について 22 年 を 展 望 しながら 活 動 の 重 要 指 針 を 定 めたものであるが 備 蓄 対 象 について は 石 油 石 炭 鉄 非 鉄 金 属 非 金 属 など 幅 広 く 指 定 している また 28 年 12 月 19 日 全 国 工 業 和 信 息 化 工 作 会 議 の 席 上 29 年 の 重 要 原 材 料 戦 略 物 備 蓄 が 表 明 され 生 産 体 制 拡 大 の 中 で 需 給 バランスのた め 地 方 政 府 による 物 資 備 蓄 として 雲 南 省 の 先 行 モデルが 代 表 例 として 挙 げられ 雲 南 省 有 色 金 属 備 蓄 試 行 辦 法 が 紹 介 されている ( 上 海 証 券 報 28.12.2 等 ) 2. 備 蓄 計 画 と 実 績 現 時 点 での 報 道 を 基 に 中 央 及 び 地 方 政 府 による 備 蓄 計 画 と 実 績 を 表 2 に 示 す 2-1. SRB による 備 蓄 SRB による 備 蓄 対 象 金 属 は 表 2 に 示 すとおり 銅 亜 鉛 アルミ ニッケル インジウム ガリウム チタンであるが 主 体 は アルミ 銅 亜 鉛 であり そ れら 主 要 三 金 属 の 備 蓄 計 画 量 実 績 量 達 成 率 は 次 のとおり 金 属 種 備 蓄 計 画 量 ( 千 t) 実 績 量 ( 千 t) 達 成 率 (%) アルミ 1, 69 69. 銅 1, 24 24. 亜 鉛 3 159 53. 2-1. 地 方 政 府 による 備 蓄 地 方 政 府 による 備 蓄 は 雲 南 省 で 先 行 し 対 象 金 属 種 は アルミ 銅 亜 鉛 鉛 錫 とされ その 制 度 は 以 下 のとおりとされている: 全 国 鉱 産 資 源 計 画 (28~15 年 ) に 鉱 産 地 備 蓄 として 規 定 された 地 方 で 実 施 政 府 の 指 導 企 業 備 蓄 銀 行 融 資 財 政 サポート 市 場 運 営 が 原 則 期 間 は 暫 定 的 に 29 年 1 月 から 1 か 年 間 ( 29 年 末 までに 放 出 が 有 り 得 る) 2
表 2. SRB と 地 方 政 府 による 備 蓄 計 画 と 実 績 ( 既 報 道 情 報 に 基 づく) 対 象 金 属 SRB/ 省 市 計 画 量 (t) 出 典 実 績 量 (t) 出 典 達 成 率 銅 SRB 1,, 9.2.18 有 色 網 24, 9.2.18 有 色 網 24.% 雲 南 省 15, 8.12.22MB 2, 9.1.5MB 1.3% 小 計 1,15, 242, 21.% 鉛 雲 南 省 15, 8.12.22MB 湖 南 省 郴 州 市 5, 9.3.18 有 色 網 湖 南 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.15 湖 南 日 報 陝 西 省 53, 9.3.3NF9-13 33, 9.3.23 中 金 在 線 62.2% 小 計 253,+α 33, 13.% 亜 鉛 SRB 3, 9.1.5MB 159, 9.4.9 有 色 網 53.% 雲 南 省 3, 8.12.22MB 3, 9.1.12MB 1% 湖 南 省 郴 州 市 5, 9.3.18 有 色 網 湖 南 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.15 湖 南 日 報 陝 西 省 44, 9.3.3NF9-13 44, 9.3.23 中 金 在 線 1.% 小 計 694,+α 53, 72.5% アルミ 3, 9.1.5MB 29, 8.12.25 上 海 証 券 報 等 SRB 7, 9.2.18 有 色 網 4, 9.4.9 有 色 網 計 1,, 計 69, 69.% 雲 南 省 3, 8.12.22MB 18, 9.1.12MB 6.% 河 南 省 5, 9.3.25 新 華 社 広 西 壮 族 自 治 区 ( 数 量 不 明 ) 5, 9.3.23 有 色 網 小 計 1,8,+ α 92, 51.1% 錫 雲 南 省 1, 8.12.22MB 3, 9.1.5MB 3.