東 京 海 上 日 動 リスクコンサルティング( 株 ) 事 業 継 続 グループ 研 究 員 中 村 和 仁 インフルエンザ 流 行 に 対 する 事 業 継 続 計 画 の 策 定 105 1. はじめに 毎 年 のように 発 生 している 感 染 病 であるにもかかわらず インフルエンザはその 実 態 についてあまり 理 解 さ れることなく 肺 炎 の 原 因 程 度 に 考 えられることがある ところが インフルエンザは 数 ある 感 染 病 の 中 で 罹 患 率 死 亡 率 ともに 最 も 高 く 新 型 ウイルスが 出 現 して 世 界 的 大 流 行 (パンデミック)となった 場 合 には 欠 勤 に 伴 う 業 務 停 止 による 経 済 的 損 失 は 多 大 なものとなる そのため インフルエンザについての 理 解 と 正 しい 情 報 の 収 集 と 提 供 が 重 要 である また 経 済 への 影 響 を 最 小 限 に 抑 えるためにも パンデミックに 対 する 事 業 継 続 計 画 (BCP: Business Continuity Plan)を 策 定 し 危 機 対 応 組 織 や 緊 急 時 における 行 動 規 程 を 準 備 し ておく 必 要 がある 2. インフルエンザとは 病 気 の 原 因 となるものには 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 (SARS)の 原 因 とされるコロナウイルスなどのウイルスによ る 感 染 症 や O-157 などの 細 菌 による 感 染 症 がある 感 染 症 のほとんどはウイルスによるものであり その 中 でも 高 い 感 染 力 を 示 すものがインフルエンザウイルスである これは 捕 える つかむという 意 味 の 言 葉 を 語 源 とした grippe がインフルエンザを 意 味 することからも これまでインフルエンザが 急 激 な 感 染 性 流 行 性 を 示 してきたことがうかがえる インフルエンザウイルスは 直 径 100nm(1 万 分 の 1mm)の RNA ウイルスであり 細 菌 とは 異 なり 生 きた 細 胞 の 中 でしか 増 殖 できず また 自 己 増 殖 もできないため 半 生 物 に 分 類 されることもある インフルエンザウイル スによる 感 染 は ウイルスが 鼻 腔 や 咽 頭 粘 膜 表 面 への 吸 着 により 細 胞 に 取 り 込 まれ 細 胞 核 の 中 で 増 殖 し ウイルス 粒 子 表 面 のノイラミニダーゼ(NA)と 呼 ばれる 糖 タンパクにより 細 胞 から 切 り 離 されて 細 胞 外 へ 放 出 されることで 起 こると 考 えられている SARS とは 異 なり インフルエンザウイルスは 咳 やくしゃみによる 飛 沫 感 染 だけでなく 空 気 感 染 するため 感 染 範 囲 がより 広 範 囲 にわたり また ウイルスは 低 温 低 湿 度 の 条 件 で 生 存 率 が 高 いとされるため 冬 に 流 行 することが 多 い インフルエンザに 似 た 症 状 を 引 き 起 こしてきた SARS は 通 常 軽 い 風 邪 としか 結 びつかないコロナウイルス の 仲 間 が 変 異 して 感 染 力 を 増 したものとされている しかし 症 状 が 出 始 めてからかなりたつまで 感 染 するこ とはなく 発 病 しない 無 症 候 性 の 感 染 がほとんどないことから 検 疫 や 隔 離 公 衆 衛 生 上 の 施 策 による 蔓 延 防 止 が 有 効 とされている ところが インフルエンザは 感 染 が 速 い 上 感 染 しても 必 ず 発 病 するとは 限 らず 症 状 が 現 れる 前 から 大 量 のウイルスを 撒 き 散 らすこととなるため 検 疫 や 隔 離 によって 阻 止 することは 困 難 であり 新 型 インフルエンザのパンデミックが 発 生 すれば SARS よりも 大 きな 影 響 を 及 ぼすことが 予 測 される インフルエンザは A 型 B 型 C 型 の 3 種 類 に 分 けられる B 型 インフルエンザはウイルス 粒 子 表 面 に 赤 血 球 凝 集 素 (HA)とノイラミニダーゼ(NA)と 呼 ばれる 糖 タンパクをもち 1つの 型 のみが 存 在 する C 型 インフ ルエンザはヘマグルチニンエステラーゼと 呼 ばれる 1 つの 糖 タンパクしかなく いわゆる 風 邪 の 原 因 であり パンデミックを 起 こすことはない しかし A 型 インフルエンザにはウイルスを 構 成 する HA1~16 と NA1~9 の 異 なる 亜 型 が 存 在 し H1N1 のように その 組 み 合 わせで 表 現 される A 型 インフルエンザは 鳥 やブタなど 1
