関 西 医 科 大 学 医 学 教 育 センター 長 学 長 特 命 教 授 木 下 洋 ( 昭 和 49 年 入 局 ) 我 が 国 の 卒 前 医 学 教 育 の 流 れと 国 際 認 証 1. 我 が 国 の 医 学 教 育 と 黒 船 来 航 我 が 国 における 医 学 教 育 の 大 改 革 は いつも 黒 船 の 来 航 によりその 都 度 慌 ただしく 行 われてきた 先 人 の 業 と 伝 統 とを 重 んじるこの 国 の しきたり では よほどの 外 圧 が ないかぎり 物 事 は 変 わらないのである 医 学 教 育 分 野 での 黒 船 来 航 による 大 変 革 は 今 回 を 含 め4 回 あったと 云 う 事 ができ る それは ➀ 浦 賀 にペリー 提 督 が 来 た 後 明 治 元 年 に 天 皇 の 詔 勅 で 西 洋 医 学 を 採 用 し 翌 明 治 2 年 にはドイツ 医 学 導 入 が 決 まった 事 29 年 の 長 きにわたり 我 が 国 で 医 学 部 の 教 鞭 をとり しかも 文 化 人 類 学 の 素 養 があったベルツ 先 生 は 我 々 小 児 科 医 に 馴 染 み 深 い 蒙 古 斑 の 命 名 者 でもある ➁ 第 2の 黒 船 来 航 とは 厚 木 にマッカーサーがパイプ 片 手 に 降 り 立 ち インターン 制 度 ( 昭 和 21 年 昭 和 43 年 )が 導 入 された 大 変 革 をいう そして ➂ 第 3の 黒 船 は 国 策 として 日 本 各 地 に 新 設 医 科 大 学 をやたら 作 ったあと 欧 州
GMC(General Medical Council) 視 察 団 に 半 年 の 期 間 と 巨 費 をかけて 日 本 各 地 を 巡 回 評 価 し てもらい 結 局 日 本 に 医 科 大 学 は 存 在 しない とまで 酷 評 された 平 成 11 年 のショック 事 件 である 医 学 校 で 実 際 の patient care 教 育 を 全 く 行 っていなかったので 当 然 であろう そこで 急 遽 客 観 的 臨 床 能 力 試 験 (OSCE: Objective Structured Clinical Examination)を 導 入 する( 平 成 14 年 )ことになったのである そして 現 在 医 学 部 教 員 の 最 大 関 心 事 で 迅 速 な 対 応 と 厖 大 な 準 備 作 業 とが 求 められているのが ➃ 第 4の 黒 船 としての 国 際 認 証 である 2010 年 ( 平 成 22 年 )9 月 に 米 国 ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates) が 日 本 の 諸 機 関 に 通 告 した 2023 年 までの 国 際 認 証 取 得 の 要 件 である 国 際 的 な 質 保 証 への 対 応 として 文 部 科 学 省 は 積 極 的 かつ 迅 速 な 大 学 改 革 推 進 施 策 を 立 案 誘 導 し 認 証 のための 骨 幹 となる 参 加 型 臨 床 実 習 の 充 実 アウトカム 基 盤 型 医 学 教 育 が 各 医 学 部 で 実 質 的 に 行 われることを 強 力 に 牽 引 し 医 学 教 育 改 革 に 邁 進 している このように 我 が 国 の 医 学 教 育 の4つの 大 改 革 は すべて 外 圧 ( 黒 船 の 登 場 )による 急 激 な 変 革 という 形 で 行 われている 2. 