% 湖 南 省 郴 州 市 5, 9.3.18 有 色 網 小 計 15, 3, 28.6% 銀 湖 南 省 郴 州 市 2, 9.3.18 有 色 網 小 計 4, アンチモン 湖 南 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.15 湖 南 日 報 ニッケル SRB 2, 9.3.7 有 色 網 2, 9.3.3 有 色 網 1.% SRB 3 8.12.25 日 刊 産 業 他 3 1.% インシ ウム 湖 南 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.15 湖 南 日 報 小 計 3 3 1.% ガリウム SRB ( 数 量 不 明 ) 9.3.7 有 色 網 チタン SRB 5, 9.3.25 有 色 網 5, 9.3.25 有 色 網 1.% タンク ステン 湖 南 省 郴 州 市 5, 9.3.18 有 色 網 湖 南 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.15 湖 南 日 報 江 西 省 赣 州 市 1, 9.3.17 有 色 網 1, 9.3.17 有 色 網 1% 江 西 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.9 有 色 網 小 計 15,+α 1, 66.7% ビスマス 湖 南 省 郴 州 市 3, 9.3.18 有 色 網 小 計 3, レアアース 江 西 省 赣 州 市 1, 9.3.17 有 色 網 1, 9.3.17 有 色 網 1.% 江 西 省 ( 数 量 不 明 ) 9.4.9 有 色 報 小 計 1,+α 1, 1.% コバルト 不 明 8~1t 9.3.25 有 色 網 ウラン 能 源 局 ( 数 量 不 明 ) 9.3.25 有 色 網 不 明 広 西 46, 9.3.26 財 経 単 純 合 計 4,517,3 1,773,3 39.3% 出 典 に 関 しては 次 のとおり: 1) MB とは Metal Bulletin である 2) NF とは JOGMEG ニュース フラッシュ である 3) 有 色 網 とは 中 国 有 色 網 ( 中 国 有 色 金 属 信 息 網 の 略 称 (http://www.cnmn.com.cn/)) 4) 財 形 とは 中 国 財 経 信 息 網 (http://cfi.net.cn/) 5) 湖 南 日 報 と 新 華 社 は 有 色 網 による 3
金 属 備 蓄 を 実 施 している 地 方 政 府 とその 備 蓄 金 属 は 次 のとおりである 陜 西 省 亜 鉛 鉛 河 南 省 アルミ 湖 南 省 亜 鉛 鉛 アンチモン インジウム タングステン 同 省 郴 州 市 亜 鉛 鉛 錫 銀 タングステン ビスマス 江 西 省 タングステン レアアース 同 省 赣 州 市 タングステン レアアース 雲 南 省 銅 鉛 亜 鉛 アルミ 錫 広 西 壮 族 自 治 区 アルミ 中 国 の 29 年 消 費 量 ( 研 究 会 予 測 値 )に 対 する 計 画 量 の 比 率 を 表 3 に 示 す 錫 の 79%はじめ 銅 22% 亜 鉛 17% アルミ 14%が 高 い 表 3. SRB と 地 方 政 府 による 備 蓄 計 画 量 の 29 年 消 費 予 測 量 に 対 する 割 合 鉱 種 備 蓄 計 画 量 ( 千 t) 1 消 費 予 測 量 ( 千 t) 2 ( 出 典 ) 中 国 の 消 費 量 に 占 める 割 合 (%) 3=1/2 錫 15 133 (WMS28 年 値 4.3%) 78.9 銅 1,15 5,25 (ICSG) 21.9 亜 鉛 694 4,2 ( ILZSG) 16.5 アルミ 1,8 12,946 (WMS28 年 値 4.3%) 13.9 鉛 253 3,4 ( ILZSG) 7.4 ニッケル 2 38 (INSG) 5.3 錫 アルミの 消 費 予 測 量 については 銅 亜 鉛 鉛 ニッケルに 関 する 予 測 量 の 伸 び 率 の 平 均 値 である 4.3%を 準 用 した 3. 