と 人 との 間 で 遺 伝 子 の 交 換 を 行 い 突 然 変 異 により 免 疫 のない 新 しいインフルエンザとなりパンデミックを 引 き 起 こす 可 能 性 がある A 型 インフルエンザの 自 然 宿 主 である 水 鳥 や 野 鳥 が 死 亡 したり 全 身 症 状 を 発 症 し たりと 特 に 強 い 病 原 性 を 示 すものを 高 病 原 性 鳥 インフルエンザと 呼 び そのひとつである H5N1 の 人 への 感 染 が 危 惧 されている 2006 年 6 月 H5N1 インフルエンザは 厚 生 労 働 省 により 感 染 症 法 第 6 条 第 7 項 の 指 定 感 染 症 に 指 定 され 同 時 に 検 疫 法 第 2 条 第 4 号 の 政 令 で 定 める 検 疫 感 染 症 にも 指 定 された 感 染 症 予 防 法 では 感 染 力 の 強 さ 罹 患 した 場 合 の 重 篤 性 などから 一 類 感 染 症 ~ 五 類 感 染 症 に 分 類 している 指 定 感 染 症 とは 一 類 感 染 症 から 三 類 感 染 症 以 外 の 既 知 の 感 染 症 で 一 類 感 染 症 (SARS やエボラ 出 血 熱 など) 二 類 感 染 症 (ポリオ やコレラなど) 三 類 感 染 症 (O-157 などによる 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 感 染 症 )に 準 じた 対 応 が 必 要 とされるもの である 指 定 により 感 染 の 疑 いのある 人 に 強 制 的 に 健 診 を 受 けさせること 死 体 の 移 動 を 禁 止 することや 交 通 を 遮 断 することが 可 能 となる 世 界 各 国 で 鳥 インフルエンザの 人 への 感 染 事 例 が 認 められていることか ら 新 型 インフルエンザによるパンデミックに 対 する 危 機 感 が 高 まっている 一 類 感 染 症 二 類 感 染 症 三 類 感 染 症 SARSコロナウイルス ペスト 痘 そう エボラ 出 血 熱 クリミア コンゴ 出 血 熱 マールブルグ 病 ラッサ 熱 コレラ ジフテリア 腸 チフス パラチフス 急 性 灰 白 髄 炎 細 菌 性 赤 痢 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 感 染 症 四 類 感 染 症 五 類 感 染 症 高 病 原 性 鳥 インフルエンザ 狂 犬 病 炭 疸 A 型 肝 炎 E 型 肝 炎 日 本 脳 炎 発 しんチフス マラリア デング 熱 レジオネラ 症 など 破 傷 風 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 梅 毒 ウイルス 性 肝 炎 ジアルジア 症 先 天 性 風 しん 症 候 群 クロイツフェルト ヤコブ 病 アメーバ 赤 痢 クリプトスポリジウム 症 髄 膜 炎 菌 性 髄 膜 炎 など 2
3. これまでのパンデミック 人 類 史 上 も 最 も 致 命 的 な 疫 病 の 発 生 とされる スペイン 風 邪 は 1918 年 から 2 年 にわたり 人 口 18 億 人 の 世 界 で 2100 万 人 の 死 者 を 出 したと 報 道 されたが 調 査 結 果 を 見 直 した 結 果 当 時 の 見 積 もりが 誤 りであった 可 能 性 があり 5 億 人 が 感 染 し 死 亡 数 は 5000 万 人 から 1 億 人 であったとも 言 われている 第 一 次 世 界 大 戦 において 中 立 国 であったスペインの 新 聞 により 最 初 に 報 道 された スペイン 風 邪 は H1N1 インフルエンザ によるもので このパンデミックが 第 一 次 世 界 大 戦 における 最 大 の 人 的 被 害 であり 通 常 のインフルエンザ で 合 併 症 を 起 こしやすい 高 齢 者 などのハイリスクグループだけでなく 多 くの 若 者 が 死 亡 したとされている スペイン 風 邪 以 後 1930 年 にブタのインフルエンザウイルスが 1933 年 に 人 のインフルエンザウイルスが それぞれ 発 見 され 1936 年 には A 型 インフルエンザ 抗 原 の 多 様 性 が 発 見 された そして 1940 年 に B 型 イ ンフルエンザが 1947 年 に C 型 インフルエンザが 