我 が 国 の 卒 前 医 学 教 育 はガラパゴス ダグラス マッカーサーは 卒 後 のインターン 制 度 を 日 本 に 導 入 したが 医 学 部 卒 前 教 育 には 手 をつけずのまま 家 族 と 共 に 帰 国 してしまった このため 戦 前 の 見 学 型 臨 床 実 習 ( 我 々の 時 代 のポリクリに 相 当 )が 戦 後 70 年 近 くも 何 ら 進 化 することなくそのままの 形 状 でこの 島 国 に 残 ってしまった 幼 い 時 代 の 記 憶 にあるカーキ 色 の 進 駐 軍 兵 士 と 爆 弾 跡 の 残 った 風 景 そのままに 終 戦 から 時 を 経 ても 医 学 生 の 教 育 形 態 は 変 わらなかった 世 界 の 医 学 教 育 者 からみれば 日 本 の 卒 前 臨 床 医 学 教 育 はまさにガラパゴスなのである(Gordon Noel 教 授 ) ここで 現 在 の 黒 船 事 件 について 少 し 紹 介 する 前 述 のように 2010 年 9 月 に 米 国 の ECFMG ( 外 国 の 医 学 部 卒 業 生 に 科 せられる 試 験 ) 機 構 が 2023 年 から 米 国 の 医 師 国 家 試 験 に ついては 米 国 医 科 大 学 協 会 (AAMC: Association of American Medical Colleges)また は 世 界 医 学 教 育 連 盟 (WFME:Would Federation of Medical Education: WHO の 下 部 組 織 ) の 基 準 で 認 証 を 受 けた 医 学 部 の 卒 業 生 以 外 の 受 験 を 認 めない と 高 等 教 育 評 価 機 構 など 日 本 の 複 数 の 認 証 評 価 機 関 に 通 告 した 事 を 発 端 とする グローバルな 国 際 認 証 は 欧 米 先 進 国 韓 国 台 湾 フィリピンの 医 学 部 ではすでに 終 了 しており 残 っているのは 日 本 パプアニューギニア ベトナム フィジー 諸 島 カリブ 海 諸 島 の 医 学 部 であるといわれる 今 回 の 黒 船 事 件 の 発 端 となった ECFMG 通 告 は 大 きな 要 因 の 一 つにカリブ 諸 島 に 数 多 く 存 在 する 医 科 大 学 への 対 応 であると 容 易 に 想 像 できる 小 生 が 米 国 留 学 中 の 1983 年 に 勃 発 した 米 軍 グレナダ 侵 攻 の 大 義 名 分 は 軍 事 クーデターで 占 拠 されたグレナダ 島 のセントジ ョージ 医 科 大 学 にいる 600 名 の 米 国 籍 医 学 生 救 出 であった この 時 米 軍 と 共 に 戦 ったのが 東 カリブ 諸 国 機 構 (OECS: Organization of Eastern Caribbean States) 参 加 国 軍 であり ちょうど 米 国 の 医 学 部 で OSCE( 臨 床 技 能 試 験 )が 導 入 された 頃 でもあり abbreviation( 略
字 )の 類 似 が 懐 かしい カリブ 諸 島 の 医 科 大 学 には 連 続 娯 楽 TV 番 組 のモデルになるような 劣 悪 な 代 物 もあることは 米 国 内 ではよく 知 られている また 歴 史 的 には 米 国 の 医 学 部 認 証 の 原 点 はカーネギー 財 団 の 資 金 による 1910 年 ( 明 治 43 年 )の Flexner Report であり 大 学 での 臨 床 実 習 が 十 分 行 われているかで 評 価 され 当 時 あった 多 くの 医 育 機 関 が 淘 汰 さ れ 今 日 に 至 っている 3. 医 学 教 育 国 際 基 準 のもつ 意 義 最 も 大 切 な 点 は 欧 米 型 の 臨 床 実 習 を 実 施 する 事 にある 医 学 教 育 に 関 してよく 使 用 さ れる アウトカム という 語 は 教 育 成 果 の 事 である 医 学 教 育 国 際 基 準 のもつ 意 義 とは アウトカム 基 盤 型 医 学 教 育 がちゃんと 実 施 されているという 保 証 である 医 学 部 卒 業 時 に 習 得 しておくべきコンピテンシー( 状 況 に 応 じて 発 揮 される 統 合 された 臨 床 能 力 = 卒 