金 属 価 格 と 備 蓄 買 付 け 時 期 図 1~4 には 28 年 7 月 ~29 年 4 月 間 のアルミ 銅 亜 鉛 鉛 の LME 価 格 推 移 と 買 付 け 状 況 を 示 す 陜 西 省 の 例 では SHFE( 上 海 期 貨 交 易 所 )での 市 場 価 格 に 比 べて 2.4~4.1% 高 いとの 報 道 もある 価 格 (US$/t) 3,4 3,2 Stock Cash 3 month 12 月 23 日 SRB は Chinalco から 3 千 t 買 付 け 12 月 25 日 SRB は Chinalco ほ か7 社 から 29 千 t 買 付 け (187US$/t) LME 在 庫 (t) 4,, 3,5, 3, 2,8 12 月 1 日 雲 南 省 は 236 千 t 買 付 3,, 2,6 2,4 2,2 1 月 14 日 SRB は 国 内 7 社 と 買 付 けに 関 し 協 議 2,5, 2,, 2, 1,8 1,6 1,4 3か 月 先 物 が 現 物 より 高 い コンタンゴ( 順 ざや) 状 態 で 推 移 している 2 月 2 日 SRBは 国 内 7 社 か ら 29 千 t 買 付 け (1826US$/t) 1,5, 1,, 5, 1,2 29/4/27 29/4/17 29/4/7 29/3/28 29/3/18 29/3/8 29/2/26 29/2/16 29/2/6 29/1/27 29/1/17 29/1/7 28/12/28 28/12/18 28/12/8 28/11/28 28/11/18 28/11/8 28/1/29 28/1/19 28/1/9 28/9/29 28/9/19 28/9/9 28/8/3 28/8/2 28/8/1 28/7/31 28/7/21 28/7/11 28/7/1 図 1. 価 格 推 移 と 買 付 け 時 期 : アルミ ( 出 典 :LME) 4
Cu 価 格 (US$/t) 9, 8,5 8, 7,5 7, Stock Cash 3 month 1 月 12 日 SRB による 15 ~4 千 tの 買 付 け 撤 回 銅 価 3.6% 急 落 12 月 雲 南 省 雲 南 銅 公 司 から 2 千 t 買 付 け LME 在 庫 (t) 55, 5, 45, 4, 6,5 6, 2 月 4 日 SRB 銅 地 金 買 付 け 開 始 ( 最 大 7 千 t)と 報 道 される 35, 3, 5,5 25, 5, 2, 4,5 15, 4, 3,5 3, 2,5 7~8 月 は 現 物 が3か 月 先 物 より 高 いバックワーデション( 逆 ざや) その 後 コンタンゴ( 順 ざや) 傾 向 で 推 移 している 1, 5, 29/4/27 29/4/17 29/4/7 29/3/28 29/3/18 29/3/8 29/2/26 29/2/16 29/2/6 29/1/27 29/1/17 29/1/7 28/12/28 28/12/18 28/12/8 28/11/28 28/11/18 28/11/8 28/1/29 28/1/19 28/1/9 28/9/29 28/9/19 28/9/9 28/8/3 28/8/2 28/8/1 28/7/31 28/7/21 28/7/11 28/7/1 図 2. 