分 離 された このような 生 化 学 の 進 歩 にもかかわらず 1946 年 から 1947 年 にかけて 致 死 性 こそ 低 かったものの 数 億 人 が 感 染 したとされるインフルエンザが 流 行 し 1948 年 には 世 界 保 健 機 関 (WHO)が 創 設 され インフルエンザの 監 視 システムを 構 築 し 未 知 ウイルスの 鑑 定 や 製 薬 企 業 にワクチン 製 造 のためのウイルス 株 の 提 供 などを 行 ってきている WHO 創 設 後 も 1957 年 には H2N2 ウイルスによる アジア 風 邪 のパンデミックが 発 生 1968 年 には H3N2 ウイルスによる 香 港 風 邪 のパンデミックが 発 生 し 数 百 万 人 が 死 亡 したとされている これまでのパンデミ ックは 野 生 の 鳥 が 維 持 している 弱 毒 性 のウイルスによるものであり 宿 主 である 鳥 類 の 間 では 腸 管 や 呼 吸 器 の 局 所 感 染 が 繰 り 返 されるだけであるが わずかな 変 異 で 人 から 人 への 強 い 感 染 力 を 得 ることが 示 されてき た また 交 通 機 関 が 発 達 し 航 空 機 のネットワークにより 短 期 間 で 世 界 中 に 感 染 が 広 がりやすい 社 会 環 境 になってきている これらのインフルエンザ 流 行 の 教 訓 からワクチンの 開 発 や 配 布 を 民 間 企 業 に 一 任 するのではなく 政 府 が 調 整 を 行 うことでワクチンの 需 給 バランスを 保 ち 余 ってしまった 場 合 には 補 償 することで 継 続 的 にワクチン 接 種 プログラムを 実 施 していく 必 要 性 が 認 識 されてきた しかし ワクチンによる 副 作 用 が 過 剰 に 喧 伝 される ことで 予 防 接 種 が 中 止 されることもあるため ワクチンによる 効 果 と 副 作 用 の 可 能 性 について 正 確 な 情 報 を 提 供 することが 重 要 である 日 本 では 1994 年 にインフルエンザが 予 防 接 種 対 象 疾 患 から 除 かれたが 先 進 諸 国 では ワクチンに 対 する 信 頼 が 定 着 し 接 種 率 は 年 々 増 加 している 4. 新 型 インフルエンザについて これまでパンデミックを 引 き 起 こしてきたインフルエンザウイルスとは 異 なり H5N1 は 高 病 原 性 鳥 インフルエ ンザと 呼 ばれ 強 毒 性 であり 鳥 類 でも 腸 管 や 呼 吸 器 だけでなくほとんどの 臓 器 でウイルスが 増 殖 し 全 身 感 染 を 起 こすことが 知 られている 鳥 を 宿 主 とするインフルエンザウイルスは 人 に 直 接 感 染 することはないと されているが 他 のインフルエンザに 罹 っている 人 が H5N1 ウイルスに 感 染 することで 遺 伝 子 交 換 が 行 われ ること 鳥 やブタなどのインフルエンザウイルスが 突 然 変 異 により 人 へ 感 染 する 力 を 得 ることで 新 型 ウイルス として 流 行 する 可 能 性 がある H5N1 ウイルスは 2003 年 からアジアに 広 がり 現 在 世 界 中 に 拡 大 しており 感 染 者 死 亡 者 を 出 している WHO は 新 型 インフルエンザがパンデミックに 至 るまでを 6 段 階 に 分 けている 現 在 新 型 ウイルスによる 人 感 染 が 発 生 を 示 すパンデミックアラート 期 であり フェーズ 3 ヒトへの 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 されているが ヒトからヒトへの 感 染 は 基 本 的 に 無 い 状 態 としている フェーズ 4 は ヒトからヒトへの 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 されているが 感 染 集 団 は 小 さく 限 られている フェーズ 5 は ヒトからヒト への 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 され パンデミック 発 生 のリスクが 大 きな より 大 きな 集 団 発 生 がみられる 人 から 人 への 世 界 的 流 行 の 発 生 を 示 すパンデミック 期 であるフェーズ 6 は パンデミックが 発 生 し 一 般 社 会 で 急 速 に 感 染 が 拡 大 している 状 態 としている 人 は 新 型 インフルエンザウイルスに 対 して 免 疫 がなく 流 行 が 発 生 した 場 合 急 速 に 拡 がることが 考 えられる 3