業 時 での 出 来 上 がりぶり)を 指 標 にすれば どこで 医 学 教 育 を 受 けようとも 医 師 として 要 求 される 能 力 を 統 一 的 に 判 断 できる つまり 医 師 として 必 要 な 資 質 を 育 てる 教 育 をしている 医 学 部 の 卒 業 生 でなければ 米 国 は 自 国 民 を 委 ねる 医 師 として 任 せら れないというアメリカの 意 思 である ちょうど 同 時 期 山 下 敏 夫 理 事 長 学 長 の 強 い 意 向 により 関 西 医 科 大 学 医 学 教 育 セン ターが 2011 年 ( 平 成 23 年 )10 月 1 日 に 発 足 し 当 面 は 卒 前 教 育 を 中 心 に 1) 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 推 進 2)カリキュラム 大 改 革 と CBT の 重 視 3)シミュレーション 教 育 の 推 進 を 最 重 点 業 務 として 新 学 舎 での6 年 間 一 貫 教 育 の 実 践 にむけ 活 動 を 開 始 したのであ る 4. 国 際 認 証 に 向 けて 文 部 科 学 省 は 2011 年 7 月 に 医 学 教 育 指 導 者 のためのワークショップを 開 催 して 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 充 実 の 意 義 を 強 調 し 同 年 12 月 には 全 国 の 80 医 学 部 医 科 大 学 を 東 京 大 学 に 招 集 して 国 際 認 証 に 不 可 欠 な 実 質 的 な 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 推 進 を 要 請 すると ともに 東 京 医 科 歯 科 大 学 での 臨 床 実 習 模 範 DVD を 全 国 の 医 育 機 関 に 配 布 した( 関 西 医 科 大 学 ではイントラネットで 視 聴 する 事 ができます) 2012 年 8 月 には 文 部 科 学 省 大 学 改 革 推 進 事 業 国 際 基 準 に 対 応 した 医 学 教 育 認 証 制 度 確 立 を 立 ち 上 げ 日 本 医 学 教 育 認 証 評 価 協 議 会 (JACME: Japan Accreditation Council for Medical Education)が 発 足 した WFME の 方 針 としては 今 後 各 国 で JACME のような 認 証 評 価 組 織 を 認 知 し 各 国 の 制 度 のも とで 医 学 校 を 認 証 するという 制 度 を 確 立 させる 事 にある
文 部 科 学 省 も 国 のメンツをかけて 2011 年 から 次 々と 国 際 認 証 を 視 野 に 入 れた 医 学 部 教 育 の 改 革 案 を 精 力 的 に 繰 り 出 しており 引 き 続 き 本 年 (2013 年 )も 同 省 高 等 教 育 局 の 最 重 要 課 題 として 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 推 進 を 掲 げ 同 年 7 月 にはワークショップ 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 充 実 など 医 学 歯 学 分 野 の 質 保 証 体 制 の 構 築 に 全 国 の 医 学 部 歯 学 部 の 参 加 を 求 め 国 際 認 証 に 耐 えうる 臨 床 実 習 への 変 革 を 促 した 医 学 部 カリキュラム 改 変 に 関 しては 当 初 は 少 なくとも 2017 年 までに 準 備 行 程 が 完 了 し ていないと 受 審 は 無 理 との 思 惑 から 全 国 の 医 学 部 関 係 者 は 騒 然 となり 臨 床 実 習 週 数 の 72 