価 格 推 移 と 買 付 け 時 期 : 銅 ( 出 典 :LME) Zn 価 格 (US$/t) 2,4 2,3 2,2 2,1 2, 1,9 1,8 1,7 1,6 1,5 1,4 1,3 1,2 1,1 1, 9 8 28/7/1 28/7/11 28/7/21 28/7/31 28/8/1 Stock Cash 3 month 3か 月 先 物 が 現 物 より 高 い コンタンゴ( 順 ざや) 状 態 で 推 移 している 28/8/2 28/8/3 28/9/9 28/9/19 28/9/29 12 月 1 日 雲 南 省 は 省 内 製 錬 企 業 から 236 千 t 買 付 け 28/1/9 28/1/19 28/1/29 28/11/8 28/11/18 28/11/28 2 月 25 日 SRB は 国 内 製 錬 企 業 8 社 から 1 千 t 買 付 け(1,683US$/t) 28/12/8 28/12/18 28/12/28 29/1/7 29/1/17 3 月 2 日 陜 西 省 は 省 内 製 錬 企 業 から 44 千 t 買 付 け 計 画 (1,652US$/t) 29/1/27 29/2/6 29/2/16 29/2/26 29/3/8 29/3/18 29/3/28 29/4/7 29/4/17 LME 在 庫 (t) 36, 29/4/27 34, 32, 3, 28, 26, 24, 22, 2, 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 図 3. 価 格 推 移 と 買 付 け 時 期 : 亜 鉛 ( 出 典 :LME) 5
Pb 価 格 (US$/t) 2,4 Stock Cash 3 month LME 在 庫 (t) 11, 2,3 2,2 2,1 2, 1,9 1,8 1,7 1,6 1,5 1,4 1,3 1,2 3 月 2 日 陜 西 省 は 省 内 製 錬 企 業 から 53 千 t 買 付 計 画 のところ 33 千 t 買 付 け (1,889US$/t) 1, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 1,1 1, 9 概 ね 3か 月 先 物 が 現 物 より 高 いコンタンゴ( 順 ざや) 状 態 で 推 移 している 2, 1, 8 29/4/27 29/4/17 29/4/7 29/3/28 29/3/18 29/3/8 29/2/26 29/2/16 29/2/6 29/1/27 29/1/17 29/1/7 28/12/28 28/12/18 28/12/8 28/11/28 28/11/18 28/11/8 28/1/29 28/1/19 28/1/9 28/9/29 28/9/19 28/9/9 28/8/3 28/8/2 28/8/1 28/7/31 28/7/21 28/7/11 28/7/1 図 4. 価 格 推 移 と 買 付 け 時 期 : 鉛 ( 出 典 :LME) 4. 中 国 の 実 需 の 検 証 4-1. 需 給 の 月 別 推 移 中 国 の 銅 亜 鉛 鉛 地 金 の 消 費 量 の 28 年 1 月 以 降 の 推 移 を 鉱 石 生 産 量 及 び 地 金 生 産 量 と 比 較 して 図 5~7 に 示 す (1) 中 国 の 銅 地 金 消 費 量 図 5 に 示 すとおり 28 年 11 月 以 降 上 昇 傾 向 にあり 29 年 1 月 にやや 戻 りはあったが 2 月 には 6 千 t にまで 上 昇 回 復 した ( 千 t) 65 6 55 5 45 4 35 3 25 2 15 1 5 銅 鉱 生 産 量 銅 地 金 生 産 量 銅 地 金 消 費 量 9 年 2 月 9 年 1 月 8 年 12 月 8 年 11 月 8 年 1 月 8 年 9 月 8 年 8 月 8 年 7 月 8 年 6 月 8 年 5 月 8 年 4 月 8 年 3 月 8 年 2 月 8 年 1 月 図 5. 中 国 の 鉱 石 地 金 生 産 量 と 消 費 量 の 推 移 : 銅 ( 出 典 :COPPER BULLETIN, ICSG) なお COPPER BULLETIN における 銅 地 金 消 費 量 とは 見 掛 消 費 量 であり 備 蓄 量 も 含 まれている 可 能 性 がある そのように 仮 定 し 表 2 に 示 す 現 状 の 銅 の 備 蓄 実 績 量 242 千 t を 29 年 2 月 の 銅 地 金 消 費 量 64 千 t から 差 引 くと 362 千 t とな 6