WHOの2005 年 版 分 類 によるパンデミックフェーズ フェーズ 1 フェーズ 2 前 パンデミック 期 前 パンデミック 期 ヒトから 新 しい 亜 型 のインフルエンザは 検 出 されていない が ヒトへ 感 染 する 可 能 性 を 持 つ 型 のウイルスを 動 物 に 検 出 ヒトから 新 しい 亜 型 のインフルエンザは 検 出 されていない が 動 物 からヒトへ 感 染 するリスクが 高 いウイルスが 検 出 フェーズ 3 パンデミックアラート 期 ヒトへの 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 されている が ヒトからヒトへの 感 染 は 基 本 的 に 無 い フェーズ 4 フェーズ 5 フェーズ 6 パンデミックアラート 期 パンデミックアラート 期 パンデミック 期 ヒトからヒトへの 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 さ れているが 感 染 集 団 は 小 さく 限 られている ヒトからヒトへの 新 しい 亜 型 のインフルエンザ 感 染 が 確 認 さ れ パンデミック 発 生 のリスクが 大 きな より 大 きな 集 団 発 生 がみられる パンデミックが 発 生 し 一 般 社 会 で 急 速 に 感 染 が 拡 大 して いる 後 パンデミック 期 パンデミックが 発 生 する 前 の 状 態 へ 急 速 に 回 復 している ウイルス 感 染 を 防 ぐこと 手 段 がない 現 状 では 栄 養 と 休 養 を 十 分 とる 適 度 な 運 動 をする ストレスを 減 らす うがい 手 洗 いを 励 行 し 普 段 から 体 調 を 整 えておくことでインフルエンザを 予 防 し 新 型 ウイルスの 感 染 機 会 を 減 らし 流 行 させないことが 重 要 である インフルエンザの 予 防 にはワクチンが 効 果 的 であり 技 術 の 進 歩 により 副 作 用 も 減 少 しているが 完 全 にインフルエンザの 感 染 を 防 げるわけではなく ワクチンを 接 種 して も 罹 患 することもあり その 効 果 の 持 続 期 間 は 3 ヶ 月 程 度 とされている しかし ハイリスクグループである 高 齢 者 において 肺 炎 などの 合 併 症 の 発 生 などを 減 少 させる 効 果 が 認 められており ワクチン 接 種 は 流 行 防 止 に 有 効 である ワクチン 製 造 には 一 般 的 には 有 精 卵 に 弱 毒 化 したウイルスを 植 えつけ 培 養 してつくる 方 法 がとられている が 強 毒 性 鳥 インフルエンザウイルスである H5N1 を 植 え 付 けると 有 精 卵 が 死 んでしまうこと 鳥 インフルエン ザウイルスでワクチンを 製 造 しても 人 が 感 染 するウイルスに 効 果 が 得 られない 可 能 性 があること ウイルス 培 養 に 数 ヶ 月 かかるためワクチン 製 造 に 長 期 間 を 要 することなどの 問 題 がある これを 克 服 するために 短 期 間 でワクチンを 製 造 できる 方 法 について 研 究 が 行 われている また ノイラミニダーゼの 働 きを 抑 え ウイルス の 増 殖 を 防 ぐことにより 症 状 の 軽 減 が 期 待 される 抗 インフルエンザ 剤 としては ロシュ 社 の タミフル やグラク ソスミスクライン 社 の リレンザ などがあるが 各 国 では 備 蓄 や 投 与 に 便 利 な 錠 剤 の タミフル の 備 蓄 を 進 めている ライセンス 供 与 によりロシュ 社 以 外 での タミフル の 製 造 が 進 められている また マスクなどに 使 用 できるよう 有 機 系 抗 ウイルス 剤 や 銅 ゼオライトなどを 取 り 入 れることで ウイルスを 無 害 化 できる 繊 維 の 開 発 がされている 4