週 間 への 早 急 な 延 長 案 が 各 大 学 で 真 剣 に 論 議 された しかし これも 昨 年 (2012 年 )12 月 に 東 京 女 子 医 科 大 学 が 同 年 6 月 9 月 にかけて 受 審 した WFME 傘 下 の 西 太 平 洋 地 区 医 学 連 盟 (AMEWPR: Association for Medical Education in the Western Pacific Region)による 国 際 外 部 評 価 の 内 容 を 公 表 してからは 沈 静 化 し 臨 床 実 習 期 間 に 関 しては 医 学 部 教 程 の3 分 の1あれば 良 いらしいという 事 になった 実 際 には 分 母 となる 授 業 日 数 授 業 時 間 休 暇 などの 計 算 法 も 未 確 定 で 概 ね 臨 床 実 習 60 週 ( 患 者 さんと 接 する 早 期 体 験 実 習 社 会 医 学 実 習 も 含 む)が 妥 当 な 週 数 かと 推 定 される 一 方 すでに 72 週 の 臨 床 実 習 期 間 を 確 保 し 4 学 年 9 月 に CBT(Computer-based testing: 臨 床 実 習 開 始 前 に 行 われる 全 国 共 通 の 共 用 試 験 )を 受 験 する 大 学 もみられ 始 め カリキュラムの 大 巾 改 訂 を 準 備 している 大 学 も ある 5. 我 が 国 の 卒 前 教 育 の 問 題 点 国 際 認 証 に 関 連 して 臨 床 医 学 教 育 における 我 が 国 の 問 題 点 弱 点 は 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 の 実 質 的 実 施 にある わが 国 の 参 加 型 臨 床 実 習 を 阻 害 する 最 大 の 原 因 は 教 員 の 教 授 錯 覚 に 基 づく 臨 床 教 育 の 実 態 である いわゆる 病 棟 レクチャー が 熱 心 さの 象 徴 の ようにとらえられている 日 本 独 自 の 現 状 は やはりガラパゴスである 医 学 教 育 モデル コア カリキュラムの 臨 床 実 習 の 図 中 に 記 載 されている 診 察 の 基 本 診 察 法 基 本 的 診 療 手 技 のトレーニングを 学 生 に 行 う 事 が 教 員 の 務 めであり これらを 無 視 し 放 置 してはならない 参 加 型 臨 床 実 習 は まず 朝 一 番 に 担 当 患 者 の 病 状 把 握 と 診 察 とを 行 い その 結 果 得 られ た 問 題 点 を 研 修 医 指 導 医 にプレゼンテーションし 臨 床 推 論 と 計 画 立 案 を 進 めて 行 く 日 々 のトレーニングである 参 加 型 実 習 イコール 学 生 に 医 療 手 技 を 実 践 させ 感 動 を 与 える との 熱 い 信 念 で 現 場 での 熱 心 な 手 技 指 導 に 奮 闘 してくれている 教 員 も 多 くみられ るが 真 の 参 加 型 とは 文 部 科 学 省 が DVD で 例 示 するように OSCE で 培 った 診 察 手 技 に より 問 題 点 を 列 挙 し 鑑 別 診 断 し 計 画 策 定 するトレーニングの 日 々なのである 海 外 で の 指 導 医 が 医 学 生 レジデントに 習 熟 を 求 める 順 位 は :➀ 適 格 なプレゼンテーションが できる;➁ 臨 床 判 断 ができる;➂ 医 療 面 接 と 身 体 診 察 ができる これが 我 が 国 のクリニ カル クラークシップ 学 生 の 学 習 目 標 なのでもある 本 学 での 医 学 教 育 センター 設 立 以 来 参 加 型 臨 床 実 習 に 関 する 頻 回 の FD(Faculty Development)や 参 加 型 臨 床 実 習 自 己 点 検 会 議