り 図 5 の 点 線 のように 表 され このようであるとすれば 12 月 をピークに 中 国 の 銅 消 費 量 は 減 少 していることになる (2) 中 国 の 亜 鉛 鉛 地 金 消 費 量 ILZSG 事 務 局 によれば 亜 鉛 鉛 の 消 費 量 は 見 掛 け 消 費 量 から 推 定 される 備 蓄 量 を 減 じた 値 としており LEAD AND ZINC STATISTICS における 亜 鉛 鉛 地 金 消 費 量 には 備 蓄 量 は 含 まれていないと 見 なされる 亜 鉛 地 金 消 費 量 は 図 6 に 示 す 28 年 9 月 以 降 減 少 傾 向 にあったが 2 月 に 上 昇 に 転 じている ( 千 t) 4 35 3 25 2 15 1 8 年 1 月 亜 鉛 鉱 生 産 量 亜 鉛 地 金 生 産 量 亜 鉛 消 費 量 9 年 1 月 8 年 12 月 8 年 11 月 8 年 1 月 8 年 9 月 8 年 8 月 8 年 7 月 8 年 6 月 8 年 5 月 8 年 4 月 8 年 3 月 8 年 2 月 9 年 2 月 図 6. 中 国 の 鉱 石 地 金 生 産 量 と 消 費 量 の 推 移 : 亜 鉛 ( 出 典 :LEAD AND ZINC STATISTICS, ILZSG) 鉛 地 金 消 費 量 は 図 7 に 示 すとおり 比 較 的 堅 調 に 推 移 していたが 1 月 に 2 千 t まで 落 込 んだが 2 月 には 上 昇 に 転 じている ( 千 t) 35 鉛 鉱 生 産 量 鉛 地 金 生 産 量 鉛 消 費 量 3 25 2 15 1 5 9 年 2 月 9 年 1 月 8 年 12 月 8 年 11 月 8 年 1 月 8 年 9 月 8 年 8 月 8 年 7 月 8 年 6 月 8 年 5 月 8 年 4 月 8 年 3 月 8 年 2 月 8 年 1 月 図 7. 中 国 の 鉱 石 地 金 生 産 量 と 消 費 量 の 推 移 : 鉛 ( 出 典 :LEAD AND ZINC STATISTICS, ILZSG) 7
4-2. 中 国 の 月 別 地 金 輸 入 推 移 中 国 の 銅 亜 鉛 鉛 の 地 金 輸 入 量 を 図 8~1 に 示 す (t) 3, 25, 輸 入 銅 量 計 (t) 日 本 からの 輸 入 量 (t) 2, 15, 1, 5, 29 年 3 月 29 年 2 月 29 年 1 月 28 年 12 月 28 年 11 月 28 年 1 月 28 年 9 月 28 年 8 月 28 年 7 月 28 年 6 月 28 年 5 月 28 年 4 月 28 年 3 月 28 年 2 月 28 年 1 月 図 8. 中 国 の 地 金 輸 入 量 の 推 移 : 銅 ( 出 典 :COPPER BULLETIN, ICSG MB(27.Apr.29) 財 務 省 貿 易 統 計 ) 銅 は 図 8 に 示 すとおり 28 年 6 月 を 底 に 7 月 以 降 増 加 傾 向 にあり 日 本 から の 輸 入 量 も 12 月 以 降 に 増 加 している (t) 13, 12, 11, 1, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 輸 入 亜 鉛 量 (t) 日 本 からの 輸 入 量 (t) 29 年 3 月 29 年 2 月 29 年 1 月 28 年 12 月 28 年 11 月 28 年 1 月 28 年 9 月 28 年 8 月 28 年 7 月 28 年 6 月 28 年 5 月 28 年 4 月 28 年 3 月 28 年 2 月 28 年 1 月 図 9. 中 国 の 地 金 輸 入 量 の 推 移 : 亜 鉛 ( 出 典 :LEAD AND ZINC STATISTICS,ILZSG MB(27.Apr.29) 財 務 省 貿 易 統 計 ) 亜 鉛 地 金 輸 入 量 は 2 月 に 大 幅 増 となり 日 本 からも 1,t 以 上 が 輸 入 された 8