5.BCP の 策 定 企 業 はパンデミックによる 経 済 への 影 響 を 最 小 限 に 抑 え 事 業 継 続 していくために BCP の 策 定 をし ておくことが 必 要 である 新 型 インフルエンザの 世 界 的 大 流 行 が 発 生 した 場 合 ほぼすべての 経 済 活 動 に 多 大 な 影 響 を 及 ぼすことが 予 想 される インフルエンザが 流 行 し 欠 勤 者 が 増 加 した 場 合 優 先 度 の 高 い 事 業 に 絞 って 継 続 していくことを 考 慮 に 入 れなければならない そして それは 自 社 に 限 ったことではなく 社 会 全 体 で 同 じような 状 況 になることを 想 定 しておかなければならない パンデミックにより 引 き 起 こされる 事 態 として 上 下 水 道 ガス 電 気 通 信 などのライフライン において 復 旧 や 運 用 のための 要 員 が 不 足 し 事 故 対 応 などに 遅 れが 生 じることが 考 えられる 交 通 機 関 は 運 転 を 限 定 され 運 送 業 者 の 欠 勤 により 物 流 に 影 響 を 及 ぼすことになる 資 材 食 料 が 不 足 し 工 場 では 生 産 停 止 を 余 儀 なくされるであろう 本 人 が 感 染 しなくても 家 族 恋 人 友 人 大 切 な 人 を 失 えば 職 場 に 復 帰 できる 状 態 になるまでに 時 間 を 要 し 場 合 によってはカウンセリング も 必 要 となる 正 しい 情 報 が 得 られず パニックに 陥 ることも 考 えられる インフルエンザについて 正 しい 情 報 を 入 手 し パンデミックの 最 新 の 動 向 を 把 握 しておくことが 重 要 である 危 機 管 理 体 制 を 構 築 し 関 係 者 への 情 報 提 供 連 絡 体 制 や 行 動 基 準 を 決 めておき リス クに 備 えておくことでパンデミックが 発 生 した 場 合 にもすぐに 対 応 できるようにしておく このよ うな 体 制 は 地 震 やバイオテロのようなパンデミック 以 外 のリスクに 対 しても 活 用 することができる また いつ 誰 が 何 を どのように 指 示 するかをあらかじめ 明 確 にしておくことで 関 係 者 の 不 安 を 軽 減 するとともに パニックを 起 こさずにリスクへの 対 処 を 円 滑 に 行 うことができる インフルエンザに 罹 っている 人 は 出 社 させないことを 徹 底 し 緊 急 連 絡 網 や 安 否 確 認 システムの 確 認 しておく 一 人 の 感 染 者 によって 事 業 継 続 が 困 難 な 状 況 に 陥 ることがあることを 共 通 の 認 識 とし てとらえ 感 染 防 止 を 促 す 職 場 衛 生 について 徹 底 し 使 用 後 のティッシュペーパーの 処 理 や 部 屋 の 換 気 などにも 注 意 し 加 湿 器 やフェイスマスクを 準 備 することも 検 討 する また 出 張 者 関 連 会 社 協 力 会 社 やサプライヤーなどの 関 係 者 への 情 報 共 有 化 連 絡 体 制 行 動 基 準 を 決 めておき 緊 急 時 にもお 互 いに 連 絡 が 取 れる 環 境 の 整 備 が 必 要 である BCP を 策 定 するにあたって まず 目 標 と 方 針 を 決 定 する パンデミックが 発 生 した 場 合 にも 継 続 す るべき 業 務 は 何 か 供 給 する 製 品 やサービスは 何 かを 決 定 しておく また 被 害 の 想 定 を 行 い 事 業 継 続 が 可 能 な 被 害 のレベルを 把 握 し その 被 害 レベルを 超 えないように どの 業 務 をどの 程 度 継 続 する 必 要 があるか いつまでに 復 旧 する 必 要 があるかを 検 討 して 目 標 を 設 定 する 重 要 業 務 に 関 して 継 続 が 困 難 になると 予 測 される 要 因 は 何 かを 検 討 し 制 約 となるボトルネックについて 強 化 し たり カバーできる 体 制 を 整 えたり 代 わりとなる 方 法 を 考 え 目 標 を 達 成 できるように 対 策 をす ることで 事 業 の 継 続 復 旧 を 可 能 にする パンデミック 対 策 として 米 国 英 国 の 政 府 は 全 体 の 25%の 社 員 が 欠 勤 することを 想 定 して BCP を 策 定 するよう 促 している 世 界 中 に 感 染 が 拡 大 するパンデミックとなれば 各 地 で 同 様 の 事 態 とな ることが 予 想 される 最 悪 の 場 合 50%の 社 員 が 欠 勤 することを 想 定 する 企 業 もある 重 要 な 製 品 やサービスを 選 定 し ボトルネックの 洗 い 出 しを 行 うにあたり パンデミックでは 人 がボトルネッ クになることが 考 えられる ある 特 定 の 人 にしかできない 業 務 を 洗 い 出 し 業 務 の 共 有 化 を 図 り 出 社 しなくてもできる 業 務 に 関 しては 自 宅 勤 務 できるような 環 境 や 制 度 を 整 