学 生 ガイダンスや 医 学 教 育 ワークショップでの 啓 発 各 診 療 科 を 巡 回 してのヒアリングの 実 施 などで 文 部 科 学 省 がいう 実 質 的 な 参 加 型 臨 床 実 習 推 進 に 努 めている 病 棟 レクチャー を 廃 止 する 診 療 科 も 出 始 め 学 生 教 員 ともに 欧 米 型 臨 床 実 習 への 方 向 転 換 の 兆 しがみら れる 6. 学 習 段 階 に 応 じたアウトカム 設 定 文 部 科 学 省 が 推 進 する 医 学 部 高 学 年 での 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 を 充 実 するための 方 策 とし て 低 学 年 に 行 われる 実 習 も 含 め 学 習 段 階 に 応 じた 臨 床 実 習 を 効 果 的 に 行 う 必 要 がある 言 い 換 えれば 低 学 年 中 学 年 高 学 年 それぞれにアウトカムを 明 確 にした 臨 床 実 習 を 企 画 する 必 要 がある 早 期 体 験 実 習 は WFME でいう early exposure to medicine か ら to patient に 最 近 変 更 された 事 から 医 学 部 低 学 年 での 体 験 実 習 は 臨 床 実 習 とみ なしてよいのではないかという 解 釈 がある 6 年 間 一 貫 した 臨 床 実 習 ( 患 者 との 接 触 ) を 行 う 事 が 医 科 大 学 の 使 命 として 求 められ かつそれぞれの 医 学 校 の 建 学 の 精 神 が 反 映 さ れている 事 が 国 際 認 証 で 要 求 されている 一 方 全 国 医 学 部 長 病 院 長 会 議 が 以 前 から 指 摘 している 医 学 生 の 学 力 低 下 問 題 は 平 成 20 年 以 降 に 医 学 部 定 員 が 1,416 名 増 えたが 2 学 年 での 留 年 者 が 平 成 24 年 には 470 名 ( 国 公 私 立 53 校 )に 著 増 した 事 で 今 後 が 憂 慮 される 地 方 大 学 における 地 域 枠 入 学 者 に この 傾 向 が 強 い 都 会 にある 関 西 医 科 大 学 では 状 況 は 異 なり 特 別 枠 学 生 の 成 績 はすこぶ る 良 好 である このような 医 学 部 定 員 増 と 18 歳 人 口 減 少 による 医 学 部 難 易 度 の 低 下 に 関 し ては 昭 和 40 年 代 の 医 学 生 /18 歳 人 口 比 は 約 1/700 であるが 平 成 23 年 には 約 1/135 と なり 実 質 5 分 の1となったといわれる この 学 力 低 下 の 詳 細 は ➀ 基 礎 学 力 の 低 下 ;➁ 社 会 規 範 の 欠 如 ;➂メンタルな 問 題 を 抱 える;➃モチベーションが 低 い;という4 項 目 の 全 国 的 な 意 見 が 多 い 確 かに 全 国 の 医 学 部 教 務 関 係 者 が 集 まると 現 場 での 問 題 学 生 への 対 応 に 苦 慮 している 切 実 な 声 が 聞 こえて 来 る また 平 成 24 年 8 月 に 出 された 国 立 大 学 医 学 部 長 会 議 の 医 学 英 語 教 育 に 関 する 提 言 では 共 用 試 験 や 国 家 試 験 での 10%の 英 文 問 題 の 導 入 すべての 学 生 に 必 須 の 医 学 英 語 の 到 達 目 標 として 医 学 英 単 語 や 英 語 プレゼンテ ーションなどが 示 されている つまり 全 国 的 な 最 近 の 医 学 部 学 生 の 特 性 からも 医 学 部 入 学 後 の 学 習 段 階 に 応 じたア ウトカム 設 定 を 周 到 に 準 備 しなければ 学 生 の 自 己 啓 発 に 期 待 した 向 上 は 残 念 ながらあま り 望 めそうにもない 本 学 では 海 外 