(t) 26, 24, 22, 2, 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 輸 入 鉛 量 (t) 日 本 からの 輸 入 量 (t) 29 年 3 月 29 年 2 月 29 年 1 月 28 年 12 月 28 年 11 月 28 年 1 月 28 年 9 月 28 年 8 月 28 年 7 月 28 年 6 月 28 年 5 月 28 年 4 月 28 年 3 月 28 年 2 月 28 年 1 月 図 1. 中 国 の 地 金 輸 入 量 の 推 移 : 鉛 ( 出 典 :LEAD AND ZINC STATISTICS, ILZSG MB(27.Apr.29) 財 務 省 貿 易 統 計 ) 鉛 地 金 輸 入 量 も 2 月 に 大 幅 増 となり 日 本 からも 3 月 には 5,t 程 度 に 増 加 している 4-3. 中 国 の 主 要 経 済 指 標 (1) 自 動 車 販 売 台 数 上 海 証 券 取 引 所 やロイター 電 情 報 により 中 国 の 月 別 自 動 車 販 売 台 数 値 を 収 集 し グラフ 化 すると 図 11 のように 表 される これによると 28 年 12 月 以 降 上 昇 傾 向 に 転 じており 3 月 は 11 万 台 を 越 えた これは 29 年 1 月 14 日 に 国 務 院 から 発 表 された 1 月 2 日 ~12 月 末 の 間 の 暫 定 的 な 小 型 自 動 車 (16cc 以 下 中 国 国 内 の 自 動 車 販 売 総 台 数 の 61.5%に 相 当 )の 自 動 車 税 減 税 (1 5%)の 効 果 も 大 きいものと 見 られる ( 万 台 ) 12 11 1 9 8 7 6 29 年 3 月 29 年 2 月 29 年 1 月 28 年 12 月 28 年 11 月 28 年 1 月 28 年 9 月 28 年 8 月 28 年 7 月 28 年 6 月 28 年 5 月 28 年 4 月 28 年 3 月 28 年 2 月 28 年 1 月 図 11. 中 国 : 自 動 車 販 売 台 数 量 の 推 移 ( 出 典 : 上 海 証 券 取 引 所 ロイター) 9
(2) 発 電 量 図 12 は 中 国 統 計 局 情 報 等 に 基 づく 月 別 発 電 量 の 推 移 である これによると 28 年 9 月 以 降 に 減 少 傾 向 にあったが 12 月 3 月 に 上 昇 が 見 られ 中 国 の 銅 需 要 の 好 転 材 料 として 期 待 される また 2 月 1 日 より 中 国 全 土 を 対 象 に 本 格 化 された 家 電 下 郷 1 ( 家 電 製 品 の 購 入 代 金 の 13%を 補 助 それ 以 前 は 一 部 地 方 に 限 られた) も 電 力 消 費 量 発 電 力 の 増 加 に 少 なからず 関 係 するものと 見 られる ( 億 kwh) 発 電 量 34 32 3 28 26 24 22 29 年 3 月 29 年 2 月 29 年 1 月 28 年 12 月 28 年 11 月 28 年 1 月 28 年 9 月 28 年 8 月 28 年 7 月 28 年 6 月 28 年 5 月 28 年 4 月 28 年 3 月 28 年 2 月 28 年 1 月 図 12. 中 国 : 発 電 量 の 推 移 ( 出 典 : 中 国 統 計 局 情 報 等 ) 5. 産 業 振 興 政 策 と 金 属 備 蓄 世 界 的 経 済 減 退 下 中 国 経 済 成 長 にとって 当 面 のところ 輸 出 への 期 待 度 は 低 く 内 需 への 依 存 度 が 高 いものと 予 想 される 中 国 の 産 業 振 興 政 策 として 28 年 11 月 9 日 に 発 表 された 57 兆 円 相 当 のインフ ラ 整 備 計 画 (28~21 年 )がベースとしてあり また 個 々の 産 業 支 援 景 気 対 策 としての 小 型 自 動 車 減 税 や 家 電 下 郷 も 効 果 が 出 始 めているようである それら の 兆 しとして 自 動 車 販 売 台 数 や 発 電 力 などの 経 済 指 標 にも 現 れ 始 