えることが 必 要 となる WHO は 鳥 インフルエンザの 最 新 情 報 やガイドラインを 英 語 フランス 語 スペイン 語 中 国 語 ロシア 語 やアラブ 語 で 提 供 しており パンデミックの 各 フェーズにおける 目 標 とアクションプラン を 紹 介 している 米 国 疾 病 予 防 管 理 センター(CDC)も 鳥 インフルエンザ 情 報 の 提 供 を 行 っている 日 本 の 厚 生 労 働 省 のホームページでは 各 フェーズでの 新 型 インフルエンザ 対 策 として 厚 生 労 働 省 農 林 水 産 省 外 務 省 文 部 科 学 省 など 各 省 庁 の 行 動 計 画 が 示 されている パンデミックに 対 して 世 界 各 国 の 連 係 や 情 報 の 共 有 は 大 変 重 要 となる また 企 業 の 鳥 インフルエンザ 対 策 として 労 働 5
者 健 康 福 祉 機 構 の 海 外 勤 務 健 康 管 理 センターから 海 外 派 遣 企 業 の 新 型 インフルエンザ 対 策 ガイドラ イン 米 国 厚 生 省 と CDC から 企 業 に 対 して 鳥 インフルエンザ 対 策 チェックリスト 英 国 政 府 から 対 策 チェックリストとコンティンジェンシープランのガイドライン ニュージーランド 政 府 から BCP ガイドが 提 示 されている WHO 鳥 インフルエンザ 関 連 情 報 http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/ CDC 鳥 インフルエンザ 関 連 情 報 http://www.cdc.gov/flu/avian/ 厚 生 労 働 省 新 型 インフルエンザ 対 策 関 連 情 報 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 海 外 派 遣 企 業 の 新 型 インフルエンザ 対 策 ガイドライン http://www.johac.rofuku.go.jp/news/pdf/guideline.pdf 米 国 厚 生 省 CDC 鳥 インフルエンザ 対 策 チェックリスト http://www.pandemicflu.gov/plan/pdf/businesschecklist.pdf 英 国 政 府 鳥 インフルエンザ 対 策 チェックリスト http://www.ukresilience.info/publications/060516flubcpchecklist.pdf 英 国 政 府 コンティンジェンシープランガイドライン http://www.ukresilience.info/publications/060710_revised_pandemic.pdf ニュージーランド 政 府 事 業 継 続 計 画 ガイド http://www.med.govt.nz/upload/27552/planning-guide.pdf インフルエンザウイルスを 保 有 する 自 然 宿 主 である 鳥 類 をすべて 処 分 することは 不 可 能 である ま た 鳥 やその 他 の 宿 主 生 物 人 に 感 染 する 機 会 が 増 えればインフルエンザウイルスの 突 然 変 異 も 起 きやすくなり 人 は 免 疫 を 持 たないためパンデミックを 防 ぐことはできない このような 状 況 にお いて 企 業 は 人 的 経 済 的 被 害 を 最 小 限 に 抑 え いつ 起 きてもおかしくないといわれる 新 型 インフル エンザのパンデミック 対 策 をとらなければならない 事 前 対 策 に 要 する 費 用 は 被 災 後 の 復 旧 に 要 す る 費 用 の 削 減 となる また 対 策 により 復 旧 時 間 が 短 縮 されるため 機 会 損 失 を 最 小 限 に 留 めるこ とができる 危 機 的 な 状 況 において どの 業 務 を 優 先 させる 必 要 があり 製 品 やサービスのどれくらいの 割 合 を 維 持 していかなければならないか 供 給 をどれくらいの 期 間 停 止 してしまうと 事 業 を 継 続 できなく なってしまうのか 関 係 者 にどのくらいの 影 響 があるのかを 把 握 しておく そして それらの 情 報 から 危 機 を 乗 り 越 えられるように 最 適 な 判 断 対 策 をする 新 型 インフルエンザが 流 行 すれば 多 大 な 被 害 が 生 じることが 考 えられるが その 被 害 を 最 小 限 に 食 い 止 められるかは 事 前 にどのような 対 応 をと るかにかかっているのである 以 上 6