留 学 を 夢 見 る 女 子 学 生 が 多 いのは 本 当 に 嬉 しい 事 であ る 海 外 有 名 施 設 5カ 所 を 確 保 し 大 学 や 慈 仁 会 からの 補 助 も 手 厚 い 本 学 の 海 外 臨 床 実 習 は 他 に 誇 れるものである ただ 多 くの 男 子 学 生 は 海 外 留 学 に 興 味 を 示 さない 7.1 学 年 シミュレーション 教 育 枚 方 新 学 舎 で 実 質 的 な6 年 間 一 貫 教 育 を 開 始 したのを 機 に 大 巾 なカリキュラム 改 革 の 一 貫 として 入 学 後 間 もない6 月 から9 月 までの 期 間 シミュレーション 実 習 で 基 本 的 医
療 手 技 体 験 (10 ブース)と 医 学 英 単 語 学 習 とを 組 合 せた 実 習 を 創 設 した この1 学 年 実 習 のアウトカムは 基 本 的 医 療 手 技 を 英 語 で 説 明 できるようになり 早 期 体 験 実 習 に 備 えた 医 学 生 としての 態 度 の 修 得 である チュータは 医 学 教 育 センター 専 任 兼 務 教 員 と 教 育 医 長 および6 回 生 学 生 が 担 当 した また 合 計 8 回 の 実 習 中 に 段 階 的 に 服 装 立 ち 居 振 舞 いの 啓 発 指 導 を 学 生 に 寄 り 添 って 行 い 続 くプログラムである 医 療 現 場 での 早 期 体 験 実 習 や 地 域 医 療 実 習 への 準 備 を 行 った この 実 習 の 成 果 として 病 棟 で 普 段 用 いる 簡 単 な 基 本 的 英 単 語 の1 学 年 学 生 正 答 率 (8.9±1.6)の 方 が NICU での 英 語 プレゼンが 無 くなった 現 5 6 学 年 学 生 の 同 問 題 正 答 率 (2.1±1.8 および 3.2±2.3)より 顕 著 に 高 くなった こ の 事 実 は 医 学 英 語 修 得 に 関 して 上 級 生 の 行 動 変 容 をもたらす 可 能 性 も 期 待 される 1 学 年 シミュレーション 実 習 の 効 果 は 医 学 部 学 生 への 態 度 人 間 性 教 育 を 段 階 的 に 進 め 低 学 年 における 臨 床 実 習 ( 患 者 との 接 触 ) 準 備 の 一 貫 となり 入 学 後 のモチベーションを 維 持 する 役 割 も 大 きく 6 年 間 一 貫 教 育 の 手 法 としてきわめて 有 用 である 本 学 独 自 の 取 組 みとして 今 後 はチュータ 教 育 を 充 実 させ 周 到 な 医 学 教 育 法 として 進 化 させたい 多 く の 本 学 教 員 が 異 口 同 音 に 願 っていた 新 入 生 からの 教 育 改 革 がすでに 始 っている 学 外 講 演 木 下 洋 : 医 学 生 の 臨 床 実 習 カリキュラムの 在 り 方. 第 12 回 日 本 小 児 医 学 教 育 研 究 会. 平 成 24 年 12 月 2 日 東 京. 木 下 洋 : 診 療 参 加 型 臨 床 実 習. 診 療 参 加 型 臨 床 実 習 について 考 える 会 in 関 西. 平 成 25 年 1 月 6 日 京 都. 木 下 洋 :シミュレーションを 用 いた 医 学 教 育 と 地 域 医 療 我 が 国 の 医 学 教 育 の 流 れー. 加 多 乃 会 勉 強 会. 平 成 25 年 2 月 21 日 守 口. 木 下 洋 他 :カリキュラムの 大 巾 改 訂 と 診 療 参 加 型 実 習 の 促 進. 関 西 地 区 FD 活 動 協 議 会 FD 活 動 の 報 告 会 2013. 平 成 25 年 5 月 18 日 京 都. 木 下 洋 : 関 西 医 科 大 学 の 医 学 教 育 カリキュラム. 第 2 回 関 西 医 学 教 育 ネットワークの 会. 平 成 25 年 9 月 29 日 京 都.