めているよう に 見 受 けられる 金 属 市 場 及 び 業 界 に 対 する 対 応 策 として 金 属 備 蓄 がある それらは 世 界 市 場 において 注 目 され 29 年 明 け 以 降 の 価 格 推 移 にもその 効 果 が 現 れ 始 めている 他 方 世 界 各 国 の 生 産 者 は 28 年 Q4 以 降 相 次 いで 減 産 措 置 や 新 規 プロジェク トの 延 期 や 先 送 りを 推 進 している これらは 自 由 経 済 において 市 場 の 実 需 回 復 までの 間 に 健 全 な 需 給 均 衡 化 適 正 な 金 属 価 格 水 準 への 回 復 を 目 指 した 措 置 である 中 国 においても 生 産 能 力 の 過 剰 をコントロールする( 康 義 中 国 有 色 協 会 会 長 発 言 の 29.3.26 付 財 経 誌 報 道 の 有 色 金 属 新 聞 報 ネット 配 信 ) との 意 見 が 1 家 電 下 郷 : 家 電 製 品 等 の 農 村 普 及 製 作 対 象 は カラーTV 洗 濯 機 冷 凍 冷 蔵 庫 携 帯 電 話 パソコン 温 水 器 エアコン オートバイの8 品 目 27 年 12 月 より 山 東 河 南 四 川 青 島 の3 省 1 都 市 で 実 施 されていたが 28 年 12 月 からは 対 象 地 区 を 14 省 に 拡 大 し 29 年 2 月 より 全 土 に 拡 大 適 用 された 1
あるほか ある 市 場 関 係 者 は 備 蓄 が 市 場 に 錯 誤 をもたらし 生 産 能 力 放 置 が 再 度 生 産 能 力 増 強 を 引 き 起 こし 現 在 の 供 給 過 剰 を 増 進 させることにならないか と 懸 念 している( 同 上 ) との 声 もある 29 年 明 け 以 降 の 金 属 価 格 回 復 傾 向 に 関 して 中 国 における 金 属 備 蓄 の 要 因 は 大 きいといえるものの 今 後 中 国 の 内 需 の 伸 びが 充 分 ではなく 上 向 き 始 めて いるように 見 える 中 国 の 内 需 も 補 助 政 策 の 上 に 成 り 立 つものであるとすると そ れら 政 策 終 了 後 の 需 要 減 退 の 懸 念 が 残 る また 相 当 量 の 備 蓄 金 属 の 放 出 時 期 ( 現 状 29 年 内 )の 問 題 を 内 包 したまま 世 界 経 済 の 回 復 とそれに 伴 う 中 国 の 輸 出 増 への 転 換 時 期 を 待 つ 状 況 にある 日 本 の 鉱 業 界 にとっても 29 年 明 け 以 降 の 中 国 向 け 地 金 輸 出 増 は 日 本 国 内 の 需 要 減 退 期 にあって 業 績 回 復 の 足 掛 りになる 筈 であるが 中 国 の 実 需 回 復 状 況 の 見 極 めが 肝 要 と 考 えられ JOGMEC としても 中 国 の 経 済 指 標 を 注 視 していく 所 存 である < 参 考 資 料 > ベールに 包 まれた 中 国 の 国 家 備 蓄 制 度 の 概 要 と 今 後 の 備 蓄 政 策 の 行 方 カレント トピックス 25 年 39 号 ( 平 成 17 年 6 月 9 日 付 北 京 事 務 所 納 篤 報 告 ) (http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/5_39.html) おことわり: 本 レポートの 内 容 は 必 ずしも 独 立 行 政 法 人 石 油 天 然 ガス 金 属 鉱 物 資 源 機 構 としての 見 解 を 示 すもので はありません 正 確 な 情 報 をお 届 けするよう 最 大 限 の 努 力 を 行 ってはおりますが 本 レポートの 内 容 に 誤 りのある 可 能 性 もあります 本 レポートに 基 づきとられた 行 動 の 帰 結 につき 独 立 行 政 法 人 石 油 天 然 ガス 金 属 鉱 物 資 源 機 構 及 びレポ ート 執 筆 者 は 何 らの 責 めを 負 いかねます 11